ウィローモスはどうすれば増える?切れ端を活着させる手順と茂らせる条件
ウィローモスを買ってみたものの、思ったように増えない。そんなモヤモヤを抱えて、この記事にたどり着いたのかもしれませんね。
結論から言うと、ウィローモスの増やし方はとてもシンプルです。伸びた部分をトリミングして、その切れ端を流木や石、マットに薄く付けて活着させる。基本はこれだけです。
ただ、成長のスピードはそこまで速くありません。光やCO2、水温、水流といった条件が合わないと、増えるどころか茶色くなって溶けてしまうこともあります。
この記事では、トリミングした切れ端の活かし方、流木や石への活着のさせ方、ウィローモスマットの作り方、ペットボトルやタッパーで増やす方法、屋外で育てるときの注意点まで、順番に整理しました。
さらに、早く茂らせるための光量やCO2、水温の目安、増えない・溶けるときの原因と対処、増えすぎを防ぐトリミングの頻度もまとめています。読み終わるころには、あなたの水槽で何から手をつければいいかがはっきりするはずですよ。
- ウィローモスが増える仕組みと流通名の注意点
- 切れ端を流木・石・マットに活着させる手順
- ペットボトルやタッパーで増やすときのコツ
- 早く茂らせる条件と茶色く溶けるときの対処
ウィローモスの増やし方は切って付けるのが基本
まずは、ウィローモスがどうやって増えるのかという仕組みから見ていきます。
仕組みが分かると、トリミングの切れ端を捨てずに使う理由や、薄く巻く理由が自然と理解できるはずです。そのうえで、流木や石への活着、マット作り、ペットボトル栽培まで、具体的な方法を順に紹介しますね。
途中で、ウィローモスという名前で売られているコケの種類についても触れます。少し遠回りに見えるかもしれませんが、種類によって好む水温が違うため、増えない原因を考えるときの土台になる話です。
どの方法も、必要な道具は水草用のハサミと糸、流木や石くらい。特別な器具がなくても始められるので、気になった方法から試してみてください。
ウィローモスが増える仕組みと成長の速さ

ウィローモスは、ちぎれた茎の断片からでも新しい芽を伸ばして増えていきます。
つまり、種や株分けの技術がなくても、切った断片を育てられる場所に固定すれば増やせるというのが一番のポイントです。
ウィローモスはコケの仲間で、根のように見える細い仮根(かこん)で流木や石の表面にくっつきます。この「くっつくこと」を活着と呼びます。
活着した茎は、先端を伸ばしながら枝分かれしていきます。枝が増えるほど茂みは厚くなり、見た目にもボリュームが出てきます。
成長はゆっくり、が前提
ここで知っておきたいのが、ウィローモスの成長はそれほど速くないということ。
海外の水草専門店の育成データを見ると、タキシフィラム・バルビエリ(海外ではジャワモスの名でも知られる種類で、詳しくは次の項目で説明します)で、最大で1か月に3〜4cmほど伸びるとされる例があります。一方で、同じ種類を「成長が遅い」と分類する販売店もあり、数字には幅があります。
ここから言えるのは、1か月で水槽いっぱいに広がるような増え方は期待しにくいということです。あくまで一般的な目安ですが、流木1本をしっかり覆うまでには、数か月単位で見ておくと気持ちが楽かなと思います。
増えるほど増えやすくなる
もう一つ意識したいのが、茂みが育つほど広がりやすくなると考えられる点です。
伸びた先端を切ると、そこから枝分かれして伸びる先端の数が増えていきます。海外の販売店でも、定期的なトリミングで密でこんもりした茂みになると説明されています。最初の数か月は地味でも、トリミングを重ねるうちに茂みの密度は上がっていくはずです。
さらに、刈り取った切れ端は次の活着の材料になります。1つの茂みから出た切れ端で2つ目、3つ目の流木を巻いていく。これがウィローモスの増やし方の基本サイクルです。
ウィローモスの増やし方は、育てる、伸びた先をトリミングする、切れ端を別の流木や石に付ける、また育てる、の繰り返しです。切れ端を捨てないことが、増やす一番の近道になります。
流通名ウィローモスの正体と種類の違い

増やし方の話に入る前に、少しだけ名前の話をさせてください。実は、ウィローモスという名前で売られているコケは、1種類とは限りません。
日本の蘚苔類(せんたいるい=コケの仲間)の研究者による論文では、日本の観賞魚水槽で「ウィローモス」と呼ばれて広く使われているコケが、本来の名前とは別の種類であることが報告されています(出典:高木典雄ほか「淡水魚水槽中の観賞用水生蘚苔類」日本蘚苔類学会会報 3巻5号(J-STAGE))。
1982年に発表されたこの論文によると、日本でウィローモスと誤って呼ばれることが多いのは、タキシフィラム・バルビエリ(Taxiphyllum barbieri)というコケです。ベトナムで最初に記載された種類で、東南アジアから日本へ持ち込まれたと考えられています。多くの水槽で旺盛に育っているとも書かれています。
一方、英語圏で「willow moss」と呼ばれるのは、フォンティナリス・アンティピレティカ(Fontinalis antipyretica)という別のコケです。同じ論文でも、日本の水槽で使われるコケの一つとして名前が挙がっています。
ただし、これは40年以上前の論文での指摘です。現在の国内の流通で、どの種類がどれくらいの割合で売られているかを示す資料は確認できませんでした。販売ページによっては別の属名が書かれていることもあり、ウィローモスという名前だけでは種類を決められない、と考えておくのが安全です。
種類で好む水温が違う
なぜ名前の話をしたかというと、この2種類は好む環境がかなり違うからです。
英国王立園芸協会(RHS)の植物データでは、フォンティナリス・アンティピレティカは比較的ゆっくり育つ多年生のコケで、澄んだきれいな冷たい水でよく育つとされています(出典:Royal Horticultural Society「Fontinalis antipyretica」)。
これに対して、タキシフィラム・バルビエリは、熱帯魚水槽の水温でも育つ種類として扱われています。海外の水草データベースでは、耐えられる範囲が12〜34℃、育てやすい範囲が20〜30℃前後とされ、24℃前後のやや涼しい水のほうが健康に育ちやすいという説明もあります。
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| 項目 | タキシフィラム・バルビエリ | フォンティナリス・アンティピレティカ |
|---|---|---|
| 日本での呼ばれ方 | 1982年の論文で、日本ではウィローモスと呼ばれていると指摘された | 英語圏の別名がwillow moss |
| 水温の傾向 | 熱帯魚水槽の水温でも育つ(海外データで育てやすいのは20〜30℃前後が目安) | 冷たい水を好む |
| 成長の速さ | 最大で月3〜4cmとする例と、遅いとする例がある | 比較的ゆっくり |
| 増やし方の資料 | 切れ端を結ぶ・接着して付ける方法が紹介されている | 株分けや、おもりを付けた束を石に結ぶ方法が紹介されている |
| 高水温 | 温度が高いほど成長がゆっくりになり、間延びしやすいとされる | 冷たい水を好むため、高水温は負担になると考えられる |
ここまで読むと「じゃあ自分のウィローモスはどっち?」と気になりますよね。
見た目だけで種類を言い当てるのは、専門家でも簡単ではありません。購入時に販売ページやラベルに学名が書かれていれば、それを控えておくのがおすすめです。学名が分からない場合は、水温を高くしすぎない管理にしておくのが無難です。もし冷たい水を好む種類だった場合は、熱帯魚水槽の水温では育ちにくいことがある、という点も頭の片隅に置いておいてください。
なお、この記事で紹介する「切れ端を固定して増やす」方法は、熱帯魚水槽でよく使われるタキシフィラム・バルビエリを主に想定しています。RHSはフォンティナリスについて、株分けや、おもりを付けた束を石に結ぶ方法を紹介しています。
トリミングした切れ端で増やす手順

ウィローモスを増やす材料は、トリミングで出た切れ端で十分です。新しく買い足さなくても、手元の茂みから2つ目、3つ目を作れます。
手順は大きく分けて4つ。順番に見ていきますね。
手順1:伸びた先端を切る
水草用のハサミで、茂みから飛び出して伸びた部分を切り取ります。
切る長さは、茂みの表面をそろえるくらいのイメージで大丈夫です。販売店の育成解説でも、ウィローモスはトリミングに強く、多少ざっくり刈り込んでも育成に支障は出にくいとされています。
ただし、切った断片は水中を漂いやすいもの。フィルターの吸水口に吸い込まれたり、思わぬ場所に引っかかって勝手に茂ったりします。切る前にフィルターを止めておき、切れ端は網ですくい取ると後片付けが楽です。
手順2:切れ端をきれいにする
集めた切れ端は、飼育水を入れた容器の中で軽くゆすいでおきます。
茂みの奥には、魚のフンや食べ残しなどの汚れがたまりがちです。そのまま次の流木に巻くと、汚れも一緒に持ち込んでしまいます。ここで落としておくと、新しい場所でコケ(藻類)が出にくくなると考えられます。
カルキの入った水道水でいきなり洗うのは避けたほうが無難です。水槽の水か、カルキ抜きをした水を使ってください。
手順3:細かくほぐして薄く広げる
切れ端は、指でほぐして長さ1〜2cm程度にばらしておくと扱いやすくなります。この長さはあくまで目安で、厳密に測る必要はありません。
大事なのは、付ける面に薄く均一に広げることです。理由は次の項目で詳しく説明しますが、厚く重ねると下のほうに光が届かず、そこから傷みやすくなります。
手順4:固定して活着を待つ
流木や石、マットなどに広げたら、糸や接着剤で固定します。あとは水槽に戻して、活着するまで待つだけです。
活着までの期間は環境によって差があります。新しい仮根が付き始めるまでに数週間、糸がなくても外れないくらいしっかり固定されるまでには数か月かかることも珍しくありません。水温や光の条件がよいほど早く、条件が厳しいと時間がかかります。
ここで焦って何度も触ったり位置を変えたりすると、せっかく伸び始めた仮根が外れてしまいます。固定したら、しばらくはそっと見守るのがコツです。
トリミングには、先の細い水草用のハサミがあると狭いすき間でも切りやすくなります。価格や仕様は購入前に各ショップで確認してください。
流木や石に活着させて増やす方法
ウィローモスを増やすいちばん定番の方法が、流木や石への活着です。ここでは固定のやり方を、糸と接着剤の2通りで紹介します。
糸で巻く方法
最も一般的なのが、糸でぐるぐる巻いて固定する方法です。
まず、流木や石の表面に、ほぐしたウィローモスを薄くのせます。そのうえから糸を巻き付け、ずれないように押さえていきます。
糸の間隔は、狭めにしたほうがはがれにくくなります。販売店の育成解説には、巻く間隔を5mm以下にするとはがれが少ないという目安も紹介されています。間隔が広いと、活着する前にモスが浮いて流れてしまうことがあるので、少し細かすぎるくらいでちょうどいいかもしれません。
巻き終わりは、糸を何度か結んで、結び目をモスの下に隠すと見た目がきれいです。
糸の種類で何が変わるか
糸には大きく分けて、時間がたつと分解される綿糸と、長く残るナイロン糸(テグス)やポリエステル糸があります。
ドイツのアクアリウム用品メーカーsera社のQ&Aに、参考になる回答があります。リシアという水草を流木に付ける方法についての質問への回答ですが、糸による固定はあくまで一時的なもので、定着したら糸を切って抜けばよいと説明されています。綿糸は時間とともに腐って溶けていくので、定着まで残しておけば水槽内で抜く作業もいらないとのこと。まだ定着していないうちに糸がゆるんだら、固定し直す必要があるとも書かれています。ウィローモスの場合も、糸は活着までの仮留めと考えると分かりやすいですね。
一方で、海外の水草専門店の解説では、綿糸はモスが活着しきる前に溶けてしまい、モスが浮いて水流で散らばることがあると注意しています。そのため、確実に押さえたい場合は、長く残るナイロンやポリエステルの糸を選ぶ考え方もあります。
どちらがよいかは、目的次第です。見た目を優先して糸を目立たせたくないなら、モスの色に近い専用の糸や綿糸。確実に固定したいならテグス。テグスは透明でも光を反射して白っぽく見えることがあるので、モスが茂って糸が隠れるまでは少し目立つかもしれません。また、テグスは溶けずに残るため、ヒレの長い魚がいる水槽では、活着したあとに切って取り除いておくと安心です。
モスの色に近い専用の糸を使うなら、次のような商品があります。
接着剤で付ける方法
糸を巻きにくい小さな石や、凹凸の多い流木には、水草用の接着剤を使う方法もあります。
使われることがあるのは、ゼリー状の瞬間接着剤(シアノアクリレート系)です。製品の表示で水槽や水草への使用が認められたものを選び、水槽の外で作業します。流木や石の表面を乾かした状態で接着剤を少量ずつ付け、そこにモスを押し当てて固定し、完全に固まってから水槽に戻してください。指や目に付かないよう注意することも忘れずに。
手軽な反面、接着剤の跡が白く残って目立つことがある点には注意が必要です。また、モスを接着剤でびっしり覆ってしまうと、その部分は活着しにくくなります。点々と少量ずつ付けて、モスの一部だけを留めるイメージで使うといいですよ。
水槽内で使える成分かどうかは製品ごとに違うため、正確な情報は各メーカーの公式サイトや説明書をご確認ください。
水草用として売られているゼリー状の接着剤には、たとえば次のようなものがあります。使える素材や注意事項は、商品ページと説明書で確かめてから選んでください。
石と流木の向き不向き
流木は表面がざらついていて、仮根が入り込みやすいため活着向きの素材とされることが多いです。石も表面に凹凸がある溶岩石などは活着しやすいと言われ、つるつるした石は時間がかかりやすいと考えられます。
なお、ウィローモスと同じように流木や石に活着させて育てる水草には、アヌビアス・ナナやミクロソリウムもあります。活着系の水草を組み合わせたい場合は、アヌビアス・ナナとミクロソリウムの育て方の違いも参考になるはずです。
ウィローモスマットを作って面で増やす
水槽の底を緑のじゅうたんのように覆いたいなら、ウィローモスマットを作る方法が向いています。
マットとは、ステンレスや樹脂の網(メッシュ)の上にウィローモスを活着させたものです。完成品も市販されていますが、トリミングの切れ端を使えば自分で作れます。
マットの作り方
作り方の流れは、流木に巻く場合とほとんど同じです。
- 水槽用のステンレスメッシュや樹脂ネットを、好みの大きさに切る
- ほぐしたウィローモスを、網の上に薄く均一にのせる
- 上から糸で巻く、またはもう1枚の網で挟んで固定する
- 底床の上に置き、活着するまで動かさずに待つ
網で挟む方法なら、糸を何周も巻く手間が省けます。網目からモスが伸び出して、上の網が隠れるくらいに茂れば完成です。
マットで増やすメリット
マットのいいところは、面で増やせて、しかも移動ができる点です。
レイアウトを変えたいときも、マットごと持ち上げて場所を変えられます。茂りすぎたら水槽から出してトリミングし、切れ端で次のマットを作る。こうして枚数を増やしていけば、ウィローモスの量を計画的に増やせます。
また、マットは稚エビや稚魚の隠れ家としても使いやすい形です。細かい茂みは、追いかけられた稚魚が潜り込める逃げ場になります。
マットで気をつけたいこと
底に置くマットは、水流が弱くなりやすく、エサの食べ残しやフンがたまりやすい場所でもあります。
汚れがたまると、マットの中の下側から茶色く傷んでいくことがあります。水換えのときに、マットの表面をスポイトやホースで軽く吸い出しておくと、きれいな状態を保ちやすくなりますよ。
自分で作る前に完成品から試したい場合は、無農薬と表示されたマットを選ぶと、エビのいる水槽にも入れやすくなります。表示や価格は購入前に各ショップで確認してください。
ペットボトルやタッパーで増やす方法と屋外の注意

水槽にスペースがない場合や、ストックとして別に増やしておきたい場合は、ペットボトルやタッパーで育てる方法もあります。ウィローモスの増やし方を調べると、ペットボトルを使う方法がよく話題になりますね。
ペットボトル・タッパーで育てる流れ
やり方は簡単です。ただ、容器での栽培についてメーカーなどがまとめた資料は見当たらなかったため、ここで紹介するのは一般的な管理の目安と考えてください。
- きれいに洗ったペットボトルやタッパーに、カルキを抜いた水か飼育水を入れる
- トリミングで出た切れ端を入れる
- レースカーテン越しなど、直射日光の当たらない明るい場所に置く
- 水が汚れてきたら、カルキを抜いた水で入れ替える
ペットボトルは口が細く、モスを出し入れしにくいのが難点です。口の部分を切り落として使うか、最初から口の広いタッパーや透明な容器を選ぶと、手入れがずっと楽になります。
容器で増やすときの3つの落とし穴
容器の中は水量が少ないぶん、環境が変わりやすいという弱点があります。とくに注意したいのが次の3つです。
1つ目は水温の上昇。密閉に近い小さな容器を直射日光の当たる場所に置くと、水温が短時間で上がりやすくなります。高水温はウィローモスが傷む大きな原因の一つなので、直射日光は避けて、明るい日陰やレースカーテン越しの光くらいを目安にするのが無難です。
2つ目はコケ(藻類)の発生。光がよく当たり、水が動かない容器は、緑色の藻が増えやすい環境です。水が緑っぽくにごってきたら、早めに水を入れ替えましょう。
3つ目は水の汚れ。小さな容器ではモスの傷んだ部分が分解されて、水がすぐに汚れます。定期的な水換えは欠かせません。
真夏の屋外や、直射日光が当たる窓辺にペットボトルやタッパーを置くのは避けてください。小さな容器は水温が急に上がりやすく、ウィローモスが茶色くなって溶ける原因になります。
屋外で増やすときの考え方
屋外のメダカ鉢やビオトープでウィローモスを増やしたい、という方も多いと思います。
屋外で注意したいのは、やはり夏の水温と強い日差しです。すだれで日よけをしたり、水量の多い容器を使ったりして、水温の上がりすぎを防ぐ工夫をすると安心です。
冬については、販売店の解説では、もともと日本に自生している種類でもあり冬の低温に強いと紹介されていることがあります。ただし、前の項目で触れたとおり、流通しているウィローモスの種類は1つとは限りません。タキシフィラム・バルビエリの場合、海外データの耐えられる下限は12℃で、冬の屋外ではこれを下回ることがあります。屋外での冬越しを保証する資料は確認できなかったので、冬は一部を室内の水槽に残しておくと安心です。増やす時期としては、春や秋の水温が落ち着いた季節を狙うのが現実的でしょう。
メダカの鉢で水草をどう選ぶかについては、メダカに向く水草の選び方と屋外での注意点でも整理しています。
ウィローモスを早く増やすための育成条件と失敗の防ぎ方
増やし方の手順が分かったところで、次は「どうすれば早く、きれいに茂るのか」という育成条件の話です。
光とCO2、水温と水流、そして茶色くなる・溶けるときの原因と対処まで。ウィローモスがなかなか増えないと感じているなら、ここで紹介する条件のどこかに原因が隠れているかもしれません。
ウィローモスは丈夫な水草なので、条件が多少ずれていてもすぐには枯れません。そのぶん、増えない原因に気づきにくいという面もあります。光は足りているか、夏の水温は上がりすぎていないか、茂みの内側に水が通っているか。一つずつ確かめていくのが近道です。
最後に、増やすことと同じくらい大切なトリミングの頻度と、増えすぎたときの扱い方もまとめました。
光とCO2と肥料の目安

ウィローモスは、強い光や大量のCO2がなくても育つ、比較的丈夫な水草です。ただ、増えるスピードを上げたいなら、光とCO2は大きな助けになります。
光は「適度」が正解
販売店の育成解説では、60cm水槽なら照明1灯もあれば維持するには十分とされています。低光量にも比較的強いので、明るさに神経質になる必要はありません。
ここで注意したいのが「維持」と「増やす」の違いです。暗めの環境でも枯れにくい一方で、成長はゆっくりになります。早く増やしたいなら、水草用の照明をしっかり当てたほうが有利です。
ただし、光を強くしすぎたり、点灯時間を長くしすぎたりすると、今度はコケ(藻類)が増えやすくなります。一般的な水草水槽では、1日8時間前後の点灯がよく目安にされます。水草用の照明選びで迷っている場合は、水草ライトを代用LEDで済ませるときの失敗条件も一度チェックしてみてください。
CO2は「あれば綺麗に育つ」
CO2(二酸化炭素)は、水草が光合成をするための材料です。
ウィローモスはCO2を添加しなくても育ちます。ただ、販売店の解説ではレイアウト水槽で使うなら若干のCO2添加があったほうが綺麗に育つとされ、海外の専門店でもCO2を添加すると成長が速くなるとしています。
つまり、CO2は必須ではないけれど、増やすスピードと見た目を良くしたいなら効果的、という位置づけです。CO2を添加していない水槽でも、トリミングを重ねていけば少しずつ増やしていけます。添加する場合は少量から始め、魚やエビの様子を見ながら調整してください。
肥料はあまり気にしなくていい
ウィローモスは根から栄養を吸うタイプの水草ではなく、主に水中の栄養を体の表面から取り込みます。
海外の水草データベースでも、肥料やCO2は成長の助けになるものの必須ではない、という扱いです。魚を飼っている水槽なら、まずは液体肥料なしで様子を見るところから始めてもいいでしょう。
液体肥料を足す場合は、少量から始めてください。栄養が余ると、ウィローモスの茂みにコケが絡みやすくなります。エビがいる水槽では、エビに使えるかどうかを製品の表示で確かめてから使うと安心です。
水温と水流が増え方を左右する
ウィローモスの増え方を大きく左右するのが、水温と水流です。光やCO2ほど注目されませんが、ここで調子を崩す例もあるので見ておきましょう。
水温は高すぎないことが大切
先ほどの比較表のとおり、ウィローモスとして流通するコケには、熱帯魚水槽の水温でも育つ種類と、冷たい水を好む種類があります。
熱帯魚水槽の水温でも育つ種類であっても、温度が高いほど成長がゆっくりになり、ひょろひょろと間延びした姿になりやすいとする海外の解説があります。冷たい水を好む種類なら、高水温はなおさら負担になるはずです。
どちらの種類か分からない場合は、夏場に水温が高い状態が長く続かないようにするのが安全策です。水槽用の冷却ファンやクーラーで水温を下げたり、部屋の温度を管理したりする方法があります。ファンは手軽な反面、室温が高い部屋では冷やしきれないこともあります。冷やせる幅や設置方法は、製品の説明書で確認してください。
水流が弱いと内側から傷む
見落としがちなのが水流です。
ウィローモスの茂みは、細かい枝がびっしりと絡み合っています。水がほとんど動かない場所に置くと、茂みの内側に汚れがたまり、新鮮な水が届かなくなります。その結果、内側から茶色く傷んでいくことがあります。
海外の解説でも、茂みが密になりすぎると内側が茶色くなって枯れやすく、細かい葉の間に汚れがたまることや水温が高すぎることが原因になると説明されています。
とはいえ、強すぎる水流に当てる必要はありません。茂みの表面がわずかにそよぐくらいの、ゆるやかな流れがあれば十分です。フィルターの排水口から少し離れた場所に置くと、ちょうどいい流れになりやすいですよ。
水質は極端でなければ問題ない
水質については、極端に偏っていなければ、あまり神経質にならなくて大丈夫です。
タキシフィラム・バルビエリについては、海外の水草データベースでpH5〜8という広い範囲が目安として示されています。一方でRHSは、フォンティナリス・アンティピレティカを中性から酸性の水で育てるのがよいとしています。
どちらの場合も、急に大きく変えないことのほうが大切です。水質を調整するときは、少しずつ変えて様子を見てください。
茶色くなる・溶けるときの原因と対処
ウィローモスを増やそうとして一番がっかりするのが、茶色くなったり、溶けるように崩れたりすることです。原因は1つとは限りませんが、多くはいくつかのパターンに分けられます。
よくある原因4つ
1つ目は高水温です。夏場に水温が上がると、先端から茶色くなり、やがてしおれて崩れていくことがあります。とくに冷たい水を好む種類では起こりやすいと考えられます。
2つ目は光が届かない部分ができていること。販売店の解説でも、活着させて長期間維持していると、何重にも折り重なって光が当たらなくなる部分ができ、そこから枯れ始めることがあると注意されています。茂みが厚くなったのに、トリミングをしていない場合に起こりやすいと考えられます。
3つ目は汚れと水流不足。茂みの内側に汚れがたまり、新鮮な水が届かなくなると、内側から傷んでいきます。
4つ目は環境の急な変化です。水換えで大量の水を一度に替えたり、別の水槽に移したりして、水温や水質が急に変わると、調子を崩すことがあります。
茶色くなったときの対処
茶色くなった部分は、残念ながら元の緑には戻りにくいものです。まずは茶色い部分をハサミで切り取り、緑色の元気な部分を残してください。
そのうえで、上の4つの原因のどれに当てはまるかを確認します。水温が高いなら冷却、光が届いていないならトリミングで茂みを薄く、汚れがたまっているなら掃除と水流の見直し。原因を取り除かないまま切るだけでは、また同じことが起こりやすくなります。
緑の部分が少しでも残っていれば、そこから再び増やせる可能性があります。残った元気な切れ端を、新しい流木やマットに付け直すのも一つの方法です。
農薬にも注意
買ってきたばかりのウィローモスがすぐに茶色くなる場合や、一緒に入れたエビの調子が悪くなる場合は、栽培時の農薬が残っている可能性も考えられます。
エビと一緒に育てる場合は、無農薬と表示されたものを選ぶのが安心です。農薬が抜けるまでの期間や安全な入れ方については、水草の農薬が抜ける期間とエビに安全な入れ方で詳しくまとめています。
茶色い部分を見つけたら、まず水温計を見てみてください。夏場なら水温、それ以外の季節なら茂みの厚さと汚れを疑う、という順番で確認すると原因を絞り込みやすいですよ。
コケまみれや増えすぎを防ぐトリミングの頻度
ウィローモスを増やすうえで、トリミングは「整える作業」であると同時に「増やす作業」でもあります。ただ、やり方や頻度を間違えると、コケまみれになったり、逆に増えすぎて困ったりします。
トリミングの頻度の目安
トリミングの頻度は、成長の速さによって変わります。一つの目安として、茂みの表面がもこもこと盛り上がり、形が崩れてきたらトリミングのタイミングと考えるといいでしょう。
トリミングの頻度について、日数の決まった目安を示す資料は確認できませんでした。光やCO2の条件で成長の速さが大きく変わるためです。日数で決めるより、見た目で判断するほうが失敗しにくいかなと思います。
また、活着を確認できたら一度短く刈り込むと、次に出てくる葉がきれいに生えそろいやすい、という販売店の解説もあります。最初のトリミングは、活着が確認できたタイミングで行うのがおすすめです。
トリミングでコケを防ぐ
ウィローモスの細かい茂みは、糸状のコケや黒いひげ状のコケが絡みつきやすい場所でもあります。いったん絡みつくと、コケだけを取り除くのはなかなか大変です。
コケが付いた部分は、早めにトリミングで切り取ってしまうのが手っ取り早い方法です。そのうえで、照明の時間が長すぎないか、栄養が余っていないかを見直しましょう。黒いひげ状のコケに悩んでいる場合は、水槽の黒いコケの駆除と対策が役立つはずです。
コケ対策として、コケを食べてくれるエビを一緒に飼う方法もよく知られています。ミナミヌマエビなどの小型のエビは、ウィローモスの茂みを隠れ家にしながら表面のコケをついばんでくれます。メダカと一緒に飼う場合の相性は、メダカとミナミヌマエビの混泳の注意点で確認しておくと安心です。
増えすぎたときの扱い方
うまく育つようになると、今度は増えすぎて困ることもあります。茂みが大きくなりすぎると、ほかの水草を覆って光をさえぎったり、フィルターの吸水口をふさいだりすることがあります。
増えすぎたら、遠慮なくトリミングして量を減らしてください。切れ端は、別の水槽や容器で育てるストックにしたり、稚魚や稚エビの隠れ家として別水槽に入れたりと、いろいろな使い道があります。別の水槽へ移すときは、小さな貝などが付いていないか確認してから入れてください。
ただし、増えすぎたウィローモスを川や池などの自然の水辺に捨てるのはやめましょう。流通しているウィローモスには海外から持ち込まれたと考えられる種類も含まれるため、自然の環境に影響を与えるおそれがあります。
トリミングの目安は「日数」より「見た目」。茂みの形が崩れてきたら切る、コケが付いたら早めに切る、切れ端は次の活着に使う。この3つを習慣にすると、ウィローモスはきれいなまま増やしていけます。
ウィローモスの増やし方についてよくある質問
ウィローモスは水槽の底にそのまま置いても増えますか?
固定しないまま底に置いても、育つことはあります。ただ、水流で流されて散らばったり、フィルターに吸い込まれたりしやすくなります。きれいに増やしたいなら、流木や石、マットなどに固定して活着させるほうが管理しやすいですよ。
ウィローモスは水上でも増やせますか?
タキシフィラム・バルビエリは、常に湿った状態であれば水上でも育つとする海外の解説があります。ただし乾燥にはとても弱く、すぐに傷んでしまいます。水槽の中で増やすほうが失敗は少ないので、水上で育てる場合は霧吹きなどでこまめに湿度を保つ工夫が必要です。
活着した後の糸は外したほうがいいですか?
モスがしっかり活着していれば、糸は切って抜いても大丈夫です。綿糸なら時間とともに分解されるので、無理に外さなくてもかまいません。テグスは長く残るので、魚やエビが絡まないよう、活着後はモスを傷つけないように注意しながら切って取り除くと安心です。
水道水でウィローモスを育ててもいいですか?
ペットボトルやタッパーで育てる場合も、水道水はカルキ抜きをしてから使うのが基本です。カルキ(塩素)が残った水は、水草にも魚やエビにも負担になります。飼育水が使えるなら、それを使うのが手軽で安心です。
ウィローモスの増やし方のまとめ
最後に、ウィローモスの増やし方のポイントを振り返っておきましょう。
- 基本はトリミングした切れ端を流木・石・マットに薄く固定して活着させる
- 糸は間隔を狭めに巻き、接着剤は少量を点々と使う
- ペットボトルやタッパーで増やすときは直射日光と高水温を避ける
- 光とCO2は増やすスピードを上げる助けになるが、必須ではない
- 夏の高水温と、茂みの厚すぎ・水流不足が茶色く溶ける主な原因
- トリミングは日数より見た目で判断し、切れ端は次の活着に回す
ウィローモスは、一気に増える水草ではありません。そのかわり、切って付けてを繰り返すほど、増えるペースが上がっていきます。
まずは手元の茂みから伸びた部分を少しだけ切って、小さな流木や石に巻いてみてください。それが、ウィローモスを増やす最初の一歩になります。
なお、ここで紹介した水温や期間などの数値は、あくまで一般的な目安です。水槽の環境や、流通しているウィローモスの種類によって結果は変わります。使う器具や接着剤などの正確な情報は公式サイトをご確認ください。生体の調子が心配なときの最終的な判断は、専門家や購入した販売店に相談するのがおすすめです。


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