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エンドラーズとグッピーの違いは?種類・交雑・繁殖と分けて飼う理由

ⓘ 広告 ▰ グッピー
水草水槽を泳ぐエンドラーズのオスの写真に、グッピーとの違いと繁殖・飼育のポイントのタイトルを重ねた表紙のスライド

エンドラーズグッピーとは?グッピーとの違い・種類と繁殖

THE AQUA LAB 所長(イラスト)

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の所長です。

ショップや通販で「エンドラーズ」という魚を見かけて、ふつうのグッピーと何が違うのか気になった方も多いのではないでしょうか。

見た目はグッピーによく似ているのに、「エンドラーズグッピー」「エンドラーズライブベアラー」と呼び名もいくつかあって、同じ魚なのか別の魚なのか迷ってしまいますよね。

今いるグッピーの水槽に一緒に入れてよいのか、殖やしたら何が起きるのかも、買う前に知っておきたいところだと思います。

先に結論をお伝えすると、エンドラーズは一般的なグッピーより小さく、オスの体色などに違いがある一方で、グッピーと交雑でき、生まれた雑種も殖えることが研究で報告されています。

そのため、エンドラーズの系統を守りたい場合は、グッピーと同じ水槽に入れずに分けて飼うのがおすすめです。

この記事では、原記載論文や魚類のデータベース、IUCNレッドリスト、環境省の資料などをもとに、エンドラーズの特徴とグッピーとの違い、流通している種類、繁殖と交雑の注意点を整理しました。

寿命や水温のように学術的な出典が見つからなかった項目は、そのことをはっきり書いたうえで、参考になる情報を紹介しています。

この記事で理解できることは、次の4つです。

  • エンドラーズの名前の由来と、別種かグッピーの一種かで見解が分かれている理由
  • 体の大きさ・オスの色柄・寿命の目安など、一般的なグッピーとの違い
  • 純血系と交雑系の違いと、通販やショップで表記を確かめるポイント
  • グッピーと交雑するしくみと、系統を守るために分けて飼う考え方
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エンドラーズグッピーとはどんな魚か

エンドラーズがベネズエラ北東部原産の小型の魚で、分類の見解が分かれ、IUCNレッドリストで絶滅危惧とされていることをまとめたスライド
エンドラーズの原産地と分類の見解

まずは、エンドラーズがどんな魚なのかを、名前と分類の面から整理します。

エンドラーズは、南米ベネズエラの北東部を原産とする小型の魚で、学名はPoecilia wingeiです。

ショップでは「エンドラーズ」「エンドラーズグッピー」「エンドラーズライブベアラー」などの名前で売られていて、見た目はグッピーによく似ています。

それもそのはずで、エンドラーズはグッピーと同じポエキリア属の仲間です。

一方で、エンドラーズを独立した種とみなすか、グッピーの1つの集団とみなすかは、研究者のあいだで見解が分かれています。

また、原産地では数が減っていて、国際的な評価で絶滅のおそれがある種に位置づけられている魚でもあります。

この章では、名前の由来と原産地、そして分類の見解が分かれている理由を順に見ていきます。

呼び名が複数ある理由も、この歴史を知るとすっきり理解できるかなと思います。

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名前の由来と原産地

「エンドラーズ」という名前は、研究者のジョン・A・エンドラー博士に由来します。

IUCNレッドリストの解説によると、エンドラー博士は1975年に、ベネズエラ北東部の町クマナに隣接するラグナ・デ・ロス・パトスという潟で、この魚を採集しました。

標本と生きた魚はアメリカの研究者の手に渡り、そこから観賞魚のブリーダーへ配られていきました。

その結果、正式な学名がつかないまま、1970年代から「Endler’s Livebearer」や「Endler’s Guppy」という名前で知られるようになったのです。

ライブベアラーは、卵ではなく稚魚を産む魚を指す英語です。

ただし、エンドラー博士が最初にこの魚を見つけたわけではありません。

オスの体色や体形がグッピーと違うこのタイプの魚が、それより前の1930年代に、F・F・ボンドによってクマナですでに採集されていたことが、学術論文やIUCNの資料で紹介されています。

正式に新種として記載されたのは、ずっとあとの2005年のことです。

学名の後半にあたる「wingei」は、グッピーの色柄や性の決まり方の遺伝を研究した、デンマークの生物学者 Øjvind Winge 博士への献名です。

原産地は、ベネズエラ北東部のスクレ州です。

原記載論文では、カンポマ潟とブエナビスタ潟から、カルパノに至るまでの淡水域に生息するとされています。

IUCNの資料によると、スクレ州では少なくとも14地点で生息が記録されています。

エンドラーズは、IUCNレッドリストで絶滅危惧(Endangered:EN)と評価されています(出典:IUCNレッドリスト)。

評価が行われたのは2021年3月で、結果が公表されたのは2024年です。

個体数は減少傾向とされています。

脅威としては、グッピーとの交雑、観賞魚としての違法な採集、モザンビークティラピアなどの外来魚、埋め立てや都市化による生息地の改変、下水や農薬による汚染、干ばつや気候変動などが挙げられています。

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別種かグッピーの一種かは見解が分かれる

エンドラーズがグッピーとは別の種なのかどうかは、じつは今も研究者のあいだで見解が分かれています。

別種とする立場の出発点は、2005年にPoeser、Kempkes、Isbrückerの3人が、学術誌の論文でPoecilia wingeiという新種として記載したことです。

その後、Schoriesらによる2009年の研究は、ミトコンドリアDNAを使った系統の解析から、エンドラーズを有効な種だと結論づけました。

有効な種(有効種)とは、分類学のうえで独立した種として認められていることを指します。

魚類の学名をまとめたデータベースであるCatalog of Fishesや、IUCNレッドリストも、現在はエンドラーズを有効種として扱っています。

IUCNの解説では、2018年の研究にもとづいて、グッピーの「姉妹種」、つまり系統のうえでいちばん近い関係にある種と位置づけています。

一方で、別種とは認めない立場の研究もあります。

Herdegenらによる2014年の研究は、遺伝的にも見た目の上でも、エンドラーズを別の種として区別する根拠は得られなかったと結論づけました。

また、IUCNの解説によると、AlexanderとBredenによる2004年の研究などは、クマナのグッピーを、グッピーから新しい種が分かれていく途中の初期段階として扱っています。

どちらの立場にも研究の裏づけがあり、現時点で「別種だ」「グッピーの一種だ」と言い切ることはできません。

正式な学名がないままグッピーに近い魚として流通してきたことが、「エンドラーズライブベアラー」と「エンドラーズグッピー」という2つの呼び名が並ぶ背景にあると考えられます。

注目したいのは、新種として記載した原記載論文も、クマナのグッピーとほかのグッピーの集団の間には交配後の生殖隔離がまったく無い、という研究結果を引用している点です。

別種とする立場の資料でも、グッピーと交雑できるほど近い関係にあることは示されているので、飼うときはこの点を前提に考えるのが大切です。

エンドラーズとグッピーの違い

ここからは、エンドラーズと一般的なグッピーの違いを、具体的に比べていきます。

ここでいう一般的なグッピーとは、学名がPoecilia reticulataの魚で、ショップで「グッピー」として売られている魚の多くがこれにあたります。

大きく違うのは、体の大きさと、オスの体色や模様です。

エンドラーズは原記載論文でも小型の種とされていて、オスには体の金属光沢の強さや、体の中央部の黒い帯といった特徴があります。

反対に、メスどうしは見た目での区別がとても難しく、この点が購入や系統の管理で悩みやすいところです。

また、寿命や適した水温といった飼育の目安は、エンドラーズについては学術的な資料が少なく、海外の愛好家や販売店の情報に頼る部分が大きくなります。

まずは、大きさの違いから見ていきましょう。

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体の大きさはグッピーより小さい

エンドラーズと一般的なグッピーの学名、オスとメスの大きさ、見た目の違いを出典つきで比べた表のスライド
エンドラーズと一般的なグッピーの項目ごとの比較

エンドラーズは、一般的なグッピーより小さな魚です。

原記載論文の診断では、オスは約15mm、メスは20mmまでの大きさとされています。

この値は、口の先から尾ビレの付け根までを測る「標準体長」で表されています。

魚の大きさには、尾ビレの先まで含めて測る「全長」という表し方もあり、同じ魚でも全長のほうが大きな数字になります。

魚類の学術データベースであるFishBaseでも、エンドラーズの最大体長は標準体長で2.0cm(メス)と記録されています。

一方のグッピーは、キョーリンの解説によると、メスの体長が4〜6cmです。

国立環境研究所の侵入生物データベースでは、グッピーの全長はオスが3.5cm、メスが5cmとされています。

測り方が出典ごとに違うので単純には比べられませんが、エンドラーズがグッピーより小型なことは、どの資料からも読み取れます。

また、オスよりメスのほうが大きいという点は、エンドラーズもグッピーも同じです。

違いをひと目で比べられるように、主なポイントを表にまとめました。

→ 横にスクロールできます

比べる項目 エンドラーズ 一般的なグッピー
学名 Poecilia wingei Poecilia reticulata
オスの大きさ 約15mm(標準体長・原記載) 全長3.5cm(国立環境研究所)
メスの大きさ 20mmまで(標準体長・原記載)/最大2.0cm(標準体長・FishBase) 全長5cm(国立環境研究所)/体長4〜6cm(キョーリン)
オスの見た目 体の金属光沢が強い/体の中央部に大きな黒い帯/クマナのタイプはダブルソードや黒い三日月形の斑など 原記載の比較では、エンドラーズほど体の金属光沢が強くない
メスの見た目 グッピーのメスと区別できないとされる エンドラーズのメスと見た目での区別が難しい
鰭の条数などの計数形質 グッピーと同じ エンドラーズと同じ
分類上の扱い 有効種とする見解と、グッピーの一集団とする見解がある 独立した種
日本の法規制 外来生物法の規制対象外/生態系被害防止外来種リストにも掲載なし 外来生物法の規制対象外/生態系被害防止外来種リスト第2版で防除検討外来種

数値は出典ごとの目安で、個体差・系統差があります。

出典は、エンドラーズが原記載論文・FishBase・Herdegenらの2014年の研究、グッピーが国立環境研究所の侵入生物データベース・キョーリン、法規制が環境省の資料です。

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オスの色と体の黒い帯が見分けどころ

エンドラーズとグッピーを見分けるときに手がかりになるのは、オスの体色と模様です。

原記載論文によると、エンドラーズは鰭の条数などを数えて比べる「計数形質」がグッピーと同じなので、数を比べても区別できません。

違いとして挙げられているのは、体の金属光沢が強いことです。

さらに、グッピーの分布域と接する地域のオスには、体の中央部に大きな黒い帯という独自の模様があるとされています。

ショップで「ブラックバー」という呼び名を見かけることがありますが、論文の記述と同じ系統を指しているかどうかは、今回の調べでは確認できませんでした。

Herdegenらによる2014年の研究では、クマナのタイプのオスを特徴づけるものとして、4つの点が挙げられています。

尾ビレの上下が剣のように伸びるダブルソードをもつこと、黒い三日月形の斑があること、尾の橙色の部分が広いこと、尾の付け根にあたる尾柄が細いことです。

いずれも、典型的なグッピーと比べたときの違いです。

ただ、グッピーには色や形の違う品種がたくさんあり、交雑した個体も流通しているので、1つの特徴だけで判断するのは難しいと考えておきましょう。

メスの見分けは、さらに難しくなります。

原記載論文は、エンドラーズのメスはグッピーのメスと区別できないとしていて、生きた個体なら金属光沢がわずかに強いかもしれない、という程度の違いしか挙げていません。

ショップでメスを選ぶときは、見た目よりも、どの水槽で何と一緒に育ってきたかという来歴のほうが手がかりになります。

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寿命と飼い方の目安

エンドラーズの寿命について、論文や公的機関の資料では、はっきりした値を見つけられませんでした。

参考になるのは、エンドラー博士も共著者に名を連ねた1997年の海外の愛好家向けの記事で、平均でおよそ1年、なかには2年ほど生きるものもいると書かれています。

一方、米国のエンドラーズ専門の販売店は寿命を約2〜3年としていて、情報源によって値にばらつきがあります。

いずれも査読を受けた研究の値ではなく、飼育環境や系統によっても変わると考えられるので、あくまで一般的な目安として受け止めてください。

比べる対象として、グッピーの寿命はジェックスの解説で1〜2年ほどとされています。

グッピーの寿命の考え方や、長生きさせるための毎日の管理については、グッピーの寿命と老化のサインをまとめた記事で詳しく紹介しています。

飼育に適した水温や水質についても、学術的な値は見つかっていません。

FishBaseには、エンドラーズの水温やpHの記載がないのです。

海外の飼育データベースであるSeriously Fishでは、水温24〜30℃、pH7.0〜8.5という目安が示されていますが、これは学術的に測られた値ではありません。

IUCNの資料によると、ラグナ・デ・ロス・パトスは塩分の濃さが大きく変わる汽水の潟ですが、エンドラーズがどこまで塩分に耐えられるかは研究されていません。

国内では、日本の水槽で殖やされた「国産ブリード」の個体も販売されています。

そのため、まずは購入した販売店での水温や水質を聞いておき、その条件に近づけたうえで様子を見ながら調整していくのが無難です。

エンドラーズも熱帯の魚なので、冬に水温が下がる部屋では、小型水槽用のヒーターで水温を保つと管理しやすくなります。

対応する水量や設定温度、価格は、購入前に商品の説明と各ショップでご確認ください。

エンドラーズの種類と選び方

エンドラーズを探していると、「お年玉」「ブラックバー」「タイガー」など、さまざまな名前の個体が売られていることに気づくと思います。

同じエンドラーズという名前でも、グッピーとの交雑で作られた品種と、そうでない個体が混ざって流通しているのです。

IUCNの資料でも、飼育下での繁殖によってエンドラーズらしい体色や体形の特徴が失われていることが指摘されています。

IUCNは、そのことが原産地で野生の個体の採集が続く背景の1つになっているとも述べています。

もちろん、交雑系の品種が悪いというわけではなく、色柄を楽しむ魚として選ぶのも1つの楽しみ方です。

大切なのは、自分が買う個体がどちらのタイプなのかを知ったうえで選ぶことです。

この章では、純血系と交雑系の違いと、通販やショップで表記を確かめるときのポイントを整理します。

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純血系と交雑系の違い

海外の愛好家や販売店による純血系・由来不明・交雑系の3つの区分と、確かめる手がかりを表にしたスライド
純血系・由来不明・交雑系の区分

国内の販売店の説明によると、一般に流通するエンドラーズは、背ビレが白く、体の側面に大きな黒い斑をもつタイプです。

このタイプには、販売店によって「お年玉」や「ブラックバーエンドラーズ」といった呼び名も使われています。

一方、「タイガー」という名前のついた個体については、販売店自身がグッピーとエンドラーズの交配で作られた品種だと明記している例があります。

その商品の学名欄は「Poecilia reticulata × Poecilia wingei」となっていて、2種の掛け合わせであることが分かる書き方です。

海外には、エンドラーズの由来を3つのクラスに分けて登録する、愛好家や販売店の制度もあります。

ベネズエラの野生集団に由来することが記録で裏づけられた純血系統を「Nクラス」、見た目は似ていても由来の記録がないものを「Pクラス」、グッピーなどとの交雑が分かっているものを「Kクラス」と呼ぶ分け方です。

ただし、これは業界団体や学術機関が定めた基準ではなく、あくまで愛好家と販売店による登録制度です。

この考え方をもとに、3つの区分を表にまとめておきます。

→ 横にスクロールできます

区分 どんな個体か 確かめる手がかり
純血系(Nクラスにあたる) 野生集団に由来することが記録で裏づけられている 採集地や系統の記録が示されているか
由来不明(Pクラスにあたる) 見た目は似ているが由来の記録がない 販売店に系統の来歴を問い合わせる
交雑系(Kクラスにあたる) グッピーなどとの交雑が分かっている 学名欄の「×」や品種名の説明

ここまでの内容からも、見た目だけで純血かどうかを判断するのは難しいことが分かると思います。

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通販やショップで表記を確かめる

エンドラーズを通販やショップで選ぶときは、商品名だけでなく、学名の欄や説明文まで確かめるのがおすすめです。

学名が「Poecilia wingei」とだけ書かれていれば、販売店はエンドラーズとして扱っていると読み取れます。

販売店によっては「Poecilia wingei var.」のように、学名のあとに「var.」を添えて表記している例もあります。

一方で「Poecilia reticulata × Poecilia wingei」のように「×」が入っていれば、グッピーとエンドラーズを掛け合わせた交雑系だというサインです。

表記のルールは販売店ごとに違う可能性があるので、気になるときは系統の由来を直接問い合わせてみてください。

「国産ブリード」という表記は、日本国内で殖やされた個体であることを示しています。

国内で殖やされた魚と海外から輸入された魚の違いについては、国産グッピーと外国産グッピーの丈夫さや注意点を比べた記事も参考になると思います。

オスとメスをセットで買うときは、メスの確認がとくに大切です。

ショップの水槽にグッピーが一緒に入っていた場合は、見た目では見分けられないグッピーのメスが混ざっている可能性や、すでにグッピーのオスと交配している可能性も考えておきましょう。

購入前に、そのメスがエンドラーズだけの水槽で育ったものかどうかを、店員さんに確かめておくと安心です。

◆所長のワンポイントアドバイス

系統を守りたいなら、メスは「エンドラーズだけの水槽で育った個体」を選ぶのがいちばんの近道ですよ。

通販で届いた個体は、袋の水と水槽の水の温度や水質を少しずつ合わせる「水合わせ」をしてから水槽に入れましょう。

グッピーの品種全体の中でエンドラーズの位置づけを比べてみたいときは、人気のグッピー品種と選び方を一覧にした記事もあわせて読んでみてください。

エンドラーズの繁殖とグッピーとの交雑

エンドラーズは、グッピーと同じようにメスが稚魚を産む魚として、販売店などで紹介されています。

国内で殖やされた個体も流通しているように、水槽の中でも次の世代が生まれていく魚なので、繁殖を楽しみにしている方も多いと思います。

ただし、エンドラーズの繁殖を考えるうえで避けて通れないのが、グッピーとの交雑の問題です。

研究では、エンドラーズにあたるクマナのタイプとグッピーの間で子が生まれ、その子もさらに繁殖できたことが報告されています。

つまり、同じ水槽で飼えば交雑が起こりうるうえに、一度混ざった血を後から取り除くのは難しくなります。

この章では、卵胎生という殖え方の基本、グッピーと交雑するしくみ、そして系統を守るための飼い方を順に整理します。

最後に、よくある質問にもまとめて答えますね。

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メスが稚魚を産む卵胎生の仲間

グッピーは、メスが卵ではなく稚魚を産む「卵胎生」の魚です。

環境省の生態系被害防止外来種リストの付加情報にも「卵胎生」と書かれていて、キョーリンやスペクトラム ブランズ ジャパンも、グッピーは卵を産まずに稚魚を産むと説明しています。

エンドラーズについても、販売店では卵胎生の魚として紹介されています。

エンドラーズはグッピーと同じポエキリア属の仲間で、オスは体内受精のための交接器(ゴノポディウム)をもっています。

原記載論文では、この交接器の形が、エンドラーズを見分ける特徴の1つとして使われています。

ただし、IUCNの資料によると、野生のエンドラーズの繁殖や食べ物といった生態は、まだ分かっていないとされています。

出産の間隔や一度に産む稚魚の数についても、純粋な系統で確かめた学術的な値は見つかりませんでした。

海外の愛好家の記録では、出産はおよそ3〜4週間ごとで、一度に産む数は数匹から20匹余りまでと幅があります。

メスの大きさなどによって数は変わるとされているので、あくまで一般的な目安として考えてください。

比べる対象として、キョーリンの解説では、グッピーのメスの出産サイクルは約30日で、一度に30〜100匹の稚魚を産むとされています。

キョーリンは、グッピーのメスが精子を体内に蓄えて、2〜3回の出産に使えることも紹介しています。

エンドラーズで同じことを確かめた資料は見つかりませんでしたが、グッピーと同居していたメスは、分けた後に雑種の子を産む可能性も考えておくと安心です。

また、キョーリンによると、グッピーの稚魚は親などに食べられてしまうことがあります。

稚魚を育てたいときは、細かい水草などの隠れ家を用意したり、産卵箱で親と分けたりするのが基本です。

交尾から出産までの流れや、オスとメスの数のバランスは、グッピーの交尾のしくみと稚魚が生まれるまでの流れを解説した記事で詳しく紹介しています。

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グッピーと交雑し子も殖える

エンドラーズとグッピーは、交雑して子を残すことができます。

AlexanderとBredenによる2004年の研究は、クマナの集団と、地理的に離れたほかのグッピーの集団との間に、雑種ができない・育たないといった遺伝的な不和合の証拠は見つからなかったと報告しています。

同じ2人も共著に加わったHerdegenらの2014年の論文では、この交配実験について、どの組み合わせでもメスは生きて育つ子を産み、その子は親のタイプとの戻し交配でも繁殖に成功したとまとめられています。

戻し交配とは、雑種の子を親と同じタイプの魚と再び掛け合わせることです。

雑種が一代で終わらず、その先も子孫を残せるということは、一度混ざった遺伝子が系統の中に残り続けるということでもあります。

では、同じ場所にいるとき、メスはどちらのオスを選ぶのでしょうか。

Herdegenらの論文が紹介している実験では、メスをクマナのオスとグッピーのオスの両方と一緒にしたところ、クマナのメスが産んだ子の80%はクマナのオスの子でした。

一方、グッピーのメスが産んだ子のうち、クマナのオスの子は30.5%でした。

メスは自分と同じタイプのオスを好む傾向があるものの、ほかのタイプのオスの子も一定の割合で生まれていた、ということです。

この実験は水槽での混泳を直接調べたものではありませんが、メスの好みだけで交雑を防ぐのは難しいと考えられます。

野生でも、2つのタイプの割合が大きく変わった記録があります。

IUCNがエンドラー博士の2011年の報告を引いて示したところによると、ラグナ・デ・ロス・パトスでのグッピーとエンドラーズの割合は、1934年に80%対20%、1975年に70%対30%、1990年に10%対90%と変わり、2005年にはグッピーが1匹も見つからなかったそうです。

色柄が親から子へどう伝わるのかという遺伝のしくみは、グッピーの色柄が子に伝わるしくみと固定の進め方をまとめた記事で解説しています。

交雑できるかどうかが属の違いで決まる理由は、グッピーとプラティの交雑が起きるかを属の違いから解説した記事で、グッピーとエンドラーズの例も含めて紹介しています。

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系統を守るなら混泳させず分けて飼う

系統を守るならグッピーと分けて飼うこと、混泳させる場合の注意、メスを買うときの確認点をまとめたスライド
系統を守るなら分けて飼う

ここまでの内容を踏まえると、エンドラーズの系統を守りたい場合は、グッピーと同じ水槽に入れず、分けて飼うのがおすすめです。

学術機関や公的機関が「分けて飼うべきだ」とはっきり書いているわけではありません。

ただ、エンドラーズとグッピーは交雑でき、生まれた雑種も殖えるので、一度混ざってしまうと元の系統に戻すことはできません。

国内の販売店も、グッピーとは簡単に交雑してしまうので、系統を維持する場合は混泳を避けるよう呼びかけています。

海外の飼育データベースも、交雑するのでグッピーと一緒に飼うべきではないとしています。

一方で、系統にこだわらず色柄の変化を楽しみたいのであれば、グッピーとの混泳そのものは可能です。

その場合は、生まれた子を「エンドラーズ」として人に譲ったり販売したりしないように気をつけてください。

雑種の個体を純血のように扱うと、次に飼う人の水槽で系統が混ざるきっかけになってしまいます。

グッピー以外の魚と一緒に飼う場合は、エンドラーズが小さな魚であることを考えて、小型でおとなしい魚を選ぶのが無難です。

混泳相手の候補を探すときは、グッピーと相性のよい魚と避けたい魚を一覧で比べた記事が参考になると思います。

日本での法律上の扱いも確認しておきましょう。

エンドラーズは、外来生物法の特定外来生物にも未判定外来生物にも指定されておらず、環境省の生態系被害防止外来種リストにも載っていません。

一方のグッピーは、2026年9月に公表された生態系被害防止外来種リストの第2版で「防除検討外来種」に分類されています(出典:環境省 生態系被害防止外来種リスト)。

リストの基本方針では、飼っている個体は防除の対象にはならないものの、逃げ出さないよう十分に注意し、野外に放さないことが求められています。

グッピーの項目でも、とくに小笠原・南西諸島や、温泉水が流れ込むなど水温の高い川には放流しないよう注意が促されています。

また、基本方針には、リストに載った種が交雑して生まれた生物についても、慎重に対応することが大切だという注意書きがあります。

グッピーとエンドラーズの雑種がこれに当たるかは明記されていませんが、エンドラーズも雑種も、野外に出さないことが前提です。

エンドラーズやグッピー、その雑種を、川や池、用水路などに放さないでください。

飼えなくなったときは、知人に譲る、販売店に相談するなど、屋外に出さない方法を選びましょう。

水換えの排水に稚魚がまぎれて外へ流れ出ないようにも気をつけてください。

系統を分けて飼うなら、フィルターなどがそろった小型の水槽セットを1つ用意すると始めやすくなります。

セット内容やサイズ、価格は、購入前に各ショップでご確認ください。

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エンドラーズグッピーに関するよくある質問(FAQ)

エンドラーズとグッピーは同じ魚ですか?

学名は別々につけられていて、主な分類のデータベースやIUCNはエンドラーズを有効な種として扱っています。

ただし、グッピーの一集団とみなす研究もあり、見解は分かれています。

グッピーと一緒に飼うと交雑しますか?

交雑する可能性があります。

研究では、エンドラーズにあたるクマナのタイプとグッピーの間で子が生まれ、その子も戻し交配で繁殖したことが報告されています。

系統を守りたい場合は、グッピーとは別の水槽で飼うのがおすすめです。

エンドラーズの寿命はどれくらいですか?

学術的な出典は見つからず、海外の愛好家の記録では平均およそ1年で長いと2年ほど、米国の販売店では約2〜3年と、情報によって差があります。

飼育環境や系統によっても変わると考えられます。

数字はあくまで一般的な目安として受け止めてください。

オスとメスはどう見分けますか?

オスはメスより小さく、体の金属光沢や黒い模様がはっきりしていて、交接器(ゴノポディウム)をもっています。

メスはオスより大きく、グッピーのメスと区別できないほど似ているとされています。

エンドラーズのメスかどうかは見た目では判断しにくいので、購入するときは育った水槽を確かめてください。

エンドラーズを川や池に放してもいいですか?

放さないでください。

エンドラーズは外来生物法の規制対象ではありませんが、グッピーと交雑でき、そのグッピーは環境省のリストで放流しないよう求められている魚です。

飼えなくなったときは、知人に譲る、販売店に相談するなど、屋外に出さない方法を選んでください。

まとめ|エンドラーズは違いを知り分けて飼う

エンドラーズは、ベネズエラ北東部のスクレ州を原産とする小型の魚で、1970年代からエンドラー博士の名前とともに観賞魚として広まりました。

別種とする見解とグッピーの一集団とする見解がありますが、飼う側にとって大切なのは、グッピーと交雑でき、その子も殖えるという点です。

  • 大きさ:原記載ではオス約15mm・メス20mmまで(標準体長)で、グッピーより小さい
  • 見分け方:オスは体の金属光沢と体の中央部の黒い帯が手がかりで、メスはグッピーと見分けにくい
  • 種類:一般的なタイプのほか、タイガーなどグッピーとの交配で作られた品種もある
  • 繁殖:メスが稚魚を産み、グッピーとの雑種も戻し交配で繁殖したという研究がある
  • 飼い方:系統を守るならグッピーと混泳させず、エンドラーズだけの水槽で分けて飼う

購入するときは、学名の「×」の表記や系統名、メスが育った水槽を確かめて、交雑系かどうかを知ったうえで選んでください。

エンドラーズもグッピーも、その雑種も、川や池には放さず、最後まで水槽の中で責任をもって飼いましょう。

この記事で紹介した体長や寿命、水温などの数値は、論文や販売店などの情報にもとづく一般的な目安で、個体差・環境差・系統差によって変わります。

正確な情報は公式情報や販売店にご確認ください。

生体の状態や系統の見極めに迷うときは、最終判断は販売店・専門店へご相談ください。

違いを知ったうえで分けて飼えば、エンドラーズならではの小さな体の輝きを、ゆっくり楽しめますよ。

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