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メダカが卵を食べる理由と対策|採卵のタイミングと孵化までの卵管理

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水草の茂る明るい水中を泳ぐメダカを写した、採卵と卵の管理を扱う記事の表紙

メダカが卵を食べるのはなぜ?孵化率を上げる採卵の工夫

THE AQUA LAB 所長

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の所長です。

朝、水草に卵がびっしり付いているのを見つけて嬉しくなったのに、夕方にはきれいさっぱり消えていた。産卵床を入れておいたのに卵が増えていかない。メダカの繁殖を始めた方が最初にぶつかるのが、この「卵が消える」現象です。

犯人は多くの場合、親メダカ自身です。自分が産んだ卵を、親が食べてしまう。ひどい話に聞こえるかもしれませんが、これは異常な行動ではなく、メダカにとってごく自然なことなんですね。

つまり、対策の方向は「食べないようにしつける」ではなく「食べられる前に卵を取り出す」になります。この記事では、なぜ親が卵を食べるのかという仕組みを整理したうえで、いつ・どうやって卵を回収すればいいのか、そして回収した卵をどう管理すれば孵化までたどり着けるのかを順番にお話ししますね。

  • 親メダカが自分の卵を食べる理由と条件
  • 食べられる前に卵を回収する採卵の手順
  • 回収のタイミングと容器・水の準備
  • 孵化率を落とさないための卵の管理

メダカが卵を食べるのはなぜか

まずは相手を知るところからです。ここを理解しておくと、後で説明する採卵の手順がなぜそうなっているのかが腑に落ちます。仕組みが分かれば、自分の環境で何を優先すべきかも見えてきますよ。

親が自分の卵を食べるのは自然な行動

結論から言うと、メダカに「自分の卵だから守る」という発想はありません。目の前に口に入るサイズのものがあれば食べる。それだけのことなんですね。

メダカは卵を産みっぱなしにする魚です。産卵床や水草に卵を付着させたら、そこで親の役目は終わります。その後は世話をしませんし、見張ることもありません。むしろ、動き回るうちに卵を見つけたら餌として認識します。

これは残酷なようでいて、自然界では理にかなった仕組みでもあります。メダカは1回の産卵で10〜20粒ほど、シーズン中は毎日のように産み続けます。全部が育てば水域はすぐに飽和してしまう。実際の川や池では、生まれた卵の大半は他の生き物に食べられたり流されたりして、ごく一部だけが成魚になります。大量に産んで、大半が失われることを前提にした戦略だと考えると分かりやすいと思います。

ですから、卵を食べる親メダカを叱っても意味がありませんし、そういう性格の個体を選んで除けるというものでもありません。飼育で繁殖を成功させたいなら、親と卵を物理的に分けること。これがもっとも確実で、効果もはっきりしている対策です。

◆所長のワンポイントアドバイス

「うちのメダカは大人しいから食べないかも」と考えるのは危険です。食卵は性格の問題ではなく、口に入るかどうかの問題です。実際、飼い主が見ていない時間帯に静かに減っていくので、気づいたときには何も残っていない、ということが普通に起こります。

卵が食べられやすくなる条件

飼育密度・餌不足・隠れ場所の少なさ・産卵床の位置という4条件を、食べられやすさの高い順に並べた図
卵が食べられやすくなる環境の条件

親が卵を食べること自体は避けられませんが、食べられる量は環境によって大きく変わります。条件を知っておくと、回収までの猶予がどれくらいあるかの見当がつきます。

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条件 食べられやすさ 理由
飼育密度が高い とても高い 卵を見つける目が増え、餌の取り合いも激しくなる
餌が足りていない 高い 空腹の個体ほど口に入るものを探す
隠れ場所が少ない 高い 卵が親の視界に入りやすい
産卵床が親の遊泳範囲にある 高い 通りがかりに見つかる
水草が密に茂っている やや低い 卵が奥に入り込んで見つかりにくい
親が少数で餌が足りている 低い それでもゼロにはならない

特に効いてくるのが密度です。同じ水槽でも、成魚の数が多いほど卵の消失は早くなります。1匹が見逃しても次の1匹が見つけるので、数が増えるほど「見つからずに残る確率」が下がっていくんですね。

餌の量も関係します。空腹の個体は口に入るものを積極的に探すので、給餌が足りていない水槽では卵の消失が加速します。ただし、だからといって餌を増やせばいいという話でもありません。食べ残しは水を汚しますし、十分に給餌していても食卵が起きたという報告は少なくありません。「空腹だから食べる」とだけ説明されることもありますが、それを前提に餌だけで守ろうとするのは危うい発想です。餌の調整は「少しましになる」程度の効果だと考えておいてください。

もうひとつ知っておいてほしいのが、卵を食べる可能性があるのは親メダカだけではないということです。同じ水槽に何を入れているかによっても、消失のスピードは変わります。同居させているエビは、多くの場合は死んだ卵や苔を食べているだけですが、生きた卵に手を出す個体がいないとは言い切れません。また、屋外の容器ならヤゴやミズカマキリのような水生昆虫が入り込むことがあります。これらは卵よりも泳いでいる成魚や稚魚を狙う捕食者ですが、繁殖用の容器に入り込まれると孵化した針子から順に減っていきます。産卵床を入れた容器をネットで覆っておくと、この経路はまとめて防げます。

そして、先に孵化した稚魚です。少し大きく育った稚魚は、まだ孵化していない卵をつつくことがあります。卵は孵化した順に別容器へ分けていくのが理想で、これは後述する管理の項目にも関わってきます。

食べられた卵と無精卵の見分け方

先に押さえておきたいのは、減った卵のすべてが食べられたわけではないということです。そもそも育たない卵だった可能性もあるので、そこを見分けてから対策を決めましょう。原因が違えば打つ手も変わります。

受精していない卵、いわゆる無精卵は、数日のうちに白く濁って崩れていきます。これは食べられたわけではなく、最初から孵化しない卵だったということです。産卵床に付いていた卵が白くなっていたら、無精卵かカビのどちらかを疑ってください。

見分けの目安を整理しておきます。

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卵の様子 考えられる状態 対応
透明で弾力があり、指で軽く触れても潰れない 有精卵 そのまま管理を続ける
白く濁って柔らかい・すぐ潰れる 無精卵 早めに取り除く
白い綿のようなものに包まれている カビ(水カビ) 周りに広がる前に取り除く
数日で黒い点(目)が見えてくる 順調に発生している有精卵 孵化まで待つ
跡形もなく消えている 食べられた可能性が高い 採卵の運用を見直す

ポイントは、白くなった卵は放置しないことです。無精卵やカビの生えた卵をそのままにしておくと、隣接する健康な卵にまでカビが広がっていきます。白い卵の見分け方と予防については卵にカビが生えたときの対処法で詳しくまとめているので、あわせて確認してみてください。

食べられる前に卵を回収する採卵の工夫

ここからが実践編です。前章で見たとおり、親が卵を食べるのは止められません。だから勝負は「産んでから食べられるまでの間に、いかに取り出すか」になります。時間との勝負というより、仕組みで解決する話ですね。

産卵床ごと回収するのが基本

水面から引き上げられた産卵床の写真と、朝に回収する・卵を外さず産卵床ごと引き上げる・空の産卵床と交換するという3手順を示した図
産卵床ごと引き上げる3つの手順

採卵でもっとも確実なのは、卵を1粒ずつ取るのではなく、産卵床ごと引き上げる方法です。卵に触れずに済むので傷つけませんし、作業も一瞬で終わります。

運用としては、産卵床を2セット以上用意しておくのがコツです。朝に卵の付いた産卵床を引き上げて、代わりに空の産卵床を入れる。これを繰り返せば、水槽には常に産卵場所がある状態を保てます。1セットしかないと、引き上げている間に産卵場所がなくなってしまいます。

引き上げた産卵床は、そのまま別容器へ移します。ここで卵を外す必要はありません。産卵床に付いたままでも孵化しますし、むしろ卵を外す作業で潰してしまうリスクのほうが大きいです。産卵床の種類や自作の方法は産卵床の選び方と卵回収のコツにまとめてあります。

産卵床の素材によって、回収のしやすさも変わってきます。よく使われるものを比べておきますね。

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産卵床の種類 回収のしやすさ 特徴
人工産卵床(フロート付き) とても楽 浮いているのでつまんで引き上げるだけ。卵も見つけやすい
シュロ・毛糸などの自作 安く量を作れる。色が濃いと卵が見えにくい
ホテイアオイ やや手間 根に産む。根ごと切るか株ごと移す。冬越しが難しい
マツモなどの水草 手間 卵が奥に入り込んで見つけにくい。切って移すことになる

回収の手間だけで言えば、白っぽい色の人工産卵床が扱いやすいです。卵が透明なので、濃い色の素材だと目視で見つけにくいんですね。数を採りたいシーズン中は、見つけやすさがそのまま作業の速さになります。

ひとつ注意点があります。産卵床を入れる位置です。親メダカがよく泳ぐ場所に置くと、通りがかりに卵を見つけられてしまいます。水面近くで、なるべく親の動線から外れた場所に浮かべておくと、消失までの猶予が少し伸びます。産卵床を入れる時期の判断は水温と日照で決める産卵床のタイミングを参考にしてみてください。

入れ替え用にもう1セット揃えるなら:本文で書いたとおり、産卵床は2セット以上あると回収と補充を同時に回せます。まとめ売りのものなら1セットあたりの単価が下がるので、複数の容器で採卵している方ほど無駄がありません。すでに手持ちがあるなら、まずはそれを2つに分けて使ってみてください。

回収のタイミングは朝がよい理由

採卵の時間帯には、はっきりとした最適解があります。朝、できれば午前中の早い時間に回収するのがおすすめです。

理由は産卵の時間にあります。メダカは明け方から午前中にかけて産卵する傾向があり、産んだ直後のメスはお腹に卵の塊をぶら下げた状態で泳ぎます。その後、水草や産卵床に体をこすりつけて卵を付着させる。この一連の流れが午前中に集中するんですね。

つまり、朝に回収すればその日に産まれた卵をほぼまるごと確保できるということです。逆に夕方まで放置すると、半日以上のあいだ卵が親の目にさらされることになります。この差が、そのまま回収できる数の差になって表れます。

回収に行く前に、メスのお腹を見ておくと空振りが減ります。産卵直後のメスは、お腹の下に小さな透明の粒の塊をぶら下げた状態で泳いでいます。この状態を見かけたら、その日は確実に産卵があったということです。逆に、どのメスもぶら下げていないなら産卵床を引き上げても収穫はないかもしれません。卵を探す前にメスを見るという順番にすると、無駄に産卵床を動かさずに済みます。

毎日は難しいという方もいると思います。その場合でも、2〜3日に1回のペースで回収できていれば十分に数は確保できます。大事なのは頻度より継続で、シーズン中はコンスタントに産み続けるので、たまに取れれば増えていきます。完璧を目指さず、続けられるペースを決めることのほうが結果につながりますよ。

もうひとつ、回収のときに使う道具についても触れておきます。産卵床ごと引き上げるなら手でつまむだけで足りますが、水草に付いた卵や壁の卵を扱うときはピンセットやスポイトがあると作業が安定します。特にスポイトは、外した卵を吸って別容器へ運ぶのに便利です。網ですくおうとすると卵が網目に絡んで潰れることがあるので、卵に関しては網を使わないほうが安全ですね。

水草や壁に産みつけられた卵の外し方

産卵床を入れていても、メダカは水草やフィルターの吸盤、水槽の壁など思わぬ場所に卵を付けます。こうした卵は無理に外そうとしないほうがいい場合もあります

水草に付いている場合は、その水草ごと切り取って別容器へ移すのがいちばん安全です。卵を指でつまんで外すこともできますが、メダカの卵は思ったより丈夫とはいえ、力加減を誤ると潰れます。切れる部分なら切ってしまうほうが早くて確実です。

壁や器具に付いている卵は、指の腹でそっと転がすようにすると外れます。爪を立てるとその瞬間に潰れるので、必ず指の腹を使ってください。外した卵は水を張った小さな容器に落とし、その容器ごと管理用の入れ物へ移します。空気中に長く出さないことが大事です。

なお、卵は付着糸という細い糸で束になっていることがあります。この糸が絡まって団子状になっていると、内側の卵に水が回らずカビやすくなります。団子状の卵はできるだけほぐして1粒ずつに分けるほうが、結果的に孵化する数は増えます。指の腹で優しく転がすとほどけますよ。

ほぐす作業は、水を張った浅い皿の中でやると失敗しにくいです。乾いた指で直接触ると卵の表面が張り付いてしまうので、指も濡らした状態で行ってください。力はほとんど要りません。転がしているうちに糸がほどけて、ぱらぱらと分かれていきます。うまくほどけないときは無理をせず、そのまま管理して様子を見るという判断でも構いません。

メダカの卵は、魚の卵としては比較的しっかりしています。指で軽く触れた程度では潰れませんし、健康な卵ならある程度の力を加えても弾力で戻ります。逆に言えば、指で軽くつまんだだけで潰れる卵は、その時点ですでに無精卵か死んだ卵だということです。判断に迷ったときの見分け方としても使えるので、覚えておくと便利ですよ。

回収した卵を管理する容器と水

回収した卵をどこに置くかですが、浅くて口の広い容器に、浅く水を張るだけで十分です。むしろ立派な設備は要りません。

使う水は、カルキを抜いた水道水で構いません。元の飼育水を使う方法もありますが、飼育水には有機物が多く含まれているぶんカビが出やすくなります。卵の管理に限っては、きれいな新しい水のほうが扱いやすいです。
なお、飼育者のあいだには「目が見えるようになるまではあえてカルキを抜かない水道水を使い、塩素でカビや雑菌を抑える」という手法もあります。どちらが正解と決まっているわけではないので、まずは扱いやすいカルキ抜きの水から試して、カビに悩むようなら別の方法を検討するという順番でいいと思います。水深は3〜5cm程度で、卵が沈んで底に触れる浅さがちょうどいいですね。

置き場所は、直射日光の当たらない明るい場所を選んでください。日光が長時間当たると水温が上がりすぎますし、逆に暗すぎると発生が進みにくくなります。窓際の少し奥、といったイメージです。

この浅い容器での管理なら、エアレーションは不要です。水量が少ないぶん水面から酸素が入りますし、強い水流で卵が転がされ続けるのは避けたいところだからです。ただし、大きめの容器で数多く管理する場合は、ごく緩やかな水流をつけたほうがよいとする考え方もあります。容器のサイズによって最適解が変わると理解しておいてください。いずれの場合も、1日1回程度は水を替えるようにしてください。全部入れ替えて構いません。卵は水質の急変に成魚ほど敏感ではないので、こまめに新しい水にするほうがカビを抑えられます。

水を替えるときのコツもひとつ。容器を傾けて古い水を静かに捨て、卵が容器の底に残った状態で新しい水を注ぐ、という手順にすると卵を流さずに済みます。産卵床ごと管理している場合は、産卵床をいったん別の器に移してから水を替えるほうが確実です。うっかり卵ごと排水口へ流してしまう事故は、慣れてきた頃にこそ起きやすいので気をつけてください。

容器の数についても触れておきます。回収した日ごとに容器を分けておくと、管理がぐっと楽になります。同じ容器に日をまたいで卵を足していくと、発生の段階がばらばらになって「これは順調な卵か、止まった卵か」の判断がつきにくくなるんですね。日付を書いた付箋を貼っておくだけでも、孵化予定の見当がついて扱いやすくなりますよ。

なお、卵の管理に薬品を使う方法を紹介している情報も見かけますが、用法や濃度は製品ごとに異なりますし、扱いを誤れば逆効果にもなります。使う場合は必ず製品の説明書きを確認してください。ここまで挙げた「浅い容器・きれいな水・毎日の交換・白い卵の除去」だけでも、孵化までは十分に持っていけます。

卵の管理容器の準備

  • 浅くて口の広い容器(タッパーやプリンカップでも可)
  • 水はカルキを抜いた水道水。水深3〜5cm程度
  • 直射日光を避けた明るい場所へ置く
  • エアレーションは不要。水流は当てない
  • 1日1回を目安に水を替える
  • 白くなった卵を見つけたらその都度取り除く

卵を運ぶ道具を用意するなら:外した卵を別容器へ移すときや、白くなった卵を取り除くときに、スポイトがあると作業が安定します。網ですくうと卵が網目に絡んで潰れることがあるので、卵の扱いにはスポイトのほうが向いています。容器ごとに1本ずつあると、使い回しの手間もなくなりますよ。

親を隔離するという選択肢

ここまでは卵を取り出す方法でしたが、逆に親のほうを動かすという発想もあります。状況によってはこちらのほうが手間が少ないです。

具体的には、産卵用の水槽を別に用意して、産卵させたい親だけをそこへ移します。数日そこで産ませたら親を元の水槽へ戻す。すると産卵水槽には卵だけが残るので、そのまま孵化を待てます。産卵床の入れ替えも卵の回収も不要になるわけですね。

この方法が向いているのは、水槽をもう1つ用意できる方、そして特定の親から採りたい方です。品種を維持したい場合、どの親から生まれた卵かをはっきりさせられるのは大きな利点になります。

組み合わせとしては、オス1匹に対してメス2〜3匹くらいが扱いやすいとされています。オスが多すぎるとメスが追い回されて消耗しますし、メスばかりでは受精しない卵ばかりになります。親を選んで移すときは、この比率を意識してみてください。

一方で、親を移動させること自体がストレスになる点は理解しておいてください。移動直後は産卵が止まることがありますし、水質が違う水槽へ急に移すと体調を崩します。移すときは元の水槽の水を使って水合わせをすることと、産卵が落ち着くまで数日待つことを見込んでおくと安心です。繁殖全体の流れを整理したい方は産卵条件から針子育成までの手順を通しで見ておくと判断しやすくなります。

採卵後に孵化率を上げる卵の管理

無事に卵を回収できたら、次は孵化までの管理です。ここでの失敗はカビと見落としに集約されるので、この2つを潰していけば孵化率は自然に上がっていきます。

無精卵とカビの卵を早く取り除く

スポイトで卵を扱う写真に、無精卵の放置でカビが広がること・毎日白い卵を取り除くこと・団子状の卵をほぐすことを添えた図
毎日の観察と白い卵の除去

卵の管理でいちばん効くのは、白くなった卵をこまめに取り除くことです。ここを毎日やるかどうかで、最終的に孵化する数が変わります。

理由はカビの広がり方にあります。水カビは死んだ卵を足場にして増殖し、そこから隣接する健康な卵へと広がっていきます。1粒の無精卵を放置したせいで、周りの10粒までダメになる。これが実際に起きることなんですね。

作業自体は簡単です。1日1回、容器をのぞいて白い卵を探し、スポイトで吸い出すか指でつまんで捨てる。それだけです。特に回収から2〜3日目は無精卵が白くなってくる時期なので、この頃は念入りに見てあげてください。

透明なままの卵は順調です。日数が経つと中に黒い点が2つ見えてきますが、これは目です。目が確認できれば孵化はもうすぐなので、そこまで来たら余計なことをせず静かに待ちましょう。水温別の孵化日数の目安は積算温度から孵化日を計算する方法で確認できます。

発生が進む様子を知っておくと、「これは順調なのか、それとも止まっているのか」の判断がしやすくなります。おおまかな流れはこんな具合です。

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時期の目安 卵の見え方 この時期の判断
回収した日 透明で丸く、弾力がある 白いものは無精卵として取り除く
2〜3日後 中に細かい粒や筋が見えてくる 白く濁ったものが出てくる時期。念入りに確認
中盤 黒い点(目)が2つ確認できる ここまで来ればかなり有望
孵化直前 中で稚魚の形が見え、動くことがある 触らず静かに待つ

日数を書いていないのは、水温によって進み方がまるで変わるからです。同じ「2〜3日後」でも、水温が高ければもっと早く進みますし、低ければ倍近くかかることもあります。日数で測るより、卵の見え方で段階を判断するほうが確実だと思います。

ひとつ補足しておくと、目が見えてきた段階の卵は比較的丈夫です。逆に回収直後から数日のあいだがいちばんデリケートで、この時期にカビや無精卵の崩壊が集中します。最初の数日を丁寧に見るだけで、最終的に孵化する数はかなり変わります

卵の管理でやりがちな失敗

最後に、よくある失敗をまとめて潰しておきます。どれも知っていれば避けられるものばかりです。

孵化率を下げてしまう行動

  • 白くなった卵を「まだ分からないから」と残しておく(周りに広がります)
  • 卵の容器にエアレーションを入れて水流を当てる
  • 団子状に固まった卵をほぐさずそのまま管理する
  • 容器を直射日光の当たる場所に置いて水温を上げすぎる
  • 孵化した針子を卵と同じ容器に入れたままにする
  • 水を替えるのが面倒で数日放置する

特に見落とされやすいのが最後の2つです。孵化した針子をそのままにしておくと、育った稚魚がまだ孵化していない卵をつつくことがあります。孵化を確認したら、針子だけを別の容器へ移してください。ここから先は針子の管理に切り替わるので、針子の育て方の基本へ進んでもらえたらと思います。

水替えの放置も効いてきます。卵は餌を食べないので水が汚れないと思われがちですが、実際には無精卵の崩壊やカビの発生で水質は動きます。1日1回の交換が難しければ2日に1回でも構わないので、放置しないことを意識してください。

もうひとつ、意外と多いのが温度を上げて孵化を早めようとする失敗です。水温が高いほど発生は早く進むので、つい上げたくなるんですよね。ただし急に上げると発生が乱れることがありますし、高すぎる水温は水中の酸素も減らします。孵化を早めたい気持ちは分かりますが、水温は安定していることのほうが大事です。日ごとの変化を小さく保つほうが、結果的に多く孵ります。

逆に、寒い時期に卵を採った場合は「何日経っても孵らない」ことがあります。これは失敗ではなく、単に水温が低くて発生がゆっくり進んでいるだけのことが多いです。白くなっていない透明な卵なら、まだ生きています。焦って環境を動かさず、そのまま待ってあげてください。孵化しないからといって卵を捨てるのは、白く濁ってからで十分です。

メダカが卵を食べる問題に関するよくある質問(FAQ)

卵を食べない親メダカを選べば解決しませんか?

残念ながら、そういう選び方はできません。卵を食べるのは特定の個体の性格ではなく、メダカという魚全体の性質だからです。目の前に口に入るサイズのものがあれば食べる、という反応なので、大人しい個体でも状況がそろえば食べます。品種や血統による差もほとんど期待できません。親と卵を物理的に分ける、という方向で考えるほうが確実です。

餌をたくさん与えれば卵を食べなくなりますか?

空腹の個体ほど積極的に卵を探すので、給餌が足りていない状態よりはましになります。ただし満腹の個体でも目の前にあれば食べるので、餌の量で解決する問題ではありません。むしろ与えすぎは食べ残しによる水質の悪化を招き、産卵そのものにも影響します。餌は適量を保ったうえで、採卵の運用のほうで確実に守るという考え方が現実的です。

卵は産卵床から外したほうがいいですか?

外さなくても孵化します。むしろ外す作業で潰してしまうリスクのほうが大きいので、産卵床ごと管理容器へ移すのが基本です。ただし卵が団子状に固まっている場合は、内側の卵に水が回らずカビやすくなるので、指の腹でそっとほぐして1粒ずつに分けてあげてください。爪を立てないことだけ気をつければ、思ったより丈夫です。

回収した卵の水は毎日替えないとダメですか?

毎日が理想ですが、2日に1回でも問題ないことが多いです。大事なのは頻度そのものより、白くなった卵を溜めないことです。無精卵やカビた卵を取り除いていれば水はそれほど汚れませんし、逆にそれらを放置していると毎日替えてもカビは広がります。水替えと白い卵の除去はセットで考えてください。

産卵床を入れているのに卵が付きません。なぜですか?

いくつか可能性があります。そもそも産卵していない(水温や日照が足りない、栄養不足、オスがいない)、産卵はしているが産卵床まで到達する前に食べられている、あるいは産卵床の材質や設置位置がメダカの好みに合っていない、といったところです。まずメスがお腹に卵をぶら下げているかを確認してください。ぶら下げているなら産卵はできているので、産卵床の位置や種類を見直す番になります。

メダカが卵を食べる問題と採卵のまとめ

ここまでの内容を整理しておきますね。

親メダカが自分の卵を食べるのは、異常な行動ではなく自然な性質です。メダカに卵を守るという発想はなく、口に入るものは食べます。ですから対策の方向は「食べさせない」ではなく「食べられる前に取り出す」になります。

食べられやすさは環境で変わります。飼育密度が高い、餌が足りていない、産卵床が親の動線上にある。こうした条件が重なるほど消失は早くなります。ただし条件を整えても食卵がゼロになることはないので、採卵の運用で確実に守るのが現実的です。

採卵の基本は、産卵床ごと引き上げること。卵を1粒ずつ外す必要はありません。産卵床を2セット以上用意して、朝に卵付きを引き上げて空のものと入れ替える。この繰り返しで安定して確保できます。メダカは明け方から午前中に産卵する傾向があるので、朝の回収がもっとも効率的です。

回収した卵は、浅くて口の広い容器にカルキを抜いた水を張って管理します。エアレーションは不要で、むしろ水流は当てないほうがいいです。そして毎日1回、白くなった卵を取り除く。この作業が孵化率をいちばん左右します。1粒の無精卵を放置すると、そこから周りの卵にカビが広がっていきます。

孵化した針子を見つけたら、卵と同じ容器に置いたままにせず別へ分けてください。育った稚魚が未孵化の卵をつつくことがあります。ここから先は針子の管理へバトンタッチです。

なお、ここで挙げた数値や手順はいずれも一般的な目安であり、水温・季節・品種・個体の状態によって適した対応は変わります。飼育結果を保証するものではありません。飼育器具や用品については各製品の公式サイトで仕様をご確認いただき、判断に迷う場合は購入されたアクアショップや専門家にご相談ください。あなたの水槽から、たくさんの針子が生まれてくれることを願っています。

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