グッピーの種類一覧|人気品種の特徴・値段と選び方
グッピーを飼おうと調べはじめると、まず品種名の多さに面食らいます。ブルーグラス、モスコーブルー、ドイツイエロータキシード、キングコブラ。呪文のような名前が並んでいて、どれがどう違うのか、そもそも何を基準に選べばいいのかが見えてきません。
先にお伝えしておくと、名前を全部覚える必要はありません。グッピーの品種名には決まった組み立て方があって、その仕組みさえ分かれば、初めて見る名前でもだいたいの姿が想像できるようになります。
そしてもうひとつ。品種を選ぶときに見るべきなのは色柄だけではありません。丈夫さ、手に入りやすさ、価格帯。この3つを一緒に見ておかないと、気に入った柄を選んだのに維持できない、という結果になりがちです。
実際、見た目がきれいな品種ほど繁殖が難しかったり、そもそもオスが交尾できない仕組みだったりします。知らずに買うと、増やすつもりが1世代で途切れてしまうこともあるのです。
この記事では、品種名の読み方から代表的な品種の系統、そして自分に合う1品種の絞り方までを順に整理していきます。
- グッピーの品種名がどう組み立てられているか
- 国産と外国産で値段が変わる理由
- 系統ごとの代表的な品種と見た目の違い
- 丈夫さと価格から自分に合う品種を絞る手順
グッピーの種類はどう分けられているのか
現在流通しているグッピーは、数百種とも言われる改良品種の集まりです。ただし、そのすべてが同じ1つの種から作られています。
グッピーの原産地はベネズエラからギアナにかけての南米地域で、日本には1955年頃に観賞用として輸入されました(出典:国立環境研究所 侵入生物データベース グッピー)。野生のグッピーは地味な魚です。今売られている派手な柄は、そこから70年近くかけて人が選び続けた結果ということになります。
なぜこれほど短期間で品種が増えたのか。理由はグッピーの繁殖サイクルにあります。水温が25度以上あれば、メスはおよそ1か月に1度のペースで仔を産みます。しかも卵ではなく、9ミリほどに育った仔魚をそのまま産み落とします。
卵を守る手間がいらず、生まれた時点である程度動ける。この2つが揃うと、世代交代のサイクルが極端に短くなります。狙った柄が出るまで何世代も回す品種改良にとって、これは決定的な条件でした。金魚やメダカの改良が数百年かけて進んだのに対し、グッピーが半世紀ほどで数百品種に達したのはこのためです。
裏を返せば、飼っている側から見ても増えるのが早いということでもあります。品種を選ぶ話は、そのまま増えたときにどうするかの話とつながっています。
つまり品種の違いは、生き物としての違いではなく、色と柄とヒレの形の組み合わせの違いです。ここを押さえておくと、名前の読み方も一気に楽になります。
品種名を構成する4つの要素
グッピーの品種名には順番のルールがあります。基本は、体色 → 体の柄 → 尾ビレの色や柄 → ヒレの形、の順に並びます。
たとえば「ブルーグラス」なら、青(ブルー)の尾ビレにガラスを砕いたような細かい斑点(グラス)が入る、という意味です。ドイツイエロータキシードであれば、ドイツで固定された黄色(イエロー)の尾ビレを持ち、体の後半が黒く染まる(タキシード)品種を指します。
長い名前も、この順番で区切っていけば読み解けます。「アルビノ・フルレッド・リボン」なら、アルビノ(色素が抜けた体)で、全身が赤く(フルレッド)、ヒレがリボン状に伸びる個体、といった具合です。
アルファベットの略号が挟まることもあります。よく見かけるのがRREAで、リアルレッドアイアルビノの略です。目が透けて赤く見えるタイプのアルビノを指しています。RREAフルレッドと書かれていれば、赤目のアルビノで全身が赤い個体、と読めるわけです。
逆に言えば、知らない単語がひとつ混じっていても慌てる必要はありません。どの位置に置かれているかで、それが体色の話なのか、ヒレの形の話なのかが推測できます。「◯◯タキシード」と書かれていればタキシードは体の柄ですから、◯◯の部分は尾の色を指している可能性が高い、という具合です。
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| 要素 | 示すもの | 名前の例 |
|---|---|---|
| 体色 | 体そのものの色や色素の状態 | アルビノ、ブルー、レッド、ジャパンブルー |
| 体の柄 | 胴体に入る模様 | タキシード、コブラ、丹頂 |
| 尾ビレの色や柄 | 尾に出る色と模様 | グラス、モザイク、フルレッド |
| ヒレの形 | ヒレの伸び方や形状 | リボン、スワロー、ソード |
店頭の表示に4つすべてが並ぶとは限りません。省略されることも、順番が前後することもあります。それでも、どの単語がどの要素を指しているかが分かれば、写真を見なくても姿の見当はつきます。
尾ビレの形による違い

色柄と並んで印象を左右するのが、尾ビレの形です。同じ柄でも尾の形が変われば、まったく別の魚に見えます。
もっとも一般的なのがデルタテールで、三角形に大きく広がる形です。日本で「グッピーらしい」とされる姿はほぼこれにあたります。次いでファンテールは扇形、ソードテールは尾の上下どちらか、あるいは両方が剣のように細く伸びる形を指します。
ソードテールにはさらに細かい呼び分けがあります。上側だけが伸びればトップソード、下側だけならボトムソード、上下の両方が伸びればダブルソードです。大きく広がる尾に慣れた目には物足りなく映るかもしれませんが、野生に近い体型の美しさを評価する層には根強い人気があります。
このほか、扇形に開くファンテール、先が細く尖るピンテール、丸みを帯びたラウンドテール、竪琴のように上下が伸びるライヤーテールなど、名前のついた形はかなりの数にのぼります。ただし店頭で日常的に見かけるのは、デルタテールとその変形がほとんどです。
ここに、ヒレ全体の伸び方を変える2つの形質が加わります。リボンとスワローです。リボンはヒレが糸のように長く伸び、スワローはヒレの一部がランダムに伸びます。どちらも独特の優雅さがあり、人気も高い形です。
ただし、リボンとスワローには繁殖上の大きな制約があります。この形質が出ているオスは、交接器(ゴノポディウム)まで一緒に伸びてしまうため、正常に交尾できません。
そのため、これらの品種は「見た目がノーマルのオス+形質の出たオス+メス」というオス2匹メス1匹のトリオで販売されるのが通例です。増やすことを考えているなら、購入時に繁殖用のオスが含まれているかを必ず確かめてください。1ペアだけ買って増やそうとすると、そこで系統が途切れます。
国産グッピーと外国産グッピーの違い
品種名と並んで、店頭でよく目にする区分が「国産」と「外国産(外産)」です。これは品種名ではなく、どこで育てられた個体かを示しています。
同じ品種名がついていても、この2つは価格も見た目の傾向も違います。最初の1組を選ぶうえでは、品種名より先に判断すべき軸かもしれません。
価格差が生まれる理由
外国産グッピーは、主に東南アジアの養殖場で大量に生産されています。1匹あたり数百円から手に入ることも珍しくありません。色彩は原色に近くはっきりしていて、尾ビレは比較的短めの傾向があります。
対して国産グッピーは、国内のブリーダーが累代を重ねて育てた個体です。1ペアで数千円という価格帯が中心になります。日本人の好みに合わせて繊細な色彩と長い尾ビレが追求されてきた、という背景があります。
価格差の正体は、この手間の量です。柄を安定させるには何世代もの選別が要り、選から漏れた個体を抱える負担も生じます。生産数を追う養殖と、柄の完成度を追う累代では、1匹あたりにかかるコストがまるで違うわけです。
この差は「固定率」という言葉で説明されることがあります。親の柄が子にどれだけ揃って受け継がれるかの安定度のことです。固定率が高い血統ほど、写真どおりの個体が届く確率が上がります。
固定率を上げる作業は地味です。生まれた仔をすべて育てて、狙いから外れた個体を外し、残った個体だけで次の世代を作る。これを何世代も繰り返します。1回の出産で数十匹が生まれても、次に残るのはごく一部です。国産の価格には、この選から漏れた個体を育てた時間も含まれていると考えると腑に落ちます。
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| 項目 | 国産グッピー | 外国産グッピー |
|---|---|---|
| 価格帯の目安 | 1ペア2,000円前後〜 | 1匹200円〜400円程度〜 |
| 色彩の傾向 | 繊細で深みのある発色 | 原色に近くはっきりした発色 |
| 尾ビレ | 長く大きい傾向 | 短めの傾向 |
| 柄の安定度 | 累代管理で高い | ばらつきが出やすい |
| 入手のしやすさ | 専門店・通販が中心 | 量販店でも扱いが多い |
価格はあくまで一般的な目安です。品種や時期、店舗によって変わりますので、正確な金額は各販売店の商品ページをご確認ください。
ややこしいのは、品種名に生産者の名前や血統名がくっついてくる場合です。同じブルーグラスでも、どのブリーダーが手がけた系統かによって青の出方や斑点の細かさが変わります。表示に見慣れない固有名詞が入っていたら、たいていは血統を示す部分だと考えて構いません。
これは裏を返せば、品種名だけで比較しても意味が薄いということでもあります。同じ名前で値段が3倍違うとき、差は柄の完成度と血統の管理にあることがほとんどです。
初心者はどちらから始めるか

結論から言えば、最初の1組は国産をおすすめします。理由は値段ではなく、水への慣れです。
国産個体は日本の水道水に近い環境で累代されているため、家庭の水槽に入れたときの立ち上がりが読みやすくなります。外国産は輸入という長い輸送を経てくるぶん、店に並んだ時点で体力を落としていることがあります。
そしてもうひとつ、両者を同じ水槽で混ぜないでください。互いが持っている菌の構成が違うため、片方には何ともない菌がもう片方に重い症状を出すことがあります。この点は丹頂グッピーの記事で国産と混ぜてはいけない理由として詳しく扱っていますので、外国産に手を出す前に読んでおくと安心です。
人気のグッピー品種一覧
ここからは、実際に流通している代表的な品種を系統ごとに見ていきます。個々の名前を暗記するのではなく、「この系統はこういう見た目」という括りで捉えるほうが実用的です。
系統がつかめていれば、店頭で初めて見る品種名にも当たりがつきます。
ひとつ先に断っておきます。これから挙げる特徴は、基本的にオスの話です。
グッピーはオスとメスで見た目が大きく違う魚で、派手な色柄が現れるのはオスのほうです。メスは体が一回り大きくなる代わりに、色は控えめで、尾ビレもオスほど発達しません。同じ品種のペアを買っても、水槽で目を引くのはたいていオスということになります。
とはいえメスを軽く見るのは早計です。柄を次の世代へ渡す役目はメスも半分背負っていますし、そもそもメスの状態が悪ければ繁殖どころではありません。オスの写真だけで店を決めず、メスの腹まわりや泳ぎ方も一緒に確かめてください。
系統を覚えるまでは、手元で照合できるものがあると早く進みます。写真つきの図鑑なら、店頭で見た個体がどの系統にあたるかをその場で確かめられます。繁殖まで扱っているものを選んでおけば、迎えたあとも長く使えるはずです。
グラス系とモザイク系
グラス系は、尾ビレに細かい斑点が散る系統です。ガラスを砕いて散らしたように見えることから、この名前がついています。柄が入るのはヒレだけで、胴体は比較的あっさりしているのが特徴です。
代表格がブルーグラスで、国産グッピーの定番として長く人気を保っています。青い尾に散る斑点の透明感が評価される品種です。相場は1ペア2,000円前後といったところでしょう。
面白いのは、ブルーグラス同士を掛け合わせても子がすべてブルーグラスになるわけではない点です。一定の割合でレッドグラスが生まれてきます。この仕組みはレッドグラスがブルーグラスと同じ親から生まれる理由で詳しく解説していますので、繁殖まで考えている方は先に目を通しておくと迷いません。
一方のモザイク系は、尾ビレに大きめの模様がまだら状に入る系統です。グラス系の細かさに対して、こちらは面で見せるタイプ。ヒレが大きく伸びる個体が多く、泳ぐたびに柄が揺れる姿が持ち味になります。
モザイク系の代表としては、レッドモザイクやブルーモザイクの名前をよく見かけます。同じ「赤」でもグラス系の細かい斑点とは印象がまったく違いますので、写真を並べて比べてみると系統の違いがつかみやすくなります。
なお、グラス系とモザイク系はどちらも尾ビレで見せる系統です。水槽を上から眺めることが多いか、横から眺めることが多いかでも、映え方は変わってきます。設置場所を思い浮かべながら選ぶと後悔しにくいところです。
タキシード系とコブラ系
タキシード系は、体の後ろ半分から尾にかけて黒く染まる系統です。前半分と後ろ半分で色がはっきり分かれるため、燕尾服を着ているように見えることが名前の由来とされています。
この系統で最も知られているのがドイツイエロータキシードです。黒い後半と黄色い尾のコントラストが特徴で、価格は2,000円前後から、状態のよい個体では1万円近くになることもあります。ドイツイエロータキシードの柄が受け継がれる仕組みは別記事にまとめてあります。
コブラ系は、体とヒレの全体に細かい網目状の柄が入る系統です。迷路のような模様が全身を覆うため、遠目にも目を引きます。キングコブラがその代表で、外国産としても流通量が多く、比較的手に入れやすい部類に入ります。
タキシード系には他にも、青い尾を持つネオンタキシードなどがあります。この系統は総じて価格が高めで、状態のよい個体は1万円近くになることも珍しくありません。黒と鮮やかな色のコントラストという分かりやすい魅力があるぶん、競争が激しい分野でもあります。
コブラ系はタキシード系と対照的に、外国産としての流通が多い系統です。量販店のグッピーコーナーで網目模様の個体を見かけたら、たいていコブラ系だと思って差し支えありません。価格の面でも手を出しやすく、飼育に慣れる段階の相手として現実的な選択肢になります。
グラス系が「ヒレにだけ柄」、コブラ系が「全身に柄」。この違いを覚えておくと、店頭での判別がぐっと楽になります。
単色系とアルビノ系
単色系は、柄で見せるのではなく色そのもので勝負する系統です。尾ビレ全体が一色に染まるタイプが多く、水槽の中では意外なほど存在感を放ちます。
モスコーブルーはその代表で、深い青が全身を覆う品種です。相場は1ペア3,500円前後と、グラス系よりやや高めに位置します。青の濃さで評価が変わるため、選ぶときの見どころも他とは違ってきます。詳しくはモスコーブルーの特徴と青が濃くなる飼い方をご覧ください。
全身が赤く染まるフルレッドも単色系の人気品種です。こちらはアルビノとの組み合わせで印象が大きく変わります。
アルビノ系は、黒い色素(メラニン)が抜けた個体を指します。目が赤くなるのが分かりやすい特徴です。色素が抜けることで下地の色が鮮やかに透けるため、フルレッドと組み合わせると赤の発色が一段と強く出ます。ただし色素が少ないぶん光に弱い面があるとされ、強い照明を避けるなどの配慮が要る場合もあります。
アルビノ系を選ぶときに知っておきたいのが、同じ「赤目」でも見え方に幅があることです。目の色が濃く出て強く目立つタイプと、色が薄くマイルドに見えるタイプがあり、後者は体色のほうが引き立ちやすいとされています。実物を見るか現物写真で確かめてから決めたい部分です。
色で選ぶのなら、見せ方まで含めて考えておくと満足度が変わります。魚には周囲の明るさに合わせて体色を変える性質があり、明るい底砂の水槽では色が薄く、暗い底砂では濃く見える傾向があるためです。
同じモスコーブルーでも、白い砂利の上と黒っぽい底床の上では印象がまるで違います。単色系やアルビノ系のように色そのものが売りの品種を選ぶなら、底床と照明をセットで考えておきたいところ。品種選びは水槽づくりの一部だと捉えると、失敗が減ります。
底床を暗い色に替えるだけでも、同じ個体の見え方は変わります。グッピーは中性から弱アルカリ性の水を好みますので、水質を大きく傾けにくいタイプを選んでおくと扱いやすいでしょう。黒系の底床は、単色系やアルビノ系の色を受け止める背景としても働きます。
系統の見分け方は、次の順に見ていくと迷いません。
- 柄が入っているのはヒレだけか、胴体にもあるか
- 胴体にあるなら、後半だけ黒いか(タキシード系)、全身が網目か(コブラ系)
- ヒレだけなら、細かい斑点か(グラス系)、大きなまだらか(モザイク系)
- 柄がほとんど無く一色なら単色系、目が赤ければアルビノ系
この4問で、店頭に並ぶグッピーのほとんどは分類できます。
相場より明らかに高い品種には、たいてい理由があります。柄の固定に時間がかかる、生まれてくる数が少ない、流通量そのものが少ない、といったところです。1ペア5,000円を超える品種も存在します。
野外で採集された「ワイルドグッピー」も、流通量が少ないため一部で高値がつきます。ただしこちらは改良品種とは飼育の勝手が違いますので、最初の1組に選ぶ相手ではありません。
自分に合うグッピーの選び方

系統がひととおり分かったところで、では実際にどう絞るか。ここが本題です。
おすすめは、色柄から入らないことです。先に条件で候補を削ってから、残った中で好きな柄を選ぶ。この順番にすると失敗が減ります。
丈夫さと維持のしやすさで絞る
最初に見るのは、その品種を維持できるかどうかです。
すでに触れたとおり、リボンやスワローの形質が出たオスは交尾ができません。この系統を選ぶなら、繁殖用のノーマルオスが同梱されたトリオで買う必要があります。1ペアだけ買って増やそうとすると、その世代で終わってしまうわけです。
アルビノ系も、色素が少ないぶん環境の影響を受けやすいとされています。単色系や柄の細かい系統は、選別を続けないと世代を重ねるうちに柄が崩れていくこともあります。
逆に、外国産のミックスやコブラ系は流通量が多く、状態のよい個体を選びやすい部類です。まず飼育そのものに慣れたい段階であれば、ここから入るのは理にかなっています。
入手性も見ておきたい条件です。量販店で通年並ぶ品種と、専門店に季節ごとに入る品種では、途中で追加したくなったときの選択肢がまるで違います。同じ血統を足したいのに手に入らない、という事態は意外と起こります。
柄を保ちたいのであれば、選別という作業からは逃げられません。生まれた仔をすべて育てていると、世代を追うごとに柄は平均へ寄っていきます。狙いに近い個体だけを残して次の親にする。この繰り返しが、ブリーダーのやっていることの中身です。そこまでやるつもりがないなら、柄が崩れにくい定番品種を選ぶほうが結果に満足しやすいと思います。
どの品種を選ぶにしても、水温が安定していることが大前提になります。適した温度の範囲はグッピーの適温をまとめた記事で確認しておいてください。品種を選ぶより先に整えるべき条件です。
逆に言えば、水温が上下する環境では、どんなに丈夫とされる品種を選んでも安定しません。品種の比較に時間をかける前に、まずは温度を一定に保てる状態を作っておきましょう。ここが決まっていないと、選んだ理由そのものが崩れます。
水温を一定に保つ器具は、品種を決めるより先に用意しておきたいものです。ワット数は水槽の容量に合わせて選びます。なお器具を入れたから安心というものではありませんので、水温計と併せて実際の数字を確かめる習慣をつけてください。
柄を長く楽しみたいなら、品種を絞って1種類だけ飼うのが近道です。複数の品種を同じ水槽に入れると自然に交配が進み、数世代でどの品種でもない柄に変わっていきます。混ぜること自体は悪くありませんが、「あの柄をまた見たい」と思ったときには戻せません。
価格帯から考える
次に予算です。価格帯はそのまま、扱いやすさの目安にもなります。
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| 価格帯の目安 | あてはまる品種の傾向 | 向いている段階 |
|---|---|---|
| 1匹200円〜400円程度 | 外国産のミックス・コブラ系 | まず飼育に慣れたい |
| 1ペア2,000円前後 | ブルーグラスなど国産の定番 | 柄を選んで長く飼いたい |
| 1ペア3,000円〜4,000円程度 | モスコーブルー、単色系 | 特定の色にこだわりたい |
| 1ペア5,000円以上 | 希少品種、状態の良い上位個体 | 系統を維持して育てたい |
年齢による値段の違いにも触れておきます。同じ品種でも、若魚は成魚よりかなり安く売られていることがあります。安いのには理由があって、その時点ではまだ品種の柄が出ていないからです。
グッピーのオスは、生後1〜2か月ごろから少しずつ色が乗りはじめ、成魚らしい柄が完成するまでにはさらに時間がかかります。個体差も大きい部分です。つまり若魚を買うということは、届いた姿ではなく血統を買うことになります。柄を自分の目で確かめてから決めたいなら、多少高くても成魚を選ぶほうが納得できるはずです。
もうひとつ、匹数についても触れておきます。高価な1ペアを大事に飼うのも良いのですが、柄を楽しむという一点で言えば、同じ品種を数匹まとめて泳がせたほうが見応えは出ます。同系統の色が群れて動くと、水槽の印象がまとまるためです。
予算をどう配分するかは好みの問題です。1ペアに寄せるか、手頃な品種を数ペアそろえるか。迷ったら、最初は後者から入って好みの方向をつかむほうが遠回りになりにくいかなと思います。
高い品種が飼いにくいわけではありません。ただ、高価な個体ほど柄の完成度を保つための管理が求められますし、失った時のダメージも大きくなります。
魚の値段だけで予算を考えないほうがいいかなと思います。水槽、フィルター、ヒーター、底床、水質調整剤。ひととおり揃えると、魚の何倍もかかることのほうが普通です。ここを見落として高い品種に予算を寄せると、肝心の飼育環境が手薄になります。
それから、増えることを前提に予算を組んでください。グッピーは条件が合えば繰り返し産みます。想定を超えて増えたときの対処はグッピーが増えすぎる原因と対処法にまとめてありますので、買う前に一度読んでおくと計画が立てやすくなります。
グッピーの種類に関するよくある質問(FAQ)
グッピーの品種は全部で何種類ありますか?
正確な数を数えることはできません。改良品種は今も作られ続けていて、ブリーダーが独自に名前をつけることもあるためです。数百種と表現されることが一般的です。
数を追うより、系統(グラス系・タキシード系・コブラ系など)で捉えるほうが実用的だと考えています。
違う品種を同じ水槽で飼ってもいいですか?
飼うこと自体に問題はありません。ただし自然に交配が進むため、生まれてくる子は元の品種の柄ではなくなっていきます。
柄を維持したいのであれば、水槽を分けるか1品種に絞ってください。なお国産と外国産を混ぜることは、柄の問題とは別に避けたほうが安全です。
グッピーとプラティを掛け合わせることはできますか?
同じ卵胎生メダカの仲間ですが、属が違うため交雑は基本的に起こりません。混泳させても新しい品種が生まれることはないと考えてよいでしょう。
詳しい理由はグッピーとプラティの交雑を扱った記事で整理しています。
メスは地味に見えますが、品種の違いは出ないのですか?
メスにも品種ごとの特徴は出ますが、オスに比べると控えめです。派手な色柄はオスに強く現れる性質があるためです。
ただし柄を次の世代へ伝えるうえでメスの役割は欠かせません。オスの見た目だけで選ばず、メスの状態も一緒に確かめてください。
同じ品種名なのに店によって見た目が違うのはなぜですか?
品種名の付け方に公的な決まりがないためです。同じ「ブルーグラス」でも、ブリーダーごとに追い込んできた方向が違えば、青の濃さも斑点の細かさも変わります。
気に入った柄があるなら、品種名だけでなく現物写真を見て選ぶのが確実です。
グッピーの種類選びのまとめ
最後に要点を整理します。
グッピーの品種名は、体色 → 体の柄 → 尾ビレの色や柄 → ヒレの形、の順に並びます。この順番で区切って読めば、初めて見る名前でも姿の見当がつきます。
店頭で最初に判断すべきは、品種名より国産か外国産かです。外国産は1匹数百円から、国産は1ペア数千円から。価格差は累代選別にかかる手間の差であり、初めての1組には水に慣れやすい国産が向いています。両者を同じ水槽で混ぜないでください。
系統は、ヒレにだけ細かい斑点が入るグラス系、面で見せるモザイク系、体の後半が黒くなるタキシード系、全身に網目が入るコブラ系、色そのもので見せる単色系。この5つを押さえておけば、たいていの品種名は分類できます。
そして選ぶ順番です。色柄から入らず、まず維持できるかで絞ってください。リボンやスワローの形質が出たオスは交尾ができないため、増やすつもりならノーマルオスを含むトリオで買う必要があります。ここを知らずに1ペアで買うと、系統はその世代で終わります。
予算は増えることを前提に組みます。条件が合えばグッピーは繰り返し産みますので、迎える前に飼える上限を決めておくと後で困りません。
なお、この記事の価格はあくまで一般的な目安です。品種の相場や在庫は時期によって変わりますので、正確な情報は各販売店の公式サイトをご確認ください。個体の状態や品種の扱いに迷ったときは、購入先の専門店やブリーダーへご相談いただくのが確実です。最終的な判断は、ご自身の飼育環境に合わせて行っていただければと思います。

