グッピーの稚魚の隔離はいつまで?期間と合流のタイミング
グッピーの稚魚を産卵箱や別の容器へ移したあと、次にやってくるのが「いつまで隔離しておけばいいのか」という疑問だと思います。早く戻せば食べられてしまうかもしれない。かといって、いつまでも小さな容器に入れておくのも良くなさそうだ。この判断がつかないまま、なんとなく日が過ぎてしまうことはよくあります。
結論から言うと、隔離を終える基準は日数ではなく体長です。目安は2つあり、安全側に振るなら「親の半分くらいの大きさ」、最短で戻すなら「成魚の口に入らない大きさ」。前者はメーカーの飼育解説でも使われている基準で、後者は水槽の環境しだいで少し早められる考え方です。
この記事では、隔離という手段が何を守っているのかという前提から、合流できる大きさの見極め方、実際に戻すときの手順、そして隔離が長引いたときに起きることまでを順番に整理します。産卵箱そのものの選び方は別の記事で扱っているので、ここでは期間と合流の判断に絞ります。
- 隔離が効いているのはどの時期までかという前提
- 体長と泳ぎの力から合流できるかを見極める方法
- 本水槽へ戻すときの温度合わせと段階的な手順
- 隔離を続けすぎたときに起きる水質と成長の問題
稚魚を隔離する目的と期間の決め方
隔離という手段が何をしているのかを整理しておくと、終わりの判断がしやすくなります。グッピーの稚魚を隔離する目的は、突きつめれば1つだけです。成魚の口に入るあいだ、物理的に届かない場所を作ること。この目的がなくなった時点で、隔離を続ける理由もなくなります。
ここを押さえておかないと、「小さいから心配」という気持ちだけで隔離が延びていきます。ところが、隔離容器は水量が小さく水質が変わりやすいため、長く置くほど別のリスクが上がっていきます。つまり守るための手段が、途中から負担に変わるということです。
この章では、隔離が守っているものの正体、期間を体長で決める理由、そしてそもそも隔離しないという選択肢について見ていきます。判断の軸が決まれば、あとは水槽を見て決められるようになります。
隔離が効いているのは口に入るあいだだけ

グッピーの成魚は、自分が産んだ稚魚であっても口に入るサイズなら食べてしまいます。悪意があるわけではなく、目の前で動く小さなものに反応しているだけです。だからこそ、稚魚が口に入らない大きさになれば、その反応そのものが起きなくなります。
グッピーの成魚は全長でおよそ4〜6cm、口の幅は2mm程度と言われています(口の幅はメーカーが公表している数値ではなく、観察上の目安として使われている値です)。生まれたての稚魚は体長5〜8mmで、体高(背中から腹までの厚み)はさらに小さいため、この段階では十分に口へ入ります。成長して体高が口の幅を超えてくると、飲み込むことができなくなります。
なお、この記事で「体長」と書いているのは、口の先から尾びれの付け根までの長さです。尾びれの先までを含めた「全長」で測ると1cm近く長く出るので、同じ2cmでも意味が変わります。数値の目安を使うときは、どこまでを測った数字なのかを揃えておいてください。ガラス面越しに定規を当てるだけで、おおよその見当はつきます。
もうひとつ、隔離が守っているものがあります。ろ過器への吸い込みです。外掛けフィルターや上部フィルターのストレーナー(水を吸い込む筒状のパーツ)には、生まれたての稚魚が通り抜けられる隙間があります。隔離をやめるなら、この対策も同時に済ませておく必要があります。フィルターの方式ごとの違いはグッピー用フィルターの選び方で整理しています。
逆に言えば、この2つの危険が消えれば隔離の役目は終わりです。稚魚が育つ場所として隔離容器を使い続ける必要はなく、むしろ広い本水槽のほうが水質は安定します。隔離は育成環境ではなく、危険な時期を越えるための避難所だと考えてください。
ここで切り分けておきたいのが、「食べられた」と「いなくなった」は別だということです。稚魚が減ったとき、真っ先に成魚を疑いがちですが、実際にはろ過器に吸い込まれていた、水草の陰で弱って落ちていた、飛び出していた、というケースも相当あります。原因が捕食でないなら、隔離を延ばしても数は減り続けます。減った理由を1つずつ確かめてから、隔離期間を判断してください。
期間は日数ではなく体長で決める
「隔離は1か月」といった日数の目安をよく見かけますが、これはあくまで平均的な成長を前提にした逆算です。同じ日に生まれた稚魚でも、水温や餌の量によって1か月後の体長は大きく変わります。日数だけで判断すると、育ちの遅い個体が危険なまま本水槽へ出されることになります。
基準として使いやすいのが、ジェックス(GEX)の飼育解説にある「子どもが親の半分ぐらいの大きさになったら元の水槽に戻します」という表現です(出典:ジェックス グッピーの飼い方 繁殖)。成魚が全長4〜6cmなら、その半分は2〜3cm。全長を基準にした目安なので、体長で見ればもう少し小さめでも条件を満たしますが、いずれにせよかなり安全側の基準です。
もう少し早く戻したい場合は、成魚の口に入らない大きさという条件で考えます。体長1.5cm前後になると体高も出てきて、口の幅2mm程度の成魚には飲み込みにくくなります。ただしこれはあくまで一般的な目安で、水槽にいる成魚の大きさや個体差によって変わります。混泳している魚がいる場合は、その中でいちばん口が大きい魚を基準にしてください。
隔離しないという選び方もある
そもそも隔離をしない、という進め方もあります。ウィローモスやマツモのように葉が細かい水草を水面付近に多めに入れておけば、生まれた稚魚は自分でその中へ潜り込みます。残る数は読めませんが、母魚にも稚魚にも負担がかかりません。
この方法の利点は、隔離期間という悩みそのものがなくなることです。稚魚は自分の判断で隠れ、育ってきたら自然に群れへ混ざっていきます。合流のタイミングを人が決める必要がありません。増えすぎを避けたい方には、むしろこちらのほうが向いています。
欠点は、残る数が環境に左右されることです。水草が薄ければほとんど残らず、逆に厚く茂っていれば思った以上に生き残ります。稚魚の隠れ家になる水草の種類と入れる量はグッピー水槽におすすめの水草5種にまとめています。親が稚魚を食べるしくみと隔離以外の対策はグッピーの共食いの原因と対策で扱っています。
間を取る進め方もあります。生まれてから2週間ほどだけ隔離して、そのあとは水草の茂った本水槽へ戻すという方法です。いちばん危険な最初の時期だけ確実に守り、そのあとは自然に任せる形になります。数はある程度残りますが、全部ではありません。「そこそこ残ればいい」という場合には、手間と結果のバランスがよい選択です。
3つの進め方:①最後まで隔離して数を確保する ②生後2週間ほど隔離してから合流させる ③最初から水草に任せる。どれを選ぶかは「何匹残したいか」で決まります。全部残したいなら①、増えすぎを避けたいなら③です。
合流できる大きさの見極め方
合流の判断は、体長だけで決めきれるものではありません。同じ2cmでも、泳ぎがしっかりしている個体とふらついている個体では、本水槽に出したあとの結果が変わります。実際に見るのは、大きさと泳ぎの力の2つです。どちらも道具は要らず、水槽の前で数分観察すれば判断できます。
この2つがそろっていれば、多少小さくても合流できることがあります。逆に、体長が足りていても泳ぎが弱い個体は、追われたときに逃げ切れません。数字はあくまで入口で、最後は水槽の中の様子で決めることになります。
ここでは口の幅からの逆算、泳ぎの力を見る3つの様子、そして体長と日数のおおよその対応を整理します。合流を急ぐ必要はないので、迷ったら1週間待つという判断で構いません。
成魚の口の幅から逆算する
魚が飲み込めるかどうかを決めているのは、獲物の長さではなく厚みです。グッピーの稚魚は細長い体型なので、体長が1cmを超えても体高が薄いうちは口に入ってしまうことがあります。判断するときは、横から見た長さだけでなく、上から見た厚みも確認してください。
成魚の口の幅が2mm程度だとすると、稚魚の体高がそれを明確に超えていれば安全圏に入ります。体長が1.5cmを超えるころには体高も出てきて、飲み込みにくくなります(体高の具体的な数値は個体差が大きいので、実際には水槽の魚を見比べて判断してください)。ただし、口を大きく開けられる個体もいますし、体格の大きなメスは相対的に口も大きくなります。水槽でいちばん大きい個体を基準に考えるのが安全です。
混泳魚がいる場合は、その魚の口も見てください。グッピーより口の大きな魚がいれば、そちらが基準になります。エンゼルフィッシュのような中型魚が同居している水槽では、2cmを超えても捕食されることがあります。混泳相手ごとの相性については、後日別の記事で詳しく扱う予定です。
泳ぎの力を見る3つの様子
大きさの次に見るのが、泳ぎの様子です。判断の材料になるのは3つあります。ひとつめが、水流に押し戻されずに前へ進めるかどうか。隔離容器の中でエアレーションの流れに逆らって泳げているなら、本水槽の流れにも対応できる可能性が高いです。
ふたつめが、驚いたときに素早く方向転換できるかどうかです。容器に手を近づけたときに、さっと逃げるなら反応は十分です。反応が鈍く、その場でとどまるようなら、本水槽では追われたときに逃げ切れません。
みっつめが、餌への反応です。落とした餌にまっすぐ向かっていける個体は、本水槽でも成魚に混ざって餌を取れます。逆に、餌に気づくのが遅い個体は、合流後に痩せていくことがあります。この3つがそろったら合流の準備ができていると考えてください。
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| 段階 | 体長の目安 | おおよその日数 | 合流の可否 | この時期にやること |
|---|---|---|---|---|
| 生まれた直後 | 5〜8mm | 0〜3日 | 不可 | 吸い込みと水流を止める |
| 泳ぎが安定 | 1cm前後 | 2〜3週間 | まだ危険 | 餌を少量ずつ回数を分けて与える |
| 体高が出てくる | 1.5cm前後 | 1か月前後 | 条件つきで可 | 泳ぎの力を3点で確認する |
| 親の半分 | 2〜3cm | 2か月前後 | 安全に可 | 数匹ずつ段階的に戻す |
| 成熟が近い | 3cm前後 | 3か月前後 | 可(繁殖に注意) | 雌雄を分けるか決める |
体長と日数のおおよその対応

表のとおり、条件つきで合流できるのが生後1か月前後、安全に戻せるのが2か月前後というのがおおまかな流れです。ただし日数は水温と餌で前後します。水温が低ければ成長は遅れ、餌が行き渡っていなければさらに遅れます。
成長差が大きい場合は、全部を同じ日に戻す必要はありません。大きく育った個体から順に本水槽へ移し、小さい個体は隔離容器に残す。この方法なら、隔離容器の密度も下がって残った稚魚の成長が進みます。合流は一度きりのイベントではなく、何回かに分けて進めるものと考えると気が楽になります。
合流を急ぐ理由がある場合もあります。隔離容器が過密になっている、水質の管理が追いついていない、といったケースです。そのときは、隔離容器を広いものに替えるか、成魚のほうを一時的に別容器へ移して本水槽を稚魚に使う、という手もあります。どちらが現実的かは、手持ちの容器の数で決まります。
水温による日数のズレは、思っているより大きく出ます。24〜26度で育てた稚魚が1か月で1.5cmに届くとして、20度前後の環境ではそれを大きく下回ることがあります。冬に暖房を切る部屋で隔離容器を管理していると、本水槽との温度差でさらに差が開きます。日数で管理していると、この差にまったく気づけません。ものさしを容器の外側に貼っておくか、水槽の目地を基準にして測ると、成長を数字で追えるようになります。
隔離から本水槽へ戻す手順
合流の判断がついたら、次は戻し方です。ここで失敗すると、せっかく育った稚魚を一気に落とすことがあります。実際、隔離容器では元気だったのに本水槽へ戻したあとから減っていく、という経過はよく報告されています。せっかく1か月育てた稚魚を最後の1日で失うのは、いちばんもったいない失敗です。
原因として考えられるのは、水質と水温の差、成魚に追われるストレス、そして餌が取れないことの3つです。いずれも「一度に全部やってしまう」と重なって効いてくるので、手順を分けるだけでかなり防げます。
ここでは、温度と水質を合わせる方法、段階的に戻す進め方、そして戻したあと数日で見るポイントを整理します。時間はかかりますが、難しい作業ではありません。
水温と水質を先に合わせる

合流の前日までに、隔離容器と本水槽の水温を確認してください。小さな容器は室温の影響を受けやすく、本水槽より数度低いことがあります。この差があるまま移すと、購入した魚を水合わせなしで放すのと同じ負担がかかります。
水質についても同じです。隔離容器の水を本水槽の水で少しずつ入れ替えておくと、移したときの差が小さくなります。ジェックスの飼育解説でも、稚魚の飼育水について「水は全部を新しくせず、親の水槽から取った水を出来るだけ投入すると良いでしょう。水温の差にも注意してください」と案内されています(出典:同上)。
温度計は隔離容器側にも1本置いておくと確実です。目視や手の感覚では2〜3度の差がわかりません。合流のタイミングだけでなく、日々の管理でも役に立ちます。
小さな容器の水温を把握しておくと、合流の判断が数字でできるようになります。本水槽と隔離容器の両方に置いておくのがおすすめです。
一度に全部戻さない
合流は数回に分けて進めます。まず大きく育った個体を3〜5匹だけ本水槽へ移し、1〜2日様子を見ます。追われていないか、餌を取れているか、隠れたまま出てこなくなっていないかを確認して、問題がなければ次の数匹を移します。
移すときは、隔離容器ごと本水槽に浮かべて水温を合わせ、そのあと網ではなくカップですくって移すのが優しい方法です。網は体表の粘膜を傷つけることがあり、小さな個体ほど影響を受けやすいためです。網を使う場合は、水中で受けて水ごと移してください。
移す時間帯は、照明を消す少し前がおすすめです。暗くなれば成魚の活動も落ち着き、追いかけられる時間が短くなります。翌朝には新しい環境に慣れていることが多いです。逆に、餌の直後や照明を点けた直後は、成魚が活発なので避けてください。
合流の前に、本水槽側の準備もしておいてください。稚魚が逃げ込める場所が少ないと、追われたときに行き場がありません。ウィローモスや浮き草を足す、流木や水草の陰を増やすといった手当てを、合流の数日前までに済ませておきます。レイアウトの考え方はグッピー水槽のレイアウトの決め方で扱っています。隠れ家が増えると成魚のストレスも下がるので、合流以外の場面でも効いてきます。
戻したあと数日で見るところ
合流後の数日は、朝と夜に数を数えてください。減っていれば、捕食か水質か体調のいずれかです。原因を特定しないまま次のグループを移すと、同じことが繰り返されます。
見るポイントは3つです。まず、稚魚が水槽の隅や水面近くに固まっていないか。追われていると同じ場所に寄る傾向があります。次に、餌をやったときに出てきて食べているか。出てこない個体は痩せていきます。最後に、成魚が特定の個体を執拗に追っていないかです。
問題が見られたら、いったん戻すのも判断のひとつです。合流に失敗はつきもので、もう少し育ててから再挑戦すれば済みます。一度戻したら二度と隔離できない、というルールはありません。水槽の様子を見ながら柔軟に決めてください。
合流の日は、本水槽の成魚に先に餌を与えておくと落ち着きます。満腹の状態では、動く小さなものへの反応が鈍くなるためです。ちょっとした工夫ですが、最初の数時間を穏やかに過ごせるかどうかで、その後の定着が変わってきます。
隔離が長引いたときに起きること
「もう少し大きくなってから」と考えているうちに、隔離が1か月、2か月と延びていくことがあります。安全を優先しているつもりが、実際には別のリスクを増やしていることが少なくありません。しかもこのリスクは、捕食のように目に見える形では現れないので気づきにくいです。
隔離容器は水量が小さく、水質の変化が速い環境です。稚魚は水質悪化の影響を成魚より受けやすいため、本水槽で捕食される危険より、隔離容器で水が悪くなる危険のほうが高くなる時期がやってきます。この逆転が起きるのが、だいたい体長1.5cmを超えたあたりです。
ここでは、隔離容器で起きやすい水質の問題、成長への影響、そして母魚を隔離する場合の考え方を整理します。掃除の頻度が保てないと感じたら、早めに合流を検討してください。
小さな容器は水が急に悪くなる

1〜2Lの産卵箱や3〜5Lのプラケースでは、稚魚の数が増えるほど水質の変化が速くなります。餌の食べ残しと糞が短時間で溜まり、分解の過程で出るアンモニアが逃げ場のないまま濃くなっていきます。稚魚がこの変化に弱いことは、育成でつまずく原因としてよく挙げられます。
対策は、毎日スポイトで底のごみを吸い出し、その分だけ本水槽の水を足すことです。この作業を続けられているうちは隔離を延ばしても構いませんが、忙しくて数日空くようなら合流を早めたほうが安全です。水換えの基本的な考え方はグッピーの水換え頻度は週1回・量は3分の1で整理しています。
外掛け式の産卵箱のように本水槽の水が循環するタイプなら、水質の面ではかなり楽になります。それでも容器の底には食べ残しが溜まるので、掃除が不要になるわけではありません。
底のごみを吸い出す作業は、細めのスポイトがあると格段に楽になります。稚魚を吸い込まない太さのものを選んでください。
酸素の面でも小さな容器は不利です。水面の面積が狭く、水量に対して稚魚の数が多くなるほど、溶け込める酸素の量が足りなくなります。水面近くで口をぱくぱくさせる個体が出てきたら、酸素が足りていない合図です。エアレーションを足すか、容器を広げるか、合流を早めるかのいずれかで対応してください。夏場は水温が上がると水に溶ける酸素が減るので、同じ密度でも急に苦しくなることがあります。
成長が止まり体格差が固定される
過密な状態が続くと、稚魚の成長は鈍ります。水質の悪化で餌の食いが落ち、酸素をめぐる競合が起き、常に他の個体と接触するストレスがかかるためです。餌を増やしても改善せず、むしろ水がさらに汚れて悪循環になります。
やっかいなのは、この時期にできた体格差が固定されやすいことです。大きい個体が先に餌を取り、小さい個体は残りしか食べられない。この差が毎日積み重なると、同じ日に生まれた稚魚のあいだで倍近い開きが出ます。合流を遅らせるほど、この差は広がっていきます。
水槽サイズごとの適正な飼育数はグッピー水槽は何匹が適正?で計算の考え方を示しています。隔離容器も同じ考え方で、水量に対して何匹までかを一度計算してみてください。想像より少ないことに気づくはずです。
逆に、合流を遅らせすぎると別の問題も出てきます。グッピーは生後3か月前後で繁殖できるようになるため、隔離容器の中で次の世代が始まってしまうことがあります。雌雄が混ざったまま3か月放置すると、狭い容器の中で予定外の出産が起きるという状況です。合流を遅らせるなら、遅くとも2か月前後で雌雄を分けるかどうかを決めておいてください。
母魚を隔離する場合は期間が別
ここまでは稚魚を隔離する話でしたが、出産のために母魚を産卵箱へ入れる場合は、期間の考え方がまったく違います。母魚にとって産卵箱は極端に狭い空間で、長く入れるとストレスで出産が遅れることがあると言われています。
母魚を入れるなら、出産の兆候が重なってからにしてください。お腹が角張った四角い形になる、妊娠マーク(お腹の後方に出る黒ずみ)が濃くなる、底でじっとして餌への反応が鈍くなる。この3つが揃ってからで十分です。妊娠の見分け方はグッピーの妊娠期間は何日?で扱っています。
産み終わったら、稚魚を容器に残したまま母魚だけをすぐ本水槽へ戻します。移してから1日経っても産まないときも、いったん戻したほうが負担が小さくなります。母魚の隔離は数時間から1日、稚魚の隔離は数週間から2か月。同じ容器を使っていても、期間はまったく別物だと考えてください。
隔離をやめる合図:①掃除が毎日できなくなった ②容器の中で稚魚がぶつかり合っている ③体長1.5cmを超えた個体が出てきた ④水が白くにごる、油膜が張る。どれかが出たら、合流を前倒しするか容器を広げてください。
なお、隔離をやめたあとも数週間はろ過器の吸い込み対策を残しておいてください。合流できる大きさになった稚魚でも、ストレーナーの隙間には入り込めることがあります。スポンジを外すのは、稚魚がはっきり若魚と呼べる姿になってからで十分です。ここを急いで元に戻して、合流の翌週に数が減ったというのはよくある流れです。
合流の判断チェック:①体長1.5cm以上(安全側なら親の半分の2〜3cm) ②水流に逆らって前へ進める ③手を近づけると素早く逃げる ④落とした餌にまっすぐ向かう。この4つがそろったら、3〜5匹だけ移して1〜2日様子を見てください。
グッピーの稚魚の隔離に関するよくある質問(FAQ)
グッピーの稚魚の隔離はいつまで続ければいいですか?
日数ではなく体長で判断してください。安全側の基準は「親の半分くらいの大きさ」で、成魚が4〜6cmなら2〜3cm、日数にすると2か月前後が目安になります。ジェックスの飼育解説でも、この基準が示されています。
もう少し早く戻したい場合は、成魚の口に入らない大きさという条件で考えます。体長1.5cm前後になると体高も出てきて飲み込みにくくなるため、泳ぎの力がしっかりしていれば条件つきで合流できます。ただしこれはあくまで一般的な目安で、水槽にいる成魚の大きさや混泳魚の有無で変わります。
隔離しないで育てることはできますか?
できます。ウィローモスやマツモのように葉が細かい水草を水面付近に多めに入れておくと、稚魚は自分で潜り込んで身を守ります。母魚にも稚魚にもストレスがかからず、合流のタイミングを人が決める必要もありません。
ただし残る数は環境に左右されます。水草が薄ければほとんど残らず、厚く茂っていれば思った以上に生き残ることもあります。「全部残したい」なら隔離、「増えすぎを避けたい」なら水草に任せる、という使い分けになります。どちらを選ぶ場合も、増えた稚魚を最終的にどうするかを先に決めておいてください。
本水槽へ戻したら数が減りました。何が原因ですか?
考えられるのは3つです。成魚に捕食された、水質や水温の差で弱った、餌が取れずに痩せた。合流の直後に一気に減ったなら捕食か水質、数日かけて少しずつ減ったなら餌が取れていない可能性が高いです。
防ぐには、合流の前に隔離容器の水を本水槽の水で入れ替えて差をなくしておくこと、そして一度に全部戻さず3〜5匹ずつ段階的に移すことです。移す時間帯は照明を消す少し前が向いています。うまくいかなかったら、いったん隔離に戻してもう少し育ててから再挑戦して構いません。
産卵箱に稚魚を入れっぱなしにしても大丈夫ですか?
おすすめしません。1〜2Lの産卵箱は水量が小さく、稚魚の数が増えるほど水質の変化が速くなります。稚魚は成魚より水質悪化の影響を受けやすいため、ある時点から「本水槽で食べられる危険」より「箱の中で水が悪くなる危険」のほうが高くなります。
目安として、体長1.5cmを超えた個体が出てきたら合流を検討してください。それまでのあいだも、毎日スポイトで底のごみを吸い出し、その分だけ本水槽の水を足す作業が必要です。この掃除が続けられないと感じたら、容器を広いものに替えるか、合流を早めるという判断になります。
母魚はいつまで産卵箱に入れておけばいいですか?
稚魚とはまったく別の考え方になります。母魚にとって産卵箱は極端に狭い空間で、長く入れておくとストレスで出産が遅れたり、産む数が減ったりすることがあると言われています。入れるのは出産の兆候が重なってからで十分です。
産み終わったら、稚魚を箱に残したまま母魚だけをすぐ本水槽へ戻してください。移してから1日ほど経っても産まないときも、いったん戻したほうが負担が小さくなります。出産直後のメスは消耗しているので、戻すときは隠れ場所のある側へそっと放してあげてください。
まとめ|隔離の終わりは体長で決める
グッピーの稚魚の隔離は、成魚の口に入るあいだだけ必要な措置です。だから終わりの判断も、日数ではなく体長で決めます。安全側なら「親の半分くらい」=2〜3cm、最短で戻すなら「成魚の口に入らない大きさ」=体長1.5cm前後が目安になります。
ただし数字だけで決めきらないでください。同じ体長でも、水流に逆らって泳げるか、驚いたときに素早く逃げられるか、餌にまっすぐ向かえるか。この3つがそろっているかどうかで、合流後の結果は変わります。迷ったら1週間待つ、という判断で構いません。
戻すときは、水温と水質を先に合わせ、3〜5匹ずつ段階的に移します。照明を消す少し前の時間帯が向いていて、成魚に先に餌を与えておくとさらに落ち着きます。合流後の数日は朝夕に数を確認し、減っているようならいったん隔離へ戻して構いません。
そして忘れたくないのが、隔離を続けすぎるリスクです。小さな容器は水質の変化が速く、稚魚はその影響を受けやすい。掃除が毎日できなくなった、容器の中が窮屈になってきた、体長1.5cmを超えた個体が出てきた。そんな合図が出たら、守るための隔離が負担に変わりはじめています。本文の数値はいずれも一般的な目安なので、最後は自分の水槽にいる成魚の大きさと稚魚の様子を見て決めてください。

