ベタ水槽におすすめの水草|ヒレを傷つけない安全なレイアウト
ベタの水槽に水草を入れたいけれど、あの長いヒレが引っかかって裂けたらどうしよう、と手が止まっている方は多いのではないでしょうか。
実際、ベタのヒレは驚くほど薄くて、少し引っ張られただけでも切れてしまいます。
かといって何も入れないベタ水槽は、掃除はしやすい代わりに、ベタが体を預けて休む場所がどこにもない状態でもあるんですね。
この記事では、ヒレを傷つけにくい水草の見分け方から、具体的におすすめできる種類、そして量と配置の決め方までを一本の流れとして整理しました。
あなたがいま迷っているのが「種類」なのか「量」なのかで読む場所が変わるので、目次から飛んでもらっても大丈夫です。
読み終わるころには、お店の水草コーナーで「これは大丈夫、これはやめておこう」と自分で判断できるようになっているはずです。
- ベタが水草に求めているものと、入れると何が変わるのか
- ヒレを傷つけない水草かどうかを手元で確かめる方法
- ベタ水槽に向く水草の具体的な種類と、それぞれの使いどころ
- 入れる量と配置の目安、導入前にやっておきたい下処理
ベタ水槽に水草が向いている理由
結論から言うと、ベタにとっての水草は「飾り」ではなく「体を預ける場所」です。
この一点を押さえておくと、どんな水草を選ぶべきかの判断がぶれなくなります。
ここではまず、ベタが水草に何を求めているのか、そして水草がなくても飼えるのかという疑問を先に片づけておきましょう。
ベタが水草に求めていること
ベタが水草に求めているのは、休憩と身を隠す場所です。
野生のベタは、水草が茂った浅い水域で暮らしている魚だと知られています。
そのため、遮るもののないガラス張りの空間に一匹だけ置かれると、落ち着ける場所を見つけられずに水槽の隅をうろつくことがあるんですね。
特にベタは、あの大きなヒレのせいで泳ぎが得意なほうではありません。
常に泳ぎ続けるのではなく、水草の葉の上や隙間に体を乗せて、こまめに休みながら生活しています。
水面近くに広い葉があると、そこに乗って休む姿が見られるのはこのためです。
もう一つ、ベタはエラ呼吸だけでなく、ラビリンス器官という補助的な器官を使って水面の空気を直接吸います。
つまり、水面へ上がる動作が生きるために欠かせないということ。
だからこそ、水面に近い位置に休める場所があるかどうかは、ベタにとって想像以上に大きな意味を持ちます。
オスの場合は、水面に泡巣という泡の塊を作る習性もあります。
浮草や水面に届く葉があると、その泡が流されずにまとまりやすくなるという関係です。
水作株式会社が販売しているベタ用の人工リーフも、同社の製品ページで「水面近くにセットすることによりオスの泡巣づくりのベースにもなり、繁殖を楽しむこともできます」と説明されています(出典:水作株式会社 ベタのおやすみリーフ)。
専用品がそう設計されているということは、水面近くの葉がベタにとって意味のある構造だという裏づけでもありますよね。
水草なしでも飼えるのか
水草がなくてもベタは飼えます。
ここは正直に書いておきたいところで、実際にベタ専門のブリーダーは、管理のしやすさを優先して何も入れない容器で飼育することが珍しくありません。
水草を入れないメリットははっきりしていて、底に汚れがたまりにくく、水換えのときに手間が減り、病気の兆候にもすぐ気づけます。
枯れた葉が腐って水を汚す心配もなくなりますし、そもそもヒレが引っかかる物体が存在しないので、最も安全な構成だとも言えます。
では、なぜそれでも水草をすすめる意見が多いのかというと、ベタの生活の質という観点が入ってくるからです。
何もない環境でも生きてはいけますが、休む場所と隠れる場所があるほうが、ベタは落ち着いた行動を見せやすくなります。
水槽の前を人が通るたびに驚いて泳ぎ回る、といった状態が減るわけですね。
もう一つ、水草には水中の窒素分を吸収する働きがあります。
これは水質浄化そのものというより、悪化のスピードをわずかに遅らせる補助にすぎませんが、小さな水槽ほど効果を感じやすい部分です。
ただし、水草を入れたからといって水換えの回数を減らしていいわけではありません。
この点は誤解されやすいので、水草は水換えの代わりにはならないと覚えておいてください。
頻度の考え方についてはベタの水換え頻度と水質管理の基本をまとめた記事で整理しているので、あわせて見ておくと判断しやすくなります。
水草を入れる/入れないは、どちらが正解と決まっているものではありません。
管理のしやすさを最優先するなら入れない、ベタが落ち着ける環境を作りたいなら入れる、という選び方で十分です。
迷っているなら、まずは扱いやすい一種類だけ入れてみて、様子を見てから増やす順番が失敗しにくいと思います。
ヒレを傷つけない水草の見分け方
ここからが本題です。
ベタ水槽で水草を選ぶときの基準は、育てやすさでも見た目でもなく、まず「ヒレが引っかからないか」になります。
この判断は難しそうに見えて、実は手元で確かめられる方法がいくつかあります。
葉の硬さと縁の形を見る

見るべきポイントは、葉の硬さそのものではなく、葉の縁の形状です。
ここを取り違えると選択を誤るので、少し丁寧に説明させてください。
よく「硬い葉はダメ、柔らかい葉が良い」と言われますが、これは半分だけ正しい表現です。
たとえばアヌビアス・ナナは、水草の中ではかなり硬く厚い葉を持っています。
それでもベタ水槽の定番として推されるのは、葉の縁が丸くなめらかで、先端も尖っていないからです。
逆に、柔らかくても縁がギザギザに切れ込んでいる種類は、そこにヒレの膜が引っかかることがあります。
つまり判断の軸は、硬いか柔らかいかではなく、触れたときに引っかかる構造があるかどうかということですね。
具体的には、次の三つを見てください。
一つめが、葉の先端が針のように尖っていないか。
二つめが、葉の縁がのこぎり状に切れ込んでいないか。
三つめが、茎や根元に硬い突起やトゲがないか。
この三つに引っかからなければ、ベタ水槽に入れて大きな問題になることは少ないでしょう。
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| チェック項目 | 安全な状態 | 危ないサイン |
| 葉の先端 | 丸い、または緩やかに細くなる | 針のように尖っている |
| 葉の縁 | なめらかな曲線 | のこぎり状の切れ込みがある |
| 茎と根元 | つるりとしている | 硬い突起やトゲがある |
| 葉の質感 | 厚くても表面がなめらか | ざらつき、繊維がささくれている |
| 全体の密度 | ベタが通れる隙間がある | 茂りすぎて隙間がない |
もう一つ見落とされがちなのが、密度の問題です。
一本一本は安全な水草でも、水槽いっぱいに茂らせるとベタが体を無理にねじ込んで通ることになります。
そのときにヒレの付け根へ横向きの力がかかって傷むので、種類だけでなく量も安全性の一部だと考えてください。
ストッキングで確かめる方法
手元で確かめたいなら、使い古しのストッキングを使う方法が知られています。
やり方は簡単で、水草やレイアウト素材の表面に、ストッキングを軽く当てて滑らせるだけ。
繊維が引っかかって糸が出るようなら、そこはベタのヒレも引っかかる可能性が高い場所だと判断できます。
なぜこれが目安になるかというと、ストッキングの繊維はとても細く、薄い膜に近い引っかかり方をするからです。
ベタのヒレも、骨の間を薄い膜が張っている構造をしています。
硬い指先で触って「大丈夫そう」と感じても、ヒレの膜にとっては十分に危険、という食い違いを埋めてくれるのがこの方法の利点ですね。
試すのは、水槽に入れる前です。
買ってきた水草や流木、石を洗ったあと、乾いた状態でひと通り撫でておけば数分で終わります。
この段階で引っかかりが見つかったら、その素材は別の水槽へ回すか、返品ではなく使い方を変える方向で考えてください。
この確認は水草より、実は流木や石のほうで効いてきます。
水草は柔らかいものを選べばおおむね安全ですが、流木の割れ目や溶岩石のざらつきは見た目では判断しにくいので、一度は撫でておくと安心かなと思います。
造花と装飾品に潜む危険
ベタ水槽で最も事故が起きやすいのは、実は生きた水草ではなくビニール製の造花です。
理由は、生産時の切断面がそのまま残っていることが多いから。
プラスチックのシートを葉の形に打ち抜いて作られているため、縁に細かいバリや鋭い角が残っている製品が少なくありません。
手で触れると柔らかく感じるのに、ヒレの膜には刃物のように働いてしまうという厄介な性質があります。
とはいえ、造花のすべてが危険というわけでもありません。
ベタ用として作られた製品には、縁を丸く処理してあるものや、シルク素材のように繊維がしなやかなものもあります。
選ぶなら、そうしたベタ向けの表記がある製品を選び、届いたら必ずストッキングで確かめる。
この二段構えにしておけば、造花だからという理由だけで避ける必要はないでしょう。
もう一点、装飾品の中でも注意したいのが、隙間や穴のあるオブジェです。
土管型や壺型のアクセサリーは隠れ家として売られていますが、入口がベタの体に対して狭すぎると、入ったあと出られなくなる事故が起こります。
ヒレを広げた状態でも余裕をもって通れる大きさか、内側にざらつきがないか。
この二つを確かめてから入れてください。
底砂にも同じ視点が必要です。
角の立った砂利や、割れたガラス質の素材は、底で休むベタの腹側やヒレの下端を傷つけることがあります。
角が丸められた砂か、細かいソイルを選ぶと安心できます。
ベタ水槽におすすめの水草
ここからは具体的な種類の話に移ります。
ベタ水槽で扱いやすいのは、強い光もCO2の添加も必要としない種類です。
こうした種類は陰性水草と呼ばれ、弱い光でも枯れずに育つのが特徴になります。
ベタは水流を嫌うので、フィルターを弱めに設定することが多く、そうすると光も控えめな環境になりがちだからですね。
アヌビアス・ナナと活着水草
最初の一株として最も選ばれているのが、アヌビアス・ナナです。
厚くて丈夫な葉を持ち、縁がなめらかで、成長がとてもゆっくりという三拍子がそろっています。
低い光量でも育ち、CO2を添加しなくても枯れないので、ベタ水槽の控えめな環境と相性が良いんですね。
成長が遅いということは、トリミングの手間がほとんどかからないという意味でもあります。
数か月に一度、伸びすぎた葉を切る程度で形が保てるので、水槽に手を入れる回数そのものを減らせます。
ベタは環境の変化に敏感な魚なので、この「触らなくて済む」という性質は見た目以上に価値があります。
植え方には少しコツがあって、アヌビアスは根茎という太い部分を砂に埋めると腐ってしまいます。
流木や石に糸や接着剤で固定して、根茎を水中に露出させたまま育てるのが基本です。
これを活着といい、同じ育て方をする仲間にミクロソリウムやウィローモスがあります。
ミクロソリウムは細長い葉が特徴で、アヌビアスより背が高くなるので、水槽の後方に置くと奥行きが出ます。
どちらを選ぶか迷ったら、アヌビアス・ナナとミクロソリウムを比較した記事で葉の形や育ち方の違いをまとめています。
ウィローモスは、糸状の葉が細かく茂るコケの仲間です。
柔らかいので安全性は高いのですが、伸ばしすぎると密度が上がってヒレが絡む状態になります。
流木の一部に薄く巻きつける程度にとどめて、伸びたらこまめに刈る使い方が向いています。
アヌビアスで気をつけたいのは、葉にコケが付きやすいことと、直射光や強すぎる光で葉が黒くなる現象です。
黒ずみの原因と対処はアヌビアス・ナナが黒くなったときの対処をまとめた記事で詳しく触れているので、症状が出たら見てみてください。
糸や接着剤で固定する作業が面倒なら、最初から流木に活着させた状態で売られているものを選ぶ手もあります。
根茎の扱いを間違える心配がなく、水槽に置くだけで所定の形になるので、一株目にはこちらのほうが失敗しにくいでしょう。
マツモとアナカリス
柔らかさを最優先するなら、マツモとアナカリスの二種が候補になります。
どちらも金魚藻として昔から流通していて、入手しやすく価格も安い水草です。
マツモは細い葉が輪状に付く形で、触れても抵抗がほとんどありません。
ヒレが当たっても葉のほうがしなって逃げるので、物理的に傷つけにくい構造だと言えます。
根を張らない性質があり、そのまま浮かせても、砂に軽く挿しても育ちます。
浮かせて使えば水面近くに緑の陰ができ、ベタが休める場所として機能してくれるのが便利なところ。
アナカリスも同じく柔らかい水草ですが、マツモより茎がしっかりしていて、まっすぐ立つのが特徴です。
底砂に挿して背景として使いやすく、成長が速いので水中の養分をよく吸ってくれます。
ただしこの成長の速さが、そのまま手間にもなります。
放っておくと水槽の上まで伸びて水面を覆ってしまうので、月に一度は切り戻す前提で考えておいてください。
もう一点、アナカリスは南米原産の外来種として日本の水路に広がった水草でもあります。
切り戻した分を川や池に流すと、そこで増えて在来の生態系に影響を与えかねません。
処分の仕方は後半で改めて触れますが、水気を切って燃えるごみへ、と覚えておいてください。
ちなみに同じ節で挙げたマツモは日本にもともと分布する在来の水草なので、その点では性格が違います。
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| 種類 | 葉の性質 | 育て方 | 手間 | 向いている使い方 |
| アヌビアス・ナナ | 厚く硬いが縁はなめらか | 流木や石に活着 | とても少ない | 手前の主役、休憩場所 |
| ミクロソリウム | 細長くしなやか | 流木や石に活着 | 少ない | 後方の背景づくり |
| ウィローモス | 糸状でとても柔らかい | 流木に巻きつけ | 刈り込みが必要 | 流木の一部を彩る |
| マツモ | 細く柔らかい | 浮かせるか軽く挿す | 間引く程度 | 水面近くの日陰づくり |
| アナカリス | 柔らかく茎は立つ | 底砂に挿す | 月一の切り戻し | 背景と養分吸収 |
浮草で水面に休み場を作る

ベタ水槽で効果が分かりやすいのが浮草です。
理由は単純で、ベタが最も長い時間を過ごすのが水面付近だから。
アマゾンフロッグビットやドワーフフロッグビットのように、丸い葉と細い根を水中に垂らすタイプは、ベタが根の間に体を預けて休む姿がよく見られます。
オスを飼っているなら、泡巣が流されずにまとまる土台としても働いてくれるでしょう。
もう一つの利点が、光を和らげてくれることです。
浮草が水面に浮かぶと、その下は自然と薄暗くなります。
強い照明を落ち着かない要因と感じる個体には、この日陰が逃げ場になります。
ただし、浮草には必ず守ってほしい制限があります。
水面を全部覆ってしまってはいけません。
先に触れたとおり、ベタは水面の空気を直接吸って呼吸します。
浮草がびっしり広がって水面に隙間がなくなると、その呼吸が妨げられる状態を作ってしまいます。
目安として、水面の半分以上は必ず開けておくと考えてください。
浮草は増えるのが速いので、週に一度は手ですくって間引く前提で導入するのが現実的です。
増えすぎた分の扱いにも一つ注意があります。
水草の中には、野外へ広がると在来の生態系に影響を与えるとして、環境省と農林水産省が公表する生態系被害防止外来種リストに掲載されている種類があります(出典:環境省 生態系被害防止外来種リスト)。
間引いた水草を川や池に捨てる、排水口へ流すといった処分は避けて、水気を切って燃えるごみとして出すようにしてください。
ベタ水槽の水草は、この三層で考えると組み立てやすくなります。
水面に浮草を少し、中層にマツモやアナカリスを数本、底に活着させたアヌビアスを一株。
それぞれが休む場所として働き、どの高さにいてもベタが体を預けられる状態になります。
浮草は本文で触れたとおり、エビを一緒に飼っているなら無農薬と明記されたものを選んでおくと安心できます。
下は無農薬表記のあるアマゾンフロッグビットで、10株ほどあれば30cm前後の水槽で水面の一部を覆う量になります。
増えるのが速い水草なので、最初から多めに買い足す必要はありません。
ベタの水草レイアウトの組み方
種類が決まったら、次は量と置き方です。
ここを間違えると、安全な水草を選んだのにヒレが傷むという結果になりかねません。
水草の量と配置の目安

入れる量の目安は、水槽の容積に対しておよそ五分の一までです。
これはベタ関連の飼育情報でよく示される数字で、それ以上茂らせるとヒレが裂けるリスクが上がるとされています。
数字だけだとイメージしにくいので、行動から確かめる方法も添えておきます。
水槽を横から見て、ベタが体を曲げずにまっすぐ泳げるルートが確保されているか。
これが一番わかりやすい判断基準になります。
配置の考え方はシンプルで、片側に寄せるのが基本です。
水槽の左右どちらかに水草をまとめ、反対側を開けておくと、泳ぐ場所と隠れる場所がはっきり分かれます。
全体に均等に散らすと、どこにいても葉に触れる状態になってしまうんですね。
高さについては、水面から底までを三つに分けて考えると整理しやすいと思います。
水面には浮草を少しだけ、中層には浮かせたマツモや背の高い水草を、底には活着させたアヌビアスを。
この配分にしておくと、ベタがどの高さで休みたいときも選択肢がある状態になります。
配置が合っていたかどうかは、一週間ほど観察すれば答えが出ます。
ベタが実際に体を乗せて休んでいる場所が一か所でもあれば、その高さの水草は役目を果たしているということ。
逆に、どこにも乗らずに水槽の隅で止まっているなら、あなたの水槽にはまだ休める形の葉が足りていないのかもしれません。
その場合は水草を増やすより先に、葉の広いものを一株、水面から少し下の高さへ足してみてください。
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| 水槽サイズ | 水草の目安量 | 組み合わせの例 |
| 20cm前後 | 1〜2種、合計で片手に乗る程度 | アヌビアス小株1つ+浮草を数枚 |
| 30cm前後 | 2〜3種、水槽の五分の一まで | アヌビアス1株+マツモ3本+浮草 |
| 45cm前後 | 3〜4種、後方と片側にまとめる | 活着水草+アナカリス数本+浮草 |
水槽そのものの大きさに迷いがあるなら、先に器を決めてから水草を選ぶ順番のほうがうまくいきます。
サイズごとの向き不向きはベタの水槽サイズの選び方をまとめた記事で扱っているので、そちらを先に見ておくと二度手間になりません。
ヒレの大きい品種を飼っている場合は、同じ水槽サイズでも必要な空間が変わります。
ハーフムーンやスーパーデルタのように、尾ビレが大きく開くタイプは旋回に必要な直径が想像以上に大きいんですね。
なお、ヒレの形の分類と、体の柄の分類は別の軸なので、同じ「バタフライ」でも尾の開き方は個体によって変わります。
柄と形の呼び名の整理はベタのバタフライの特徴と柄の種類を解説した記事にまとめてあるので、飼っている子のタイプに合わせて余白を調整してみてください。
水草を入れたあとは、しばらく前に座ってベタの動きを見ておくといいかなと思います。
特定の場所で必ず体をひねる、同じ葉のそばで動きが乱れる、といった様子があれば、そこが引っかかっている合図です。
導入前の下処理と注意点
水草は買ってきてそのまま入れるものではありません。
最低限やっておきたい下処理が三つあります。
一つめが、流水でのすすぎです。
販売時の水には、輸送中に落ちた葉や、スネールと呼ばれる小さな貝の卵が混じっていることがあります。
葉の裏まで水を当てて、ゼリー状の卵塊が付いていないかを目で確かめてください。
貝が入ってしまったときの対処
すすぎで取りきれず、あとから小さな巻き貝が水槽に現れることがあります。
これはスネールと呼ばれる貝で、水草に卵の状態で付いてきたものがほとんどです。
ベタに直接の害はありませんが、放置すると増えて景観を損ないます。
対処は単純で、見つけたら手やピンセットで取り除くのを繰り返すだけ。
薬剤で駆除する方法もありますが、ベタは薬に敏感な魚なので、飼育水槽での使用は慎重に判断してください。
そもそも入れたくないなら、水草を別容器で数日ほど管理し、卵が孵るかどうかを見てから水槽へ移す方法が確実です。
二つめが、傷んだ葉の除去です。
黄色く変色した葉や、溶けかけている部分は、水槽に入れてもそのまま腐って水を汚します。
付け根から切り落としておけば、残った健康な部分から新しい葉が伸びてきます。
三つめが、農薬への配慮です。
市販の水草には、害虫を防ぐ目的で農薬を使って栽培されたものが流通しています。
この残留農薬は主にエビ類に強く影響するもので、ベタへの直接的な危険性はエビほど高くありません。
ただ、ベタと一緒にミナミヌマエビなどを入れているなら話は別です。
その場合は「無農薬」または「残留農薬処理済み」と明記された水草を選んでください。
抜けるまでの期間や具体的な処理の考え方は水草の農薬が抜ける期間を調べた記事にまとめてあるので、混泳を考えているなら読んでおくと安全です。
導入したあと、水草が育たないと感じたときの見直し先も挙げておきます。
まず疑うのは光の量で、ベタ水槽は照明を控えめにしがちなので、陰性水草でも足りていないことがあります。
次が水温で、ベタに合わせた25度から28度という範囲は、多くの水草にとっても悪くない条件です。
それでも溶けるようなら、根茎を埋めてしまっている、水流が当たりすぎている、といった置き方の問題を確認してみてください。
水草も器具も、必要なものを一度に把握しておきたいなら、ベタ飼育に必要なものと費用をまとめた記事で全体像を確認しておくと優先順位を決めやすくなります。
なお、ここで挙げた量や日数はあくまで一般的な目安であり、水槽の大きさや照明、個体の性格によって適正は変わります。
水草や用品の仕様は製品ごとに異なるため、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
ベタの様子に不安があるときは、購入したお店や観賞魚を専門的に扱っている方が頼りになります。
最終的な判断は専門家にご相談ください。
ベタ水槽の水草に関するよくある質問(FAQ)
ベタが水草をかじってしまいますが問題ありませんか?
ベタは肉食寄りの魚なので、水草を主食として食べることはありません。つついているのは、葉に付いた微生物や餌の残りを狙っている場合がほとんどです。ただ、餌が足りていないときに葉をかじる個体もいるので、給餌の量と回数を一度見直してみてください。柔らかいマツモは千切れやすいですが、ベタの健康に害があるわけではないので、散らばった破片を取り除けば大丈夫です。
水草を入れたらベタが隠れて出てこなくなりました
導入直後にレイアウトが変わると、警戒して隠れる個体はよくいます。数日から一週間ほどで慣れて出てくることが多いので、まずは様子を見てください。それを過ぎても出てこず、餌の食いつきも落ちているなら、隠れているのではなく体調に理由がある可能性があります。その場合は水草より先に水温と水質を確認してみてください。逆に、水草が多すぎて泳ぐ場所がない状態でも出てこなくなるので、量の見直しもあわせて行うと原因を切り分けやすくなります。
水草を入れると水換えの回数は減らせますか?
減らせるとは考えないほうが安全です。水草は水中の窒素分を吸収しますが、その量は魚が出す老廃物の総量に対してごくわずかにとどまります。特にベタ水槽のような小さな容量では、水質の変化そのものが速いので、水草の吸収が追いつきません。むしろ枯れ葉が沈んで汚れの原因が増える面もあるため、水草を入れたあとも水換えの頻度は変えずに続けてください。
人工水草と本物の水草はどちらが安全ですか?
製品によるので、素材だけで優劣は決まりません。ベタ用として縁を丸く処理した人工水草は、枯れず、農薬の心配もなく、洗えば繰り返し使えるという利点があります。一方で、汎用のビニール製造花は切断面が鋭く残っていることがあり、これは本物の水草より危険です。判断の基準は素材ではなく、縁が引っかからないかどうか。人工水草を選ぶなら、ベタ向けの表記があるものを選び、届いたらストッキングで確かめる手順を挟んでください。
照明がなくても水草は育ちますか?
室内の明かりだけで育つ種類もありますが、長く維持するなら照明はあったほうが確実です。アヌビアスやウィローモスのような陰性水草は弱い光でも枯れませんが、まったく光が届かない場所では少しずつ痩せていきます。窓際に置いて自然光を当てる方法は、直射日光でコケが一気に増えるので避けてください。ベタは強い光を好まないので、明るさを調節できる照明を弱めに使い、一日8時間ほど点けるところから始めると管理しやすくなります。
まとめ:ベタ水槽の水草はヒレを基準に選ぶ
ベタ水槽の水草選びは、育てやすさや見た目より先に、ヒレが引っかからないかどうかで決めるのが基本です。
判断の軸は葉が硬いか柔らかいかではなく、縁や先端に引っかかる構造があるかどうか。
アヌビアス・ナナのように硬くても縁がなめらかな種類は安全に使えますし、逆に柔らかくてもギザギザした葉は避けたほうがいいという関係になります。
迷ったときは、使い古しのストッキングを表面に滑らせて、繊維が引っかからないかを確かめてみてください。
具体的な種類としては、活着させて使うアヌビアス・ナナやミクロソリウム、柔らかいマツモとアナカリス、水面に休み場を作る浮草。
この組み合わせを、水面・中層・底の三層に振り分けると、ベタがどの高さでも体を預けられる環境になります。
量は水槽のおよそ五分の一までにとどめ、片側に寄せて泳ぐ空間を確保する。
浮草は水面の半分以上を必ず開けておく。
この二つを守れば、水草がベタの負担になることはほとんどありません。
そして、水草より先に事故が起きやすいのは造花や流木、底砂のほうだという点も覚えておいてください。
買ってきたものは水槽へ入れる前にひと通り撫でて確かめる。
この習慣がつけば、レイアウトを楽しみながらヒレを守ることは十分に両立します。
最後に、水草は水換えの代わりにはなりません。
環境を整える道具として使いつつ、日々の水質管理はこれまでどおり続けていきましょう。




