スポンジフィルターは自作できる?材料の選び方と作り方、失敗しない要点
稚魚用の小さな容器や、増やした水槽のぶんだけフィルターをそろえようとすると、スポンジフィルターを自作できないかなと考える方は多いです。水槽のスポンジフィルターを自作するのは、仕組みさえ分かればそれほど難しくありません。ただ、材料の選び方や組み方を間違えると、泡は出ているのに水がほとんど通らない、ということも起きがちです。
この記事では、スポンジフィルターの自作に必要な材料と作り方を、メーカーが公表している使い方や数値をもとに整理しました。メダカのスポンジフィルターを自作したい方、稚魚の育成や産卵用の容器に使いたい方に向けて、交換用スポンジを使った作り方、エアポンプ1台で動かせる数の目安、完成品との費用の差まで順番に見ていきます。
結論から言うと、スポンジは観賞魚用のものを使い、逆流対策と吐出口の高さとスポンジまわりの隙間の3点を押さえれば、自作でも十分に使えるかなと思います。一方で、カミハタの公表価格で比べると、1台だけなら完成品との差額は小さいので、自作が生きるのはサイズを合わせたいときや台数が多いときです。
- スポンジフィルターが水をきれいにする仕組みと自作に要る材料
- 自作の3つの作り方の違いと完成品との費用差
- パイプにスポンジを付ける作り方とエアポンプ1台で動かせる数の目安
- 逆流防止弁・吐出口の高さ・洗い方など失敗しない使い方
スポンジフィルターを自作する前に知る仕組みと材料
まずは、スポンジフィルターがどうやって水を動かし、どこで汚れを分解しているのかを押さえておきましょう。仕組みが分かると、材料のどこを妥協してよくて、どこを妥協してはいけないのかが見えてきます。ここでは材料の選び方、自作の3つの作り方、完成品との費用の差までをまとめて見ていきます。
先に要点を言うと、自作で手を抜いてよいのはパイプや重しといった“形を作る部品”で、手を抜かないほうがいいのはスポンジそのものです。スポンジはゴミをこし取る場所であり、バクテリアがすみつく場所でもあるので、素材の質がそのままろ過の質になります。また、作り方によってはスポンジに水がほとんど通らず、泡が出ているだけの状態になることもあります。材料と作り方を選ぶ段階で、この違いを押さえておきましょう。
スポンジフィルターが水をきれいにする仕組み

スポンジフィルターは、エアポンプから送った空気の泡で水を持ち上げ、その流れでスポンジに水を通すろ過器です。パイプの中を泡が上っていくと、泡と一緒に水も押し上げられます。押し上げられたぶんの水は、パイプの下につながったスポンジの中を通って補われます。つまり、水を動かしているのはポンプではなく泡で、この方式はエアリフトと呼ばれています。
カミハタ(神畑養魚)は自社のスポンジフィルターについて、使用する電力はエアポンプのみで、通水用のポンプを用意する必要はないと説明しています。水中に電気の部品を入れないので、小さな容器でも扱いやすい作りだと私は考えています。
では、スポンジは何をしているのか。セラジャパンは自社のスポンジフィルターについて、「スポンジ部分の表面で大きな浮遊性のゴミを付着させ、内部ではバクテリアが汚れの分解を行います」と説明しています。表面でゴミをこし取るのが物理ろ過、スポンジの中にすみついたバクテリアが汚れを分解するのが生物ろ過です。カミハタも、目の細かい連続多孔質スポンジで大きな表面積を確保して、ろ過バクテリアを大量に定着させると案内しています。
ここから分かるのは、自作で大事なのは“泡を出すこと”より“スポンジの中に水を通すこと”だという点です。泡がたくさん出ていても、水がスポンジを通らずに別の隙間から入っていれば、ろ過はほとんど働きません。この点は、あとの作り方と失敗例の章でもくり返し出てきます。
もうひとつ覚えておきたいのが、泡が上るパイプの長さです。カミハタは、別売のロング吐出パイプを使うと、長くなったパイプの分だけ気泡で押し出される水量が増え、スポンジを通る水量も増やせると案内しています。同社の公表値では、エア通気量1.06L/分のとき、Sサイズの通水量は付属パイプで0.53L/分、ロング吐出パイプで2.10L/分でした。倍率はエアの量で変わり、エア通気量3.64L/分のときは付属パイプ1.76L/分、ロング吐出パイプ3.16L/分(約1.8倍)でした。それでもパイプの長さで通水量がこれだけ変わるので、自作でもパイプの扱いが性能を大きく左右します。
完成品のスポンジフィルターの適合水槽を製品ごとに比べた一覧と、通水量から1時間のろ過回数を計算する方法は、通水量からろ過回数を見積もる解説で紹介しています。
自作に必要な材料と代わりになる市販品
スポンジフィルターの自作に要る材料は、それほど多くありません。基本はスポンジ、パイプ、エアチューブ、エアポンプの4つで、ここに逆流防止弁と、本体を沈めるための重しや台を足します。下の表に、それぞれの役割と選ぶときの目安をまとめました。
| 材料 | 役割 | 選ぶときの目安 |
|---|---|---|
| スポンジ | ゴミをこし取り、バクテリアのすみかになる | 観賞魚用のろ過スポンジや交換用スポンジ。目の細かいもの |
| パイプ | 泡と水が上る通り道 | スポンジの穴にすき間なく差し込める太さ。水面のすぐ下まで届く長さ |
| エアチューブ | エアポンプの空気をパイプへ送る | 手持ちのエアポンプの吐出口に合うもの |
| エアポンプ | 泡のもとになる空気を送る | 水深での吐出量を確かめる(あとの章で計算) |
| 逆流防止弁 | 止まったときに水がポンプ側へ戻るのを防ぐ | まずはエアポンプを水面より高く置く。低く置く場合の扱いは使うポンプとフィルターの説明書で確認 |
| 重し・台 | 浮き上がりと転倒を防ぐ | 水を汚さない素材。平らで安定するもの |
パイプの太さの参考になるのが、完成品の部品の寸法です。カミハタのロング吐出パイプ(S/L用)は長さ200mm、内径19mm、外径20.4mmで、材質はPP(ポリプロピレン)と公表されています。自作のパイプも、これに近い太さを基準にするとスポンジとの組み合わせを考えやすいかなと思います。
エアチューブの先にエアストーンを付けて泡を細かくする作り方もあります。エアストーンそのものを手持ちの材料で作る方法は、エアストーンを100均材料で自作する方法と注意点で詳しく整理しているので、あわせて見てみてください。
なお、完成品のスポンジフィルターでも、エアポンプが付いてこない製品があります。カミハタはリオ バクトサージについて、エアポンプとエアチューブは付属していないと明記しています。セラジャパンも、自社のスポンジフィルターにエアーポンプは含まれないと案内しています。こうした製品では、完成品を買う場合でも自作する場合でも、エアポンプは別にそろえることになります。自作で浮くのは、本体(スポンジ・パイプ・台座)の部分だけということになりますね。
スポンジは観賞魚用の交換スポンジを選ぶ
材料のなかで、いちばん妥協しないほうがいいのがスポンジです。生き物のいる水槽には、観賞魚用として売られているろ過スポンジや交換用スポンジを使うのが無難、というのが私の考えです。
理由はシンプルで、台所用や掃除用として売られているスポンジは、水槽の水の中に何か月も沈めておく使い方を前提にしていないものが多いと考えるからです。抗菌や防臭をうたう加工がされている商品もあり、水の中で何が溶け出すかまでは表示から読み取れません。ろ過のバクテリアを育てたい場所に、何が入っているか分からない素材を置くのは避けたいところです。
完成品のメーカーも、スポンジの交換には自社の専用品を指定しています。カミハタは、スポンジろ材を交換するときは「交換用スポンジ 各サイズ」(別売)を使うよう案内しています。セラジャパンも、スポンジ部分が劣化してろ過能力が低下する前に、専用の交換用スポンジに替えることを勧めています。これは自社製品の交換部品としての案内ですが、少なくとも観賞魚用として売られ、水中で使う前提が示されたスポンジだという点で、自作の材料を選ぶときの目安になります。
カミハタの交換用スポンジは、リオ バクトサージ スポンジフィルター専用の部品として、材質がポリウレタン、サイズは次のとおり公表されています。専用品なので、自作のパイプがそのまま合うとは限りません。パイプを通す穴の有無や径は、現物で確かめてから材料に使ってください。
| 品名(カミハタ) | サイズ(幅×奥行×高さ) | 税抜価格 |
|---|---|---|
| 交換用スポンジ S用 | 110×110×約50mm | 460円 |
| 交換用スポンジ L用 | 110×110×約100mm | 600円 |
| 交換用スポンジ XL用 | 155×155×約150mm | 1,275円 |
スポンジの目の細かさも大事です。カミハタは自社のスポンジを「目の細かい連続多孔質スポンジ」と説明し、柔軟性が高いので押し洗いで内部の汚れを効果的に出せるとしています。目が細かいほど表面積が増え、バクテリアがすみつく場所が広くなるという考え方です。稚魚のいる容器では、目の細かいスポンジのほうが吸い込み口として安心感もありますね。
価格はメーカーが公表している税抜価格で、実際の店頭や通販の価格とは違います。購入前に販売店で確認してください。
自作の材料に観賞魚用のスポンジを通販で探すなら、交換用スポンジが選びやすいです。サイズと穴の有無、価格や送料は各ショップで確かめてから選んでくださいね。
自作の3つの作り方を比べる
スポンジフィルターの自作は、大きく分けると3つの作り方があります。どれを選ぶかで、材料の手に入りやすさと、ろ過の働きやすさが変わります。下の表は、ここまでのメーカーの説明(スポンジに水を通す・パイプの長さで通水量が変わる・隙間があるとスポンジを通らなくなる)から、私が3つを整理して並べたものです。
| 作り方 | 主な材料 | スポンジに水が通るか | つまずきやすい点 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 交換スポンジ流用型 | 観賞魚用の交換用スポンジ+パイプ+重し | パイプがスポンジの穴に密着すれば通りやすいと考えられる | 穴とパイプの太さ合わせ | 初めて自作する人 |
| スポンジブロック加工型 | 観賞魚用のろ過スポンジを切って穴をあける+パイプ | 穴の大きさしだい。大きすぎると隙間ができやすい | 穴あけと切り口の形 | 容器に合わせて大きさを変えたい人 |
| パイプなし簡易型 | スポンジ+エアストーンのみ | 泡を持ち上げるパイプが無いので通水は少ないと考えられる | ろ過より水をかき混ぜる働きが中心になる | エアレーションの補助として使いたい人 |
いちばん失敗しにくいのは交換スポンジ流用型です。スポンジの品質がそろっていて、あとはパイプと重しを用意するだけなので、ろ過の働きを左右する部分に手を加えずに済みます。
スポンジブロック加工型は、サイズの自由度が高いのが強みです。浅い容器に合わせて背を低くしたり、細長い容器に合わせて薄くしたりできます。そのぶん、パイプを差す穴を大きくあけすぎると、スポンジを通らずに隙間から水が入る状態になりがちです。穴はパイプの外径より少し小さめにあけ、押し込んで密着させるくらいがちょうどいいかなと思います。
パイプなし簡易型は手軽ですが、ろ過器としては弱めです。カミハタの公表値では、パイプを長くするだけで通水量が大きく変わっていました。泡を持ち上げる通り道が無いと、スポンジの中を通る水はかなり少なくなると考えられます。この形は「ろ過フィルター」というより、スポンジ付きのエアレーションくらいに考えておくと期待とのずれが小さくなります。
完成品との費用差と自作が向く場面

自作を考える理由として、費用を抑えたいというのはよくある動機です。ただ、メーカーの公表価格で比べてみると、1台あたりで浮く金額はそれほど大きくありません。カミハタのリオ バクトサージ スポンジフィルターと、その交換用スポンジの税抜価格で計算してみます。
| サイズ | 完成品(税抜) | 交換用スポンジ(税抜) | 差額(台座・パイプなどの分と考えられる) |
|---|---|---|---|
| S | 1,000円 | 460円 | 540円 |
| L | 1,200円 | 600円 | 600円 |
| XL | 3,000円 | 1,275円 | 1,725円 |
同社の専用スポンジの価格を材料費の目安に使った概算ですが、交換用スポンジを買って自作する場合、浮くのはこの差額から、自分でそろえるパイプや重しの代金を引いた分です。Sサイズなら最大でも540円で、ここには倒れにくい台座や、水と酸素がスポンジ全体に行き渡るよう工夫された部品の分も含まれています。1台だけなら、費用面での自作の利点は小さいと言えそうです。完成品の使い勝手が気になる方は、テトラ ツインブリラントフィルターの特徴と使い方も参考になると思います。
では、どんなときに自作が生きるのか。判断の目安を表にまとめました。
| こんなとき | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 稚魚や産卵用の小さな容器が何個もある | 自作 | サイズを合わせやすく、エアポンプ1台から分けて動かせる |
| 水深が浅い容器で使いたい | 自作 | パイプの長さを水深に合わせて決められる |
| 標準的な水槽に1台だけ置きたい | 完成品 | カミハタの例では差額が小さく、台座や通水の工夫が最初から付いている |
| 大きな水槽のろ過を任せたい | 完成品か別方式のフィルター | 適合水量の公表値で選べる。自作では能力の目安が立てにくい |
1台だけ置くなら完成品も候補です。適合水量とエア通気量の目安が公表されているので、手持ちのエアポンプと合わせやすいかなと思います。価格や在庫は購入前に各ショップで確認してください。
セラジャパンは自社のスポンジフィルターを、主にブリーディングフィルターとして稚魚の育成や産卵用に使うよう案内しています。私は、スポンジフィルターはこうした小さな容器や水流を弱くしたい場面に向いていると考えています。メダカの針子のように泳ぐ力が弱い時期の容器づくりは、メダカ針子の育て方と容器の基本で詳しく整理しています。
スポンジフィルターの自作手順と失敗しない使い方
ここからは、実際にスポンジフィルターを自作する手順と、動かしてからの使い方を見ていきます。作り方そのものはシンプルですが、エアポンプの台数、逆流対策、吐出口の高さ、スポンジまわりの隙間など、つまずきやすいポイントがいくつかあります。完成品のメーカーが取扱説明や製品ページで注意している点を、自作に置きかえて確認していきましょう。
作ったあとの使い方まで見ておくと、自作のスポンジフィルターでも長く安定して使えます。とくに逆流対策は、エアポンプが止まったときに水がどこへ流れるかにかかわる部分なので、作り終えた最後にもう一度確かめておくのがおすすめです。
パイプにスポンジを付ける基本の作り方
いちばん失敗しにくい交換スポンジ流用型を例に、作り方の流れを紹介します。スポンジブロック加工型も、最初にスポンジを切って穴をあける以外は同じ流れです。
手順1:スポンジの穴とパイプの太さを合わせる
パイプは、スポンジの穴にすき間なく差し込める太さを選びます。穴が無いスポンジなら、パイプの外径より少し小さめの穴をあけ、押し込んで密着させます。ここがゆるいと、水がスポンジを通らずに隙間から入ってしまいます。パイプを切ったり穴をあけたりした部分は、バリ(切り口のささくれ)を落としてなめらかにしておくと、稚魚や小さな生き物を傷つける心配を減らせます。
手順2:スポンジに入る部分のパイプに水の入り口を作る
スポンジの中に入る部分のパイプには、水が入る穴や切れ込みを入れ、パイプの下の端はふさぎます。こうすると、パイプに入る水はスポンジを通ったものだけになります。入り口が少なすぎると通水が落ちるので、スポンジの中に隠れる範囲に複数あけるのがおすすめです。
手順3:空気の入り口を作る
エアチューブをパイプの中に通し、先端をスポンジより上の、パイプの下のほうに置きます。泡がパイプの中を上る距離が長いほど水を持ち上げやすくなります。エアチューブの先にエアストーンを付けると泡が細かくなりますが、目詰まりすると空気が出にくくなる点は覚えておきましょう。
手順4:パイプの長さを水深に合わせる
パイプの上の端が、水面のすぐ下に来る長さにします。カミハタは、吐出パイプの先端が水面以下になる位置で使うのが適正で、水の吐出口が水面より上に出ると通水量が低下すると案内しています。セラジャパンも、エアーの排出口は水面付近に合わせて使うよう説明しています。
手順5:重しを付けて沈め、空気を抜く
スポンジは空気を含むと浮きます。カミハタは使用前に本製品をバケツに入れ、水道水に浸けてスポンジろ材を軽く押し洗いし、スポンジ内の空気をできるだけ抜くよう案内しています。セラジャパンも、水槽内でスポンジ部分を手で揉みながら気泡を出す手順を示しています。自作の場合は、パイプの下に水を汚さない重しや台を付けて、倒れずに立つことを確かめてから水槽に入れましょう。
手順6:エアポンプにつないで水の動きを見る
エアチューブをエアポンプにつないで動かし、パイプの先から泡と一緒に水が出ているかを見ます。セラジャパンは、循環する水量を確認しながらエアーポンプの出力を調整するよう案内しています。泡の勢いではなく、水面の揺れやゴミの吸い寄せられ方で、水が動いているかを見るのがコツです。
エアポンプ1台で動かせる数の目安と計算

自作の利点のひとつが、エアポンプ1台から複数のスポンジフィルターを動かせることです。では、1台で何個まで動かせるのか。メーカーの公表値を使って計算してみます。
先にお断りしておくと、自作品が必要とする空気の量にはメーカーの表示がありません。ここでは完成品の目安を借りた概算として計算します。使うのは2つの数字です。1つ目はスポンジフィルター側が求める空気の量で、カミハタはリオ バクトサージのエア通気量目安を、Sサイズ0.5〜2L、Lサイズ1〜4L、XLサイズ3〜8Lと公表しています。同じページの測定条件がL/min(1分あたり)で書かれているので、ここでは1分あたりの量として読みます。2つ目はエアポンプ側が出せる空気の量です。水作の取扱説明書では、水心シリーズの最大吐出量を、開放時と水深25cmの2つの条件で公表しています(出典:水作「水心SSPP-2S・3S・7S 取扱説明書」)。
| エアポンプ(水作 水心) | 最大吐出量(開放時) | 最大吐出量(水深25cm) | エア量調節 |
|---|---|---|---|
| SSPP-7S | 2.2L/分 | 1.3L/分 | なし |
| SSPP-3S | 3.0L/分 | 1.7L/分 | あり |
| SSPP-2S | 4.0L/分 | 3.0L/分 | あり |
開放時と水深25cmで、出せる空気の量はかなり違います。スポンジフィルターは水の底のほうで空気を出すので、計算には水深25cmの値を使います。水深が25cmより浅い容器なら実際はもう少し多く出るはずなので、少なめに見積もる側の値です。この値を、スポンジフィルター1個が求める量の下限で割ると、最も少ない空気で動かす場合の最大数が出ます。
| エアポンプ(水深25cmの吐出量) | Sサイズ相当(下限0.5L) | Lサイズ相当(下限1L) | XLサイズ相当(下限3L) |
|---|---|---|---|
| SSPP-7S(1.3L/分) | 2個まで(1個あたり0.65L) | 1個(1.3L) | 足りない |
| SSPP-3S(1.7L/分) | 3個まで(1個あたり約0.57L) | 1個(1.7L) | 足りない |
| SSPP-2S(3.0L/分) | 6個まで(1個あたり0.5L) | 3個まで(1個あたり1.0L) | 1個(3.0L) |
表の中で、1個あたりの量が下限とちょうど同じセル(SSPP-2SのSサイズ相当6個・Lサイズ相当3個・XLサイズ相当1個)は余裕がありません。たとえばSSPP-3Sなら、1.7÷0.5=3.4なので、Sサイズ相当のスポンジフィルターは計算上3個まで、1個あたり約0.57Lです。目安の中間あたり(Sサイズ相当なら1.25L)で割ると、1.7÷1.25=約1.4で、余裕を持って動かせるのは1個という見方になります。ただし、これはあくまで単純な割り算による目安です。分岐させるとチューブや分岐部品の抵抗が増えますし、水深が25cmより深ければ出せる空気はさらに減ります。計算上の上限ちょうどの組み合わせは避け、1つ少なく考えておくと安心かなと思います。分けたあとの空気の量は容器ごとにそろわないこともあるので、それぞれのチューブに観賞魚用のエアコックを付け、水の動きを見ながら調節できるようにしておくと扱いやすくなります。
エア量を調節できて水深25cmでの吐出量も公表されているエアポンプなら、分ける数の見当をつけやすいです。分岐に使うエアコックとあわせて、型番や現行モデルは購入前に確かめてください。
電気代の面でも、1台のエアポンプで複数を動かす方法には利点があります。水作は水心の電気料金の目安(1か月)を、50Hzの地域でSSPP-7Sが31円、SSPP-3Sが49円、SSPP-2Sが58円と公表しています。たとえばSSPP-7Sを容器ごとに3台使えば31円×3=93円、SSPP-2Sを1台にして分ければ58円という計算です。電気代の考え方は、水槽のエアーポンプの電気代の計算方法でも詳しく整理しています。
逆流防止弁と吐出口の高さの決め方
自作でいちばん見落としやすいのが、エアポンプの置き場所と逆流対策です。水作は水心の取扱説明書で、本体は水面より高い位置に設置するよう案内しています。エアポンプが止まったときに水面より低い位置にあると、チューブを伝って水がポンプ側へ戻ってくるおそれがある、というのがこの注意の背景だと考えられます。
まずはエアポンプを水面より高い位置に置くのが基本です。水心は取扱説明書でそう指定していて、あわせて直射日光の当たらない、安定した平らな場所にセットするよう求めています。一方、カミハタは自社のスポンジフィルターについて、エアポンプを水面よりも低い場所に設置する場合は、必ずエアポンプと本製品の間に逆流防止弁を接続するよう案内しています。低く置けるかどうかはポンプごとに違うので、使うエアポンプの取扱説明書で設置位置の指定を確かめ、低く置く場合は逆流防止弁を入れておきましょう。
もうひとつの高さが、パイプの吐出口です。作り方の章でも触れたとおり、カミハタは吐出パイプの先端が水面以下になる位置で使うのが適正としています。水深が浅く、パイプの先が水面から出てしまう場合は、通水量が低下するおそれがあるので、パイプを塩ビ用ノコギリなどで適切な長さにカットして調節するよう案内しています。
自作のパイプは、最初は少し長めに作っておき、容器に入れて水を張ってから水面のすぐ下で切りそろえるのがやりやすい方法です。水換えで水位が下がったときにパイプの先が出てしまわないよう、ふだんの水位の変化も考えて長さを決めておくと失敗が減ります。
逆に、パイプの先が水面よりずっと深い位置にあると、そのぶんパイプが短くなって水を持ち上げる力が弱まり、水面も揺れにくくなると考えられます。水面のすぐ下で泡が抜けるくらいが、通水と水面の動きのバランスがとりやすい位置かなと思います。
エアポンプを低い位置に置く予定があるなら、観賞魚用の逆流防止弁を用意しておくと安心です。向きを間違えると空気が流れないので、取り付けの向きは商品の説明で確かめてくださいね。
よくある失敗と動かないときの見直し方

自作のスポンジフィルターがうまく動かないとき、原因はだいたいいくつかに絞れます。症状ごとに見直す場所をまとめました。
| 症状 | 考えられる原因 | 見直すこと |
|---|---|---|
| 泡は出るのに水が動かない | パイプの先が水面から出ている | パイプを水面のすぐ下の長さに切る |
| 水は動くのにスポンジが汚れない | スポンジとパイプの間に隙間がある | 穴を小さくする・スポンジを替える |
| 本体が浮く・傾く | スポンジに空気が残っている・重しが軽い | 揉んで空気を抜く・台を広くする |
| だんだん泡や水の量が減る | 空気や水の通り道の詰まり・スポンジの目詰まり | 出口や通り道を掃除する・スポンジを洗う |
| 泡が多すぎて魚が落ち着かない | 空気の量が多すぎる | エアポンプの出力を下げる |
特に気をつけたいのが、スポンジまわりの隙間です。カミハタは、スポンジろ材が劣化して小さくなったり低くなったりすると、本体とスポンジの間に隙間が生じやすくなり、その隙間から水が入る力だけが強くなって、スポンジを通らなくなるため、ろ過能力が著しく低下すると説明し、隙間が生じた場合は交換が必要としています。これは同社製品の劣化時の話ですが、自作では組み方しだいで最初から隙間ができやすい、というのが私の見立てです。組んだ直後だけでなく、洗ったあとにも確かめる習慣をつけておきたいところです。
通り道の詰まりについては、カミハタは長く使っていると水中のカルシウム塩などが結晶化して、空気と水の通り道の穴が詰まることがあると案内しています。エアポンプが正常に動いているのに通水量や通気量が落ちたときは、爪楊枝などの細い棒で掃除し、落としにくい場合は酢やクエン酸を溶かした水に部品を浸けると溶かせるとしています(出典:神畑養魚「リオ バクトサージ スポンジフィルター」)。自作のパイプでも、空気の出口や水の入り口の穴は同じように詰まることがあるので、掃除しやすい作りにしておくと長く使えます。
泡の量についても注意があります。セラジャパンは、水中での過剰な気泡の放出は魚のストレスになり、pH値の上昇を促すと説明しています。カミハタも、適正水位でエア通気量目安の範囲内なら通気量が多いほど通水量は増えるものの、ある程度通気量が増えると通水量はそれ以上増えなくなると案内しています。泡は多ければいいというものではなく、水が十分に動く範囲で控えめにするのがよさそうです。
立ち上げ・洗い方・交換の目安
自作のスポンジフィルターも、入れてすぐにろ過が効くわけではありません。カミハタは、新しいスポンジにはろ過バクテリアが付着しておらず、スポンジろ材に完全に定着するまでに淡水で1〜2ヶ月かかると案内しています。その間は飼育する魚の量を少なくし、換水頻度を増やしたり、活性炭やゼオライトを併用するとよいとしています。
新しく作ったスポンジフィルターは、すでに使っている水槽にしばらく入れておく方法もあります。古いフィルターと並べて動かしておけば、そのあいだに新しいスポンジにもバクテリアが増えていくと考えられます。ただし、稚魚や病気の個体を移す容器に使う場合は、元の水槽の状態もあわせて確かめておきましょう。
洗い方は、完成品と同じ考え方でかまいません。カミハタは、バケツなどに飼育水かカルキ抜きをした水を張り、その中で取り外したスポンジろ材を手で押し洗いして、内部にたまった汚れを出すよう案内しています。ただし、ろ過バクテリアを洗い流し過ぎないよう、洗い過ぎには注意するよう添えています。水道水で強く洗うと、せっかく育ったバクテリアまで落としてしまうと考えられるので気をつけたいところです。洗う頻度の考え方は、水槽フィルターの掃除頻度と手順も参考にしてください。
洗ったスポンジを戻すと、水が少しにごることがあります。カミハタは、戻したときに飼育水中に若干汚れが出てくるものの、1〜2時間でスポンジろ材に吸収されるので問題ないとしています。
交換の目安について、カミハタは自社のスポンジろ材を半年から一年を目安に交換するよう案内しています。交換するとそのスポンジの生物ろ過能力は無くなるので、新しいスポンジと古いスポンジを1〜2ヶ月程度併用することを勧めています。自作でも、スポンジを替えるときは古いものをすぐに捨てず、しばらく並べて使うと水質の急な変化を避けやすくなります。
スポンジフィルターの自作で押さえたい点は、観賞魚用のスポンジを使う、スポンジとパイプを隙間なく組む、パイプの先を水面のすぐ下にそろえる、エアポンプは水面より高く置くことを基本にし、低く置くならポンプの説明書を確かめて逆流防止弁を入れる、の4つです。数値は一般的な目安なので、正確な情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書をご確認ください。
スポンジフィルターの自作についてよくある質問
自作したスポンジフィルターだけで、メインのろ過をまかなえますか?
小さな容器なら役目を果たせることもありますが、大きな水槽のメインろ過を自作品だけに任せるのはおすすめしにくいです。セラジャパンは自社のスポンジフィルターについて、ブリーディング等のろ過フィルターであり、通常飼育のメインろ過フィルターとしての使用は勧めないとしています。完成品では、カミハタのように適合水量(Sサイズ5〜40L、Lサイズ20〜70L、XLサイズ50〜200L)を公表している製品もあるので、大きな水槽ではこうした目安のある製品や別方式のフィルターを選ぶほうが判断しやすいと思います。
自作のスポンジフィルターは海水の水槽でも使えますか?
スポンジフィルターの仕組みそのものは海水でも同じです。カミハタはリオ バクトサージを淡水魚用・海水魚用の両方の推奨環境として案内しています。ただし、ろ過バクテリアが定着するまでの期間は、淡水の1〜2ヶ月に対して海水では3〜4ヶ月かかるとしています。また、セラジャパンのスポンジフィルターは淡水性観賞魚の飼育に使える製品と案内されているので、製品ごとの対象は確認してください。自作の場合は、海水で使っても傷みにくい素材かどうかを部品ごとに確かめておきましょう。
泡の音がうるさいときはどうすればいいですか?
まずは空気の量を見直してみましょう。カミハタは、適正水位でエア通気量目安の範囲内なら通気量が多いほど通水量も増える一方で、通気量に伴い気泡の音も大きくなり、ある程度通気量が増えると通水量はそれ以上増えなくなると説明しています。そのため通気量は、市販の観賞魚用エアコックで好みの量に調節するよう案内しています。水が動く範囲で少しずつ絞ると、ろ過をあまり落とさずに音を小さくできる場合があります。水心SSPP-7Sのように吐出量が固定の機種では、エアポンプ本体での調節ができないので、エアコックで絞る形になります。
スポンジフィルター自作のまとめと判断の目安
スポンジフィルターは、泡で水を持ち上げてスポンジに水を通す、とてもシンプルなろ過器です。仕組みがシンプルなぶん、自作でも十分に作れますが、ろ過が働くかどうかは“スポンジの中に水が通っているか”で決まります。
自作するなら、スポンジは観賞魚用の交換用スポンジを使い、パイプとの間に隙間を作らないことが第一です。パイプの先は水面のすぐ下にそろえ、エアポンプは水面より高い位置に置くのが基本です。低く置くなら、使うポンプの説明書で設置位置の指定を確かめ、逆流防止弁を入れます。エアポンプ1台で複数を動かすときは、水深25cmなどの条件で出せる空気の量を、完成品の目安を借りてスポンジ1個が求める量で割り、上限より1つ少なく考えると安心です。
費用の面では、カミハタの公表価格で見ると、SとLサイズで1台だけなら完成品との差額は数百円ほどです。自作が生きるのは、稚魚や産卵用の小さな容器がいくつもあるとき、浅い容器に合わせたいときなど、サイズや台数を自由に決めたい場面です。標準的な水槽に1台置くだけなら、完成品を選ぶのも十分に合理的な選択だと思います。
数値はいずれもメーカーが公表している一般的な目安で、水深や部品の組み方、飼育環境によって変わります。正確な情報は公式サイトや取扱説明書をご確認ください。生き物の状態に不安があるときの最終的な判断は、専門家や購入店にご相談ください。


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