グッピーの稚魚の餌おすすめ|いつから何を与えればいい?
グッピーの稚魚が生まれると、まず気になるのが餌のことだと思います。「生まれたその日から与えていいのか」「大人と同じ餌ではだめなのか」「ブラインシュリンプは沸かさないといけないのか」。調べるほど選択肢が増えて、結局どれを買えばいいのか迷ってしまいますよね。
先に結論をお伝えすると、グッピーの稚魚の餌選びで本当に効いてくるのは、粒の大きさと与える回数の2つだけです。栄養価の差は各社ほとんど揃っていて、生まれたての稚魚が口に入れられるかどうか、そして一日のうち何回に分けて届けられるかで結果が変わります。高価な生き餌をそろえなくても、粉末タイプの人工餌1つで成魚まで育てることはできます。
この記事では、餌を与えはじめる時期から、粉末・生き餌・すりつぶしという3つの選択肢の違い、成長に合わせた切り替え方、そして与える量と回数の決め方までを順番に整理します。そもそも稚魚が生まれるまでの流れはグッピーの繁殖方法で扱っているので、ここでは餌に絞って進めます。
- グッピーの稚魚に餌を与えはじめる時期と初日の量
- 粉末・生き餌・すりつぶしそれぞれの向き不向き
- 粒の大きさと切り替えのタイミングの決め方
- 1日の回数と1回の量、食べ残しを残さない管理
グッピーの稚魚に餌はいつから与えるか
グッピーは卵ではなく稚魚を産む卵胎生の魚です。多くの魚は卵からかえった直後にヨークサックという栄養袋を抱えていて、それを使い切るまで餌を食べません。ところがグッピーは、母魚の体内でその段階をほぼ済ませてから産まれてきます。
ジェックス(GEX)が公開している飼育解説でも、グッピーの稚魚は「生まれた瞬間から普通に餌を食べることが出来ます」と説明されています(出典:ジェックス グッピーの飼い方 繁殖)。稚魚用飼料の給餌案内にも「グッピー等卵胎生の魚は、生まれた直後から、エサを与えてください。」とあり、卵からかえる魚とは分けて書かれています。つまり、待つ必要はないというのが基本です。
ただし、生まれた当日から大量に与える必要があるわけでもありません。この章では、なぜ生まれた直後から食べられるのか、初日はどのくらいにすべきか、そして「食べない」と感じたときに何を疑うかを見ていきます。
生まれた直後から食べられる理由
グッピーの稚魚は体長5〜8mmほどで生まれ、その場から泳ぎ出します。メーカーの解説では、卵からかえる魚と比べたときの違いとして、ヨークサックを「ほぼ使い切った状態で出てくる」と説明されています。母魚の体内で育つ期間があるぶん、生まれた時点ですでに餌を食べられる体になっているわけです。
この違いは、餌の準備にも影響します。卵生の魚なら孵化後しばらく猶予がありますが、グッピーは出産に気づいた時点で餌が必要になります。出産の兆候が見えたら、稚魚用の餌を先に用意しておくのが安心です。出産が近いかどうかの見分け方はグッピーの妊娠期間は何日?にまとめてあります。手元になければ、当面は成魚用の餌をすりつぶして代用できます。
とはいえ、初日にたっぷり与えるのは逆効果です。稚魚は一度に食べられる量が少なく、残った餌は底に沈んで水を汚します。狭い容器で育てている場合、この汚れが翌日以降の水質悪化に直結します。生まれた当日は「与えなくても落ちない」くらいの余裕があると考えて、控えめから始めてください。
なお、個体によっては生まれた直後にわずかな卵黄の名残を持っていることがあります。その個体は最初の半日ほど餌に反応しないことがありますが、時間が経てば食べはじめます。同じ日に生まれた稚魚のあいだで食いつきに差があっても、この段階では心配しなくて構いません。反応しない個体がいるからといって餌を追加していくと、食べ残しが増えるだけになります。
初日と最初の1週間の与え方

初日は、ごく少量を1〜2回与えるか、翌朝からにしても問題ありません。優先すべきは餌より水温と水質で、この時期の稚魚は環境の急変のほうがはるかに危険です。別容器へ移したなら、本水槽の水をそのまま使ってください。
2日目以降は回数を増やしていきます。キョーリンの飼育解説では、稚魚への給餌について「1日3・4回 エサを少量与えましょう」と案内されています。成魚が1日1〜2回であることと比べると、かなり多い回数です。稚魚は体が小さく、一度に食べられる量が限られているため、回数で総量を確保する考え方になります。
最初の1週間で気をつけたいのは、餌が水面に浮いたまま広がらないことです。粉末の餌は表面張力で固まりやすく、そのまま浮いていると稚魚が届きません。指先を少し湿らせてから散らす、スポイトで水を含ませてから落とす、といったひと手間で沈みながら広がるようになります。
最初の1週間の目安:1日3〜4回、1回あたり数十秒から1分ほどで食べ切れる量。落とす場所は毎回変える。食べ残しはその日のうちにスポイトで回収する。この3つを守れば、餌の種類にかかわらず大きく外しません。
餌を食べないときに疑うこと
「与えているのに食べない」と感じるとき、原因のほとんどは粒の大きさです。稚魚の口は非常に小さく、成魚用のフレークをそのまま入れても物理的に入りません。手で細かくすりつぶすか、稚魚用として売られている粉末タイプへ切り替えてください。
次に多いのが、餌が届いていないケースです。水面に浮いたままだったり、水流で一か所に流されていたりすると、稚魚は餌の存在に気づけません。スポイトを使って稚魚のいる場所の近くへ落としてあげると、そこから食べはじめることがあります。
それでも食べない場合は、ブラインシュリンプのような動く生き餌を試す価値があります。動くものに反応する性質があるため、人工餌に反応しない個体でも食いつくことがあります。ただし「食べない」の裏に環境の問題が隠れていることもあるので、水温が24度を下回っていないか、水が汚れていないかも合わせて確認してください。水温別の目安はグッピーの適温は何度?で整理しています。
稚魚の餌は粉末・生き餌・すりつぶしの3択
グッピーの稚魚に与えられる餌は、大きく3つに分かれます。稚魚用として売られている粉末や微粒の人工餌、ブラインシュリンプやゾウリムシといった生き餌、そして成魚用の餌をすりつぶしたものです。
どれか1つが正解というわけではなく、それぞれ手間と結果のバランスが違います。管理のしやすさなら人工餌、成長の速さなら生き餌、コストなら手持ちの餌をすりつぶす方法という整理になります。多くの方には、人工餌を主食にして、余裕があるときだけ生き餌を足す形が現実的だと思います。
ここでは3つの選択肢について、それぞれの中身と注意点を見ていきます。成魚用の餌の選び方についてはグッピーの餌はどれがいい?で別に整理しているので、稚魚を卒業したあとはそちらを参考にしてください。
粉末タイプの人工餌が基本になる

もっとも扱いやすいのが、稚魚用として売られている粉末や微粒の人工餌です。キョーリンのひかりパピィは、メーカーは稚魚に必要な栄養をすべて含んだ微粉末フードと位置づけており、対象魚には金魚・メダカ・エンゼルフィッシュ・グッピー・プラティ等の稚魚が並びます。稚魚が食べやすいように水面で広がった後、ゆっくり沈下する設計です。
同じキョーリンのひかりベビー&ベビーは、成長段階に合わせた2種類の顆粒が入っている製品です。メーカー公表の粒のサイズは、ステージ1が0.2mm以下、ステージ2が0.21〜0.37mmで、内容量は6g×2となっています。与え方については「稚魚の成長に合わせ、ステージ①からステージ②へエサを切り替えてください。数分で食べきれる量を1日5回以上与えるのが理想です」と案内されています。
テトラのテトラミン ベビーは、メーカーの説明で「強さを引き出して稚魚を育てる 粉末フレークフード」とされる粉末フレークタイプで、内容量は30gです。消化吸収に優れたフレークタイプで食べ残しや排出物が減るとされています。いずれの製品も、稚魚用として設計されている点は共通で、あとは粒の細かさと量の使い切りやすさで選ぶことになります。
これら3つの製品に共通しているのは、水面である程度広がってからゆっくり沈むように作られている点です。稚魚は成魚のように広い範囲を泳ぎ回って餌を探せないため、餌のほうが散らばってくれないと届きません。逆に、沈むのが速すぎる餌は底に溜まって食べられないまま残ります。稚魚用として売られている製品を選ぶ理由は、栄養価そのものよりも、この「広がり方」が設計されていることにあります。
まずは1つだけ用意するなら、粉末タイプの稚魚用フードが扱いやすいです。水面で広がりやすく、生後すぐの小さな口でも食べられます。
成長に合わせて粒を大きくしていきたい場合は、2段階の顆粒がセットになったタイプが便利です。切り替えの目安が製品側で決まっているので、判断に迷いません。
ブラインシュリンプなどの生き餌
成長を早めたい、あるいは人工餌に反応しない個体がいるという場合に使われるのがブラインシュリンプです。乾燥した卵を塩水で孵化させて、生きたまま与えます。動くものに反応する稚魚の性質に合っていて、食いつきは人工餌よりよいことが多いです。
孵化のさせ方は、塩分濃度2%前後の塩水に卵を入れ、エアレーション(エアーポンプで空気を送り込むこと)をかけて待つのが基本です。水温28度前後で約24時間、水温が低いと時間がかかり、15度では48時間程度かかるとされています。塩分濃度と時間は製品によって指定が異なるので、必ず取扱説明書の数値に従ってください。卵が一斉に孵化すると酸欠になりやすいため、エアレーションは十分にかけます。
与えるときは、そのままスポイトで移さないことがポイントです。塩水ごと入れてしまうと、稚魚の水槽に塩分が入ります。目の細かい網やコーヒーフィルターで濾して、真水で軽くすすいでから与えてください。手間はかかりますが、この一手間を省くと水質が少しずつずれていきます。
もうひとつの生き餌にゾウリムシがあります。ブラインシュリンプよりさらに小さく、生まれた直後の稚魚でも食べられるのが利点です。ただし培養を続ける手間があり、においも出るため、家庭内の環境によっては続けにくいこともあります。まずはブラインシュリンプから試すほうが取り組みやすいと思います。
孵化させる手間はかかりますが、食いつきと成長の速さでは人工餌にない強みがあります。人工餌に反応しない個体がいるときの切り札としても、常備しておくと安心です。
成魚用の餌をすりつぶす方法
手元に稚魚用の餌がないときは、成魚用のフレークや顆粒をすりつぶして代用できます。ジェックスの飼育解説にも「一日1回~2回粉末状の稚魚用のエサや親グッピーのエサをすりつぶして稚魚に与えます」という記載があり、代用が前提として案内されています。
やり方は簡単で、清潔な紙の上に少量を出し、スプーンの背やティッシュ越しの指で押しつぶします。乳鉢があればより細かくできますが、なくても構いません。目安としては、指でつまんでざらつきが感じられないくらいまで細かくすると、生後すぐの稚魚でも食べられます。
ただし、これはあくまで代用です。成魚用の餌は粒が大きいことを前提に配合されているため、すりつぶすと水に溶けやすくなり、栄養が水中へ流れ出ます。また粉が細かすぎると水面に固まって広がらないこともあります。数日をしのぐには十分ですが、続けるなら稚魚用の餌を用意したほうが結果は安定します。
粒の大きさと成長に合わせた切り替え
稚魚の餌選びで唯一きちんと考えたいのが、粒の大きさです。栄養バランスは各社とも稚魚用として設計されていて大きな差はありませんが、口に入るかどうかは物理的な問題なので、ここだけは合わせる必要があります。
手がかりになるのが、稚魚用として売られている餌の粒のサイズです。キョーリンのひかりベビー&ベビーは、生まれた直後に使うステージ1の粒を0.2mm以下、次のステージ2を0.21〜0.37mmと公表しています。つまりメーカーは、生まれたての稚魚が確実に飲み込める大きさとして0.2mm以下を設定しているということです。製品がステージ分けされているのは、口に入る大きさが成長とともに変わるためです。
ここでは口の大きさと粒の関係、主食と補助食の組み立て方、そして切り替えのタイミングを見ていきます。切り替えの判断は日数ではなく体長で決めると失敗しにくくなります。
粒の大きさは口の幅で決まる

生まれた直後は微粉末、体長1cmを超えたころから細かい顆粒、2cmを超えたら成魚用のフレークを砕いたもの、というのがおおまかな流れです。ひかりベビー&ベビーがステージ1を0.2mm以下、ステージ2を0.21〜0.37mmと分けているのも、この成長に対応した設計です。
粒が大きすぎると、稚魚は口に入れようとして吐き出すという動作を繰り返します。食べているように見えて実際は入っていないので、腹がへこんだままなら粒を疑ってください。逆に、成長した稚魚に微粉末だけを与え続けると、一度に取れる量が少なくて成長が伸び悩むことがあります。
判断の材料になるのが、餌を落としたあとの反応です。すっと吸い込んでそのまま泳ぎ去るなら合っています。何度も口に含んでは出す、近づいても素通りする、といった様子なら大きさが合っていない可能性があります。数値より、実際に食べている動きを見るほうが確実です。
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| 餌のタイプ | 代表例と公表値 | 使える時期 | 食いつき | 水の汚れ | 手間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 微粉末の人工餌 | ひかりパピィ(微粉末・15g) | 生まれた直後〜体長1cmごろ | 普通 | 少なめ | 少ない |
| 段階分けの顆粒 | ひかりベビー&ベビー(0.2mm以下/0.21〜0.37mm・6g×2) | 生まれた直後〜体長1.5cmごろ | 普通 | 少なめ | 少ない |
| 粉末フレーク | テトラミン ベビー(粉末フレーク・30g) | 生後数日〜体長1.5cmごろ | 普通 | 少なめ | 少ない |
| ブラインシュリンプ | 乾燥卵を塩水で孵化(28度で約24時間) | 生後数日〜成魚まで | 高い | やや多い | 多い(孵化・塩抜き) |
| ゾウリムシ | 培養して与える微小な生き餌 | 生まれた直後から | 高い | やや多い | 多い(培養の継続) |
| 成魚用のすりつぶし | 手持ちのフレーク・顆粒 | 代用として数日〜1週間 | 低め | 多い | 少ない |
主食を1つ決めて補助を足す
餌を何種類も買いそろえる必要はありません。人工餌を1つ主食に決めて、余裕のあるときだけ生き餌を足すという組み立てが、手間と結果のバランスがいちばん取れます。主食が決まっていると、量の感覚がつかみやすく、食べ残しの判断もしやすくなります。
生き餌を足す目的は、成長を後押しすることと、食いつきの悪い個体に届けることの2つです。毎日でなくても構わず、週に何回か与えるだけでも体つきに差が出ることがあります。逆に、生き餌だけで育てようとすると、孵化や培養が途切れたときに餌が途絶えるという弱点があります。
複数の人工餌を同時に使うのは、あまり意味がありません。それぞれの残量が減らず、開封後に劣化していくだけになりがちです。粉末の餌は湿気に弱く、開けたまま置いておくと固まって水面で広がらなくなります。使う分だけ小分けにして、袋は密閉して保管してください。
冷凍やフリーズドライの餌については、稚魚の時期には出番が少なめです。冷凍ブラインシュリンプは孵化の手間がなく便利ですが、生きたものと違って動かないため、動くものに反応する稚魚には届きにくいことがあります。フリーズドライも粒が大きめで、生後すぐの口には合いません。どちらも体長が1cmを超えて泳ぎがしっかりしてきた頃から、補助として使うのが現実的です。
切り替えのタイミングは体長で決める
粒を大きくするタイミングは、日数ではなく体長で判断します。目安としては、体長1cmを超えたあたりで細かい顆粒へ、2cmを超えたら成魚用の餌へ移していきます。日数で決めると、成長の遅い個体が置いていかれることがあります。
切り替えは一度に全部変えず、しばらく両方を与える期間を作ってください。新しい餌にすぐ反応しない個体もいるため、慣れる時間が要ります。1週間ほど並行して与え、新しいほうをしっかり食べるようになったら旧の餌を止めます。
成長差が大きい場合は、大きい個体と小さい個体で餌を変えるという方法もあります。ただし同じ容器にいると結局どちらも食べてしまうので、容器を分けていない限りは細かいほうに合わせておくほうが安全です。細かい餌は大きい個体も食べられますが、大きい餌は小さい個体が食べられないためです。
餌の袋には内容量が書かれていますが、稚魚用の餌は少量でかなり長く使えます。15gや6g×2といった小さめの容量が多いのは、開封後に劣化するからです。大容量を買うより、使い切れるサイズを選んで新しいものに替えていくほうが、結果として食いつきがよくなります。
与える量と回数・食べ残しをどう管理するか
餌の種類が決まったら、次は量と回数です。稚魚の育成では、ここが数を左右します。与えすぎれば水が汚れて落ち、少なすぎれば成長が止まる。しかも稚魚水槽は水量が小さいぶん、どちらの影響も速く出ます。
基本の考え方は、1回の量を減らして回数で総量を確保することです。成魚が1日1〜2回で足りるのに対し、稚魚が3回以上必要とされるのは、一度に食べられる量が限られているからです。回数を増やすほど掃除の手間も増えますが、この2つはセットで考えてください。
ここでは回数の決め方、1回の量の見極め方、そして食べ残しの管理を整理します。餌やりの基本的な考え方はグッピーの餌やりは1日何回が正解?にもまとめてあるので、成魚と合わせて確認してみてください。
1日3〜5回に分ける理由

キョーリンの飼育解説では、稚魚への給餌は「1日3・4回 エサを少量与えましょう」と案内されています。ひかりベビー&ベビーの製品説明では「数分で食べきれる量を1日5回以上与えるのが理想です」とされており、製品によってはさらに多い回数が推奨されています。
回数が多いほど成長は早くなりますが、現実的には生活時間との兼ね合いになります。朝・帰宅後・就寝前の3回でも十分に育ちますし、在宅の日は間に1〜2回足す、という形でも構いません。大事なのは回数の多さより、1回あたりの量を守ることです。
夜間については、照明を消したあとに与える必要はありません。グッピーは暗い環境ではあまり餌を探さず、残った餌が朝まで底に沈んだままになります。就寝前の給餌は、消灯の30分ほど前までに済ませてください。
自動給餌器を使えば回数を増やせるのでは、と考える方もいると思います。ただ、稚魚用の粉末は粒が細かく湿気を吸いやすいため、給餌器の内部で固まって出てこなくなることがあります。装置側も一定量ずつ落とす作りなので、稚魚水槽で必要な「ごく少量」を安定して出すのは苦手です。留守が続くときの最後の手段としては使えますが、日常の給餌は手で行うほうが確実です。
1回の量は食べ切る時間で決める
量の目安は「何粒」ではなく時間で測ります。落としてから数十秒から1分ほどで食べ切る量が適量です。1分を過ぎても餌が残っているなら多すぎ、10秒もかからずになくなって稚魚が探し回るようなら少なすぎます。
この基準は、稚魚の数が変わっても使えるのが利点です。20匹のときと50匹のときでは必要な量が違いますが、食べ切る時間で見ていれば自動的に調整されます。数が減ったときに量を減らし忘れる、という失敗も防げます。
与えたあとは、稚魚の腹部を見てください。うっすらとふくらんでいれば足りています。背中側から見て体の輪郭が細いままなら、回数を増やすか1回の量を少し増やします。ただし、太らせることが目的ではありません。与えすぎた稚魚は水質悪化の影響を先に受けるので、腹がぱんぱんになるほど与える必要はありません。
食べ残しが水質を壊す速さ
稚魚水槽で最も多い失敗が、食べ残しの蓄積です。3Lや5Lといった小さな容器では、少しの残餌でも水質への影響が大きくなります。餌が分解される過程で、魚に有害なアンモニアが出るためです。稚魚は成魚よりこの変化に弱く、影響が先に現れます。
対策は単純で、毎日スポイトで底のごみを吸い出すことです。ついでに水も少し減るので、その分だけ本水槽の水を足せば、実質的に少量ずつの水換えになります。この習慣だけで、稚魚水槽の水質はかなり保てます。水換えの基本的な考え方はグッピーの水換え頻度は週1回・量は3分の1で整理しています。
生き餌を使う場合はもう少し注意が要ります。孵化したブラインシュリンプは真水の中で長くは生きられず、食べ残されたものは死んで水を汚します。与える量は人工餌以上に慎重に、少なめから始めてください。数時間経って残っているようなら、次回から量を減らします。
与えすぎのサイン:①1分経っても餌が浮いている、または底に残っている ②水が白っぽくにごる ③底に膜のようなものが張る ④水面に油膜が出る。どれかが出たら、量を半分にして毎日の掃除を足してください。稚魚が落ちはじめてからでは間に合いません。
もうひとつ覚えておきたいのが、水質が悪化すると稚魚は餌を食べなくなるという関係です。食いつきが落ちたときに「餌が合っていないのでは」と種類を変えてしまうと、原因の水質はそのままなので改善しません。餌を変える前に、まず水温と底の汚れを見てください。順番を間違えなければ、餌の種類で悩む場面はそれほど多くありません。
迷ったときの最短ルート:微粉末の稚魚用フードを1つ買う → 1日3回、1分で食べ切る量に分ける → 毎日スポイトで底のごみを取る → 体長1cmで顆粒へ、2cmで成魚用へ。生き餌はこの流れが回りはじめてから足すかどうかを考えれば十分です。
グッピーの稚魚の餌に関するよくある質問(FAQ)
グッピーの稚魚の餌はいつから与えればいいですか?
生まれた直後から与えられます。グッピーは卵胎生で、母魚の体内でヨークサック(栄養の入った袋)をほぼ使い切ってから産まれてくるためです。メーカーの給餌案内でも、卵胎生の魚は生まれた直後から餌を与えるよう説明されています。
ただし初日から大量に与える必要はありません。ごく少量を1〜2回、あるいは翌朝からでも間に合います。この時期は餌よりも水温と水質を動かさないことのほうが大切です。餌を用意できていない場合は、成魚用の餌を細かくすりつぶして数日をしのぐこともできます。
成魚用の餌をすりつぶすだけでも育ちますか?
数日から1週間程度をしのぐ用途なら十分に使えます。指でつまんでざらつきを感じないくらいまで細かくすれば、生後すぐの稚魚でも食べられます。乳鉢がなくても、スプーンの背で押しつぶす程度で構いません。
ただし長く続けるなら稚魚用の餌に切り替えたほうが安定します。成魚用の餌は粒が大きい前提で作られているため、細かくすると水に溶け出しやすく、栄養が水中へ流れます。また粉が細かすぎて水面で固まり、稚魚まで届かないこともあります。あくまで代用と考えてください。
ブラインシュリンプは必ず必要ですか?
必須ではありません。稚魚用の人工餌だけでも成魚まで育てられます。ブラインシュリンプの利点は、動くものに反応する稚魚の性質に合っていて食いつきがよいことと、成長の後押しになることです。
使う場合は、塩分濃度2%前後の塩水に卵を入れ、エアレーションをかけて孵化させます。水温28度前後で約24時間が目安ですが、塩分濃度も時間も製品によって指定が異なるため、必ず取扱説明書の数値に従ってください。与える前に網やコーヒーフィルターで濾して塩分を落とすことも忘れずに。手間が続かないと感じるなら、無理に取り入れなくて構いません。
稚魚が餌を食べていないように見えます
まず粒の大きさを疑ってください。稚魚用の餌が0.2mm以下の粒で作られていることからわかるように、生まれたての口は成魚用のフレークが入る大きさではありません。何度も口に含んでは吐き出す動きをしているなら、粒が大きいサインです。
次に、餌が届いているかを見てください。粉末が水面で固まったまま浮いていたり、水流で一か所に流されていたりすると、稚魚は気づけません。スポイトで稚魚の近くへ落としてあげると食べはじめることがあります。それでも食べないときは、水温が24度を下回っていないか、水が汚れていないかを確認してください。環境側の問題が「食べない」として現れることもあります。
留守にする日は餌をどうすればいいですか?
1日程度なら、朝と夜の2回に減らしても大きな問題にはなりません。心配だからと多めに入れておくのは逆効果で、食べ残しが水を汚し、かえって稚魚を弱らせます。
2日以上空ける場合は、事前に水換えをして水質に余裕を作っておき、水草を多めに入れておくと微生物が発生して多少の助けになります。ただし成魚と違い、稚魚は絶食への耐性が高くありません。長期間家を空ける予定があるなら、その時期に繁殖を始めないという判断も含めて考えておいてください。なお、これらはあくまで一般的な目安であり、稚魚の数や水量によって条件は変わります。
まとめ|粒の大きさと回数で結果が決まる
グッピーの稚魚は、生まれた直後から餌を食べられます。母魚の体内でヨークサックをほぼ使い切ってから産まれてくるため、卵生の魚のように待つ必要はありません。出産の兆候が見えた時点で、稚魚用の餌を用意しておくと慌てずに済みます。
餌の選択肢は、粉末や微粒の人工餌、ブラインシュリンプなどの生き餌、成魚用の餌をすりつぶしたものの3つです。管理のしやすさで選ぶなら人工餌が主食になり、生き餌は成長の後押しや食いつきの悪い個体への切り札として足す、という組み立てが現実的です。すりつぶしは数日をしのぐ代用として使えます。
選ぶときの基準は粒の大きさです。メーカーが生まれた直後用として0.2mm以下の粒を設定していることを目安に、まずは微粉末から始めて、体長1cmで細かい顆粒、2cmで成魚用へと移していきます。切り替えは日数ではなく体長で判断し、1週間ほど新旧を並行して与えてから切り替えると失敗しません。
そして最後に、量と回数です。1日3回以上に分け、1回あたりは数十秒から1分で食べ切る量にとどめる。残った餌は毎日スポイトで回収する。この2つを守れば、餌の種類にかかわらず稚魚は育っていきます。なお本文の数値はいずれも一般的な目安であり、水温や水量、個体によって適量は変わります。実際の判断は、自分の水槽で稚魚がどう食べているかを見ながら決めてください。

