水槽の水漏れは自分で修理できる?漏れ元の見分け方とシリコン補修・買い替えの判断
水槽の下が濡れている、床にじわっと水たまりができている。そんな場面に出くわすと、本当に焦りますよね。水槽の水漏れの修理方法を調べている方の多くは、シリコンで補修すれば直るのか、それとも買い替えるしかないのか、まずそこで迷うかなと思います。
先に結論を言うと、水漏れの修理はいきなりシリコンを塗るところから始めないのが正解です。最初にやるのは応急処置と、本当に水槽本体から漏れているのかの切り分け。実は、ろ過装置やエアーチューブを伝って水が外へ出る伝い漏れを、水槽からの水漏れと勘違いしているケースも少なくありません。
本体の目地のシリコンからの漏れだと分かった場合でも、保証期間内なのか、ガラスにヒビや割れがないか、水槽の大きさはどうかで、自分で補修してよいかの答えが変わります。補修に使うシリコンやコーキング剤も、防カビ剤の入ったものは水槽には使えないとメーカーが明記しているので、選び方を間違えると生体を危険にさらしかねません。
この記事では、水漏れに気づいた直後の応急処置から、伝い漏れの見分け方、漏れている場所の特定、水槽に使えるシリコンの選び方、内側からの補修の手順、そして修理か買い替えかの判断基準まで、メーカーの公表情報をもとに順番に整理しました。慌てずに、一つずつ確かめていきましょう。
- 水漏れに気づいた直後にやるべき応急処置と水位を下げる量の目安
- 伝い漏れと水槽本体からの水漏れの見分け方
- 水槽に使えるシリコンと使えないシリコンの違い
- 自分で補修してよいケースと買い替えるべきケースの判断基準
水槽の水漏れを修理する前に確かめたいこと

水槽の水漏れの修理で一番多い失敗は、原因を確かめないまま補修材を買いに走ってしまうことです。水が漏れているように見えても、漏れ元が水槽本体ではなくフィルターやエアーポンプの周りだった、というのはよくある話。その場合、水槽のシリコンをいくら塗り直しても水は止まりません。逆に、本体のガラスにヒビが入っているのにシリコンで埋めて使い続けると、割れて大量の水が出るおそれがあります。この章では、修理に取りかかる前の5つの確認を順番にまとめました。まず被害を広げないための応急処置、次に伝い漏れかどうかの切り分け、漏れている場所の特定、シリコンが劣化する原因、そして最後に保証と修理の関係です。とくに保証は、自分で補修した時点で対象外になるメーカーがあるので、手を動かす前に必ず確かめておきたいところ。原因と条件がはっきりすれば、自分で直すのか、購入店やメーカーに相談するのか、買い替えるのかが自然に決まってきますよ。
水漏れに気づいたら最初にやる応急処置
水漏れに気づいたら、最初にやるのは、漏れている位置より下まで水位を下げることです。水は漏れ口より上にある分しか出ていかないので、水位を下げれば被害の広がりはひとまず止まります。
順番としては、まず水がかかっている電源まわりの安全を確保します。水槽のそばにはヒーターやフィルター、照明のコンセントが集まりやすいですよね。ADAのキューブガーデン使用説明書でも、設置できない場所として家電製品の近くを挙げ、水が掛かると感電する恐れがあると書かれています。濡れた手でプラグや電源タップに触れないでください。電源タップそのものが水をかぶっている場合は、無理に触らず、分電盤のブレーカーを切ってから対処するほうが安全です。
漏れ方によって、次の手順の順番を少し変えます。床まで流れるほど勢いよく漏れているなら、まず水位を下げて被害を止めるのが先。じわっとにじむ程度なら、水位を下げる前に、次の項目の伝い漏れの切り分けと漏れ場所の確認を済ませておくと原因を見つけやすくなります。水位を下げると漏れも止まるので、そのあとでは漏れている場所が分かりにくくなるためです。
次に、床に広がった水をタオルで吸い取り、漏れている面の下に受け皿やバケツ、トレーを置きます。水を抜く前に、ヒーターとフィルターの電源プラグをコンセントから抜いておきます。製品評価技術基盤機構(NITE)は水槽用ヒーターの発火事故の資料で、ヒーターが水面より高い位置にならない水量で使うこと、取り出すときは電源を切ることを呼びかけています。水面が下がってヒーターが水から出たまま通電すると、過熱による発煙・発火につながるおそれがあるためです。そのうえで、ホースやバケツで水槽の水を抜いていきます。抜いた水は捨てずに、きれいなバケツに取っておくと、生体を一時的に避難させるときの水として使えます。
どのくらい水を抜けばよいかは、計算で目安が出せます。水槽の水位を1cm下げるのに必要な量は、幅×奥行×1cmです。たとえば外寸が幅60cm×奥行30cmの水槽なら、60×30×1=1,800cm³で、約1.8Lになります。漏れ口が水面から5cm下にあるなら、少し余裕を見て7cm下げるとして、1.8L×7=約12.6L。バケツ1〜2杯分ですね。実際の内寸はガラスの厚み分だけ小さくなるので、これはあくまで一般的な目安として使ってください。水槽の寸法ごとの水量は、60センチ水槽の水量と重さを寸法別にまとめた早見表も参考になると思います。
漏れ口が底面の近くで、水位を下げきれない場合は、生体を避難させてから水をすべて抜くことになります。魚やエビは、取っておいた飼育水を入れたバケツや予備の容器に移し、エアレーションをしておくと安心です。急な水温の変化を避けるため、避難先の水は水槽の水をそのまま使うのが基本かなと思います。
マンションやアパートの2階以上に住んでいる場合は、階下への水漏れも気にかけてください。床に大量の水が広がったときは、管理会社や大家さんへの連絡を早めにしておくと、その後の対応がスムーズです。日本損害保険協会の損害保険Q&Aでは、個人賠償責任保険の支払い対象の例として、マンションの自宅の風呂場からの水漏れで階下の戸室の家財に損害を与えたケースを挙げています。この保険は火災保険や傷害保険、自動車保険などの特約として契約する場合が多いとされているので、加入しているかどうか、補償の範囲がどうなっているかは、手元の保険証券や保険会社で確認してみてください。水槽からの水漏れが補償されるかは契約内容によって変わるため、最終的な判断は保険会社に相談してください。
ここまでできれば、ひとまず被害は広がりにくくなります。焦って補修材を塗るより、まずは水位を下げて落ち着いて原因を探す。これが一番の近道ですよ。
伝い漏れと本体からの水漏れの見分け方

水槽の水漏れを疑ったら、次に「伝い漏れ」ではないかを確かめます。伝い漏れなら、水槽本体の修理は必要ありません。
GEXの解説記事によると、伝い漏れとは「ろ過装置、エアーポンプのチューブなどから伝わった水槽の水が水槽ガラスの表面を伝って水槽の外に漏れる現象です。」とされています。しかも、水槽の後ろの面や側面から漏れ出すことが多いため気づきにくく、水槽からの水漏れと思われやすいと説明されています。
同じ記事では、伝い漏れの原因として次の3つが挙げられています。
- ほこりなどが付着し、毛細管現象で水が吸い上げられた場合
- ろ過装置の吐出口がずれて水を吐き出してしまった場合
- エアーポンプの泡が水面で弾け、ガラスフタやエアーチューブを伝う場合
毛細管現象というのは、つまり細いすき間や繊維が水を吸い上げる現象のことです。洗面器の水にタオルの端を浸して外に垂らしておくと、タオルが水を吸い上げて外にこぼれてしまう、あれと同じ仕組みですね。フタの縁にたまったほこりや、外に垂れたチューブが、同じ働きをしてしまうことがあります。
見分け方もGEXの記事に載っています。フィルターやエアーポンプを一度止めて、しばらく様子を見て水漏れが収まれば伝い漏れの可能性が高い、とのこと。また、水槽の後面や側面のガラスを触ってみて、濡れている感じがあれば伝い漏れの可能性が高いとされています。
この確認は、水位を下げる前(にじむ程度の漏れのとき)に行うのがポイントです。止める前に水槽の外側とその下の台を一度きれいに拭いて乾かしておくと、どこから新しく濡れてくるかが分かりやすくなります。器具を止めている間は、ろ過やエアレーションが止まっているので、生体のためにも長く止めすぎないようにしてください。
伝い漏れだった場合の対処は、器具の設置を直すことです。GEXの水槽製品の注意ページでも、上部フィルター、外掛け式フィルター、外部式フィルターの接続や設置方法が正しくないと、器具から水が伝い漏れることがあると案内しています。吐出口の向き、フタの上にたまった水、外に垂れたチューブの位置を一つずつ見直してみてください。あわせて、エアポンプは水槽の水面より高い位置に置くよう同じページで案内されています。停電などで止まったときに水が逆流することがあるためです。
漏れている場所を特定する確かめ方
伝い漏れではなさそうなら、水槽本体のどこから漏れているのかを特定します。修理の方法は漏れている場所で決まるので、ここを曖昧にしないことが大切です。
まず、水槽の外側をすべて乾いたタオルで拭き、乾いた状態にします。すでに水位を下げて漏れが止まっている場合は、受け皿を置いたまま、漏れていた高さの少し上まで水位をゆっくり戻すと、出口を見つけやすくなります。次に、ティッシュペーパーやキッチンペーパーを各面の目地(ガラスどうしの継ぎ目)に沿って軽く当てていきます。濡れてくる場所があれば、そこが漏れの出口です。底面の継ぎ目からの漏れは、水槽台の上にキッチンペーパーを敷いて、どこから染みてくるかを見ると分かりやすいですよ。
出口が分かったら、その位置の内側の目地を見ます。漏れの出口と、内側の傷みのある場所は、必ずしも同じ高さとは限りません。目地の中を水が回り込んで、少し離れた位置から出てくることもあるためです。内側のシリコンに次のような変化がないか、目と指で確かめてみてください。
- シリコンがガラスから浮いている、すき間がある
- シリコンに切れ目や欠けがある
- 目地の一部だけ白っぽく変色している
なお、シリコンの中に小さな気泡が見えても、それだけで心配する必要はないかもしれません。ADAのキューブガーデン使用説明書には、使用前の確認の項目の中に「シリコンの中の気泡は、強度上問題ありません。」と書かれています。気泡があることと、漏れていることは別の話として切り分けてください。
一方で、ガラスそのものにヒビや割れが見つかった場合は、話が変わります。GEXの水槽製品の注意ページでは「割れたガラス水槽は絶対に使用しないでください。」と案内しています。また、移動中に水槽枠をぶつけた場合は、枠の内部でガラスにヒビが入っていることがあるので使用しないように、とも書かれています。枠つきの水槽で枠の付近から漏れている場合は、枠の中のガラスの状態まで疑ったほうが安全です。
漏れの出口がフィルターのホースの接続部や、外部式フィルターの本体だった場合も、水槽の修理ではなく器具側の対処になります。器具側の直し方は、次の章で詳しく取り上げますね。
シリコンが劣化して水漏れが起きる原因
水槽本体からの水漏れで多いのは、ガラスどうしを接合しているシリコンの劣化や剥がれです。修理しても同じ原因が残っていれば再発するので、何がシリコンを傷めるのかを知っておきましょう。
ADAのキューブガーデン使用説明書は、シリコンの剥離による水漏れでも保証の対象外になる使い方を挙げていて、これがそのまま、シリコンを傷める条件の一覧になっています。整理すると、次のとおりです。
- 水槽台がわずかでも歪んだり傾いたりしている
- 水を抜いて乾燥させた期間がある
- 直射日光が当たる場所や屋外に置いた
- 薬品を入れた、または水質が極端に変化した
- 温度や湿度の変化が大きい場所で使った
水槽台の歪みについては、同じ説明書に、長期間にわたって接合部に負荷が掛かりシリコンが剥離することがある、と書かれています。設置したときは水平でも、長く使ううちに床が沈んで台が傾くこともあるそうです。水漏れの修理をする前に、水準器で水槽台の水平を確かめておくと、再発の予防になります。家具やカラーボックスを水槽台の代わりにしている場合は、ホームセンターの棚を水槽台に使うときの耐荷重と接地面の考え方もあわせて見直してみてください。
乾燥については、「湿潤と乾燥を繰り返すとシリコンの劣化が早まる」と説明されています。しばらく使っていなかった水槽を久しぶりに立ち上げたら漏れた、というのは、この条件に当てはまる典型例かなと思います。
薬品については、とくにシリコンを着色するような染色系の薬品を使うと、シリコンが硬化して剥離しやすくなると書かれています。英語の記載ではマラカイトグリーンが例に挙がっています。病気の治療で薬を使う場合は、水槽ではなく別の容器で薬浴する方法も検討するとよいかもしれません。
掃除のしかたも関係します。同じ説明書では、水槽を洗剤で洗ったり、有機溶剤を付けて拭いたりしないこと(シリコンが劣化する恐れ)、アクリル製の三角定規や金属製のスクレーパーなどで接合部のシリコンに傷を付けないこと、が注意点として挙げられています。コケ取りのときにスクレーパーを目地に当てる癖がある方は、少し気をつけてみてください。
ここで挙げたのはADAの説明書の内容で、ほかのメーカーの水槽で同じ条件が書かれているとは限りません。ただ、シリコンで接合したガラス水槽という作りは共通しているので、設置環境を見直すときのチェックリストとしては役に立つと思います。
水槽台の傾きを確かめる水準器が手元に無い場合は、ホームセンターや通販で手に入ります。水槽の幅に近い長さのものだと、台の天板の傾きを一度に見やすいですよ。すでに水平器のアプリなどで確かめられる方は、新しく買う必要はありません。
保証期間と修理の扱いを先に確認する
水槽本体からの水漏れだと分かったら、補修に手をつける前に、保証期間と保証規定を確認してください。自分で修理した時点で、保証が受けられなくなるメーカーがあるからです。
たとえばADAのキューブガーデンは、接合部のシリコンの強度に関して、水槽の購入日から3年間の品質保証を行っています。対象になるのは、説明書に従って正しく使っていたにもかかわらず、シリコンが剥離して水漏れが発生した場合に限られ、代品交換などの補償を行うものとされています。一方で、ガラスの割れによる水漏れは補償の対象外です。
ADAの保証規定では、保証が適用されない場合の一つとして「水槽の修理、加工(改造)を施した場合」が挙げられています。ほかにも、専用の水槽台を併用していること、保証書に購入店名と購入日の記入があることなどが条件になっています(出典:ADA キューブガーデン使用説明書)。
つまり、保証期間内の水槽を自分でシリコン補修してしまうと、本来なら代品交換などを受けられたはずの水漏れでも、補償を受けられなくなる可能性があるということです。保証期間内かもしれないと思ったら、補修する前に購入店かメーカーのサポート窓口に連絡して、状況を伝えて指示を仰ぐのが順番です。
連絡するときは、保証書、購入日が分かるもの、漏れている場所の写真があると話が早く進みます。漏れの出口と、内側の目地の様子を両方撮っておくとよいですよ。
保証の期間や条件はメーカーや製品ごとに違います。ここで紹介したのはADAのキューブガーデンの例で、ほかの水槽にそのまま当てはまるわけではありません。手元の水槽の保証書や取扱説明書を見て、正確な情報はメーカーの公式サイトや窓口でご確認ください。
また、GEXの水槽製品の注意ページでも、事故につながる場合があるので、商品の不当な修理や改造をして使用しないよう案内されています。保証期間が過ぎていても、補修して使い続けるかどうかは、メーカーの案内を読んだうえで自分で判断することになります。
水槽の水漏れ修理の方法と、自分で直すか買い替えるかの判断
原因と保証の状況が確認できたら、いよいよ水槽の水漏れの修理方法を選ぶ段階です。ここで大切なのは、すべての水漏れが自分で直せるわけではないと最初に知っておくこと。ガラスのヒビや割れ、傷のある水槽は、メーカーがそもそも使わないよう案内しています。一方で、フィルターのホースの差し込み不足のように、部品の付け直しだけで直る水漏れもあります。この章では、まず漏れている場所と症状ごとに、応急処置・自分で補修できるか・相談先を一つの表にまとめました。そのうえで、水槽に使えるシリコンと使えないシリコンの違いを、補修材メーカーが公表している情報で比べています。シリコンで内側から補修する手順、補修したあと生体を戻すまでの確認、器具側の水漏れの直し方も順に解説するので、自分の水槽がどのケースに当たるかを確かめながら読み進めてみてください。迷ったときは、安全側に倒して判断するのが基本ですよ。
自分で補修できるケースと買い替えるべきケース

自分で補修を考えてよいのは、保証期間が過ぎていて、ガラスにヒビや割れ、傷がなく、内側の目地のシリコンの一部が傷んで漏れているケースに限られる、というのが私の考えです。それ以外は、器具の付け直しで済むか、購入店・メーカーへの相談、または買い替えになります。
漏れている場所と症状ごとに、ここまでの内容を整理したのが次の表です。メーカーの案内を、この記事で一つの判断表にまとめたもので、メーカー自身がこの表を出しているわけではありません。
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| 漏れている場所・症状 | まずやること | 自分で直せるか | 相談先・その後 |
|---|---|---|---|
| 器具を止めると収まる・後面や側面のガラスが濡れている(伝い漏れの可能性が高い) | 吐出口・フタ・チューブの位置を見直す | 器具の設置を直して様子を見る | 止まれば水槽本体の修理は不要(GEXの解説) |
| 外部式フィルターのホースの接続部・排水口 | フィルターを止めて接続を確かめる | ホースの付け直しで直る場合がある | 部品のヒビは部品交換(エーハイムのFAQ) |
| 目地のシリコンからのにじみ(保証期間内) | 水位を下げて写真を撮る | 補修しない(補修すると保証外になる例がある) | 購入店・メーカーの窓口(ADAの保証規定) |
| 目地のシリコンの一部からのにじみ(保証期間外・ガラスに異常なし) | 水を抜き、生体を避難させる | 水槽用と案内されたシリコンで内側から補修する選択肢がある(自己責任。ADAは劣化・剥離した状態での使用を、GEXは不当な修理をして使うことを避けるよう案内しており、水槽メーカーの想定の外) | 不安なら買い替え |
| 目地のシリコンが広い範囲で浮いている・剥がれている | 水を抜き、生体を避難させる | 家庭での部分補修の範囲を超える(記事の整理) | 買い替えを優先(ADAは劣化・剥離した状態で使わないよう案内) |
| ガラスにヒビ・割れ・傷がある、枠をぶつけた | 水を抜き、割れたガラスでけがをしないよう注意 | 補修しない | 使用をやめて買い替え(GEXの注意ページ) |
表の中で一番迷いやすいのが、保証期間外で目地の一部から漏れているケースかなと思います。セメダインはバスコークN「透明」を飼育用水槽の製作・補修に使えると案内していて、補修そのものを否定しているわけではありません。ただし、ADAの使用説明書には「接合部のシリコンが劣化したり剥離した状態では、絶対に使用しないでください。」という一文があります。部分的に補修して使い続けるのは、水槽メーカーの想定の外で使うことだと理解しておいてください。
そのうえで判断するときに考えたいのが、漏れたときの被害の大きさです。水量の多い水槽ほど、補修がうまくいかなかったときに床や階下に出る水の量も増えます。小さな水槽で、置き場所が床に水が出ても対処しやすい場所なら補修を試す余地はありますが、大きな水槽や、リビングの床、マンションの上階に置いている水槽なら、買い替えを選ぶほうが安心だと思います。
目地のシリコンが広い範囲で浮いている・剥がれている場合は、内側から部分的にシリコンを足しても、元の強さに戻らない可能性があります(水槽メーカーの資料にある話ではなく、この記事の整理です)。家庭での補修では手に負えない状態と考えて、無理をせず買い替えを選んでください。最終的な判断は、購入店やメーカーにご相談ください。
水槽に使えるシリコンと使えないシリコン
水槽の修理に使えるシリコンは、防カビ剤の入っていない、水槽への使用が案内されている製品だけです。今回調べたセメダインとコニシの資料では、防カビ剤入りの製品は水槽に使えないとされています。
補修材メーカーの公表情報を並べると、次のようになります。
→ 横にスクロールできます
| 製品 | 防カビ剤 | 水槽への使用(メーカーの案内) |
|---|---|---|
| セメダイン バスコークN 透明 | 含まない | 飼育用水槽の製作・補修に使える。完全硬化後(1〜2日)に水を繰り返し入れ替えて、充分にアク抜きを行ってから魚を移す |
| セメダイン バスコークN 黒 | 含まない | 水槽の製作・補修に指定されているのは「透明」だけ(黒は水槽用として案内されていない) |
| セメダイン バスコークN 白・アイボリー・アルミ・灰 | 含む(透明・黒以外) | 生物を入れる容器には使用できない |
| コニシ ボンド シリコンコーク〈防カビ剤入り〉 | 含む | 魚類などの飼育用水槽や飲料用水槽には使用できない |
セメダインの製品ページでは、バスコークNについて「※透明・黒色は防カビ剤を含みません」と書かれています。そのうえで、生物を入れる容器には使用できないとしたうえで、飼育用水槽の製作・補修には防カビ剤の入っていないバスコークN「透明」を使うよう案内しています(出典:セメダイン バスコークN 製品ページ)。黒も防カビ剤は含まないとされていますが、「生物を入れる容器には使用できません」という注意書きの例外として水槽用に挙げられているのは透明だけです。水槽の補修に使うのは透明にしてください。
コニシの「ボンド シリコンコーク〈防カビ剤入り〉」の製品資料には、「防カビ剤入りのため、魚類などの飼育用水槽や飲料用水槽には使用できません。」と明記されています。見た目は同じようなチューブでも、防カビ剤が入っているかどうかで水槽に使えるかが決まる、ということですね。
水槽に使えると案内されている製品でも、生体への安全が保証されているわけではありません。セメダインのQ&Aでは、いずれも化学品であり生き物に良いわけではないので、施工後は完全硬化をよく確認し、数回水を入れ替えるなどアクとりを充分行い、生き物への悪影響がないことを確認してから使うよう案内しています。あわせて、万一生き物に何らかの被害が発生しても補償できない、とも書かれています。
もう一つ注意したいのが、ほかの充てん材との組み合わせです。セメダインの製品ページには、変色の恐れがあるので本品を他の充てん材と併用しないように、という注意があります。この注意と、使い方の最初にある「古いシーリング材などを完全に落とし」という手順を合わせると、補修する場所の古いシリコンを取り除いてから充てんする使い方が想定されていると読めます。
海外の水槽用シリコンなど、ここで挙げた以外の製品を使う場合も、パッケージやメーカーの公式情報で、防カビ剤の有無と水槽への使用の可否を確かめてから選んでください。製品の仕様は改良などで変わることがあるので、購入の前に最新の情報を公式サイトでご確認ください。
自分で補修すると決めた方向けに、セメダインが飼育用水槽の補修に使えると案内しているバスコークN「透明」を載せておきます。保証期間内の水槽や、ガラスにヒビ・割れがある水槽には使わないでください。色を選べる出品では「透明」かどうか、価格や在庫も購入前に各ショップで確認してくださいね。
シリコンで内側から補修する手順
シリコンでの補修は、水を抜いて乾かした水槽の内側から、傷んだ目地の古いシリコンを取り除き、新しいシリコンを充てんして十分に硬化させる、という流れで行います。今回調べた範囲では、水槽メーカーが家庭での補修の手順を公表しているものは見当たりませんでした。ここでは、セメダインがバスコークNの使い方として公表している手順に、水槽ならではの準備を加えて整理しています(水槽の準備の部分はこの記事の整理です)。
1.水を抜いて生体を避難させる
補修する目地が水面より上に出るまで、多くの場合はすべての水を抜きます。魚やエビ、水草は飼育水を入れた別の容器へ移し、エアレーションをしておきます。底砂やレイアウトの石が補修する目地にかかっている場合は、取り出しておくと作業しやすくなります。
硬化を待つ時間、アク抜き、漏れのテストまで含めると、作業全体は数日以上かかると見ておいてください。その間、生体は避難先の容器で過ごすことになるので、水温が下がる季節は保温を考え、水が汚れてきたら飼育水の一部を入れ替えるなど、いつもより気にかけてあげてくださいね。
2.古いシリコンと汚れを取り除き、よく乾かす
セメダインの手順の最初は、補修箇所の水アカなどの汚れ・油・サビ・古いシーリング材などを完全に落とし、よく乾燥させることです。水槽の場合は、漏れている部分の内側の目地(コーナーに盛られているシリコン)を、カッターなどで削り取っていきます。このとき、刃先でガラス面に傷を付けないよう十分に注意してください。GEXの水槽製品の注意ページは、ガラスは傷が付くと割れやすくなるとして、傷がついた水槽は使わないよう案内しています。また、ガラスとガラスの合わせ目の奥まで刃を入れると、補修の範囲を超えて傷めるおそれがあります(この記事の整理)。
汚れを落とすときは、ADAの使用説明書にある、洗剤や有機溶剤でシリコンを傷めないという注意も思い出しておきたいところです。削りかすやコケは乾いた布やキッチンペーパーで拭き取り、水アカが残る場合は水で落としてから、時間をかけて完全に乾かします。早く乾かしたいからといってお湯を注ぐのも避けてください。同じ説明書は、40℃以上の熱湯を水槽に入れないよう求めていて、温度の急変でガラスが割れる恐れがあるとしています。乾燥が不十分だと、新しいシリコンがガラスにしっかり付きません。
3.マスキングテープを貼る
周囲のはみ出しを防ぐため、補修箇所の両側にマスキングテープを貼ります。水槽の内側は目立つ場所なので、テープをまっすぐ貼っておくと仕上がりがきれいになりますよ。
4.すき間の奥までしっかり充てんする
付属のノズルをすき間より少し太めにカットしてチューブに取り付け、チューブしぼり器を使って、ノズルを押し付けるようにして奥までしっかり充てんします。途中で途切れさせず、目地に沿って一定の速さで動かすのがコツです。
5.表面を平らにならし、24時間以上置く
付属のヘラで表面を平らにならした後、マスキングテープをはがし、そのまま24時間以上放置します。セメダインのQ&Aによると、硬化時間は湿度・温度で変わり、表面が皮を張った状態になっても奥の方は未硬化なので、最低でも24時間以上は触れないようにとされています。製品ページには、低温下(5℃以下)では硬化に時間がかかるという注意もあります。冬場に暖房のない部屋で作業する場合は、時間を長めに見ておいてください。
作業中は、製品の注意事項にあるとおり、火気のある場所では使わず、使用時と使用後しばらくは換気をよくしてください。手順や注意事項の正確な内容は、使う製品のパッケージと公式サイトでご確認ください。
補修した目地は、ほかの目地より新しい分だけ見た目で区別がつきます。数か月後に同じ場所を見返して、浮きや剥がれが出ていないかを確かめる目印にすると便利ですよ。
補修後に生体を戻すまでの確認

補修が終わっても、すぐに生体を戻さないでください。完全に硬化したことを確かめ、アク抜きをして、水を張った状態で漏れないことを確認してから戻すのが順番です。
セメダインの製品ページでは、バスコークN「透明」を飼育水槽に使った場合、完全硬化後(1〜2日)に、水を繰り返し入れ替えて、充分にアク抜きを行ってから魚を移すよう案内しています。この1〜2日はメーカーの目安で、厚く充てんした場合や気温が低いときは硬化に時間がかかることがあります。24時間たったからといってすぐに水を張らないようにしてください。
アク抜きは、つまり水を入れ替えて、硬化後に水へ出てくるおそれのある成分を取り除く作業と考えられます。セメダインは時間や回数の数値までは示していないので、水を張って置き、捨てて新しい水に替えることを繰り返します。完全に硬化したかの確かめ方や、アク抜きの進め方で迷うときは、セメダインのお客様向けの相談窓口に確認すると安心です。
アク抜きと同時に、漏れのテストもしておきましょう。水を張るときは、水槽を水に濡れても困らない場所に置くのが理想です。移動させる場合は、GEXの注意ページにあるとおり、水や砂を取り出して完全に空にしてから、底面部を持って運んでください。GEXの水槽製品の注意ページでも、水を張る前の確認として、水に濡れてもよい場所で水を張り、ガラスの割れやヒビがないか確認するよう案内しています。元の水槽台の上でテストする場合は、台の上にキッチンペーパーを敷いておくと、わずかなにじみも見つけやすくなります。
テストの水は、一気に満水にするのではなく、半分ほど入れて様子を見てから満水にすると、もし漏れても被害を小さくできます。補修した目地の外側を中心に、ティッシュを当てて濡れてこないかを確かめてください。満水にしてから少なくとも丸1日ほど様子を見て、漏れがなければ、ろ過装置やヒーターをセットします。この日数はメーカーの数値ではなく、慎重を期すためのこの記事の目安です。ヒーターは、水に完全に沈んだ状態になってから電源を入れてください。NITEも、ヒーターが水面より高い位置にならない水量で使うよう呼びかけています。
生体を戻すときは、いつもの水合わせと同じように、水温と水質をそろえてから移します。避難させている間にとっておいた飼育水を一部戻すと、水質の急な変化を和らげられます。ろ過装置の中のろ材を乾かさずにおけば、ろ過の働きも早く戻りやすいですよ。
戻したあとも、しばらくは補修した場所を毎日見ておくと安心です。異常がなければ、その後は水換えのついでに目地を確認する習慣をつけておくと、次の水漏れの予防にもつながります。
フィルターやホースからの水漏れの直し方
漏れ元がフィルターやホースだった場合は、水槽の修理ではなく、器具の接続や部品を直すことで水漏れが止まることがあります。慌てて水槽を買い替える前に、まず器具側を確かめてください。
外部式フィルターの排水口からの水漏れについて、エーハイムのFAQでは、原因の一つとしてホースの接続不良を挙げ、ホースはまっすぐ水平にカットし、しっかり奥まで差し込んで、ホースナットで固定するよう案内しています。ホースの切り口が斜めになっていたり、差し込みが浅かったりすると、そこから水が漏れるということですね。同じFAQでは、排水口にヒビが入っている場合は部品(モーターヘッドカバー)の交換が対策とされています。
外部式フィルターの本体のふたまわりから漏れている場合は、掃除のあとにパッキンやOリングが正しい位置に収まっているかも見ておきたいところです。Oリングの扱い方や交換の目安は機種ごとに違うので、取扱説明書の手順を確認してください。具体的な管理の例は、GEXメガパワー9012の掃除手順とパッキン・Oリングの管理でもまとめています。
上部フィルターや外掛け式フィルターの場合は、伝い漏れの原因と重なる部分が多いです。吐出口がずれていないか、フタの縁に水がたまっていないかを確かめてみてください。GEXが挙げる原因には入っていませんが、ろ材の目詰まりで水があふれていないかも、あわせて見ておくと安心です。GEXの解説記事では、伝い漏れを防ぐために、2週間に1度はセットされているエアーポンプやろ過装置、ガラスフタなどをチェックするよう案内しています。
器具の部品にヒビや割れがある場合は、部品の交換か、器具の買い替えになります。メーカーによっては交換部品を単品で扱っていることもあるので、型番を確認して、メーカーの窓口や購入店に問い合わせてみてください。部品の在庫や対応はメーカーごとに異なるため、正確な情報は公式サイトでご確認ください。
器具を直したあとは、水槽本体のときと同じく、外側を乾かしてからしばらく様子を見て、新しく濡れてこないかを確かめておくと安心です。
水槽の水漏れ修理についてよくある質問
水漏れ用の補修テープを外側に貼れば直りますか?
今回調べたメーカーの公表情報の範囲では、補修テープを水槽本体の修理方法として案内しているものは見当たりませんでした。メーカーの資料に記載はなく当サイトの考えですが、水は内側から外へ押し出されるので、外側から貼ったものは、修理というより一時しのぎと考えておくほうが安全です。テープに頼るより、まず水位を漏れ口より下げて、原因を確かめることを優先してください。
アクリル水槽も同じシリコンで修理できますか?
この記事の補修の手順は、ガラス水槽の目地のシリコンを前提にしています。アクリル水槽の補修について、補修材メーカーが水槽向けに案内している情報は今回の調べでは見つかりませんでした。アクリル水槽から漏れている場合は、購入店か水槽のメーカーに相談してください。
ガラス水槽は何年くらいで水漏れしやすくなりますか?
何年で寿命になるという公式な年数は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。ADAのキューブガーデンには3年の品質保証がありますが、これは連続した使用での保証期間で、寿命の年数を示したものではありません。同じ説明書は、水槽台の歪み、乾燥させた期間、直射日光、薬品、温度や湿度の変化がシリコンの劣化を早めるとしているので、年数だけで判断せず、置き場所と使い方もあわせて見直しておくとよいと思います。
水漏れした水槽をそのまま置いておいても大丈夫ですか?
水位を漏れ口より下げていても、そのまま使い続けるのは避けたほうが安心です。ADAの使用説明書には、接合部のシリコンが劣化したり剥離した状態では使用しないよう書かれています。修理か買い替えの方針が決まるまでは、生体は別の容器で管理しておくのが安全かなと思います。
水槽の水漏れ修理で迷ったときのまとめ

水槽の水漏れの修理は、シリコンを塗る前の確認でほとんど決まります。最後に、この記事の内容を順番に振り返っておきますね。
- ヒーター・フィルターのプラグを抜き、水位を漏れ口より下げる
- 器具を止めて収まるなら伝い漏れ=器具の設置を直す
- 保証期間内なら補修せず、購入店・メーカーに相談する
- ガラスのヒビ・割れ・傷があれば使用をやめて買い替える
- 補修するなら防カビ剤の入っていない、水槽用と案内された製品を使う
- 補修後は完全硬化とアク抜き、漏れのテストを済ませてから生体を戻す
自分で補修できるのは、保証期間が過ぎていて、ガラスに異常がなく、目地の一部だけが傷んでいるケースに限られます。その場合でも、水槽メーカーは劣化や剥離のある状態での使用を想定していないので、補修して使い続けるかどうかは、水槽の大きさや置き場所、漏れたときの被害の大きさまで考えて決めてください。少しでも不安が残るなら、買い替えを選ぶのは決して損な判断ではありません。
そして、修理のあとは再発を防ぐことも大切です。水槽台の水平、直射日光、乾燥させる期間、薬品の使い方など、シリコンを傷める条件を一度見直しておくと安心です。地震の揺れで水がこぼれるのが心配な方は、水槽の地震対策と固定のしかたもあわせて確認してみてください。
この記事で紹介した保証や補修材の内容は、各メーカーの公表情報をもとにした一般的な目安です。製品の仕様や保証の条件は変わることがあるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。補修か買い替えかで迷ったときの最終的な判断は、購入店やメーカーなどの専門家にご相談ください。


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