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グッピーの繁殖方法|交尾のしくみとオスメス比・稚魚が生まれるまでの流れ

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グッピーの繁殖方法について交尾からペア構成、稚魚が生まれるまでを解説する記事の表紙スライド

グッピーの繁殖方法|交尾からペア構成・稚魚が生まれるまで

THE AQUA LAB 所長(イラスト)

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の所長です。

グッピーを飼っていると、いつのまにか小さな影が泳いでいることがあります。狙って増やしたわけではないのに増える。それがこの魚のおもしろさであり、同時にいちばん悩ましいところでもありますよね。

「計画的に増やしたい」と考えたとき、必要なのは特別な道具でも高度な技術でもありません。オスとメスの構成、逃げ場のある環境、そして生まれた稚魚を受け入れる余力。この3つがそろっていれば、グッピーの繁殖はかなりの確率で成立します。

むしろ気をつけたいのは、増えすぎたときのことです。1匹のメスが一度に20匹以上の稚魚を産むこともあり、しかも一度の交尾で数回の出産が続きます。数か月後の水槽を想像しないまま始めると、あとから困ることになります。

この記事では、始める前の準備から、雌雄の構成、交尾と出産の流れ、そして生まれた稚魚の扱いまでを順に整理していきます。

  • 繁殖を始める前に確認しておきたい飼育の余力
  • メスの負担を減らすオスとメスの構成の決め方
  • 交尾から出産まで体の中で起きていること
  • 生まれた稚魚を隔離するかどうかの判断
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繁殖を始める前に決めておくこと

グッピーの繁殖は、条件を整えるより先に、受け入れる準備を決めるほうが大切です。この魚は放っておいても増えるため、繁殖を「成功させる技術」よりも「増えた分をどうするか」のほうが実際の課題になります。ここを先に決めておくと、あとの判断がぶれません。

もちろん、環境が悪ければ繁殖は進みませんし、産まれても育ちません。水温・水質・水量という基本の条件は必要です。ただ、それらは通常の飼育で整えるものと同じで、繁殖のために特別なことをする場面はそれほど多くありません。

この章では、増えた稚魚の行き先、繁殖に向く水槽の条件、そして時期と水温という順で、始める前の確認事項を見ていきます。器具をそろえる話がほとんど出てこないのは、グッピーの繁殖が設備ではなく環境の余裕で決まるからです。

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増えた稚魚を受け入れられるか

最初に考えたいのが数の見積もりです。グッピーのメスは一度に20匹前後、多いときは50匹を超える稚魚を産むことがあり、さらに一度の交尾で3〜4回ほど出産が続くことがあります。つまりメス1匹から、数か月で100匹近くになる可能性があるということです。

この数字を見て「そんなに要らない」と感じたなら、それは正しい感覚です。全部を育てる必要はありませんし、実際には成魚に食べられて数は自然に減ります。問題は、うまく育ってしまったときのほうにあります。

受け入れ先の見積もりは3つの観点で行います。今の水槽にあと何匹入るか、増えた分を移す2つめの水槽を用意できるか、そして育てきれない分を引き取ってもらえる先があるか。この3つのうち2つは押さえておきたいところです。

引き取り先については、購入した販売店が相談に乗ってくれることがあります。野外へ放すことだけは、どんな事情があっても選択肢に入りません。飼育している生き物を自然の水域へ出すのは、その土地の生態系に影響を与える行為だからです。

増えすぎたときの具体的な対処はグッピーが増えすぎる原因と対処法|繁殖を抑えるコツと引き取り先の探し方にまとめています。始める前に一度目を通しておくと、見積もりの精度が上がりますよ。

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繁殖に向く水槽の条件

繁殖を狙う水槽に必要なのは、特別な器具ではなく余裕です。過密にならない水量と、稚魚が逃げ込める茂み、そして流れの穏やかな場所。この3つがそろっていれば、専用の設備がなくても稚魚は育ちます

水量については、成魚が窮屈でない状態を保つことが前提になります。過密な水槽ではオス同士の争いやメスへの追尾が激しくなり、ストレスで繁殖が滞ることがあります。増えることを見越して、最初から余裕を持たせておきたいところです。

次に隠れ家です。産まれた稚魚は成魚に食べられてしまうため、体が入る細かい茂みがあるかどうかで残る数が変わります。水面近くに浮き草があると、生まれた直後の稚魚がそこへ集まって難を逃れられます。

水流も見ておきましょう。稚魚は遊泳力が弱く、成魚が平気な流れでも押し流されます。フィルターの吸水口にスポンジを付けておくと、吸い込み事故を防げます。

水草の種類と量については、グッピー水槽におすすめの水草5種|稚魚の隠れ家になる種類と入れる量で扱いました。丈夫で細かい葉のものを、水槽の奥に密度高く植えるのが基本になります。

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繁殖しやすい時期と水温

室内の水槽で飼っている場合、グッピーの繁殖に決まった季節はありません。水温が保たれていれば一年中繁殖しますが、活発になるのは水温がおよそ24〜26度に安定しているときとされています。ヒーターで管理していれば、季節による差はほとんど出ません。

逆に、水温が低いと繁殖の動きは鈍ります。20度を下回るような環境では、交尾も出産も間隔が空きがちになり、産まれた稚魚も弱くなります。冬に水温が下がる部屋なら、ヒーターの設定を確認してください。

高すぎるのも問題です。水温が高いと代謝が上がり、成長は早まりますが、その分メスの体への負担も増えます。30度に近い環境が続くと、出産の間隔が詰まってメスが消耗するといわれています。

水温別の傾向はグッピーの適温は何度?生存・繁殖・稚魚別に変わる温度の目安一覧で数値ごとに整理しました。繁殖を狙う場合と、単に飼うだけの場合では、最適な範囲が少し違ってきます。

なお、水質については神経質になる必要はありません。グッピーが落ち着いて過ごせている水なら、繁殖もそのまま進みます。むしろ、繁殖のために急に水を作り変えるほうが負担になりますので、いまの水を安定させることを優先してください。

オスとメスの構成をどう決めるか

繁殖を計画するうえで、いちばん結果に効いてくるのが雌雄の構成です。グッピーのオスは繰り返しメスへ言い寄る性質があるため、オスが多い水槽ではメスが休めず、体力を削られていきます。増やすことより、メスを守ることを基準に考えたほうがうまくいきます。

とはいえ、メスばかりでは繁殖しませんし、オスの美しさもグッピーの魅力です。落としどころをどこに置くかが、この章のテーマになります。観賞と繁殖のどちらを重く見るかで、答えは変わってきます。

ここでは、比率の考え方、1ペアだけで始める場合の注意、そして構成では吸収しきれない負担を環境で減らす方法を順に見ていきます。あわせて、どの個体を親に選ぶかという視点も持っておくと、次の世代の状態が安定しますよ。

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雌雄比はメスを多めにする

オス1匹に対してメス2匹以上という基本の比率と、背の高い水草や流木の陰、浮き草でメスの逃げ場を複数作るという工夫を示したスライド
オスとメスの構成比率と環境による負担の軽減

繁殖を狙うときの基本は、オス1匹に対してメス2匹以上という構成です。1匹のオスが複数のメスへ分散して言い寄るようになるため、特定のメスに追尾が集中しにくくなります。オスとメスを同数にすると、追われ続けるメスが出やすくなります。

数を増やす場合も比率は同じ考え方でよく、オス2匹ならメス4匹以上、という具合に組みます。オスを増やすとオス同士の張り合いも起きるので、色柄を楽しみたい場合を除けば、オスは少なめのほうが水槽は落ち着きます。

逆に、繁殖を抑えたい場合はオスだけ、またはメスだけで飼うという選択もあります。ただしメスだけの場合でも、購入時点ですでに交尾を済ませていることがあり、しばらくは稚魚が産まれ続けることがあります。

ここで知っておきたいのが、比率は「増える速さ」ではなくメスへの負担を決めるものだという点です。メスが2匹いれば、増える量も単純に2倍になります。数の見積もりは、比率ではなくメスの数で行ってください。

親に選ぶ個体は、若くて体つきのしっかりしたものが向いています。オスなら尾ビレが裂けておらず色が乗っているもの、メスなら痩せておらず泳ぎ方が安定しているもの。年を重ねた個体は出産の負担に耐えにくく、痩せた個体は妊娠中に体力が持たないことがあります。

導入したばかりの個体は、環境に慣れるまで繁殖どころではありません。水合わせと導入直後の管理を丁寧に行い、落ち着いてから構成を考えるほうが結果的に早く進みます。目安として、餌をしっかり食べるようになり、ヒレを広げて泳ぐようになってからが本番だと考えてください。

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1ペアだけでも繁殖は成立するか

結論からいえば、オス1匹とメス1匹の1ペアでも繁殖は成立します。ただしこの構成では追尾がその1匹のメスに集中するため、メスの負担がもっとも大きくなる形でもあります。可能であればメスを1匹足したいところです。

1ペアで始めざるを得ない場合は、環境側で負担を減らします。水槽の広さに余裕を持たせ、水草の茂みや流木の陰を複数作って、オスの視線が通らない場所を用意してください。メスが逃げ込める場所があるかどうかで、消耗の度合いが変わります。

もうひとつの方法が、オスを一時的に別の容器へ移すことです。交尾が済んでいれば、オスがいなくても出産は続きます。理由は次の章で説明しますが、メスは受け取った精子を体内に蓄えておけるためです。

1ペアの利点もあります。系統をはっきりさせたい場合、親が特定できるので、生まれた稚魚の柄を追いやすくなります。品種を維持したい方には向いた構成といえるでしょう。

一方で、同じ親の子どもどうしを何世代も掛け合わせると、体が弱くなったり奇形が出やすくなったりすることが知られています。長く続けるなら、途中で別系統の個体を入れる必要が出てきます。

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追尾の負担を減らす逃げ場を作る

雌雄比を整えても、追尾そのものがなくなるわけではありません。構成で減らしきれない分は、水槽の中に「オスから見えない場所」を作ることで吸収します。これは繁殖水槽に限らず、グッピーを長く飼ううえで効いてくる工夫です。

作り方は難しくありません。背の高い水草を水槽の奥に密度高く植える、流木を斜めに配置して陰を作る、浮き草で水面に影を落とす。この3つのどれかがあれば、メスは休める場所を確保できます。

大切なのは、逃げ場が水槽の端に1つではなく、複数あることです。1か所しかないと、そこへ向かう途中で捕まってしまいます。中層と底層に分けて2〜3か所あると、移動しながら休めます。

観察のポイントは、メスの体型と行動です。追われ続けているメスは、痩せてくる、水面近くでじっとする、餌の時間に出てこない、といった様子を見せます。こうしたサインが出たら、オスを減らすか、隔離を検討してください。

なお、追尾はメスが妊娠中でも続きます。出産が近いメスにとっては大きな負担になるので、産む直前だけ産卵箱へ移すという判断もあります。ただし狭い箱に長く入れておくのも別のストレスになるため、期間は短くしたいところです。

比率の目安:繁殖を狙うならオス1に対してメス2以上。繁殖を抑えたいならオスだけ・メスだけの単性飼育。ただしメスだけでも購入時にすでに交尾を済ませていることがあり、しばらく稚魚が産まれます。

交尾から出産までの流れ

ここからは、水槽の中で実際に何が起きているのかを見ていきます。グッピーは卵ではなく稚魚を産む卵胎生の魚で、交尾によって体内で受精し、メスの腹の中である程度育ってから産まれます。この仕組みを知っておくと、観察の見え方が変わります。

とくに押さえておきたいのが、一度の交尾が一度の出産では終わらないという点です。オスを取り除いたあとも出産が続くのは、この性質によるもので、繁殖を止めたいときにも関わってきます。

この章では、求愛と交尾のしくみ、複数回にわたって産む理由、そして出産が近いときのサインを順に説明します。どれも水槽をのぞいて確かめられることばかりなので、読んだあとに実際の様子と見比べてみてください。

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求愛行動と交尾のしくみ

オスは、臀ビレ(腹側の、肛門のすぐ後ろにあるヒレ)が変化した細長い器官を使って交尾します。この器官はゴノポジウムと呼ばれ、メスの体へ差し入れて精子を送り込む役割を持っています。オスとメスを見分けるときの手がかりにもなる部分です。

交尾に至るまでの行動には2種類あります。ひとつは、メスの前へ回り込んで体をS字に曲げて見せる求愛の動き。もうひとつは、メスに気づかれないよう背後から近づいて交尾を試みる動きです。前者は体力を使い、目立つぶん自然界では捕食者にも見つかりやすい行動とされます。水槽の中では、その両方が入れ替わりで見られます。

水槽で観察していると、オスがメスの前へ回り込んで体を震わせる場面と、後ろからすっと近づく場面の両方が見られるはずです。どちらも繁殖行動なので、しつこく見えても異常ではありません。

ただし、程度の問題はあります。1匹のメスに複数のオスが集中している、メスが逃げ回って餌を食べられていない、という状態が続くなら、構成か環境の見直しが必要です。

交尾そのものは一瞬で終わります。交尾している場面を見ていないのに妊娠していた、ということが起こるのはこのためで、水槽の中で見逃していただけということがほとんどです。

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一度の交尾で複数回産む理由

一度の交尾でメスが体内に精子を蓄え、その後3回から4回程度の出産が続く可能性があるという流れを図解したスライド
交尾から出産までの体の仕組み

グッピーのメスには、受け取った精子を体内に蓄えておく仕組みがあります。そのため一度の交尾で、その後3〜4回程度の出産が続くことがあるとされています。オスを別の水槽へ移しても、しばらく稚魚が産まれ続けるのはこの性質によるものです。

これは繁殖を計画するうえで重要な意味を持ちます。増やしたくなくなったからオスを取り除いても、すぐには止まりません。数か月にわたって出産が続く可能性を見込んでおく必要があります。

購入した個体にも同じことがいえます。ショップの水槽ではオスとメスが一緒に泳いでいることが多いので、メスだけを買ってきた場合でも、すでに交尾を済ませていると考えたほうが自然です。導入から間もなく稚魚が産まれるのは珍しいことではありません。

出産の間隔は、条件が整っていればおよそ1か月ごとになります。妊娠期間はおよそ3〜4週間とされ、産んだあと短期間で次の妊娠に入ることもあります。

妊娠の見分け方や、産まれるまでの体の変化についてはグッピーの妊娠期間は何日?妊娠の見分け方と出産のサイン・産後ケアで詳しく扱っています。腹の膨らみ方や色の変化を追いたい方はそちらをご覧ください。

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出産が近づいたときの合図

出産が近いメスには、いくつかの変化が現れます。腹部が角張ってくる、尻ビレの付け根あたりが黒く濃くなる、水槽の隅でじっとする時間が増える、といった様子が代表的です。ただし個体差が大きく、まったく分からないまま産んでいることもあります。

行動面では、餌への反応が鈍くなる、水流の弱い場所へ移動する、といった変化が見られます。普段は群れて泳いでいるメスが1匹だけ離れた場所にいるなら、その可能性を考えてよいでしょう。

このタイミングで悩むのが、産卵箱へ移すかどうかです。移せば稚魚を確実に保護できますが、狭い容器はメスにとって負担になり、ストレスで出産が遅れることもあります。確実に見分けられないうちに何度も移すのは、かえって逆効果です。

判断に迷うなら、産卵箱を使わず、水草の茂みで受け止める方法もあります。稚魚の生存率は下がりますが、メスへの負担はありません。どちらを選ぶかは、増やしたい数と手間のかけ方しだいです。

出産そのものは数時間かけて少しずつ進むこともあり、翌日になってから稚魚が増えていることもあります。全部を見届けようとせず、環境を整えて任せるくらいでちょうどよいですね。

生まれた稚魚をどうするか

水草の茂みに任せる、産卵箱や隔離ケース、稚魚用の別水槽、親を別水槽へ移す、という4つの進め方について手間と残る数、メスへの負担を比較した表のスライド
生まれた稚魚をどうするかの管理方針の比較

稚魚が産まれてからの数日は、残る数がいちばん大きく動く時期です。成魚に食べられるか、隠れ切れるか、餌にありつけるか。この3つで生存率が決まります。設備よりも、最初の判断のほうが結果に効いてきます。

ここで方針を決めておくと迷いません。全部を育てるのか、自然に任せて残った分だけ育てるのか。どちらも正解ですが、必要な手間はまったく違います。

この章では、隔離するかどうかの判断、最初の数日にやること、そして増えすぎを見越した計画の立て方を扱います。

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進め方 手間 残る数の傾向 メスへの負担 向いている場合
水草の茂みに任せる 少ない 少なめ なし 増やしすぎたくないとき
産卵箱・隔離ケース 多い 移す期間だけ負担 数を確保したいとき
稚魚用の別水槽 多い 多い なし(稚魚を移す) 系統を管理したいとき
親を別水槽へ移す 多い 移動の負担 本水槽を稚魚に使えるとき
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隔離するかしないかの判断

隔離の目的は、成魚による捕食を防ぐことです。グッピーは自分が産んだ稚魚も食べるため、同じ水槽に成魚がいる限り、稚魚は常に捕食される側にいます。数をしっかり残したいなら隔離、自然な数に落ち着かせたいなら茂みに任せる、という選び分けになります。

産卵箱を使う場合は、期間を短くするのがコツです。出産の兆候が見えてから移し、産み終わったらメスを本水槽へ戻します。稚魚だけを箱に残せば、成長するまで守れます。

ただし箱の中は水量が少なく、水質が変わりやすい環境です。本水槽の水が循環するタイプを選び、餌の与えすぎに注意してください。底に食べ残しがたまると、狭いぶん一気に水が悪くなります。

別水槽を用意できるなら、そちらのほうが管理は安定します。小さめの水槽でも、水量が箱より多いぶん水質が振れにくくなります。ろ過はスポンジフィルターのような穏やかなものを選んでください。

逆に、隔離せず茂みに任せる方法も立派な選択です。生き残る数は減りますが、その分だけ水槽の収容力に見合った数に落ち着きます。捕食を減らす工夫はグッピーの共食いの原因と対策|稚魚を守る隔離・水草・餌・混泳のコツにまとめました。

産卵箱を用意しておくと、出産の兆候が見えた日にすぐ動けます。水槽の内側へ吸盤で留めるタイプなら場所も取りませんし、産み終わったらメスを戻して稚魚だけ残す、という使い方ができますよ。長く入れっぱなしにしないことだけ気をつけてください。

稚魚の最初の数日にやること

産まれた直後の稚魚に必要なのは、餌・水質・流れの3つです。体が小さいぶん、成魚と同じ環境では餌にありつけず、水質の変化にも弱いという状態にあります。特別な世話は要りませんが、この3点だけは見てあげてください。

餌は、口に入る大きさのものを少量ずつ与えます。成魚用のフレークをすりつぶしたものでも食べますが、粉末状の稚魚用の餌のほうが確実です。1日に数回、食べ切る量を目安にします。

水質については、稚魚がいる間は水換えを控えめにします。ただし、餌の量が増えるぶん水は汚れやすくなるので、少量をこまめに換えるほうが安定します。換える水は水温を合わせてから、静かに足してください。

流れは弱くします。稚魚は遊泳力が発達していないため、成魚が平気な水流でも押し流されて体力を消耗します。吸水口のスポンジも忘れずに付けておきましょう。

そして観察です。数日たつと成長の差が出てきて、大きい個体が小さい個体を追いかけることがあります。差が目立ってきたらサイズごとに分ける、という判断も出てきます。同じ日に産まれた稚魚でも、餌の取り方の差が数週間で体格差になって表れるためです。

稚魚の餌は、粒の細かさがそのまま食べられるかどうかを決めます。メダカ用として売られている粉末タイプでも、口に入る大きさならグッピーの稚魚に使えます。少量ずつ、食べ切れる量を1日に数回が基本です。

成長の速さは水温と餌の回数に左右されます。水温が高めだと成長は早まりますが、そのぶん水が汚れる速度も上がるので、換水の頻度とセットで考えてください。生後1か月ほどで体色が出はじめ、2か月ほどで性別の判別ができるようになるのが一般的な流れです。

増えすぎを見越した計画

繁殖がうまくいくと、数か月後には水槽が手狭になります。グッピーの繁殖で本当に難しいのは増やすことではなく、増えたあとの管理です。ここまで含めて計画しておくと、途中で慌てずに済みます。

目安として、稚魚が生後2か月ほどで性別が分かるようになり、そのころには繁殖も可能になります。つまり最初の出産から2〜3か月で、次の世代が増え始めるということです。ねずみ算という言葉がそのまま当てはまります。

止めたいときの手段は3つあります。オスとメスを分ける、オスだけを別水槽へ移す、そして繁殖を止めずに引き取り先へ渡していく。ただし前の章で触れたとおり、オスを取り除いてもすぐには止まりません。

増やす前に決めておきたいのは、飼える上限の数です。水槽の水量から適正な数を出し、それを超えたら次の世代は残さない、という線を引いておくと判断が楽になります。飼育数の考え方はグッピーの飼い方ガイド|初心者が揃える用品と水槽サイズ・始め方の手順で扱いました。

そして繰り返しになりますが、飼いきれなくなっても野外へ放すという選択肢はありません。販売店への相談、知人への譲渡、里親募集など、引き取り先を先に確保しておくのが、繁殖を始める側の責任だと考えてください。

始める前に決めておく2つ:①飼える上限の数(水量から算出)②上限を超えたときの行き先。この2つが決まっていない状態で繁殖を始めると、数か月後に選択肢のない状況に追い込まれます。飼育魚を野外へ放すことは、どんな事情があっても行わないでください。

グッピーの繁殖に関するよくある質問(FAQ)

グッピーの繁殖に適したオスとメスの比率は?

オス1匹に対してメス2匹以上が基本です。1匹のオスが複数のメスへ分散して言い寄るため、特定のメスに追尾が集中しにくくなります。オスとメスを同数にすると、追われ続けて消耗するメスが出やすくなります。

数を増やす場合も考え方は同じで、オス2匹ならメス4匹以上という具合に組みます。オスを増やすとオス同士の張り合いも起きるので、水槽を落ち着かせたいならオスは少なめのほうが向いています。ただし増える量はメスの数に比例するので、数の見積もりは比率ではなくメスの数で行ってください。

オスを別の水槽へ移せば繁殖は止まりますか?

すぐには止まりません。グッピーのメスには受け取った精子を体内に蓄えておく仕組みがあり、一度の交尾でその後3〜4回程度の出産が続くことがあるとされています。オスを取り除いたあとも、数か月にわたって稚魚が産まれる可能性があります。

同じ理由で、ショップからメスだけを購入した場合でも、すでに交尾を済ませていることがほとんどです。導入から間もなく稚魚が産まれるのは珍しいことではありません。繁殖を抑えたい場合は、この時間差を見込んで計画してください。

1ペアだけでも繁殖できますか?

オス1匹とメス1匹でも繁殖は成立します。ただしこの構成では追尾がその1匹のメスに集中するため、メスの負担がもっとも大きくなります。可能であればメスをもう1匹足すことをおすすめします。

1ペアで進める場合は、水草の茂みや流木の陰を複数作って、オスの視線が通らない場所を用意してください。交尾が済んでいればオスを一時的に別容器へ移しても出産は続きます。なお、同じ親の子どもどうしを何世代も掛け合わせると体質が弱くなることが知られているので、長く続けるなら別系統の個体を入れる必要が出てきます。

稚魚は隔離したほうがいいですか?

目的しだいです。グッピーは自分が産んだ稚魚も食べるため、数をしっかり残したいなら隔離が有効です。逆に、増やしすぎたくない場合は水草の茂みに任せて、生き残った分だけ育てるという方法もあります。

産卵箱を使う場合は期間を短くするのがコツです。出産の兆候が見えてから移し、産み終わったらメスを本水槽へ戻します。箱の中は水量が少なく水質が変わりやすいので、餌の与えすぎには注意してください。別水槽を用意できるなら、そちらのほうが水質は安定します。

繁殖しやすい時期や水温はありますか?

室内でヒーターを使って飼育している場合、決まった季節はありません。水温が保たれていれば一年中繁殖しますが、活発になるのは水温がおよそ24〜26度に安定しているときとされています。

20度を下回るような環境では交尾も出産も間隔が空きがちになり、産まれた稚魚も弱くなります。逆に30度近い環境が続くと出産の間隔が詰まり、メスが消耗することがあります。いずれもあくまで一般的な目安ですので、実際には自分の水槽での様子を見ながら判断してください。

まとめ|グッピーの繁殖は増えた先まで決めて始める

グッピーの繁殖は、条件さえ整えば難しいものではありません。オス1に対してメス2以上という構成、逃げ場のある環境、そして水温がおよそ24〜26度に保たれていること。この3つで、たいていは自然に進みます。

交尾は一瞬で終わり、見逃していることがほとんどです。そしてメスは受け取った精子を蓄えておけるため、一度の交尾で数回にわたって出産が続きます。オスを取り除いてもすぐには止まらない、という点は覚えておいてください。

生まれた稚魚をどうするかは、方針を先に決めておくと迷いません。数を残したいなら産卵箱か別水槽、自然な数に落ち着かせたいなら水草の茂みに任せる。どちらを選んでも、水流を弱めることと吸水口にスポンジを付けることは共通です。

そして繰り返しになりますが、いちばん大切なのは増やす技術ではなく、増えた先の計画です。飼える上限の数と、超えたときの行き先。この2つが決まっていれば、安心して繁殖を楽しめます。野外へ放すことだけは、どんな事情があっても選ばないでください。

なお、ここで挙げた数値や期間はあくまで一般的な目安です。個体差や飼育環境によって結果は変わりますので、実際の判断はご自身の水槽の様子をもとに行い、体調に不安があるときは販売店やお近くの専門家へ相談してください。

最初の稚魚が泳ぎ始めた日のことは、きっと忘れないはずです。準備を整えて、その日を迎えてくださいね。

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