グッピーの飼い方完全ガイド|初心者が揃える用品と始め方
熱帯魚を飼ってみたいと思ったとき、最初の候補にグッピーが挙がる方はとても多いと思います。ヒレが大きくて色がきれいで、しかも「初心者向け」と紹介されることが多い魚ですからね。
ただ、いざ調べ始めると迷いませんか。水槽は何センチがいいのか、ヒーターは本当に要るのか、フィルターの種類が多すぎてどれを選べばいいのか。そして極めつけが「グッピーは増えすぎる」という話。飼いやすいと言われているのに、注意点ばかり出てくるように感じるかもしれません。
先に結論をお伝えすると、グッピーの飼育でつまずく原因のほとんどは、水量が足りない水槽でいきなり多めに飼い始めてしまうことにあります。逆に言えば、余裕のある水量を先に確保して、少数から始めさえすれば、失敗の芽はかなり摘めるということ。用品も、必要なものは実はそれほど多くありません。
この記事では、グッピーがどんな魚なのかという基本から、揃えるべき用品とだいたいの費用、水槽の立ち上げと水合わせの手順、最初の1か月の世話、そして増えすぎ・病気・混泳という3つのつまずきどころまでを順番に整理します。読み終わるころには、何をいくつ買って、どんな順番で始めればいいかが決まっているはずですよ。
- グッピーがどんな魚で、なぜ飼いやすいと言われるのか
- 最初に揃える用品と、かかる費用のおおよその目安
- 水槽の立ち上げから最初の1か月までの具体的な手順
- 増えすぎ・病気・混泳という3つのつまずきどころと備え方
グッピーの飼い方の全体像と難易度

手順の話に入る前に、相手を知っておきましょう。というのも、グッピーの飼育で起きる問題のほとんどは、この魚の性質そのものから来ているからです。丈夫で人に慣れやすい一方、繁殖力が非常に強い。この2つが同時に効いてくるのがグッピーという魚なんですよね。
「初心者向け」という紹介は間違いではありません。ただ、それは水質の変化に比較的強いという意味であって、放っておいても大丈夫という意味ではないんです。ここを取り違えると、最初の1か月で水質を崩したり、半年後に水槽がグッピーだらけになったりします。
この章では、グッピーがどんな魚なのか、飼育難易度は実際のところどうなのか、そして始めるのにいくらくらいかかるのかを整理します。ここが分かると、次の章で用品を選ぶときの判断がぐっと楽になりますよ。
グッピーはどんな魚で何が飼いやすいのか
グッピーは中南米原産の小型熱帯魚で、体長はオスで3cm前後、メスで4〜5cm程度になります。オスは大きく色鮮やかな尾ビレを持ち、メスは体が大きめで色は地味。この見た目の違いがはっきりしているので、オスメスの区別がつけやすいのも初心者に向いている点ですね。
飼いやすいと言われる理由は、大きく3つあります。
ひとつめが水質への適応力。多少の水質の振れなら耐えてくれるので、水換えのタイミングが少しずれても致命傷になりにくいんです。熱帯魚のなかには水質にとても神経質な種類もいますが、グッピーはそこまで気を張らずに済みます。
ふたつめが小ささ。成魚でも数センチなので、大きな水槽を用意しなくても飼えます。置き場所の制約が小さいというのは、住環境を選ばずに始められるということでもあります。
みっつめが入手のしやすさ。熱帯魚を扱う店ならほぼ確実に置いてありますし、価格も手が届きやすい範囲です。困ったときに相談できる情報や経験者が多いというのも、地味ですが大きな利点だと思います。
ただし繁殖力の強さは覚悟が要る
一方で、必ず知っておいてほしいのが繁殖力です。グッピーは卵ではなく稚魚を産む卵胎生という繁殖形態で、メーカーの解説によれば一回の出産サイクルは約30日、一度に30〜100匹の稚魚を産むと説明されています(出典:キョーリン「初心者でもできる!グッピーの飼育方法と繁殖のコツ」)。
卵ではなく泳げる状態の稚魚が生まれるということは、それだけ生き残る確率が高いということ。オスとメスを一緒に飼っていれば、意図しなくても数が増えていきます。これは「殖やす楽しみ」でもありますが、受け入れる水量を用意していないと過密になるという現実的な問題にもなります。だから最初の水槽選びが効いてくるわけですね。
飼育の難易度と最初にかかる費用の目安
難易度でいうと、熱帯魚のなかでは易しい部類だと言っていいと思います。ただ、金魚やメダカのように屋外・無加温で飼える魚ではありません。熱帯魚である以上、水温を保つ設備が要ります。ここが、初心者向けと言われつつ手間はゼロではないと説明される理由ですね。
費用の話をしておきましょう。あくまで一般的な目安で、選ぶ製品や店によって幅が出ますが、初期費用のイメージは次のようになります。
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| 項目 | 費用の目安 | 省略できるか |
|---|---|---|
| 水槽(30〜45cm) | 2,000〜6,000円 | 不可 |
| フィルター | 1,500〜4,000円 | 不可 |
| ヒーター・サーモスタット | 2,000〜5,000円 | 不可(熱帯魚のため) |
| 水温計 | 300〜1,000円 | 不可(体感で判断できない) |
| 底砂 | 1,000〜3,000円 | 可(ベアタンクという選択肢あり) |
| 照明 | 2,000〜6,000円 | 条件付きで可(水草を入れないなら) |
| 餌・カルキ抜き | 1,000〜2,000円 | 不可 |
| グッピー本体(数匹) | 1,000〜5,000円 | ― |
合計すると、ひととおり揃えて1万〜3万円くらいが目安になります。オールインワンの水槽セットを選べば個別に買うより抑えられることが多いですし、逆に品種にこだわると生体の費用が一気に上がります。価格や在庫は変動するので、購入前に各ショップで確認してくださいね。
ランニングコストは、餌代とカルキ抜き剤、それにヒーターの電気代が中心です。小型水槽のヒーターであれば、電気代は月に数百円程度に収まることが多いとされていますが、水温設定・室温・水量で変わるので、あくまで参考としてお考えください。
初期費用を抑えたいときに削りたくなるのがヒーターですが、ここは削らないでください。グッピーは熱帯魚なので、冬に加温なしだと水温が下がりすぎます。削るなら、まず照明と底砂を検討してください。水草を入れない・ベアタンクで運用するという選択なら、この2つは後回しにできます。順番として、生き死ににかかわるものから買う、という基準で考えるのがおすすめです。
グッピーの飼い方に必要なものを揃える

ここからは具体的な買い物リストです。熱帯魚の用品は種類が多くて迷いますが、グッピーに必要なものはそれほど多くありません。まずは「これが無いと飼えない」ものと「あると良くなる」ものを分けて考えるのが近道です。
メーカーの飼育ガイドでは、必要な器具として水槽・底砂・エアーポンプ・フィルター・エサ・ヒーター・蛍光灯の7つが挙げられています(出典:ジェックス「グッピーの飼い方 飼育器具」)。ここに水温計とカルキ抜き剤を足せば、スタートラインとしては十分だと思います。
この章では、水槽のサイズと置き場所、フィルターとヒーターの選び方、そして底砂・水草・餌という残りの用品を順に見ていきます。とくに水槽サイズは後から変えるのが大変なので、ここは少し時間をかけて決めてくださいね。
水槽のサイズと置き場所の決め方
最初に決めるのが水槽です。そしてここがグッピー飼育でいちばん重要な判断だと私は考えています。というのも、水量の余裕がそのまま失敗の吸収力になるからです。
目安として広く使われているのがグッピー1匹あたり水1リットルという基準です(前掲のジェックスの飼育ガイドにも同様の考え方が示されています)。この基準でいくと、10匹飼うなら10リットル、20匹なら20リットルということになります。
ただ、私はこの計算に「増える分」を上乗せしておくことをおすすめしたいです。前の章で見たとおり、グッピーはオスメスを一緒に飼えば自然に増えていきます。最初に10匹入れたつもりでも、数か月後には30匹になっていることが珍しくない。だから最初から余裕を持たせておくほうが安全なんですよね。
結局どのサイズを選ぶか
具体的には、次のように考えると決めやすいです。
30cm水槽(約12リットル)は、置き場所を選ばず始めやすいサイズです。ただし水量が少ないぶん水質も水温も動きやすく、増えたときにすぐ手狭になります。オスだけを数匹飼う、という運用なら現実的な選択肢ですね。
45cm水槽(約35リットル)が、初心者にとってのバランスが良いところだと思います。水量に余裕があるので水質が安定しやすく、多少増えても受け止められます。設置面積も一般的な家具に載る範囲です。迷ったら45cmを選んでおくと後悔が少ないかなと思います。
60cm水槽(約57リットル)まで行くと、水質はさらに安定して繁殖にも余裕が出ます。ただし水を張ると60kg近くになるので、置き場所は専用の水槽台か、耐荷重に余裕のある家具に限られます。
置き場所については、直射日光が当たらない、エアコンの風が直接当たらない、床が水平で安定しているの3つを満たす場所を選んでください。窓辺の直射日光はコケの大量発生と水温上昇を招きますし、水を張ったあとに水槽を動かすのはほぼ不可能です。設置場所は水を入れる前に確定させてくださいね。
水槽・フィルター・ライトがひとまとめになったセットなら、個別に選ぶ手間が省けます。本文で目安にした45cm規格のサイズなら水量に余裕が出るので、増えたときにも受け止めやすいですよ。ヒーターと水温計は別売りのことが多いので、内容をよく確認してくださいね。
フィルターとヒーターの選び方
水槽が決まったら、次はフィルターとヒーターです。この2つは生き死ににかかわる設備なので、ここでは節約しないほうがいいと思います。
フィルターは水槽サイズに合わせる
フィルターの役割は、水を循環させながらフンや餌の残りを受け止め、目に見えない汚れをバクテリアの働きで分解することです。つまり水をきれいに保つ心臓部ですね。
種類としては、上部フィルター・底面フィルター・外掛け式・水中フィルターなどが紹介されています。グッピーの場合、選ぶときの基準は水流の強さです。グッピーは大きなヒレを持っているぶん泳ぎが得意ではなく、強い水流の中では体力を消耗してしまいます。
ですから、水流が穏やかなタイプを選ぶか、強い場合は吐出口の向きを壁に向ける、スポンジをかませるなどして弱めてあげてください。とくに稚魚がいる水槽では、吸い込み口に稚魚が吸われないようスポンジを付けるのが必須になります。
ヒーターは必須と考える
グッピーの適温は23〜26度とされ、冬場はヒーターが必要だと説明されています(前掲のジェックスの飼育ガイド)。日本の室内で冬にこの水温を保つのは、加温なしではまず無理です。
ヒーターには、温度が固定されているオートヒーターと、サーモスタットで温度を設定するタイプがあります。初心者なら設定ミスの起きないオートヒーターが扱いやすいと思います。容量は水槽の水量に合わせて選び、迷ったら少し余裕のあるものを。能力が足りないと設定温度まで上がりません。
温度が固定されたオートヒーターなら、設定ミスの心配がありません。容量は少し余裕を持たせるのが安全なので、45cm水槽で選ぶなら対応する水量に幅のあるタイプが扱いやすいと思います。
そして忘れがちなのが水温計です。ヒーターが壊れていても、水に手を入れるまで気づけません。数百円のもので構わないので必ず入れて、毎日ちらっと見る習慣をつけてください。水温についてもっと詳しく知りたい方は、生存・繁殖・稚魚それぞれで変わるグッピーの適温をまとめた記事もあわせてどうぞ。ヒーターなしで飼えるのかという疑問については、冬と夏の水温管理とリスクを整理した記事で条件を確認してみてください。
底砂と水草と餌の選び方
ここからは「あると良くなる」寄りの用品です。ただし餌だけは必須なので、そこは分けて考えてください。
底砂は入れるかどうかから決める
底砂には、見た目を整えるほかに、バクテリアの住処になって水質を安定させるという役割があります。一方で、フンや餌の残りが溜まりやすく、掃除の手間が増えるという面もあります。
グッピーの場合、選択肢は大きく大磯砂とソイル、そして何も敷かないベアタンクの3つです。
大磯砂は洗って繰り返し使えて丈夫、ソイルは水草が育ちやすい反面いずれ交換が必要になります。掃除のしやすさを最優先するなら、あえて敷かないという判断も十分にあり得ます。
どれを選ぶか迷ったら、大磯砂とソイルを比較したグッピーの底砂の選び方を読むと判断しやすいと思います。何も敷かない運用が気になる方は、ベアタンク飼育で得るものと失うものを整理した記事が参考になりますよ。
水草は稚魚の隠れ家として効く
水草は必須ではありませんが、グッピーを飼うなら入れておく価値があります。理由は見た目ではなく、生まれた稚魚の隠れ家になるからです。
グッピーは自分が産んだ稚魚でも食べてしまうことがあります。水草が茂っていれば稚魚が逃げ込めるので、生存率が変わってきます。とくにウィローモスやマツモのように葉が細かく密になるものが向いていますね。逆に、増やしたくない場合はあえて隠れ家を作らない、という運用もあります。
餌は人工飼料を基本にする
餌はグッピー用または熱帯魚用の人工飼料を基本にしてください。粒が小さく、水面に浮くタイプがグッピーの口と泳ぎ方に合っています。
与え方は、1日1〜2回、数分で食べきる量というのがメーカーの案内です(前掲のキョーリンの飼育解説)。生き餌や冷凍餌を組み合わせると色つやや繁殖に良い影響が期待できるとされますが、まずは人工飼料だけで十分に育ちます。足りないより、多すぎるほうが問題になりやすいのがこの魚の餌やりです。
まずは1本だけ選ぶなら、グッピー向けに作られた人工飼料が確実です。粒の大きさが口に合っているので食べ残しが出にくく、量の加減もつかみやすいと思いますよ。
グッピーの飼い方の始め方と最初の1か月
用品が揃ったら、いよいよセットアップです。ここで多くの初心者がやってしまうのが、水槽に水を張った当日に魚を入れてしまうことなんですよね。気持ちはよく分かるのですが、これが最初の1か月を左右します。
新品の水槽の水には、汚れを分解してくれるバクテリアがまだ住んでいません。そこへ魚を入れると、フンから出るアンモニアが分解されずに溜まっていきます。この「立ち上げ」の期間をどう扱うかが、最初の関門です。
この章では、水槽の立ち上げから水合わせまでの手順と、最初に入れる匹数、そして餌と水換えの基本を見ていきます。ここを丁寧にやれば、そのあとの管理はぐっと楽になりますよ。
水槽の立ち上げと水合わせの手順

手順を順番に並べます。急がば回れ、の典型的な工程です。
立ち上げから導入までの流れ
- 水槽を設置場所に置き、水平と安定を確認する(水を入れると動かせません)
- 底砂を敷くなら、濁りが出なくなるまで洗ってから入れる
- フィルター・ヒーター・水温計をセットする
- カルキを抜いた水を入れ、機器の電源を入れる
- そのまま最低でも1週間、できれば2週間ほど回してバクテリアが増えるのを待つ
- 水温が安定していることを確認してから、少数のグッピーを水合わせして入れる
5番の待ち時間が、いちばん省略されやすいところです。市販のバクテリア剤を使うと立ち上がりを早められるとされていますが、それでも当日投入は避けたほうが無難だと思います。水槽を買った日に魚を買わないというだけでも、生存率はかなり変わります。
水合わせは時間をかける
店から持ち帰ったグッピーは、袋の中の水と水槽の水で水温も水質も違います。これをいきなり移すと、急激な変化がショックになります。
やり方はこうです。まず袋を開けずに水槽へ30分ほど浮かべ、水温を近づけます。次に袋を開け、水槽の水を少しずつ足していきます。10分おきに袋の水の2〜3割ずつを入れ替えるイメージで、これを3〜4回繰り返してください。最後に網でグッピーだけをすくって水槽へ移し、袋の水は入れない。店の水には病原体が混ざっている可能性があるので、持ち込まないのが基本です。
全体で1時間ほどかかりますが、この時間を惜しむと、翌日に体調を崩すことがあります。生き物の導入は、いちばん急いではいけない工程かなと思います。
最初の匹数と餌・水換えの基本

最初に入れる数は、水槽の容量から計算した上限の半分以下にしてください。45cm水槽(約35リットル)なら、5〜10匹程度から始めるのが安全です。
理由は2つあります。ひとつは、立ち上げ直後のバクテリアはまだ少なく、処理できる汚れの量が限られていること。もうひとつは、繁殖で数が増える前提だからです。最初から上限まで入れると、増えた時点で確実に過密になります。
オスメスの比率をどう考えるか
増やしたいかどうかで、選び方が変わります。
増やす前提なら、オス1匹に対してメス2〜3匹くらいの比率が一般的とされています。オスはメスを追い回す性質があるので、メスが少ないと1匹に負担が集中してしまうためですね。
逆に増やしたくないなら、オスだけを飼うのがいちばん確実です。オスはヒレが大きく色も鮮やかなので、鑑賞という点でも満足度は高いと思います。ただし、店で買ったメスがすでに妊娠していることは珍しくないので、メスを1匹でも入れるなら増える前提で考えてください。
餌と水換えのペース
餌は1日1〜2回、数分で食べきる量が目安です。食べ残しが底に沈むなら明らかに多すぎます。旅行などで数日空けても、成魚なら大きな問題にはなりにくいので、留守中に多めに入れておくほうがむしろ危険だと考えてください。
水換えは、週に1度、全体の3分の1から2分の1程度を交換するというのがメーカーの案内です(前掲のキョーリンの飼育解説)。使う水はカルキを抜き、水温を合わせてから入れます。全部を一度に替えないのは、バクテリアまで流してしまうのを避けるためですね。
水換えの日を「毎週日曜の朝」のように固定してしまうと、忘れにくくなりますよ。水質は少しずつ悪くなるので、気づいたときには手遅れという事故を防げます。
グッピーの飼い方でつまずきやすい場面
ここまでの手順どおりに始められれば、最初の1か月は大きな問題なく過ぎることが多いです。ただ、そのあとに待っているつまずきどころが3つあります。増えすぎ、病気、混泳です。
この3つに共通しているのは、どれも「起きてから対処する」より「起きる前に備える」ほうが圧倒的に楽だということ。とくに増えすぎは、気づいたときには手遅れになりやすい問題です。
この章では、その3つについて、あらかじめ知っておくと違う考え方を整理します。詳しい対処は個別の記事に譲りますが、備えの方向性だけはここで押さえておいてくださいね。
増えすぎたときの考え方と備え
グッピー飼育で最も多い悩みが、これだと思います。一度に30〜100匹という出産が約30日ごとに繰り返されるので、放っておけば水槽はすぐにいっぱいになります。
大事なのは、「増えたらどうするか」を飼い始める前に決めておくことです。選択肢は主に4つあります。
ひとつめがオスだけを飼うという方法。増えないので最も確実です。ふたつめが水槽を増やすという方法で、楽しみは増えますが置き場所と手間も増えます。
みっつめが隠れ家を作らないという運用。稚魚が親に食べられるので自然に数が抑えられますが、心情的に難しい方もいると思います。よっつめが引き取り先を確保しておくこと。熱帯魚店で引き取ってもらえる場合があります。
どれを選ぶにしても、絶対にやってはいけないのが、川や池に逃がすことです。グッピーは日本の在来種ではなく、一部の地域では野外で定着していることが確認されています。生態系への影響が大きいので、これだけは選択肢に入れないでください。
具体的な抑え方と引き取り先の探し方は、グッピーが増えすぎる原因と対処法を整理した記事で詳しく扱っています。
病気のサインと混泳の相性
グッピーは丈夫な魚ですが、水質が崩れると病気が出ます。とくに大きなヒレは傷みやすく、症状が出やすい部位でもあります。
毎日見るべき3つのサイン
難しい知識は要りません。毎日の給餌のときに、次の3つだけ見てください。
ひとつめが泳ぎ方です。水面近くでじっとしている、底に沈んでいる、体をこすりつけるといった動きは異常のサインになります。
ふたつめがヒレの状態。裂けている、白くにごる、溶けたようになっているのは病気の初期症状であることがあります。みっつめが食欲で、いつもは寄ってくるのに反応が鈍いなら何かが起きています。
気づいたときにまずやるのは、薬を入れることではなく水質の確認と部分的な水換えです。多くの不調は水質の悪化が背景にあるので、そこを整えるだけで回復に向かうこともあります。ヒレの異常が気になるときは、尾ぐされ病の初期症状と原因を解説した記事で症状を照らし合わせてみてください。
薬を使う場合は、必ず対象魚種と使用量を製品の表示で確認してください。水草やエビが同居している水槽では使えない薬もあります。また、病気の判断は見た目だけでは難しく、複数の原因が重なっていることもあります。症状が改善しない、あるいは急速に広がるときは、無理に自己判断せず購入した専門店に相談してください。飼育結果や病気の改善は環境差・個体差によって変わり、保証できるものではありません。正確な情報は製品や公的機関の公式サイトをご確認ください。
混泳は「大きなヒレ」で判断する
ほかの魚と一緒に飼いたい場合、判断基準はシンプルです。グッピーの大きなヒレをつつく魚は避ける、これに尽きます。
ヒレをかじる習性のある魚や、大型で口に入ってしまう相手はもちろん不向きです。逆に、水槽の底で暮らす小型のコリドラスや、おとなしい小型の魚は比較的合わせやすいとされています。
意外な落とし穴が、同じ卵胎生の仲間との組み合わせです。プラティとは交雑の可能性や増えすぎの問題があるので、安易に一緒にしないほうがいいと思います。詳しくはグッピーとプラティの混泳で本当に注意すべき点を確認してみてください。
グッピーの飼い方に関するよくある質問(FAQ)
グッピーは何匹から飼うのがいいですか?
45cm水槽なら5〜10匹程度から始めるのが安全です。水槽の容量から計算した上限いっぱいまで入れないのがポイントで、理由は立ち上げ直後のバクテリアが少ないことと、繁殖で増える前提だからです。1匹だけで飼うことも可能ですが、グッピーは群れで泳ぐ姿が魅力なので、数匹いたほうが観賞としても楽しめると思います。増やしたくない場合は、オスだけを複数匹という選び方がおすすめです。
水槽セットを買えば他に何も要りませんか?
セットの内容によります。水槽・フィルター・照明が入っているものが多い一方、ヒーターと水温計、底砂、餌、カルキ抜き剤は別売りというケースが少なくありません。グッピーは熱帯魚なので、ヒーターが入っていないセットを買った場合は必ず追加してください。購入前にセット内容の一覧を確認し、足りないものをメモしておくと二度手間になりません。正確な内容は各製品の公式情報をご確認ください。
留守にするとき、餌はどうすればいいですか?
2〜3日程度であれば、餌を与えずに出かけて問題ないことが多いです。成魚は数日絶食しても持ちこたえますし、多めに入れておくほうが水質悪化を招いて危険です。長期間留守にする場合は、自動給餌器を使うか、少量ずつ与えてもらえる方にお願いするのが安心です。出発前には水換えを済ませ、ヒーターと水温計が正常に働いているかを確認しておいてください。
稚魚が生まれたらどうすればいいですか?
まず、育てるかどうかを決めてください。育てる場合は親に食べられないよう、産卵ケースや別容器へ移すか、水草を茂らせて隠れ家を作ります。餌は成魚用をすりつぶして粉状にするか、稚魚用の細かい餌を少量ずつ与えます。自然に任せる場合は特別なことをしなくても、隠れ場所があれば何匹かは育ちます。どちらを選ぶにしても、増えた分を受け入れる水量があるかを先に確認しておくと安心です。
水草は入れたほうがいいですか?
目的によります。稚魚を育てたいなら、隠れ家になるので入れる価値が高いです。ウィローモスやマツモのように葉が細かいものが向いています。逆に増やしたくないなら、あえて入れないという判断もあります。また、水草を育てるには照明が必要になるので、その分の費用と電気代がかかる点も考慮してください。人工の水草でも隠れ家としては機能するので、生きた水草の管理に自信がないうちはそちらから試すのも手だと思います。
グッピーの飼い方のまとめ
最後に要点を整理します。グッピーは熱帯魚のなかでは飼いやすい部類ですが、それは水質の変化に比較的強いという意味であって、手間がかからないという意味ではありません。
いちばん重要な判断は水槽サイズです。グッピー1匹あたり水1リットルという目安に、繁殖で増える分を上乗せして考えてください。迷ったら45cm水槽。水量の余裕が、そのまま失敗の吸収力になります。
必須の用品は、水槽・フィルター・ヒーター・水温計・餌・カルキ抜き剤。底砂と照明は運用次第で後回しにできます。削るなら照明と底砂から、ヒーターは削らない。この順番を覚えておいてください。
始め方は、水槽を立ち上げてから1〜2週間待ち、水合わせに1時間かけて、上限の半分以下の数から。餌は1日1〜2回で数分で食べきる量、水換えは週に1度で3分の1から2分の1。この4つが日々の基本になります。
そして飼い始める前に、増えたときにどうするかだけは決めておいてください。オスだけにするのか、水槽を増やすのか、引き取り先を探すのか。川や池に逃がすという選択肢だけは絶対に取らない、これは守ってくださいね。
数値はあくまで一般的な目安であり、製品や環境によって変わります。正確な情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。生き物が相手である以上、環境差・個体差によって結果は変わりますので、判断に迷うときの最終的な判断は、専門家や購入した専門店にご相談ください。あなたの水槽で、グッピーが気持ちよく泳いでくれますように。

