GEXスリムフィルターの組み合わせ徹底ガイド

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の「所長」です。
GEXのスリムフィルター、薄型でデザインも良くて人気ですよね。ですが、「GEX スリムフィルター 組み合わせ」と検索されているということは、純正ろ材のままで良いのか、何か物足りなさを感じているのではないでしょうか。
スリムフィルター MやLの容量を活かした、ろ材の改造や詰め替えの方法が知りたい。あるいは、スポンジフィルターとの併用は効果があるのか、稚魚の吸い込みを防ぐ対策や、強すぎる水流を弱める工夫はないか…など、いろいろな「組み合わせ」に関する疑問があるかと思います。
この記事では、そんなスリムフィルターのポテンシャルを引き出すための、様々な「組み合わせ」のパターンを、内部のろ材から外部の機器併用まで、詳しく掘り下げていこうと思います。
- フィルター内部の「ろ材改造」の基本
- 他のフィルターと併用するメリット
- 稚魚やエビを守るためのパーツ活用法
- 強すぎる水流や騒音への対策
GEXスリムフィルターの組み合わせの基礎
まずは、スリムフィルターの「中身」、つまり「ろ材」の組み合わせに関する基本的な知識から見ていきましょう。ここが一番のキモになるかもしれませんね。スリムフィルターは、この「ろ材」の組み合わせ次第で、まったく別物の高性能フィルターに生まれ変わる可能性を秘めていますから。
スリムフィルター MとLの容量
「組み合わせ」、特に「ろ材改造」を考える上で、絶対的に重要なのがフィルター本体の「ろ過槽容量」です。
GEXスリムフィルターにはSS、S、M、Lと4つの主要なサイズがラインナップされていますが、本気でろ過能力の向上を目指すなら、選ぶべきはM、できればLサイズですね。
データベース情報によると、例えばスリムフィルターMは純正ろ材スロットが3枚分、対してLは4枚分の容量を持っています。たった「1スロットの差」と思うかもしれませんが、この物理的なスペースの差が、改造の自由度を決定づけます。
ろ過能力、特に水質を長期的に安定させる「生物ろ過」の能力は、いかに多くのバクテリアを定着させられるか、つまり「ろ材の総表面積」で決まります。容量が大きいLサイズなら、物理ろ過(ゴミ取り)のスペースを確保しつつ、さらに高性能な生物ろ材を詰め込む余裕が生まれます。
SSやSサイズは、そのコンパクトさゆえに、ろ材を詰め替えるスペースが物理的にほとんどありません。もしこれから購入される方で、少しでも「改造」や「高性能化」を考えているなら、水槽サイズに対して設置可能な限り大きなモデル(特にLサイズ)を選ぶことが、後々の満足度に直結する、と私は断言します。
純正ろ材の組み合わせパターン
とはいえ、まずはメーカーであるGEXが推奨する、純正ろ材(スリムマット)の組み合わせ方について理解しておくことも大切です。
GEXの公式な見解では、実は「入れる順番や組み合わせに特に決まりはない」とされています。これは、飼育環境に応じてユーザーが自由に調整できるようにという配慮かなと思います。
例えば、GEXは以下のような交換マットをラインナップしています。
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- 活性炭スリムマット:黄ばみや臭いを吸着する。
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- バクテリアスリムマット:生物ろ過バクテリアの定着を促す。
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- ベストロカ コケを抑えるスリムマット:コケの発生を抑制する成分が含まれる。
水槽立ち上げ初期で黄ばみが気になるなら活性炭マットを多めに、水質を安定させたいならバクテリアマットを多めに、といった具合に調整できるわけですね。
ただし、たった一つだけ、メーカーが明確に「禁止」している組み合わせが存在します。これは非常に重要なポイントです。
【併用禁止】コケを抑えるマットと活性炭マット
メーカーによると、「コケを抑えるマット」に含まれるコケ抑制の有効成分が、「活性炭マット」の強力な吸着力によって吸い取られてしまい、効果がなくなってしまう可能性があるため、この2つの併用は避けるよう指示されています。(出典:ジェックス株式会社 公式サイト Q&A)
これは本当に大事なポイントです。活性炭は、その性質上、水の黄ばみや臭い(悪いもの)だけでなく、水草用の肥料成分や魚病薬の有効成分、そしてこのコケ抑制成分(良いもの)まで、区別なく吸着してしまうんです。
この事実から、私は活性炭マットは「常時セットしておくもの」ではないと考えています。
「流木の黄ばみがひどい時」や「魚病薬での薬浴が終わった後に、水槽内に残った薬剤を除去したい時」など、目的がはっきりしている時に一時的に使用する「スポット利用」が最も合理的な使い方かなと思います。常時入れていると、水草が育つための大切な肥料まで吸着してしまう可能性も否定できませんからね。
ろ材 改造のメリットと注意点
さて、ここからが本題かもしれません。「GEXスリムフィルターの組み合わせ」と検索してたどり着いた方の多くは、この「ろ材改造」に強い興味をお持ちではないでしょうか。
純正の交換式マットは、手軽に交換できる反面、いくつかの大きなデメリットがあります。
- バクテリアのリセット:マットを交換するたびに、そこに定着していたはずの貴重なろ過バクテリア(水をキレイにしてくれる微生物)が丸ごと捨てられてしまい、水質が不安定になりがちです。
- ランニングコスト:定期的に交換マットを買い続ける必要があり、長期的にはコストがかさみます。
- 目詰まり:物理ろ過と生物ろ過が一体になっているため、物理的なゴミですぐに目詰まりし、ろ過能力が低下しやすいです。
そこで、この交換式マットの使用をきっぱりとやめ、フィルターの筐体(ケース)だけを利用し、中身を高性能な「生物ろ材」に「詰め替える」という改造が、多くの上級者に支持されているわけです。
メーカー公認?の改造パーツ「スリムカセット」
面白いことに、自身が「スリムカセット」という製品を販売しています。これは表向き、スポンジマットなどがセットされた交換ろ材の一種ですが、多くのアクアリストの真の目的は、中身のスポンジではなく、「プラスチック製のフレーム(ろ材ケース)」を入手することにあります。
このカセットのフレームを利用することで、後述するリングろ材などを詰め替える作業が格段にやりやすくなります。GEXも「改造したい」というユーザーの需要を分かった上で、この「事実上の改造公認パーツ」を提供してくれているのかもしれませんね。
ただし、この素晴らしいろ材改造にも、致命的な失敗につながる重大な注意点があります。
それは、ろ材やスリムカセットと、フィルター本体のろ過槽との間に「隙間」ができてしまうことです。水は抵抗が最も少ない場所を流れようとします。もし隙間があれば、飼育水は抵抗の大きい「ろ材の中」を通過せず、抵抗ゼロの「隙間」を素通りしてしまいます。
これを「バイパス」と呼びますが、これが発生すると、どんなに高価で高性能な生物ろ材を詰め込んでも、まったく機能しない「ただの飾りの箱」になってしまいます。これだけは絶対に避けなければいけません。
改造におすすめの生物ろ材
では、実際に改造するとして、どのようなろ材を組み合わせるのがベストでしょうか。
改造のセオリーは、ろ過の機能を「物理ろ過(大きなゴミ取り)」と「生物ろ過(バクテリアによる水の浄化)」に明確に分離することです。
物理ろ過(ゴミ取り)の役割と選定
物理ろ過は、水が最初にあたる部分、つまり「ろ材の一番上」に配置します。フンや残餌、枯れた水草の破片など、目に見える大きなゴミをここで漉し取るのが目的です。
ここは最も汚れが溜まる場所なので、安価に交換・清掃できる素材が望ましいですね。
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- 上部フィルター用のウールマット(推奨):安価で大容量。必要なサイズにハサミでカットして使います。
- コトブキ工芸 薄型高密度マット:スリムフィルターのサイズにカットしやすいと評判のようです。
これらを「スリムカセット」などのフレームの一番上にセットします。ここが目詰まりしてきたら、このウールマット部分だけを取り出して、飼育水で軽く洗うか、安価なので新品に交換してしまいます。こうすることで、後段の「生物ろ材」にダメージを与えることなく、物理ろ過の機能だけをリフレッシュできます。
生物ろ過(バクテリアの住処)の役割と選定
ウールマットの下、カセットの残りのスペース全てが、この水槽の心臓部ともいえる「生物ろ過」のエリアです。ここに、いかに多くのバクテリアを定着させられるかが勝負です。
選ぶべきは、「多孔質(たこうしつ)」と呼ばれる、目に見えない無数の微細な穴が開いているろ材です。この穴の内部が、バクテリアの広大な住処となります。
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- サブストラットプロ(エーハイム):球状で水の通りが良く、表面積も広い、定番中の定番ろ材です。
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- エーハイムメック(エーハイム):筒状で、目詰まりしにくく水の通り道を確保しやすいのが特徴です。
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- パワーハウス Sサイズ:こちらも非常に高性能な多孔質ろ材として有名ですね。
これら高性能な生物ろ材は、初期コストこそかかりますが、適切にメンテナンス(飼育水で軽くすすぐ程度で、絶対に水道水で洗わないこと)すれば、半永久的に使用できます。結果として、純正マットを買い続けるよりもランニングコストを劇的に削減できるのが、改造の最大の経済的メリットですね。
ろ材の詰め替え方法とコツ
実際にろ材を詰め替える際、大きく分けて2つの戦略があるかな、と私は考えています。ご自身のメンテナンススタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。
戦略A:生物ろ過 最大化(上級者向け)
これは、スリムカセット内の「物理ろ過(ウールマット)」を最小限、あるいはゼロにし、ろ過槽の100%に近い容量を「生物ろ材」で満たすという、攻撃的な戦略です。
メリット:限られたスリムフィルターの容量を、生物ろ過能力に全振りするため、最大の水質浄化能力が期待できます。
デメリット:物理的なゴミが直接生物ろ材に到達しやすくなり、生物ろ材自体の「目詰まり」のリスクが高まります。
この戦略を採用する場合は、後述する「4-1. ストレーナースポンジ」との組み合わせが必須条件となります。吸水口の時点で大きなゴミをシャットアウト(プレろ過)することで、初めてこの戦略が成立します。
戦略B:バランス型(メンテナンス重視)
こちらは、カセット内に「カットしたウールマット(物理ろ過)」と「生物ろ材」を両方入れる、最も標準的でバランスの取れた戦略です。
メリット:メンテナンスが非常に容易です。目詰まりしたら、安価なウールマット部分だけをサッと交換・清掃すれば済むため、生物ろ過へのダメージを最小限に抑えられます。
デメリット:貴重なスペースがウールマットに取られるため、生物ろ過の絶対容量は戦略Aより減少します。
多くの方にとっては、まずこの「戦略B」から始めるのが安全で、管理もしやすいかなと思います。
最重要:バイパスを完璧に防ぐコツ
どちらの戦略を選ぶにしても、先ほど警告した「バイパス」対策が、改造の成否を分ける最重要ポイントです。
ろ材を詰めたスリムカセットをフィルター本体にセットした時、カセットの側面とろ過槽の壁の間に隙間ができていないか、指で触って必ず確認してください。レビューなどを見ても「スカスカで浮いてくる」といった指摘があるようです。
もし少しでも隙間があるようなら、カットしたウールマットの切れ端などをピンセットでその「隙間」に詰め込み、物理的に水の通り道を塞いでください。
水が「ろ材の中を通過せざるを得ない」状態を強制的に作り出すこと。これが、改造の性能を100%引き出すための、何よりも大切なコツです。
改造に関するご注意(再掲)
ろ材の改造は、メーカーの保証外となる行為です。ろ材の詰め込みすぎによるモーターへの負荷、予期せぬバイパスによる水質悪化など、トラブルが起こる可能性もゼロではありません。実施する場合は、あくまで自己責任のもと、水質(アンモニアや亜硝酸)のチェックや、生体の様子を注意深く観察しながら行ってください。
応用的なGEXスリムフィルターの組み合わせ
フィルター内部の「ろ材改造」だけでも大幅なパワーアップが見込めますが、スリムフィルターの真価は、他の機器やパーツとの「外部の組み合わせ」によって、さらに引き出されます。内部の弱点を外部で補うイメージですね。
フィルターの併用でろ過強化
「ろ過能力が、どうしても足りない…」特に60cm水槽での過密飼育や、そもそも水量が多い90cm水槽などでスリムフィルターLを使っている場合、ろ過能力の絶対量が不足することがあります。
その場合の有効な「組み合わせ」が、スリムフィルターの「2台設置」です。
もちろん、ろ過材の量が2倍になるので、物理的・生物的ろ過能力が単純に向上します。しかし、この方法の最大のメリットはそこではありません。
最大のメリットは、「水質管理リスクの分散」にあります。
アクアリウムにおいて、フィルターの掃除は水質を維持するために必須ですが、同時に、定着したバクテリアを減らしてしまう最大のリスクイベントでもあります。このジレンマを解決するのが「2台設置」です。
2台のフィルターのメンテナンス時期を意図的にずらす(例:1週目にAのフィルターを掃除、3週目にBのフィルターを掃除)ことで、片方のフィルターのバクテリアが掃除によって一時的に減少しても、もう片方のフィルターが生物ろ過能力を維持し続けてくれます。
これにより、掃除直後のアンモニアや亜硝酸の発生といった水質の急激な変動を防ぎ、水槽全体を非常に安定させやすくなるんです。
ただし、当然ながらデメリットもあります。初期コストが2倍になること、水槽の縁の設置スペースが2倍必要なこと、そして何より「水流が強くなりすぎる」可能性が高いことです。この問題の解決には、次項「4-2」で解説する水流対策の「組み合わせ」が必須となるでしょう。
スポンジフィルターとの相性
スリムフィルター(外掛け式)と「スポンジフィルター」の併用は、多くのアクアリストの間で「最強コンビ」と称されることがある、非常に相性の良い、鉄板の組み合わせです。
なぜなら、両者の長所と短所が、パズルのピースのように完璧に補完しあえる関係にあるからなんです。
| フィルター | 役割(得意分野) | 弱点 |
|---|---|---|
| GEXスリムフィルター | 物理ろ過(ゴミ取り) 強力な水中モーターの「強制ろ過」で、水中に漂うフンや残餌を強力に吸い取る。 | 生物ろ過(バクテリアの住処)の容量が小さい。交換でバクテリアが減る(純正の場合)。 |
| スポンジフィルター | 生物ろ過(バクテリアの住処) スポンジ全体が広大なバクテリアの住処になる。エアリフト式で酸素も供給できる。 | 物理ろ過(ゴミ取り)の能力が弱い。フンなどの大きなゴミは吸い取りにくい。 |
この2つを併用すると、まず、スリムフィルターがその強力な吸水力で、水中の目に見える「物理的なゴミ」をスポンジフィルターよりも先に、効率よく除去してくれます。
その結果、どうなるか。
スポンジフィルターに到達するはずだった物理的なゴミの量が激減します。これにより、生物ろ過の要であるスポンジフィルターが、物理的なゴミで目詰まりするまでの時間が劇的に延長され、掃除の頻度を大幅に遅らせることができるんです。
バクテリアの塊であるスポンジに触る(掃除する)回数を最小限に抑えられること。これこそが、この「最強コンビ」が「水質を長期安定させる」最大の理由ですね。
稚魚の吸い込み防止対策

スリムフィルターの標準仕様が持つ明確な欠点の一つが、吸水口(ストレーナー)のスリットから、メダカやグッピーの稚魚、ミナミヌマエビやビーシュリンプの稚エビなどを吸い込んでしまう事故が多発することです。
これは、アクアリストにとって本当に悲しい事故ですよね…
この問題は、GEX純正のオプションパーツである「簡単ラクラクパワーフィルター/スリムフィルター 共通ストレーナースポンジ」や、他社製の適合する「ストレーナースポンジ」を、吸水口の先端に組み合わせる(装着する)ことで、ほぼ完全に防止できます。
しかし、このスポンジの役割は、単なる「稚魚の安全カバー」だけに留まりません。これこそが、ろ過システム全体を最適化する鍵となります。
「プレフィルター(物理ろ過)」としての重要機能
このストレーナースポンジは、それ自体が「プレフィルター(前処理フィルター)」として機能します。フンや枯れた水草の破片といった、フィルター本体の「目詰まりの原因」となる大きな物理的ゴミを、フィルター本体の内部に入る「前」の段階で漉し取ってくれるんです。
これにより、フィルター本体内部(スリムカセット内)のウールマットや、高価な生物ろ材が、物理的なゴミで目詰まりするのを大幅に軽減できます。つまり、フィルター本体のメンテナンス頻度を劇的に下げることができるんです。
さらに思い出してください。先ほど「ろ材の詰め替え方法」で紹介した「戦略A(生物ろ過 最大化)」、つまり内部のウールマットを廃止して生物ろ材で満たす上級者向けの改造は、このストレーナースポンジ(プレフィルター)との組み合わせによって初めて現実的に運用可能になる、と私は考えています。
稚魚やエビがいない水槽であっても、「ろ材改造」を行う全てのスリムフィルターユーザーにとって、このストレーナースポンジとの組み合わせは、メンテナンス性の向上とろ過能力の安定化のために「必須の組み合わせ」と言えるでしょう。
水流を弱める簡単な工夫
スリムフィルターは、そのしっかりしたろ過能力と引き換えに「排水の水流が強すぎる」ことが、特に小型水槽での使用時や、ベタ、メダカ、金魚、エビといった強い水流を嫌う生体の飼育において、大きな課題となりがちです。
かといって、フィルター本体の流量調節つまみ(付いているモデルの場合)で流量を絞ってしまうと、肝心の「ろ過能力(=フィルターを通過する水の量)」自体が落ちてしまいます。それは本末転倒ですよね。
そこで目指すべきは、「ろ過能力(流量)自体は落とさずに、排水の『勢い』だけを緩和する」工夫です。
- 方法A:背面ガラスにぶつける(バックアタック) これは定番のテクニックですね。排水口に、カットしたホースや、専用のアタッチメント(DIYで作る方も多いです)を取り付け、その水流を水槽の「背面ガラス」に意図的にぶつけます。水流の運動エネルギーがガラス面で緩衝され、生体に直接あたる前方への強い流れを大幅に緩和できます。
- 方法B:水流を分割・分散させる 排水口に(これもアタッチメントなどが必要ですが)逆向きにパーツを取り付けて「くぼみ」に水流を当てる構造を作ったり、複数の穴が開いたパーツ(シャワーパイプのようなもの)を取り付けたりして、一つの強い流れを「複数の弱い流れ」に分割・分散させる方法もあります。
これらは、フィルターの重要な「ろ過能力(流量)」を犠牲にすることなく、生体の「快適性(弱水流)」を両立させるための、非常に実用的な「組み合わせ」のテクニックと言えます。
静音性を高める対策
「スリムフィルターは(水中モーターだから)静かだ」という高い評価と、「(GEXなのに)うるさい」「ビビリ音がひどい」という酷評、レビューサイトなどで両方見かけることがありませんか?
これは一見矛盾しているようですが、騒音の「発生源」を特定すれば合理的に説明できます。
スリムフィルターは「水中モーター」を採用しています。水中モーターは、構造上、モーター自体の動作音が水に吸収されるため、空冷式のモーター(上部フィルターなど)よりも静かであるのが一般的です。特に新型のDC-Xポンプ搭載機は、メーカーも「静音」を謳っています。
では、なぜ「うるさい」という評価が存在するのか。多くのレビューを分析すると、その騒音源は「モーター本体の動作音」ではなく、「モーターの微細な振動が、フィルターのプラスチック筐体、特に『蓋(フタ)』に伝わって発生する『共振音(ビビリ音)』」である可能性が非常に高いようです。
「ジー…」「カタカタカタ…」といった不快な音がもし蓋のあたりから聞こえる場合は、以下の対策を試してみてください。
- フィルターの蓋を開ける。
- 蓋と本体が接触する「フチ」の部分(全周)に、クッションとなる素材を挟み込む。
共振音対策に使える素材の例
- 薄いスポンジ(激落ちくんのようなメラミンスポンジを薄くスライスしたものなど)
- 布(使い古しのTシャツの切れ端など)
- 耐震マット、耐震ジェルの切れ端
- 薄いゴムシート、シリコンシート
これだけでモーターの振動が蓋に伝わるのを物理的に遮断でき、驚くほど静かになるケースが多いです。対策を講じない場合は「うるさい」、この簡単な「組み合わせ」の工夫を講じれば「静音」になる、というのが評価の分岐点になっているわけですね。
GEXスリムフィルターの組み合わせ総括
ここまで、GEXスリムフィルターの内部(ろ材)から外部(他機器・パーツ)に至るまで、様々な「組み合わせ」の可能性について詳細に見てきました。
結論として、GEXスリムフィルターは、「買ってきて箱から出し、純正マットを入れてそのまま使う(Out-of-the-Box)」製品としては、純正ろ材のランニングコストやバクテリアリセット問題、強すぎる水流、稚魚の吸い込みリスク、そして(対策前の)蓋の共振音など、多くの潜在的な欠点を抱えた、ごく平凡な外掛け式フィルターに過ぎないかもしれません。
しかし、この記事で紹介したような…
- 内部ろ材を高性能な生物ろ材とウールマットに「改造」し(バイパス対策を完璧に行い)、
- 吸水口にストレーナースポンジ(プレフィルター)を「装着」して本体のメンテ頻度を下げ、
- (必要に応じて)スポンジフィルターと「併用」して生物ろ過を盤石にし、
- 排水口に水流緩和パーツを「装着」して生体の快適性を確保し、
- 蓋のフチにクッション材を「施工」して共振音を消す
…といった「組み合わせ」のステップを適切に実行することで、GEXスリムフィルターは、その本来の長所である「スリムなデザイン」と「(改造による)高いメンテナンス性」、そして「(対策後の)静音性」と「改造による高い生物ろ過能力」をすべて兼ね備えた、非常にコストパフォーマンスの高い「最強のろ過プラットフォーム」へと変貌します。
GEXスリムフィルターは、一見すると初心者向けの製品ですが、その真価は「組み合わせ」と「改造」を前提とする、知識と技術を持った中級者・上級者によってこそ最大限に引き出される、非常にユニークで懐の深い製品である、と私は結論付けます。
ぜひ、あなたの水槽環境に合った GEXスリムフィルターの組み合わせを見つけて、フィルターの性能を最大限に引き上げ、より快適なアクアライフを楽しんでみてくださいね。
情報に関する免責事項
この記事で紹介した改造方法やパーツの組み合わせは、水質や生体に影響を与える可能性があります。効果や安全性を保証するものではありません。
特にろ材の改造はメーカーの保証対象外となる行為ですので、実施の際はご自身の責任において、水質(アンモニア、亜硝酸の濃度)や生体の様子をよく観察しながら慎重に行ってください。不明な点や不安な点がある場合は、アクアリウムの専門家や販売店にご相談されることを強くおすすめします。


