ベタ初心者に必要なもの決定版!失敗しない飼育ガイド

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の「所長」です。
ベタを飼ってみたい、と思って「ベタ 初心者 必要なもの」と検索すると、本当に色々な情報が出てきますよね。お店で売られている姿を見ると「コップや小さな瓶でも飼えるんだ」という手軽なイメージがある一方で、「ヒーターなしやフィルターなしでの飼育は危険だ」という専門的な声もあって、結局何をどう揃えればいいのか混乱してしまう方も多いかなと思います。
100均のアイテムだけで代用できるのか、水槽のサイズは最低どれくらい必要なのか、初心者がいきなり水草や底床(ソイルや砂利)に手を出しても大丈夫なのか。それに、エサやりや水換えの適切な頻度、購入後に失敗しないための水合わせの方法など、考えることが想像以上にたくさんあって不安になりますよね。特に、せっかくお迎えするなら病気にさせずに、あの美しいヒレを保ったまま元気に育てたい、そのための「間違いのない飼育セット」が知りたい、というのが本音じゃないでしょうか。
この記事では、ベタの寿命(平均3〜5年)を全うさせる「長期的な健康」を最優先に考え、初心者がやってしまいがちな失敗を科学的に避けるために、本当に必要なアイテムと、それぞれのアイテムがなぜ必要なのか、その理由を分かりやすく、しっかり整理していきますね。
- ベタの飼育に最低限必要なアイテムリスト
- 水槽やヒーター、フィルター選びの重要なポイント
- 初心者が陥りがちな「罠」とその回避方法
- 購入後から日々の管理(水換え・エサやり)のコツ
ベタ初心者に必要なものチェックリスト

まずは、ベタをお迎えする前に揃えておきたいアイテムを、その重要度別にチェックリスト化します。「コップで飼える」という手軽なイメージは一度リセットして、ベタが数年間、快適かつ健康に暮らすための「本格的なお部屋」作りに何が必要か、という視点で見ていきましょう。
飼育セットと必須アイテム9選

ベタの飼育をスタートするために、最低限「これがないと命に関わる」という必須アイテムと、水槽環境を安定させ、結果的に管理を楽にするために「強く推奨」するアイテムをリストアップしました。
| 優先度 | カテゴリ | 必須アイテム | 目的と役割 |
|---|---|---|---|
| レベル1:必須 | 生命維持装置 | 1. 水槽(5L以上) | 活動スペースの確保、水質・水温の安定化 |
| レベル1:必須 | 生命維持装置 | 2. ヒーター | 適正水温の維持(約20~28℃) |
| レベル1:必須 | 生命維持装置 | 3. 水温計 | 水温の可視化とヒーター故障の検知 |
| レベル1:必須 | 生命維持装置 | 4. カルキ抜き剤 | 水道水に含まれる有毒な塩素の無害化 |
| レベル1:必須 | 生命維持装置 | 5. ベタ専用フード | 必要な栄養素の補給 |
| レベル2:推奨 | 環境維持装置 | 6. フィルター | 水質浄化(有毒なアンモニアの分解) |
| レベル2:推奨 | 環境維持装置 | 7. 底床(底砂) | ろ過バクテリアの住処、水草の固定 |
| レベル2:推奨 | 環境維持装置 | 8. 水草 | 隠れ家(ストレス軽減)、水質浄化補助 |
| レベル3:必須 | メンテナンス | 9. 水換え用品 | 底床掃除と排水、ゴミ取り、コケ取りなど |
初心者が目指すべきは「長期安定飼育」です。
お店で小さな瓶に入っている姿は、あくまで流通・販売のための一時的な状態に過ぎません。あの極端に水量が少ない状態を維持管理するのは、水質と水温の管理が非常にシビアで、実は上級者向けの高等テクニックなんです。
初心者が同じことをしようとすると、ほぼ確実に失敗してしまいます。これから紹介するアイテム(特にヒーターとフィルター)は、決して過剰な装備ではなく、初心者が直面するであろう「よくある失敗」を生物学的・化学的に予防し、ベタの健康を守るための「予防的措置」であり「安全装置」だと考えてくださいね。
水槽は5L以上を推奨

ベタ飼育を成功させる上で、最も重要な要素がこの「水量」です。なぜなら、水量が多いほど、水質と水温が安定しやすく、管理が圧倒的に楽になるからです。
初心者は小さな容器から始めたくなりがちですが、それは逆効果。水量が少ないほど、わずかな環境変化がベタにとって命取りになる、シビアな環境になってしまいます。
水質安定(希釈能力)の重要性
ベタも生き物ですから、排泄物(フンや尿)をしますし、エサの食べ残しが出ることもあります。これらは水中で分解される過程で、魚にとって非常に有毒な「アンモニア」を発生させます。
例えば、水量が1Lのコップでは、わずかなアンモニアが発生しただけでも、水中のアンモニア濃度は急激に上昇し、すぐに致死的なレベルに達してしまいます。しかし、もし水量が10Lあれば、同じ量のアンモニアが発生しても、濃度は単純計算で1/10に薄まります。毒性が大幅に低下するわけです。
この「希釈能力」こそが、初心者のちょっとしたミス(エサのやりすぎ、水換えの遅れなど)をカバーしてくれる、最大のバッファー(緩衝材)になるんです。
水温安定のメリット
水量が少ない容器は、外気温の影響を非常に受けやすくなります。例えば、昼間はエアコンで快適でも、夜間にエアコンを切ると室温が急降下。それに伴い、コップの水温も数時間で急激に下がってしまいます。
ベタのような熱帯魚にとって、こうした急激な水温の変動(水温の乱高下)は、体力を消耗させ、免疫力を低下させる最大のストレス要因です。これが病気を引き起こすキッカケになります。
水量が多い水槽(例えば10L以上)なら、一度温まったり冷えたりするのに時間がかかるため、外気温が多少変動しても、水温はゆっくりとしか変化しません。これがベタの体への負担を最小限に抑えてくれるんです。
水槽選びの推奨スペック
- 最低ライン: 水量が最低でも5L以上入るガラス容器。これ以下は管理の難易度が跳ね上がります。
- 推奨ライン: 水量6~8L以上。理想は10L程度。具体的には「20cmキューブ水槽(約8L)」あたりが、管理のしやすさと設置スペースのバランスが良いスタートラインかなと思います。
- 最適な選択: 30cmキューブ水槽(約27L)。水量に余裕があるため水質が非常に安定しやすく、水草レイアウトも楽しめ、長期飼育に最適です。
危険なヒーターなし飼育の罠

初心者が最も陥りやすく、そして最もベタの命を危険にさらす罠が「ヒーターなし」での飼育です。これを決断する前に、ベタがどんな魚なのかを思い出してください。
ベタは東南アジアの温暖な地域に生息する「熱帯魚」です。彼らが一年中快適に暮らしている現地の水温は、日本の気候とは全く異なります。特に日本の春・秋・冬は、ベタにとっては寒すぎます。
ベタの適正水温は20~28℃(理想は25℃前後)と言われています。水温が20℃を切り始めると活動が鈍くなり、15℃を下回ると危険信号。10℃では命の危機に瀕します。低水温はベタの消化不良や免疫力の著しい低下を招き、「尾ぐされ病」や「白点病」といった病気を引き起こす最大の原因となります。
「ヒーターなし」での代用はほぼ不可能です。
「人間が快適な室温(エアコン管理)なら大丈夫」と思いがちですが、エアコンで水温まで25℃に保つのは至難の業です。部屋の場所による温度ムラもありますし、何より電気代がかさみます。また、水温が最も下がる夜間や早朝の冷え込みをカバーできません。
発泡スチロールで囲ったり、カイロを貼ったり、お湯を入れたペットボトルを入れる、といった方法は、あくまで「メインのヒーターが故障した際の数時間の応急処置」に過ぎません。これらで熱帯魚に適した水温を24時間365日維持し続けるのは不可能です。
数千円のヒーターへの投資をためらうことは、ベタを常に病気と隣り合わせの危険な環境に置くことを意味します。これは必須アイテムとして考えてください。
ヒーターの選び方
初心者の場合、水温を自動で一定(通常26℃前後)に保ってくれる「オートヒーター」が最も簡単で安全です。水槽の水量に合わせたワット(W)数の製品を選びましょう。ベタ用の小型水槽(5L~10L程度)であれば、10W~30W程度の小型ヒーターが適しています。
そして、ヒーターと必ずセットで必要なのが「水温計」です。ヒーターが正常に作動しているか、万が一故障して加熱しすぎ(オーバーヒート)たり、逆に停止したりしていないかを監視する唯一の手段です。アナログ式で安価なもので構いませんので、必ず設置してください。
フィルターなしでも飼える?
「フィルターなし」での飼育も、その手軽そうな響きから初心者が選びがちな選択肢です。しかし、これは「管理が楽になる」という意味ではありません。むしろ、飼育者の手間とリスクが格段に増える上級者向けの管理方法です。
フィルターには、大きく分けて2つの重要な役割があります。
物理ろ過とは?
これは単純で、フンやエサの食べ残しなど、水中に漂う「目に見えるゴミ」をフィルターのマットなどで物理的にこし取って、水を透明に保つ役割です。
生物ろ過(バクテリア)の仕組み
こちらがフィルターの最も重要な役割です。フィルター内のろ材(スポンジやリング状のセラミックなど)は、目に見えない「ろ過バクテリア」の住処となります。このバクテリアが、ベタにとって猛毒の「アンモニア」を、比較的無害な「硝酸塩」に分解(無害化)してくれます。これが「生物ろ過」と呼ばれる、水質浄化のサイクルです。
「フィルターなし」を選ぶということは、この「生物ろ過」による自動浄化システムを放棄することを意味します。その結果、フィルターが自動でやってくれるはずだった有毒物質の分解作業を、飼育者自身が「手動」で肩代わりする必要が出てくるわけです。
フィルター「あり」と「なし」の管理比較
- フィルターあり(生物ろ過が機能):
- 水質浄化: ろ過バクテリア(自動)
- 水換え頻度: 週に1回、1/3程度の交換でOK。
- 安定性: 高い(バクテリアが緩衝材となる)
- フィルターなし(リセット式管理):
- 水質浄化: 飼育者の手動(全換水)
- 水換え頻度: 2~3日に1回、100%(全換水)が必須。
- 安定性: 非常に低い(人的ミス=水換えのサボりが許されない)
「フィルターなし」の場合、2~3日に1回という非常に高頻度な全換水をサボってしまうと、水槽内のアンモニア濃度はあっという間に危険なレベルに達します。これは初心者にとって多大な労力であり、水質の急変リスクも高いため、全く推奨できません。
数百円~千円程度で導入できるフィルターを使った方が、遥かに水質が安定し、結果的に日々の管理も楽になりますよ。
ベタに適したフィルター
ベタは強い水流を極端に嫌う魚です。水面に泡巣を作ることからもわかる通り、水面が波立つような環境はストレスになります。そのため、以下のフィルターが推奨されます。
- スポンジフィルター: エアポンプ(別売)が必要ですが、水流が非常に穏やかで、生物ろ過能力も高い、ベタに最適なフィルターの一つです。
- 水中フィルター(投込式): もし使用する場合は、水の排出口を水槽の壁面に向けて設置するなど、水流を必ず和らげる工夫が必要です。
100均アイテムで代用できる?
最近は100均ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)でもアクアリウム用品が充実していて、驚きますよね。確かに、ベタ飼育に使えそうなアイテムも存在します。
100均で購入「できる」もの
カルキ抜き(少量タイプ)、エサ(品質は要確認)、水温計、掃除用品(スポンジや小さなネット)、飼育容器(ただし後述の注意点あり)などです。
100均で購入「できない」もの
最も重要なアイテムである「ヒーター」は100均では購入できません。また、高性能な「フィルター」もまず見当たりません。
「100均飼育」が意味する本当のリスク
100均アイテムだけで飼育を完結させようと試みることは、ベタにとって最も危険な二つの罠、すなわち「ヒーターなし飼育」と「小さな容器(水量不足)での飼育」に、同時に陥ることを意味します。
100均で売られているプラケースや保存容器は、水量が1~2L程度のものがほとんど。これは長期飼育には圧倒的に水量不足です。そして、これらの容器はヒーターを安全に設置できるようには設計されていません。
100均の容器は、病気の治療や繁殖時の一時的な隔離場所(いわゆる「隔離ケース」)として使う分には非常に有用ですが、初心者がベタの「終の棲家」として長期飼育を行うための安全な環境を提供することはできない、と理解しておきましょう。
水草と底床はあった方が良い?
水草と底床(ソイル、砂利など)は、生命維持に必須(レベル1)ではありません。これらがなくてもベタは飼えます。しかし、ベタのストレス軽減や水質安定の補助、そして何より観賞性を高めるために、強く推奨(レベル2)したいアイテムです。
水草の重要な役割(隠れ家と癒し)
水草は単なる飾りではなく、ベタにとって重要な「隠れ家(シェルター)」になります。
ベタは、強すぎる照明の光や、水槽の外を頻繁に通る人の動きなどにストレスを感じることがあります。水草の陰に隠れられる場所があることで、ベタは「安心できる場所」を確保でき、これがストレスの大幅な軽減につながります。
また、水草はアンモニアや硝酸塩を栄養として吸収してくれるため、水質浄化の補助的な役割も果たしてくれます。
初心者のうちは、CO2(二酸化炭素)の添加や強い光を必要としない、丈夫な種類の水草から始めるのがおすすめです。「アナカリス(オオカナダモ)」や「ウィローモス」、「マツモ」などは非常に丈夫で、そのまま水槽に浮かべておくだけでも機能します。土台がセットになっていて置くだけのタイプも手軽で良いですね。
底床(ソイル・砂利・ベアタンク)の比較
底床(水槽の底に敷くもの)には、いくつかの選択肢があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
底床を敷かない「ベアタンク」という管理方法も一般的です。これはフンや食べ残しが底に溜まるのが一目瞭然で、水換えの際などにホースで吸い出しやすく、掃除が非常に楽なのが最大のメリットです。一方で、汚れが目立ちやすい、ろ過バクテリアの定着面積が減る、水草が植えられない、といったデメリットもあります。
底床を敷く場合は、主に「ソイル」か「砂利」が選択肢になります。
| 種類 | メリット | デメリット・注意事項 |
|---|---|---|
| ベアタンク (底床なし) | ・掃除が圧倒的に楽 ・フンやゴミが見やすい | ・汚れが目立ちやすい(観賞面) ・バクテリアの定着面積が減る ・水草は置くタイプのみ |
| ソイル (土を固めたもの) | ・水草を植えるのに最適 ・水質をベタが好む弱酸性に安定させる能力がある | ・約1年で粒が崩れ、交換(リセット)が必要 ・掃除で吸い出すと崩れやすい |
| 砂利・砂 (大磯砂など) | ・ろ過バクテリアの定着面積が増える ・専用ホースで底床内の掃除がしやすい ・半永久的に使える | ・水草は植えにくい(ソイルに比べ) ・pHを上昇させるタイプ(サンゴ砂、カキガラ)は絶対NG |
砂利選びの最重要注意事項
もし砂利や砂を選ぶ場合は、その種類に細心の注意を払ってください。特に「サンゴ砂」や「カキガラ」が混入している砂利は、水質をアルカリ性に傾けてしまいます。ベタは弱酸性~中性の水質を好むため、アルカリ性の水質は体調を崩す原因になります。「pHを上げないタイプ」の砂利(大磯砂や石英砂など)を選ぶことが非常に重要です。
ベタ初心者に必要なものと飼育のコツ
さて、必要なアイテムが揃ったら、いよいよベタをお迎えする準備と、日々の管理(お世話)のスタートです。ベタを健康に育てるためには、ここでの小さな失敗をなくすことが本当に重要になります。特に「エサやり」と「水換え」、そして「導入時の水合わせ」は、初心者が最も失敗しやすいポイントなので、しっかり確認していきましょう。
エサやりで失敗しない方法
初心者の失敗で、本当に、本当に多いのが「エサのやりすぎ(過給餌)」です。ベタが水面まで寄ってきてエサをねだる姿は非常に可愛らしく、つい、もう一粒、もう一粒とあげたくなってしまう気持ちは痛いほど分かります。
しかし、これが水質悪化やベタの健康を損なう直接的な原因になります。ベタは胃が小さく、消化能力もそこまで高くありません。与えすぎは、消化不良や肥満(脂肪肝)といった内臓疾患につながります。
そして何より、食べ残されたエサや、消化不良によるフンは、水槽内で腐敗し、水質を急速に悪化させる(アンモニアの発生源となる)最大の原因です。
まずはベタ専用に開発されたフード(浮上性で食べ残しが見えやすい顆粒タイプなどがおすすめ)を選び、与えすぎには細心の注意を払いましょう。
エサやりの目安
- 頻度: 1日に1回、または2回(朝と夕など)
- 量: 1回につき数粒(フードのパッケージに記載の量)を、2~3分で食べきれる量。
- 原則: 食べ残しが出た場合は、水を汚す原因になるため、必ずネットなどですくって取り除いてください。
「エサが足りなくて可哀想」と思うかもしれませんが、魚は飢えには比較的強いですが、水質悪化や食べ過ぎによる内臓疾患には非常に弱いです。「少し足りないかな?」くらいで止めておくのが、長期飼育の最大のコツですね。
頻度と量、水換えの基本

水換えは、水槽内の環境をクリーンに維持するために必須の作業です。たとえ高性能なフィルターを設置していても、生物ろ過の最終生成物である「硝酸塩」は毒性が低いとはいえ水槽内に蓄積し続けます。また、水は時間とともに蒸発し、水中のミネラル分などが濃縮されていきます(これを「飼育水が古くなる」と言います)。
これらの蓄積した有害物質や古くなった水を物理的に排出する唯一の方法が「水換え」です。
水換えを怠ると、硝酸塩の濃度が上がりすぎたり、水質が大きく変動したりして、ベタの免疫力が低下し、病気にかかりやすくなります。
水換え頻度と量の目安
- フィルターがある水槽: 週に1回、水量の1/3程度を交換するのが基本です。水槽が小さい(5L程度)場合は、もう少し頻度を上げて(例:4~5日に1回)、1/3交換するのが安全かもしれません。
- フィルターがない水槽(非推奨): 前述の通り、水質が急激に悪化するため、2~3日に1回、100%(全換水)という過酷なメンテナンスが必要です。
水換えの具体的な手順(フィルターありの場合)
- 準備: バケツに新しい水道水を汲み、「カルキ抜き剤」を規定量入れて塩素(カルキ)を中和します。
- 温度合わせ: 新しい水の温度が、水槽の水温とほぼ同じになるように調整します。(冬場はお湯を足すなどして調整します。ここで温度が違いすぎるとベタがショックを受けます)
- 掃除: 水槽の側面についたコケを、専用のスポンジやスクレーパーで先に落としておきます。
- 排水: 水換え用ホース(プロホースなど)を使い、底床(砂利など)に溜まったフンやゴミを吸い出しながら、古い飼育水をバケツに排出します。(ベアタンクの場合は、フンを直接吸い取ります)
- 注水: 準備しておいた新しい水を、ベタや水草に直接当たらないよう、水槽の壁面などに沿わせてゆっくりと注ぎ入れます。
水道水のカルキ抜きは必須です
日本の水道水は、殺菌のために塩素(カルキ)が含まれています。この塩素は、人間には無害ですが、魚のエラや皮膚にとっては有毒で、ダメージを与えてしまいます。(出典:東京都水道局「安全でおいしい水をお届けします」)
水換えに使う水は、必ず「カルキ抜き剤(水質調整剤)」を使って塩素を中和(除去)してから使用してください。これはベタ飼育における絶対のルールの一つですね。
購入後の水合わせの手順

ショップからベタを連れて帰ってきた日。いきなり新しい水槽にドボンと入れるのは絶対にNGです。これは初心者が行う最も致命的で、かつ最も多い失敗の一つです。
なぜなら、ベタが入っていたショップの袋の水と、あなたが準備した新しい水槽の水とでは、「水温」と「水質(pHや硬度など)」が必ず異なるからです。
この異なる環境へいきなり移されると、ベタは急激な環境変化に耐えられず、「ショック症状」を起こしてしまいます。これが原因で体調を崩し、最悪の場合、数日以内に死んでしまうこともあります。
このショックを防ぎ、ベタに新しい環境へゆっくりと慣れてもらうための作業が「水合わせ」です。非常に重要なので、面倒でも必ず実行してください。
水合わせの具体的な手順(袋を使った方法)
- 水温合わせ:
まず、買ってきたベタを袋ごと、そのまま新しい水槽に20分~30分浮かべます。これで袋の中の水温と、水槽の水温を同じにします。
- 水質合わせ(前半):
袋を開け、袋の中の水を半分ほど捨てます。その後、新しい水槽の水を、捨てた量と同じくらい(袋の中の水が倍量になるくらい)袋に入れます。
- 水質合わせ(後半):
その状態で、袋の口を軽く閉じ(洗濯バサミなどで水槽のフチに固定すると楽です)、15分ほど待ちます。これをもう1~2回繰り返します。(袋の水を半分捨て、水槽の水を入れる→15分待つ)
- 導入:
水質合わせが終わったら、ベタ本体のみを小さなネットで優しくすくい、水槽に移します。
ショップの水は水槽に入れない!
水合わせに使った後の、袋の中の古い水は、水槽に入れないように注意してください。この水には、ショップの水槽にいた病原菌や寄生虫、あるいはベタ自身の排泄物が含まれている可能性があるためです。ベタ本体だけを移すのが鉄則です。
病気にさせない環境づくり
ここまで読んでいただくと、ベタを病気にさせないために何が重要か、もうお分かりかと思います。それは、これまで説明してきた「失敗のカスケード(連鎖)」を、最初の段階で断ち切ることです。
初心者が陥る「失敗の連鎖(カスケード)」
- 「安価で手軽に飼えそう」というイメージから「小さな容器」を選ぶ。
- → 小さな容器はヒーターやフィルターを設置しにくいため、「ヒーターなし」「フィルターなし」という危険な選択をする。
- → 「ヒーターなし」により、水温が不安定になり、ベタは「低体温ストレス」に晒される。
- → 「フィルターなし」+「水量不足」により、わずかなエサのやりすぎやフンで、水質は急速に悪化し「アンモニア中毒」状態になる。
- → ベタは「低体温」「ストレス」「アンモニア中毒」の三重苦に耐えられず、免疫力が完全に崩壊する。
- → 結果、ヒレが溶ける「尾ぐされ病」や、体に白い点が付く「白点病」などを発症し、死に至る。
この破滅的な連鎖を防ぐために、本記事で推奨している「5L以上の水槽(できれば10L以上)」「ヒーター(と水温計)」「フィルター」という初期装備は、決して過剰なものではなく、ベタの命を守るために最低限必要な「生物学的な安全装置」なんです。
これらに加えて、日々の観察(ちゃんと泳いでいるか、ヒレは綺麗か、食欲はあるか)を怠らず、異変の早期発見に努めることが、病気にさせない一番の秘訣ですね。
ここで紹介した情報は、あくまでベタ飼育の一般的な目安の一つです。ベタの個体差や、お住まいの地域の気候、ご自宅の飼育環境によって最適な方法は異なる場合があります。日々の観察を何よりも大切にしてください。
もし判断に迷うことや、ベタの体調に明らかな異変(ヒレがボロボロになる、全く動かない、エサを食べないなど)を感じた場合は、ご自身の判断で薬などを投入する前に、速やかに経験豊富なアクアリウムの専門ショップや、魚を診察できる獣医師にご相談くださいね。
ベタ初心者に必要なものの総点検
最後に、ベタ初心者に必要なものについて、もう一度だけ大事なポイントをおさらいします。
ベタ飼育は、ショップでの陳列姿から受ける「コップ一つで手軽に始められる」というイメージとは裏腹に、実は「水量の確保(水質安定)」「水温の維持(ヒーター)」「水質の浄化(フィルター)」という3つの重要な要素が不可欠な、非常に奥の深い趣味です。
この基本原則を無視して「手軽さ」だけを追い求めると、ほぼ間違いなく失敗し、短期間でベタを死なせてしまうことになります。それは、あなたにとっても、ベタにとっても、とても悲しい結果ですよね。
ベタ飼育 成功へのステップ
- 準備: 最低5L以上の水槽、ヒーター、水温計、フィルターを「安全装置」として必ず揃える。
- 設置: カルキ抜きした水を入れ、全ての機器を稼働させ、水温が25℃前後で安定するのを丸一日ほど待つ。
- 導入: ショップから迎えたら、焦らず、本記事の手順で慎重に「水合わせ」を行う。
- 維持: 「エサのやりすぎ」に細心の注意を払い、「週1回・1/3」の定期的な水換えを習慣にする。
これらの「必要なもの」を初期投資としてしっかり揃え、正しい知識を持って日々の管理を行うこと。それが、初心者の失敗を防ぎ、ベタがその美しいヒレを最大限に広げて、元気に泳ぎ回る姿を長く楽しむための、一番確実で、一番の近道かなと思います。
ぜひ、万全の準備でお気に入りのベタをお迎えして、充実した素敵なベタライフをスタートさせてくださいね。

