こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の「所長」です。
アクアリウム用の流木を探していて、「流木が安いのはホームセンター?」と検索している方は、カインズやコーナンといったお馴染みのお店での価格を比較している最中かもしれませんね。でも、安いと思って買ってみたら、実はアク抜きが必須で水が茶色くなってしまったり、いつまで経っても流木が沈まないで困ったり…。かといって煮沸処理をするのも道具がなくて大変そうです。
最近はメルカリのようなフリマアプリや、ネット通販で「煮込み済み」のものを探す人も増えました。中には自分で川や海へ流木を拾う強者もいるとか。また、アクアリウム用途ではなく、ダイソーなどの100均アイテムと組み合わせてインテリアに使ったり、爬虫類のケージ用として探している方もいるかもしれません。
この記事では、そんなホームセンターの安い流木にまつわる「本当のコスト」や、用途別の賢い選び方について、私なりの視点でまとめてみようと思います。

- ホームセンターの安い流木の「本当のコスト」がわかる
- カインズやコーナンで売られている流木の特徴
- アク抜きや煮沸、沈まない時の具体的な対処法
- アクアリウムとインテリア、用途別の最適解
「流木が安いホームセンター」の真実

さて、早速ですが「流木が安いのはホームセンター?」というキーワードの核心に迫ってみましょう。ホームセンターの流木は、確かに価格だけ見ると魅力的に映ります。でも、そこにはちょっとした「罠」というか、アクアリウムで使う上では知っておくべき「前提条件」があるんですね。
安い流木の「TCO」とは

いきなりTCOなんて横文字を使いましたが、これは「総所有コスト(Total Cost of Ownership)」の略です。アクアリウムの世界では、この視点、結構大事だったりします。
ホームセンターの流木に当てはめると、こういうことです。
TCO = 商品の購入価格(初期費用) +「隠れたコスト(運用費用)」
この「隠れたコスト」というのがクセモノで、具体的には以下のようなものが含まれます。
コスト1:時間(最大のコスト)
アク抜きのために最低でも2〜4週間、毎日あるいは数日おきに水を替えながら漬け込む時間と、その作業の手間です。すぐにレイアウトしたい人にとっては、これが一番のネックかもしれません。
コスト2:光熱費と水道代
時間を短縮するために「煮沸」を選べば、数時間にわたるガス代や電気代がかかります。漬け置きコースでも、大量の水を何度も交換するための水道代がかかりますね。
コスト3:道具・薬剤費
煮沸に使う(料理用とは別の)専用の大きな鍋(寸胴鍋など)を持っていなければ、新たに購入する費用がかかります。また、処理を早めるための「アク抜き剤」や、処理が不十分だった場合に水槽の濁りを取るための「高性能活性炭」なども追加コストになります。
ホームセンター流木のTCO(総所有コスト)計算例
例えば「877円」の流木を買った場合、その真のコストは…
- TCO (A) 漬け置きコース = 877円 +(3週間の時間と手間 + 3週間分の水道代)
- TCO (B) 煮沸コース = 877円 +(専用鍋の購入費 + 数時間の光熱費 + 手間)
となります。このTCOの視点で見ると、「ホームセンターの流木は、必ずしも安いとは言えないかも?」という疑問が出てくるわけですね。
カインズやコーナンの流木を比較
私も気になって、いくつかの主要なホームセンターのオンラインストアをのぞいてみました。
例えば、カインズ、コーナン、コメリ、DCMなどでは、GEX(ジェックス)さんの「天然流木」シリーズがよく取り扱われています。これはアクアリウム用流木としては定番商品ですね。価格はSサイズで1,000円前後、Mサイズで1,500円〜2,000円くらいが相場のようです。
ここで重要なのは、これらの商品説明欄です。カインズやコーナンのサイトでは、
「アク抜きが不十分だと浮く場合があります」
「大きめの鍋で煮るか、2〜4週間浸けておく」
「完全にアクを取り除くことはできません」
といった注意書きが(小さい文字ですが)ちゃんと書かれています。
つまり、ホームセンターは「アク抜き処理がされていない、DIY前提の『素材』」を安く売っている場所、と考えるのが正しそうです。
参考までに、主要ホームセンターでの「GEX 天然流木 Sサイズ」の取り扱い状況(私調べ)をまとめてみました。
| ホームセンター名 | 価格(税込目安) | アク抜きに関する記載 | ユーザーがすべき処理 |
|---|---|---|---|
| コーナン | 877円 | 「アク抜き不十分だと浮く」と記載あり | 2~4週間の漬け置き or 煮沸 |
| ビバホーム | 877円 | 記載なし(私調べ) | (記載ないが他店同様に必要) |
| ロイヤルHC | 988円 | 「自然そのまま」と記載(=未処理) | (記載ないが他店同様に必要) |
| カインズ | (価格情報なし) | 「アク抜き不十分だと浮く」と記載あり | 2~4週間の漬け置き or 煮沸 |
| コメリ | 998円 | 「アク抜きパウダー」を別途販売 | 2~4週間の漬け置き or 煮沸 |
情報不足のリスクに注意
この表でちょっと心配になったのが、お店によっては(例えばビバホームやDCMのオンラインストアなど)、私が確認した限りではアク抜きに関する重要な注意書きが一切見当たらなかったことです。
もし初心者の人がこれを見て「安い!」とだけ思って買ってしまうと、水槽が茶色くなったり、流木がプカプカ浮いたりして、「アクアリウム失敗かも…」と挫折する原因になりかねません。ホームセンターで買う時は、「基本的に未処理品である」と自分で認識しておく必要がありそうです。
安い流木はアク抜き必須

そもそも「アク抜き」って、なぜそんなに重要なのでしょうか。単に面倒なだけじゃなく、アクアリウムを維持するために大切な理由が大きく3つあります。
理由1:観賞価値の維持(ブラックウォーター対策)
流木に含まれるタンニンなどの成分(これが「アク」の正体)が溶け出すと、水槽の水が紅茶のように茶色く濁ります。これは「ブラックウォーター」と呼ばれ、魚自体に直接的な害はないとも言われますが、せっかくの水景の観賞価値は著しく下がってしまいますよね。
また、アク(タンニンなど)は水質を弱酸性に傾ける性質があります。これはテトラなどの南米産の魚には好ましい環境ですが、逆に弱アルカリ性を好む魚(アフリカンシクリッドなど)を飼育している場合は、意図しない水質変化になってしまうので注意が必要です。
理由2:沈水処理(空気抜き)
乾燥した流木は、内部の繊維の間に空気をたくさん含んでいます。だからそのまま水に入れても浮いてしまうんですね。水に長期間浸ける「アク抜き」のプロセスは、この内部の空気を抜き、繊維に水を浸透させて沈みやすくするためにも必須の作業なんです。
理由3:殺菌・殺虫と清掃
これは特に「煮沸」の場合ですが、流木に付着しているかもしれない雑菌や害虫の卵、カビの胞子などを殺す目的もあります。
また、アク抜き処理の前段階として、表面の汚れ、コケ、腐りやすい表皮、土などをブラシやたわしでこすり洗い(ブラッシング)することも、水槽に不要なものを持ち込まないために重要です。
流木が沈まない時の処理
「アク抜きしたのに、流木が沈まない!」これは“アクアリウムあるある”かもしれません。私も経験があります。
原因:内部に残った空気
原因はシンプルで、まだ内部に空気が残っているからです。特に密度が高い硬い流木や、太い部分がある流木は、内部まで水が浸透するのに時間がかかります。
対策としては、アク抜き(水への漬け込み)の期間が足りていない可能性が高いので、さらに数日〜数週間、水に浸け続けるのが基本です。バケツの水に重し(石など)をして、強制的に水没させておくのが手っ取り早いですね。
対策1:アク抜き(空気抜き)の徹底
沈まないからといって焦らず、バケツや衣装ケースで重し(水を入れたペットボトルや、レイアウトに使う石など)を乗せて、強制的に水没させ続けます。数日〜数週間すれば、やがて自然に沈むようになります。
対策2:物理的な固定(強制沈水)
「レイアウト上、もう待てない!」という場合は、沈むのを待たずに物理的に固定してしまう人も多いです。
- 重りを乗せる: レイアウトの一部として、流木の上に目立たないように石を乗せて(重石にして)沈めます。
- 接着・結束する: 水槽用の接着剤(シアノアクリレート系のジェルタイプなど)や、水に強いビニタイ(園芸用など)を使い、重い石や底面に敷くプレートに流木を固定します。
- 底砂に埋める: 流木の一部を底砂(ソイルや砂利)に深く埋め込んで、浮力を抑え込むのも一般的な方法です。
煮沸で時短するコツ

「2〜4週間も待てない!」というせっかちな(失礼)方には、煮沸(しゃふつ)がおすすめです。高温で処理することで、アク抜き、殺菌、空気抜きを同時に行える、最も効果的な方法かなと思います。
ただし、いくつかコツと注意点があります。
流木の煮沸の手順とコツ
- 専用の鍋を用意する 最重要ポイントです。料理に使う鍋は、油分が流木に付着する可能性があるので絶対にNGです。アクアリウム専用の大きな鍋(ステンレス製の寸胴鍋など)を用意しましょう。アルミ鍋は水質に影響を与える可能性があるので避けた方が無難かもしれません。
- 火にかける 流木が浸かるくらいの水と流木を鍋に入れ、火にかけます。(この時、アク抜き剤を併用する方もいます)
- お湯を交換する 沸騰して水が紅茶色になったら、一度お湯を全部捨てます。これを、お湯を替えてもほとんど色が出なくなるまで、根気よく繰り返します。(流木によりますが、数時間かかることも…)
- 冷ます 火傷に注意して流木を取り出し、完全に冷ましてから水槽に入れます。
大型流木の代替手段
問題は、購入した流木が鍋に入らないサイズだった場合ですね…。その場合は、煮沸は諦めざるを得ません。
大型流木の処理と注意
鍋に入らない場合は、以下のような代替手段が考えられます。
- 漬け置きコースに切り替える: バケツや衣装ケース、発泡スロールの箱などで、地道に数週間漬け込みます。
- 熱湯をかける: 発泡スロールの箱などに流木を入れ、熱湯を注いでフタをします。冷めたらまた熱湯を注ぐのを繰り返します。煮沸ほどの効果はありませんが、やらないよりはマシです。(火傷や火災、容器の破損に十分注意してください)
- アク抜き剤を併用する: コメリでも販売されていたような「流木あく抜きパウダー」(主成分は重曹など)を漬け置き水に使うと、処理が早まるとされています。
「流木を安いホームセンターで」以外の選択肢
ここまで読んで、「ホームセンターの流木、思ったより面倒かも…」と感じた方もいるかもしれません。そう、TCO(総所有コスト)を考えると、他の選択肢の方が結果的に「安くて楽」だったりするんです。特にアクアリウム初心者の方には、ぜひ知っておいてほしい調達先です。
メルカリで探すメリット
最近、私がよくチェックするのは「メルカリ」などのC-to-C(個人間取引)プラットフォームです。
メリット:処理済み品と一点物
最大のメリットは、「アク抜き済み」や「沈水確認済み」と書かれた出品が多数あることです。
趣味の延長で、愛好家の方が丁寧に処理した一点モノの流木を、処理コストがあまり上乗せされていない価格で(=安価に)見つけられる可能性があります。ホームセンターが「素材」を売っているのに対し、メルカリでは「処理済みの素材」が手に入るイメージですね。
デメリット:品質のばらつきと信頼性
ただ、もちろんデメリットもあります。「アク抜き済み」の基準が人によって違ったり、沈水確認が不十分だったりする可能性はゼロではありません。写真と実物のギャップもあるかもしれません。
個人間取引ですので、処理の程度や品質は出品者の方の自己申告に依存します。購入の際は、評価や商品説明をよく読んで、信頼できる出品者かどうかを見極める必要がありそうです。
ネット通販の煮込み済み流木

アクアリウム初心者の方に、私がTCOの観点から最もおすすめしたいのが、実はこれかもしれません。
「チャーム(charm)」さんのような大手アクアリウム専門店のオンラインストアです。
ここでは、「煮込み済み」や「形状お任せ 処理済み流木」といった商品が、定番として販売されています。これらは文字通り、あの面倒なアク抜きや煮沸のプロセスを、プロが済ませてくれている商品です。
価格を見ると、例えば「煮込み済み Mサイズ」が送料込みで1,700円前後だったりします。思い出してください、ホームセンターの「未処理 Mサイズ」が1,500円〜2,000円でしたよね?
驚くべきことに、購入価格自体があまり変わらない、あるいは逆転しているケースもあるんです。
専用鍋の費用、数時間の光熱費、そして何より2〜4週間の手間と時間を考えたら…。
「すぐに」「失敗なく」レイアウトしたい場合、オンライン専門店の「処理済み流木」が、TCOで考えると最も安い(=最も賢い選択)、と私は思います。これは「時間と安心」を買うコストパフォーマンスが非常に高い選択ですね。
流木を拾うのは危険?
「コストゼロ!」を目指して、川や海岸、ダムなどで自分で流木を拾う(採集する)方法です。これは、はっきり言って上級者向けであり、初心者の方には全くおすすめできません。
TCO(この場合は手間とリスク)が、全選択肢の中で最も高くなります。
「流木採集」の重大なリスク
安易な採集には、多くのリスクが伴います。
法的・倫理的リスク
その場所が私有地や国立公園内(国立公園法)、あるいは河川敷(河川法)であった場合、採集は違法行為(窃盗や条例違反)になる可能性があります。ダムなども管理事務所の許可が必須です。「落ちているものだから大丈夫」というわけでは決してありません。
安全リスク
水辺は滑りやすく、特に台風一過後などは増水しており非常に危険です。また、流木にはささくれも多く、怪我のリスクが伴います。
処理コスト(最大)
- 塩抜き: 海岸で拾った流木は、アク抜き以前に「塩抜き」が必須です。淡水水槽に塩分は致命的であり、この処理は非常に困難です(場合によっては塩分計が必要になります)。
- 殺菌・消毒: 天然の流木には、雑菌、カビ、寄生虫、虫の卵などが付着している可能性が非常に高いです。徹底した煮沸による殺菌・消毒が必須となります。
- アク抜き: 市販品以上に強力なアク抜き処理(長期間)が必要です。
これらのリスクと手間を考えると、「ゼロコスト」どころか、最も高くつく可能性があることを理解しておいてください。
豆知識:ダムの流木無料配布
「採集」とは少し違いますが、一部のダム管理事務所では、ダムの運用で湖に流れ着いた流木を、薪やガーデニング用として無償で提供している場合があります(例:国土交通省 九州地方整備局 鶴田ダム管理所、国土交通省 東北地方整備局 最上川ダム統合管理事務所など)。
これらは主に薪やガーデニング用ですが、アクアリウムに使えそうなものが見つかるかもしれません。ただし、利用には申し込みや条件(運搬・積込は自力、第三者への転売禁止など)があります。アクアリウムで使う場合は、もちろん採集品と同様の徹底した処理が自己責任で必要となりますので、必ず事前に各管理事務所の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
インテリア用途の流木
さて、ここまでは「アクアリウム(水槽内)」で使う前提でお話ししてきました。もし、あなたの用途が「インテリア」だったらどうでしょう?
オブジェとして飾ったり、エアプランツを乗せたり、DIY素材として使う場合、流木を水に沈める必要はありません。つまり、あの面倒な「アク抜き」と「沈水処理」が一切不要になります。
この瞬間に、TCOが逆転します。
TCO = 購入価格
この用途に限れば、「流木 安い ホームセンター」という検索意図は完全に正しいと言えます。処理が不要なのですから、安価な「素材」としてホームセンターで売られている流木は、コストパフォーマンス最強の選択肢になるわけです。
インテリア用途でも「洗浄・殺菌」は推奨
アク抜きは不要ですが、特に採集品や、屋外に置かれていたものを室内に持ち込む場合は、雑菌や虫が潜んでいる可能性があります。
最低でも、よく水洗いして天日干しするか、可能であれば熱湯をかける・短時間煮沸するといった殺菌・殺虫処理をしておくと安心ですね。
ダイソーや爬虫類用の流木
アクアリウム以外の用途という点では、他の選択肢もありますね。
100均(ダイソーなど)の流木
インテリア用途という点では、最近は100円ショップ(ダイソーなど)でも、小さいですが味のある流木(風?)の素材が売られていますよね。これらは小型のテラリウムや、小物のDIYにはぴったりだと思います。
ただし、アクアリウム(水槽内)に入れる場合は注意が必要です。天然木ではなく樹脂製のイミテーションである場合や、水質に影響のある塗料が使われている可能性もあるため、商品説明をよく確認する必要があります。
爬虫類用の流木
また、「爬虫類用」として売られている流木も、基本的には乾燥したケージ内で使うことが想定されています。シェルター(隠れ家)や登り木としてですね。
そのため、アクアリウム用のような厳密なアク抜きは不要な場合が多いです(ただし、生体に害がないよう、洗浄や熱湯消毒は推奨されます)。アクアリウムへの転用も可能かもしれませんが、アクが出る可能性は高いと思っておいた方が良いでしょう。
このように、「水に沈めるかどうか」で、選ぶべき「安い流木」は全く変わってくるんですね。
「流木 安い ホームセンター」まとめ

それでは、今回のテーマ「流木 安い ホームセンター」についての私なりの結論をまとめます。
ホームセンターの流木は、本当に「安い」のか? その答えは、あなたの用途によって全く異なります。
【アクアリウム用途の場合】 答えは「No」かも。
ホームセンターの安い流木は、アク抜き必須の「素材」です。購入価格(初期費用)は安いですが、TCO(総所有コスト)=(購入価格+手間+時間+光熱費+道具代)で考えると、必ずしも安くはありません。
もし「安く、かつ手軽に」アクアリウムを始めたいなら、ネット通販(チャームなど)の「煮込み済み」製品を選ぶのが、TCOが最も安くなる賢い選択だと私は思います。これは「失敗しないための保険」や「時間を買う」コストとして、非常に合理的です。
【インテリア・爬虫類用途の場合】 答えは「Yes」です。
これらの用途では、水に沈める必要がなく、面倒な「アク抜き」も基本的に不要です。したがって、TCO=購入価格となり、ホームセンターや100均(ダイソーなど)の安価な「素材」が、最適な選択肢となります。
(ただし、室内に持ち込む際は、洗浄や殺菌処理はしておくと安心です)
あなたの用途に合わせて、ぜひ最適な流木選びを楽しんでくださいね。

