メダカにバクテリア剤は必要?容器別の使いどころと選び方
「メダカの水がすぐ濁る」「立ち上げたばかりの容器に、そのまま魚を入れていいのか分からない」。そんな不安を抱えたままバクテリア剤の棚の前に立って、液体と沈めるブロックと底床がずらりと並ぶのを見て、結局どれも買わずに帰ってきた。そんな経験のある方は、けっこう多いのではないかなと思います。パッケージに書かれている言葉がどれもよく似ていて、違いが読み取りにくいんですよね。
先に結論をお伝えします。バクテリア剤は入れるだけで水をきれいにしてくれる魔法の水ではなく、立ち上げ直後や大量の水換えのあとなど、足りなくなった分を足すための補助です。そしてメダカの場合は、菌を足す前に「その容器にバクテリアの棲む場所があるか」を先に確かめたほうが、ずっと近道になります。ここが、ほかの魚の水槽とメダカとで話が変わるいちばんの分かれ目です。
メダカは屋外の鉢やトロ舟、ボトル、稚魚の繁殖ケースなど、ろ過フィルターを置けない容器で飼われることがとても多い魚です。フィルターがあれば、その中のろ材がバクテリアの住宅地になってくれますが、鉢やケースにはそれがありません。この記事では、その違いを踏まえて、製品の形ごとの役割と、容器別の使いどころを整理していきますね。液体タイプそのものを深く掘り下げる話は、この記事では最小限にとどめます。
この記事で理解できること
- ろ過バクテリアが水ではなく物の表面に棲むという前提
- 液体・沈めるブロック・底床という形ごとの役割の違い
- 室内水槽と屋外の鉢で変わるバクテリア剤の使いどころ
- 水温が下がる季節に足しても働きにくくなる理由
メダカ飼育でバクテリアが働く場所
メダカ飼育でいう「バクテリア」は、ふつうろ過バクテリアのことを指します。ろ過バクテリアというのは、フンや食べ残し、枯れた水草といった汚れのもとになる成分を分解して、水をきれいな状態に保ってくれる細菌のことです。テトラはメダカ飼育で重要なのはこのろ過バクテリアだとしていて、立ち上げたばかりのメダカ水槽の水には、そもそもバクテリアが存在しないとも書いています。なお、ここでいう「分解」には、フンなどの有機物を細かくする働きと、そこから出てくるアンモニアや亜硝酸を害の少ない物質に変える働きの両方が含まれます。この二つの区別は、製品を選ぶところで効いてきますよ。
ただ、ここで多くの方がつまずくのが「では買ってきて入れれば増えるのか」という点です。バクテリアには定着できる場所が要り、その場所があることで増えやすくなる、というのがメーカー各社の説明に共通している考え方です。この章では、その住処がどこにあるのか、そしてフィルターを置けないメダカの容器では何が足りなくなるのかを見ていきます。製品を選ぶのは、そのあとで大丈夫ですよ。
バクテリアは水ではなく物に棲む
結論から言うと、ろ過バクテリアは水の中をふわふわ漂っているのではなく、物の表面に定着して増えていきます。テトラは、底砂に使う砂利やソイルには目に見えない小さな凹凸があり、バクテリアはその中に定着して増えると説明しています。流木や石も同じで、表面の凹凸の内側が生息しやすい場所になります(出典:スペクトラム ブランズ ジャパン)。
つまり、水そのものはバクテリアにとって住処ではなく、通り道にすぎません。だからバクテリア剤を入れる前に、その容器に表面積があるかどうかを見るほうが先なんですね。底砂を敷いていない、石も流木も入っていない、フィルターもない。そういう容器に菌だけを注いでも、落ち着く先がないまま流れていってしまいます。
パッケージでよく見かける「多孔質(たこうしつ)」という言葉は、スポンジのように細かい穴がたくさん空いた構造のことを指します。穴が多いほど表面積が増え、その分だけバクテリアが住める面が広がる、という理屈ですね。ろ材も砂利もソイルも石も、やっていることは同じで、要するに水の中に「面」を増やしているわけです。ここを押さえると、製品の形の違いがぐっと読みやすくなります。
もう少し具体的に言うと、住処になるのはろ材、底砂やソイル、石や流木、そして水草の表面です。どれも水に触れる面を持っていて、しかも表面がつるつるではありません。逆に、ガラス面やプラスチックのケースの内側は面としては存在しますが、掃除のたびに拭かれてしまう場所でもありますよね。
なお、アンモニアや亜硝酸がどう分解されていくのかという化学の流れそのものは、この記事では踏み込みません。アンモニアはフンや残餌から出る、魚にとって毒性の強い物質で、亜硝酸はそれが分解される途中で生まれる物質です。順を追って知りたい方は、アンモニアが分解されるまでの流れを追いかけた記事のほうが早いです。
フィルターのない容器で足りなくなるもの

メダカで不足しがちなのは、菌そのものよりも住処のほうです。メダカは屋外の睡蓮鉢やトロ舟、室内のボトル、稚魚を分けた繁殖ケースなど、ろ過フィルターを置けない容器で飼われることが多いですよね。フィルターがある水槽なら、ろ材という専用の住宅地が最初から用意されていて、そこに水が流れ続けます。置けない容器では、その住宅地ごと自分で用意してあげる必要が出てきます。
テトラも、屋外飼育やボトル飼育ではフィルターを設置できないため、小さな流木や石を入れて、バクテリアの定着と繁殖を手助けするとよいと案内しています。これはバクテリア剤の話ではなく、住処を足すという発想です。菌を入れても定着先がなければ増えにくい、という前提に立てば、順番としてはとても自然な案内だと思います。
鉢やケースを新しく立てるときは、バクテリア剤の前に、まず底砂と石を入れてください。底砂の凹凸と石の表面が、そのまま定着場所になります。そのうえで足りないと感じたときに剤を足すほうが、同じお金でも効き方が変わってきますよ。先に住処、あとから菌、の順です。
稚魚の繁殖ケースはさらに条件が厳しくなります。水量が少なく、エアレーションも弱めにすることが多いうえ、稚魚は餌を細かく頻繁に与えるので、汚れは出やすい環境です。それでいてフィルターは置きにくい。こういう容器こそ、住処を足せる形の製品が向いているという話に、あとの章でつながっていきます。
入れれば水がきれいになるわけではない
バクテリア剤を入れれば水がきれいになる、という順番では期待どおりになりにくいです。ろ過バクテリアが働くには、住処のほかに酸素と水温という条件がそろっている必要があります。テトラは、ろ過バクテリアのほとんどが酸素を必要とする好気性細菌で、温度が低すぎたり酸素が足りなかったりすると、活動が停止したり死んでしまったりするとしています。
好気性細菌というのは、酸素を使って呼吸する細菌のことです。だからエアレーションや水の動きが弱い容器では、せっかく足した菌も本来の働きをしにくくなります。逆に言えば、住処と酸素と水温がそろっている容器では、菌は自然に増えていきます。バクテリア剤は、その自然な流れを立ち上げの初期に前倒ししたり、崩れたときに埋め合わせたりするための道具だと考えると、扱いやすくなります。
それから、たくさん入れれば早く安定するというものでもありません。菌が働くための住処と酸素と水温がそろっていなければ、量を増やしても行き場が増えるわけではないからです。それに、入れた分だけ水の中身が変わりますから、量を増やすほど水質の変化も大きくなります。使用量は製品ごとに表示が違いますから、手元の説明書きに合わせてください。
入れた直後に水が白く濁ることがあります。
これは失敗と決まったわけではありませんが、濁りが続く、メダカの動きが鈍いといった様子が出たときは、いったん足すのをやめ、エアレーションを強めながら様子を見るのが先でしょう。使用量と頻度は、製品の表示と取扱説明書に合わせてください。
白く濁ったときの具体的な対処と、酸素が足りなくなったサインの見分け方は、別の記事でくわしく扱っています。同じつまずきを繰り返さないためにも、先に読んでおくと安心かなと思います。気になる方は入れすぎて白く濁ったときの対処をまとめた記事をのぞいてみてください。
メダカ用バクテリア剤の形と選び方

メダカ用として売られているバクテリア剤は、大きく液体、沈めるブロック、底床という形に分かれます。どれが優れているという話ではなく、形が違えば引き受ける役割が違う、と考えるのが選びやすいです。液体は足りない時に足すもの、ブロックは住処ごと沈めておくもの、底床は容器そのものに住処を作り込むもの、という具合です。石や流木は製品ではありませんが、同じ役割を持つ素材としていっしょに並べておきます。
選ぶときに見てほしいのは、その製品が何を分解すると書かれているかという点です。フンや残餌といった有機物の汚れを分解すると書かれているのか、アンモニアや亜硝酸の無害化まで挙げているのかで、引き受ける仕事の範囲が変わります。まずは形ごとの違いを表で見比べてから、順に説明していきますね。なお、液体タイプを製品単位で細かく比べる話は、当ブログの別記事が担当しています。
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| 製品の形 | メーカーが挙げている働き | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 液体タイプ (テトラ バクテリア/ジェックス コロラインオフバクテリア) |
汚れの分解。カルキ抜きと兼用になっている製品もある | 立ち上げ直後、大量の水換えのあと |
| 沈めるブロックタイプ (テトラ 水リサイクルブロック メダカ用/ジェックス ベストバイオブロック メダカ鉢用・メダカケース用) |
汚れの分解に加え、アンモニアや亜硝酸の無害化を挙げる製品もある。ブロック自体が住処になる | ろ過器を置けない鉢・ケース・ビオトープ |
| 底床タイプ (テトラ メダカの天然ソイル) |
汚れの吸着と、バクテリアの定着 | 容器を立ち上げるとき、底床を敷き直すとき |
| 石や流木 (製品ではなく素材) |
表面の凹凸が住処になる | フィルターを置けない容器の補助 |
液体タイプは足りない時に足す
液体タイプは、常に入れ続けるものというより、減ったときに足すものだと考えると扱いやすくなります。テトラはバクテリア添加剤を使う場面として、水槽を立ち上げた直後と、大量に水換えを行ってバクテリアの量が激減してしまったときを挙げています。つまり、水が落ち着いているあいだは出番が少ない製品ということですね。
テトラ バクテリアに含まれるバチルス菌は、水槽内に入れると休眠状態から目覚め、排泄物や枯れた水草などを分解するとされています。バチルス菌は納豆菌の仲間で、休眠した状態で製品に入っていて、水に入ると目覚めるという説明のされ方をします。パッケージの「休眠」という言葉は、そういう意味だと読めば分かりやすいです。
カルキ抜きと一体になった製品もあります。ジェックスのコロラインオフバクテリアは、カルキ(塩素)の除去と同時にバクテリアが汚れを分解するというつくりで、水換え時や立ち上げ時に不足しがちなバクテリアを足せるため、水の早期安定に役立つとされています。水換えのたびに少量ずつ、という運用と相性がいい形ですね。
ただ、液体タイプだけで完結させようとすると、話がむずかしくなります。入れた菌が落ち着く先、つまり住処が容器にないと、定着しないまま水といっしょに流れていきますからね。フィルターのある室内水槽なら、ろ材が受け皿になってくれるので、液体タイプは扱いやすい選択肢です。鉢やケースでは、住処を足せる形と組み合わせるほうが理屈に合います。
液体タイプについては、効果が出るまでの日数や、思ったように効かないときの原因、使用量の考え方まで、当ブログの別の記事で深掘りしています。この記事で扱いきれない細かい部分は、そちらに預けてありますので、あわせてどうぞ。くわしくは液体タイプの製品を掘り下げた記事をご覧ください。
液体タイプで、カルキ抜きと一体になっているのがこちらです。水換えのたびに使う道具と兼ねられるので、足し忘れが起きにくいという利点があります。使用量は製品の表示に合わせてください。
沈めておくブロックタイプ

メダカの容器といちばん相性がいいのが、この沈めておくブロックタイプです。理由はシンプルで、菌と住処を同時に足せるからですね。ろ過器を置けない鉢やケースでは、ここが効いてきます。水の中に沈めておくだけなので、電源もいりませんし、レイアウトの邪魔にもなりにくい形です。
テトラの水リサイクルブロック メダカ用は、休眠状態のバクテリアを海藻由来の成分でゲル状にして封入し、ブロック内に定着させることで効果を持続させる、という作りです。汚れの元を分解するだけでなく、分解の過程で発生する有害物質(アンモニア、亜硝酸、硝酸)も分解・除去するとしていて、有害物質を除去することで長期間水換えを減らせる、と説明されています。
有害物質の除去に必要な栄養やミネラルも配合され、実験は第三者機関で行っていると明記されています(出典:テトラ 水リサイクルブロック メダカ用)。内容量は通常が2個、徳用が5個です。交換については、効果は長期間持続するものの、ブロックの目詰まりなどで効果が減少するため、1年を目安に交換するよう案内されています。
ジェックスのベストバイオブロックは、多孔質材にバクテリアが棲む基材を練り込んだ独自製法の製品です。複数の納豆菌群(バチルス菌)を国内で培養し、独自の技術で休眠させたうえで、天然素材にバクテリアと栄養をいっしょに活着させ、相性のよい軽石と混ぜて固めてあります。この多孔質素材そのものもバクテリアの棲家になる、というのがポイントですね(出典:ジェックス株式会社)。
同社は公式ブログで、基材ごとブロックに封入したものは、液体バクテリアに漬けて乾燥させたものと比べて安定性が高く効果も長持ちする、と説明しています。ただしこれは同社が自社の製品どうしを比べた話(当社比)であって、他社のブロックや液体タイプと比べたものではありません。同じ公式ブログでは、水槽内のフンや汚れを分解し続ける期間として約1年間を挙げていて、メダカ鉢用の製品ページのほうでは、鉢などろ過器を使わず水流の無い環境でもバクテリアの活性が一年間続くとされ、ドーナツ型で鉢の底の中央に収まる形だと案内されています。
メダカケース用は、フィルターを使用できない屋外のメダカケースでもしっかり働くとされていて、有機物の汚れ、つまりフンや残餌の分解だけでなく、魚に有害なアンモニアや亜硝酸の無害化まで挙げています。同じブロックという形でも、鉢向けとケース向けで想定している置き場所が違うので、手持ちの容器に合うほうを選んでください。
ろ過器を置けない鉢やビオトープで候補になるのが、このタイプです。ドーナツ型で鉢の底の中央に収まる形で、メーカーは水流の無い環境でも活性が一年間続くとしています。サイズと使用量の目安は製品ページで確かめてから選んでくださいね。
同じブロックでも、こちらはメダカ用として内容量2個で売られているものです。効果は長期間続くとされる一方、目詰まりなどで落ちるため1年を目安に交換がすすめられています。入れっぱなしにせず、交換の時期を決めておくのがよいでしょう。
底床そのものを住処にする
容器をこれから立ち上げるなら、剤を足すより先に底床を決めるほうが効きます。テトラは、底砂に使う砂利やソイルの小さな凹凸にバクテリアが定着して増えると説明していて、底砂を敷くこと自体がバクテリアを定着させる方法だという位置づけです。底面積のぶんだけ住処が広がる、と考えると分かりやすいですね。
バクテリアの定着を意識して作られた底床もあります。テトラ メダカの天然ソイルは、天然黒ぼく土が汚れを吸着し、バクテリアの動きが活性化するフミン酸ペレットを含む、と説明されています。フミン酸は、落ち葉などが微生物に分解されて土のなかにできる、酸性の有機成分を指す言葉です。難しい名前ですが、パッケージでは「バクテリアが動きやすくなる成分」という文脈で出てくると覚えておけば、じゅうぶんかなと思います。
底床タイプの良さは、容器の底全体が住処になることです。ブロックのように置き場所を選ぶ必要がなく、水草を植える土台にもなります。ただ、あとから入れ替えるのは大がかりになりますし、掃除のしかたによっては定着した菌をまとめて減らしてしまうこともあります。だからこそ、立ち上げの段階で決めておきたい部分なんですね。
すでに飼っている容器で底床を替えたいときは、まとめて全部を入れ替えないほうが無難です。定着した菌は物のほうに付いていますから、底床をごっそり替えると、その分の住処ごと失うことになります。掃除も同じ発想で、日をずらして少しずつ進めるほうが水は荒れにくいです。
石や流木も、底床と同じ役割を持つ素材です。表面の凹凸の内側がバクテリアの居場所になりますから、底砂を厚く敷きたくない容器では、こぶし大の石を置くだけでも面が増えます。製品を買い足さなくてもできる工夫なので、迷ったらここから試してみるのもいいと思いますよ。
容器をこれから立ち上げるなら、底床でバクテリアの住処を先につくる手もあります。この製品は天然黒ぼく土が汚れを吸着し、バクテリアの動きが活性化するフミン酸ペレットを含む、と説明されています。底床を替えるときは一度に全部を入れ替えず、少しずつ進めてください。
何を分解する製品なのかを見る

同じ「バクテリア」と書かれていても、引き受けている仕事は同じではありません。フンや残餌といった有機物の汚れを分解するという話と、アンモニアや亜硝酸を無害化するという話は、別のことを指しています。パッケージのどちらが書かれているかで、その製品が引き受ける範囲が変わってきます。
たとえばテトラ バクテリアのバチルス菌は、排泄物や枯れた水草などを分解する、という説明です。対してジェックスのベストバイオブロック メダカケース用は、有機物の汚れの分解に加えて、魚に有害なアンモニア・亜硝酸の無害化まで挙げています。テトラの水リサイクルブロック メダカ用も、分解時に発生する有害物質の分解・除去を挙げている製品です。
どちらが上ということではありません。汚れそのものを減らしたいのか、魚に効いてくる有害物質のほうを抑えたいのか、目的が違うだけです。立ち上げ直後や過密ぎみの容器なら後者の記載がある製品、残餌が沈みやすい容器なら前者、というふうに、自分の容器で困っていることから逆算すると選びやすくなります。
棚には、並んでいても目的が違うものがあります。PSB(ピーエスビー)と呼ばれる光合成細菌の製品です。名前が似た棚に並ぶので同じ枠で比べたくなりますが、ここまで話してきたろ過バクテリアとは役割が異なりますので、当ブログでは別の記事で扱います。この記事では、名前だけ触れておきますね。
製品を選ぶときの確認先について。
現行モデルや成分、使用量の表記は変更されることがあります。購入前にメーカーの製品ページと製品表示を確認してください。パッケージに書かれた対象(メダカ用か、鉢用か、ケース用か)と、容器の大きさに対する使用量の記載は、とくに見ておきたいところです。
メダカの容器別に見るバクテリア剤の使いどころ
ここまでの話を、実際の容器に当てはめていきます。室内の水槽、屋外の鉢やビオトープ、そして稚魚の繁殖ケースでは、バクテリアの住処になる場所が違いますし、汚れの出方も違います。だから、同じ製品をどの容器にも同じように使う、という考え方はあまり噛み合いません。はじめに、自分の容器がどれにいちばん近いかを決めてから、使いどころを考えていきましょう。
季節の影響も無視できません。屋外で飼っていると水温は大きく動きますし、ろ過バクテリアは水温の影響を受ける生き物です。足せば足すだけ働いてくれるわけではない以上、働きにくい時期には、足すことよりも汚れを出しにくくすることのほうが効いてきます。この章では、容器の違いと季節の違いを順に埋めていきます。容器別の特徴を表にまとめましたので、まずはご自身の環境にいちばん近い行から読んでみてください。
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| 容器のタイプ | バクテリアの主な住処 | バクテリア剤の使いどころ |
|---|---|---|
| 室内水槽(フィルターあり) | ろ材が主役。底砂やソイル、石や流木の表面も住処になる | 立ち上げ直後と、大量に水換えをしたあと。ろ材を掃除・交換した直後 |
| 屋外の鉢・トロ舟・ビオトープ | ろ過器を置けないため、底床・石・水草の表面が住処 | 立ち上げのとき。液体を足すよりブロックや底床で住処ごと足す |
| 稚魚の繁殖ケース | フィルターを置きにくく、底砂や沈めたブロックが住処 | 立ち上げのときと、餌が増えて汚れやすい時期 |
室内水槽は立ち上げと水換えの後
フィルターのある室内水槽では、バクテリア剤の出番は立ち上げと水換えの後に集中します。ろ材という住処がすでにあるので、そこが育ってしまえば、日常的に足し続ける必要は薄いんですね。立ち上げでは、水槽をセッティングしてから水を回す期間として、テトラは1〜2週間という目安を挙げています。そのうえでパイロットフィッシュを入れて運用することで、ろ過バクテリアが自然に発生して増えていく、という流れです。
パイロットフィッシュというのは、立ち上げ初期に先に入れて、餌やフンでバクテリアの餌になる汚れを供給してもらう魚のことです。言い換えると、水だけを回していても、バクテリアが増えるための材料がないということでもあります。立ち上げ直後に液体タイプを足すのは、この期間の頼りなさを埋める使い方になります。
水換えのあとも出番です。テトラは、一度に大量に換えると急な水質変化でメダカが体調を崩すため、こまめに3分の1ほどを替えるのが目安だとしています。当ブログで扱っている通常の水換えの目安(4分の1から3分の1ほど)とも重なる範囲ですね。それでも大量に換えざるを得なかったときは、バクテリアの量が激減しますから、足す意味が出てきます。水換えそのものを減らすためではなく、減ってしまった分を補うための使い方です。
見落とされやすいのが、ろ過器の掃除のタイミングです。テトラは、ろ材に定着したバクテリアはろ材を交換したり清掃したりすると数が激減するとして、水槽の掃除とろ過器の掃除・ろ材交換は日をずらすよう案内しています。同じ日にまとめてやってしまうと、住処と菌をまとめて減らすことになりますからね。掃除の直後は、液体タイプを足す価値がいちばん分かりやすく出る場面でもあります。
足したバクテリアが定着したかどうかは、水の見た目だけでは分かりにくいものです。試薬でアンモニアや亜硝酸を測る、立ち上がりの匂いを見るなど、確かめ方にもいろいろな切り口があります。そのあたりは、定着したかどうかを確かめる方法をまとめた記事で整理していますので、そちらをどうぞ。
屋外の鉢とビオトープ
屋外の鉢やトロ舟、ビオトープでは、ろ過器を置けないぶん、住処を自分で用意する発想が前に出ます。住処になるのは、底床と石、それに水草の表面です。テトラが屋外飼育やボトル飼育で小さな流木や石を入れるよう案内しているのも、この理屈からですね。液体を足すこと自体が悪いわけではありませんが、受け皿がないところに注いでも、定着しにくいのは同じです。
だから屋外では、ブロックタイプや底床で住処ごと足すほうが理屈に合います。ジェックスのベストバイオブロック メダカ鉢用が、ろ過器を使わず水流の無い環境を想定してドーナツ型に作られているのは、まさに鉢のための形です。屋外のメダカケースを想定した製品もあり、フィルターを使用できない環境で働くことを前提に作られています。
使用量の考え方も、屋外では気になるところです。ジェックスは、使用量が多いほど分解効果は高くなるとしつつ、多く使う場合は水質の変化に留意するよう案内しています。屋外の容器は水量が読みにくく、雨で増えたり蒸発で減ったりしますから、表示の範囲の中で控えめに始めて、様子を見ながら決めるほうが安心です。
鉢やビオトープは、水草や底床が育ってくると、こちらが何かを足さなくても落ち着いていくことがあります。住処が増え、汚れを分解する流れが回り始めるからですね。逆に、水換えで底の泥ごと洗ってしまったり、水草をまとめて刈り込んだりすると、その分だけ住処が減ります。剤を足すかどうかは、その前後で考えると判断しやすいですよ。
屋外の容器は、立ち上げの順番でその後の落ち着き方がかなり変わります。底床を敷いて、水を張って、水草を入れて、生体はいちばん最後。この順番の話は、ビオトープを立ち上げる順番を扱った記事にまとめてありますので、これから作る方はそちらから読んでみてください。
水温が下がる季節の考え方
水温が下がる季節は、バクテリア剤を足しても期待どおりには働きにくくなります。テトラは、ろ過バクテリアの活動が活発になる水温として26℃前後を挙げています。これはメダカにとっての適水温の話ではなく、あくまでバクテリア側の条件として示されている目安です。屋外で冬を越すメダカの容器は、この条件から大きく外れていきますよね。
低水温で活動が鈍るという話は、先ほどの好気性という性質とセットで押さえておくといいと思います。つまり冬の容器は、菌を足しても増えにくいし、働きも鈍いという状態です。ここで量を足して押し切ろうとしても、水質が変わるほうが先に来てしまいます。冬は、足す季節ではないと考えたほうが気が楽です。
冬に効くのは、足すことよりも負荷を下げることです。水温が下がればメダカの活性も落ちて餌を食べる量が減りますから、餌を控えめにするだけで、汚れの発生そのものが減ります。分解してもらう量を減らす、という方向ですね。落ち葉や枯れた水草を取り除いておくのも、同じ効き方をします。
春先の扱いも押さえておきたいところです。水温が上がってメダカが動き始めると餌の量が増え、汚れも増えますが、バクテリアの側がすぐ元どおりに働くとはかぎりません。このズレが出る時期は、住処を足したり、表示の範囲で剤を使ったりする意味が出てきます。季節の変わり目こそ、水の様子をよく見ておきたいですね。
季節ごとの水温そのものの管理は、メダカの側の話として別にまとめてあります。何度くらいが適水温なのか、冬はどう越すのかといった話ですね。気になる方は、季節ごとの水温管理を扱った記事もあわせて読んでみてください。
メダカのバクテリア剤に関するよくある質問(FAQ)
魚病薬を使った容器でも、ブロックはそのまま入れておけますか?
ジェックスは、魚病薬を使った場合、ブロック表面のバクテリアは死亡している可能性が高いとしています。ただ、真水に1〜2日漬け置きして薬を抜けば、ブロックの内部から増えてくるとも案内しています。薬を使うあいだの扱いは製品ごとに違いますので、取扱説明書の記載を確認してから判断してください。
ブロックはどれくらいで交換すればいいですか?
製品ごとに表記が違いますので、手元の製品の説明に合わせるのが基本です。テトラの水リサイクルブロック メダカ用は、効果は長期間持続するものの、ブロックの目詰まりなどで効果が減少するとして、1年を目安に交換をすすめています。ジェックスのベストバイオブロックは、水槽内のフンや汚れを分解し続ける期間を約1年間としています。
グリーンウォーター(青水)の容器にも使えますか?
使えるかどうかは製品の表示によりますので、ここでは断定しません。ここで切り分けておきたいのは、青水の緑色をつくっているのは植物プランクトンで、この記事で扱ってきたろ過バクテリアとは別のものだということです。青水を維持したいのか、汚れの分解を助けたいのか、目的を分けて考えると迷いにくくなりますよ。
バクテリア剤を入れたら、すぐメダカを入れていいですか?
製品の表示に従うのが基本です。そのうえで、立ち上げ直後は水を回す期間が必要だとメーカーも書いていて、テトラはセッティングから1〜2週間という期間を挙げています。剤を入れたからその日のうちに満員にできる、という読み方はしないほうが安全です。数を少なめに始めて、水の様子を見ながら増やしていくほうが、メダカにとっても負担が軽くなります。
まとめ|メダカにバクテリア剤が要る場面
最後に、この記事の要点を整理しておきます。メダカにバクテリア剤が要る場面は、容器と時期でかなりはっきり分かれます。大きく言えば、立ち上げのとき、大量に水換えをしたあと、ろ材や底床を掃除した直後、そしてろ過器を置けない容器で住処ごと足したいとき。この場面から外れているときは、足さないという判断もりっぱな選択です。水が落ち着いているなら、そのまま見守るほうがいいこともありますからね。
そして、メダカで先に見るべきなのは製品名ではなく、容器にバクテリアの住処があるかどうかでした。底床、石や流木、ろ材。この面がどれだけあるかで、足した菌が定着できるかが変わります。順番を「住処 → 形 → 何を分解するか → 容器と季節」と置き直すだけで、棚の前での迷い方がずいぶん減るはずです。選ぶ順番が決まっていれば、パッケージの言葉にも振り回されにくくなりますよ。
形の違いも、あらためておさらいしておきます。液体は減った分を足すもの、沈めるブロックは菌と住処を同時に足せるもの、底床は容器そのものを住処にするもの。石や流木は製品ではありませんが、同じ働きをする素材として数えられます。どれが優れているという話ではなく、あなたの容器に足りていないものがどれなのか、という見方で選んでみてください。
そして、その製品が何を分解すると書いているかを確かめる。有機物の汚れの分解だけを挙げているのか、アンモニアや亜硝酸の無害化まで挙げているのかで、引き受ける範囲が違いました。容器と季節も忘れずに。水温が下がる時期は足しても働きにくいので、餌や枯れ葉を減らして負荷そのものを下げるほうが、結果としてうまくいきます。
迷ったときの順番
住処があるか(底床・石・ろ材)→ 形で選ぶ(液体・ブロック・底床)→ 何を分解すると書かれているか → 容器と季節。この順で見ていくと、同じ棚の前でも判断が早くなります。足すかどうかを決める前に、まず自分の容器を見てみてくださいね。
製品の情報は更新されますし、成分や使用量の表記が変わることもあります。正確な情報は公式サイトをご確認いただき、迷ったときは販売店やメーカーに問い合わせて、最終的な判断はご自身で行ってくださいね。あなたのメダカが、落ち着いた水の中で気持ちよく泳いでくれますように。

