金魚の引っ越し方法|安全な輸送と水槽移動の手順
引っ越しが決まると、荷造りや手続きに追われるなかで、金魚をどうやって新居まで連れていけばいいのかと不安になりますよね。
引っ越し業者に頼めるのか、水槽は水を入れたまま運べるのか、着いてからすぐ水槽に戻してよいのか、わからないことが次々に出てくると思います。
先に結論をお伝えすると、金魚は温度の変化を避けて袋で運び、寄り道をしたり車内に置き去りにしたりしないことが基本です。
水槽は、水・砂・アクセサリーを抜いて空にしてから運びます。
新居では袋を水槽に浮かべて水温を合わせ、水質を少しずつ慣らしてから金魚を移し、数日は餌を控えて休ませてあげましょう。
また、引っ越し業者は魚を引き受けないことが多いため、金魚は自分で運ぶ前提で準備しておくと慌てずにすみます。
この記事では、室内の水槽で金魚を飼っている方に向けて、メーカー公式の情報と公的機関の資料をもとに、引っ越しの準備から新居で水槽に戻すまでの手順を整理しました。
この記事で理解できることは、次の4つです。
- 金魚の引っ越しで気をつけたい温度の変化と、引っ越し業者の対応
- 金魚を袋に入れて運ぶときの準備と移動中の注意点
- 水槽とフィルターを傷めずに運ぶ方法と、新居で確かめること
- 新居で金魚を水槽に戻す手順と、到着後の数日の過ごさせ方
金魚の引っ越しで守る基本
金魚の引っ越しは、大きく分けると「金魚を運ぶ」「水槽を運ぶ」「新居で元に戻す」という3つの作業でできています。
金魚は、お店で買ったときと同じようにビニール袋に入れて運ぶのが基本の形です。
水槽は、水や砂を入れたまま動かさず、中身をすべて取り出して空の状態で運びます。
そして新居に着いたら、袋のまま水槽に浮かべて水温を合わせ、水質を少しずつ慣らしてから金魚を水槽へ移します。
この流れのなかで金魚の負担になりやすいのが、温度の変化と、移動そのもののストレスです。
愛知県水産試験場は、購入後の金魚について、輸送の際の振動や移動の前後の水温・水質の変化などで強いストレスを受け、弱っていることがあると説明しています。
引っ越しでも振動や水温・水質の変化が重なる点は同じなので、運ぶ前から着いたあとまでを1つの流れとして考えておくことが大切です。
まずはこの章で、いちばん気をつけたい温度のことと、引っ越し業者に金魚を任せられるのかどうかを確認していきましょう。
水槽の置き場所や水づくりなど、ふだんの飼い方の基本から見直しておきたい方は、金魚の飼い方の全体像をまとめた完全ガイドもあわせてご覧ください。
一番の注意点は温度の変化
金魚を運ぶときに、まず意識したいのが温度です。
観賞魚メーカーのジェックス(GEX)は、お店で買った魚を家の水槽に放すまでの注意点として、「一番の注意点は『温度』」だと書いています。
このページは熱帯魚を例にした説明ですが、金魚が温度の変化に弱いことは、公的機関やほかのメーカーも注意を呼びかけています。
愛知県水産試験場の飼育資料には、金魚は温度の変化が激しいと体調を崩しやすくなると書かれています。
同じ愛知県水産試験場の質問集でも、暖かいところで飼われていた魚を急に冷たい水に入れると病気の原因になると説明されています。
キョーリンも、金魚は水温変化が苦手だとしています。
つまり、運ぶ途中で水温が上がったり下がったりすることも、新居で温度の違う水にいきなり入ることも、どちらも避けたいということですね。
移動中に特に気をつけたい場面として、神畑養魚は、昼間の車の中に置き去りにすると水温があっという間に上がってしまうと注意しています。
季節によって、温度が動く向きも変わってきます。
夏は車内や日の当たる場所で水温が上がりやすく、冬は冷え込んだ車内や、新居で張ったばかりの水との温度差が気になるところです。
GEXは冬の熱帯魚の例として、使い捨てカイロなどを用意する方もいると紹介していますが、金魚を何度に保てばよいかという数値までは示していません。
輸送中に保つ水温や、何度の差までなら大丈夫かという数値は、今回確かめた公的機関やメーカーの説明には見当たりませんでした。
そのためこの記事では、数値で線を引くのではなく、運ぶ間も着いてからも、温度の変化をできるだけ小さくすることを基本の考え方にしています。
金魚に合う水温や季節ごとの水温管理の考え方は、金魚の適温と夏・冬の水温管理をまとめた記事で詳しく解説しています。
引っ越し業者は魚を運ばないことが多い

引っ越し業者にまとめて頼めれば楽なのに、と考える方も多いと思います。
ただ、金魚のような生き物は、引っ越し業者に引き受けてもらえないことが多いのが実情です。
国土交通省が定める標準引越運送約款では、「動植物」を、運送に特殊な管理が必要で他の荷物と同時に運ぶのに適さないものの1つとして挙げ、引受けを拒絶することがあるとしています(出典:国土交通省「標準運送約款」)。
ここで押さえておきたいのは、約款の書き方が「拒絶することがあります」であって、法律や約款で一律に禁止されているわけではないという点です。
実際の対応は会社ごとに違い、各社の公式サイトでは次のように説明されています。
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| 会社・約款 | 魚 | 水槽 | 公式の説明の要点 |
|---|---|---|---|
| 標準引越運送約款(国土交通省) | 動植物は引受けを拒絶することがある(任意の規定) | — | 特殊な管理が必要で、他の荷物と同時に運ぶのに適さないものとして動植物を挙げている |
| アート引越センター | 熱帯魚は家財と同時に運べない | 水を取り去った水槽は運べる | ペットショップなどから運搬方法のアドバイスを受けて自分で運ぶことを勧めている、家財とは別送になるが手配は一括して受け付けるとも説明 |
| サカイ引越センター | 熱帯魚などの水中生物は運べない(対応できないペットとして明記) | 見積もりの際に確認 | ペットは提携業者に依頼する案内がある一方で、水中生物は対象外としている |
| 日本通運 | 犬・猫などのペット輸送は扱っていないと説明(魚についての明記は見当たらない) | 見積もりの際に確認 | 魚や水槽の扱いは、公式のよくある質問からは読み取れない |
| ムービングエス | 専門業者に委託して魚も運ぶ有料オプションがある | 水抜き・梱包・撤去から新居でのセッティングまで行うと説明 | 「熱帯魚水槽輸送」として、専門業者への委託で水槽と魚を運ぶ |
表は、各社の公式サイトにあるよくある質問やサービス案内の説明をもとにまとめたものです。
アートのよくある質問は熱帯魚を例にした回答なので、金魚も同じ扱いになるかは、見積もりのときに確かめておきましょう。
日本通運は「犬・猫など」のペットを扱わないとしているだけで、魚が含まれるかどうかは原文からは読み取れません。
一方で、ムービングエスのように、専門業者に委託して水槽と魚を運ぶ有料オプションを用意している引越会社もあります。
業者に頼むかどうかにかかわらず、見積もりの段階で金魚と水槽があることを伝え、何を運んでもらえるかを確認しておくと安心です。
そのうえで、金魚そのものは自分で運ぶ前提で準備を進めておけば、当日になって困る場面を減らせます。
金魚を袋で運ぶ手順
ここからは、金魚そのものを運ぶ方法を見ていきます。
金魚を運ぶ入れものとして、まず思い浮かぶのはビニール袋ではないでしょうか。
金魚の産地である大和郡山市の資料でも、出荷される金魚はビニール袋に入れられ、輸送中に死なないよう酸素を注入して送り出されると説明されています。
引っ越しで運ぶときも、この袋の仕組みを知っておくと、準備で何を気にすればよいかが見えてきます。
ポイントは、袋の中の酸素を切らさないこと、袋を揺らしたり明るい場所に置いたりしないこと、そして移動中に水温を大きく動かさないことの3つです。
この章では、袋の準備と、移動中に避けたい行動の2つに分けて確認していきましょう。
なお、袋の水と空気の割合や、何時間以内なら安心といった数値は、今回確かめた公的機関やメーカーの説明には見当たらなかったため、この記事では示していません。
袋は酸素を詰めて揺らさず暗くする
お店で金魚や熱帯魚を買うと、袋をパンパンにふくらませてから口を縛ってくれることがありますよね。
GEXの説明によると、このとき袋に入れているのは実は酸素だそうです。
そのうえでGEXは、魚の数にもよるものの、酸素を詰めた袋であれば「1日くらいなら」酸素が足りなくなることはないとしています。
ここで気をつけたいのは、この説明がお店で酸素を詰めた袋についてのものだという点です。
家庭で空気を入れて縛っただけの袋や、ほかの容器にそのまま当てはめられるわけではありません。
実際に神畑養魚は、金魚すくいの袋について、熱帯魚のように酸素を入れてはくれないと書いています。
また大和郡山市は、狭い容器に魚を多く入れておくと酸素の消費が多くなり、水面で口をパクパクさせる「鼻上げ」を起こして窒息死することがあると注意しています。
これは飼育容器についての説明ですが、袋も狭い容器であることに変わりはないので、1つの袋に金魚を詰め込みすぎないようにしましょう。
袋に酸素を詰める道具としては、コトブキ工芸が携帯用の酸素ボンベを「魚の運搬や停電時に」便利な製品として出しています。
ボンベを使う場合は、1本で詰められる量や使い方を、製品の説明書で確かめてください。
アート引越センターはペットショップなどから運搬方法のアドバイスを受けることを勧めているので、いつも金魚を買っているお店に袋詰めを相談してみるのも1つの方法です。
袋に入れたあとの運び方について、GEXは、できるだけ袋を揺すらず静かに運ぶこと、できれば暗いところに入れて運ぶことを勧めています。
暗くしておくと、魚が驚かずに過ごせるからだそうです。
ふたのできる箱に袋を入れるなどして、袋が転がらず、光も当たりにくい状態を作っておくとよいでしょう。
自分で袋に酸素を詰めるなら観賞魚の運搬用として売られている酸素ボンベがあり、1本で詰められる量は説明書で確かめてください。
車内に置き去りにせず寄り道しない

金魚を袋に入れたら、あとはできるだけまっすぐ新居へ向かうことが大切です。
神畑養魚は、金魚すくいの金魚を持ち帰るときの注意として、あまり寄り道をせずに帰ること、特に昼間は車の中に置き去りにしないことを挙げています。
車内に置き去りにすると、水温があっという間に上がってしまうからです。
引っ越しの当日は、荷物の搬出や鍵の受け渡し、各種の手続きなどで、つい車を離れる時間が長くなりがちですよね。
金魚を乗せた車で、ほかの用事をはさまずに新居へ向かえるよう、当日の順番を前もって考えておくとよいでしょう。
何時間以内なら大丈夫という目安は見つからなかったので、時間の長さよりも、移動中の温度をどう守るかを軸に判断してください。
引っ越しの前後の餌について迷う方もいると思いますが、愛知県水産試験場は、1週間絶食させても死ぬことはないと答えています。
キョーリンも、金魚は1週間ぐらいは餌を与えなくても大丈夫だとしています。
どちらも旅行中の留守についての回答ですが、引っ越しの慌ただしさのなかで無理に餌を与えなくてもよいと考える手がかりになります。
一方で、運ぶ何日前から餌を止めるべきかという日数は、確かめた公的機関やメーカーの説明には示されていませんでした。
夏の引っ越しでは、金魚を入れた袋を車内に置いたまま車を離れないようにしましょう。
昼間の車内は、短い時間でも水温が上がってしまうおそれがあります。
荷物の積み下ろしで車を離れる時間が長くなりそうなら、金魚を乗せるのは最後にするなど、置き去りにならない順番を先に決めておいてください。
引っ越しとは別に、旅行などで数日家を空けるときの餌や水温の準備は、金魚の留守番の準備をまとめた記事で整理しています。
水槽とフィルターの運び方
金魚の運び方と同じくらい気をつけたいのが、水槽そのものの運び方です。
水槽は水や砂が入るとかなりの重さになり、動かし方を誤ると割れたり水漏れしたりするおそれがあります。
GEXは、水槽製品を正しく安全に使うための注意事項のなかで、運ぶときの注意や、運んだあとに確かめることを具体的に挙げています(出典:ジェックス「水槽製品|製品を正しく、安全にご使用いただくために」)。
ほかのメーカーの取扱説明書やよくある質問も、水槽を動かすときの考え方はほとんど同じです。
また水槽には、金魚だけでなく、ろ過バクテリアと呼ばれる小さな生き物もすんでいます。
ろ過バクテリアとは、つまりフィルターのろ材や砂利の中にすみついて、水をきれいに保つ働きをしてくれる微生物のことです。
この章では、水槽本体の運び方、フィルターとろ材の扱い方、新居に着いてから確かめることの3つを順番に見ていきます。
水槽は水と砂を抜いて空で運ぶ

水槽を運ぶときの基本は、水・砂・アクセサリーをすべて取り出し、空にしてから動かすことです。
この点は、確認したメーカー4社の説明がそろっています。
GEXは、水槽を運ぶ際は水、砂、アクセサリーなどを取り出し、完全に空にしてから移動するよう案内しています。
テトラ(スペクトラム ブランズ ジャパン)の水槽取扱説明書にも、水や砂利を入れたままで移動したり、傾けたりしないよう書かれています。
コトブキ工芸は、水槽の水を抜き、フィルターを取り外し、底床やアクセサリーを取り除いて、それぞれ個別に移動するよう勧めています。
ADAの取扱説明書でも、水や砂利が入った状態では水槽を移動しないよう注意されています。
中身を入れたまま動かしてはいけない理由も、各社が説明しています。
GEXは水槽が割れたり水漏れが起きたりするおそれを、テトラはシリコンなどを傷めることを、コトブキ工芸は重みで水槽や水槽台にダメージが加わることを挙げています。
持ち方にも注意が必要です。
GEXは、底面部を持ち上げてぶつけないように運ぶこと、上部の枠を持って運ばないことを求めています。
テトラも水槽の底を両手で持つよう書いていて、ADAも空の状態で水槽の底部を持つよう案内しています。
もう1つ見落としやすいのが、水槽台ごと動かしてしまうことです。
コトブキ工芸は、水槽台の上に水槽を置いたままの状態で移動しないよう注意しています。
水槽を下ろしてから、水槽台は別に運ぶようにしましょう。
なおキョーリンは、水槽は一度場所を決めたらほとんど動かさず、置いたままで水を替えるほうが割れる事故がないと説明しています。
ふだんは動かさない前提のものを動かすのが引っ越しなので、いつも以上に慎重に扱いたいところです。
新居ですぐに使わない場合について、コトブキ工芸は、空の水槽の全面にラップをかけて暗い場所で保管することを勧めています。
ろ材は水道水で洗わず飼育水で扱う
フィルターを取り外すときに気をつけたいのが、中に入っているろ材の扱い方です。
キョーリンは、ろ材にはバクテリアがすんでいるので、水槽から吸い出した水で軽く洗うよう案内しています。
コトブキ工芸も、ろ材を洗うときは飼育水を使うことが望ましいとしています。
水道水を避ける理由について、GEXは、ろ過バクテリアはとても繊細で、カルキや水温差などの環境の変化で簡単に死んでしまうと説明しています。
GEXは別のページでも、カルキの殺菌効果が水づくりに大切なバクテリアにもダメージを与えるとしています。
カルキとは、つまり水道水の消毒のために入っている塩素のことです。
この考え方を引っ越しに当てはめると、ろ材は水道水で洗ったりすすいだりせず、飼育水に浸けた状態で扱うのが自然でしょう。
水槽の水の一部を持っていったり、ろ材を乾かさないように運んだりする方法もよく紹介されますが、メーカーや公的機関の説明で確かめられたのは、飼育水で洗うというところまででした。
新居で気をつけたいのは、水もろ材も一度に新しくしてしまうことです。
テトラは、水槽をセットした直後はろ過バクテリアがいないため、白濁りが起きやすいと説明しています。
またテトラは、ろ材の交換を水換えと同時に行うとろ過バクテリアが減るので、水換えの1週間後に行うよう勧めています。
キョーリンによると、バクテリアはろ材や砂利の中で、約1か月かけて自然に殖えて効果が出てくるそうです。
引っ越しでは水槽の水をほぼ新しく張り直すことになるので、テトラのろ材交換の考え方にならい、同じタイミングでフィルターやろ材まで新品にするのは避けたほうがよいでしょう。
フィルターを買い替える予定がある場合も、引っ越しが落ち着いてから時期をずらして考えると安心です。
フィルターの種類ごとの特徴や選び方は、金魚のフィルターを種類別に比べた記事で紹介しています。
新居で水漏れと水道水を確かめる
新居に水槽を運び込んだら、金魚を入れる前に、水槽が傷んでいないかを確かめましょう。
GEXは、移動中に水槽の枠をぶつけたときは、枠の内部でガラスにヒビが入っている場合があるので使用しないよう注意しています。
さらに、水に濡れてもよい場所で水を張り、ガラスの割れやヒビがないかを確認するよう案内しています。
置き場所についてもGEXは、水平を保てるまっすぐな水槽台の上、専用の水槽台を使うことを勧めています。
畳や絨毯、フローリングの上や、カラーボックス、下駄箱、タンスなど家具の上は、間違った設置場所の例として挙げられています。
ADAの取扱説明書には、水槽の下に砂利などが一粒でもあると割れる原因になると書かれています。
エアポンプを使う場合は、停電時の逆流を防ぐために水槽の水面より高い位置に置くようGEXが求めている点も、あわせて覚えておきましょう。
こうした準備をしている間も金魚は袋の中で待っているので、袋は暗く静かな場所に置き、温度が大きく変わらないようにしておいてください。
水槽の準備ができたら、次は水です。
水道法施行規則では、蛇口の水に遊離残留塩素を0.1mg/L以上保つよう塩素消毒することが定められています。
つまり引っ越し先の水道水にも塩素が入っているので、新居でもカルキ抜きが欠かせません。
当日は汲み置きの時間が取りにくいので、カルキ抜きの中和剤を使うと段取りしやすくなります。
テトラは、中和剤は入れたあとすぐに魚を入れられるとしていて、カルキの中和はろ過バクテリアのためにも重要だと説明しています。
汲み置きで抜く場合の目安は、一晩から2日ほどまで、出典によって幅があります。
もう1つ知っておきたいのが、住む地域が変わると水道水の性質も変わることがある点です。
東京都水道局によると、水道水の硬度は水源の種類に大きく影響され、一般に地下水のほうが表流水などより高くなる傾向があります。
硬度とは、つまり水に溶けているカルシウムやマグネシウムなどの量のことです。
同じ都内でも、令和5年度の蛇口の硬度は、最も低いあきる野市の25.3mg/Lから、最も高い北区と中央区の87.6mg/Lまで差がありました。
pHも、水質基準に関する省令では5.8以上8.6以下と幅をもって定められています。
GEXは金魚に適したpHを7.0程度とし、日本の水道水と同程度だとしていますが、法令の基準に幅がある以上、新居の水の性質も確かめておくと安心です。
大和郡山市は、飼育水のpHは一般に6.8〜7.4の中性の水が望ましいとしています。
新居で水槽を一から組み立て直す流れは、金魚水槽の立ち上げ方と手順をまとめた記事も参考にしてください。
新居の水道水の硬度やpHは、住む地域の水道事業者が水質の情報を公表していれば、そこで確かめられます。
旧居の水との違いが大きそうなときは、金魚を移すときの水合わせを、いつもより時間をかけて丁寧に行いましょう。
新居の水道水のカルキ抜きには入れてすぐ使える中和剤タイプもあり、使う量はボトルの表示に従ってください。
新居で金魚を水槽に戻す手順
水槽の準備が整ったら、いよいよ金魚を水槽に戻します。
ここで焦って袋の中身をそのまま水槽にあけてしまうと、せっかく温度に気をつけて運んできた意味が薄れてしまいます。
袋の中の水と、新居で張ったばかりの水槽の水とでは、水温も水質も違っている可能性があるからです。
到着後の流れは、袋のまま水槽に浮かべて水温を合わせる、袋の水を少しずつ入れ替えて水質を慣らす、金魚を水槽へ移す、という順番が基本になります。
そして水槽に移したあとも、数日は餌を控えて、金魚が落ち着くのを待ちます。
大和郡山市は、輸送と環境の急変で金魚は疲れているので、急いで餌をやるのはかえってよくないと説明しています。
到着の日にすべてを元どおりにしようとせず、数日かけて少しずつふだんの暮らしに戻していくイメージをもっておくとよいでしょう。
この章では、水温合わせと水質合わせのやり方と、移したあとの数日の過ごさせ方を、出典ごとの違いも含めて確認していきます。
水温合わせと水質合わせをする
最初に行うのは水温合わせです。
金魚が入った袋をそのまま水槽に浮かべて、袋の中の水温を水槽の水温に近づけていきます。
浮かべる時間の目安は、愛知県水産試験場が30分くらい、GEXが30分ほど、キョーリンが20〜30分、テトラが15〜30分くらいとしています。
次に水質合わせとして、袋の水を少しずつ水槽の水と入れ替え、金魚を新しい水に慣らしていきます。
ただし、袋の水の扱い方と、最後に金魚をどう移すかは、メーカーによって説明が分かれています。
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| 出典 | 浮かべる時間 | 袋の水の扱いと移し方 | 説明の場面 |
|---|---|---|---|
| 愛知県水産試験場 | 30分くらい | 水温を合わせてから放す(袋の水を入れるかどうかは書かれていない) | 購入した金魚を水槽に入れるとき |
| テトラ | 15〜30分くらい | 袋の水を入れないようにして、金魚だけを移す | 初心者向けの金魚の飼い方の説明 |
| キョーリン | 20〜30分 | 袋の水を半分捨て、容器の水を同じ量入れて10分くらい待つことを2回くり返し、金魚だけを移す | 塩水浴の容器に移す手順の説明 |
| 神畑養魚 | 最低30分くらい | 袋の水を半分捨てて足すことを15分おきにくり返し、最後は魚だけを移す | 金魚すくいの金魚をバケツに移す説明 |
| GEX | 30分ほど | 袋の口を水面につけ、水槽の水と袋の水が混ざるようにする | 熱帯魚のページの説明 |
表のとおり、テトラ・キョーリン・神畑養魚は、袋の水を水槽に入れず、最後は金魚だけを移す方式です。
一方でGEXの熱帯魚のページは、袋の口を水面につけて、水槽の水と袋の水が混ざるようにする方式を紹介しています。
引っ越しの場合、袋の水はもともと自分の水槽の水ですが、輸送の間に汚れている可能性はあります。
そのためこの記事では、金魚向けに説明しているテトラ・キョーリン・神畑養魚の方式にならい、最後は金魚だけを移す流れをおすすめしています。
またGEXは、水質の変化に弱い魚の場合、点滴法などのより時間をかけた水合わせが必要な場合もあるとしています。
旧居と新居で水の性質が大きく違いそうなときは、こうした時間をかけるやり方も選択肢になります。
袋合わせや点滴法の具体的な手順は、金魚の水合わせのやり方をまとめた記事で確認できます。
新居で金魚を水槽に戻す前に、次の点を確かめておきましょう。
1つ目は、濡れてもよい場所で水を張り、水槽に割れやヒビがないかを確認したかどうかです。
2つ目は、新居の水道水をカルキ抜きしてから水槽に入れたかどうかです。
3つ目は、袋のまま水槽に浮かべて、水温を合わせる時間を取ったかどうかです。
4つ目は、袋の水を少しずつ入れ替えて水質を慣らし、最後は金魚だけを移せたかどうかです。
5つ目は、移したあとの数日は餌を控えて、静かに休ませる準備ができているかどうかです。
数日は餌を控えて休ませる

金魚を水槽に移したら、すぐに餌をあげたくなるかもしれません。
ですが、着いたばかりの金魚は、移動と環境の変化で疲れていると考えておきましょう。
到着後の餌について、愛知県水産試験場は購入後3〜4日は餌を控えるとし、大和郡山市は3日くらい経って金魚が落ち着いてから少量ずつ与えるとしています。
キョーリンのよくある質問でも、新しい環境に慣れるまでの3日ぐらいは餌を控え、その後少しずつ与えるよう案内されています。
テトラは、飼育を始めた直後の1週間はフードを控えめにするよう書いています。
一方で、キョーリンの塩水浴の手順では1日目は餌を与えず2日目からほんの少し、神畑養魚は翌日までは餌をやらない流れになっていて、日数には幅があります。
この記事では公的機関の2つの説明に合わせて、到着後の3日ほどは餌を控えることを目安にしています。
再開するときの量について、愛知県水産試験場の資料では、最初の日は1粒ずつ入れ、次の日からは1日に約1.5倍ずつ、だんだん量を増やしていく方法が紹介されています。
休ませ方については、同じ資料が、最初の3〜4日間はバケツなどまわりが見えない入れもので、ゆっくり休ませるよう勧めています。
これは購入して持ち帰った金魚についての説明ですが、引っ越し直後の金魚も、できるだけ静かな環境で過ごさせてあげたいところです。
また愛知県水産試験場は、最初の3〜4日間や元気がないときに、約0.5%の塩水で過ごすと体力が回復しやすくなると説明しています。
キョーリンも、0.5%の塩水で7日間過ごさせて旅の疲れを癒す手順を紹介しています。
塩水の作り方や水槽への戻し方は、金魚の塩浴のやり方をまとめた記事で詳しく解説しています。
なお愛知県水産試験場は、買ってきた金魚を先にいる金魚と混ぜると病気が移ることがあるとして、同居前の薬浴なども勧めています。
ただ、自分の金魚を引っ越しで運ぶ場合に隔離まで必要とする説明は、今回確かめた公的機関やメーカーの情報には見当たりませんでした。
数日は様子を見ながら静かに休ませ、泳ぎ方や食欲に気になる点があれば、早めに販売店へ相談してください。
引っ越し直後は荷ほどきで部屋が慌ただしくなりがちなので、水槽のまわりだけでも先に片づけて、金魚が落ち着いて過ごせる場所を作ってあげてください。
金魚の引っ越しに関するよくある質問(FAQ)
引っ越し業者に金魚を運んでもらえる?
引っ越し業者には、金魚を引き受けてもらえないことが多いと考えておきましょう。
標準引越運送約款では動植物は引受けを拒絶することがあるとされ、公式のよくある質問でも、アート引越センターは熱帯魚を家財と同時には運べない、サカイ引越センターは熱帯魚などの水中生物は運べないとしています。
ただし約款の規定は任意で、専門業者に委託して水槽と魚を運ぶ有料オプションを用意している引越会社もあります。
見積もりのときに金魚と水槽があることを伝え、何を運んでもらえるかを確かめてください。
長距離の引っ越しでも金魚は運べる?
運べるかどうかは距離だけでなく、季節や金魚の数、袋の状態によって変わります。
何時間以内なら大丈夫という目安は、今回確かめた公的機関やメーカーの説明には見当たりませんでした。
考え方の軸になるのは、温度の変化をできるだけ小さくすること、酸素を詰めた袋を使って1つの袋に詰め込みすぎないこと、揺らさず暗くして寄り道をしないことの3つです。
移動が長くなりそうで不安なときは、販売店に運び方を相談したり、専門業者に委託できる引越会社を探したりすることも考えてみてください。
水槽に水を入れたまま運んでもいい?
水槽は、水を入れたまま運ばないでください。
GEX・テトラ・コトブキ工芸・ADAの4社が、水や砂を取り出して空にしてから運ぶよう案内しています。
入れたまま動かすと、割れや水漏れ、シリコンなどの傷み、重みによる水槽や水槽台へのダメージにつながるおそれがあります。
水槽台に水槽を載せたまま台ごと動かすことも、コトブキ工芸が避けるよう注意しています。
引っ越し後に金魚が餌を食べないのは?
大和郡山市は、輸送と環境の急変で金魚は疲れていると説明しています。
もともと到着後の数日は餌を控える時期で、愛知県水産試験場は3〜4日、大和郡山市は3日くらいを目安にしています。
再開するときはごく少量から始め、様子を見ながら少しずつ増やしていきましょう。
控える期間を過ぎても食べない、泳ぎ方がおかしいなど気になる様子が続くときは、早めに販売店へ相談してください。
飼えなくなったら川や池に放してもいい?
川や池に放すのはやめましょう。
日本観賞魚振興事業協同組合は、魚を生きたまま自然の川や池、公園などの水場に放つような行為を「厳禁」としています。
引っ越しを機に飼い続けるのが難しくなった場合は、近くのショップか日本観賞魚振興事業協同組合に相談するよう案内されています。
まとめ|金魚は温度を守り水槽は空で運ぶ
金魚の引っ越しは、金魚を袋で運ぶこと、水槽を空にして運ぶこと、新居で落ち着いて戻すことの3つに分けて考えると、準備がしやすくなります。
最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
- いちばん気をつけたいのは温度の変化で、運ぶ間も着いてからも急な変化を避ける
- 引っ越し業者は魚を引き受けないことが多いので、見積もりの段階で確認し、金魚は自分で運ぶ前提で準備する
- 金魚は酸素を詰めた袋に入れ、詰め込みすぎず、揺らさず暗くして運ぶ
- 寄り道をせず、特に夏の昼間は車内に置き去りにしない
- 水槽は水・砂・アクセサリーを抜いて空にし、底を持って運び、水槽台ごと動かさない
- ろ材は水道水で洗わず飼育水で扱い、引っ越しと同時にフィルターやろ材まで新しくしない
- 新居では水漏れを確かめ、水道水はカルキ抜きをしてから使う
- 袋を浮かべて水温を合わせ、水質を慣らしてから金魚だけを移し、数日は餌を控えて休ませる
新居では水槽の水をほぼ一から張り直すことになるので、落ち着いてからの水換えやカルキ抜きの手順は、金魚の水換えの頻度と基本手順で確認しておくと安心です。
金魚の引っ越しで気をつけることは、金魚の状態や数、移動の距離、季節によって変わるため、この記事の内容はあくまで一般的な目安として参考にしてください。
水槽やフィルター、カルキ抜きなどは、お使いの製品の取扱説明書やメーカー公式の情報をあらかじめ確認しておきましょう。
引っ越し業者に何を運んでもらえるかも、見積もりの段階で事前に確かめてください。
運び方や到着後の金魚の様子に不安があるときは、いつも利用している販売店へ相談すると心強いでしょう。
準備を整えて、新しい住まいでも金魚との暮らしを続けていけるとよいですね。





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