スポンジフィルターと投げ込みフィルター、どっちを選ぶ?仕組みの違いから選び分けまで整理
小さな水槽にフィルターを足そうとして、スポンジフィルターと投げ込みフィルターのどちらにするかで手が止まっていませんか。
見た目はどちらも水槽の中に沈めるだけの小さな器具ですし、どちらもエアーポンプにつないで泡で動かす点まで同じ。違いが分かりにくいのは当然かなと思います。
ただ、中に入っているろ材の素材と手入れの仕方、稚魚やエビを吸い込みにくいかどうか、白く濁った水やにおいへの強さは、はっきり分かれます。
この記事では、スポンジフィルターと投げ込みフィルターの比較を、仕組みの違い、ろ過の得意分野、水流の強さ、手入れとランニングコスト、適合水槽の目安という順で整理します。
投げ込み式の代表である水作エイトコアとロカボーイについては、メーカーが公表している適合水槽を横に並べ、水量の計算例も添えました。投げ込み式のスポンジフィルターという言い方で探している人や、投げ込みフィルターのおすすめ、スポンジフィルターのおすすめを比べている人にも、選ぶ前の判断材料として使ってもらえるはずです。
最後には、飼う魚と水槽の大きさから選び分ける流れと、2つを併用するときの考え方もまとめています。
- スポンジフィルターと投げ込みフィルターの仕組みとろ材の違い
- 稚魚やエビの吸い込み、水流、手入れのしやすさの差
- 水作エイトコアとロカボーイの公式の適合水槽と水量の計算方法
- 飼う魚と水槽から選ぶ手順と併用の考え方
スポンジフィルターと投げ込みフィルターの違いを比較
まずは2つのフィルターが「何が同じで、どこが違うのか」を順番に見ていきます。動く仕組みは共通なので、違いはろ材の素材と形から生まれる、と押さえておくと理解が早いですよ。売り場では同じ棚に並んでいることも多く、値段も近いので、パッケージだけ見比べても決め手が見つかりにくい組み合わせなんですよね。
ここで扱うのは、ろ過の得意分野、水流と吸い込み、手入れとコスト、適合水槽、見た目や設置のしやすさの5つです。それぞれの項目で「どちらが向くか」を先に書き、そのあとに理由を説明していきます。途中で比較表と公式の適合水槽の一覧も出てくるので、気になるところから読んでもらっても大丈夫です。
どちらもエアリフト式で動く仕組み

スポンジフィルターも投げ込みフィルターも、エアーポンプから送った空気の泡で水を動かす「エアリフト式」です。
本体の中にある細い筒(エアリフトパイプ)の下から空気を送り込むと、泡が筒の中を上っていきます。泡が上る力に引っ張られて筒の中の水も一緒に持ち上がり、その分だけ下から水が吸い込まれる、という流れですね。
吸い込まれる水は、筒の周りにあるろ材を通ってから筒に入ります。ろ材を通るときにゴミが引っかかり、ろ材の表面にすみついたバクテリアが汚れを分解する。これがエアリフト式のろ過の基本です。
ジェックスはロカボーイを「エアーリフト式水中フィルター」と説明しています(出典:ジェックス株式会社「ロカボーイS」製品情報)。同社のフィルター紹介のページでは、ぶくぶくフィルターという呼び方も添えられています。スポンジフィルターも同じ原理で動くので、どちらもモーターは本体に入っていません。
この共通点から言えることは2つあります。
1つ目は、どちらも単体では動かず、別にエアーポンプが必要なこと(エアーチューブも、付属しない製品では用意が要ります)。水作エイトコアの製品情報にも、別途エアーポンプが必要と書かれています。
2つ目は、泡が水面ではじけるときに水がかき混ぜられ、酸素が溶け込みやすいことです。エアーレーションとろ過を1台で兼ねられるのが、エアリフト式のいちばんの持ち味かなと思います。
逆に言えば、水を押し出す力はモーター式のフィルターほど強くありません。大きな水槽や魚の数が多い水槽を1台でまかなうのは苦手、という点も共通しています。
スポンジフィルターが投げ込み式の一種として紹介されることがあるのも、水槽の中に置いて泡で動かすという使い方が同じだからです。この記事では、ろ材がスポンジだけでできているものをスポンジフィルター、ケースの中にマットや活性炭を詰めたものを投げ込みフィルターと呼び分けて比べていきます。
ろ材の違いで変わるろ過の得意分野
結論から言うと、スポンジフィルターは「生物ろ過に絞った作り」、投げ込みフィルターは「物理・生物・吸着の3つをまとめてこなす作り」です。
スポンジフィルターのろ材は、スポンジそのもの(目の細かさは製品によって違います)。スポンジの細かい穴に汚れが引っかかり、表面にはバクテリアがすみつきます。中身はそれだけなので、汚れを吸着して水の色やにおいを取る働きは持っていません。
一方の投げ込みフィルターは、ケースの中にろ過マットと活性炭を詰めた構造が一般的です。ジェックスはロカボーイのろ過を「物理ろ過、生物ろ過、吸着ろ過のトリプルろ過システム」と説明し、活性炭入りの特殊ろ過材が汚れや白ニゴリ、悪臭を吸着するとしています。水作エイトコアも、S・M・Lの各サイズに活性炭カートリッジを標準で備えています。水作エイトコアは、ろ過マットのろ材と活性炭のカートリッジが別々の部品になっている作りです。
3つのろ過の役割を、ここで一度整理しておきますね。
- 物理ろ過:フンや食べ残しのかけらなど、目に見えるゴミをこし取る
- 生物ろ過:バクテリアが、魚の排せつ物から出るアンモニアを毒性の低い物質へ変えていく
- 吸着ろ過:活性炭などが、水の黄ばみやにおいのもとを取り込む
魚の健康にいちばん直結するのは生物ろ過です。アンモニアは魚にとって有害なので、それを分解するバクテリアをどれだけ抱えられるかが、フィルターの実力の土台になります。
この点でスポンジフィルターは、ろ材全体がバクテリアのすみかになる作りで、地味ながら理にかなっています。
投げ込みフィルターの強みは、水の黄ばみやにおいが気になるときに、活性炭の吸着という手段を1台で持てることです。ジェックスも、活性炭入りのろ過材が白ニゴリや悪臭を吸着するとうたっています。ただ、白っぽい濁りは原因によっては活性炭では取れないこともあるので、濁りが続くときはエサの量や水換えも見直してみてください。
活性炭の吸着力には限りがあり、使い続けるうちに落ちていきます。水作はエイトコアの取扱説明書で、活性炭カートリッジの効果の持続期間を約2週間としています。
もう1つ、活性炭は魚病薬の成分まで吸着してしまいます。水作はエイトコアの取扱説明書で、魚病薬などの薬品類を使うときは専用カートリッジを外すよう案内しています。薬を使うときは、薬とフィルターの両方の説明書の指示を優先してください。
「水をピカピカに見せたい」のか「バクテリアの住まいを安定させたい」のか。どちらを重く見るかで、合うろ材が変わってきます。
水流の強さと稚魚・エビの吸い込み
稚魚やミナミヌマエビのような小さな生き物を守りたいなら、スポンジフィルターのほうが安心しやすいです。
理由は、水を吸い込む面の広さにあります。スポンジフィルターはスポンジの表面全体から少しずつ水を吸うので、1か所あたりの吸い込みはゆるやか。生まれたばかりの稚魚や小さなエビが表面に張りついても、引き込まれにくい作りです。
投げ込みフィルターは、ケースのすき間やスリットから水を吸い込みます。吸い込み口が限られる分、口の近くの流れはスポンジより強くなりがちです。製品によって差はありますが、ごく小さな稚魚がいる水槽では、吸い込み口の大きさを確かめておきたいところですね。
水流そのものの強さは、どちらもエアーの量でほぼ決まります。送り込む空気が多いほど泡の量が増え、水が勢いよく持ち上がります。
ジェックスは、流量を調節できないフィルターの水流を弱める方法として、投げ込み式フィルター(ロカボーイ)ならエアーチューブの間に分岐やエアー調節バルブを入れてエアー量を調整する方法を挙げています。これはスポンジフィルターでも同じ考え方で使えます。
ベタやヒレの長い改良メダカのように、泳ぎが得意でない魚は強い流れで疲れてしまいがち。どちらのフィルターでも、最初はエアーを絞り気味にして、魚の泳ぎ方を見ながら少しずつ上げるのがおすすめです。
もう1つ見ておきたいのが、エビやオトシンクルスのような「コケやバイオフィルムをつまんで食べる生き物」との相性。スポンジフィルターの表面は、こうした生き物が乗ってつつく足場になりやすく、エビ水槽で好まれる理由の1つになっています。
手入れの方法と交換ろ材のコスト

手入れの違いは、製品ごとに見るのがいちばん確実です。スポンジフィルターはスポンジを洗って使い続ける器具。投げ込みフィルターは、ろ過マットを飼育水ですすぎながら使い、活性炭のカートリッジだけを取り替えるもの(水作エイトコア)と、ろ過材ごと新しいものに取り替えるもの(ロカボーイ)に分かれます。
スポンジフィルターは、汚れがたまって泡の出方が弱くなってきたら、スポンジを取り外して軽くもみ洗いします。このとき水道水ではなく、水換えで抜いた飼育水を使うのがポイント。水道水の塩素は、スポンジにすみついたバクテリアを弱らせてしまうからです。
スポンジを洗う頻度の目安と飼育水での洗い方、スポンジを交換する時期は、スポンジの掃除と交換時期の解説で紹介しています。
水作は「かんたん水槽メンテナンス」のページで、フィルターのろ材に汚れがたまりすぎるとろ過能力が落ちることがあるとして、定期的に飼育水で軽く汚れを洗い流すよう案内しています。これはスポンジに限らずフィルター全般の話で、エイトコアの取扱説明書でも、ろ材は枠から外さずに飼育水で軽くすすぐ程度にし、水道水や洗剤は使わないよう書かれています。
スポンジは洗いすぎないことも大事です。真っ白になるまで洗うと、せっかく育ったバクテリアまで流してしまいます。茶色い汚れが軽く落ちる程度で止めるのが目安ですよ。
一方、ロカボーイは、活性炭入りの特殊ろ過材を汚れてきたら新しいものに取り替える作りです。ここは同じ投げ込み式でも水作エイトコアと扱いが違うので、気をつけたいところです。
ジェックスは、ロカボーイ各種のろ過材について、もみ洗いや強い流水で洗うと圧着している不織布がめくれ、内部から活性炭などが出てくるおそれが高いとして、洗うことはすすめず新しい交換用ろ過材への取り替えを案内しています。ロカボーイのろ過材は、スポンジと同じ感覚で洗わないようにしてください。
同じくジェックスは、ロカボーイの本体の中央に付ける「プラストン」(空気を細かい泡にする部品)が目詰まりすると泡の量が減ってろ過能力が落ちるとして、1〜2か月を目安に交換するよう案内しています。水作はエイトコアについて、気泡が少なくなったらプラストンの目詰まりやエアーポンプの機能低下を疑って交換するよう、気泡の様子で判断する案内です。投げ込み式では、ろ材だけでなくこうした小さな部品も消耗品と考えておくと安心です。
この違いは、そのままランニングコストの差になります。スポンジフィルターはスポンジが崩れてくるまで使い続けられるので、日々の出費はほとんどかかりません。投げ込みフィルターは、活性炭のカートリッジや交換ろ材を買い足していく前提の器具で、どこまで洗って使えるかは製品によります。
一方で、ろ材を新品にすると、そこにすんでいたバクテリアもいったんリセットされます。水作はエイトコアの取扱説明書で、ろ材の交換と水換えは別々に行うよう案内しています。同時に行うと水質が急変し、魚が弱ることがあるためです。水作エイトコアのろ材交換の目安や手順は、水作エイトコアのろ材を交換する時期と手順で詳しくまとめています。
ここまでの違いを、1つの表にまとめておきますね。
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| 比べる点 | スポンジフィルター | 投げ込みフィルター |
|---|---|---|
| 動く仕組み | エアリフト式(エアーポンプが別に必要) | エアリフト式(エアーポンプが別に必要) |
| ろ材 | スポンジだけ | ろ過マット+活性炭など(製品による) |
| 得意なろ過 | 生物ろ過・細かいゴミのこし取り | 物理・生物・吸着の3つ |
| 水の濁りやにおい | 吸着する働きはない | 活性炭が吸着する(効き目は使ううちに落ちる) |
| 稚魚・エビの吸い込み | 吸い込みが広く分散し、引き込まれにくい | 吸い込み口が限られ、口の近くは流れが強め |
| 手入れ | 飼育水で軽くもみ洗いして使い続ける | 製品による(水作エイトコアはマットを飼育水ですすぎ活性炭カートリッジを交換/ロカボーイはろ過材ごと交換で洗浄をすすめていない) |
| 日々の出費 | ほとんどかからない | カートリッジ・交換ろ材・プラストンなどの消耗品(製品による) |
| 魚病薬を使うとき | 活性炭による薬の吸着は起きない(薬の説明書を優先) | 水作エイトコアは専用カートリッジを外すよう案内(薬とフィルターの説明書を優先) |
表の内容はあくまで一般的な傾向です。同じ種類でも製品ごとに作りが違うので、正確な情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書をご確認ください。
適合水槽と水量の計算の目安

どちらを選ぶにしても、まず確かめたいのが「その水槽の大きさに合っているか」です。
投げ込みフィルターは、メーカーが水槽の幅と水量で適合の目安をはっきり示しています。代表的な2つのシリーズを、公式の表記のまま並べました。
→ 横にスクロールできます
| 製品 | メーカーの適合水槽の表記 | 補足(公式の記載) |
|---|---|---|
| 水作エイトコア ミニ | 5L以下水槽用 | 淡水/海水用・スリムチューブとエア量調節クリップ付属 |
| 水作エイトコア S | 30〜40cm以下水槽用(23L以下) | 淡水/海水用・活性炭カートリッジを標準装備 |
| 水作エイトコア M | 40〜45cm以下水槽用(35L以下) | 淡水/海水用・活性炭カートリッジを標準装備 |
| 水作エイトコア L | 45〜60cm以下水槽用(55L以下) | 淡水/海水用・活性炭カートリッジを標準装備 |
| ロカボーイ コンパクト | 金魚鉢、プラケース、小型容器(8L以下) | スリムチューブとジョイント付 |
| ロカボーイS | 幅約39cm(水容量約23L)以下の水槽 | 水槽のコーナーに置ける構造 |
| ロカボーイM | 幅40〜60cmの水槽 | 活性炭入り特殊ろ過材 |
| ロカボーイL | 88L以下の水槽 | 淡水・海水 |
水作エイトコアの数値は、水作の製品情報によるものです(出典:水作株式会社「水作エイトコア」製品情報)。ロカボーイの数値は、ジェックスの各製品ページの記載です。どちらも2026年10月時点の表記です。エアーポンプはどの製品も別に用意が必要で、エアーチューブは水作エイトコア ミニとロカボーイ コンパクトに付属します。ほかのモデルは、付属品を製品ページで確かめてから買いそろえてください。
ここで大事なのは、水槽の幅だけでなく水量でも確かめることです。水作は幅と水量の両方で区切っていて、同じ幅45cmでも、奥行きや水を張る高さで水量は大きく変わります。
水量の目安は、幅(cm)×奥行き(cm)×水位(cm)÷1000でリットルに直せます。たとえば幅36×奥行き22×水位26cmなら約20.6Lで、水作エイトコア S(23L以下)とロカボーイS(約23L以下)の目安に入ります。幅45×奥行き27×水位30cmなら約36.5Lとなり、水作エイトコア M の「35L以下」を少し超えるので、一段大きいLやロカボーイMが候補になります。幅60×奥行き30×水位33cmなら約59.4Lで、水作エイトコア L の「55L以下」も超えるため、88L以下とされるロカボーイLか、モーター式のフィルターとの組み合わせを考える水量です。
計算した水量はガラスの内側ではなく外寸で出していることが多く、砂利や石、流木を入れた分だけ実際の水量はもう少し少なめになります。それでも、目安の上限ぎりぎりの水槽では、一段大きいサイズを選ぶか、2台に分けて置くほうが余裕を持てますよ。
ロカボーイには、吸い込みを強めるパワーアップパイプを付けたセットもあります。ジェックスの記載では、ロカボーイS パワーアップパイプセットは底から水面まで22cm以上、ロカボーイM パワーアップパイプセットは26cm以上の水位が必要です。水位の低い水槽やプラケースでは、パイプのない本体だけのモデルを選ぶ、という見方もできます。ジェックスはこのパイプで吸引力が上がるともうたっているので、稚魚や稚エビのいる水槽では吸い込みが強まる点にも気をつけてください。
スポンジフィルターについては、この記事ではメーカーの公式ページで適合水量を確かめられた製品を表に挙げていません。購入前にパッケージや公式ページで適合水量を確かめ、上と同じ計算で自分の水槽の水量と照らし合わせてください。
見た目・音・設置場所の違い
見た目と置き方の自由度では、どちらにも一長一短があります。
スポンジフィルターは、スポンジの塊が水槽の中で目立ちやすいのが弱点です。黒やこげ茶のスポンジを選ぶと、背景になじみやすくなります。底に置くタイプのほか、吸盤でガラス面に貼りつけるタイプもあり、水槽の角に寄せて使うことが多いですね。
投げ込みフィルターは、ケースに入っている分だけ形が整っていて、水槽のコーナーに置きやすい作りの製品が目立ちます。ロカボーイSも、水槽のコーナーに置ける構造で水槽内を広く使えることを特長に挙げています。
音についてはどちらも似たようなもので、泡が水面ではじける「ポコポコ」という音と、エアーポンプ本体の振動音が出ます。気になる場合は、エアーの量を少し絞る、エアーポンプの下に振動を吸収するマットを敷く、といった対策が効きやすいです。
エアーポンプの選び方によっても、音や置き場所の自由度は変わります。コンセントの位置が遠い場所や、停電時の備えも考えたい場合は、USBエアーポンプの給電型と充電型の違いも参考になるかなと思います。
エアーポンプの置き場所にも決まりがあります。水作はエイトコアの取扱説明書で、エアポンプは必ず水面より高い位置に設置するよう書いています。水面より低く置くと、ポンプが止まったときに水槽の水がチューブを逆流することがあるので、どうしても低い場所に置く場合は逆流防止弁を使いましょう。
設置するときは、エアーチューブの太さも確かめておきましょう。ジェックスは、ロカボーイ各種に合うエアーチューブを内径4mm、外径5mmとしています。手持ちのチューブを使い回すときは、太さが合うかを先に見ておくと付け直しの手間が省けます。
もう1つ、ふたとの干渉も見落としがちなポイントです。パワーアップパイプ付きのモデルや背の高いスポンジフィルターは、水槽のふたやライトに当たることがあるので、本体の高さと水位、ふたまでのすき間を測ってから選ぶと失敗しにくいですよ。
どちらのフィルターにも、エアーポンプは別に用意が要ります。エアーの量を調整できるポンプを選ぶか、チューブの途中にエア調節のコックやバルブを入れておくと、流れの強さを魚に合わせやすくなります。価格や在庫は変動するため、購入前に各ショップで確認してください。
スポンジフィルターと投げ込みフィルターの比較と選び方
違いが見えてきたところで、ここからは「自分の水槽ならどちらか」を決めていきます。
判断の軸は、飼う生き物、水槽の大きさ、手入れのスタイルの3つ。どれか1つだけで決めるより、3つを順番に当てはめていくほうが、買ったあとに「思っていたのと違った」となりにくいはずです。
前半では生き物の種類ごとに向くほうを説明し、後半では迷ったときにたどれる流れと、2つを組み合わせる使い方、手が足りなくなったときの切り替えの目安を紹介します。いま飼っている生き物を思い浮かべながら読み進めてみてください。
稚魚やエビの水槽ならスポンジが向く
稚魚を育てる水槽や、ミナミヌマエビ・ビーシュリンプなどのエビ水槽には、スポンジフィルターがよく合います。
いちばんの理由は、先ほど見た吸い込みのやさしさです。生まれたばかりの稚魚や稚エビは泳ぐ力が弱く、吸い込み口の近くに寄るとそのまま引き込まれてしまうことがあります。スポンジ全体から少しずつ水を吸う作りは、この事故を起こしにくいんですよね。
2つ目は、先ほど触れたとおり、スポンジの表面がエビの足場になりやすいことです。エサの少ない時間帯にもつつける場所があるのは、エビ水槽ではうれしい点ですね。
一方、ベタやメダカのように強い流れが苦手な魚は、水流の強さそのものがエアーの量で決まるので、どちらのフィルターでもエアーを絞れば対応できます。スポンジフィルターは吸い込む面が広い分、流れが1か所に集まりにくいので、どちらにするか迷ったときの決め手にするとよいかなと思います。
テトラのツインブリラントフィルターのように、スポンジを2つ並べたタイプもあります。片方ずつ洗えば、もう片方にバクテリアが残るので、手入れのたびにろ過が落ち込むのを抑えやすくなります。製品の特徴はテトラ ツインブリラントフィルターの特徴と使い方で詳しく紹介しています。
ただし、スポンジフィルターは水の濁りやにおいを取る力を持たないので、エサの与えすぎで水が汚れやすい水槽では物足りないこともあります。稚魚の水槽でも、こまめな水換えとセットで考えておくと安心です。
スポンジフィルターは、使い始めてすぐにはバクテリアが十分にすみついていません。稚魚やエビを迎える予定があるなら、先にフィルターを回して水槽を落ち着かせておくのがおすすめです。
スポンジフィルターを試すなら、記事の中で触れたテトラのツインブリラントフィルターが候補になります。価格や在庫は変動するため、購入前に各ショップで確認してください。
金魚や汚れやすい水槽は投げ込み式
金魚のようにエサをよく食べてフンの量が多い魚や、魚の数がやや多めの水槽では、投げ込みフィルターのほうが扱いやすい場面が増えます。
ジェックスも、ロカボーイS バクテリアパワーとロカボーイM バクテリアパワーを「汚れやすい水槽での金魚飼育にピッタリ」と紹介しています。物理ろ過でゴミをこし取り、活性炭で黄ばみやにおいの吸着も期待できるので、水の見た目を保つ手段を1台で持てるのが強みです。
もう1つの利点は、手入れの手順がメーカーの案内ではっきりしていることです。ロカボーイのようにろ過材ごと取り替える製品なら、洗い加減で迷わずに済みます。初めての水槽で、まずは簡単に回したい人には向いているかもしれません。
ロカボーイSの使い方や交換ろ材の種類は、GEXロカボーイSの使い方と対応水槽でまとめています。
注意したいのは、金魚が大きく育ったときです。金魚は成長すると体が大きくなり、排せつ物も増えます。投げ込みフィルター1台では処理しきれなくなることもあるので、水の濁りが取れにくくなってきたら、上部フィルターや外掛け式など、より大きなフィルターへの切り替えや追加を考えるタイミングです。
また、投げ込みフィルターでも生物ろ過はしっかり働きますが、交換ろ材を新品にするたびにバクテリアのすみかが入れ替わります。ろ材を替えた直後は、水の様子をいつもより気にかけてあげてくださいね。
投げ込みフィルターを選ぶなら、この記事で適合水槽を並べた水作エイトコアとロカボーイが定番です。手入れの方法が違う(エイトコアはマットをすすいで使い、ロカボーイはろ過材ごと取り替える)ので、続けやすいほうで選んでみてください。水槽に合うサイズは型番で検索すると比べやすく、価格や在庫は購入前に各ショップで確認してください。
迷ったときの選び分けチャート

ここまでの話を、上から順にたどるだけで答えが出る形にまとめました。最初に当てはまったところで決めてしまって大丈夫です。
- 稚魚や稚エビのように吸い込みが心配な生き物がいる → スポンジフィルター
- 魚病薬を使う予定がある → 活性炭による薬の吸着を避けやすいスポンジフィルター(薬とフィルターの説明書の指示を優先)
- 金魚など、エサの量が多く水が黄ばみやすい、においが気になる → 投げ込みフィルター
- 手入れは「洗う」より「取り替える」ほうが気が楽 → ろ過材ごと取り替えるロカボーイのような投げ込みフィルター
- 日々の出費をできるだけ抑えたい → スポンジフィルター
- どれにも当てはまらず迷う → 水量を計算し、目安に余裕のある投げ込みフィルターから始める
最後の項目で投げ込みフィルターを先に挙げているのは、この記事で公式の適合水槽を確かめられたのが投げ込み式の製品で、サイズを外しにくいからです。スポンジフィルターが劣っているという意味ではありません。ベタやメダカのように流れが苦手な魚は、どちらを選んでもエアーの量で調整する前提で考えてください。
どちらを選んでも共通するのは、水槽の水量に対して余裕のあるサイズを選ぶことと、エアーの量で水流を調整できるようにしておくこと。この2つを押さえておけば、大きな失敗はしにくいと思います。
判断に迷う生き物を飼っている場合や、病気の治療中の水槽で使う場合は、購入したショップのスタッフに水槽の状態を伝えて相談してみてください。最終的な判断は、専門家や販売店にご相談いただくのが確実です。
併用やほかのフィルターへの切り替え
スポンジフィルターと投げ込みフィルターは、どちらか一方に決めなくても大丈夫です。組み合わせることで、それぞれの弱点を補えます。
たとえば、メインは投げ込みフィルターにして、水槽の反対側にスポンジフィルターを置く使い方。投げ込み式のろ材を交換した直後でも、スポンジ側にバクテリアが残るので、ろ過が一気に落ち込むのを防ぎやすくなります。
2台を動かすときは、エアーポンプの吐出口が2つあるモデルを選ぶか、分岐コックで空気を分けます。分岐すると1台あたりの空気の量は減るので、泡の勢いが弱くなりすぎていないかを見ながら調整してください。
もう1つ、スポンジを別のフィルターの吸い込み口にかぶせる使い方もあります。外掛け式や外部式のフィルターの吸い込み口にスポンジを付けると、稚魚やエビの吸い込みを防ぎながら、スポンジにもバクテリアをすまわせられます。
反対に、投げ込みフィルターやスポンジフィルターだけでは手が足りなくなる場面もあります。水槽が60cmを超える、魚の数が増えた、水の濁りがなかなか取れない、といった状態が続くなら、上部フィルターや外部フィルターのようなモーター式への切り替えを検討する時期です。
切り替えるときは、それまで使っていたスポンジやろ材をすぐに捨てず、しばらく新しいフィルターと一緒に回しておくと、バクテリアを引き継ぎやすくなります。フィルターの掃除の間隔や洗いすぎの注意点は、水槽フィルターの掃除頻度と失敗しない手順も参考にしてみてください。
スポンジフィルターと投げ込みフィルターについてよくある質問
スポンジフィルターや投げ込みフィルターは海水の水槽でも使えますか?
製品によります。水作エイトコアは各サイズとも淡水/海水用、ロカボーイLも使用環境を淡水・海水としています。スポンジフィルターは製品ごとに対応が異なるので、パッケージや公式ページで海水に対応しているかを確かめてから使ってください。
停電でエアーポンプが止まったらどうなりますか?
どちらのフィルターも泡で水を動かしているので、エアーポンプが止まるとろ過もエアーレーションも止まります。エアーレーションを兼ねている分、水中の酸素も減っていくので、魚が水面で口をぱくぱくさせていないかを気にかけてください。止まっている時間が長いと、ろ材の中のバクテリアが酸素不足で弱ることもあります。復旧したら、すぐにエアーポンプが動いているかと泡の出方を確かめてください。停電が心配な場合は、電池式や充電式のエアーポンプを備えておく方法もあります。
100均のスポンジフィルターでも大丈夫ですか?
小さな容器で使う分には役に立つ場面もありますが、適合水量の表記がない、スポンジの目の細かさや耐久性が分からない、といった点は確かめにくくなります。稚魚やエビなど大切な生き物の水槽では、適合水量や使い方が明記されているアクアリウム用品を選ぶほうが安心です。
新しく買ったフィルターは、すぐに魚を入れても大丈夫ですか?
新品のスポンジやろ材には、汚れを分解するバクテリアがまだほとんどすんでいません。水槽ごと新しく立ち上げる場合は、魚を少ない数から入れ、エサを控えめにして様子を見ながら増やしていくのが一般的です。既存の水槽に追加する場合は、今あるフィルターをしばらく一緒に回しておくと、急な水質の悪化を避けやすくなります。
スポンジフィルターと投げ込みフィルターの比較まとめ
スポンジフィルターと投げ込みフィルターは、どちらもエアーポンプの泡で水を動かすエアリフト式で、動く仕組みは同じです。違いを生むのはろ材で、スポンジフィルターは生物ろ過に絞った作り、投げ込みフィルターは物理・生物・吸着の3つをまとめてこなす作りでした。
稚魚や稚エビ、エビの水槽、活性炭による薬の吸着を避けたい水槽ではスポンジフィルター。金魚のように汚れやすい水槽や、水の黄ばみ・においを活性炭でも抑えたい場合は投げ込みフィルターが選びやすい、というのがこの記事の結論です。手入れは同じ投げ込み式でも製品によって違い、水作エイトコアはマットをすすいで使い、ロカボーイはろ過材ごと取り替えます。ベタやメダカは、どちらでもエアーの量で流れを調整してあげてください。
選ぶ前には、幅だけでなく「幅×奥行き×水位÷1000」で水量を出し、水作エイトコアやロカボーイなどの公式の適合水槽と照らし合わせてください。目安の上限ぎりぎりなら、一段大きいサイズか2台に分ける余裕を持たせると安心です。
数値はあくまで一般的な目安で、製品の仕様は改良などで変わることもあります。正確な情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。飼っている生き物の状態に不安があるときは、購入したショップなど専門家に相談したうえで、あなたの水槽に合う1台を選んでみてくださいね。


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