台風接近…外のメダカは避難させるべき?迷ったときの考え方
天気予報で台風の進路が自分の地域にかかっているのを見つけたとき、まず頭に浮かぶのが庭やベランダに置いてあるメダカのことだったりしませんか。全部屋内に運び込むべきなのか、それとも外のままで大丈夫なのか。容器が重くて動かせない、置き場所がない、そもそも動かすほうがストレスなんじゃないか。判断がつかないまま風が強くなってきて、結局なにもできなかった、という経験をお持ちの方もいると思います。
台風でメダカに起きるトラブルは、実はそれほど種類が多くありません。増水して容器からあふれ、メダカごと流れ出てしまうこと。強風で容器そのものや、かぶせたふたが飛ぶこと。そして大量の雨で水質と水温が一気に変わってしまうこと。この3つがほとんどです。逆に言えば、この3つに手を打っておけば、外に置いたままでも乗り切れる場面はかなりあるんですよね。
この記事では、まず容器を取り込むかどうかの判断基準を整理して、そのうえで外に残す場合の備え、通過中にやること、そして台風が過ぎたあとの点検と立て直しまでを時系列で並べていきます。ご近所へ迷惑をかけないための注意点もあわせて書いておきますね。あなたの環境で「これはできる、これは無理」と切り分けながら読んでもらえたらと思います。
- 容器を室内へ取り込むかどうかの判断基準
- 外に残す場合の置き場所・ふた・増水への備え
- 台風の前日から通過中にかけての管理と餌やり
- 通過後の点検と、水換えをするかどうかの見極め
台風が来る前にメダカを外でどう守るか
ここでは台風が近づいてきた段階でやることを、判断から順に並べていきます。全部やる必要はありません。あなたの容器のサイズ、置き場所、住環境によってできることは変わるので、上から順に「うちならこれができる」と拾っていってください。
台風でメダカの屋外容器に起きる3つの被害
まず結論から言うと、対策すべきは増水による流出・強風による飛散・雨による水質の急変の3つです。この分類を頭に入れておくと、限られた時間で何を優先すべきかが決めやすくなります。
ひとつめが増水です。屋外の容器は雨をそのまま受けるので、まとまった雨が降ると水位が上がって縁からあふれます。あふれた水と一緒にメダカが流れ出てしまうのが、台風でいちばん多い被害です。特に浅めのトロ舟や睡蓮鉢は、もともと水面から縁までの余裕が少ないので危険度が上がります。卵や生まれたばかりの針子は自力で泳ぐ力が弱いので、水流に逆らえずそのまま流されます。
ふたつめが強風による飛散です。これは容器そのものが倒れたり動いたりする被害と、上にかぶせたすだれや波板が飛ぶ被害の両方を含みます。発泡スチロールの容器は軽いので、水が入っていても風にあおられて位置がずれることがあります。そして飛散でいちばん怖いのは、実はメダカへの被害ではなく飛んだものが人や車に当たることです。ここは後ほど詳しく書きますね。
3つめが水質と水温の急変です。雨水は飼育水より水温が低く、pHも低め(酸性寄り)に傾いています。それが一度に大量に入ると、水温と水質が短時間で動きます。加えて、屋外の容器には泥や落ち葉、飛んできたゴミも入り込みます。台風が過ぎたあとに濁っていたり、水面に葉が浮いていたりするのはこのためです。
ここで押さえておきたいのが、被害の出方は容器の素材とかたちでかなり変わるということです。まず最初に見ておきたいのも、容器の種類ですね。
- 発泡スチロール:軽くて断熱性が高く、水温の急変には強い。ただし風にはいちばん弱く、水が入っていても浮力であおられて位置がずれることがある
- プラ舟・トロ舟:重量があって倒れにくい反面、水面から縁までの余裕が浅い製品が多く、増水であふれやすい
- 睡蓮鉢:重さがあって安定するが、割れると飼育容器としては実用的に元へ戻しにくい
- プラスチックの衣装ケース:軽さと深さのバランスは悪くないが、経年で紫外線劣化したものは飛来物が当たると意外なほど簡単に割れる
つまり、自分の容器がどのリスクに弱いかで、優先すべき対策が入れ替わるんですね。発泡スチロールなら転倒・移動の防止、トロ舟なら排水の逃げ道の確保、というふうに考えると、限られた時間の使いどころが決まってきます。
3つのうち、命に直結しやすいのは圧倒的に「増水による流出」です。時間がなくて1つしか手を打てないなら、まず水位を下げて排水の逃げ道を作ってください。ふたや雨よけは、うまく固定できないなら付けないほうが安全な場面もあります。
容器を室内へ取り込むかどうかの判断基準

結論としては、ひとりで安全に運べる重さで、置く場所が確保できるなら取り込む。それが難しいなら無理をせず、外での対策に切り替えるという判断でいいと思います。取り込むこと自体が目的ではなく、メダカを守ることが目的ですからね。
判断の材料になるのは、次のようなポイントです。あくまで一般的な目安なので、あなたの住環境に合わせて調整してください。
| 条件 | 取り込む | 外に残す |
|---|---|---|
| 容器の水量 | 10L前後まで(ひとりで持てる) | 30L超・トロ舟・池 |
| 置き場所 | 玄関・土間・浴室など水がこぼれてよい場所がある | 室内に置ける場所がない |
| 設置状況 | 台の上・ベランダの手すり近くなど不安定 | 地面に直置きで動きにくい |
| 周囲の環境 | 風の通り道・飛来物が来やすい | 建物の陰・風が回り込みにくい |
| 予報の規模 | 暴風域に入る見込み | 強風域のみ・雨が主体 |
注意しておきたいのは、水を張ったまま容器を持ち上げるのはかなり危険だということです。水は1Lで約1kgあるので、20Lの容器なら水だけで20kg。腰を痛めますし、途中で落とせば容器が割れてメダカも助かりません。運ぶなら、まずバケツで水を半分ほど別容器に移してから動かして、置き場所で戻すのが安全です。運ぶこと自体が無理なら、それは「外で守る」と決めていい状況だと考えてください。
取り込んだ場合は、室内でも油断できません。急に暖かい部屋に入れると水温が上がりますし、密閉された室内では酸素の供給が屋外より落ちます。玄関や北側の部屋など、温度変化が小さい場所を選んで、ふたは完全に閉めずに隙間を残してください。
外に残す場合の置き場所の見直し方
外に残すと決めたら、まず風と飛来物が来にくい場所へ移せないかを考えます。容器ごと動かせなくても、数十センチずらすだけで条件が変わることは意外と多いんですよ。
優先したいのは、建物の壁際や物陰です。風は建物にぶつかると回り込むので、完全な無風にはなりませんが、直接吹き付けるよりはずっとましになります。逆に避けたいのは、建物と建物の間の細い通路。ここは風が集まって速度が上がる場所なので、置き場所としては最悪の部類に入ります。ベランダなら、手すり側ではなく壁側へ寄せてください。
高さも見直しどころです。棚やブロックの上に置いている容器は、風を受けやすいうえに倒れたときの被害も大きくなります。台風が来る前に地面へ下ろせるなら下ろしておく。それだけで転倒のリスクはかなり下がります。地面に下ろすと今度は雨水の跳ね返りで泥が入りやすくなりますが、これは通過後に取り除けば済む話なので、優先順位としては転倒防止が上です。
ベランダで飼っている方には、もうひとつ見ておいてほしいところがあります。ベランダの排水口です。落ち葉や砂、飼育容器から流れ出た水草の切れ端が排水口に溜まっていると、豪雨のときにベランダ全体が水たまりになります。そうなると容器が浮いて動きますし、水が階下やサッシの内側へ回り込むこともあります。台風の前に排水口のゴミを取り除いておくのは、メダカのためであると同時に、住まいを守るための作業でもあるんですよね。
あわせて、避難経路をふさがない配置も意識しておきたいところです。集合住宅のベランダは、隣戸との仕切り板が緊急時の避難経路になっていることが多く、その前に物を置くのは避ける決まりになっています。台風対策で容器をあちこち移動させた結果、仕切り板の前をふさいでしまった、ということが起きないように気をつけてください。この点は建物ごとに規定が違うので、正確なルールは管理規約や管理会社の案内をご確認ください。
もうひとつ、飛来物の元になるものを片付けておくことも大事です。近くに置いてある空のプラケース、園芸用の支柱、じょうろ、掃除用のブラシ。こうしたものが飛んで容器に当たると、割れたり穴が開いたりします。台風のたびに同じ心配を繰り返すようなら、そもそも風の当たりにくい定位置を作ってしまうほうが早いこともありますよ。屋外飼育の置き場所や容器まわりを腰を据えて見直すときは、屋外飼育に向く底砂の選び方もあわせて考えると、通過後の泥の入り方まで含めて整理できます。
ふたや雨よけの飛散防止で近隣に被害を出さない
ここは強く書いておきたいところです。すだれや波板、ブルーシートを容器にかぶせる対策は、固定が不十分だと台風で飛びます。飛んだものが人に当たる、車を傷つける、電線に引っかかるといった事故につながる可能性があります。メダカを守るための対策が、ご近所への加害になってしまっては本末転倒ですよね。
ふた・雨よけをかけるなら、この条件を満たせるときだけ
- 四隅すべてを紐やゴムバンドで容器・柵・支柱に結束できる(重しを載せるだけは不可)
- 強風で持ち上がったときに、飛ぶのではなく破れるか外れて落ちる構造になっている
- 完全密閉にならず、空気の入る隙間を残せる
- 作業をする時点で、まだ安全に外へ出られる風速である
ひとつでも満たせないなら、かぶせないほうが安全です。その場合は増水対策だけに絞ってください。
密閉についても補足しておきますね。雨水を入れたくないからとブルーシートで容器をぴったり覆ってしまうと、水面と空気が触れなくなって酸素が入らなくなります。屋外飼育は水面からの自然な酸素供給に頼っている部分が大きいので、完全に塞ぐのは危険です。特に水温が高い時期は水に溶ける酸素の量がもともと少ないので、酸欠が起きやすくなります。メダカが水面近くで口をパクパクさせるのは酸素が足りていないサインのひとつです。酸欠のサインと見分け方を知っておくと、通過後の判断にも役立ちます。
覆うのであれば、容器の上を半分だけ塞ぐ、あるいは容器より一回り大きい板を少し浮かせて屋根のようにかける形にして、空気の通り道を残してください。もっとも、この「浮かせてかける」形はいちばん飛びやすい形でもあるので、固定に自信がなければやはり見送りが正解です。
どうしても固定したいときの結束材:前述のとおり、四隅をきちんと結束できないならふたはかけないでください。そのうえで固定すると決めたなら、屋外向けの耐候性のある結束バンドが確実です。紐と違ってゆるみにくく、外すときはハサミで切るだけで済みます。
増水対策は水を逃がすか入れないかの二択

増水への対処は、突き詰めるとあふれる前に水を逃がすか、そもそも雨水を入れないかの二択です。台風の直前にできる応急処置としては、前者のほうが確実で手間もかかりません。
いちばん手軽なのは、台風が来る前に水位をあらかじめ下げておくことです。容器の縁から5〜10cmほど余裕を作っておけば、それだけで受け止められる雨量が増えます。抜いた水は捨ててしまって構いませんし、バケツに取っておけば通過後の水換えにも使えます。飼育水をそのまま戻せるので、水質の変化を小さくできるという利点もありますね。
次に有効なのが、縁に排水の逃げ道を作っておく方法です。容器の縁にろ過マットやスポンジを挟んでおくと、水位が上がったときにそこから水が抜けていきます。メダカは通りにくく水だけが出ていくので、応急処置としてはかなり優秀です。時間に余裕があるなら、容器の側面に穴を開けて網を張るオーバーフロー加工まで済ませておくと、以後の大雨でも自動的に水位が保たれます。この加工の具体的な手順やスポンジの挟み方は、メダカの水あふれ防止策とオーバーフロー加工の作り方で詳しくまとめているので、台風シーズンの前に読んでおいてもらえるといいと思います。
この記事では台風という「イベント」への行動を扱っているので、恒久的な排水設備の作り方はそちらに譲りますね。順序としては、シーズン前に排水加工を済ませておいて、台風が来たら水位を下げるだけで済む状態にしておくのが理想です。
もう一方の「そもそも雨水を入れない」側についても触れておきます。これは容器を軒下やベランダの奥、カーポートの下といった屋根のある場所へ動かす方法と、容器の上に雨よけを設ける方法の2つに分かれます。前者は動かせるなら確実で、しかも飛散のリスクがまったく増えないという利点があります。台風のときは風向きが刻々と変わるので、軒下でも横殴りの雨は入ってきますが、それでも直接受けるよりは流入量がかなり減ります。
後者の雨よけを設ける方法は、前の項目で書いたとおり飛散のリスクと表裏一体です。通常の雨なら有効でも、台風のときだけは条件が変わると考えてください。台風前にすだれをいったん外して屋内へしまい、通過後に戻す、という判断のほうが安全な場面は多いです。普段の雨対策と台風対策は同じではないという点は、意識しておいてもらえるといいと思います。
排水の逃げ道を作る材料:家にあるスポンジでも代用できますが、切って使えるろ過マットを1枚常備しておくと、容器の縁の形に合わせて挟めます。台風のたびに買い足すものではないので、シーズン前に用意しておくと慌てずに済みますよ。
台風の前日から当日にかけての餌やりと管理
結論から言うと、台風の前日から通過後しばらくは餌を止めておくのが無難です。メダカは1〜2日食べなくても大きな問題は起きません。むしろ、この時期に餌を与えるほうがリスクが高くなります。
理由は2つあります。ひとつは、食べ残しが水を汚すこと。台風で水質が動いているところに食べ残しが加わると、悪化の速度が上がります。もうひとつは、環境が急変しているときのメダカは食欲そのものが落ちていること。低気圧や水温の低下で動きが鈍くなり、水面まで上がってこなくなる個体も出てきます。与えても食べないなら、水を汚すだけになってしまいますよね。
前日にやっておきたいことを整理すると、こんな流れになります。まず水位を下げて排水の逃げ道を確保する。次に容器の周りの飛びそうなものを片付ける。可能なら容器を風の当たりにくい場所へ寄せる。そのうえで、当日の朝は餌を与えずに様子だけ見る。この4つができていれば、屋外飼育としてはかなり手を打てている状態です。
台風前日のチェックリスト
- 水位を縁から5〜10cm下げる(抜いた水はバケツに取っておくと通過後に使える)
- 縁にろ過マットやスポンジを挟んで排水の逃げ道を作る
- 容器の周囲にある飛びそうなものを片付ける
- 棚や台の上の容器は地面へ下ろす
- ふた・雨よけは四隅を結束できるときだけ。無理なら付けない
- 餌は前日から止める
そして当日、風雨が強まってからは外に出ないでください。容器を見に行きたくなる気持ちはよく分かりますが、暴風のなかでの作業は危険です。台風のあいだにできることはもうありませんし、メダカは思っているより丈夫です。中の様子は通過後に確認すれば間に合います。
台風が過ぎたあとに外のメダカを立て直す手順
ここからは通過後の話です。無事だったかどうかを確かめて、必要な手当てをして、元の状態へ戻していく流れになります。ポイントは「一気に戻そうとしない」こと。台風を越えたメダカは疲れているので、そこへ大きな環境変化を重ねないようにしたいところです。
通過後にまず確認する3つのポイント

外へ出られる状態になったら、数・泳ぎ方・水位の3つを順番に見てください。この順番には理由があります。
最初に数です。ぱっと見て、いつもの群れの規模と比べて明らかに減っていないかを確認します。あふれて流出していれば、容器の周りの地面に流された個体が残っていることがあります。台風直後で地面が濡れているうちなら、まだ生きている可能性もあるので、周囲もざっと見てみてください。すべてを数えきる必要はなく、「大幅に減っていないか」が分かれば十分です。
次に泳ぎ方です。ヒレをたたんで底でじっとしている、水面近くで口を開けている、体を傾けて泳いでいる。こうした個体がいれば、水質か酸素に問題が出ている可能性があります。全体が普通に泳いでいるなら、水がどれだけ濁っていても慌てる必要はありません。濁りそのものより、メダカの様子のほうが優先度の高い判断材料です。
3つめが水位です。あふれた形跡があるか、逆に容器が傾いて水が偏っていないかを見ます。ここで容器の破損や、ふたが飛んで容器に当たった跡などもあわせて確認しておくと、次への備えになります。
濁りやゴミが入ったときの水換えの判断

結論としては、まずゴミを取り除くだけにして、水換えは様子を見てから判断するのがおすすめです。濁っているから全部替える、という反射的な対応がいちばんメダカに負担をかけます。
手順としては、落ち葉や小枝、飛んできたゴミを網ですくって取り除きます。底に泥が溜まっているなら、スポイトやホースで底の泥だけをそっと吸い出す。ここまでやって半日ほど置くと、浮遊している細かい泥が沈んで、水の透明度がある程度戻ってくることが多いです。
そのうえで、まだ濁りが強い、あるいはメダカの動きが鈍いようなら、全体の3分の1程度を目安に水換えをします。全量交換はしないでください。台風で水質が動いているところへ全部新しい水を入れると、変化がさらに大きくなって逆効果になります。前日に抜いておいた飼育水をバケツに残してあれば、それを戻すのがいちばん穏やかな方法です。水換えと水質管理の基本的な考え方は、水の濁りを抑える水換えと餌の決め方にまとめてあります。
餌の再開は、水換えより後です。メダカが普通に泳いで、水面に寄ってくるようになってから、いつもの半分程度で再開してください。すだれや雨よけを戻すのも同じタイミングでいいと思います。水換え・餌・遮光を一度にまとめてやると、それ自体が環境の急変になります。ひとつずつ、間隔を空けて戻していくのが安全です。
底の泥を吸い出す道具:バケツで汲むと水ごと大量に減ってしまうので、泥やゴミだけを狙って抜けるスポイトがあると通過後の作業がラクになります。屋外の容器は深さがあるので、長めのものを選ぶと底まで届きますよ。
海水を含んだ風雨による塩分の影響
先に結論を言っておくと、メダカ本体については、台風の塩分をそれほど心配しなくて大丈夫です。気をつけたいのはむしろ水草や周りの植物のほうなので、そのつもりで読んでもらえたらと思います。
前提として、沿岸部にお住まいの方に知っておいてほしいのが、台風のときの風雨には海水が混ざることがあるという点です。強風が海面から水しぶきを巻き上げて内陸まで運ぶためで、これがいわゆる塩害と呼ばれる現象です。屋外の容器はそれをそのまま受けます。
とはいえ、過度に心配する必要はありません。メダカは塩分に対して比較的強い魚で、飼育の場面では0.5%程度の塩水浴が行われるくらいです。台風で吹き込む程度の塩分でその濃度に達することはまずありません。実際に問題になりやすいのは、メダカ本体より水草や周囲の植物のほうです。ビオトープに植えている植物が台風後に急に傷むことがあるのは、この塩分が理由のひとつと考えられています。
対処としては、通過後に真水で植物の葉を洗い流しておくこと、そして水換えのタイミングで飼育水を入れ替えることで十分です。海から遠い内陸であれば、この項目はほぼ気にしなくて構いません。気になる場合も、いきなり全量を交換せず前項の3分の1を目安にしてください。なお、塩分濃度がどの程度になったかを家庭で正確に測るのは難しいので、数値で管理しようとするより、植物とメダカの様子を見て判断するほうが現実的です。
卵と稚魚を守るための扱い方
成魚より優先して守りたいのが、卵と針子です。体が小さく泳ぐ力が弱いぶん、あふれた水と一緒に流出しやすく、水質の変化にも敏感だからです。繁殖期に台風が来たときは、ここだけでも手を打っておく価値があります。
いちばん確実なのは、産卵床や卵を室内へ移してしまうことです。卵は小さな容器に入れて室内に置いておけば、それだけで台風の影響を受けません。孵化までは水換えも最小限で済むので、数日間なら管理の手間もほとんどかかりません。針子を育てている容器も、水量が少ないぶん軽いので、成魚の容器より運びやすいはずです。
特に見落とされやすいのが、水面に浮かべたままの産卵床です。ホテイアオイや浮かぶタイプの人工産卵床は、増水するとそのまま容器の外へ流れ出ます。卵が付いたまま流出すれば、その分の繁殖はまるごと失われることになりますよね。台風の前に産卵床だけ回収して、タッパーや小さめのプラケースへ移しておく。これは5分もかからない作業なのに、守れるものはかなり大きいです。回収した卵はカルキを抜いた水に浸けて、直射日光の当たらない室内に置いておけば、数日はそのままで問題ありません。
もう一点、針子の容器を室内へ入れるときは水量の少なさが逆に弱点になります。1〜2Lしかない容器は、室温の影響をまともに受けて水温が動きやすいためです。暖房や冷房の効いた部屋ではなく、玄関や北側の廊下といった温度変化の小さい場所を選んでください。屋外に戻すときも、成魚と同じように中間の温度の場所を経由させると安全です。
室内に移せない場合は、針子の容器の水位をしっかり下げておくことと、容器を地面の低い位置に置いて風を受けにくくすることを優先してください。あわせて、容器の縁に細かい目のネットやろ過マットを挟んでおくと、水だけを逃がして針子は残せます。針子の日常的な管理は水量と餌がすべてなので、台風で水が増えて薄まった状態が続かないようにするのが大事です。針子を全滅させないための基本管理もあわせて確認しておくと、通過後の立て直しがしやすくなります。
メダカを外で飼うときの台風対策についてよくある質問
台風のあいだ、メダカは水中で無事でいられますか?
容器の中に留まっていられる限り、メダカ自身は雨風にはかなり耐えます。水中にいるので風は直接当たりませんし、雨粒が落ちてくる程度なら底のほうへ避難します。危険なのは雨そのものではなく、あふれて容器の外へ流れ出てしまうことと、容器が倒れて水がなくなることです。対策の優先順位を「流出と転倒を防ぐ」に置くのはこのためです。
容器を室内に取り込んだあと、外へ戻すタイミングはいつですか?
風が収まって、屋外の気温と容器の水温が大きく違わなくなってから戻してください。取り込んだ室内が暖かかった場合、そのまま外へ出すと水温が急に下がります。目安としては、外に出す前にしばらく玄関や軒下など中間の温度の場所に置いて馴染ませると安全です。戻した直後は餌を控えて、翌日から様子を見ながら再開してください。
雨水がたくさん入った容器は、すぐ水換えしたほうがいいですか?
メダカが普通に泳いでいるなら、急いで換える必要はありません。まずゴミを取り除いて半日ほど置き、それでも濁りが残るか動きが鈍いようなら3分の1程度を交換します。雨水は水温もpHも飼育水と違いますが、大量に入って薄まった状態から一気に別の水へ入れ替えると、変化が二重にかかってしまいます。焦らず段階的に戻すのが基本です。
停電でエアレーションが止まったときはどうすればいいですか?
屋外の容器であれば、もともと水面からの自然な酸素供給が主なので、エアレーションが止まってもすぐに危険な状態にはなりにくいです。心配なら、ふたやシートを外して水面を開放し、コップで水をすくって上から静かに落とすと酸素が入ります。ただしこの作業も、風雨が収まってからにしてください。暴風のなかで屋外へ出るのは避けてください。乾電池式のエアポンプを備えておくのもひとつの手ですが、まずは密閉を避けて水面を確保することが優先です。飼育密度が高い容器ほど酸欠が起きやすいので、この点は日頃の匹数管理とも関わってきます。
台風のあとに何匹か死んでしまいました。何が原因でしょうか?
台風後に見られる原因としては、水質の急変によるストレス、酸欠、そして流出後に戻れなかったケースが多いです。ただ、環境や個体の状態によって理由は変わるので、断定はできません。残った個体が普通に泳いでいるなら、まず水質を整えて餌を控えめにし、環境を落ち着かせることを優先してください。原因の切り分けが難しいときは、正確な情報は各製品の公式サイトをご確認いただき、最終的な判断はアクアショップや専門家にご相談いただくのが確実です。
メダカを外で台風から守るために押さえたい要点
最後に、ここまでの流れを整理しておきますね。
台風でメダカに起きる被害は、増水による流出・強風による飛散・雨による水質の急変の3つ。このうち命に直結しやすいのは流出なので、時間がないときはまず水位を下げて排水の逃げ道を作ることを優先してください。
容器を室内へ取り込むかどうかは、ひとりで安全に運べる重さかどうか、置く場所があるかどうかで決めます。運べないなら外で守ると割り切って構いません。外に残す場合は、風の当たりにくい場所へ寄せる、棚の上から地面へ下ろす、周囲の飛びそうなものを片付ける、の3つが効いてきます。
ふたや雨よけは、四隅を結束できて空気の隙間を残せるときだけ。固定に自信がないなら、かぶせないほうが安全です。飛んだものが人や車に当たる可能性を考えると、ここは慎重すぎるくらいでちょうどいいと思います。餌は前日から止めて、通過後にメダカが水面へ寄ってくるようになってから半量で再開します。
通過後は、数・泳ぎ方・水位の順に確認して、ゴミを取り除いてから水換えの要否を判断します。全量交換はせず3分の1を目安に。水換え・餌・遮光を一度に戻さず、間隔を空けて段階的に元へ戻していってください。卵と針子は流出しやすいので、可能なら室内へ避難させるのがいちばん確実です。
なお、ここで挙げた数値や手順はいずれも一般的な目安であり、容器のサイズ・地域・台風の規模によって適した対応は変わります。飼育結果を保証するものではありません。正確な情報は各製品の公式サイトをご確認いただき、判断に迷う場合は最終的にアクアショップや専門家にご相談ください。何より、暴風のなかで無理に作業をしないことを優先してくださいね。あなたとメダカが無事に台風をやり過ごせることを願っています。


