PROFILE所長プロフィール

金魚水槽のレイアウト|角と隙間を作らない安全な組み方と素材の選び方

ⓘ 広告 金魚
金魚水槽のレイアウトで守るべき2つの条件(鋭い角がないこと・体が入る隙間を作らないこと)と、素手でなでて確認する方法を示したスライド

金魚水槽のレイアウト|体を傷つけない安全な作り方

THE AQUA LAB 所長(イラスト)

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の所長です。

金魚の水槽をきれいに飾りたい。流木を入れて、石を組んで、水草を植えて。そう思って画像検索すると、素敵なレイアウトがたくさん出てきますよね。

ただ、そこで見つかる美しい水槽の多くは、小型の熱帯魚や水草を主役にしたものです。金魚を入れる前提では作られていません。金魚は体が大きく、泳ぎ方も熱帯魚とは違います。同じレイアウトを持ち込むと、体をぶつける、ヒレが裂ける、隙間に挟まるといった事故が起きることがあります。

この記事では、見た目の話をいったん脇に置いて、金魚の体を傷つけないレイアウトの条件から整理していきます。何を避けるべきかがはっきりすれば、その範囲の中でできる工夫も見えてきます。安全と見た目は、相反するものではないんですよね。

  • 金魚がレイアウトで怪我をする典型的なパターン
  • 流木・石・人工の飾りそれぞれの確認点
  • 水流と掃除の観点から見た配置の考え方
  • 品種によって変える物の減らし方

金魚水槽のレイアウトで最優先すること

まず、何を基準に判断するのかを決めます。ここが決まれば、店頭で飾りを手に取ったときの判断が速くなります。

結論|角と隙間を作らない

結論からお伝えします。金魚水槽のレイアウトで守りたい条件は、たったの2つです。鋭い角がないことと、体が入る隙間を作らないこと。この2つを満たしていれば、見た目はかなり自由に作れます。

角が危険なのは、金魚が体をこすったときに鱗や皮膚が傷つくからです。魚の体表は粘膜で守られていて、この膜が細菌の侵入を防いでいます。物理的にこすれて粘膜が剥がれると、そこから病気が入ります。傷そのものより、傷の後に来る感染のほうが問題だということですね。

隙間が危険なのは、金魚が入り込んで出られなくなるからです。金魚は好奇心が強く、狭いところに頭を突っ込みます。前に進めても後ろへは下がれない構造なので、一度入ると抜けられません。

物を入れる前のチェックは、手のひらで確かめるのが確実です。①素手でなでてざらつきや引っかかりがないか ②握ったときに指が挟まる隙間がないか ③水槽に入れたときに倒れたり転がったりしないか。この3つを通れば、たいていのものは安全に使えます。目で見て判断するより、触って判断するほうが早くて確実です。

金魚は体をかわすのが苦手

なぜ金魚だけこんなに気を使うのか。理由は体のつくりにあります。

金魚は改良によって体が丸く、ヒレが長くなった品種が多い魚です。原種のフナは細長い流線型で機敏に泳ぎますが、琉金やオランダ獅子頭のような丸ものは、体が寸詰まりで推進力も方向転換の速さも落ちています。とっさに障害物をよける動きが苦手なんですね。

さらに、目が突出した品種があります。出目金や水泡眼のように、目そのものが体から張り出している構造です。これらの品種は視界にも制約があり、目をぶつけるとスレ傷になって細菌感染を起こすことがあるとされています。実際、こうした品種の飼育では、ごつごつした装飾品は避けてできるだけシンプルなレイアウトにすることが勧められています。

加えて、長いヒレも引っかかりの原因になります。優雅に見えるヒレは薄い膜なので、鋭いものに触れれば簡単に裂けます。裂けたヒレは治りますが、その傷口から病気が入る経路になります。

つまり金魚は、熱帯魚なら平気なレイアウトでも怪我をしうる魚だということです。品種ごとの丈夫さの違いについては金魚の丈夫な種類を比較した記事のほうで整理しています。

事故が起きる3つのパターン

金魚水槽で起きる事故を擦れる・挟まる・崩れるの3類型に分け、それぞれの内容と原因になりやすい物を整理したスライド
金魚水槽で起きる事故の3類型

実際に起きる事故は、だいたい3つの型に分かれます。

→ 横にスクロールできます

何が起きるか 原因になりやすいもの
擦れる 鱗が剥がれ、ヒレが裂ける 角のある石、割れた流木、バリの残った樹脂
挟まる 体や頭が入って抜けなくなる 土管の穴、アーチ状の飾り、石と石の隙間
崩れる 積んだ物が倒れて下敷きになる 石組み、背の高い置物、固定していない流木

この中でいちばん見落とされるのが崩れるです。設置したときは安定していても、金魚が体当たりする、掃除で手が触れる、底砂が沈んで傾く、といった理由で少しずつ動きます。数か月後に倒れる、という時間差で起きるのが厄介なところです。

だから石を積むレイアウトは、金魚水槽ではあまり向いていません。どうしても組みたい場合は、接着剤で固定するか、そもそも積まずに1個ずつ置くほうが安全です。

事故に気づく手がかりも押さえておきましょう。擦れる事故は、鱗が数枚剥がれて白く見えたり、ヒレの縁がギザギザに欠けたりすることで分かります。決まった個体だけに傷があるなら、その個体がよく通る場所に原因があります。

挟まる事故は、見つけたときには手遅れになりやすいので予防が要ります。飾りを入れたあと数日は、いつもより多く様子を見てあげてください。同じ場所にじっとしている、姿が見当たらないといった変化があれば、まず飾りの中を確認します。

崩れる事故は、日々の観察では気づけません。だからこそ設計の段階で「倒れない形」にしておく必要があります。掃除のたびに指で軽く押してみて、ぐらつきがないかを確かめる習慣をつけると安心です。

もうひとつ、事故の起こりやすさは水槽の大きさにも左右されます。同じ飾りを入れても、45cm水槽と60cm水槽では金魚が使える空間がまるで違います。狭い水槽ほど障害物との距離が近くなり、ぶつかる頻度が上がります。水槽が小さいほどレイアウトは減らすという比例関係になると考えてください。

素材ごとに見る安全性

ここからは素材別に、何を確認すればいいかを見ていきます。

流木は角と穴を確認する

流木は金魚水槽でも人気の素材です。自然な雰囲気が出ますし、隠れ家にもなります。ただ、確認したい点が3つあります。

  1. 折れた断面が鋭くないか。流木は枝が折れた部分が尖っていることがあります。手のひらでなでて引っかかるようなら、その部分をやすりで落とすか、その流木は使わないでください。
  2. 穴の大きさが中途半端でないか。金魚が頭だけ入る穴がいちばん危険です。まったく入らないか、体ごと通り抜けられるか、どちらかにしてください。
  3. アクが出ないか。流木からはタンニンという成分が溶け出して、水が紅茶のような色になります。金魚に害があるわけではありませんが、観賞面では気になります。事前にアク抜きをしておくと落ち着きます。

流木の選び方や、アク抜きの具体的な手順は流木が安く買える場所と選び方・アク抜きをまとめた記事で詳しく扱っています。

もうひとつ、流木は水を吸うまで浮きます。沈まないうちに金魚が下に入り込むと、あとで浮上したときに挟まることがあります。完全に沈むまでは水槽に入れないか、石などで確実に固定してから入れてください。

サイズの選び方にも触れておきます。水槽の幅の3分の1から半分くらいまでに収めると、泳ぐ空間が残ります。金魚は熱帯魚と違って前後左右に大きく動く魚なので、この余白が窮屈さの差になります。大きい流木を1本入れるより、小ぶりなものを1本だけのほうが、金魚水槽では扱いやすいと思います。

石は倒れないことと水質を見る

石を選ぶときの確認点は2つ。物理的な安全と、水質への影響です。

物理面では、角の鋭さと安定性を見ます。自然の川や海で角が取れた石は比較的安全ですが、砕いて作られた石は鋭い面が残っています。手のひらで転がしてみて、痛いと感じたら金魚にも痛いと考えてください。

水質面で気をつけたいのが、カルシウム成分を含む石です。石灰岩や大理石といった石は、水に溶けてpHと硬度を上げます。金魚は弱アルカリ性まで許容する魚なので少し上がる程度なら問題になりませんが、大きく動くと話が変わります。

環境省が定める河川の環境基準では、水産3級(コイ、フナ等)にあたるC類型の水素イオン濃度は6.5以上8.5以下とされています(出典:環境省 別表2 生活環境の保全に関する環境基準(河川))。金魚はフナの改良品種なので、この幅が目安になります。石を入れたあとにこの範囲を大きく外れるようなら、その石は使わないほうが安全です。

アクアリウム用として売られている石にも性格の違いがあります。おおまかに整理すると次のようになります。

→ 横にスクロールできます

石の種類 形状の傾向 金魚水槽での注意点
溶岩石 表面が多孔質でざらつく 角は少ないが表面が粗い。体をこすると傷になりやすい
気孔石 穴が多く軽い 穴のサイズが中途半端だと挟まる。水質も上がりやすい
川石・玉石 丸く角が取れている 金魚水槽ではいちばん扱いやすい
石灰岩・大理石 白っぽく重い カルシウム分が溶けてpHと硬度を上げる

この表からも分かるとおり、水草水槽で人気の石が金魚に向くとは限りません。ごつごつした質感やダイナミックな穴は、水景としては魅力でも金魚には障害物になります。金魚水槽で選ぶなら、丸くて表面がなめらかな川石系がいちばん外れがありません。

拾ってきた石や、用途の違う石を使う場合は、水槽に入れる前に確かめてください。バケツに水を張って石を数日入れ、pHが大きく動かないかを見る方法が確実です。もっと簡単な見分け方として、石の目立たない部分に食酢を1滴落として泡が出るかを見る方法もあります。泡が出る石はカルシウム成分を含んでいるので、水質を動かす可能性があります。市販のアクアリウム用の石であればこの心配は小さいですが、100均の石を水槽で使うときの選び方と下処理をまとめた記事も参考にしてみてください。

人工の飾りはバリと塗装を見る

樹脂やセラミックでできた飾りは、形の自由度が高く価格も手頃です。ただし、量産品ならではの確認点があります。

ひとつがバリです。樹脂を型で抜いたときに、合わせ目に薄い出っ張りが残ることがあります。指でなでるとカサカサする部分がそれで、ここが鱗を削ります。見つけたらやすりやカッターで落としてから使ってください。

バリは新品ほど残っています。使っているうちに角が取れるという考え方もありますが、それまでの間に金魚が傷つくのでは意味がありません。買ってすぐ、水槽に入れる前に処理してしまうのがいちばん確実です。処理したあとはもう一度手のひらでなでて、引っかかりが消えたことを確かめてください。

もうひとつが塗装です。観賞魚用として売られているものは水中で使う前提で作られていますが、そうでないもの、たとえば園芸用の置物やフィギュアは想定が違います。塗料が溶け出す可能性を否定できません。用途の違う物を入れるなら、水を張った容器で数日試して、色や濁りが出ないかを確認してからにしてください。

そして形状です。人工の飾りには、城や船や土管など、穴やアーチのあるデザインが多くあります。この穴のサイズが金魚の体とちょうど同じだと、挟まる事故に直結します。とくに成長すると危険なサイズに変わるので、買ったときの体格ではなく育ったあとの体格で判断してください。この論点は金魚の隠れ家を100均で買う前に知っておきたいことをまとめた記事で詳しく扱っています。

穴のサイズを判断するときは、金魚の体高、つまり背中からお腹までの高さを基準にしてください。琉金のような丸ものは体高が体長の半分近くあるので、体長で考えると小さすぎる穴を選んでしまいます。穴の直径が体高の1.5倍以上あるか、あるいはまったく入らないか。この二択で選べば迷いません。

そして金魚は、思っているより大きくなります。お祭りですくった小さな和金でも、環境が合えば15cmを超えます。買った時点でちょうどいいサイズの飾りは、半年後には危険な飾りに変わっている可能性があります。飾りを選ぶときは、その水槽で金魚が到達しうる最大サイズを想定してください。

水流と掃除から見たレイアウト

安全の次に効いてくるのが、水の流れと掃除のしやすさです。ここは見た目からは判断できない部分です。

物を置くほど水は滞る

レイアウトでフィルターの水流を塞がない配置と、物をどけずに掃除できる余白を残す考え方を示したスライド
水流と掃除から見たレイアウトの設計

水槽に物を置くと、その裏側に水が流れない場所ができます。いわゆる止水域です。

止水域では酸素が届きにくく、沈んだ汚れがそのまま溜まります。金魚は糞の量が多い魚なので、この蓄積は熱帯魚の水槽より速く進みます。レイアウトを凝るほど、水を悪くする場所が増えていくという関係になっているわけですね。

この汚れは目に見えないうちに効いてきます。沈殿した糞や餌の残りが分解されると、アンモニアや亜硝酸といった魚に有害な物質が出ます。ろ過が効いている水槽ならバクテリアが処理してくれますが、水が回らない場所ではその処理も進みません。飾りの裏側だけ水質が悪いという状態が、じわじわ全体に広がっていきます。

対策は2つあります。ひとつは物を減らすこと。もうひとつは、置く物の下に水が通るようにすることです。底にべったり接地する形の飾りより、脚があって浮いている形のほうが水は回ります。石を置くときも、砂利に埋め込まず表面に置くほうが下に水が入ります。

配置を決めるときは、フィルターの吸い込み口と吐き出し口の位置も見てください。この2点を結ぶ線の途中に大きな物を置くと、水槽全体を回るはずだった流れがそこで止まります。逆に、吐き出し口から出た水が壁に沿って一周し、吸い込み口へ戻る道筋を空けておけば、少ない機材でも水は動きます。レイアウトは水の通り道を塞がない位置に置く。これだけで止水域はかなり減らせます。

水草を入れる場合も同じ考え方です。茂りすぎると水が滞りますし、金魚は水草を食べたり掘り返したりします。金魚と水草の相性については金魚と水草のデメリットと対策をまとめた記事のほうで、人工水草という選択肢まで含めて整理しています。

掃除できない配置を作らない

レイアウトで見落とされがちなのが、掃除の動線です。

底に汚れが溜まったとき、クリーナーの先端がその場所に届くか。物をどけずに掃除できるか。ここを考えずに組むと、毎回レイアウトを崩して掃除することになり、そのうち掃除自体が億劫になります。

判断の目安はシンプルで、手を入れて底に届かない場所を作らないことです。物と物の間、物とガラス面の間には、手が入る余裕を残しておく。見た目としては少し寂しく感じるかもしれませんが、この余白が長く続けられるかどうかを決めます。

底砂の量も掃除しやすさに直結します。厚く敷くほど汚れが奥まで入り込み、クリーナーでは届かなくなります。金魚水槽では1cmから2cm程度の薄敷きが扱いやすく、これなら掃除で砂を持ち上げながら汚れを吸い出せます。厚く敷いて水草を植え込むような使い方は、金魚では掘り返されるので相性がよくありません。どの底床を選ぶかで掃除のしやすさも変わってくるので、金魚の砂利を種類別に比較した記事もあわせて見てみてください。

もうひとつ、物を持ち上げずに掃除できるかも見ておきたい点です。重い石や大きな流木は、掃除のたびに動かすには負担が大きすぎます。動かさずに周りを掃除できる配置にしておくと、そのぶん手間が減って続けやすくなります。

◆所長のワンポイントアドバイス

レイアウトを決めるとき、水を入れる前に一度「掃除のふり」をしてみるのがおすすめです。空の水槽に物を置いた状態で、クリーナーを持つつもりで手を動かしてみる。届かない場所が見つかったら、そこは配置を変えるサインです。水を入れてからだとやり直しが大変なので、この5分は惜しまないほうがいいと思います。

掃除の動線を確保したうえで実際に底の汚れを吸い出すなら、砂利を巻き込まずに水だけを抜ける底床クリーナーがあると作業が速く終わります。水槽サイズに合ったものを選んでください。

品種と目的で変わる組み方

最後に、飼っている金魚と目的に合わせた調整の考え方を見ていきます。

目が出た品種は物を減らす

細長い体・丸い体・目が張り出す体の3タイプ別に、金魚水槽へ入れられる物の目安を比較したスライド
品種タイプ別のレイアウトの目安

出目金や水泡眼のように、目が体から張り出している品種を飼っているなら、レイアウトは思い切って減らしてください。

これらの品種は視界に制約があり、障害物の位置を把握しにくい構造です。しかも泳ぎが得意ではないので、気づいてからよける動作が間に合いません。ぶつかった先が硬いものなら、目に傷がつきます。水泡眼にいたっては、目の下の膨らみそのものが破れると元には戻りません。

この場合の推奨は、底砂だけにして何も置かないか、置くとしても背の低い柔らかい人工水草を数本だけ、といった構成です。物足りなく感じるかもしれませんが、背景シートや底砂の色で雰囲気を作るという方向もあります。

品種によって、どこまで物を入れられるかの目安は変わります。おおまかに整理すると次のようになります。

→ 横にスクロールできます

タイプ 代表的な品種 レイアウトの目安
体が細長い 和金、コメット、朱文金 泳ぐ空間を広く取れば、角のない物は入れられる
体が丸い 琉金、オランダ獅子頭、ランチュウ 低い物を少数だけ。倒れる物と穴のある物は避ける
目が張り出す 出目金、水泡眼、頂天眼 底砂と柔らかい人工水草まで。硬い物は入れない

混泳させている場合は、いちばん弱いタイプに合わせるのが基本です。和金と出目金を同じ水槽で飼っているなら、レイアウトは出目金の基準で組んでください。強い個体は制約の多い環境でも問題なく暮らせますが、逆は成り立ちません。

同じ理由で、泳ぎの得意な品種との混泳も避けたいところです。和金やコメットは活発に泳ぎ回るので、動きの遅い品種にぶつかって目を傷つけることがあると言われています。レイアウトだけでなく、同居する魚も障害物のひとつだと考えると分かりやすいと思います。

目が張り出した品種の水槽で物足りなさを埋めたいときは、背景シートが安全な選択肢になります。水槽の外側に貼るので中の安全には一切影響せず、黒や濃紺にすると金魚の色が引き立ちます。

隠れ家は本当に必要か

熱帯魚の飼育では「隠れ家を用意しましょう」とよく言われます。ただ金魚については、少し事情が違います。

金魚は基本的におとなしく、群れで泳ぐ魚です。強い縄張り意識も、他の魚に追われて逃げる必要も、通常の飼育では発生しません。つまり身を隠す必然性がそれほど高くないわけです。

一方で隠れ家には、挟まる事故というリスクがついてきます。土管やアーチは、まさに金魚が入り込みたくなる形をしています。得られるものと引き受けるリスクを並べると、通常の金魚水槽では隠れ家を優先する理由は薄いというのが私の考えです。

例外的に有効な場面もあります。導入直後で環境に慣れていないとき、他の個体につつかれている個体がいるとき、産卵床として使いたいとき。こうした具体的な目的があるなら、体が余裕で通り抜けられるサイズの物を選んで入れる価値があります。

落ち着ける場所を作りたいだけなら、隠れ家より安全な方法もあります。水槽の背面や側面に不透明な背景シートを貼ると、外からの視線が減って金魚が落ち着きます。照明を弱める、水槽の置き場所を人の通り道から少しずらす、といった調整も同じ効果があります。物を増やさずに安心感を作るという発想ですね。

柔らかい素材の人工水草を数本まとめて植えるのも選択肢です。金魚が入り込んでも押しのけられる柔らかさなので、挟まる心配がありません。視線を遮る効果は物陰と変わらないので、隠れ家を入れたい理由が「落ち着かせたい」ならこちらで足りることが多いはずです。

ここまでを踏まえると、金魚水槽のレイアウトは「足していく」より「引いていく」発想が合っているとわかります。まず何も入れない状態を基準にして、明確な目的があるものだけを足す。目的が説明できない飾りは、リスクだけを増やしている可能性があります。この順番で考えると、判断に迷う場面がずいぶん減るはずです。

落ち着ける場所を作りたいだけなら、押しのけられる柔らかさの人工水草という手もあります。素材の硬さは商品によって違うので、購入前に商品ページで質感をご確認ください。

金魚水槽のレイアウトに関するよくある質問(FAQ)

金魚すくいの水槽のように、何も入れないのが正解ですか?

安全という一点では、何も入れないのが最も確実です。実際、金魚の品評会や養魚場では何も置かない水槽で管理されることが多くあります。ただ、家庭で飼う場合は観賞の楽しみも大事な要素ですし、底砂や背景の色は金魚の体色にも影響します。おすすめは、危険のない要素から足していく順番です。まず底砂の色を選ぶ、次に背景シートを貼る、それでも物足りなければ角のない丸い石や、柔らかい人工水草を数点だけ。この順番なら、リスクをほとんど増やさずに見た目を整えられます。

レイアウトを変えると金魚がストレスを感じますか?

変更の直後は落ち着かない様子を見せることがありますが、多くは数日で慣れます。金魚は環境の変化に比較的強い魚です。それより気をつけたいのは、作業そのものによる負担のほうです。水槽に手を入れて物を動かすと、底の汚れが舞い上がり、水質が一時的に動きます。網で追い回して金魚を移動させれば、それも負担になります。レイアウト変更は水換えのタイミングに合わせて、金魚は水槽に入れたまま、できるだけ短時間で終わらせるのがコツです。大がかりな変更をするなら、水温が安定している春や秋を選んでください。

金魚が石や飾りに体をこすりつけています。レイアウトが悪いのでしょうか?

レイアウトの問題ではない可能性が高いです。体をこすりつける行動は、体表に寄生虫がついているときや、水質が悪化して粘膜が刺激されているときによく見られます。白点病の初期にも現れる行動です。まず確認したいのは、体表に白い点や膜のようなものが見えないか、水換えの間隔が空いていないか、餌を与えすぎていないかの3点です。ただし、こすりつける対象に角があると、その行動によって傷ができてしまいます。原因を探すのと並行して、鋭い部分があれば取り除いておくと二次被害を防げます。症状が続く場合は、自己判断で薬を使う前に購入された販売店などにご相談ください。

拾ってきた流木や石を使いたいのですが、どう処理すればいいですか?

手順としては、洗浄・確認・様子見の3段階になります。まず流水でよく洗い、付着物や泥を落とします。次に危険の確認で、角の鋭さ、割れやすさ、穴のサイズを見ます。石であれば水質への影響も確かめたいところです。そのうえで、バケツに水を張って数日から一週間ほど浸けておき、色が出ないか、においが出ないか、水が濁らないかを見ます。流木の場合はここでアクも抜けていきます。なお、採取そのものが禁じられている場所もあります。国立公園や河川の管理区域、私有地などでは持ち出しが問題になることがあるので、拾う前に場所の条件をご確認ください。

水槽が寂しいのですが、安全に見栄えを良くする方法はありますか?

水槽の中に物を増やさずに印象を変える方法がいくつかあります。ひとつは背景で、外側に貼るシートは中の安全に一切影響しません。黒や濃紺にすると金魚の色が引き立ちます。もうひとつは底砂の色で、黒系にすると体色が濃く見えます。照明も効果的で、上から当たる光の色を変えるだけで水槽全体の印象が変わります。ライトの必要性と点灯時間をまとめた記事では、光が体色に与える影響についても触れています。さらに、水槽の外側を飾るという手もあります。台まわりに植物や小物を置けば、水槽内の安全を保ったまま空間としての満足度を上げられます。中で頑張らない、というのがこのテーマでの答えかもしれません。

まとめ|金魚水槽のレイアウト

最後に、要点を整理します。

守りたい条件は2つだけです。鋭い角がないことと、体が入る隙間を作らないこと。判断は目より手で、素手でなでて引っかからないか、指が挟まる隙間がないか、置いて倒れないかを確かめてください。角が危険なのは傷そのものより、粘膜が剥がれた後に来る感染のためです。

金魚がここまで気を使う対象なのは、改良によって体が丸くなり、ヒレが長くなり、品種によっては目が張り出しているからです。とっさに障害物をよける動きが苦手なので、熱帯魚なら平気なレイアウトでも怪我をしうると考えてください。出目金や水泡眼のように目が出た品種では、思い切って物を減らすのが安全です。

素材ごとの確認点は、流木なら折れた断面と穴のサイズとアク、石なら角の鋭さと安定性とカルシウム分、人工の飾りならバリと塗装と穴の大きさ。石については、環境省の環境基準でコイ・フナ等が想定される水域が6.5以上8.5以下とされているので、これを大きく外れる石は使わないという判断ができます。

そして安全の次に効くのが、水流と掃除です。物を置くほど水が滞る場所が増え、金魚は糞が多いのでその蓄積は速く進みます。手を入れて底に届かない場所を作らない。水を入れる前に掃除のふりをしてみる。この2つで、長く続けられるレイアウトかどうかが分かります。

隠れ家については、金魚では必要性が高くないと考えています。おとなしく群れで泳ぐ魚なので身を隠す必然性が薄い一方で、挟まる事故のリスクだけは確実についてきます。落ち着かせたいだけなら、背景シートを貼る、照明を弱める、置き場所を人の通り道からずらす、といった方法のほうが安全に同じ効果を得られます。

なお、安全かどうかの判断は飼っている品種や個体の大きさによって変わります。具体的な製品の仕様は各メーカーの公式サイトをご確認いただき、迷うときは購入された販売店など、実際の金魚を見られる窓口にご相談ください。この記事が、水槽に何を入れるか決めるときの基準になれば嬉しいです。

← トップページへ戻る
アクアリウムに必須の持ち物完全ガイド
START HERE / COMPLETE GUIDE

アクアリウムに必須の持ち物完全ガイド

必須器具から便利グッズ、日々の水質管理やトラブル対策まで。アクアリウムを長く楽しむために必要な持ち物を、ひとつのガイドにまとめました。 完全ガイドを見る