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メダカの引っ越しはどうする?屋外容器と青水の運び方・新居での再開手順

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水草の浮いた睡蓮鉢でメダカが泳ぐ様子を背景に、屋外飼育のメダカの引っ越し手順と注意点というタイトルを掲げた表紙スライド

引っ越しでメダカをどう運ぶ?屋外の容器から新居までを整理しました

THE AQUA LAB 所長(イラスト)

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の所長です。

引っ越しが決まったとき、メダカを飼っている方が最初にぶつかるのが「あの容器、どうやって持っていこう」という問題ではないでしょうか。屋外の睡蓮鉢やトロ舟で飼っていると、そもそも水を張ったまま動かせませんし、匹数が多ければペットボトル数本では足りません。卵や稚魚がいる時期なら、なおさら悩ましいですよね。

先に結論をお伝えすると、メダカの引っ越しは熱帯魚の水槽を運ぶのとは考え方が違います。ポイントは、容器ごと運ぼうとしないこと、そして水と底の一部を持っていくことです。メダカは日本の四季に適応した魚なので、一年をかけた緩やかな水温の移り変わりには強く、熱帯魚のように一定の高水温を保つ設備は要りません。ただし短時間で数℃動くような急な変化には他の魚と同じように弱く、水質の急変にはさらに弱い。だから設備は減らせても、飼育水を持っていく手間と、到着後に時間をかけて温度を合わせる手間は省けないんです。

この記事では、屋外容器の扱い、動かす時期の選び方、卵と稚魚がいるときの判断、匹数に合わせた運搬容器、青水を持っていくかどうか、そして新居での立ち上げまでを順に整理していきます。あわせて、引っ越し先で飼えなくなったときに絶対にやってはいけないことにも触れます。

  • メダカの引っ越しが熱帯魚と違う3つの理由
  • 屋外容器と時期・卵と稚魚の判断基準
  • 匹数に合わせた運搬容器と酸欠対策
  • 新居での立ち上げ手順と放流してはいけない理由

メダカの引っ越しで先に決める屋外容器と時期

当日の運び方を考える前に、決めておくべきことが3つあります。屋外容器をどうするか、いつ動かすか、卵と稚魚をどう扱うかです。ここを先に決めておくと、当日の作業がぐっと軽くなりますよ。

熱帯魚とは事情が違うメダカ特有の3つの論点

結論から言うと、メダカの引っ越しで難しいのは、水温ではなく容器・水・数の3点です。

ひとつめは容器です。熱帯魚は室内のガラス水槽が基本なので、水を抜けば荷物として運べます。室内水槽をどう運ぶかは熱帯魚の引越しで使える容器と手順をまとめた記事で整理しているので、両方を飼っている方はあわせて確認してください。ところがメダカは屋外の睡蓮鉢、トロ舟、発泡スチロール容器で飼っている方が多く、これらは重くて大きく、そもそも室内水槽と同じ扱いができません。

ふたつめは水です。屋外容器の水は、日光と時間をかけて育った独特の環境です。植物プランクトンが増えた青水(グリーンウォーター)になっていることも多く、これは稚魚の餌にもなる貴重な水です。新居で水道水から作り直すとなると、また時間がかかります。

みっつめは数です。メダカは繁殖しやすいので、気づけば数十匹、容器が複数、というのはよくある話です。熱帯魚の水槽1本を運ぶのとは、必要な容量がまったく違ってきます。

この3点が重なると、作業量は熱帯魚の水槽1本とは比較になりません。たとえばトロ舟2つと発泡スチロール容器3つで飼っている場合、運ぶ対象は容器5つ、飼育水、底の赤玉土、水草、産卵床、そしてメダカ本体と稚魚に分かれます。これを引っ越し当日の朝にまとめてやろうとすると確実に破綻します。だからこそ、後述する「先に決めておくこと」が効いてくるわけです。

一方で、設備の面ではメダカのほうが身軽です。メダカは日本の四季に適応した魚で、ある程度の水量と水深が確保できていれば、屋外で水面が薄く凍るような冬も越します。ヒーターが要らないので、引っ越し先で加温設備を用意し直す必要はありません。

ただし、ここは取り違えないでください。メダカが強いのは季節をかけた緩やかな変化であって、短時間で数℃動くような急な変化には他の魚と同じように弱い魚です。そして水質の急変にはさらに弱い。運搬中に水温が動いても平気、という意味ではありません。だからこそ、飼育水を持っていくことと、到着後に時間をかけて温度を合わせることが最優先になります。

屋外容器は容器ごと運ばず中身を持っていく

メダカ・飼育水・底砂と水草の3つに分けて運ぶ方法を、それぞれの扱い方の説明とともに並べたスライド
容器と中身の分け方

屋外で飼っている場合、まず決めたいのが容器そのものをどうするかです。

おすすめは、容器は空にして荷物として運び、中身(メダカ・飼育水・底の一部・水草)を別に運ぶ方法です。水を入れたまま動かすのは現実的ではありません。60リットルのトロ舟に水を張れば、それだけで60キロを超えます。持ち上げれば容器が変形したり、底が抜けたりする危険もあります。

容器の種類によって扱いも少し変わります。睡蓮鉢のような陶器は重く、割れる可能性があるので、空にしてから毛布やエアクッションで包んでください。プラ舟(トロ舟)は空にすれば軽いのですが、大きくて車に積みにくいので、事前に積載できるサイズかを確認しておきます。発泡スチロール容器は軽い反面、経年で脆くなっていることがあり、持ち上げたときに縁が欠けることがあります。何年も使っている容器なら、引っ越しを機に買い替えるほうが結果的に安く済むこともありますよ。

作業の順番はこうなります。まず網でメダカをすくって運搬容器へ移します。次に飼育水をバケツやポリタンクに汲み取ります。このとき、上澄みではなく容器の中ほどの水を取ってください。底の沈殿物を巻き上げすぎない範囲で、しかし水そのものはできるだけ多く確保します。続いて底砂や赤玉土を、飼育水で湿らせたまま袋へ移します。ここにバクテリアが多く住んでいるので、洗わずそのまま持っていくのがコツです。水草も飼育水で湿らせて袋に入れます。最後に容器を空にして洗い、荷物として梱包します。

屋外容器を扱う感覚は、台風のときに容器を守る作業と似ています。屋外の容器を動かすかどうかを判断する考え方をまとめた記事も、水位や置き場所を決めるときの参考になるはずですよ。

屋外容器の水を全部捨ててしまうのは避けてください。新居で水道水から立ち上げ直すと、水が安定するまでに時間がかかり、その間メダカに負担がかかります。持っていける量には限りがありますが、可能な限り多く運ぶほど新居での立ち上げが楽になります。目安として、新しい容器の水の3分の1から半分を元の飼育水でまかなえると安心です。

容器が古くなっていて買い替えるなら、新居のベランダに置くことを考えて、大雨のときに水があふれないオーバーフロー穴つきのものを選んでおくと安心です。一例を挙げておきますね。今の容器がまだしっかりしているなら、そのまま運べば十分です。買う場合は、水を入れたときの重さと置き場所の耐荷重を先に確認してください。サイズや仕様は製品によって違うので、購入前に各ショップでご確認ください。

避けたい時期と動かしやすい時期

引っ越しの日程を自分で選べることは少ないと思いますが、時期によってやることが変わるので、自分がどの時期に当たるかは把握しておきましょう。

時期 メダカの状態 引っ越しで気をつけること
春(3〜5月) 活動を再開し、5月ごろから産卵が増える 卵と稚魚の扱いを決める。水温上昇で酸欠が起きやすい時期でもある
夏(6〜8月) 6月は産卵が多いが、7〜8月の高水温では鈍りやすい 高水温と酸欠に注意。稚魚が多く、容器も増えているので運搬量が最大になりやすい
秋(9〜11月) 産卵が終わり落ち着く 比較的動かしやすい。冬に備えた体力づくりの時期なので、餌止めは短めに
冬(12〜2月) 低水温で活動が落ちる 水温を上げない。暖房の効いた室内に長く置くと目覚めてしまう

※地域や飼育環境で前後します。ご自身の容器の水温と、メダカの様子で判断してください。

どの時期でも共通してやっておきたいのが、餌止めです。出発の2〜3日前から給餌を止めるか、ごく少量にとどめてください。餌を食べた直後のメダカは排泄も多く、狭い運搬容器の中で水を汚します。水が汚れればアンモニアが増え、酸欠と重なって一気に状態が悪くなります。健康な成魚なら数日食べなくても問題になりにくいので、運搬中の水質を優先してください。ただし秋の引っ越しだけは例外で、冬に備えて体力をつける時期にあたるため、餌止めは前日からの1日程度に短めにしておくほうが安心です。

もし日程を選べるなら、秋が最も動かしやすい時期です。産卵が落ち着いていて稚魚も少なく、水温も穏やかだからです。逆に夏は、酸欠のリスクと運搬量の多さが重なるので、いちばん手間がかかります。

冬に引っ越す場合の注意点はひとつだけ、水温を上げないことです。冬のメダカは活動を落としてエネルギーを節約しています。ここで暖房の効いた部屋に長時間置くと、水温が上がって目覚め、体力を使ってしまいます。冬の運搬は、暖房を効かせすぎない環境で、静かに運ぶのが正解です。冬のメダカがどういう状態にあるのかは、底でじっとしているのが冬眠なのか不調なのかを見分ける記事で整理しています。引っ越し後に様子がおかしいと感じたときの判断材料にもなりますよ。

卵と稚魚がいるときの扱いを先に決める

卵は水から出さず別容器で運ぶこと、稚魚は親と分けて水ごと静かに運ぶことを、メーカー公式の案内とあわせて示したスライド
卵と稚魚がいる場合の扱い方

春から夏にかけての引っ越しで、いちばん判断が要るのがここです。

まず卵です。産卵床についた卵は、水から出さなければ移動できます。飼育水を入れた小さな容器に産卵床ごと入れて運べば大丈夫です。ただし、孵化直前の卵は振動に弱いので、揺れの少ない場所に置いてください。引っ越しの直前に採卵を止めて、孵化しそうな卵だけを別容器にまとめておくと管理が楽になります。

卵を運ぶときの容器は、口の広い小さなプラケースやタッパーが扱いやすいです。産卵床を沈めた状態にして、水は容器の半分ほど。フタは密閉せず、揺れて水があふれない程度に乗せておきます。卵は水の中にいれば酸素をそれほど消費しないので、エアレーションは不要です。むしろ気をつけたいのは温度で、車内で高温になると孵化が急に進んだり、逆に低温が続くと発生が止まったりします。メダカ本体と同じ発泡スチロール箱に入れて、温度をまとめて管理するのが手堅い方法です。

次に稚魚です。孵化したばかりの針子は、遊泳力が弱く、水の動きそのものが負担になります。ジェックスの公式解説でも、孵化した稚魚は成魚に食べられる恐れがあるため別容器へ移すこと、その際は飼育水や砂利ごと移してろ過バクテリアも一緒に移すこと、そしてエアレーションをつけると遊泳力の弱い稚魚が衰弱する恐れがあることが案内されています(出典:ジェックス公式サイト)。

これは引っ越しの運搬でもそのまま当てはまります。つまり稚魚は、親メダカと同じ容器に入れず、飼育水ごと静かに運ぶ。エアレーションで強く撹拌しない。この2点を守ってください。すくうときも網ではなく、レンゲやカップで水ごと移すほうが体表を傷めません。

稚魚の育成そのものについては針子の餌と水換え、容器の基本をまとめた記事にありますので、引っ越し後の立て直しにはそちらも役立ててください。

◆所長のワンポイントアドバイス

引っ越しが決まった時点で採卵を一度止める、という選択も十分に合理的です。産卵床を抜いておけば、当日に運ぶ容器の数が減ります。数週間の中断でメダカが産まなくなるわけではないので、落ち着いてから再開すれば十分に間に合います。運ぶものを減らすことが、いちばん効くリスク対策です。

新居のベランダで続けられるかを確認する

意外と見落とされるのが、引っ越し先で今までと同じ飼い方ができるかどうかです。ここは物件を決める段階で確認できると理想的です。

屋外飼育で確認したいのは、次の点です。ベランダに水を置いてよいか、避難通路や隔て板の前を塞いでいないか、階下への水漏れを防げるか、日照はどれくらいあるか、重量物を置いても問題ないか。マンションのベランダは共用部分にあたることが多く、避難の妨げになる物を置けない決まりになっている物件がほとんどです。トロ舟や睡蓮鉢は水を入れると相当な重さになるので、置き場所も含めて管理規約を確認しておきましょう。

日照も大切です。今までしっかり日が当たる場所で飼っていて、新居では日陰しかない、という場合は青水が維持できず、水草も育ちにくくなります。逆に、西日が強く当たる場所だと夏の水温が上がりすぎます。

屋外が難しそうなら、室内飼育への切り替えも選択肢に入ります。メダカは屋内でも飼えますが、日照が減るぶん繁殖のリズムは変わりますし、冬の水温をどうするかという判断も出てきます。室内と屋外で何が変わるのかは、冬の室内飼育と繁殖でヒーターの要否がどう変わるかを整理した記事にまとめてあります。引っ越しを機に飼い方を変えるなら、先に読んでおくと判断しやすいですよ。

メダカの引っ越し当日の運び方と新居での再開

ここからは当日の作業です。運搬容器の選び方、酸欠対策、青水の扱い、そして新居に着いてからの手順を順に見ていきます。

匹数で変わる運搬容器の選び方

メダカの運搬でまず決めるのが容器です。匹数によって適した容器が変わります。

匹数の目安 向いている容器 入れる水の量 補足
数匹 ペットボトル・プリンカップ 容器の7割 空気の層を残す。短時間向き
10匹前後 フタつきバケツ・保存容器 容器の7割 フタは密閉せず、揺れで漏れない程度に
数十匹〜 ポリタンク(未使用のもの) 容量の7〜8割 20L前後が扱いやすい。口が狭いので取り出しは網より水ごと
稚魚 親とは別の小容器 飼育水のまま 撹拌しない。レンゲ等で水ごと移す

※水温・移動時間・魚のサイズで変わります。余裕を持たせた容量で判断してください。

ポリタンクを使う場合は、必ず未使用のものを用意してください。灯油用として使ったタンクは、洗ってもわずかに成分が残ることがあります。ホームセンターで新品を買い、水道水でよくすすいでから使いましょう。同じ理由で、洗剤や漂白剤を使ったバケツも避けてください。使うなら水だけで洗ったものを選びます。

複数の容器で飼っている場合、運搬容器も系統ごとに分けてください。品種を分けて飼っている方は特にそうです。混ざってしまうと、そのあと選別し直すことになりますし、掛け合わせの管理をしている場合は取り返しがつきません。容器にはマスキングテープで品種名や元の容器名を書いて貼っておくと、新居で迷いません。ふだん見慣れているつもりでも、水が濁った運搬容器の中では判別しにくいものです。

容器を選ぶときのもうひとつの基準が、新居で取り出しやすいかどうかです。口の狭いポリタンクは運搬中は安心ですが、到着後にメダカを出すのが少し面倒になります。バケツやフタつきコンテナのほうが、水合わせの作業はやりやすいです。移動時間が短いなら、開口部の広い容器を選ぶという判断もありですよ。

匹数が多くて水をまとめて運ぶなら、水を入れる専用の容器を1つ用意しておくと作業が早くなります。一例を挙げておきますね。すでに空のポリタンクが手元にあっても、灯油を入れていたものは使わないでください。数匹程度ならバケツで足りるので、無理に買う必要はありません。容量や材質は製品によって違うので、購入前に各ショップでご確認ください。

酸欠を防ぐ水の量と入れ方

メダカの運搬でいちばん多い失敗が、酸欠です。水温の変化には強いメダカも、酸素がなくなれば持ちません。

基本は3つです。ひとつめ、水を入れすぎない。容器の7割程度にとどめ、上に空気の層を残します。満水にすると水と空気が触れる面がなくなり、揺れによるガス交換も起きません。ふたつめ、密度を上げすぎない。目安としてメダカ1匹あたり0.5〜1リットル程度の水を確保できると安心です。数十匹をバケツ1杯に詰め込むのは避けてください。みっつめ、出発前に水に酸素を溶かしておく。フタつき容器なら、水だけを入れて数十秒振ると溶存酸素が増えます。エアポンプがあるなら、出発前に数分エアレーションしておくのも有効です。

酸欠が起きているときのサインも知っておくと、途中で気づけます。メダカが水面付近に集まって口をパクパクさせる、動きが鈍くなる、容器の縁に沿ってふらふら泳ぐ。こうした様子が見えたら、可能な範囲でフタを開けて空気に触れる面を広げてください。走行中に大がかりなことはできませんが、フタを緩めるだけでも違います。逆に、こうなってから慌てないよう、出発前の水量と密度で余裕を作っておくのが本筋です。

◆所長のワンポイントアドバイス

迷ったら、容器を1つ増やして密度を下げてください。バケツをもう1個買う数百円で、酸欠のリスクは目に見えて下がります。詰め込みすぎは運搬トラブルの主な原因になりやすいので、容器の数だけは惜しまないのが賢明ですよ。

移動が2時間を超えるようなら、電池式のエアポンプを持っていくと安心です。ただし稚魚の容器では強くエアレーションしないでください。前述のとおり、遊泳力の弱い稚魚には水流そのものが負担になります。

もうひとつ、青水で飼っている方に知っておいてほしいことがあります。青水は植物プランクトンが酸素を作ってくれる一方で、暗い場所では光合成が止まり、逆に酸素を消費する側に回ります。密閉した容器に青水を詰めて暗い車内に長時間置くのは、酸欠のリスクが高い組み合わせです。青水を運ぶときは、後述するように量を抑えるか、透明な水と分けて運んでください。

移動が長くなりそうなら、電池式のエアポンプがあると心強いです。一例として、単1電池2本で動きチューブとエアストーンが付属するものを挙げておきますね。1時間程度で着く距離なら、水量に余裕を持たせるだけで十分です。稚魚の容器には使わないでください(遊泳力の弱い稚魚には水流が負担になります)。電池の持ちや風量は製品によって違うので、購入前に各ショップでご確認ください。

青水は持っていくべきか捨てるべきか

緑がかった飼育水の写真とともに、青水は種として少量だけ運ぶことと暗所での長時間輸送に注意する点を示したスライド
青水を持っていくときの量と注意点

屋外でメダカを飼っている方にとって、青水をどうするかは悩みどころだと思います。

結論としては、種として少量だけ持っていくのが現実的です。全部を運ぼうとすると量が多くなりすぎますし、前の項で触れたとおり、暗所での長時間輸送は酸欠につながります。ペットボトル1〜2本ぶんを別に確保して、メダカを入れる容器とは分けて運んでください。

新居に着いたら、新しく汲んだ水と持ってきた飼育水を合わせた容器に、この青水を少量足します。日照さえあれば、種水があるぶん一から作るよりずっと早く青水が戻ります。作り方の基本はグリーンウォーターの作り方を整理した記事にありますので、引っ越し後の再構築はそちらの手順で進めてください。

ただし、稚魚がいない、青水が濃くなりすぎている、新居の日照が弱そう、といった条件なら、無理に持っていかなくても構いません。青水はメリットもデメリットもある水です。引っ越しを機に透明な水に切り替える、という判断も十分にありだと私は考えています。

新居に着いてからの立ち上げ手順

到着したら、荷ほどきより先にメダカです。順番を決めておきましょう。

  1. 容器を設置し、置き場所の日照と安定を確認する
  2. 持ってきた底砂や赤玉土を入れる
  3. 持ってきた飼育水を注ぎ、足りない分はカルキ抜きした水で補う
  4. 水草を戻し、水温が落ち着くまで少し置く
  5. 運搬容器ごと浮かべて温度を合わせ、少しずつ水を混ぜてからメダカを移す
  6. 青水の種水を足す(持ってきた場合)

ポイントは3番です。新居の水道水だけで満たしてしまうと、せっかく持ってきた飼育水の意味が薄れます。元の飼育水が全体の3分の1から半分を占めるように配分してください。

底砂については、洗わずに飼育水で湿らせたまま持ってきたものをそのまま使います。ここにろ過バクテリアが住んでいるので、新居での水質の安定に直結します。屋外容器の底に何を敷くかで管理のしやすさが変わるので、引っ越しを機に見直すなら屋外飼育に向く底砂の選び方をまとめた記事も参考になりますよ。

そして新居での最初の1〜2週間は、水質が動きやすい時期です。持ってきた飼育水と底砂にろ過バクテリアがいるとはいえ、容器の水量が変われば処理できる量も変わります。水質検査試薬を持っているなら、アンモニアと亜硝酸を数日おきに測ってみてください。数値が上がってきたら、餌をさらに減らして少量の水換えで対応します。屋外なら、日光が当たりはじめて植物プランクトンが増えれば、水は自然に安定していきます。焦って手を入れすぎないことが、この時期はいちばん効きます。

移したあとの数日は、餌を控えめにしてください。初日は与えなくても構いません。翌日から普段の半分程度で再開し、食べ残しが出ないことを確認しながら戻していきます。水換えは1週間ほど置いてから、少量ずつ行うほうが安全です。

ここまでの要点をまとめます。屋外容器は空にして運び、中身(メダカ・飼育水・底の一部・水草)を別に運ぶ。飼育水は新しい容器の3分の1から半分を占めるだけ確保する。運搬容器は匹数で選び、水は7割にとどめて空気の層を残す。稚魚は親と分け、強いエアレーションはしない。青水は種として少量だけ持っていく。この5つを押さえておけば、引っ越しでの失敗はかなり減らせます。

飼えなくなっても放流はしない

最後に、どうしても書いておきたいことがあります。

引っ越し先の事情でメダカを飼い続けられなくなることは、実際に起こり得ます。ベランダに置けない、部屋が狭い、日照がない。そういうとき、近所の川や池に放してあげよう、と考えてしまう方がいます。これは絶対にやめてください。

環境省の解説では、別の水域の魚を放流すると在来の地域個体群と交雑してしまい、交雑が進むと在来の地域個体群の遺伝的特徴が失われてしまうこと、そして日本産の魚であっても人の手で元いた場所とは違う場所に放流されればそれらは外来種となってしまうことが説明されています。そのうえで、飼育している魚は最後まで責任を持って飼育し、野外に放流しないようにと呼びかけられています(出典:環境省 中国四国地方環境事務所)。

市販されている改良メダカは、体色やヒレの形を人の手で選んできた品種です。見た目は野生のメダカに似ていても、同じものではありません。放流すれば、その土地のメダカと交雑して、地域ごとに積み重なってきた遺伝的な違いを壊してしまいます。

では飼えなくなったらどうするか。現実的な行き先は3つあります。ひとつは、メダカを飼っている知人や家族に譲ること。ふたつめは、購入した専門店やメダカ販売店に相談すること。引き取りに応じてくれる店や、里親募集の掲示を出している店もあります。みっつめは、里親を探せる地域の掲示板やコミュニティを使うことです。いずれも時間がかかるので、引っ越しが決まった時点で動き始めるのが大切です。譲るときは、飼育水を少し添えて渡すと相手の水合わせが楽になりますし、品種名と飼っていた環境(屋外か室内か、青水かどうか)をメモにして渡すと、引き取った側が同じ状態を再現しやすくなります。当日になって困らないよう、早めに手配してください。

メダカの引っ越しについてよくある質問

引っ越し業者にメダカも一緒に運んでもらえますか?

生き物は家財と一緒に運べないとしている会社が一般的です。水を抜いた容器や水槽は荷物として扱ってもらえることが多いので、生体は自分で運ぶ前提で計画を立ててください。会社によって対応が異なるため、正確な情報は各社の公式サイトをご確認いただき、見積もりの段階で必ず確認しておきましょう。特に訪問見積もりを受けていない場合、当日になって容器の梱包資材が用意されていないというすれ違いが起きることがあります。

タニシやミナミヌマエビも一緒に運べますか?

運べますが、メダカとは別の容器にしたほうが安全です。エビは水質と酸欠に弱く、メダカより慎重な扱いが要ります。飼育水を多めに入れて、詰め込みすぎないようにしてください。タニシは比較的丈夫ですが、水から出して乾かさないようにします。到着後は、メダカより時間をかけて水合わせをしてから移してください。水草に卵やヒルなどが付いていることもあるので、新居に入れる前に一度確認しておくと安心です。

引っ越し後に白い点が出たり、痩せたりしています。どうすれば?

環境が変わった直後は、免疫が落ちて症状が出やすくなります。まず水温と水質を確認し、餌を控えめにして様子を見てください。あわてて薬を入れたり大量に水換えをしたりすると、かえって状態を崩すことがあります。症状が広がる場合や複数の個体に同じ変化が見られる場合は、購入した専門店や魚を診てもらえる動物病院など、専門家にご相談ください。改善を保証できるものではないため、早めの相談が大切です。

近距離なら容器に水を入れたまま車で運べませんか?

おすすめしません。水を張った容器は重く、走行中の揺れで水が波打って外へあふれます。睡蓮鉢のような陶器は重量に加えて割れる危険もありますし、発泡スチロール容器やプラ舟は変形して底が抜けることがあります。近距離であっても、メダカと水は別容器に移し、容器そのものは空にして運んでください。作業の手間は増えますが、事故の可能性を考えれば確実な方法です。

まとめ|メダカの引っ越しは水と時期で決まる

ここまで、メダカの引っ越しについて屋外容器の扱いから新居での立ち上げまで整理してきました。最後に要点を確認しておきます。

メダカの引っ越しで最優先すべきは水です。メダカは季節をかけた緩やかな水温変化には強く加温設備も要りませんが、短時間で起きる急な水温変化と、水質の急変には弱い魚です。だから容器ごと運ぼうとせず、メダカ・飼育水・底の一部・水草を分けて運び、新居では飼育水が全体の3分の1から半分を占めるように配分してください。

引っ越しの日程が決まったら、今日のうちに手をつけられることが3つあります。ひとつめは、容器と匹数を数えて運搬容器が何個必要かを出すこと。ふたつめは、新居の設置場所で同じ飼い方が続けられるかを、管理規約と日照の両面から確認すること。みっつめは、春から夏なら採卵を止めるかどうかを決めることです。この3つが先に決まっていれば、当日は運ぶだけの作業になります。時期ごとの注意(春夏は卵と稚魚、秋は動かしやすい、冬は水温を上げない)は、この3つを決めたあとに当てはめれば十分間に合いますよ。

そして新居で飼えなくなったとしても、野外に放流するという選択だけは取らないでください。譲る、相談する、里親を探す。時間がかかる方法ばかりなので、引っ越しが決まった時点で動き始めることが何よりの対策になります。

飼育環境や匹数、移動距離によって最適な方法は変わります。ここに挙げた数値はあくまで一般的な目安として受け取ってください。引っ越し業者のサービス内容や集合住宅の規約については正確な情報は公式サイトや管理規約をご確認いただき、メダカの体調に不安があるときの最終的な判断は、購入した専門店や魚を診てもらえる動物病院など、専門家にご相談ください。準備を整えておくほど、新しい場所でもメダカが落ち着きやすくなりますよ。

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