外部フィルターと上部フィルターの併用!最強のろ過システム構築術
こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の「所長」です。
水槽のろ過能力に限界を感じていませんか。「最近、水が白く濁りやすい」「魚が増えてから、なんとなく生体の動きが鈍い」「コケの発生スピードが異常に早い」。もしあなたが今、このような悩みを抱えているなら、それは現在のろ過システムがキャパシティオーバーを迎えているサインかもしれません。特に、魚を過密気味に飼育していたり、大食漢の大型魚を飼っていたりする場合、単一のフィルターだけで理想的な水質を維持するのは、ベテランのアクアリストでも至難の業です。
そこで私が提案したいのが、「外部フィルターと上部フィルターの併用」というハイブリッドな選択肢です。一見すると「マニアックで難しそう」「配管が複雑になりそう」と敬遠されがちですが、実はこの組み合わせこそが、互いの弱点を補い合い、家庭用アクアリウムで実現しうる最も合理的で強力なろ過システムなのです。この記事では、私が長年のアクアリウム生活の中で試行錯誤してたどり着いた、失敗しない接続方法やメンテナンスのコツ、そして家族に怒られないための騒音対策について、経験談を交えながら詳しくお話しします。
- 2つのフィルターを組み合わせることで生まれる具体的なメリットと、水質が劇的に安定する科学的理由
- 導入前に知っておくべき騒音やスペース、コストといったデメリットへの現実的な対処法
- ろ過能力を最大化するための正しい接続順序と、水流をコントロールする配置パターン
- メンテナンスの手間を減らしつつ、バクテリアを最大限に活かす運用テクニック
この記事を読み終える頃には、あなたの水槽環境をワンランク上の「輝く水」へと進化させるための具体的なロードマップが見えているはずです。
外部フィルターと上部フィルターの併用効果とメリット

アクアリウムにおいて「ろ過不足」は万病の元ですが、単に同じフィルターを2つ増やすよりも、構造も原理も異なるタイプのフィルターを組み合わせる方が、はるかに高いシナジー効果(相乗効果)を得られることがあります。ここでは、なぜこの「ハイブリッド方式」が理にかなっているのか、その工学的な理由と実際のメリットを、少し専門的な視点も交えて深掘りしていきましょう。
最強のろ過能力を実現する仕組み
結論から言うと、この組み合わせが最強とされる最大の理由は、「好気性バクテリアの活性化」と「物理ろ過の効率化」という、相反しがちな要素を同時に、かつ高次元で達成できるからです。
まず、私たちが水槽で飼育している魚やエビは、呼吸によって酸素を消費し、二酸化炭素を排出します。そして、彼らの排泄物である有害なアンモニアを分解してくれる「硝化バクテリア(ニトロソモナス属やニトロバクター属など)」もまた、活動のために大量の酸素を必要とする「好気性細菌」です。つまり、水槽内の酸素濃度(溶存酸素量)が高ければ高いほど、ろ過バクテリアは元気に働き、水をピカピカにしてくれるのです。
上部フィルターの役割:酸素供給のスペシャリスト
上部フィルターは、ポンプで汲み上げた飼育水を、空気に触れさせながらろ過槽へ落とし、さらに水槽へ戻す際にも落水による曝気(エアレーション)を行います。この「ウェット&ドライ」に近い構造は、空気中の酸素を水中に溶け込ませる能力において、全フィルター形式の中でトップクラスの性能を誇ります。これにより、水槽全体が酸素リッチな状態になり、バクテリアの代謝が爆発的に向上します。
外部フィルターの役割:バイオフィルムのゆりかご
一方で、密閉式の外部フィルターは、酸素供給能力こそ上部フィルターに劣りますが、その真価は「安定した水流」と「広大なろ過面積」にあります。光が遮断され、一定の流速が保たれた密閉容器内は、バクテリアが定着してコロニー(バイオフィルム)を形成するのに最適な環境です。また、空気に触れないためCO2を逃がしにくく、水草育成にも有利という特性があります。
上部フィルターが作り出した「酸素たっぷりの水」を、外部フィルターへ送り込む。すると、外部フィルター内の大量のろ材に住み着いたバクテリアが、豊富な酸素を使ってフルパワーで汚れを分解する。この完璧な連携プレーこそが、単一のシステムでは真似できない圧倒的な浄化能力を生み出すのです。実際に私もこの構成にしてから、亜硝酸の検出レベルが劇的に下がった経験があります。
併用のデメリットと騒音への対策
もちろん、良いことばかりではありません。システムが複雑になれば、それだけ管理すべき点やリスクも増えます。導入前に覚悟しておくべきデメリットとして、特に「騒音問題」と「メンテナンスの複雑化」、そして「物理的なスペースの圧迫」が挙げられます。
1. 騒音のダブルパンチ
モーター(ポンプ)が2つ同時に稼働するため、単純計算で振動音(ブーンというハム音)は倍増します。さらに、上部フィルター特有の「落水音(ジャバジャバ音)」が加わるため、寝室や静かなリビングに設置する場合、家族からの苦情原因No.1になりかねません。
2. メンテナンスの手間
コンセントの数が2倍になり、掃除すべき機材も2倍になります。「あっちもこっちも掃除しなきゃ」という心理的負担は意外と大きいものです。
しかし、これらは適切な対策でコントロール可能です。
具体的な騒音対策テクニック

- 落水音の消音化: 上部フィルターの排水エルボに、短く切ったホースや塩ビパイプを接続し、排出口を水面下まで延長します。これだけで「ジャバジャバ」という音はほぼゼロになります。ただし、酸素供給能力は若干落ちるため、排水パイプにドリルで小さな穴を開け、空気を巻き込ませる工夫も有効です。
- 共振音の防止: 意外と盲点なのが、2つのフィルターの振動波長が重なって起きる「うなり音」です。これは、電源を入れるタイミングをずらす、あるいは防振ゴム(ジェルマットなど)をポンプや水槽台の下に敷くことで劇的に改善することがあります。また、ガラス蓋とフィルターが接触している部分に隙間テープを貼るのも効果的です。
- キャビネットの密閉: 外部フィルターを収納する水槽台の内側に、吸音材(スポンジやフェルト)を貼ることで、モーター音を閉じ込めることができます。
外部フィルターと上部フィルターのポンプが共振して、予想外の音が発生することがあります。モーターのインペラー(回転羽)が古くなっていると異音が大きくなるため、中古品を使う場合はインペラーやシャフトの交換も検討してください。
60cm水槽におすすめの併用事例

60cm規格水槽(約60リットル)は、この併用システムを最も導入しやすく、かつ効果を実感しやすいサイズです。なぜなら、各メーカーから高性能かつ安価な適合製品が販売されており、選択肢が非常に豊富だからです。私が初心者に相談された際に提案する「鉄板の組み合わせ」を紹介しましょう。
私が推奨する最強セットアップ:
| システム | 推奨機材例(代表例) | 役割と設定のコツ |
|---|---|---|
| 上部フィルター | GEX グランデ600 / コトブキ スーパーターボ トリプルボックス | 【物理ろ過特化】 ろ材バスケットには何も入れず、ウールマットだけを何層にも重ねて敷き詰めます。目に見えるゴミをここで100%カットする気概で運用します。ウェット&ドライ槽があるタイプが酸素供給には有利です。 |
| 外部フィルター | EHEIM クラシック 2213 / Tetra バリューエックスパワーフィルター | 【生物ろ過特化】 中身はすべて多孔質のセラミックリングやボール状の生物ろ材(サブストラットプロなど)にします。物理マットは最低限(粗目パッド1枚)でOK。流量を確保しつつ、バクテリアの住処を最大化します。 |
この構成のミソは、「役割分担の明確化」です。上部フィルターを物理ろ過専用にすることで、外部フィルター内部へのゴミの侵入を極限まで減らします。これにより、外部フィルターのメンテナンス頻度を半年に1回、あるいは1年に1回まで減らすことが可能になります。水槽の上部が少し窮屈になり、照明を置くスペースが狭くなる(通常2灯置けるところが1灯になる等)というデメリットはありますが、LED照明の薄型化が進んでいる現在では、それほど大きな問題にはなりません。過密飼育でも水質が崩れない非常にタフな環境を作りたいなら、この組み合わせがベストプラクティスです。
水質安定と油膜除去の相乗効果
水槽の表面にギラギラと浮く「油膜」。見た目が悪いだけでなく、水面からのガス交換(酸素の溶解とCO2の放出)を物理的に遮断してしまう厄介者です。油膜の正体は、餌に含まれるタンパク質や脂肪分、あるいはバクテリアの死骸などが結合したバイオフィルムの一種です。
外部フィルター単体で運用していると、吸排水が水中だけで完結してしまい、水面が揺れないためにこの油膜が非常に発生しやすくなります。油膜対策のために、わざわざ「サーフェススキマー」や「油膜取り」といった追加機材を購入する方も多いですが、吸水調整が難しく、小魚を吸い込む事故も起きがちです。
ここに上部フィルターが加わるとどうなるでしょうか。上部フィルターからの落水は、物理的に水面を叩き、強力な水流で水面を撹拌します。この物理作用によって、油膜は一瞬で破壊され、水中に溶け込んでフィルターへ吸い込まれていきます。つまり、上部フィルターを併用するだけで、高価なスキマーを買う必要がなくなり、常に鏡のように澄んだ水面を維持できるのです。
また、水面の油膜がなくなることで酸素の溶け込みがスムーズになり、好気性バクテリアがさらに活性化するという好循環(ポジティブ・フィードバック)が生まれます。水面の油膜やバクテリアの関係については、水面の油膜や酸欠に関する記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
大型魚飼育に併用が必須な理由

アロワナ、オスカー、ポリプテルスなどの大型肉食魚、あるいは「水を汚す天才」と呼ばれる金魚を多頭飼育する場合、排出されるフンの量と大きさは、ネオンテトラなどの小型魚とは次元が違います。これらを外部フィルター単体で管理しようとすると、悲劇が起きます。
単独運用の限界シナリオ:
大型魚の太いフンが外部フィルターのストレーナー(吸水口)を一瞬で詰まらせるか、内部のスポンジにへばりつきます。すると、流量が急激に低下し、フィルター内部への酸素供給がストップ。酸素が行き渡らなくなったろ材の中では、好気性バクテリアが死滅し、代わりに毒性の強い硫化水素などを発生させる嫌気性バクテリアが増殖します。その結果、水槽崩壊(クラッシュ)を招くのです。
そこで、上部フィルターを「ゴミ取り専用の前衛部隊」として最前線に配置します。上部フィルターの最大の利点は、「蓋を開けるだけで、手を汚さずにウールマットを交換できる」という圧倒的なアクセス性の良さにあります。
私は大型魚水槽の場合、上部フィルターのウールマットを「週に1回」ではなく、「汚れたら即交換」というスタンスで運用しています。フンが分解されてアンモニアという毒素に変わる前に、物理的に水槽の外へ取り出してしまえば、水質が悪化する道理がありません。この「汚れの源泉徴収」こそが、大型魚飼育におけるろ過の極意であり、それを最も低コストで実現できるのが上部フィルターなのです。大型水槽の水量とろ過の関係を理解する上でも、この物理ろ過のメンテナンス性は非常に重要です。
外部フィルターと上部フィルターを併用する接続と配置
「よし、併用しよう」と決心したものの、実際に機材を目の前にすると「どうやって繋げばいいの?」「パイプだらけで水槽内が狭くならない?」といった疑問が湧いてくると思います。それぞれ独立して動かすべきか、それともホースで繋いで連結させるべきか。ここでは、トラブルを未然に防ぐ安全な接続方法と、効率的な配置について、技術的な観点から解説します。
正しい接続方法と配管のコツ

併用方法には大きく分けて「直結(シリーズ接続)」と「独立(パラレル接続)」の2パターンがありますが、私の経験上、「独立稼働(パラレル接続)」を強く、強くおすすめします。
独立稼働(パラレル接続)とは?
上部フィルターは上部フィルターとして、外部フィルターは外部フィルターとして、それぞれ個別の吸水口と排水口を持って稼働させる方式です。つまり、水槽内に吸水パイプが2本、排水口が2箇所ある状態になります。
なぜ独立稼働が良いのか?
- リスク分散(フェイルセーフ): これが最大の理由です。もし深夜に外部フィルターのインペラーが破損して停止しても、上部フィルターが動いていれば酸欠による生体の全滅を防げます。逆もまた然りです。生命維持装置を二重化するイメージです。
- メンテナンスの柔軟性: 片方を大掃除しても、もう片方のバクテリアは無傷で稼働し続けています。これにより、掃除直後の水質急変(アンモニアスパイク)をほぼ確実に回避できます。
- 流量の確保: 連結させると配管抵抗が増え、全体の流量が落ちますが、独立なら各ポンプのスペック通りのパワーを発揮できます。
配管のコツ:
水槽の背面や側面にパイプが集中するため、見た目をどう処理するかが課題です。私は、水槽の背景に黒や青のバックスクリーンを貼り、パイプ類を目立たなくさせる手法をよく使います。また、パイプやホースが互いに干渉して無理な力がかかると、水漏れの原因になるので、キスゴム(吸盤)を使ってしっかりとガラス面に固定し、ホースにはゆとりを持たせることが大切です。
直結と独立稼働の順番の違い
水槽周りのスペースやコンセントの都合で、どうしても連結(直結)したいという方もいるかもしれません。その場合、接続順序は必ず「水槽 → 外部フィルター → 上部フィルター → 水槽」となります。
この構成では、外部フィルターが「ポンプ兼プレフィルター」の役割を果たし、ろ過された水を上部フィルターの散水トレイに送り込みます。
直結運用の高いハードルとリスク:
しかし、この方法は以下の理由から初心者には推奨しません。
- 揚程不足: 外部フィルター(特に小型のもの)のポンプは、水を高い位置まで押し上げる「揚程力」があまり強くありません。通常より高い位置にある上部フィルターまで水を持ち上げると、流量がガクンと落ち、チョロチョロとしか水が出ないことがあります。これではろ過能力が半減してしまいます。
- オーバーフロー事故: もし上部フィルターのウールマットが詰まって水が流れにくくなった場合、外部フィルターからの圧力で水が溢れ出し、床が水浸しになるリスクがあります。
- エア噛み地獄: 配管が長くなる分、空気が抜けにくく、起動時の呼び水やエア抜きに非常に苦労します。
メーカーが推奨していない連結運用を行う場合、水漏れ事故はすべて自己責任となります。特にマンションの2階以上にお住まいの方は、階下への漏水被害を防ぐためにも、安全確実な「独立稼働」を選ぶのが賢明です。
最適なろ材構成と掃除の頻度
併用システム最大の強みである「時間差メンテナンス」を実践し、水槽内のバクテリア環境を岩盤のように強固なものにしましょう。絶対にやってはいけないのは、「年末の大掃除だから」といって、2つのフィルターを同時に洗うことです。これをやると、せっかく定着したバクテリアが激減し、翌日水が白濁する「水質ショック」を引き起こします。
【私が実践している推奨スケジュール例】
| 対象 | 頻度 | 作業内容 |
|---|---|---|
| 上部フィルター | 1〜2週間に1回 | ウールマットが茶色くなったら即交換、または飼育水で揉み洗い。ここは物理ろ過の最前線なので、清潔さを最優先します。底に溜まった泥(デトリタス)もスポイトで吸い出します。 |
| 外部フィルター | 3ヶ月〜半年に1回 | 流量が落ちてきたと感じた時だけ開けます。中のろ材は水道水ではなく、必ず「バケツに汲んだ飼育水」で軽くすすぐ程度にします。汚れを落としすぎないのがコツです。 |
外部フィルターは、前段の上部フィルター(あるいは吸水口につけたスポンジフィルター)がある程度ゴミを取ってくれている状態であれば、驚くほど汚れません。中を開けずに長期間放置することで、内部には酸素が少ない環境で働くバクテリアも定着し、より多様な微生物生態系(マイクロバイオーム)が形成されます。ろ材の扱いについては、ろ材の洗浄や詰め方のコツも参考にしながら、バクテリアを「ペット」だと思って優しく扱ってください。
吸水と排水の配置で淀みを消す

2つのフィルターを使うなら、水流もデザインしましょう。水槽内にはどうしても水が動かない「淀み(デッドスポット)」ができやすく、そこにはフンや食べ残しが溜まり、病原菌の温床となります。また、止水域ではpHが局所的に低下し、生体にストレスを与えます。
おすすめの配置は「対角クロス配置」です。
例えば、上部フィルターの吸水口が「左奥」、排水口が「左手前」にあるとします。この場合、外部フィルターの排水シャワーパイプは水槽の「右側面」に設置し、水槽の長手方向に向かって水を吹き出させます。吸水口は「右奥」に配置します。
こうすることで、上部フィルターが作る「縦の回転流」と、外部フィルターが作る「横の水平流」が組み合わさり、水槽全体をくまなく回る複雑で立体的な水流が生まれます。結果として、底砂に汚れが溜まりにくくなり、病気の発生率も下がります。
また、水草水槽の場合は、外部フィルターの排水を「リリィパイプ」などのガラス製パイプにして水流を和らげたり、上部フィルターの落水位置を工夫してCO2を逃がさないようにしたりと、飼育スタイルに合わせた微調整が必要です。水流の強すぎは魚を疲れさせるので、洗濯機状態にならないよう、シャワーパイプの穴を広げる等の加工で流速をコントロールするのもテクニックの一つです。
外部フィルターと上部フィルターの併用まとめ
今回は、外部フィルターと上部フィルターの併用について、そのメリットから具体的な導入方法まで解説しました。
「たかがフィルター、されどフィルター」。初期費用や設置の手間はかかりますが、その分、得られる「水質の安定感」と「生体の安心感」は絶大です。特に、単独のフィルターでは白濁りが取れない、亜硝酸値が下がらないといったトラブルに直面している方や、愛着のある魚を少しでも長く、健康に飼育したいと考えている方にとって、このハイブリッドシステムは間違いなく投資する価値のある、最強のソリューションです。
アクアリウムの管理において、水質(環境省の基準などでも言及されるDOやpHなどの指標)を適切に保つことは基本であり、それを技術的に支えるのがフィルターです(出典:環境省『水質汚濁に係る環境基準』)。ぜひ、あなたの水槽環境に合わせた最適な組み合わせを見つけて、ワンランク上のアクアリウムライフを楽しんでくださいね。
※本記事で紹介した方法は一般的なアクアリウムの知識に基づきますが、機材の改造や特殊な接続による事故については責任を負いかねます。最終的な判断はご自身の責任において行ってください。


