メダカと混泳できる生き物は?一緒に飼える相手の選び方
メダカの飼育に慣れてくると、容器の中にもう少し仲間を増やしたくなるものです。
コケを食べてくれるエビや貝、底をのんびり動くドジョウなどは、眺めているだけでも楽しい相手でしょう。
その一方で、「入れた相手にメダカが食べられないか」「卵や稚魚まで減ってしまわないか」と心配になる方も多いと思います。
その不安はもっともで、組み合わせによってはメダカがいじめられたり食べられたりすることがあると、メーカーも説明しています。
この記事では、キョーリン、GEX(ジェックス)、テトラ(スペクトラム ブランズ ジャパン)の公式資料と、環境省や県の資料をもとに、メダカと一緒に飼える相手の選び方を整理しました。
「何と組めるか」「何を避けるか」「卵や稚魚をどう分けるか」の3つが分かるように、順番にお話しします。
この記事で理解できること
- メダカと混泳しやすい生き物と、避けたい生き物の一覧
- 混泳相手を選ぶときの3つの基準(水温・サイズ差と性格・法律と希少性)
- エビ・貝・ドジョウ・金魚それぞれの注意点
- 水合わせの手順と、卵や稚魚を親メダカからも守る分け方
メダカと混泳できる生き物の結論

キョーリンは、ドジョウや巻貝、ヌマエビはメダカと混泳できると案内しています。反対に、金魚やカメ、肉食の川魚、メダカより大きな魚は避けたい相手です。ただし卵と稚魚については、メダカ自身(親や先に育った稚魚)が食べることが資料で確かめられている点を先に押さえておきましょう。この章では結論と、相手ごとの一覧表をまとめます。
まず、メーカーがどう書いているかを確認します。
キョーリンの「初心者向けメダカの飼い方ガイド」には、ドジョウや巻貝、ヌマエビは混泳できるが、金魚やカメは混泳できない、という趣旨の記述があります。
テトラも、メダカの屋外飼育で混泳を考えるなら、アカヒレや貝類などメダカと相性のよい生き物を選ぶように勧めています。
同じ資料でテトラは、金魚のような雑食性の魚、肉食性の川魚、メダカよりも大きな魚は、メダカをエサだと思って食べてしまうと説明しています。
つまり、相手選びの出発点は「メダカを食べない大きさと性格か」という一点にあるわけです。
もうひとつ見落としやすいのが、卵と稚魚の扱いです。
GEXは、親魚が産んだ卵を食べてしまうことがあるため、産卵床ごとネットなどに入れて隔離するよう案内しています。
さらに、早く大きくなった稚魚が小さい稚魚を食べることもあると、GEXとNBRPメダカ(ナショナルバイオリソースプロジェクト)の資料にあります。
卵や稚魚を食べることがメーカーや研究機関の資料で確かめられる相手として、まず挙がるのがメダカ自身です。
そのため、この記事では「成魚どうしの混泳」と「卵・稚魚がいる時期」を分けて考えます。
結論の要点
キョーリンは、ミナミヌマエビなどのヌマエビ・巻貝・ドジョウは混泳できると案内しています。この記事では、それを成魚どうしの話として扱います。
金魚・カメ・肉食の川魚・メダカより大きな魚は、メダカを食べてしまうおそれがあるため避けます。
殖やしたい場合は、相手が何であっても卵を別の容器に分けるのが安全側の考え方です。
相性のよい相手と避けたい相手の一覧
候補になりやすい生き物を、メーカーや公的機関の資料にある数値で一覧にしました。
大きさや適水温は、あくまで一般的な目安です。
実際の大きさや好む水温には個体差があり、飼育する環境によっても変わります。
資料に数値が書かれていない欄は「メーカー表記なし」としています。
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| 相手 | 大きさの目安 | 適水温の目安 | メダカとの相性 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ミナミヌマエビ | 2〜3cm(GEX) | 23〜28℃(GEX) | よい(GEXが混泳に適すると記載) | 稚エビは水流が苦手。水草は無農薬のものを選ぶ |
| ヤマトヌマエビ | 3〜5cm(GEX) | 20〜28℃(GEX) | ヌマエビとして混泳できる側(キョーリン) | ミナミヌマエビより大型。飼育下では繁殖できない(GEX) |
| 石巻貝 | 殻径15〜20mm(石川県) | メーカー表記なし | 巻貝として混泳できる側(キョーリン) | ふ化した幼生は一度海に下る生活史 |
| ヒメタニシ | 2〜3cm(長野県) | メーカー表記なし | 巻貝として混泳できる側(キョーリン) | 体内で育てて稚貝を産むため、いつのまにか増えることがある |
| ラムズホーン | メーカー表記なし | 15〜28℃(GEX) | 巻貝として混泳できる側(キョーリン) | 水槽内で繁殖でき、増えすぎに注意(GEX) |
| ドジョウ(マドジョウ) | 全長13cm程度(兵庫県) | メーカー表記なし | 混泳できる(キョーリン) | 雑食。腸で空気呼吸もするので水面をふさがない |
| アカヒレ | メーカー表記なし | 22〜28℃(GEX) | よい(テトラが相性のよい例に挙げる) | 性格は温和(GEX) |
| グッピー・ネオンテトラ | グッピー約5cm・ネオンテトラ約3cm(テトラ) | 22〜28℃前後(GEX) | グッピーはGEXが混泳の例に挙げる(加温する室内水槽)/ネオンテトラはメーカー表記なし | 熱帯魚。グッピーは冬場にヒーターが必要(GEX) |
| 金魚 | 約20cm(キョーリン) | メーカー表記なし | 避ける(キョーリンは混泳できないと記載) | 口が大きく大食漢。成長するとメダカを追い回したり食べたりする |
| アメリカザリガニ | 18cm(テトラ) | メーカー表記なし | 避ける | 小魚やエビを食べる(テトラ)。条件付特定外来生物 |
| カダヤシ | 体長3cm前後(三重大学) | メーカー表記なし | 原則飼えない | 特定外来生物。飼育や運搬も原則禁止(環境省) |
表の相性のよい側は、メーカーが混泳できる、または相性がよいと書いている相手です。
反対に、金魚やザリガニは体がメダカよりずっと大きくなり、雑食でよく食べる相手です。
カダヤシのように、相性以前に法律で飼育そのものが原則禁止されている生き物も含まれています。
なお、ドジョウは「混泳できる」側に入りますが、全長13cm程度とメダカよりかなり大きくなる点は覚えておいてください。
エビや貝、ドジョウが卵や稚魚を食べるかどうかについては、はっきり示したメーカー資料や公的資料は見当たりませんでした。
分からない以上、殖やしたいときは卵を別容器に移しておくと安心です。
次の章から、この表の判断を支える3つの基準を一つずつ見ていきます。
メダカの混泳相手を選ぶ3つの基準
混泳相手は「水温」「サイズ差と性格」「法律と希少性」の3つで判断すると整理しやすくなります。水温が合わなければどちらかが弱り、体格差が大きければ食べられ、法律に触れる相手はそもそも飼えないからです。この章では、それぞれの基準の根拠と、判断に迷いやすい例を順に説明します。
同じ水温で無加温のまま暮らせるか
最初の基準は、相手がメダカと同じ水温で暮らせるかどうかです。
季節ごとの水温管理の全体像は、メダカの適水温と季節ごとの管理をまとめた記事でも詳しく解説しています。
GEXは、メダカの適温を23〜28℃としています。
ただしメダカは、この範囲の外でも季節に合わせて暮らせる魚です。
テトラは、九州など温かい地域ではメダカは屋外で冬を越すことができ、10℃以下になると越冬のため冬眠状態に入ると説明しています。
一方でGEXは、メダカは変温動物なので冬眠しているわけではなく、低い水温のために活動を休んでいるだけ、と表現しています。
言い方はメーカーで異なりますが、冬は水温が下がってメダカの動きが鈍くなる、という点はどちらも同じです。
夏の側にも目安があります。
テトラは水温が30℃を超えるとメダカがバテて食欲が落ちていくと書き、GEXはスダレやよしずなどで水温が33℃を越えないように気を付けるよう案内しています。
つまり屋外のメダカ容器は、冬の低温から夏の高温まで、水温が大きく動く環境だということです。
ここで問題になるのが熱帯魚です。
GEXはグッピーの飼い方のページで適温を23〜26度とし、そのため冬場はヒーターが必要になると明記しています(同じGEXでも、生き物紹介のページでは22〜28℃と幅が少し違います)。
屋外で無加温のメダカ容器に熱帯魚を入れると、冬の水温に熱帯魚が合わせられません。
見た目の大きさや性格が合っていても、この組み合わせは水温の条件で外れてしまいます。
よく相談される組み合わせについては、メダカとネオンテトラを同じ水槽で飼う場合の注意点として別にまとめています。
反対に、ヒーターで水温を保つ室内の水槽なら話が変わります。
GEXのグッピーのページでは、グッピーと混泳しやすい魚の例としてメダカが挙げられています。
ただし同じページには、ヒレをかじられたり生まれた稚魚が食べられたりすることがあるので注意が必要、とも書かれています。
室内で加温する場合の具体的な組み方は、グッピーとメダカの混泳の解説を参考にしてください。
エビや貝についても、メーカーが示す適温を見ておくと判断の材料になります。
GEXが示すミナミヌマエビの適温は23〜28℃で、メダカの適温と同じ範囲です。
ヤマトヌマエビは20〜28℃、ラムズホーンは15〜28℃と、こちらもGEXが数値を出しています。
石巻貝やヒメタニシの適水温は、はっきり示したメーカー資料や公的資料が見当たりませんでした。
移し替えのときの水温差にも注意が要ります。
NBRPの資料には、あまり水温の異なる水そうに移すとメダカは死にやすい、とあります。
相手の生き物を新しく迎えるときも、容器どうしの水温をそろえてから移すことが大切です。
水温を基準に相手を選ぶ以上、容器の水温が今何度なのかを知っておくと判断がぐっと楽になります。
容器に水温計を1本入れておけば、夏の高温や冬の冷え込みにも気づきやすくなるでしょう。
価格や形状はショップによって異なるので、各ショップでご確認ください。
口に入るサイズ差と荒い性格がないか
2つめの基準は、体の大きさの差と性格です。
メダカは小さな魚で、NBRPの資料では親の体の長さが3cmくらい、兵庫県のレッドデータブックでは全長4cm程度とされています。
この大きさのメダカは、体の大きな魚から見ると「口に入るエサ」になりえます。
テトラが、メダカよりも大きな魚はメダカをエサだと思って食べてしまう、と書いているのはこのためです。
大きさの差がどれくらいあると危ないのか、メダカや相手の口の大きさを数値で示した資料は見当たりませんでした。
そのため、この記事では「相手の口にメダカが入りそうなら避ける」という考え方で判断しています。
見落としやすいのは、今の大きさではなく、育ったあとの大きさです。
三重県水産研究所の図鑑では、ナマズは全長10〜50cmで動物食性、コイは全長10〜60cmとされています。
テトラもナマズを、ほかの川魚やカエルなどを食べる肉食性の淡水魚として紹介しています。
買ったときや捕まえたときは小さくても、こうした魚は成長するとメダカとの体格差が一気に広がります。
オイカワは同じ図鑑で全長3〜15cmと、小さな個体から大きな個体まで幅がある魚です。
オイカワがメダカを食べると書いた原文は今回確認できなかったため、この記事では断定しません。
ただ、大きく育つとメダカとの体格差が広がる魚であることは数値から読み取れるので、安全側に考えるなら一緒にしないほうが無難でしょう。
性格の面では、気性の荒さと縄張り意識が判断材料になります。
テトラは、縄張り意識が強かったり、肉食で気性の荒い種類を混泳させると、けんかをしたり食べてしまったりすることがあると説明しています。
同じ資料には、同じ用水路で捕まえたザリガニとメダカやエビでも、ザリガニがメダカやエビを食べてしまうという例が出てきます。
「同じ場所にいたから仲よく暮らせる」とは限らないということですね。
捕まえてきた生き物の中には、思わぬ天敵が混ざっていることもあります。
NBRPの資料では、トンボの幼虫であるヤゴはメダカの大敵で、たくさんいるとメダカをみんな食べてしまうとされています。
GEXも、ボウフラやヤゴなどはメダカの稚魚を捕食すると注意を呼びかけています。
屋外の容器に水草や生き物を足すときは、ヤゴが紛れ込んでいないか一度よく見ておくと安心です。
まとめると、体がメダカより大きく育つ魚、肉食や雑食で何でもよく食べる魚、気性が荒く縄張りを持つ魚は避ける、というのがこの基準の結論です。
ただし、ドジョウ(全長13cm程度・雑食)やヤマトヌマエビ(3〜5cm)は、大きさだけ見るとこの基準に引っかかります。それでもキョーリンやGEXが混泳できる相手として挙げているので、この記事では「メーカーが混泳可としている相手」として扱い、卵や稚魚は別にするなど安全側の分け方を組み合わせます。
法律と希少性の点で問題がないか
3つめの基準は、水温や性格とは別の視点です。
相性がよさそうに見えても、法律で飼育が原則禁止されている生き物や、数が減っている生き物がいます。
代表的なのがカダヤシです。
カダヤシは環境省の特定外来生物に指定されている魚で、三重大学の資料では体長3cm前後とされています。
富士市の資料には、カダヤシとメダカは生息場所や食べ物が似ていて、同じ場所にいるとカダヤシがメダカを追いやってしまうと書かれています。
同じ資料では、自分より小さな魚の子どもも食べてしまうとされています。
特定外来生物について、環境省は次のような規制を示しています(原文の順に要約)。
飼育、栽培、保管、運搬が原則禁止されること。
輸入が原則禁止されること。
野外へ放つ、植える、まくことが原則禁止されること。
許可を受けて飼育している人が、許可を持たない人へ譲り渡すことなどが禁止されること。
そして、販売も禁止されることです。
これらに違反すると罰則があります。
カダヤシはメダカと見た目が似ているため、採集したときに混ざってしまうこともありえます。
見分け方はカダヤシとメダカの違いを尻ビレと尾ビレで見分ける記事にまとめているので、捕まえた魚を持ち帰る前に確かめてみてください。
アメリカザリガニとアカミミガメは、「条件付特定外来生物」という少し違う扱いです。
環境省によると、2023年6月1日から、野外への放出、輸入、販売、購入、頒布等を許可なしに行うことが禁止されました。
一般家庭で今飼っている個体は、その後も引き続き飼うことができます。
ただしアメリカザリガニは小魚やエビを食べてしまうとテトラが書いており、メダカの混泳相手には向きません。
希少性の点では、環境省レッドリストも確認しておきたいところです。
環境省レッドリスト2020では、ホトケドジョウが絶滅危惧IB類、ドジョウが準絶滅危惧に区分されています。
そしてメダカ自身も、ミナミメダカとキタノメダカの2種が絶滅危惧II類に掲載されています。
ここから考えておきたいのが、飼っているメダカを川や池に放さないことです。
環境省は、生息している地域の異なるメダカを放流すると、もともとその土地にいたメダカと交雑して、地域ごとの遺伝的な多様性が失われてしまうと説明しています。
メダカそのものは外来生物法の規制対象ではありませんが、放流しないことは保全のうえで大切な考え方です。
事情があって飼い続けられなくなったときは、川に放さずにメダカを手放す方法を参考にしてください。
カダヤシと放流の注意
カダヤシは特定外来生物で、飼育や運搬も原則禁止されています。メダカと似ているので、採集した魚は持ち帰る前に種類を確かめましょう。
メダカやアメリカザリガニを含め、飼っている生き物を川や池へ放すことは避けてください。
メダカと一緒に飼える魚・生き物を比較

ここからは、混泳できる側に入るエビ、巻貝、ドジョウを一つずつ比べます。どれもキョーリンが混泳できると書いている相手ですが、大きさや増え方、必要な環境にはそれぞれ違いがあります。卵や稚魚への影響が分かっていない点もふまえ、選ぶときの判断材料を整理しました。
ミナミヌマエビとヤマトヌマエビの違い
メダカの混泳相手として名前が挙がりやすいのが、ヌマエビの仲間です。
テトラは、ヌマエビは水槽に生えてしまう困ったコケなどを食べてくれるので、魚を飼うときに重宝すると紹介しています。
代表的なのがミナミヌマエビとヤマトヌマエビの2種類です。
ミナミヌマエビは、GEXによると体長2〜3cmの小型のエビで、小型の熱帯魚やメダカとの混泳に適しているとされています。
適温は23〜28℃で、エサは人工飼料と案内されています。
ヤマトヌマエビは、ミナミヌマエビよりも大型で体長は3〜5cmになるとGEXは書いています。
テトラも、ミナミヌマエビより一回り大きいエビとして紹介しています。
GEXによると、ヤマトヌマエビは一生を淡水で過ごすわけではないエビで、飼育下での繁殖はできません。
適温は20〜28℃とされています。
両者の違いを選び方に置きかえると、次のようになります。
水槽の中で数が増えていく様子も楽しみたいなら、繁殖の記述があるミナミヌマエビが向いているでしょう。
一方で数を増やしたくない場合は、飼育下で繁殖できないヤマトヌマエビのほうが管理しやすいかもしれません。
ヤマトヌマエビの3〜5cmは、親メダカ(約3〜4cm)と同じくらいの大きさです。
ミナミヌマエビやヤマトヌマエビがメダカの卵や稚魚を食べるかどうかは、はっきり示したメーカー資料や公的資料が見当たりませんでした。
だからこそ、殖やしたい場合は卵を別の容器に移しておく、という安全側の方法をおすすめします。
ミナミヌマエビを殖やす場合には、稚エビの扱いにも注意点があります。
GEXは、産卵後の稚エビは水流が苦手なため、水草や人工の隠れ家があると安心だとしています。
そして見落とせないのが水草の選び方で、GEXは農薬が使われた水草を水槽に入れると全滅してしまうと注意を呼びかけています。
水草は無農薬のものを選ぶようにしましょう。
また、稚エビはフィルターに吸い込まれてしまうことがあるため、GEXはスポンジフィルターを勧めています。
水量の目安についても、エビを数に入れて考えるのがポイントです。
GEXは、生き物を購入するときは水1Lに対して1匹を目安にするよう案内しています。
この「生き物」にはエビも含まれるので、メダカの数と合わせて容器の水量に収まるかを確認してください。
匹数の組み方や水草の入れ方など、もう一歩踏み込んだ内容はメダカとミナミヌマエビの混泳を詳しく解説した記事にまとめています。
石巻貝・ヒメタニシ・ラムズホーン
巻貝もキョーリンが混泳できるとしている相手です。
ただ、同じ「巻貝」でも増え方がまったく違うので、ここを知っておくと選ぶときに迷いにくくなります。
石巻貝は、石川県のレッドデータブックによると殻がほぼ球形で、成貝の殻径は15〜20mmになる貝です。
汽水域の上部から淡水域にすみ、岩や礫、コンクリートの表面に長径1〜2mmほどの楕円形の卵嚢を産みます。
ふ化した幼生は一度海に下り、幼貝となって川をさかのぼってくるという生活史を持っています。
つまり、淡水だけの水槽では幼生が育つための海がないため、数が増えにくいと考えられます。
ただし「淡水の水槽では繁殖しない」とはっきり書いたメーカー資料は確認できなかったため、ここでは生活史から言える範囲にとどめます。
それでも、長径1〜2mmの楕円形の卵嚢を産みつけることはありえる、と考えておくとよいでしょう。
石巻貝の適水温は、はっきり示した資料が見当たりませんでした。
ヒメタニシは、長野県水産試験場によると高さ2〜3cmほどのタニシです。
雌は交尾のあと、体内で数ミリ程度の貝になるまで育ててから子どもを産み出します。
そのため、水槽にタニシを入れたあと、いつのまにか稚貝がいることに驚かされることがある、と同じ資料に書かれています。
石巻貝とは反対に、淡水の容器の中で数が増えていく可能性がある貝ということですね。
岡山県環境保健センターの室内実験では、ヒメタニシなどの貝類が水中の懸濁物質、つまり水の濁りのもとになる細かい粒を取り込み、沈めていく様子が測定されています。
ただし同じ報告で、水温が下がるとこの働きは弱まり、5℃では貝類による懸濁物質の沈降はほとんど認められなかったとされています。
冬の屋外容器では、こうした働きはあまり期待できないということです。
ラムズホーンは、GEXが苔取り能力の高さと、水質や水温に強い丈夫さを挙げている貝です。
適温は15〜28℃とされ、エサは特に与えなくても、水槽内のコケやエサの食べ残しがエサになると案内されています。
一方でGEXは、ラムズホーンは飼育水槽の中でも繁殖でき、2匹いればあっという間に増えるため、増えすぎに注意するよう書いています。
3種類を並べると、増えにくいと考えられる石巻貝、いつのまにか増えるヒメタニシ、あっという間に増えるラムズホーン、という違いになります。
貝も水量の目安に数える生き物なので、増えたぶんだけ容器の中の生き物の数が多くなる点に気を付けてください。
なお、これらの貝がメダカの卵を食べるかどうかを示した資料は見当たりませんでした。
殖やしたい場合は、ここでも卵を別の容器に分ける方法が安全側です。
メダカとドジョウは一緒に飼える?

ドジョウも、キョーリンが混泳できると書いている相手です。
ただしドジョウにはいくつかの種類があり、種類ごとに暮らす環境がかなり違います。
よく見かけるドジョウ(マドジョウ)は、兵庫県のレッドデータブックによると全長13cm程度になる魚です。
メダカは親でも3〜4cmほどなので、ドジョウのほうがかなり大きいことになります。
流れのない泥底の水田や農業水路、ため池、湿地などにすみ、ユスリカの幼虫などを主に食べる雑食性とされています。
長野県水産試験場も、泥底の上を這いまわって底生動物や付着藻類を食べて成長すると書いています。
ドジョウで特に知っておきたいのは呼吸のしくみです。
ドジョウはえらで呼吸するほか、腸で空気呼吸もします。
長野県水産試験場の資料には、水の表面をラップで覆うなどして腸呼吸ができないようにすると溺死してしまう、とあります。
つまり、水面まで上がって空気を吸える状態を保ってあげることが大切です。
ふたをする場合も空気を吸える隙間を残す、水面がふさがるほど浮き草を詰め込まない、といった配慮が考えられます。
ドジョウは「底にいる魚」という印象が強いですが、空気を吸いに水面まで上がってくる魚でもあります。容器の深さと水面のあき具合の両方を見てあげてください。
シマドジョウは、マドジョウとは好む場所が違います。
長野県水産試験場によると、シマドジョウは河川の上中流域にすみ、砂底や砂礫底の流水域を好みます。
砂によく潜る習性があり、ユスリカの幼虫などを砂と一緒に吸い込んで、えらで餌と砂をこし分けて食べるとされています。
砂を敷くのであれば、潜りやすい細かい砂を選ぶとよいでしょう。
ホトケドジョウは、さらに注意が必要な種類です。
兵庫県立人と自然の博物館の資料では、湧水を水源とする細流や、湿原や水田まわりの小溝にすむとされています。
そして先ほど触れたとおり、環境省レッドリスト2020では絶滅危惧IB類に区分されています。
採集したり購入したりする前に、どの種類のドジョウなのかを確かめておくことが大切です。
ドジョウについては、夜行性かどうか、メダカの卵や稚魚を食べるかどうかを示した資料が見当たりませんでした。
成魚どうしの混泳はメーカーが可能としていますが、殖やしたい場合は卵を別容器に移すのが安全側です。
メダカと金魚の混泳をすすめない理由
金魚は、メダカの混泳相手として基本的にはおすすめしません。キョーリンが金魚とはできれば同じ水槽で飼わない方がよいと書き、テトラも一緒にするとメダカがいじめられたり食べられたりすると説明しているからです。ここでは、小さい金魚なら大丈夫なのかという疑問も含めて、その理由を時間の流れに沿って見ていきます。
キョーリンの「初心者向けメダカの飼い方ガイド」には、「メダカと金魚は一緒に飼えるの?」という質問への回答が載っています。
そこでは、金魚は口も大きく非常に大食漢で、メダカよりもとても大きくなる魚だと説明されています。
そのうえで、メダカが口に入らない程度の小さな金魚であれば一緒に飼えるとしつつ、金魚が大きくなればメダカを追いかけまわしたり食べてしまうこともある、と続きます。
結論は、できれば同じ水槽では飼わない方がよい、というものです。
ここで大事なのは、「小さいうちは一緒に飼える」が永続する条件ではないという点です。
キョーリンの「金魚の基本知識」では、金魚の大きさは約20cm、寿命は10〜15年とされています。
一方のメダカは、親でも3〜4cmほどです。
買ってきたときは同じくらいの大きさに見えても、金魚は時間とともにメダカを口に入れられる大きさへ育っていきます。
つまり、混泳を始めた日の大きさではなく、数か月後、数年後の大きさで考える必要があるわけです。
テトラも、おとなしいからと金魚や川魚などを屋外飼育の容器に一緒に入れると、メダカがいじめられたり食べられたりすると書いています。
金魚のような雑食性の魚は、メダカをエサだと思って食べてしまう、というのがテトラの説明です。
「うちの金魚はおとなしいから」と感じていても、口に入る大きさの生き物を食べてしまうのは性格の問題というより食性の問題だと考えられます。
なお、金魚の口の大きさを数値で示した資料は見当たりませんでした。
「何cmまでなら安心」と線を引けないことも、別飼いをすすめる理由の一つです。
もうひとつ、キョーリンの資料には金魚の大きさについて、小さな水槽だと大きくならないという補足もあります。
ただ、これは小さく育てれば混泳できるという意味ではありません。
大食漢でよく食べる性質は変わらないため、メダカとの同居をすすめる根拠にはなりにくいでしょう。
金魚とメダカを両方飼いたいとき
水槽や容器を分けて、それぞれに合った環境で飼うのがメーカーの案内に沿った方法です。
すでに同じ容器で飼っている場合は、金魚の成長に合わせて早めに分けることを検討してください。
混泳を始める手順と失敗しない分け方
相手が決まったら、迎え入れ方と分け方で失敗を減らせます。水温と水質を合わせてから入れ、しばらく様子を見ること、そして卵と稚魚を親メダカから分けることが大きな柱です。この章では、メーカーごとに異なる目安の数値も並べながら、手順を順番に説明し、最後によくある質問に答えます。
入れる前の水合わせと様子見

新しい生き物を入れるときに最初にすることは、水温を合わせることです。
テトラは、購入してきた魚はビニール袋ごと20〜30分ほど水槽に浮かべておき、水槽と袋の水温をならすよう案内しています。
キョーリンは、メダカを袋のまま1時間程度浮かべて水温を合わせてから放すよう書いています。
時間はメーカーで異なりますが、どちらも「袋ごと浮かべて少しずつ水温をそろえる」という考え方は同じです。
テトラは、水温や水質を合わせないと急激な水の変化についていけず、メダカが死んでしまうことがあるとも説明しています。
水温合わせの次に気を付けたいのが、袋の中の水の扱いです。
テトラは、万が一の病気の感染などを防ぐため、もともと袋に入っていた水は水槽へ入れないほうがよいとしています。
GEXも、白点病の原因になる白点虫は、新しく購入した魚や、魚を輸送した水から水槽に入ることが主な原因とされていると書いています。
つまり、新しく迎えた生き物そのものや、一緒に運ばれてきた水が、病気の持ち込み口になりうるということです。
そこで役立つのが、すぐに同じ容器へ入れず、別容器でしばらく様子を見るという考え方です。
テトラは金魚向けの資料で、新しい金魚を水槽に入れる前のトリートメントを、様子を見ながら1〜2週間くらいを目安に行うと紹介しています。
持ち帰った魚が病原菌や寄生虫を持っていた場合、そのまま水槽に入れると混泳相手にも感染してしまう可能性が高いから、というのが理由です。
これは金魚向けの資料で、メダカ専用の期間を示したメーカー資料や公的資料は見当たりませんでした。
そのためこの記事では日数は決めず、「別容器でしばらく様子を見て、元気に泳ぎ、エサを食べているのを確かめてから合流させる」という考え方として紹介します。
迎え入れる数にも目安があります。
キョーリンの飼い方ガイドは水1Lに対して1匹、テトラも一般的にメダカ1匹に必要な水の量は1Lと書いています。
GEXは、生き物を購入するときは水1Lに対して1匹を目安に、と「生き物」全体の目安として案内しています。
この考え方に沿うなら、メダカだけでなくエビや貝も数に入れて、容器の水量に収まるかを考えることになります。
一方で、キョーリンのFAQには、おおまかな目安として1Lに対して2匹という記述もあります。
この記事で少ない側の1Lに1匹を採るのは、混泳ではエビや貝のぶん生き物の数が増えるうえ、テトラが書くように底砂や水草を入れると実際に入る水の量が減るからです。
いずれも一般的な目安なので、容器の大きさや置き場所、生き物の様子に合わせて調整してください。
卵と稚魚は親からも守る
混泳で見落とされがちなのが、卵と稚魚を守る相手は「ほかの生き物」だけではないという点です。
GEXは、親魚が産んだ卵を食べてしまうことがあるとし、卵は産卵床ごと育成用のメッシュやネットに入れて隔離するよう案内しています。
テトラも、メダカは雑食性で、エサが足りずお腹が空くと目の前にある卵を食べてしまうと説明しています。
ふ化したあとの稚魚も同じで、GEXは成魚が稚魚を食べるおそれがあるため、ふ化したらすぐ別容器に移すか、あらかじめ別の容器でふ化させるよう書いています。
では、稚魚はどれくらいの大きさになれば親と同じ容器に戻せるのでしょうか。
この目安は出典によって異なります。
GEXは、稚魚は最低でも1cm以上になり、頭がよく育って逆三角形になっているかを確認してから戻すよう案内しています。
GEXの別のページには、親の半分の大きさになったら戻しても大丈夫、という目安もあります。
テトラは、稚魚の体の大きさが1〜1.5cmくらいになってから、としています。
宮城県総合教育センターの資料では、親メダカの3分の1程度まで成長すれば親との同居も可能とされています。
数字にばらつきがあるので、迷ったときは大きいほうの目安まで待つと安全側になります。
稚魚の成長に合わせた分け方は、メダカ稚魚のサイズ分けの時期と共食いの防ぎ方で詳しく説明しています。
稚魚どうしの共食いにも注意が必要です。
NBRPの資料には、早く成長した大きな稚魚が、成長の遅い小さな稚魚を食べてしまうので、大きな稚魚ははじめのうちは別にしておく、とあります。
GEXも、早く大きくなった稚魚は小さい稚魚を食べたり、くわえたりすると書いています。
さらにGEXによると、生後2か月ほど経つと、稚魚でも卵を食べることがあるそうです。
宮城県総合教育センターの資料も、共食いが起こると親まで育つのはかなり少数になってしまうと説明しています。
卵、生まれたばかりの稚魚、少し育った稚魚、親。この4つの段階を同じ空間に混ぜないこと(同じ水槽ならネットなどで仕切ること)が、混泳よりも先に考えたい分け方です。
隠れ場所としての水草も役に立ちます。
キョーリンは、水草は産卵場所や隠れ場所になり、水質の浄化にもなると案内しています。
ただし、水草は多ければよいわけではありません。
GEXは、水草などが育ちすぎるとメダカが泳ぐ場所がなくなり、病気の原因にもなると注意しています。
テトラも、水草は昼間は酸素を作るが、夜間は酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すため、酸欠になってしまうこともあると書いています。
水草の有無で稚魚の生き残る割合を比べた研究は見当たらなかったため、水草はあくまで補助と考え、卵や稚魚は容器を分けて守るのが基本です。
産卵床ごと入れておける育成ネットがあると、親と同じ水槽の中でも卵を分けやすくなります。
容器の大きさや縁の形に合うかどうか、購入前にサイズを確認しておくと安心です。
メダカの混泳に関するよくある質問(FAQ)
メダカとドジョウは同じ水槽で飼えますか?
キョーリンは、ドジョウはメダカと混泳できると案内しています。
ただしマドジョウは全長13cm程度とメダカよりかなり大きく、腸で空気呼吸もするので、水面をふさがないようにしてください。
ドジョウが卵や稚魚を食べるかを示した資料は見当たらないため、殖やしたい場合は卵を別の容器に分けると安心です。
メダカとミナミヌマエビは何匹ずつ入れますか?
GEXは、生き物を購入するときは水1Lに対して1匹を目安にするよう案内しています。
この目安にはエビも含まれるので、メダカとエビを合わせた数が容器の水量に収まるように考えます。
底砂や水草を入れると実際に入る水の量は減るため、入れた状態での水量で数えるのがおすすめです。
メダカと金魚は小さいうちなら大丈夫?
キョーリンは、メダカが口に入らない程度の小さな金魚なら一緒に飼えるとしつつ、大きくなるとメダカを追いかけまわしたり食べたりすることがあるため、できれば同じ水槽では飼わない方がよいとしています。
金魚は約20cmまで育つ魚なので、基本は別々の容器で飼うことをおすすめします。
メダカと熱帯魚は一緒に飼えますか?
屋外で加温しないメダカ容器の場合は、水温が合いません。
GEXはグッピーについて冬場はヒーターが必要と書いており、冬に水温が下がる無加温の屋外容器では水温が合いにくいためです。
ヒーターで水温を保つ室内の水槽であれば、GEXはグッピーと混泳しやすい魚の例にメダカを挙げていますが、ヒレをかじられたり稚魚が食べられたりすることがある点には注意が必要です。
混泳がうまくいかないときはどうしますか?
メダカが追い回されている、数が減っている、といった様子があれば、早めに別の容器へ分けて様子を見てください。
分けた生き物を川や池へ放すことは避けましょう。
別の地域のメダカを放すと、その土地のメダカと交雑して遺伝的な多様性が失われると環境省が説明しており、アメリカザリガニは許可なく野外へ放つことが禁止されています。
まとめ|メダカの混泳は相手の条件で選ぶ
メダカの混泳相手は、「どの生き物が人気か」よりも「水温・サイズ差と性格・法律と希少性」という条件で選ぶと失敗を減らせます。キョーリンはエビ・巻貝・ドジョウを混泳できる相手として案内する一方、金魚などメダカより大きく育つ魚は避けたい相手です。最後に、この記事の要点を振り返ります。
- キョーリンは、ドジョウ・巻貝・ヌマエビはメダカと混泳できるが、金魚やカメは混泳できないとしています。
- 屋外・無加温の容器では、冬場にヒーターが必要な熱帯魚とは水温が合いません。
- メダカより大きな魚、雑食の金魚、肉食の川魚は、メダカをエサだと思って食べてしまうことがあります(テトラ)。
- カダヤシは特定外来生物で、飼育や運搬も原則禁止です。飼っている生き物は川や池に放さないようにしましょう。
- ミナミヌマエビの水草は無農薬のものを選び、ドジョウのいる容器は水面をふさがないようにします。
- 金魚は小さいうちは同居できても、約20cmまで育つため基本は別飼いがすすめられます。
- 卵と稚魚はメダカ自身にも食べられるので、殖やすなら別の容器に分けます。親と同居させる稚魚の大きさの目安は、GEX・テトラ・宮城県で異なります。
- 水量は1Lに1匹を目安に、エビや貝も数に入れて考えます。
数値はどれもあくまで一般的な目安で、生き物の個体差や飼育環境によって合う条件は変わります。
正確な情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
最終的な判断に迷ったときは、生き物を購入した販売店にも相談してみてください。
メダカも相手の生き物も、それぞれが落ち着いて暮らせる組み合わせを見つけていきましょう。



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