ウィローモスが茶色になったら?茶色い場所で見分ける原因と立て直し方
流木に巻いたウィローモスが、気づいたら茶色になっていた。緑だったはずの茂みの内側や根元が茶色い、先端が溶けるように崩れてきた、買ったばかりなのにもう茶色っぽい。そんな姿を見ると、このまま全部枯れるのでは、と不安になりますよね。
ウィローモスが茶色くなる原因は1つではありません。茂みの内側だけが茶色いのか、先端から全体に広がっているのか、表面に茶色い汚れが付いているだけなのかで、疑うべき原因も、やるべき対処も変わります。夏の高水温、光が届かない茂みの重なり、汚れと水流不足、薬やコケ取り剤の影響など、茶色くなる理由にはいくつかの型があるんです。
この記事では、茶色くなった場所と時期から原因を見分ける方法と、茶色い部分を切るべきかどうか、緑が残っている株を復活させる手順、夏の水温管理やトリミングの頻度まで、ウィローモスの茶色に関する悩みをまとめて整理します。
先に結論を言うと、葉そのものが茶色くなった部分は切り取り、残った緑の部分を薄く広げて固定し直すのが基本です。夏に先端から茶色くなるなら、まず水温を疑ってください。枯れたように見えても、緑の部分が残っていれば、原因を取り除くことで立て直せる場合が多いですよ。
- 茶色くなった場所と時期から原因を見分ける方法
- 茶色い部分を切るべきか残すべきかの判断
- 緑の切れ端からウィローモスを復活させる手順
- 茶色くしないための水温管理とトリミングのコツ
ウィローモスが茶色になる原因と見分け方
まずは、茶色くなっている場所と、いつ頃から茶色いのかを確かめるところから始めましょう。ウィローモスの茶色は、場所と時期で原因がかなり絞り込めます。ここでは、枯れているのか汚れているだけなのかの見分け方から、内側、先端、買ったばかりの株、薬を使ったあとの順に、よくある型を整理していきます。
確かめるときは、水槽の外から眺めるだけでなく、茂みを指で少しかき分けて、内側と根元の色まで見るのがコツです。表面がきれいな緑でも、内側が茶色いことはよくあります。あわせて、水温計の数字と、最近の水換えやトリミング、薬を入れたかどうかも思い出しておくと、この章を読みながら原因を絞り込みやすくなりますよ。章の最後には、場所と時期ごとの原因を1つの表にまとめています。
茶色い部分は枯れたのか、汚れが付いただけか
最初に確かめたいのは、その茶色が葉そのものの色なのか、表面に付いた汚れの色なのかという点です。この2つは見た目が似ていますが、対処がまったく違います。
指先やスポイトで確かめる
見分け方は簡単です。茶色い部分を指先で軽くつまんでこすってみるか、スポイトで水を吹きかけてみてください。
表面の茶色が取れて、下から緑の葉が出てくるなら、それは葉が枯れたのではなく、汚れが付いているだけです。水槽の立ち上げ初期などに出やすい茶ゴケ(珪藻=けいそうと呼ばれる藻の仲間)が膜のように付いたり、細かいフンや食べ残しがからみついたりすると、ウィローモス全体がくすんだ茶色に見えることがあります。
一方、こすっても色が変わらず、葉が薄く透けたような茶色や、黒っぽい茶色になっているなら、葉そのものが傷んでいる可能性が高いです。ただし、細かい茂みの奥に付いた汚れは指では落ちにくいこともあるので、茂みの表面と奥の両方で確かめてください。指でつまむと、ぼろっと崩れたり、ふやけたように柔らかくなったりしていることもあります。
茎の裏の茶色い毛は仮根
もう1つ、茶色と見間違えやすいものがあります。茎の裏側や根元に付いている、細い毛の束のような茶色いものです。
これは仮根(かこん)と呼ばれる、ウィローモスが流木や石にくっつくための器官です。先ほどのFlowgrowでも、仮根は茎の裏側にある小さな茶色い毛の束として説明されています。もともと茶色いものなので、仮根が見えているだけなら傷んでいるわけではありません。葉の部分が緑なら、そのままで大丈夫ですよ。
汚れだった場合の考え方
汚れによる茶色なら、ウィローモス自体は元気なことが多いので、慌てて切る必要はありません。スポイトで汚れを吹き飛ばしたり、水換えのときに茂みを軽くゆすいだりして、表面をきれいにするのが先です。
ただし、汚れが付いたままの状態を放っておくと、光が葉に届きにくくなり、本当に傷み始めることがあります。汚れが付きやすい水槽は、エサの量やろ過、照明の時間を見直すきっかけにしてください。茶ゴケのような藻を食べてくれる生き物を入れる方法もあり、どんな生き物が向いているかは水槽のコケ取りに向く生き物の選び方で比較しています。
傷んでいた場合は場所と時期を見る
葉そのものが茶色くなっている場合は、次に「どこから茶色いか」と「いつから茶色いか」を見ます。
茂みの内側や根元から茶色いのか、先端から茶色いのか、全体が一気に茶色くなったのか。茶色くなったのは夏なのか、買ってきてすぐなのか、薬を入れたあとなのか。この組み合わせで、原因の候補がかなり絞れます。以下の項目で、それぞれの型を順番に見ていきましょう。
なお、ここで紹介する見分け方は、あくまで一般的な目安です。いくつかの原因が重なっていることも多いので、1つに決めつけず、当てはまりそうなものを全部確かめるのがおすすめですよ。
茂みの内側や根元から茶色くなるとき

表面は緑なのに、茂みをかき分けると内側や根元が茶色い。ウィローモスでよく見られる型で、主な原因として考えられるのは、光が届かないことと、汚れがたまって水が動かないことです。
茂みが重なって光が届かない
ウィローモスは、伸びた枝の先でさらに枝分かれしながら茂みを厚くしていきます。厚くなること自体は見た目がよくなるので歓迎したいところですが、茂みが何層にも重なると、内側の古い部分に光が届かなくなります。
表面の新しい葉が光を受けている一方で、その下の古い葉は日陰に入った状態になり、少しずつ茶色くなっていきます。とくに、流木や石に活着させてから長いあいだトリミングをしていない株では、根元が茶色く、表面だけが緑という姿になりやすいです。
この場合、表面が緑で元気に伸びているなら、株全体が弱っているわけではありません。内側の茶色い部分は、茂みが育ったことの裏返しとも言えます。
汚れがたまって水が動かない
もう1つの原因が、汚れと水流です。ウィローモスの茂みは、細かい枝がびっしりと絡み合っているので、フンや食べ残し、枯れた葉のかけらなどが入り込みやすい構造をしています。
水がほとんど動かない場所に置いていると、茂みの内側にたまった汚れが流れ出ず、新しい水も届きにくくなります。そうなると、内側から傷んで茶色くなり、さらに傷んだ葉が汚れになるという悪循環が起こりがちです。
茂みを指で少しかき分けたときに、茶色いもやのような汚れが舞い上がるなら、このパターンを疑ってみてください。
内側が茶色いときに確かめること
内側や根元の茶色が気になったら、次の3つを確かめます。1つ目は、最後にトリミングしたのがいつか。2つ目は、茂みが指で押しても中が見えないほど詰まっていないか。3つ目は、置いている場所の水が動いているか。フィルターの水流がまったく届かない角や、ほかの水草の陰になっていないかも見ておきましょう。
この型は、トリミングで茂みを薄くし、汚れを取り除くことで改善が期待できます。具体的な手順は、後半の対処の項目で詳しく紹介しますね。
先端や全体が茶色く溶けるとき

内側ではなく、先端から茶色くなっていく。あるいは、茂み全体がしおれたように茶色くなり、触ると溶けるように崩れる。この型は、株全体の調子が落ちているサインのことがあり、まず水温を疑ってほしいパターンです。
夏の高水温は真っ先に疑う
先端や全体が茶色くなる時期が夏なら、高水温の影響を強く疑います。室内でも、エアコンを切った部屋や日の当たる場所の水槽では、水温が30℃近くまで上がることがあります。
ウィローモスとして売られているコケが好む水温については、資料によって数字に幅があります。海外の水草販売店の育成データでは、タキシフィラム・バルビエリ(日本でウィローモスとして広く出回っているとされる種類)の水温を5〜28℃としている例があります。一方で、もっと高い水温まで耐えるとする販売店もあり、数字は一定していません。
ドイツの水草データベースFlowgrowでも、耐えられる範囲を12〜34℃としながら、30℃くらいまでは耐えられるものの、24℃前後のやや涼しい水のほうが成長が速く、見た目も健康的になると説明されています。
ここから言えるのは、28℃はあくまで上限側の目安で、適した水温ではないということです。28℃に近づく前から対策を考え、余裕を持って低めに保つほうが、ウィローモスにとっても一緒に暮らす魚やエビにとっても負担が少ないはずです。
ウィローモスと呼ばれるコケは1種類ではない
水温の話をするときに知っておきたいのが、ウィローモスという名前で売られているコケが、1種類とは限らないという点です。
日本の蘚苔類(せんたいるい=コケの仲間)の研究者による1982年の論文では、日本の観賞魚水槽で「ウィローモス」と誤って呼ばれることが多いコケとして、タキシフィラム・バルビエリ(Taxiphyllum barbieri)が挙げられています。多くの水槽で旺盛に育っているとも書かれています(出典:高木典雄ほか「淡水魚水槽中の観賞用水生蘚苔類」日本蘚苔類学会会報 3巻5号(J-STAGE))。
一方で、英語圏ではフォンティナリス・アンティピレティカ(Fontinalis antipyretica)という別のコケが、willow mossと呼ばれる例があります。英国王立園芸協会の植物データでは、澄んだきれいな冷たい水でよく育つ種類として紹介されています。
どちらの種類が手元にあるかを見た目だけで判断するのは、簡単ではありません。冷たい水を好む種類だった場合は、熱帯魚水槽の水温そのものが負担になっている可能性もあります。購入時のラベルや販売ページに学名が書かれていれば、控えておくと原因を考えるときの手がかりになりますよ。
水換えや移動で環境が急に変わったとき
夏以外の季節に先端や全体が茶色くなった場合は、直前に環境が大きく変わっていないかを振り返ってみてください。
一度に大量の水を換えて水温が急に変わった、別の水槽に引っ越した、照明を新しくした、といった変化のあとで調子を崩す例はよくあります。水草全般に言えることですが、急な変化は避け、水換えでは水温を合わせた水を使うのが基本です。
買ったばかりのウィローモスが茶色くなるとき
お店や通販で買ってきたばかりなのに、すぐに茶色くなってしまった。これもよくある悩みです。買ったばかりの株が茶色い場合は、もともと茶色い部分が含まれていたのか、水槽に入れてから茶色くなったのかを分けて考えます。
もともと茶色い部分が混ざっている
販売されているウィローモスは、カップや袋に詰められた状態で流通しています。詰められた株の内側は光が当たりにくいと考えられ、買った時点で茶色い部分が混ざっている場合もあります。
水槽に入れる前に茶色い部分を取り除き、緑の部分だけを使うのがおすすめです。そのうえで、入れたあとに茶色い部分がまた増えていくようなら、株の状態や輸送中の傷み、水槽側の原因も考えられるので、この章のほかの項目を確かめてください。
水槽に入れてから茶色くなった
入れたときは緑だったのに、数日から数週間で茶色くなった場合は、ここまでに紹介した原因と同じように、水温、光、汚れ、置き場所を確かめます。とくに夏場の購入や通販では、輸送中に水温が上がって株が傷んでいることもあります。
また、買ってきた株をそのまま水槽の底に置くと、フィルターの吸い込み口に寄っていったり、ほかの水草の陰に入ったりして、光も水流も届きにくい場所に落ち着いてしまうことがあります。入れた直後の数日は、どこに移動したかも見ておくと安心です。
農薬と同居する生き物の確認
買ってきた水草で気をつけたいもう1つの点が、栽培のときに使われた農薬です。農薬はウィローモスの茶色の原因というより、一緒に暮らすエビにとって心配な点として知られています。
エビと一緒に育てるなら、無農薬と表示された株が選択肢になります。デンマークの水草メーカーのTropicaは、研究所で育てた小さな水草のシリーズについて、貝や藻、農薬が付いていないことを保証すると説明しています。農薬が抜けるまでの期間や安全な入れ方は水草の農薬が抜ける期間とエビに安全な入れ方で詳しくまとめています。
薬やコケ取り剤を入れたあとに茶色くなるとき

見落としがちなのが、水槽に入れた薬や添加剤の影響です。魚の病気の治療やコケ対策のために何かを入れたあとで、ウィローモスが茶色くなったなら、その製品の説明書を確かめてみてください。
コケ取り剤はウィローモスに使えない製品がある
水槽のコケ(藻)を抑える薬の中には、ウィローモスへの使用を避けるよう注意書きがある製品があります。
たとえば、テトラのコケブロックは、販売店の商品ページに載っている注意書きで、ウィローモスやリシアなどの水草には使用できないとされています。ウィローモスは植物の分類ではコケ植物の仲間ですが、製品の注意書きでは藻類に分類される水草という言い方で、使えない対象に入れられています。
コケ取り剤を入れたあとに、ウィローモスが急に茶色くなったり、溶けたりした場合は、その影響を疑ってください。今後コケ対策をするときは、薬を使う前に説明書の使用できない水草の欄を確かめる習慣をつけておくと安心です。
魚の薬を入れた水槽では説明書を見直す
魚の病気の治療に使う薬についても、製品によっては水草への影響が説明書に書かれていることがあります。薬の成分や濃度によって影響は違うので、ここでは一律に危ない、とは言えません。
確実なのは、手元の製品の説明書や箱の使用上の注意を読むことです。水草への注意が書かれている場合や、判断がつかない場合は、治療は水草の入っていない別の容器で行うのが無難です。薬の量や使い方は、説明書に従うのが前提です。正確な情報は各メーカーの公式サイトや説明書をご確認ください。
ここまでの型を、場所と時期で整理すると次のようになります。
→ 横にスクロールできます
| 茶色くなった場所・時期 | まず疑う原因 | 確かめること | 最初の対処 |
|---|---|---|---|
| こすると取れる茶色 | 茶ゴケやフンなどの汚れ | 指やスポイトで落ちるか | 汚れを吹き飛ばす・エサとろ過を見直す |
| 茂みの内側・根元 | 茂みの重なりによる光不足、汚れと水流不足 | 最後のトリミング・茂みの厚さ・水の動き | トリミングで薄くし汚れを取り除く |
| 夏に先端・全体 | 高水温 | 水温計の数字(28℃に近い日や超える日がないか) | 水温を下げる対策をとる |
| 夏以外に先端・全体 | 水換えや移動による急な変化、種類と水温の相性 | 直前に大きな変化がなかったか、学名の表示 | 水温を合わせた水換えに戻す・緑の部分を残す |
| 買ってすぐ | もともと混ざっていた古い部分、輸送中の傷み | 入れる前から茶色かったか | 茶色い部分を取り除いて緑だけ使う |
| 薬・コケ取り剤のあと | 製品の影響 | 説明書の使用できない水草の欄 | 使用を見直し、治療は別の容器で行う |
当てはまる行が複数あれば、どれか1つに決めつけず、全部を確かめてくださいね。
ウィローモスが茶色くなったときの対処と予防
原因の見当がついたら、次は手を動かす番です。ここからは、茶色い部分を切るかどうかの判断、緑の切れ端から立て直す手順、夏の水温管理、トリミングと掃除の頻度、茶色くなりにくい買い方と入れ方までを順番に紹介します。茶色くなったウィローモスでも、緑の部分が残っていれば、立て直せる見込みがあります。
大切なのは、茶色い部分を取り除くことと、茶色くなった原因を取り除くことをセットで行うことです。切るだけで原因がそのままだと、しばらくして同じ場所がまた茶色くなりがちです。逆に、原因を直しても傷んだ葉を残しておくと、崩れた葉が汚れになって回復の足を引っ張ります。前の章の表で見当をつけた原因と照らし合わせながら、当てはまる項目から手をつけていきましょう。
茶色い部分は切るべきか、残すべきか
葉そのものが茶色くなっている場合、結論から言うと、茶色い部分は切り取るのがおすすめです。
茶色くなった葉は緑に戻りにくい
一度茶色く傷んだ葉が、また元の緑に戻ることは期待しにくいものです。茶色い部分を残しておいても、そこから新しく伸びることはあまりなく、むしろ傷んだ葉が崩れて汚れになり、周りの緑の部分まで傷める原因になりがちです。
とくに、触ると崩れるような茶色や、ぬめりのある部分は、早めに取り除いてしまいましょう。茂みの内側に溶けた葉が残っていると、そこに汚れがたまり、内側から傷む悪循環が続いてしまいます。
汚れだけなら切らなくていい
一方で、こすって取れる茶色、つまり表面に汚れが付いているだけの場合は、切る必要はありません。汚れを落とせば下の緑の葉はそのまま使えます。
切るか残すかで迷ったら、前の章で紹介したように、まず指やスポイトで確かめてください。汚れなのか、葉が傷んでいるのかがはっきりすれば、判断はぐっと楽になります。
切るときの手順
茶色い部分を切るときは、水槽から株を取り出して作業するのがおすすめです。水槽の中で切ると、細かい切れ端が散らばって、フィルターに吸い込まれたり、底にたまって汚れになったりします。
取り出した株をバケツや洗面器に張った飼育水の中でゆすぎ、茶色い部分を見つけたらハサミで切り取ります。内側に茶色い部分が多い場合は、茂みを指でほぐしながら、奥の茶色い部分まで取り除いてください。このとき、飼育水を使うのは、水温や水質の急な変化を避けるためです。
作業が終わったら、バケツの底にたまった切れ端と汚れはまとめて捨て、きれいになった緑の部分だけを水槽に戻します。
切り取った茶色い切れ端や汚れは、排水口にそのまま流さず、ゴミとして処分してください。ウィローモスに限らず、水槽の生き物や水草を屋外の川や池に流すと、本来いない場所に広がる恐れがあります。屋外に捨てることは避けましょう。
細かい茂みの奥まで切りやすい、水草用の先の細いハサミには次のようなものがあります。刃の形や長さ、価格は購入前に各ショップで確認してください。
緑が残っていれば切れ端から立て直せる

茶色い部分を取り除いたら、残った緑の部分で立て直しに入ります。ウィローモスは、緑の切れ端を固定し直すことで、また茂みを作っていける水草です。
切れ端は捨てずに使える
ウィローモスの切れ端は、それ自体が新しい株の材料になります。海外の水草販売店の解説でも、定期的に刈り込むことで密でこんもりした茂みになり、切った枝は糸で結んだり、瞬間接着剤で付けたりして再び使えると説明されています。
茶色い部分を取り除いた結果、茂みがスカスカになってしまっても、緑の部分が残っていれば、すぐに諦める必要はありません。古い部分を整理したことで、新しい葉に光と水が届きやすくなる面もあります。
立て直しの手順
立て直しは、次の流れで進めます。
- 緑の部分を飼育水の中でゆすぎ、汚れと細かい茶色の葉を落とす
- 緑の部分を細かくほぐし、厚く重ならないように薄く広げる
- 流木や石に薄く広げた状態で、糸で巻くか接着剤で付けて固定する
- 茶色くなった原因(水温・光・水流・薬)を見直してから水槽に戻す
- 新しい葉が出てくるまで、置き場所を動かさずに見守る
ポイントは、薄く広げること。厚く巻くと、また内側に光が届かなくなり、同じことを繰り返してしまいます。糸の巻き方や接着剤の使い方など、固定の細かいコツは道具選びと合わせて見直しておくと、作業がしやすくなりますよ。
テグスや接着剤、鉢底ネットなど、モスを付け直すときの道具は100円ショップでもそろいます。それぞれの選び方と使い方は、100円ショップでそろう活着の道具と巻き方・付け方の解説で紹介しています。
どれくらいで緑が戻るか
立て直したあと、どのくらいで茂みが戻るかは、水温や光の条件によって大きく変わります。
デンマークの水草メーカーTropicaのデータでは、同社が扱うタキシフィラム・バルビエリの成長速度をほかの水草と比べて中程度、水槽に入れて2か月後の平均的な高さを3〜10cm以上としています(出典:Tropica Aquarium Plants「Taxiphyllum barbieri ‘Bogor Moss’」)。一方で、海外の水草販売店のデータでは、同じタキシフィラム・バルビエリの成長を遅いとし、高さをおよそ3〜5cmとしている例もあり、資料によって幅があります。数日で目に見えて戻るような育ち方ではないので、少なくとも数週間から数か月単位で見ておくのが気持ちの面でも楽かなと思います。
新しい葉は、明るい緑色をしているので見分けやすいです。固定した切れ端の先から、明るい緑の葉が伸びてきたら、立て直しが順調に進んでいるサインですよ。
夏の高水温から守る温度管理
夏に茶色くなった、あるいは毎年夏になると調子を崩すなら、水温の管理が一番の予防になります。
水温計で実際の数字を見る
まずは、水温計で実際の水温を確かめる習慣をつけましょう。体感では涼しい部屋でも、照明の熱や日差しで水温が上がっていることはよくあります。
確かめるタイミングは、一日のうちで水温が上がりやすい午後から夕方がおすすめです。朝だけ見て安心していると、昼間の高水温を見逃してしまいます。前の章で紹介したように、28℃は上限側の目安です。午後の水温が28℃に近づくようなら、何らかの対策を考えたいところです。
水温を下げる方法
水温を下げる方法には、部屋ごと冷やすエアコン、水面に風を当てて気化熱で冷やす冷却ファン、水を直接冷やす水槽用クーラーなどがあります。
冷却ファンは手軽な反面、部屋の温度が高いと冷やしきれないことがあり、水が蒸発して減りやすくなる点にも注意が必要です。水槽用クーラーは水量に合った能力のものを選べば冷やしやすい一方で、費用と設置の手間がかかります。どの方法がどのくらい水温を下げられるかの目安や選び方は、水槽の水温を下げる方法と何℃下がるかの目安で詳しくまとめています。
なお、水温を下げるときに、氷や大量の冷たい水を一度に入れるのは避けてください。急に水温が変わると、ウィローモスだけでなく魚やエビにも大きな負担になります。製品を使う場合は、冷やせる幅や設置方法を説明書で確認しましょう。
置き場所と照明の熱も見直す
水槽を置く場所も、水温に大きく関わります。窓ぎわで直射日光が当たる場所や、家電の排熱が当たる場所は、夏に水温が上がりやすくなります。
照明も熱を出すので、点灯時間が長すぎないかを見直してみてください。ウィローモスはもともと強い光を必要としない水草で、Tropicaのデータでも光の要求量は低いとされています。照明を長くつけるほど育つ、というものではないので、夏は点灯時間を見直す余地もありますよ。
水温を毎日確かめるなら、水槽に付けたまま読める水温計があると便利です。表示の見やすさや取り付け方、価格は購入前に各ショップで確認してください。
水面に風を当てて水温を下げる冷却ファンには、次のような商品があります。対応する水槽のサイズや冷やせる幅は、商品ページと説明書で確かめてから選んでください。
内側を傷ませないトリミングと掃除の頻度
茂みの内側から茶色くなるのを防ぐには、トリミングと掃除を定期的に行うのが一番です。
トリミングは日数より見た目で決める
トリミングの頻度について、何日ごとと決まった目安を示す資料は見当たりません。成長の速さが、光や水温の条件で大きく変わるためです。
日数で決めるより、見た目で判断するほうが失敗しにくいかなと思います。茂みの表面がもこもこと盛り上がって形が崩れてきた、茂みを指でかき分けても奥が見えなくなってきた、というのがトリミングのタイミングの目安です。
トリミングでは、表面を刈りそろえるだけでなく、茂みが厚くなりすぎた部分を間引いて薄くすることも意識してください。表面だけを刈りそろえていると、内側の古い部分はそのまま残り、光が届かない状態が続いてしまいます。
掃除は茂みの中の汚れまで
トリミングと合わせて行いたいのが、茂みの中の汚れの掃除です。水換えのときに、スポイトで茂みの中に水を吹き込み、たまった汚れを外へ出してあげましょう。舞い上がった汚れは、水換えの排水と一緒に吸い出すと効率的です。
活着した流木や石ごと取り出せる場合は、バケツに張った飼育水の中で軽くゆすぐ方法もあります。汚れがたまりやすい水槽では、水換えのたびにこの作業をしておくと、内側の茶色を防ぎやすくなります。
水流と置き場所も合わせて見直す
掃除をしても汚れがすぐたまるなら、置き場所の水流を見直してみてください。強い水流に当てる必要はありませんが、茂みの表面がわずかにそよぐくらいの、ゆるやかな流れがあると汚れがたまりにくくなります。
フィルターの排水口からまったく水が届かない角や、ほかの水草の陰になる場所は、汚れも光不足も起こりやすい場所です。レイアウトを変えられるなら、少し明るく、少し水が動く場所に移すだけでも違いが出ますよ。照明の明るさが足りているか気になる場合は、水草ライトの選び方と代用LEDで失敗する条件も参考にしてください。
内側の茶色を防ぐコツは、茂みを厚くしすぎないこと、茂みの中の汚れをためないこと、ゆるやかな水の動きがある場所に置くことの3つです。トリミングで出た緑の切れ端は、次の流木や石に付けて増やす材料に使えます。
茂みの中の汚れを吹き出すには、水槽用の長いスポイトが扱いやすいです。長さや容量、価格は購入前に各ショップで確認してください。
茶色くなりにくい買い方と入れ方
これからウィローモスを買い足す、あるいは立て直しのために新しい株を追加する場合は、買い方と入れ方でも茶色くなるリスクを減らせます。
買うときに見るポイント
買うときは、まず株の色を見ます。全体が明るい緑で、茶色い部分が少ない株を選ぶのが基本です。カップや袋の外から内側が見える場合は、内側に茶色い部分が多くないかも見ておきましょう。
エビと一緒に育てるなら、無農薬の表示があるかどうかも確かめてください。メーカーの研究所で育てたカップ入りの水草(組織培養と呼ばれる方法で育てたもの)には、貝や藻、農薬が付いていないことをメーカーが保証している製品もあります。株の量に対して値段が高めのこともありますが、余計なものを水槽に持ち込みたくない場合には選択肢になります。
販売ページやラベルに学名が書かれていれば、控えておくのもおすすめです。前の章で紹介したように、ウィローモスと呼ばれるコケには、好む水温が違う種類があるので、あとで調子を崩したときの手がかりになります。
無農薬と表示されたウィローモスは、通販でもカップ入りで扱われています。無農薬の表示の内容や量、価格は購入前に各ショップで確認してください。
水槽に入れる前の下準備
水槽に入れる前には、株を飼育水か、水温を合わせた水でよくゆすぎ、茶色い部分や汚れ、貝などが付いていないかを確かめます。茶色い部分は、この段階で取り除いておきましょう。
そのうえで、緑の部分を薄くほぐし、流木や石に固定してから水槽に入れると、内側に光が届かない状態を最初から避けられます。束のまま底に置くと、茂みが厚いまま内側が傷みやすくなるので注意してください。
入れたあと数週間の見守り方
水槽に入れたあとの数週間は、ウィローモスが新しい環境に慣れていく時期です。この間は、置き場所をむやみに動かさず、水温と汚れのたまり具合を見守りましょう。
入れた直後に一部の葉が茶色くなっても、ほかの部分から明るい緑の新しい葉が伸びてきているなら、心配しすぎなくて大丈夫です。茶色い部分だけを取り除きながら、様子を見ていきます。逆に、緑の部分まで次々に茶色くなっていくなら、ここまでに紹介した原因を、表を見ながら1つずつ確かめてください。
なお、この記事で紹介した水温の数字や成長の目安は、資料に基づく一般的な目安です。種類や水槽の条件によって合う管理は変わるので、迷ったときは購入したお店に相談してみるのも1つの方法です。最終的な判断は専門家にご相談ください。
ウィローモスの茶色についてよくある質問
ウィローモスが黒っぽい茶色になったときも同じ原因ですか?
黒っぽく見える場合は、葉が傷んでいるほかに、黒いひげ状のコケ(藻)が絡みついていることもあります。指でつまんだときに、細い毛のようなものが束になって付いているなら、藻が絡んでいる可能性があります。ウィローモスの細かい茂みは藻が絡むと取りにくいので、絡んだ部分ごと早めに切り取るのが現実的です。
茶色くなったウィローモスを魚やエビが食べても大丈夫ですか?
茶色い部分をつまむこと自体がすぐに害になるとは言えませんが、食べさせて片付けてもらう、という考え方はおすすめしません。エビは茂みの中の汚れや付着物をつまむことがありますが、食べきれずに残った傷んだ葉は崩れて水を汚します。そうなる前に、ハサミで取り除くほうが水槽全体にとって安全です。薬やコケ取り剤が原因で茶色くなった場合は、なおさら早めに取り除いてください。
全部が茶色くなってしまったら、もう捨てるしかありませんか?
まずは茂みをほぐして、奥や先端に緑の部分が少しでも残っていないか探してみてください。わずかでも緑が残っていれば、その部分を切り分けて固定し直すことで立て直せる可能性があります。本当に緑が残っていない場合は、原因を見直したうえで、新しい株からやり直すのが早道です。
ウィローモスが茶色くなったときのまとめ
ウィローモスが茶色くなったときは、まず指やスポイトで、汚れが付いているだけなのか、葉そのものが傷んでいるのかを確かめます。汚れなら落とせば元気な緑が出てきますし、葉が傷んでいるなら、茶色くなった場所と時期から原因を絞り込んでいきます。
茂みの内側や根元の茶色は、茂みの重なりによる光不足と、汚れや水流不足が主な原因です。夏に先端や全体が茶色く溶けるなら、まず水温を疑います。買ったばかりの株はもともと茶色い部分が混ざっていることがあり、コケ取り剤や魚の薬を入れたあとなら、その製品の説明書を確かめてください。
葉そのものが茶色くなった部分は緑に戻りにくいので、ハサミで切り取り、残った緑の部分を薄く広げて固定し直すのがおすすめです。緑が少しでも残っていれば、数週間から数か月かけて茂みを立て直せる見込みがあります。
- こすって取れる茶色は汚れ、取れない茶色は葉の傷み
- 内側の茶色は光不足と汚れ、夏の先端の茶色は高水温を疑う
- 水温は28℃を上限側の目安にして、余裕を持って低めに保つ
- 茶色い部分は切り取り、緑の部分を薄く広げて固定し直す
- トリミングは日数より見た目で、茂みを厚くしすぎない
茶色くなったウィローモスを見つけても、慌てて全部捨てる必要はありません。原因を1つずつ取り除いていけば、また明るい緑の茂みを楽しめるはずですよ。正確な情報は公式サイトをご確認ください。


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