水槽のまわりを飛ぶ小さな虫の正体は?コバエ・チョウバエの発生源と魚に安全な減らし方
水槽のガラスにふと目をやると、小さな黒い虫が止まっている。フタのすき間や照明のまわりを、コバエのような虫がふらふら飛んでいる。部屋の中でアクアリウムを楽しんでいると、こんな場面に出会うことがあります。魚がいるから殺虫剤は使いにくいし、どこから湧いているのかも分からない。困りますよね。
水槽のまわりに出るコバエの多くは、水槽の水そのものではなく、フィルターの汚れ、水換え道具、餌、植木鉢の土といった「水槽のまわりにある湿った汚れ」から湧いています。水槽のチョウバエ、キノコバエ、ショウジョウバエ、それにユスリカ。種類によって発生源が違うので、正体を見分けることが、コバエの駆除への近道です。
先に結論をお伝えすると、水槽のコバエ対策でいちばん大切なのは、殺虫剤ではなく発生源を断つことです。水槽のある部屋で殺虫スプレーやくん煙剤を気軽に使うと、魚やエビに影響が出るおそれがあります。虫の種類を見分けて、湧いている場所を片づけ、粘着シートやフタで成虫を減らす。この順番なら、魚に安全なまま減らしていけますよ。
この記事では、水槽にコバエが湧く原因と虫の正体を種類ごとに整理し、発生源の見つけ方を紹介します。後半では、殺虫剤を水槽の近くで使わない理由と、フィルター掃除、トラップ、フタやネットを使った魚に安全な対策をまとめました。
- 水槽のまわりに出るコバエの種類と見分け方
- チョウバエやキノコバエが湧く発生源の場所
- 殺虫剤を水槽の近くで使わないほうがよい理由
- 魚に安全なコバエの減らし方と再発の防ぎ方
水槽にコバエが湧く原因と虫の正体
この章では、水槽にコバエが湧く原因を、虫の種類ごとに見ていきます。ひとまとめに「コバエ」と呼ばれる虫には、実はいくつもの種類があり、それぞれ好む場所がまったく違います。
種類が分かれば、どこを探せばいいかが決まります。逆に正体が分からないまま掃除をしても、肝心の発生源を見落として、いつまでも飛び続けることになりかねません。
まずは種類ごとの特徴を表にまとめます。そのあと1種類ずつ、発生源と見分けるポイントを説明していきますね。
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| 虫の種類 | 見た目の特徴 | 止まり方・飛び方 | 水槽まわりの主な発生源 |
|---|---|---|---|
| チョウバエ | 灰色で毛深い。羽が広く、ハート形を逆さにしたような形 | 壁やガラスにじっと止まる。飛ぶのは得意でない | フィルターのぬめり、排水口、汚れたバケツ |
| キノコバエ | 黒く細長い。約3mm | 土や鉢のまわりをふらふら飛ぶ | 植木鉢の土、土を使ったレイアウト |
| ショウジョウバエ | 黄色っぽい体に赤い目。約2〜3mm | 活発に飛び回り、においに集まる | 餌の食べ残し、開けっぱなしの餌、生ごみ |
| ユスリカ | 蚊に似た細い体。脚が長い | 夕方に群れて飛ぶことがある | フタのない水面、屋外の容器 |
大きさや色は、種類や個体によって差があります。表はあくまで一般的な目安として使い、次の項で紹介する止まり方や発生場所と組み合わせて判断してください。
水槽まわりのコバエは主に4種類

水槽のまわりで見かけるコバエは、チョウバエ、キノコバエ、ショウジョウバエ、ユスリカの4種類でほぼ説明がつきます。どれも数ミリの小さな虫ですが、見分けるポイントを知っていれば、慣れていなくても区別できます。
いちばん分かりやすいのは、止まっているときの形です。チョウバエは羽を左右に広げて、壁やガラスにぺたりと止まります。上から見ると、ハートを逆さにしたような形。毛深く、灰色っぽい見た目なので、ほかのコバエとはひと目で違います。
キノコバエは、黒くて細長い体をしています。鉢植えのまわりをふらふらと頼りなく飛ぶのが特徴で、観葉植物を置いている部屋ではおなじみの虫かもしれません。
ショウジョウバエは、黄色っぽい体に赤い目が目印です。果物や発酵したにおいに集まる性質があり、台所で見かけるコバエの多くはこの仲間です。
ユスリカは、蚊によく似た細い体と長い脚を持つ虫です。ただし人を刺すことはありません。幼虫は水の中で育つので、4種類の中では唯一、水そのものから湧く可能性がある虫です。
この4種類のうち、水槽の水から直接湧くのはユスリカくらいです。残りの3種類は、水槽のまわりにある湿った汚れや食べ物から湧いていると考えてください。だからこそ、水槽の水をいくら替えても、コバエが減らないことがあるんですね。
チョウバエはフィルターや排水まわりの汚れから
水槽のチョウバエは、フィルターのぬめりや、排水まわりのヘドロのような汚れから湧いていることが多いです。水槽まわりで灰色の毛深い虫が壁に止まっていたら、まずここを疑ってください。
チョウバエの幼虫は、水回りのヌメヌメした汚れの中で育ちます。殺虫剤メーカーの金鳥の解説では、このヌメヌメは「バイオフィルム(生物膜)」と呼ばれる、カビなどの微生物が作る膜だと説明されています(出典:KINCHO公式note)。つまり、水分と栄養のある汚れがたまっている場所が、チョウバエの育つ場所です。
水槽まわりでこの条件がそろいやすいのが、上部フィルターのウールマットや、ろ過槽のふちです。魚のフンや食べ残しが集まり、水に濡れたまま空気に触れているので、チョウバエが卵を産むにはちょうどいい環境になります。外掛けフィルターの外側や、フタの裏にたまった汚れも同じです。
もうひとつ見落としやすいのが、水換えに使う道具です。汚れた飼育水を入れたバケツを洗わずに置いておく、ホースの中に水が残ったままになっている。こうした場所でも、ぬめりができればチョウバエは育ちます。浴室やキッチンの排水口で湧いたチョウバエが、水槽のある部屋まで飛んでくることもあります。
同じ金鳥の解説では、チョウバエは飛ぶのが得意ではないとされています。壁に止まっているチョウバエを見つけたら、近くに発生源があると考えていいでしょう。水槽のすぐそばで何匹も見かけるなら、水槽まわりの汚れを、部屋の離れた場所で見かけるなら排水口を、優先して確認するのが効率的です。
チョウバエがやっかいなのは、増えるスピードです。金鳥の解説では、幼虫はおよそ2週間かけて育ち、成虫は200〜300もの卵を産むとされています。数匹見かけた段階で発生源を片づけておかないと、次の世代がまとまって羽化してくることになります。
幼虫は、汚れの中にいる小さな細長い虫です。フィルターのウールマットを外したときに、黒っぽい細かいウジのようなものが動いていたら、それがチョウバエの幼虫の可能性があります。見つけたら、汚れごと取り除くのが基本です。
キノコバエは水草の土や植木鉢から
黒くて細長いコバエが水槽のまわりを飛んでいるなら、キノコバエの可能性があります。発生源は、水槽そのものではなく、近くにある土であることがほとんどです。
アース製薬の病害虫図鑑では、キノコバエは約3mmの虫で、春と秋に発生しやすく、土の中の有機物に生息して、屋内の植木鉢や堆肥から発生すると説明されています(出典:アース製薬 アースガーデン病害虫図鑑)。腐った植物や樹皮などを食べる虫とされているので、幼虫も土の中の有機物を食べて育つと考えられます。
アクアリウムの部屋で考えると、水槽の横に置いた観葉植物の鉢、上部フィルターの上に置いた植物の鉢、陸地部分に土を使ったレイアウトなどが候補になります。水中にあるソイルは水に沈んでいるので、キノコバエが産卵する場所にはなりにくいと考えてください。問題になるのは、空気に触れた湿った土です。
鉢植えの土の表面を観察して、細長い黒い虫がとまっていたり、飛び立ったりしていないか見てみましょう。水やりの直後に虫が舞い上がるなら、その鉢が発生源と考えてよさそうです。
キノコバエへの対策は、土の表面を乾かし気味にする、表面の古い土を取り替える、土の上に化粧石などを敷いて産卵しにくくする、といった方法が一般的です。キノコバエは土の表面近くに卵を産むので、表面の数センチを新しい土に入れ替えるだけでも、次の世代を減らす効果が期待できます。水やりの回数を少し控えて、土の表面が乾く時間を作るのも有効です。鉢に使う殺虫剤は、水槽の近くでは使わないでください。鉢を別の部屋へ移してから処置するほうが安心です。上部フィルターの上で植物を育てる方法の注意点は、上部フィルターに植物を置く方法と失敗しないコツでまとめています。
ショウジョウバエは餌の食べ残しや保管から
黄色っぽい体に赤い目のコバエなら、ショウジョウバエです。水槽まわりでは、餌がらみの場所が発生源になりやすい虫です。
フマキラーの解説では、ショウジョウバエは体長2〜3mmほどで、生ごみや発酵食品のにおいに集まり、卵からおよそ10日で成虫になるとされています。つまり、においのする有機物が10日ほど放置されていれば、そこから次の世代が生まれてくる計算です。
同じ解説では、成虫は1日に30〜50個ほどの卵を産むとされています。1匹、2匹と見逃しているうちに、あっという間に数が増えるのはこのためです。見かけた日に発生源を探し始めるくらいの感覚でちょうどいいと思います。
水槽まわりで気をつけたいのは、水面の上にこぼれた餌です。フタのふちや水槽台の上に落ちた餌、水面に浮いたまま流れ着いてフチに張りついた食べ残し。これらが湿って傷むと、ショウジョウバエを呼ぶにおいになります。冷凍餌を解凍した容器を洗わずに置いておくのも、よくある原因です。
餌の与えすぎを見直すことは、コバエ対策と水質の両方に効きます。食べ残しが出ない量に調整すれば、水面に浮いた餌が縁にたまることも減ります。金魚の場合の目安は金魚の餌の量と食べ残しを防ぐ与え方で詳しく書いています。
開封した餌の袋や容器をきちんと閉めておくことも大切です。湿気を吸った餌は傷みやすく、虫を呼ぶ原因にもなります。餌の保管そのものについては話が広くなるので、ここでは「開けたら閉める、湿気の少ない場所に置く」の2点だけ覚えておいてください。
餌の袋の中に虫がわいてしまったときの見分け方と、湧かせない保存方法はメダカの餌に虫がわく原因と対処の記事で整理しています。
あわせて、部屋の生ごみや果物も確認しましょう。水槽のまわりを飛んでいても、実際の発生源は台所の三角コーナーだった、ということもよくあります。
ユスリカや蚊は開いた水面から
4種類の中で、水槽の水から湧く可能性があるのがユスリカです。蚊とよく似ていますが、人を刺すことはありません。幼虫はアカムシと呼ばれ、水の底にたまった汚れの中で育ちます。
ユスリカが卵を産むには、成虫が水面に近づく必要があります。フタのある室内水槽なら、湧くことはあまりありません。フタのない水槽、窓際に置いた水槽、ベランダや庭の容器では、外から飛んできたユスリカが卵を産むことがあります。
蚊も同じく、フタのない水面に卵を産みます。室内でも、窓を開けたまま過ごす季節には油断できません。ただ、魚がいる水槽なら、水面に上がってきたボウフラは魚が食べてくれることが多いです。魚がいない容器、たとえば水草だけを浸けたバケツや、水換え用にくみ置きした水のほうが、湧きやすい場所になります。
水槽の中で細長い虫が泳いでいるのを見つけた場合、それはコバエの幼虫よりも、ユスリカの幼虫や別の小さな生き物である可能性が高いです。水中の白い虫や小さな生き物の見分け方は、水槽の白い虫やダニの見分け方と判断で整理しています。屋外の容器に湧く虫については、ビオトープに虫が湧く原因と駆除の判断基準もあわせて読んでみてください。
発生源を見つける観察のコツ
種類の見当がついたら、次は発生源を探します。コツは、虫がいちばん多く止まっている場所の近くから順に調べることです。特にチョウバエは遠くまで飛ばないので、止まっている場所がそのまま手がかりになります。
調べる順番は、水槽に近いところからがおすすめです。まずフィルターのふたを開けて、ウールマットやろ過槽のふちにぬめりがないか見ます。次にフタの裏と水槽のフチ、水槽台の上と下。水換えのバケツやホース、くみ置きの容器。最後に、近くの植木鉢と、部屋の外の排水口や生ごみです。
確認するときは、懐中電灯で斜めから照らすと、ぬめりの光り方や小さな幼虫の動きが見えやすくなります。怪しい場所が見つかったら、そこだけ先に掃除して数日様子を見てください。虫の数が目に見えて減れば、そこが発生源だったと分かります。
発生源がいくつも重なっていることもあります。フィルターを掃除したのに減らないときは、次の候補へ進みましょう。一度に全部をひっくり返すより、1か所ずつ片づけて変化を見るほうが、原因がはっきりして再発防止にもつながります。
時間帯を変えて観察するのもおすすめです。照明をつけている時間と消したあと、朝と夜というように、それぞれ虫の止まっている位置を確認すると、行き来している場所が見えてきます。
虫の数をかぞえるのが面倒なら、粘着シートを1枚置いておくのも便利です。何日かで何匹かかったかを見れば、掃除の前と後で減ったかどうかが数字で分かります。どの種類がかかっているかを見れば、正体の確認にもなります。
水槽のコバエを魚に安全に減らす対策
ここからは、水槽のコバエを魚に安全に減らす対策です。大原則は、発生源を断つことと、魚のいる水に薬を入れないこと。この2つを守れば、コバエの駆除で魚を危険にさらすことはまずありません。
この章では、殺虫剤を水槽の近くで使わないほうがよい理由を最初に説明し、そのうえでフィルターと水槽まわりの掃除、粘着シートやトラップの使い方、フタやネットで防ぐ方法を順に紹介します。
どの方法も、特別な道具はほとんど必要ありません。今日からできることばかりなので、できるところから始めてみてください。
ひとつだけ意識してほしいのは、効き目が出るまでに少し時間がかかることです。発生源を片づけても、すでに育っている幼虫やさなぎが羽化するまでは、成虫がしばらく飛び続けます。数日で結果を決めつけず、1〜2週間の単位で数の変化を見ていきましょう。
殺虫剤やスプレーを水槽の近くで使わない理由
コバエが飛んでいると、つい殺虫スプレーに手が伸びます。ですが、水槽のある部屋では、殺虫スプレーやくん煙剤の使用はできるだけ避けてください。魚やエビに影響が出るおそれがあるからです。
家庭用の殺虫剤によく使われるピレスロイド系の成分は、人やペットの哺乳類には比較的影響が小さいとされる一方で、魚や水生の生き物には強く作用することが知られています。スプレーの霧やくん煙剤の煙が水面に落ちると、水に溶けて魚に届いてしまいます。エアーポンプを動かしていれば、部屋の空気を吸い込んで水の中へ送り込むことにもなります。
特にエビの仲間は、殺虫成分に弱いことで知られています。魚は平気そうに見えても、エビだけが先に弱る、ということもありえます。
見落としやすいのが、スプレー以外の虫よけ製品です。コンセントに挿すタイプの蚊取りや、吊り下げ・置き型の虫よけの中には、殺虫成分を少しずつ空気中に広げる仕組みのものがあります。一度にまく量は少なくても、水槽のそばで何日も使い続ければ、水面に触れる機会はそれだけ増えます。水槽のある部屋で使いたいときは、製品の注意書きに観賞魚についての記載がないかを先に確認し、記載があればそれに従ってください。
どうしてもくん煙剤などを使う必要があるときは、製品の注意書きを必ず読んでください。多くの製品には、観賞魚の水槽についての注意が書かれています。ただし、その内容は製品によって違います。水槽にカバーをかけるだけでは不十分として、部屋の外へ出すよう求めている製品もあれば、すき間なく覆ってテープなどで密閉し、エアーポンプを止める方法を示している製品もあります。布を1枚かけるだけの「覆う」では足りないと考えて、使う製品の手順に正確に従ってください。使用後は十分に換気し、魚の様子をしばらく見守ってください。
魚のいる水に、コバエ用・ボウフラ用の薬剤を直接入れるのはやめてください。発生源を断つ対策で十分に減らせることが多く、薬剤は魚やエビへの影響が読めません。薬剤を使う場合は、製品の注意書きで観賞魚への影響を必ず確認し、判断に迷うときは購入した販売店やメーカーに相談してください。
フィルターと水槽まわりを掃除して発生源を断つ

発生源が見つかったら、そこを掃除するのがいちばん効きます。チョウバエの場合は、成虫を追いかけるより、幼虫が育つ汚れを取り除くほうが確実です。成虫を退治しても、汚れの中に幼虫が残っていれば、また次の世代が出てきます。
フィルターの掃除では、ウールマットの汚れを落とし、ろ過槽のふちやフタの裏のぬめりを拭き取ります。ただし、ろ材を水道水でごしごし洗うのは避けてください。ろ材には水をきれいにしてくれるバクテリアが住んでいるので、洗うときは飼育水で軽くすすぐ程度にとどめます。ウールマットは汚れがひどければ新しいものに交換しても構いません。フィルター掃除の頻度と手順は、洗いすぎを防ぐフィルター掃除の頻度と手順で詳しく紹介しています。
水槽のまわりは、濡れたままの場所をなくすことが大切です。水槽台の上にこぼれた水、フタの上にたまった結露、濡れたままのタオル。こうした場所に汚れが混ざると、ぬめりが育ちます。水換えのあとは、バケツとホースを洗って乾かしておきましょう。
水換え道具を片づけるときのコツ
バケツは、使ったあとに水を捨てて軽くすすぎ、逆さにして乾かすのが基本です。底に数ミリでも水が残っていると、そこにぬめりができてチョウバエの住みかになります。ホースやプロホースは、中に残った水を出し切ってから吊るしておくと乾きやすくなります。
スポンジやブラシも、濡れたまま水槽台の中にしまい込まないようにしてください。水槽台の扉の中は湿気がこもりやすく、ぬめりやカビが育ちやすい場所です。道具は風通しのよい場所で乾かしてから片づける。この習慣だけでも、水槽まわりのコバエはかなり減らせます。
ぬめりそのものの正体や、水槽内のバイオフィルムとの付き合い方は、水槽のバイオフィルムと水カビの見分け方が参考になります。水中のバイオフィルムは水槽にとって自然なものですが、水の外にできたぬめりはチョウバエの住みかになる、という違いを覚えておいてください。
家の排水口が発生源の場合は、排水口の掃除が必要です。ブラシや排水口用の洗浄剤でぬめりを落とせば、チョウバエの発生を抑えられます。ただし、洗浄剤を使った道具やバケツを、そのまま水槽の水換えに使わないように気をつけてください。水槽用の道具は、ほかの掃除と分けておくのが安心です。
上部フィルターのウールマットは、汚れがたまるとぬめりの温床になります。交換用のマットを手元に置いておくと、汚れが目立ったときにすぐ取り替えられて便利です。対応するフィルターの型とサイズは、購入前に各ショップで確認してください。
粘着シートやトラップで成虫を減らす
発生源を片づけたあとも、しばらくは成虫が飛んでいます。成虫を減らすには、殺虫成分を使わない粘着シートやトラップが水槽の近くでも使いやすい方法です。
黄色い粘着シートは、キノコバエやチョウバエのような小さな虫が寄ってきやすく、水槽のそばに置いても魚への影響の心配がありません。フタの上や水槽台の脇、植木鉢の近くなど、虫がよく止まる場所の近くに置いてみてください。何日かすると、どの種類の虫が何匹かかったかが分かるので、発生源が片づいたかどうかの確認にもなります。
ショウジョウバエには、においで誘うトラップが効きやすいです。市販のコバエ用トラップのほかに、酢や果物のにおいを使った手作りのトラップを使う方法も知られています。ただし、中身が液体のトラップは、水槽に倒れ込まない場所に置いてください。洗剤などを混ぜた液体が水槽に入ると、それ自体が魚に害になります。
トラップを置く場所は、虫がよく止まっている場所のそばが基本です。照明の近くに集まる虫なら照明の脇、植木鉢から飛ぶ虫なら鉢の近く、というように、発生源と虫の動きに合わせて置き場所を変えると、かかる数が変わってきます。数日おきに交換し、かかった数をメモしておくと、対策の効果が見えるようになります。
トラップは、あくまで成虫を減らす補助です。トラップにかかる虫がいつまでも減らないなら、発生源がまだ残っているサインだと考えてください。前の項の掃除に戻って、見落としている場所がないか探しましょう。
粘着シートは、水槽のガラスに直接貼らないほうがいいですよ。はがすときに汚れが残ったり、照明の熱で粘着剤がゆるんだりすることがあります。水槽台の脇や、フタの上に置いた小皿の上など、はがしやすい場所に置くのがおすすめです。
黄色の粘着シートは、水槽のそばでも使いやすい虫取りの道具です。これは黄色の強力粘着タイプで、枚数が多いので置き場所を変えながら様子を見るのに向いています。価格や在庫は、購入前に各ショップで確認してください。
フタやネットで侵入と産卵を防ぐ

掃除とトラップで減らしたら、最後は再発を防ぐ仕組みです。いちばん効果的なのは、水槽に虫が近づけない状態を作ることです。
フタのある水槽なら、フタのすき間をできるだけ小さくしましょう。コードやホースを通す部分のすき間は、スポンジや目の細かいネットでふさげます。フタのない水槽や、水面を開けておきたいレイアウトでは、目の細かいネットを水槽のふちにかぶせる方法もあります。ユスリカや蚊が水面に卵を産むのを防げます。
フィルターの給水口やろ過槽のふたも、すき間を減らしておくと、チョウバエが中に入り込んで卵を産むのを防ぐことにつながります。定期的にふたを開けて、中にぬめりがたまっていないか点検する習慣をつけておくと安心です。
ただし、フタやネットで水槽を覆うと、夏は水温が上がりやすくなることがあります。フタを閉め切る場合は、水温計で温度を確認し、上がりすぎるようなら冷却ファンを使う、ネットに替えて風を通すなどの工夫をしてください。コバエ対策のために魚の暮らしやすさを損なっては本末転倒です。
部屋全体の対策も、水槽の対策と同じくらい効きます。窓の網戸を閉める、生ごみにふたをする、排水口をこまめに掃除する。水槽まわりだけでなく、家の中の発生源を減らすことが、水槽のまわりを飛ぶコバエを減らすことにつながります。
魚がいる水槽では、水面に落ちた小さな虫を魚が食べることもあります。ただ、魚にコバエ退治を任せるのは現実的ではありません。魚は水面に落ちた虫を食べるだけで、発生源のぬめりや土まではどうにもできないからです。発生源を断つ、成虫を減らす、侵入を防ぐ。この3つを組み合わせるのが確実です。
フタのない水槽やくみ置きの容器を覆うなら、目の細かさが数字で書かれたネットが選びやすいです。これは目合い0.6mmの防虫ネットで、容器の大きさに合わせて切って使えます。サイズや価格は、購入前に各ショップで確認してください。
水槽のコバエについてよくある質問
コバエが水槽の水に落ちても魚は大丈夫ですか?
数匹が落ちる程度なら、心配しすぎなくて大丈夫です。魚が食べてしまうことも多く、食べ残しも少量なら水質への影響はわずかです。ただし、虫が大量に落ちて水面に浮いたままになっている場合は、すくって取り除いてください。気になるのは虫そのものより、虫を減らそうとして使った殺虫剤が水に入ることのほうです。
水換えを増やせばコバエは減りますか?
水換えだけでは減らないことが多いです。チョウバエやキノコバエ、ショウジョウバエは、水槽の水ではなく、フィルターのぬめりや土、餌の食べ残しといった水槽のまわりの汚れから湧いているからです。水換えよりも、フィルターの掃除や水槽まわりの片づけを優先してください。
冬でもコバエが出るのはなぜですか?
コバエの仲間は、屋外では暖かい季節に多い虫です。ただ、暖房の効いた室内は冬でも暖かく、水槽のまわりは湿度も保たれているため、冬でも虫が育ってしまうことがあります。特にヒーターを入れた水槽のまわりは、虫にとって過ごしやすい場所です。冬に見かけたときも、夏と同じように発生源を探して片づけてください。
掃除をしてもコバエがいなくなるまでどれくらいかかりますか?
発生源を片づけても、すでに羽化した成虫や、見落とした場所の幼虫がしばらく残ることがあります。種類によって育つ期間は違いますが、1〜2週間ほどは粘着シートで数を見ながら様子を見てください。それでも減らないときは、ほかに発生源が残っている可能性があるので、もう一度まわりを点検しましょう。
まとめ|水槽のコバエは発生源を断てば減らせる
水槽のまわりを飛ぶコバエは、主にチョウバエ、キノコバエ、ショウジョウバエ、ユスリカの4種類です。水槽の水から直接湧くのはユスリカくらいで、ほとんどは水槽のまわりにある湿った汚れや土、餌から湧いています。
水槽のチョウバエならフィルターのぬめりや排水口、キノコバエなら植木鉢の土、ショウジョウバエなら餌の食べ残しや生ごみが主な発生源です。虫の見た目と止まり方で種類を見分け、止まっている場所の近くから順に探していきましょう。
対策の順番は、発生源を断つ、成虫を粘着シートやトラップで減らす、フタやネットで侵入を防ぐ、の3段階です。水槽のある部屋では殺虫スプレーやくん煙剤はできるだけ避け、魚のいる水に薬剤を入れないことを守ってください。
この記事で紹介した大きさや日数は、あくまで一般的な目安です。殺虫剤や薬剤を使う場合は、正確な情報は公式サイトや製品の注意書きをご確認ください。魚やエビの様子に不安があるときは、最終的な判断は購入した販売店などの専門家にご相談ください。
コバエは、原因が分かれば怖い相手ではありません。水槽のまわりを少しずつ片づけて、魚にもあなたにも快適なアクアリウムを取り戻してくださいね。


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