大きいメダカが小さいメダカを追いかける理由と対処法
同じ容器のなかで、ひと回り大きいメダカが小さいメダカをしつこく追いかけている。
そんな様子を見ると、「いじめられているのでは」「このまま食べられてしまわないか」と心配になりますよね。
その不安は、とても自然なものです。
大きさに差がある組み合わせでは、追いかける理由がひとつとは限らず、なかには小さいほうの命にかかわる場面もふくまれます。
一方で、メダカ同士の関係を保つための行動として、研究で説明されている追いかけもあります。
この記事では、メーカーの飼育資料、公的機関や大学の資料、研究の報告をもとに、体格差のある追い回しを整理しました。
「様子を見てよい追いかけ」と「すぐ分けたほうがよい追いかけ」を、ご自身の容器の前で見分けられるようになることが目標です。
この記事で理解できること
- 大きいメダカが小さいメダカを追いかける4つの理由
- 追われる側の大きさと性別から見分ける観察ポイント
- 小さいメダカを親と同じ容器に戻してよい大きさの目安
- すぐ分けられないときにできる追い回し対策
大きいメダカが小さいメダカを追いかける理由

大きいメダカが小さいメダカを追いかける理由は、捕食、オス同士の優劣、成熟したオスの求愛や配偶者防衛、餌の場面という4つの見方で整理できます。
このうち体格差でいちばん重いのは、小さいほうが口に入る大きさのときに起こる捕食です。
ここでは、それぞれの理由がどんなしくみで起こるのかを、メーカー資料と研究の報告をもとに順に見ていきます。
結論から言うと、小さいメダカがまだ親と同居できる大きさに届いていないなら、追い回しの理由を探るより先に分けるのが最短です。
成魚どうしの体格差であれば、追われる側の傷や、餌の時間に食べに来る様子を見て、分けるか環境を直すかを決めます。
口に入る大きさなら食べられるおそれがある
体格差のある追い回しで、まず疑いたいのが捕食です。
メダカは、自分より小さい生き物が口に入る大きさであれば、それを食べてしまうことがあります。
GEXは稚魚の育て方の解説で「成魚が稚魚を食べる恐れがあるため、孵化したらすぐ別容器に移しましょう。」と案内しています。
同じページには「早く大きくなった稚魚は小さい稚魚を食べたり、咥えてしまったりします。」という記述もあります。
つまり、親と子のあいだだけでなく、同じ時期に生まれた子どうしでも、大きさに差がつくと同じことが起こりうるということです。
テトラも「ふ化後、体がしっかりと出来上がっておらず親と体格差がありすぎると食べられてしまうことがあります。」と説明しています。
続けて「稚魚同士でも体格差が大きいと、小さい稚魚が食べられてしまうこともあるんです。」とも書かれています。
研究機関の資料でも同じ注意が見られます。
NBRPメダカ(ナショナルバイオリソースプロジェクト)の「誰でもできるメダカの実験」には、「早く生長した大きなち魚が,生長のおそい小さなち魚を食べてしまいますから,とくに大きなち魚は,はじめのうちは別にしておきます。」とあります。
宮城県総合教育センターの資料は、よく育った子メダカを移さずにほかの子メダカと一緒に飼い続けた場合について、「結果として共食いが起こり,親まで育つのはかなり少数になってしまいます。」と述べています。
ここで知っておきたいのが、同じ容器で育てても大きさはそろわない、という点です。
NBRPの同じ資料には「なかなか一つの水そうの全部のメダカが,同じように生長はしません。はやく大きくなるものも,なかなか生長しないのもできてきます。」と書かれています。
埼玉県農林総合研究センターは、1㎡あたり500尾と2000尾で飼育密度を比べる試験をおこないました。
その結果、平均体長は飼育数が少ない500尾のほうが大きく育った一方で、「体長のばらつきは両者に差が無いこと」がわかったと報告されています。
密度を下げても、大きい個体と小さい個体の差は残るということ。
だからこそ、同じ時期の子だけを集めた容器でも、成長の早い子と遅い子の組み合わせが自然に生まれます。
では、どのくらいの大きさの差があると食べられてしまうのでしょうか。
メダカの口の大きさを数値で示した資料や、「体長の何倍の差で食べられるか」をはっきり示したメーカー資料や研究は、今回の調査では見当たりませんでした。
そのため、この記事では数値の境目を示すのではなく、後の章で紹介する「親と同居させてよい大きさ」の目安を使い、安全側で判断する考え方をとります。
観察のときに注意したいのは、ただ後ろをついて泳ぐ動きと、口を開けて向かっていく動きの違いです。
小さいほうに向かって口を開けて突っ込む、頭や尾をくわえる、といった動きが見えたら、捕食の可能性を考えてください。
よくある失敗の場面として、夏に生まれた若魚を、春に生まれてすでに大きく育った群れに戻したあと、いつの間にか数が減っている、というケースが考えられます。
見た目では「もう大きくなった」と感じても、群れのなかでいちばん大きい個体と比べると差が大きい、ということは珍しくありません。
なお、GEXは「生後2ヶ月ほど経つと、稚魚でも卵を食べることがあります。」とも案内しており、これは卵の話ですが、若い個体でも口に入るものは食べることがある、という前提で考えておくと安心です。
オス同士の追い回しは優劣を保つ合図
追いかけられているのがオスで、追う側もオスなら、優劣にかかわる行動の可能性があります。
優劣とは、つまり群れのなかで「強い側」と「弱い側」の関係ができることです。
Mitsutsuji ほかの研究グループは、オスのメダカ3匹を使った実験の報告を出しています。
この報告によると、かみつきのような攻撃は双方向に起こった一方で、追いかけはほぼ一方向で、序列ができていくあいだもその向きが保たれていました。
求愛に似た誇示の動きもオス同士で一方向に起き、その向きは追いかけの向きと一致していたとされています。
さらに、最初の追いかけや誇示のあとは、かみつきなどの攻撃が大きく減ったと報告されています。
半日引き離して翌日に戻したときも、攻撃は減った一方で、追いかけと誇示の向きは変わりませんでした。
研究グループは、追いかけと誇示が「優劣のシグナル」として、できあがった優劣関係を保っている可能性を示しています。
この研究はプレプリントとして公開されたもので、査読前の段階の報告です。
プレプリントとは、つまり専門家による審査を受ける前に公開された論文のことで、今後内容が変わる可能性があります。
また、実験の対象は「オス3匹」の組み合わせで、メスや稚魚をふくむ容器にそのまま当てはまるとは限りません。
近畿大学の加川尚氏による科研費の研究成果報告書でも、メダカの「雄間競争時に攻撃行動をとる優位個体と逃避行動をとる劣位個体」を対象にした研究が紹介されています。
オス同士の競争では、攻撃する側と逃げる側に分かれる、ということが研究の前提になっているわけです。
ここで気になるのが、「体の大きいほうが勝つのか」という点でしょう。
体の大きいメダカが順位で勝つ、あるいは小さい個体を順位付けのために追う、と直接示した日本語の一次資料は、今回の調査では見つかりませんでした。
そのため、この記事では「大きいほうが強い」とは断定しません。
一方で、研究の報告からは、ひとつの見方を引き出すことができます。
追いかけが一方向で続いている状態は、かみつき合いが減って、関係が落ち着いた段階の姿かもしれない、という見方です。
ただし、これはあくまでケガのない場合の話。
追われる側にヒレの欠けや体の傷が見えるなら、行動の意味にかかわらず、分ける判断を優先してください。
雌雄の割合といじめの関係については、メダカをオスだけ・メスだけで飼うときの雌雄比と追い回しの考え方の記事でくわしく整理しています。
成熟したオスは求愛や配偶者防衛で追う
繁殖できる大きさまで育ったオスがいる容器では、求愛にからむ追いかけも起こります。
基礎生物学研究所と岡山大学は2016年、オスのメダカがライバルからメスを守る行動についての研究成果を発表しました(論文は Frontiers in Zoology に掲載)。
発表資料では、オスが「配偶者防衛行動(ライバルオスとメスとの間の位置をキープし、両者の接近を防ぐ)により、メスがライバルオスを記憶することを妨害する」ことを発見したと説明されています。
配偶者防衛とは、つまり「オスがメスに追従し、他のオスとの配偶行動を阻止する行動」のことです。
注目したいのは、時間の長さです。
発表資料には、メダカは午前中にしか産卵しないにもかかわらず、三角関係(オス、オス、メス)において、ほぼ一日中、持続的に配偶者防衛を示すことが明らかになっている、と書かれています。
(出典:基礎生物学研究所・岡山大学「メスの目移りを防ぐオスメダカ」)
この研究の対象はオス2匹とメス1匹の三角関係ですが、メスとライバルのあいだの位置を取り続け、近づかせないように動く様子が、追い回しに見えることがあります。
こうした行動は、繁殖できる状態まで育った個体で見られるものと考えられます。
産卵の条件について、キョーリンは「水温18℃以上かつ日照時間13時間以上。」、GEXは「水温は18℃以上・照明時間は12~13時間以上の環境下で産卵します。」と案内しています。
出典によって照明時間の書き方が少し違いますが、どちらも水温が上がり、日が長くなる時期の話だと分かります。
ここから考えると、追われている小さいほうがまだ若魚で、繁殖できる大きさに届いていない場合は、求愛や配偶者防衛の見方は当てはまりにくいでしょう。
これは資料から直接示されたことではなく、産卵の条件と研究の対象から考えた推論です。
反対に、小さいほうも成熟したオスで、近くにメスがいるなら、配偶者防衛の可能性を考えに入れてよさそうです。
求愛の動きそのものや、ケンカとの一般的な見分け方は、メダカの追いかけ回しがケンカか求愛かを見分ける記事で解説しているので、あわせて読んでみてください。
この記事では、体格差がある組み合わせに話を絞って進めます。
餌の時間だけ追うなら取り合いを疑う
4つめは、餌の場面での追い回しです。
子メダカについては、宮城県総合教育センターの資料が「よくえさを食べるメダカほど早く成長し,大きさがはっきりしていきます。」と書き、大きく育った子を移さないでいると「小さい子メダカにはえさが行きとどかず,大きさはさらに開いていく」としています。
一方で、成魚どうしで「大きいメダカが餌の場面で小さいメダカを追い払う」ことを直接示した一次資料は、今回の調査では見つかりませんでした。
そのため、成魚どうしについてここで紹介するのは、研究で確かめられた理由ではなく、観察から考える見方のひとつです。
手がかりになるのは、追いかける時間帯。
餌を入れた直後にだけ追いかけが起き、ほかの時間は落ち着いて泳いでいるなら、餌の与え方を見直してみる価値があります。
メダカの食べ方について、テトラは「メダカは胃がないため、目についたエサはあるだけ食べてしまうという特徴があるんです。」と説明しています。
一度にまとめて餌を入れると、餌が一か所に集中して、目についた個体から次々に食べていく、という状況が考えられます。
また、テトラは稚魚について「稚魚は口や体が小さいため、一度に大量のエサを食べることができません。」とも書いています。
体の小さい個体は一度に食べられる量が限られるので、餌を一度にまとめて与えるより、少量を回数に分けたほうが食べる機会を作りやすい、と考えられます。
ここで気をつけたいのは、餌の時間の追いかけが、捕食と重なっている場合です。
餌に向かって泳ぎ出した大きい個体の口の前に、小さい個体が入ってしまう、という場面もありえます。
小さいほうがまだ口に入る大きさなら、餌の与え方を変えるより先に、分けることを考えてください。
餌の量と回数の具体的な目安は、後の章「匹数と餌の与え方を見直す」でまとめています。
体格差の追い回しを見分ける観察ポイント

4つの理由のどれに当たるかは、追われる側の大きさと性別、追いかけが起こる時間帯を見ると絞り込めます。
この章では、4つの理由の違いを表にまとめたうえで、大きさと性別の確かめ方と、すぐ分けたほうがよい危険なサインを順に紹介します。
資料がないところはそのように書いています。餌の場面の行は、観察から考える見方です。
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| 見方 | 追う側と追われる側 | 起きやすい時期・時間帯 | 見たいところ | 対処の方向 |
|---|---|---|---|---|
| 捕食のおそれ | 親・成魚や先に育った若魚が、稚魚や小さい若魚を追う | 稚魚や若魚が同じ容器にいるとき(時間帯の資料はなし) | 口を開けて向かう・くわえる・数が減る | 同居できる大きさになるまで分ける |
| オス同士の優劣 | オスがオスを追う(研究はオス3匹の実験) | 時期・時間帯の資料はなし | 追う向きが一方向か・傷やヒレの欠けがないか | 傷があれば分ける・雌雄の割合を見直す |
| 求愛・配偶者防衛 | 成熟したオスが、メスに近づくライバルのオスを防ぐ(研究はオス2匹・メス1匹) | 産卵する季節(水温18℃以上など)・研究ではほぼ一日中 | メスのそばで位置を取っているか・追われる側が成熟したオスか | 小さいほうが若魚なら当てはまりにくい・傷があれば分ける |
| 餌の場面 | 子メダカどうしでは宮城県の資料に記述あり・成魚どうしは資料なし | 餌を入れた直後だけ(観察上の見方) | 餌の時間以外は落ち着いているか・小さいほうが食べに来るか | 少量を回数に分けて与える |
表のとおり、4つの見方は「追われる側がだれか」で大きく分かれます。
実際の容器では、ひとつの理由だけでなく、いくつかが重なっていることもあるでしょう。
迷ったときは、いちばん重い捕食のおそれから順に確かめていくと、判断を誤りにくくなります。
追われる側の大きさと性別を確かめる
最初に確かめたいのは、追われている小さいメダカの大きさです。
理由は単純で、口に入る大きさかどうかで、対処の急ぎ具合がまったく変わるからです。
比べる相手は、容器のなかでいちばん大きい個体にしましょう。
メーカーや公的機関の資料には、親と同居させてよい大きさの目安として、「1cm以上」のような長さのほかに、「親の半分」「親メダカの3分の1程度」のように親と比べる基準もあります。
出典ごとの違いは次の章で表にまとめますが、ここでは「親と並べて見比べる」という視点を持っておいてください。
参考までに、NBRPの資料では「親の体の長さは3cmくらい」、兵庫県のレッドデータブックではキタノメダカについて「全長4cm程度。」とされています。
ただし、品種や育ち方によって親の大きさには差があるので、あくまで一般的な目安として受け取ってください。
成長段階の区切りとしては、キョーリンの餌の区分が分かりやすい手がかりになります。
キョーリンは餌を「体長10mm以下」「体長10~25mm」「体長25mm以上」の3つに分けて案内しています。
この記事では、この区分を目安に、10mm以下を稚魚、10~25mmを若魚、25mm以上を成魚として呼び分けます。
これは餌の区分を借りた呼び方で、メダカの成長段階を公式に定めたものではない点にご注意ください。
次に、追う側と追われる側の性別です。
性別が分かると、オス同士の優劣なのか、配偶者防衛なのか、見方をかなり絞り込めます。
追う側も追われる側もオスで、近くにメスがいなければ優劣、メスのそばで起きていれば配偶者防衛、というように候補を減らせるからです。
ただし、まだ若い個体はオスとメスの特徴がはっきりしないこともあります。
性別が分からない小さい個体が追われているときは、性別の見きわめより先に、大きさの確認を優先しましょう。
最後に、時間帯と頻度もメモしておくと役立ちます。
餌を入れた直後だけなのか、一日を通して続いているのか。
こうした記録は、あとで環境を直したときに、追い回しが減ったかどうかを比べる材料にもなります。
容器を上から見ると、大きさの差が分かりにくいことがあります。透明な容器なら横から、2匹がそろって近くに来たタイミングで見比べると、体格差がつかみやすくなりますよ。
大きさと性別、時間帯の3つがそろえば、表のどの見方に当てはまるかがかなり見えてきます。
すぐに分けたほうがよい危険なサイン

理由の見きわめがつかなくても、次のようなサインが出ていたら、様子見をやめて分けることを考えてください。
小さいメダカが口にくわえられた、またはくわえられそうになっている。
数えるたびに小さいメダカの数が減っている。
追われる側に傷やヒレの欠けがある。
餌の時間になっても、追われる側が寄ってこない。
追われる側が容器の隅や水面近くでじっとしている。
この5つのうち、上の2つは捕食に直結するサインです。
とくに数が減っている場合は、見ていないあいだに食べられている可能性があるため、残っている小さい個体を早めに分けてください。
傷やヒレの欠けは、追いかけにかみつきがともなっているサインと考えられます。
研究の報告では、優劣がついたあとはかみつきが減ったとされていますが、それは傷が出ていても待ってよいという意味ではありません。
傷が見えた時点で、追う側と追われる側を離すほうが安全です。
餌の時間に寄ってこない、隅や水面でじっとしている、という様子も見逃せません。
追われることを避けて動かなくなっているのかもしれませんし、体調をくずしている可能性もあります。
なお、「何日追い回されると弱る」といった時間の目安を示した資料は、今回の調査では見当たりませんでした。
そのため、この記事では日数で判断するのではなく、サインが出た時点で分けるという考え方をおすすめしています。
追われる側が痩せてきたように見える場合、原因は追い回しだけとは限りません。
餌の量や病気など、ほかの原因との切り分けについては、メダカが痩せていくときに考えられる原因と確かめ方を参考にしてください。
また、分けたあとに元気が戻らないときは、追い回し以外の原因も疑ってみましょう。
大きいメダカと小さいメダカを分ける基準
小さいメダカをいつまで分けておき、いつ戻すかは、出典によって基準の表し方が違います。
この章では、メーカーと公的機関が示す「親と同居させてよい大きさ」を出典ごとに並べたうえで、安全側にそろえる考え方を紹介します。
あわせて、口に入らない大きさの成魚どうしで体格差がある場合の扱い方も整理します。
小さいメダカを戻してよい大きさの目安

小さいメダカを親と同じ容器に戻してよい大きさについて、各出典の記述を表にまとめました。
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| 出典 | 親と同居させてよい大きさの目安 | 表し方 |
|---|---|---|
| GEX(孵化後の育て方のページ) | 「最低でも1cm以上」になり、「頭がよく育って逆三角形」になっているか確認 | 長さ+頭の形 |
| GEX(産卵のページ) | 「親の半分の大きさ」 | 親との比 |
| テトラ | 「1~1.5㎝くらい」 | 長さ |
| 宮城県総合教育センター | 「親メダカの3分の1程度」 | 親との比 |
GEXは孵化後の育て方のページで、「稚魚が十分育たないまま親メダカの水槽に戻すと、食べられてしまうことがあります。」と注意したうえで、1cm以上で頭が逆三角形になっているかを確認してから戻すよう案内しています。
(出典:GEX「メダカが孵化したらすべきたった3つのこと」)
同じGEXでも、産卵のページでは「親の半分の大きさになったら元の水槽に戻しても大丈夫です。」と、親との比で書かれています。
テトラは「親と同じ水槽に戻す場合は、稚魚の体の大きさが1~1.5㎝くらいになってから。」としています。
宮城県総合教育センターの資料は「親メダカの3分の1程度まで成長すれば親との同居も可能」という書き方です。
このように、長さで示す出典と、親との比で示す出典があり、数字もそろっていません。
どれもあくまで一般的な目安で、親の大きさや個体差、容器の環境によって安全なラインは変わります。
そこでこの記事では、4つのうちいちばん大きく育つまで待つことになる基準にそろえることをおすすめします。
具体的には、手元の親と並べて「親の半分」と「1.5㎝」の両方に届いているか、さらにGEXのいう頭の逆三角形の形が育っているかを見る、という確かめ方です。
GEXが書くとおり、十分育たないまま戻すと食べられてしまうことがあるので、迷ったら待つほうを選びます。
戻すときにもうひとつ気をつけたいのが、水温と水質の差です。
NBRPは「あまり水温の異なる水そうに移しますとメダカは死にやすいです。」と注意しています。
テトラも、容器を変更するときなどに「水温や水質などを合わせないと、急激な水の変化についていけず死んでしまうことがあります。」と書いています。
キョーリンは、購入したメダカを入れるときの方法として「メダカを袋のまま1時間程度浮かべ水温をあわせてから、水槽に放そう。」と案内しています。
育成容器から親の容器へ戻すときも、この考え方を参考に、いきなり移さず水温をそろえてから入れると安心です。
なお、稚魚どうしで大きさに差がついてきたときの仕分けの時期と手順は、稚魚のサイズ分けを始める時期と共食いを防ぐ手順の記事で紹介しています。
この記事では、親や成魚と小さいメダカの組み合わせに絞って話を進めます。
成魚どうしの体格差はどう扱うか
小さいほうも十分に育ち、口に入る心配がない大きさどうしであれば、捕食よりも優劣や求愛の見方が中心になります。
この場合は、分けることを急ぐより、追われる側の様子を見て判断するのが現実的です。
判断の分かれ目は、前の章で紹介した危険なサインが出ているかどうか。
傷やヒレの欠けがある、餌の時間に食べに来ない、隅でじっとしている、といったサインがあれば、追う側か追われる側のどちらかを別の容器に移します。
サインが見られず、追われる側もふつうに餌を食べているなら、次の章で紹介する匹数・餌の与え方・隠れ家の見直しから試してみる、という順番が考えられます。
繁殖を考えている場合は、親選びの段階で体格差に目を向けておくのもひとつの方法です。
NBRPの「メダカの稚魚飼育方法」では、採卵する親について「雄(♂)、雌(♀)の体の大きさはなるべく同じくらいが良い。」と書かれています。
同じ資料には「あまり密に育てるとメダカにストレスとなり卵の産みが良くない。」ともあり、混み合いを避けることも繁殖の条件として挙げられています。
大きさの差がある群れでは、成長段階で容器を分けておく考え方もあります。
キョーリンの飼い方ガイドは「「稚魚」・「幼魚・成魚」水槽に分けて飼育するのがコツなんだ。」と案内しています。
これは稚魚と、ある程度育った個体を分けるという考え方で、成魚どうしの細かな大きさの差まで分けることを求めたものではありません。
とはいえ、ひとつの容器で大小が入り混じっている状態が続くなら、容器を2つに分けて大きさごとに飼うほうが、管理しやすくなる場面もあるでしょう。
分けたあとは、それぞれの容器の匹数が水量に合っているかも見直してみてください。片方に寄せすぎると、混み合いが新しい追い回しのきっかけになることもあります。
大きさ別に分けて飼うなら、別の飼育容器を1つ用意しておくと、いざというときにすぐ分けられます。
購入前に、置き場所の広さと、飼いたい匹数に見合う水量が入るかを確認しておきましょう。
すぐ分けられないときの追い回し対策
容器がすぐに用意できない、置き場所がないなど、すぐには分けられない事情もあると思います。
この章では、匹数と餌の与え方の見直し、仕切りと隠れ家の使い方という2つの方向から、分けるまでのあいだにできる対策を紹介します。
ただし、どれも分けることの代わりにはならず、あくまで一時しのぎだという前提で読んでください。
匹数と餌の与え方を見直す
まず見直したいのが、容器の水量に対する匹数です。
キョーリンの飼い方ガイドは「飼育匹数は水1Lに対して1匹が目安。」としています。
テトラも「一般的にメダカ1匹を飼育するために必要な水の量は1リットルと言われています。」、GEXも「水1Lに対して1匹を目安にしましょう。」と案内しています。
一方で、キョーリンのFAQには「1リットルに対して2匹」という記述もあり、同じ会社のなかでも目安に幅があります。
この記事では、追い回しが気になる容器ではゆとりを持たせたいので、少ない側の「1Lに1匹」を目安にすることをおすすめします。
水量と匹数の考え方は、メダカを何匹飼えるかを1L1匹の目安から考える記事でくわしく解説しています。
ここで、ひとつ誤解しやすい点があります。
埼玉県農林総合研究センターの試験では、飼育密度を下げると平均体長は大きくなった一方で、体長のばらつきには差がありませんでした。
つまり、匹数を減らしても、大きい個体と小さい個体の差そのものはなくならない、ということです。
匹数の見直しは混み合いをやわらげる手段にはなりますが、口に入る大きさの個体を守る方法としては、分けることの代わりにならない点を覚えておいてください。
次に、餌の与え方です。
キョーリンは「1回のエサの量は5分以内に食べきる量を与えよう。」と案内し、夏場(7~9月)については「少量をこまめに与えるとグッと大きくなるよ。一度にたくさん与えると食べ残すので×。」と書いています。
NBRPの稚魚飼育方法でも、親への給餌について「1日3回が望ましい。一度に多く与えるより回数を分けた方が良い。(1日の餌の量は変わらず)」とされています。
ポイントは、1日の量を増やすのではなく、同じ量を回数に分けることです。
餌の回数や量を水温や成長段階でどう変えるかは、メダカの餌やりの回数を水温と成長段階から決める記事にまとめています。
与え方の工夫として、水面の数か所に分けて餌を落とす方法もあります。
これはメーカー資料で効果が示されたものではありませんが、餌が一か所に集中しないぶん、小さいほうが口にできる機会を作るひとつの試し方にはなるでしょう。
餌の時間だけの追いかけが減るかどうかを、前の章でメモした記録と比べて確かめてみてください。
なお、食べ残しは水を汚す原因になるので、5分ほどたって残っている餌は取り除いておくと安心です。
仕切りと隠れ家で小さいメダカを守る
同じ容器のなかで小さいメダカを物理的に守る方法として、仕切りと隠れ家があります。
GEXは、卵について「親魚から守るために、産卵床ごと育成用のメッシュやネットに入れて隔離をしましょう。」と案内しています。
これは卵の例ですが、親と同じ容器の水のなかで、小さいものを親から離しておくという考え方は、小さいメダカを守るときにも参考になります。
グッピーの例では、GEXが「生まれた稚魚が隠れることができるぐらい多くの水草を入れたり、稚魚育成用のケースを使うことで、稚魚が親に食べられる事が少なくなります。」と案内しています。
メダカのページの記述ではありませんが、水草と育成用ケースという2つの手段を挙げている点は、メダカでも考え方の参考になるでしょう。
ストレスや天敵から逃れる隠れ場所としての水草については、メダカの資料にも記述があります。
キョーリンは「水草は産卵場所、隠れ場所、さらに水質の浄化にもなるんだ。」とし、おすすめとしてマツモやホテイアオイを挙げています。
宮城県総合教育センターの資料にも「水草などでかくれる場所を作ることです。」という記述があります。
テトラも「上から飼育容器をのぞいたときにメダカが隠れる場所を確保してあげる必要があります。」と書いています。
ただし、水草は多ければよいというものではありません。
テトラは、水草は昼に酸素を作る一方で夜は呼吸をするため、酸欠になることもあると注意しています。
同じ記事では、メダカがゆったり泳げる広さを残す目安として「水草は2~3本程度」とも書いています。
GEXも「水草などが育ちすぎてしまうと、メダカが泳ぐ場所が無くなってしまい病気の原因にもなります。」と注意しています。
また、水草の有無で小さいメダカの生存率がどう変わるかを比べた研究は、今回の調査では見当たりませんでした。
隠れ家は追われる側が逃げ込める場所を作る工夫であって、捕食を防ぎきる方法ではない、と考えておくのが安全です。
口に入る大きさの個体がいるなら、水草に頼るより、ネットやケースで物理的に分けるほうを優先してください。
手持ちの道具で仕切りを作りたいときは、100均の道具やペットボトルで隔離容器を自作する方法が参考になります。
親と同じ水槽の中で小さいメダカを分けておける隔離ケースや産卵ケースがあると、水温や水質をそろえたまま分けられるので、戻すときの水合わせの手間も減らせます。
購入前に、手持ちの容器の大きさや縁の形に取り付けられるかを確認しておくと安心です。
メダカの体格差と追いかけに関するよくある質問(FAQ)
大きいメダカは小さいメダカをいじめているの?
人の目には「いじめ」に見えても、理由は1つとは限りません。
小さいほうが口に入る大きさなら捕食のおそれ、オス同士なら優劣を保つための追いかけ、成熟したオスならメスを守る配偶者防衛、という見方があります。
まずは追われる側の大きさと性別を確かめ、傷や数の減りがないかを見てください。
小さいメダカは何cmになれば大きいメダカと一緒に飼える?
出典によって目安が違い、GEXは「最低でも1cm以上」で頭が逆三角形、GEXの産卵のページは「親の半分の大きさ」、テトラは「1~1.5㎝くらい」、宮城県総合教育センターは「親メダカの3分の1程度」としています。
この記事では、いちばん大きく育つまで待つことになる基準にそろえ、迷ったら待つことをおすすめしています。
戻すときは水温をそろえてから入れましょう。
オスだけの容器でも大きい子が小さい子を追う?
オス3匹の実験では、オス同士の追いかけがほぼ一方向に起こり、優劣を保つシグナルになっている可能性が報告されています(査読前の段階の報告)。
ただし、体の大きいほうが優位になると示した資料は見当たらず、大きさで勝敗が決まるかどうかは、今回の調査ではわかりませんでした。
大きさにかかわらず、追われる側に傷があれば分けてください。
追われているメダカは塩水浴が必要?
この記事では、塩水浴などの処置の手順は扱っていません。
まずは追う側と離して、追い回しの影響を取り除くことを優先してください。
分けたあとも元気がない、痩せてきたなどの様子があれば、追い回し以外の原因も考えられるので、病気や痩せの原因を切り分けたうえで対処を決めましょう。
追い回しは放っておいても止まる?
オス3匹の実験では、最初の追いかけや誇示のあとにかみつきなどの攻撃は減りましたが、半日引き離して戻したあとも、追いかけと誇示の向きは変わらなかったと報告されています(査読前の段階の報告)。
この結果から、オス同士の追いかけが自然に止むとは言えません。
傷があるとき、小さいほうが口に入る大きさのときは、待たずに分けてください。
まとめ|大きいメダカの追い回しは大きさで判断
大きいメダカが小さいメダカを追いかけるときは、まず追われる側の大きさを確かめ、口に入る大きさかどうかで対処の急ぎ具合を決めるのが基本です。
そのうえで性別と時間帯を見れば、優劣・配偶者防衛・餌の場面のどれに近いかを絞り込めます。
最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
- 体格差のある追い回しには、捕食・オス同士の優劣・成熟したオスの配偶者防衛・餌の場面という4つの見方がある
- いちばん重いのは捕食で、小さいほうが親と同居できる大きさに届いていなければ分けるのが最短
- 同居の目安は出典で違うため、いちばん大きく育つまで待つ基準にそろえ、迷ったら待つ
- 傷やヒレの欠け、数の減り、餌に寄ってこない様子が見えたら、理由にかかわらず分ける
- 匹数・餌の与え方・隠れ家の見直しは、分けるまでの一時しのぎとして使う
追い回しを見て不安になるのは、それだけメダカのことをよく見ている証拠です。
ここで紹介した数値は、あくまで一般的な目安で、親の大きさや個体差、容器の環境によって合う判断は変わります。
正確な情報は各メーカーの公式サイトでご確認いただき、判断に迷ったときは購入したお店や専門店に相談してみてください。
小さいメダカが無事に育ち、大きいメダカと同じ容器で落ち着いて泳げる日が来ることを、研究所から応援しています。




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