メチレンブルーは販売中止になった?品薄の経緯と今出ている2製品・代わりの薬の選び方
金魚やメダカに白い点を見つけて、メチレンブルーを買いに行ったのに棚に無い。ネットで調べたら「販売中止」「生産終了」という言葉が出てきて、不安になった方もいると思います。なぜ販売中止と言われているのか、その理由はいつからなのか、販売再開はしたのか。今どこで売ってるのか、代わりになる薬や代用できるものはあるのか。気になることが一気に出てきますよね。
先に結論をお伝えすると、メチレンブルーは今も発売元の公式ページに載っていて、販売中止の案内も出ていません。2020年ごろには発売元の日本動物薬品(ニチドウ)の魚の薬で長い欠品が続きましたが、その後、製造を別の会社へ移して生産体制を整え、2021年2月から順次納品が始まっています。今は日本動物薬品とキョーリンの2つの製品が、動物用医薬品として国の承認を受けています。
この記事では、日本動物薬品が2021年3月に出したお知らせと、農林水産省の動物用医薬品等データベースに載っている承認の記録を突き合わせて、販売中止のうわさが広がった理由を年表にまとめました。後半では、店頭に無いときの確かめ方と、メチレンブルーを成分に含むほかの魚の薬の量を計算した一覧も載せています。メダカの卵のカビ対策や白点病の治療で急いでいる方も、まずは落ち着いて読んでみてくださいね。
- メチレンブルーが販売中止と言われるようになった理由と2020〜2021年の経緯
- 今承認され公式ページに載っているニチドウとキョーリンの2製品の違い
- 店頭や通販で見つからないときに確かめたいこと
- メチレンブルーを含むほかの魚病薬の成分と量の比べ方
メチレンブルーが販売中止と言われる理由と本当の経緯
この章では、メチレンブルーが「販売中止になった」と言われるようになった理由を、発売元のお知らせと国の承認記録から順にたどります。うわさの出どころと、実際に起きたことを分けて見ていくと、今の状況がすっきり分かるはずです。
最初にメチレンブルーがどんな位置づけの薬なのかを確かめ、次に2020年の品薄、2021年の販売再開、キョーリンの製品、価格や容量の変化、そしてネットで語られている原料不足やコロナの影響の話がどこまで確かなのかを見ていきます。章の途中には、承認記録とお知らせを日付順に並べた年表も載せているので、全体の流れをつかみたい方はそこから読んでもかまいません。
メチレンブルーは今も販売されている動物用医薬品

結論から言うと、2026年10月時点でメチレンブルーの観賞魚用の製品は、発売元の公式ページに載っていて、国の承認も続いています。販売を終えたという案内も見当たりません。ただし、お店ごとの在庫までは分からないので、ここで言えるのは「薬そのものは今も売られている」というところまでです。
観賞魚用のメチレンブルーは、ふつうの飼育用品ではなく「動物用医薬品」です。動物用医薬品とは、つまり魚を含む動物の病気の治療などに使うことを国に認められた薬のこと。製品ごとに、どの病気に使えるか(効能効果)と、どれだけの量をどう使うか(用法用量)が決められています。
農林水産省の動物医薬品検査所が公開している「動物用医薬品等データベース」で品名に「メチレン」を含む製品を検索すると、出てくるのは次の2つでした(2026年10月18日に確認)。
- メチレンブルー水溶液(製造販売業者:アダプトゲン製薬、発売元:日本動物薬品)
- 観賞魚用メチレンブルー液(製造販売業者:リケンベッツファーマ、発売元:キョーリン)
どちらも効能効果は観賞魚の白点病、尾ぐされ症状、水カビ病の治療です。日本動物薬品の公式ページには200mlの製品が、キョーリンの公式ページには60mlと250mlの製品が掲載されています。どちらのページにも、販売を終えたという案内はありませんでした。
つまり「メチレンブルーという薬そのものが売られなくなった」わけではありません。お店の棚に無いときは、そのお店の仕入れや在庫で差が出ている可能性もあります。ただ、店頭から一時的に消えた時期が実際にあったのも本当で、日本動物薬品自身もその後のお知らせを「販売再開」と題しています。その時期の記憶が今もうわさとして残っています。次の見出しで、その時期に何があったのかを見ていきます。
なお、データベースの承認記録には、日本動物薬品の製品は1973年、キョーリンの製品は1976年が最初の承認年月日として載っています。どちらも長く使われてきた薬で、新しく出た薬が急に消えた、という話ではないんですね。
販売中止のうわさが広がった2020年の品薄
うわさの始まりは、2020年ごろの品薄です。この時期、日本動物薬品の魚の薬が長いあいだ店に届かない状態が続きました。
日本動物薬品は2021年3月のお知らせの冒頭で、観賞魚用の魚病薬について長期間にわたって欠品や納期の遅れがあったことをおわびしています。どの品目がいつから欠品していたのかまでは書かれていませんが、同じお知らせで製造を移した品目として、メチレンブルー水溶液のほかグリーンFやグリーンFリキッド、アグテンといった同じ会社の薬がまとめて挙がっています。
ネット上の質問サイトを見ると、2020年8月の時点で、メダカの卵用にメチレンブルーを探したが手ごろな値段のものが見つからない、生産中止になっているらしい、という書き込みがあります。回答には、新型コロナの影響だ、原料がうまく入荷していないらしい、といった声が寄せられていました。こうした書き込みは個人の見聞で、公式の説明ではありませんが、少なくとも2020年の夏には、買えない、生産中止らしい、と受け止める書き込みがあったことが分かります。
この書き込みが、メダカの卵に使うために探していたという内容だったことも目を引きます。卵や稚魚の世話が増える季節に棚から消えれば、「もう売っていないのかも」と感じるのは自然なことかなと思います。
ここで押さえておきたいのは、品薄と販売中止は別物だということ。発売元が「この製品の販売を終えます」と案内したわけではなく、届くまでに長い時間がかかっていた、というのが公式のお知らせから読み取れる事実です。私の見立てでは、「長く店に無い」という状態が、いつの間にか「販売中止」という言葉に置き換わって広まったのだと思います。
製造販売元の移管と2021年の販売再開

長い欠品のあと、日本動物薬品は製造を担う会社を切り替えて生産体制を整えました。2021年3月のお知らせ「動物用医薬品(観賞魚用)の販売再開について」で、その中身を説明しています。
お知らせによると、日本動物薬品が販売する動物用医薬品の一部について、三栄製薬株式会社からアダプトゲン製薬株式会社へ製造を移管しました。新しい製造元で生産体制を整え、2月から順次納品を始めた、とあります。対象として挙がっているのは次の品目です。
- グリーンF、ニューグリーンF、グリーンFリキッド、グリーンFクリアー
- メチレンブルー水溶液
- アグテンパウダー、アグテン
- グリーンFゴールド、グリーンFゴールドリキッド、観パラD、リフイッシュ、パラキソリンF
同じお知らせには、すべての品目の生産準備が整うまで、もうしばらく時間がかかるとも書かれていました。2月に一斉に納品が戻ったのではなく、品目ごとに少しずつ戻っていったと考えられます。メチレンブルー水溶液がいつ納品されるようになったのかは、お知らせには書かれていません。
この移管は、国の承認記録とも一致します。動物用医薬品等データベースの備考欄には、メチレンブルー水溶液の承認が2020年11月1日付で三栄製薬からアダプトゲン製薬へ承継されたと記録されています。承継とは、つまり製品の承認を持つ会社(製造販売業者)が別の会社へ引き継がれることです。グリーンFは2020年10月1日付、ニューグリーンFは2020年9月1日付、グリーンFリキッドは2020年11月1日付で、同じく三栄製薬からアダプトゲン製薬へ承継されています。
| 時期 | 出来事 | 確かめた資料 |
|---|---|---|
| 1973年4月 | メチレンブルー水溶液の最初の承認 | 動物用医薬品等データベース |
| 1976年8月 | 観賞魚用メチレンブルー液の最初の承認 | 動物用医薬品等データベース |
| 2019年12月 | 観賞魚用メチレンブルー液の承認が津路薬品工業からリケンベッツファーマへ承継 | 動物用医薬品等データベース |
| 2020年8月 | 質問サイトに「生産中止になっているらしい」という書き込み | 質問サイト(個人の投稿) |
| 2020年9〜11月 | ニューグリーンF・グリーンF・グリーンFリキッド・メチレンブルー水溶液の承認が三栄製薬からアダプトゲン製薬へ承継 | 動物用医薬品等データベース |
| 2021年2月 | 新しい製造元の製品の納品が順次始まる | 日本動物薬品のお知らせ(2021年3月) |
| 2021年3月 | 販売再開のお知らせ(価格の変更と一部容量の終売も案内) | 日本動物薬品のお知らせ |
| 2022年12月 | キョーリンの新商品一覧に観賞魚用メチレンブルー液が掲載 | キョーリン公式サイト |
| 2026年1月 | キョーリンの新商品一覧に観賞魚用メチレンブルー液が再び掲載(公式ページでは60mlにNEWの表示) | キョーリン公式サイト |
こうして並べると、承認の承継(2020年秋)と販売再開のお知らせ(2021年3月)が一本の流れでつながっているのが分かります。お知らせの原文は日本動物薬品のPDF(出典:日本動物薬品「動物用医薬品(観賞魚用)の販売再開について」)で読めます。
なお、製造の移管がなぜ必要になったのか、欠品が具体的にいつ始まったのかは、お知らせにも承認記録にも書かれていません。ここは分からないまま残る部分として受け止めておくのが誠実かなと思います。
キョーリンの参入と今出回っている2製品の違い
今メチレンブルーを買うなら、選択肢はニチドウの「メチレンブルー水溶液」と、キョーリンの「観賞魚用メチレンブルー液」の2つです。用法用量の割合は同じでも、中身の濃さや容量が違うので、手元の製品を確かめてから使います。
キョーリンの新商品一覧には、観賞魚用メチレンブルー液が2022年12月発売の商品として載っています。承認そのものは1976年からある製品で、データベースによると2019年12月に承認が津路薬品工業からリケンベッツファーマへ引き継がれています。キョーリンの製品ページでは、製造業者としてリケンベッツファーマ株式会社の名前が書かれています。
2社の製品を表示の範囲で並べると、次のとおりです。
| 項目 | メチレンブルー水溶液 | 観賞魚用メチレンブルー液 |
|---|---|---|
| 発売元 | 日本動物薬品(ニチドウ) | キョーリン |
| 製造販売業者 | アダプトゲン製薬 | リケンベッツファーマ |
| 公式ページの容量 | 200ml | 60ml・250ml |
| 公式ページの価格 | 表示なし | 60ml 2,057円・250ml 2,728円(税込) |
| 有効成分の量 | 100ml中 メチレンブルー0.82g | 180mL中 メチレンブルー1g |
| 10mlあたりのメチレンブルー | 約82mg | 約56mg |
| 用法用量 | 10mlを水約40〜80Lの割合 | 10mLを水約40〜80Lの割合(短時間反復薬浴は10mLを水3〜4L) |
| 対象魚の表示 | 観賞魚(古代魚・大型ナマズ類・海水魚には使わない) | 観賞魚(金魚、錦鯉、淡水性熱帯魚) |
※10mlあたりの量は、表示の成分量から計算した目安です。価格は2026年10月18日にキョーリン公式ページで確かめた表示で、実際の売値は店ごとに違います。
見落としやすいのが、有効成分の濃さの違いです。同じ「10mlを水約40〜80L」でも、溶けるメチレンブルーの量はニチドウのほうが約1.5倍多い計算になります。製品を替えたときに前の製品の感覚で量を決めないよう、説明書の数字をその都度確かめてくださいね。
対象魚の書き方も違います。ニチドウは観賞魚であっても古代魚(アロワナ等)、大型ナマズ類、海水魚には使わないよう書いています。キョーリンは金魚、錦鯉、淡水性熱帯魚以外の魚や動物には使わないことと定めています。グッピーのような熱帯魚に使う場面での表示の読み方は、グッピーの白点病とメチレンブルーの表示の確かめ方でくわしく整理しています。
価格の変更と一部容量の終売で前と違って見える理由
販売が再開してからも、「前と違う」「見かけなくなった」と感じた方がいたかもしれません。その理由の一つと考えられるのが、再開のときに案内された価格と容量の変更です。
日本動物薬品は2021年3月のお知らせの最後で、販売再開にあたって製品価格を変更し、一部の容量を終売にすると書いています。これは対象の12品目全体についての案内で、どの品目のどの容量が終わったのか、メチレンブルー水溶液の容量が変わったのかまでは書かれていません。今の公式ページに載っているメチレンブルー水溶液は200mlの1サイズで、JANコード(商品のバーコードの番号)は4975677045615です。
ここから考えられるのは、「前に買っていた容量が棚に無い」「値札が前と違う」という体験が、「前の商品は販売中止になった」という受け止め方につながった可能性です。終売になった容量があるなら、その容量に限れば販売は終わっています。ただ、それは薬そのものが無くなったという意味ではありません。この区別をしておくと、検索結果に並ぶ情報を読むときに迷いにくくなります。
キョーリンの製品でも、容量の構成は変わっています。データベースの承認記録では、包装の単位として50mL、100mL、150mL、200mL、250mL、1Lのポリ容器と、60mLの褐色ガラス瓶が認められています。一方、2026年10月18日時点のキョーリンの製品ページに載っているのは60mlと250mlで、60mlにはNEWの表示がありました。承認で認められている容量と、実際に売られている容量は同じではない、ということですね。
通販サイトでは、今の公式ページに無い容量や、古い表記のままの商品ページを見かけることがあります。それ自体がおかしいとは限りませんが、購入前に「発売元」「容量」「動物用医薬品の表示」を見ておくと安心です。具体的な確かめ方は、後半の章でまとめます。
原料不足やコロナ説はどこまで確かか
メチレンブルーの販売中止の理由として、ネットでは「原料不足」「コロナの影響」といった説が語られています。結論から言うと、公式の資料で確かめられるのは「長い欠品があった」「製造を別の会社へ移した」「2021年2月から順次納品した」という3点までです。
原料不足やコロナの影響という説は、2020年8月や2023年5月の質問サイトの回答に見られます。コロナのころは原材料を入手できなかっただけ、一時的に原料が手に入らなかったと聞いた、といった内容ですが、どれも個人の見聞として書かれたもので、出どころは示されていません。日本動物薬品のお知らせにも、原料や感染症の話は出てきません。
「何かの規制で売れなくなったのでは」と心配になる方もいるかもしれませんが、そうした規制を示す資料は見つかりませんでした。2026年10月の時点でも2つの製品の承認が続いていて、効能効果も白点病、尾ぐされ症状、水カビ病の治療のままです。
販売中止の理由として確かめられたこと・確かめられなかったこと
- 確かめられた:日本動物薬品の魚病薬で長期間の欠品・納期遅延があった(2021年3月のお知らせ)
- 確かめられた:製造を三栄製薬からアダプトゲン製薬へ移管し、2月から順次納品を始めた(同)
- 確かめられた:再開にあたり、対象品目の価格の変更と一部容量の終売が案内された(同)
- 確かめられなかった:欠品の原因(原料不足・コロナの影響などは公式の資料に記載なし)
もちろん、原料の調達が難しかった可能性まで否定できるわけではありません。ただ、記事や書き込みの中で「理由は○○」と言い切っているものは、根拠がどこにあるのかを一度見ておくのがおすすめです。正確な情報は公式サイトをご確認ください。気になる点があれば、発売元に問い合わせるのがいちばん確実ですよ。
メチレンブルーが販売中止と思ったときの買い方と代わりの薬
ここからは、「店にメチレンブルーが無い」「販売中止かもしれない」と感じたときに、実際にどう動けばよいかを整理します。薬は今も承認されているので、まずは手に入れる道を探し、それでも急ぐ場合に代わりの薬を表示で比べる、という順番がおすすめです。
確かめたい3つのこと、通販やホームセンターで探すときの注意、メチレンブルーを含むほかの魚の薬の成分と量、代わりの薬を選ぶときに見る表示の項目の順に見ていきます。白点病や水カビ病で魚が弱っているときほど急ぎたくなりますが、薬を選び間違えると、水草や同居の魚にまで影響が出ることがあります。だからこそ、手を動かす前に確かめる順番を決めておきましょう。
店頭にないときに確かめたい3つのこと

お店にメチレンブルーが無かったときは、あわてて別のものを買う前に、次の3つを確かめてみてください。たいていは、この3つで、どこでどの製品を買えばよいかが見えてきます。
製品名と発売元を確かめる
今承認されている観賞魚用のメチレンブルーは、ニチドウの「メチレンブルー水溶液」と、キョーリンの「観賞魚用メチレンブルー液」の2つです。お店で尋ねるときは、「メチレンブルー」だけでなく製品名か発売元まで伝えると、取り寄せの相談がスムーズになります。
片方が無くても、もう片方なら置いているお店もあります。2つの製品は有効成分の濃さが違うので、買ったほうの説明書の量に従うことだけは忘れないでください。対象魚の書き方も2社で違うので、メダカなど飼っている魚が対象に入るかも、あわせて表示で確かめておきましょう。
うっかり表示より多く入れてしまったときは、何倍になったかを計算してから水換えで薄めます。その手順は、表示の濃さに戻すまでに換える水の量を計算する解説で紹介しています。
国の承認が続いているかを確かめる
「販売中止」という情報を見て不安なときは、農林水産省の動物医薬品検査所の動物用医薬品等データベースで、品名に「メチレン」と入れて検索してみるのがおすすめです。製品ごとに承認年月日、製造販売業者、成分、用法用量、使用上の注意まで載っています。
承認の記録があるかどうかは、販売が続いているかどうかとイコールではありません。それでも、うわさが本当かどうかを自分で確かめる最初の手がかりにはなりますし、説明書をなくしたときに用法用量を見直す場所としても役に立ちます。
買える場所を発売元の案内で確かめる
日本動物薬品は製品ページで、お近くのアクアリウムショップ、アクアを扱うペットショップ、量販店の中のペットショップ(アクア取扱店)、またはオンラインショップで買うよう案内しています。キョーリンは公式サイトで、一般のお客様への直接販売はしていないと書いています。
つまり、メーカーから直接買うのではなく、お店を通して買う仕組みです。近くのお店に無いときは、取り寄せができるかを店員さんに聞いてみると、意外と早く手に入ることがありますよ。100円ショップで探している方は、メチレンブルーがダイソーで買えるか確かめた記事も参考にしてみてください。
通販やホームセンターで探すときの注意
通販サイトやホームセンターで探すときは、動物用医薬品の観賞魚用製品かどうかと、発売元や容量が今の製品と合っているかを見るのが基本です。名前が似ていても、魚の治療に使ってよい製品とは限りません。
まず知っておきたいのが、動物用医薬品は売るほうにも決まりがあることです。東海農政局の案内によると、動物用医薬品等の製造・輸入・販売・修理などを行うには、医薬品医療機器等法(正式な名前は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)にもとづく許可または登録が必要です。売る側にこうした決まりがあることも、扱うお店とそうでないお店が分かれる理由の一つかなと思います。ホームセンターで探すなら、ペット売場やアクア売場があるお店に当たってみるとよいでしょう。
通販で選ぶときは、次の点を商品ページで見てみてください。
- 商品名や説明に「動物用医薬品」と書かれているか
- 発売元がニチドウ(日本動物薬品)かキョーリンか
- 容量が公式ページの容量(ニチドウ200ml、キョーリン60ml・250ml)と合っているか
- JANコードが書かれていれば、公式ページの番号と同じか
JANコードは、ニチドウの200mlが4975677045615、キョーリンの60mlが4971618-943002、250mlが4971618-943019です(各社の公式ページの表示)。商品ページにJANコードが載っていれば、照らし合わせるだけで今の製品かどうかの目安になります。
通販で探すなら、今の公式ページに載っている2つの製品を基準にするのがおすすめです。価格や在庫、容量の表記はショップごとに違うので、購入前に各ショップの商品ページで発売元と動物用医薬品の表示を確かめてくださいね。
試薬のメチレンブルーは魚の薬の代わりにしない
実験用の試薬として売られているメチレンブルーは、動物用医薬品等データベースに載っている観賞魚用の承認製品ではありません。濃さや純度の考え方も、魚の薬浴を前提にしたものではないので、魚には観賞魚用の製品を説明書の用法・用量どおりに使ってください。
品薄の時期には、手ごろな値段のものが見つからないという声もありました。急いでいるときほど高い値段の出品に飛びつきたくなりますが、店頭での取り寄せや、ほかの販売店の在庫を確かめてからでも遅くないことが多いかなと思います。価格は店ごとに変わるので、表示の金額はあくまで一般的な目安として見てください。
メチレンブルーを含む魚病薬7製品の成分と量
どうしてもメチレンブルーが手に入らないとき、候補に挙がりやすいのが、メチレンブルーを成分に含むほかの魚病薬です。ただし、同じメチレンブルーが入っていても、ほかの成分や対象魚、効能が製品ごとに違うので、「メチレンブルーの代わりにそのまま使える」わけではありません。
動物用医薬品等データベースで主成分に「メチレン」を含む製品を検索すると11件が出てきて、そのうちメチレンブルーを含む観賞魚用の7製品を表示どおりに並べました(残りの4件は、成分の名前に「メチレン」の文字が入った畜舎や器具の消毒薬で、メチレンブルーではありません)。右の列は、表示の成分量と用法用量から「薬浴の水1Lあたりにメチレンブルーが何mg入るか」を計算した目安です。
| 製品(製造販売業者) | メチレンブルー以外の主成分 | 対象魚の表示 | 表示の用法用量 | 水1Lあたりのメチレンブルー(計算の目安) |
|---|---|---|---|---|
| メチレンブルー水溶液(アダプトゲン製薬) | なし | 観賞魚(古代魚・大型ナマズ類・海水魚は不可) | 10mLを水約40〜80L | 約1.0〜2.1mg |
| 観賞魚用メチレンブルー液(リケンベッツファーマ) | なし | 観賞魚(金魚、錦鯉、淡水性熱帯魚) | 10mLを水約40〜80L | 約0.7〜1.4mg |
| グリーンF(アダプトゲン製薬) | ニトロフラゾン | 観賞魚(古代魚・大型ナマズ類は不可) | 水30〜40Lあたり5g | 約1.3〜1.7mg |
| グリーンFリキッド(アダプトゲン製薬) | アクリノール水和物 | 観賞魚(古代魚・大型ナマズ類・海水魚は不可) | 5mLを水6〜7.5L | 約1.0〜1.3mg |
| ニューグリーンF(アダプトゲン製薬) | クロルヘキシジン塩酸塩、アクリノール水和物 | 観賞魚(古代魚・大型ナマズ類・海水魚は不可) | 水約50Lに5g | 約1.0mg |
| 観賞魚用トロピカルゴールド(リケンベッツファーマ) | トリクロルホン、アクリノール | 観賞魚(金魚、錦鯉) | 0.4gを水20L | 約1.0mg |
| 魚病薬 サンエース(リケンベッツファーマ) | スルファジメトキシンナトリウム、アクリノール水和物 | 観賞魚(ピラニア・キャット類は避ける) | 水50Lに1日目15mL・2日目15mL・3日目20mL | 1日目と2日目の量で各約0.6mg・3日目の量で約0.8mg |
※動物用医薬品等データベースの承認内容(2026年10月18日に確認)から計算した一般的な目安です。計算はメチレンブルーの分だけで、ほかの成分の量や効き方は含んでいません。観賞魚用メチレンブルー液の短時間反復薬浴(10mLを水3〜4L)は濃さが大きく違う別の使い方なので、この計算には入れていません。また、この表は承認の記録をもとにしたもので、それぞれの製品が今お店で売られているかまでは確かめていません。
計算のしかたも書いておきますね。たとえばグリーンFリキッドは100mL中にメチレンブルーが0.15g入っているので、5mLには0.0075g、つまり7.5mgが入っています。これを水6〜7.5Lに溶かすと、1Lあたり約1.0〜1.3mgです。メチレンブルー水溶液なら、10mL中の約82mgを水40〜80Lに溶かすので、1Lあたり約1.0〜2.1mgになります。
こうして並べると、メチレンブルーを含む薬は1つではないことが分かります。ただ、メチレンブルーの量だけをそろえて見ても、それは比べるための材料にすぎません。私が大事だと思うのは、ここからが代わりの薬を選ぶときの本題だという点です。
表のとおり、メチレンブルー水溶液と観賞魚用メチレンブルー液以外の5製品には、ニトロフラゾンやアクリノール、トリクロルホン、スルファジメトキシンナトリウムといった別の成分も入っています。対象魚も、トロピカルゴールドは金魚と錦鯉だけです。メチレンブルーの量が近いからといって、同じように使えるわけではありません。量の計算はあくまで比べるための目安で、実際に使う量は必ずその製品の表示に従ってください。
代わりの薬を選ぶときに表示で見る項目

メチレンブルーの代わりに別の薬を使うかどうかは、「治したい病気が効能に入っているか」「飼っている魚が対象に入っているか」「水槽の中のものと合うか」の3つを表示で確かめてから決めます。薬の名前や評判より、表示が先です。
効能効果に治したい病気が入っているか
メチレンブルーの2製品の効能は、白点病、尾ぐされ症状、水カビ病の治療です。代わりの薬を選ぶときも、まずこの3つのうち治したい病気が効能効果に書かれているかを見ます。グリーンFリキッドやトロピカルゴールドは外傷、グリーンFやサンエースは細菌性感染症も効能に入っていて、使える範囲が少しずつ違います。
そもそもの病気の見当がついていないときは、薬を選ぶ前に症状から候補を絞るほうが先です。メダカの場合は、メダカの病気一覧と薬を選ぶ前の確認で、初期サインからの見分け方をまとめています。
飼っている魚が対象に入っているか
次に、対象魚の書き方を確かめます。ニチドウの薬の多くは「観賞魚」と書いたうえで、古代魚(アロワナ等)や大型ナマズ類には使わないよう定めています。メチレンブルー水溶液やグリーンFリキッド、ニューグリーンFでは、海水魚も使わない魚として挙げられています。
リケンベッツファーマの製品では、観賞魚用メチレンブルー液が金魚、錦鯉、淡水性熱帯魚、トロピカルゴールドが金魚と錦鯉を対象にしています。サンエースは、淡水性熱帯魚であってもピラニアやキャット類は薬品にたいへん弱いので使用を避けるよう書いています。熱帯魚を飼っている方は、ここを特にていねいに読んでください。
水槽の中のものと合うか
表示には、魚以外のものについての注意も書かれています。メチレンブルーの2製品をはじめ、グリーンF、グリーンFリキッド、ニューグリーンF、サンエースの表示は、水草(製品によっては藻も)を薬液に入れないよう定めています。メチレンブルー水溶液、グリーンF、グリーンFリキッド、ニューグリーンFは、ろ材に活性炭やゼオライトなどを使っている場合は取り除いて使うよう書いています。観賞魚用メチレンブルー液とサンエースは、使用中にろ過器を使うと効果が下がるので、薬浴中はエアーを使うよう定めています。
もう一つ大切なのが、ほかの薬と混ぜないことです。メチレンブルーの2製品、グリーンFリキッド、サンエースの表示には、ほかの薬品を加えて使わないよう書かれています。グリーンFとニューグリーンFは、ほかの薬品や水質安定剤との併用を避けるよう書いています(トロピカルゴールドは、データベースの使用上の注意の欄が空欄でした)。「メチレンブルーが少ししか無いから、別の薬と合わせて使おう」という使い方はしないでください。
代わりの薬を選ぶときのチェックポイント
- 効能効果に、治したい病気(白点病・尾ぐされ症状・水カビ病など)が入っているか
- 対象魚に、飼っている魚が入っているか(使わない魚の書き方も見る)
- 水草・藻・活性炭など、外すものが書かれていないか
- ほかの薬と混ぜない・量は製品ごとの表示に従う
どの薬にするか迷ったときは、飼っている魚の種類と症状を伝えて、購入するお店の店員さんや発売元に相談するのがいちばん確実です。最終的な判断は専門家にご相談ください。
メチレンブルーの販売中止についてよくある質問
品薄のときに備えて、メチレンブルーを買い置きしておいてもいいですか?
買い置きそのものを禁じる記載はありませんが、保管の条件は表示で決められています。ニチドウとキョーリンはどちらも、小児の手の届かないところに置き、直射日光や高温多湿を避けて保管するよう書いています。また2社とも、薬の色に異常が見られたら使わないこととしています。長く置いた製品は、使う前に液の色と表示を確かめてください。
薬浴に使ったメチレンブルーの水は、どう捨てればいいですか?
ニチドウのメチレンブルー水溶液の表示には、本剤は水草や藻に対する毒性があるので、薬浴後の液を捨てるときは環境や水系を汚染しないよう注意し、地方公共団体の条例等に従って処分するよう書かれています。キョーリンの製品の表示も同じ趣旨です。捨て方は、お住まいの自治体の案内を確かめてから判断してください。
メチレンブルーを使うと、水槽やチューブに色が残りますか?
残ることがあります。ニチドウは、水槽内のシリコン部やエアーチューブなどが着色されると表示しています。キョーリンも、使用後に水槽のコーナー部分やアクセサリー類に液色が残ることがあるとしています。ニチドウの表示には衣服やカーペットなどに付くと濃い青の色素が落ちないとも書かれているので、作業のときは周りを汚さない工夫をしておくと安心です。
メチレンブルーを使うとき、手袋は必要ですか?
キョーリンの観賞魚用メチレンブルー液の表示には、使用する際は防護メガネ、マスク、手袋等を着用し、眼や皮膚に付かないよう注意することと書かれています。ニチドウも、眼に入った場合は直ちに水でよく洗い流して医師の診察を受けること、皮膚や服に付いたら速やかに多量の水で洗うことを案内しています。
メチレンブルーの販売中止の理由と今できることのまとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- メチレンブルーは販売中止になっていない。2026年10月時点でニチドウとキョーリンの2製品が動物用医薬品として承認され、公式ページにも掲載されている
- 販売中止のうわさの理由は、2020年ごろに日本動物薬品の魚病薬で長期間の欠品・納期遅延が続いたこと
- 日本動物薬品は製造を三栄製薬からアダプトゲン製薬へ移し、2021年2月から順次納品。再開にあたり価格の変更と一部容量の終売があった
- 原料不足・コロナの影響・規制という説は、公式の資料では確かめられない
- 2製品は有効成分の濃さが違う(10mlあたり約82mgと約56mg)。量は手元の製品の表示に従う
- 店に無いときは、製品名と発売元を伝えて取り寄せを相談し、データベースで承認を確かめる
- メチレンブルーを含むほかの薬は、効能・対象魚・水槽の中のもの・併用の可否を表示で確かめてから選ぶ
「販売中止」という言葉を見ると焦ってしまいますが、事実を一つずつたどれば、今は落ち着いて手に入れられる薬だと分かります。この記事の数値は、承認内容と各社の表示から計算した一般的な目安です。正確な情報は公式サイトをご確認ください。どの薬を使うか迷うときや、魚の様子が良くならないときは、最終的な判断は専門家にご相談ください。購入したアクアリウムショップや発売元の問い合わせ窓口が頼りになりますよ。


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