グッピーの病気一覧|症状の見分け方と安全な初期対応
あなたのグッピーの体に白い点が出ている、ヒレの先が溶けたように見える、水面で口をパクパクさせているなど、いつもと様子が違うと心配になりますよね。
何の病気なのか、手元の薬を使ってよいのか、すぐに答えがほしくなるのは自然なことです。
先に結論をお伝えすると、最初にするのは薬を入れることではなく、魚の様子をよく見て、水温・水質・酸素に問題がないかを確かめることです。
そのうえで症状から病名の見当をつけ、薬を使う場合は製品の表示どおりに1種類ずつ使い、複数の薬を混ぜないのが安全な進め方です。
薬浴、つまり薬を溶かした水に魚を入れる治療の日数や、塩浴、つまり薄い食塩水に魚を入れる方法の濃度も、製品の表示と発売元の説明を分けて確かめる必要があります。
判断に迷うときは、魚を診られる獣医師や薬の発売元に相談できると心強いです。
この記事では、薬の発売元の図鑑、農林水産省のデータベースに載っている製品表示、米国フロリダ大学の資料をもとに、グッピーの病気を一覧にしました。
一覧は病名の見当をつける入口なので、病気ごとの細かな治療手順ではなく、症状の要点と見分け方、初期対応の考え方にしぼってお伝えします。
この記事で理解できることは、次の4つです。
- 白い点・ヒレの溶け・泳ぎ方など、症状が出た場所から考えられるグッピーの病気
- 原因ごとに分けたグッピーの病気の種類と、薬では治せない不調
- 異変に気づいたときに水温・水質・酸素を先に確かめる理由と、隔離の判断
- 薬浴の日数や塩浴の濃度を製品表示で確かめる方法と、相談先へつなぐ目安
症状が出た場所で見分けるグッピーの病気

グッピーの病気を見分けるときは、症状が体のどこに出ているかから候補を絞っていくと整理しやすくなります。
観賞魚の薬の発売元である日本動物薬品(ニチドウ)が公開している観賞魚の診療所というサイトにも、体表・ヒレ・口・泳ぎ方といった症状から病気をさがせるページがあります。
ただし発売元は、そのページで「本サイトは診療や病気を確定するものではございません」と断っています。
観賞魚では合併症や複合感染が珍しくなく、複数の病原体によって複数の症状が出ていることも多いと、発売元は説明しています。
フロリダ大学の白点病の資料でも、似た見た目の病気があるため、白い点だけを根拠に診断してはいけないとされています。
つまり一つの症状だけで病名は決まらず、この章の一覧は候補を絞るための目安として使うのが安全です。
また病気の原因には、寄生虫、つまり魚の体に取りついて暮らす小さな生き物や、細菌、つまり目に見えないほど小さな菌などがあります。
体が白い|白い点・白い綿・白い濁りの見分け方
グッピーの体が白く見えるときは、白い点なのか、綿のようなフサフサなのか、全体がうっすら濁っているのかを見分けるのが最初の手がかりです。
発売元の症状検索では、体表に点状のものがつく場合の候補に、白点病・ウーディニウム症・テロハネルス症が挙がっています。
白点病は白点虫という寄生虫による病気で、ウーディニウム症は細かな点がコショウをふりかけたように見える病気として、発売元の図鑑に載っています。
フサフサした綿のようなものがつく場合は、発売元の症状検索では水カビ病が挙がっています。
体表全体が白っぽくなる場合は、カラムナリス症、つまりカラムナリス菌という細菌による病気のほか、水カビ病・ギロダクチルス症・テトラヒメナ症・リンホシスチス病と、候補が一気に増えます。
ヒレが白く濁る場合も、尾ぐされ病・ギロダクチルス症・水カビ病・トリコジナ症が挙がっていて、白さだけでは一つに絞れません。
表は候補を絞る目安で、病名の確定ではないことを前提に見てください。
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| 症状(見え方) | 考えられる病気 | 見分けのポイント | 出典 |
|---|---|---|---|
| 体表に白い点がつく | 白点病・ウーディニウム症・テロハネルス症 | ウーディニウム症はコショウをふりかけたような細かな点とされる | 発売元の症状検索・図鑑 |
| 綿のようなフサフサがつく | 水カビ病 | 体のスレ(こすれ傷)や細菌感染、寄生虫の傷のあとに二次的に起こるとされる | 発売元の症状検索・図鑑 |
| 体表全体が白っぽくなる | カラムナリス症・水カビ病・ギロダクチルス症・テトラヒメナ症・リンホシスチス病 | 候補が多く、見た目だけでは絞りにくい | 発売元の症状検索 |
| ヒレが白く濁る | 尾ぐされ病・ギロダクチルス症・水カビ病・トリコジナ症 | 尾ぐされ病はヒレの先端から白く濁り、次第に溶けるように進むとされる | 発売元の症状検索・図鑑 |
| 口が白い | 口ぐされ病 | 尾ぐされ病と同じカラムナリス症として扱われる | 発売元の症状検索・図鑑 |
| 白い点が見えないのに弱る・死ぬ | エラだけに寄生した白点病、外観症状が出ないことのあるギロダクチルス症など | 体の表面だけでは判断できない | フロリダ大学の資料・発売元の図鑑 |
病気の画像を見比べたいときは、発売元の観賞魚の診療所に病気ごとの画像やイラストが載っているので、そちらで確かめられます。
発売元は「魚病画像やイラストの無断使用はご遠慮ください」としているため、この記事では画像を転載せず、サイト名の紹介にとどめています。
ヒレや口が溶ける・赤くなる・泳ぎや呼吸がおかしい
ヒレの先がギザギザになったり、溶けたように短くなったりしているときは、発売元の症状検索では尾ぐされ病が候補に挙がっています。
尾ぐされ病・口ぐされ病は、先ほど触れたカラムナリス症にあたる病気です。
発売元は症状の進み方を「初期では鰭の先端などが白く濁り、次第に溶けるような症状が見られます」と説明しています。
進むとヒレが裂けてボロボロになり、口のまわりが白くなる場合は口ぐされ病が疑われます。
体やヒレが赤く充血している、点のように出血しているときは、運動性エロモナス症、つまりエロモナスという細菌の仲間による病気の一つである赤斑病・鰭赤病が候補になります。
泳ぎ方では、体を底や石にこすりつける動きについて、発売元は「寄生虫が体についている時によくみられる症状です」としています。
水面で口をパクパクさせる鼻上げは、発売元によると「エラに寄生を受けたり、機能が低下して酸欠になっている時にみられる症状です」とされています。
ヒレを閉じてじっとしている、ゆっくりとしか泳がないといった様子も、発売元の図鑑ではギロダクチルス症が大量に寄生したときの症状に挙がっています。
こうした泳ぎや呼吸の異変は寄生虫だけでなく酸欠でも起こるため、後の章で紹介するように、水温・水質・酸素を先に確かめてください。
お腹が膨らむ場合、発売元の症状検索ではエロモナス症・熱帯魚のイリドウイルス病・テロハネルス症が挙がり、鱗が逆立つ場合は立鱗病が挙がっています。
ただしグッピーのメスは妊娠でもお腹が大きくなるため、膨らみだけでは病気と決められず、別の病気や妊娠との見分けが必要です。
お尻から何かが出ているときも、1つの症状だけで病名を決めず、食欲や泳ぎ方などほかの様子と合わせて見てください。
原因別に見るグッピーの病気の種類
症状の場所で候補を絞ったら、次はその病気が何によって起きているのかを考えます。
原因で分けておくと、薬で治せる病気なのか、飼い方を見直すべき不調なのかが見えてきます。
発売元の日本動物薬品は「観賞魚治療薬で治療することができるのは、病原体による病気になります」と説明しています。
病原体、つまり病気のもとになる寄生虫や細菌、カビなどがいない不調は、薬で治すことはできないというのが発売元の考え方です。
さらに病原体による病気でも、有効な治療方法がないとされるものがあります。
このあと出てくる原虫とは、つまり顕微鏡でなければ姿を見分けにくい小さな寄生虫の仲間のことで、発売元も「顕微鏡でなければ虫体の判別は困難です」と書いています。
この章では、寄生虫・原虫による病気、細菌・カビによる病気、薬では治せない不調の3つに分けて、グッピーで知っておきたい病気の要点をまとめます。
寄生虫・原虫による病気
寄生虫・原虫による病気として、ここでは白点病・ギロダクチルス症・テトラヒメナ症・ウーディニウム症の4つを取り上げます。
白点病について、発売元は「新しく魚や水草を導入した際に一緒に持ち込んでしまい発生するケースが多いです」と説明しています。
水温との関係では、発売元は「一般的に水温が高いときはサイクル期間が短く、産生される仔虫の数は多くなります」としています。
サイクルとは白点虫の成長の一巡のことで、発売元は約20℃で1週間ほど、フロリダ大学の資料は24〜26℃ほどで約3〜6日としています。
発売元は水温を26〜28℃程度に上げると一巡が短くなり、薬が効きやすくなるとも説明していて、加温するときは酸素の減り方にも注意が要ります。
また販売元のキョーリンは「真皮の中や膜の中の白点虫には駆虫効果はありません」としていて、発売元も白い点が消えたあと数日は様子を見るよう呼びかけています。
白点病で水温を上げるときの進め方と、薬がグッピーや水槽に合うかを表示で確かめる手順は、初期症状から治療の進め方までを追った白点病の解説で整理しています。
ギロダクチルス症について、発売元は「外観症状を示さないことがあります」としていて、大量に寄生すると鼻上げやヒレの白い濁りも見られるとされています。
テトラヒメナ症は、シンガポールから輸入されたグッピーでの診断が論文の抄録で報告されている病気で、発売元は体表やヒレの白化、鱗がはがれる、ただれ(潰瘍)、ふらふら泳ぐといった症状を挙げています。
発売元は「テトラヒメナが寄生した魚に対して有効な治療方法はありません」としていて、対策として疑わしい魚を持ち込まないことを何より重視しています。
グッピーを対象にした別の論文の抄録では、アンモニアや有機物の多い水、低い水温にさらされると感染が多くなり、輸送の条件でも感染が増えたと報告されています。
ウーディニウム症は体表に細かな点がつく病気で、発売元は有効な治療薬はないとしています。
細菌・カビによる病気
発売元の図鑑では、赤斑病・鰭赤病と立鱗病(松かさ病)が、どちらも運動性エロモナス症として紹介されています。
赤斑病・鰭赤病について、発売元は「体表に点状の出血や充血がみられます」と説明し、梅雨時や秋口のように水温変化の激しい時期に発生しやすいとしています。
立鱗病は鱗が逆立って松かさのようになる病気で、出血や充血、腹部の膨張、眼球突出を伴うこともあるとされています。
立鱗病は「免疫低下時や水質が悪化したときに発生しやすい病気です」と、発売元は説明しています。
つまり腹部の膨張は、独立した病名というより、運動性エロモナス症などに伴う症状の一つとして扱われています。
カラムナリス症は尾ぐされ病・口ぐされ病の原因で、発売元はカラムナリス菌を飼育環境にもともといる常在細菌とし、魚の免疫が落ちたときや傷口、スレから感染すると説明しています。
つまり菌そのものは水槽にいる前提で、傷やスレを作らない環境と、魚の体力を落とさない水質を保つことが予防の中心になります。
水カビ病は体表やヒレに綿毛のようなものがつく病気で、発売元は「水カビ病は二次的な病気として発生します」と説明しています。
スレや細菌感染、寄生虫による傷が先にあって起こるとされるため、綿のようなものが見えたら、その下にほかの病気が隠れていないかにも目を向けてください。
綿のようなものが見えたときに先に確かめたい傷や水質と、塩浴や薬の表示の確かめ方は、綿状の付着物の下に隠れた原因から順に確かめる記事にまとめています。
薬では治せない不調
グッピーの不調のなかには、薬を使っても治せないものがあります。
発売元は病気を3つのタイプに分け、「2つ目は飼育環境に起因する病気です」としたうえで、水質やエサがこれにあたると説明しています。
水質の悪化や急な水温の変化、傷んだエサで弱っている場合は病原体が原因ではないため、薬ではなく環境やエサの見直しが必要です。
病原体による病気でも、先に触れたテトラヒメナ症やウーディニウム症のように、有効な治療法がないとされるものがあります。
発売元は熱帯魚のイリドウイルス病についても「有効な治療方法はありません」としています。
イリドウイルス病は、東南アジアから輸入されたランプアイやドワーフグラミーなどで疑われる病気として紹介されていて、グッピーを名指しした説明ではありません。
なお、グッピーエイズという呼び名は、発売元の図鑑や製品表示の範囲では病名として確認できない通称です。
症状の進み方やほかの病気との見分け方は、グッピーエイズとは?胸びれの曇りから始まる症状と隔離・予防の手順で詳しく整理しています。
異変に気づいたときの初期対応

グッピーの異変に気づいたら、薬を手に取る前に、まず飼育環境を確かめるのが安全な順番です。
フロリダ大学の魚のストレスに関する資料では、水質の悪さや過密などのストレス要因を正すことは、病気の治療より先か、少なくとも治療と同時に行うべきだとされています。
同じ資料は、治療を行き当たりばったりに行ってはいけないとも書いています。
発売元の日本動物薬品も、病気の要因として、病気の魚の持ち込みやスレ傷、傷んだエサと並べて「水質の悪化、急激な温度変化、過密飼育」を挙げています。
つまり病気に見える症状の裏に飼育環境の乱れが隠れていることがあり、環境を整えないまま薬だけを入れても、元の原因は残ったままになりかねません。
この章では、最初に確かめたい水温・水質・酸素のポイントと、病魚を隔離するのか水槽ごと治療するのかの考え方を順に見ていきます。
最初に水温・水質・酸素を確かめる
フロリダ大学の魚の診断に関する資料は、魚は一生を水の中で過ごすため、魚が病気になったらその水を調べる必要があるとしています。
同じ資料では、水温・pH・アンモニア・亜硝酸と、溶存酸素、つまり水に溶けている酸素の量を記録することが挙げられています。
家庭で測れる項目から測り、水温と魚の様子をあわせて記録しておくと、後で相談するときの材料になります。
水温について、発売元は一般に25〜28℃くらいを薬の使用に適した水温としています。
ただし発売元の旧ページには、鰓に寄生する虫の治療の説明の中で、水温を上げると水に溶ける酸素が減り、魚の呼吸困難を助長する危険があるという注意もあります。
酸素については、販売元のキョーリンが、薬が作用するときに酸素を消費するため、薬浴中はエアレーションをするよう案内しています。
観賞魚用メチレンブルー液の表示にも、ろ過器を使うと効果が下がるため、薬浴中はエアーを使うよう書かれています。
鼻上げが見られるときや水温を上げたあとは、病気だけでなく酸欠も疑ってみてください。
酸欠のサインの見分け方やエアレーションの要否は、グッピーにエアレーションは必要?水面の攪拌で決まる判断基準と酸欠対策で確かめられます。
水質が悪くなっているようなら水換えで整えるのが基本で、量と頻度の目安はグッピーの水換え頻度は週1回・量は3分の1|手順と掃除の線引きにまとめています。
過密はフロリダ大学の資料でも発売元の説明でも病気の要因に挙がっているため、数が多いと感じたらグッピー水槽は何匹が適正?30・45・60cm別の目安と過密の見分け方で見直してください。
1日のうちに何匹も急に死ぬ場合、フロリダ大学の資料では、そうした急激な反応の原因はたいてい環境、とくに水質の変化で、有害な化学物質や薬の入れすぎでも起こりうるとされています。
異変に気づいた直後に避けたいことが3つあります。
1つ目は、効果を確かめないまま薬を次々に替えたり、複数の薬を混ぜて入れたりすることです。
2つ目は、熱帯魚には使用しないと表示された薬や、疑っている病気が表示の対象に入っていない薬を使うことです。
3つ目は、高い濃度の塩水に短時間入れる方法や患部に薬を塗る処置など、表示にない使い方を自己判断で試すことです。
水温を毎日同じ条件で確かめたいときは、水槽の外側に貼って表示を読むデジタル水温計もあり、測れる範囲や貼り方は製品の説明で確かめてください。
隔離するか、水槽ごと治療するかの判断

病気の魚を見つけるとすぐに別の容器へ移したくなりますが、隔離は病魚を離すことであって、それだけで治療が終わるわけではありません。
発売元のよくある質問では、1匹だけ発症した場合について「基本的には他の魚と一緒に薬を使用して下さい」と答えています。
続けて「もし病魚を隔離して治療する場合は、元の水槽にも同様に薬を使用して下さい」とも書かれています。
白点病のように水の中に病原体がいる病気では、症状が出ていない魚も同じ水にいるため、元の水槽も治療の対象になるという考え方です。
フロリダ大学の白点病の資料も、水中を泳ぐ段階の白点虫を狙って水槽ごと処理することを前提にしています。
一方で、別の容器で使うよう表示で決められている薬もあり、観賞魚用エルバージュエースの表示には「薬浴は飼育水槽外に専用の薬浴槽を設置して行う」と書かれています。
テトラヒメナ症のように有効な治療方法がないとされる病気では、病魚を離して他の魚への広がりを食い止めることが、隔離の主な目的になります。
水槽ごと治療する場合、表示には活性炭やゼオライトなどのろ材を取り除いて使うよう書かれたものがあり、発売元も「ほとんどの観賞魚用治療薬はろ過細菌に影響を与えます」と説明しています。
隔離の容器を用意するときは、元の水槽に残った魚も同じ病原体にさらされているかもしれないと考え、両方の様子を見続けるところまでを一つの対応として考えておくと安心です。
これから新しいグッピーを迎えるときは、トリートメント、つまり本水槽に入れる前にしばらく別の水槽で様子を見る期間を設けると、病気の持ち込みを防ぎやすくなります。
フロリダ大学の白点病の資料では、新しい魚には最低30日の隔離期間が勧められています。
迎え入れる日の水合わせの進め方は、グッピーの水合わせのやり方と時間の目安|袋の水を入れない理由とショック対策で確かめてください。
薬浴・塩浴は製品表示どおりに
薬を使うと決めたときに頼りにしたいのは、薬の名前や評判よりも、製品ごとの表示です。
観賞魚の薬は動物用医薬品、つまり動物に使うことを前提に効能や使い方、注意が定められた薬で、その内容が表示に書かれています。
表示の中心は、効能効果、つまりどの病気に使えるかと、用法用量、つまりどれだけの水にどれだけ入れて何日使うかの2つです。
多くの表示には「本剤は定められた用法・用量を厳守すること」という一文も入っています。
同じ病名に使える薬でも、対象魚、効能、量、期間、ほかの薬との併用の可否は製品ごとに違います。
さらに、発売元のサイトの解説と製品の表示とで、使える病気や日数の説明が食い違っている箇所もあります。
そのためこの記事では発売元の解説より製品表示を優先し、表示にない使い方は発売元に問い合わせるという立場をとります。
薬は混ぜず、日数と濃度は製品ごとに表示で決める

まず大切なのは、薬を1種類ずつ使い、複数の薬を混ぜないことです。
グリーンFゴールド顆粒の表示には「他の薬品および水質安定剤との併用は避けること」と書かれています。
グリーンFリキッドの表示は「本剤には、他の薬剤を加えて使用しないこと」、ヒコサンZの表示は「本剤は他の薬剤と混用しないこと」としています。
水質安定剤、つまりコンディショナーとも呼ばれる水をととのえる製品についても、併用を避けるよう書かれた表示が多くあります。
一方、発売元の現行の図鑑には、水カビ病の解説のなかで、細菌や寄生虫がきっかけの場合に条件つきで2種類までの同時使用を認める説明もあります。
この記事ではその説明を採らず、表示を優先します。
理由は、表示が製品ごとに定められた使い方であることと、フロリダ大学の抗菌剤の資料が、正しい診断のないまま抗菌剤を次々に替える使い方を戒めていることの2つです。
日数も製品ごとに表示が違うため、薬浴の日数を一つの数字にまとめることはできません。
対象魚の欄が観賞魚だけの製品は、熱帯魚が含まれるかどうかを表示の本文で確かめてください。
この表は使える薬の一覧ではなく、表示の違いを並べたものです。
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| 製品名 | 対象魚の表示 | 効能の表示 | 期間の表示 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| グリーンF | 観賞魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病・細菌性感染症 | 日数は表示に記載なし(「週余にわたる連続投与は行わないこと」と表示、発売元の目安は5〜7日) | 表示・発売元 |
| グリーンFリキッド | 観賞魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病・外傷 | 5〜7日を目安 | 表示 |
| メチレンブルー水溶液 | 観賞魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病 | 5〜7日を目安 | 表示 |
| 観賞魚用メチレンブルー液 | 金魚・錦鯉・淡水性熱帯魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病 | 表示に記載なし(販売元は約5〜7日で薬効が低下すると説明) | 表示・販売元 |
| ニューグリーンF | 観賞魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病・外傷・細菌性感染症 | 5〜7日を目安(発売元の現行の薬品一覧には掲載なし) | 表示・発売元 |
| グリーンFクリアー | 観賞魚 | 白点病 | 7日間 | 表示 |
| アグテン | 観賞魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病 | 表示に記載なし(発売元の目安は2〜3日) | 表示・発売元 |
| ヒコサンZ | 観賞魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病 | 表示に記載なし(1〜2日後に改善がなければ換水して再度添加と表示) | 表示 |
| グリーンFゴールド顆粒 | 観賞魚 | 細菌性感染症(発売元はカラムナリス症・運動性エロモナス症を対象と説明) | 日数は表示に記載なし(「週余にわたる連続投与は行わないこと」と表示、発売元の目安は5〜7日) | 表示・発売元 |
| 観パラD | 観賞魚 | エロモナス属による穴あき病 | 早期治療は4時間・治療は5〜7日間(期間後は使用を中止) | 表示 |
| グリーンFゴールドリキッド | 観賞魚 | エロモナス属による穴あき病 | 早期治療は4時間・治療は5〜7日間(期間後は効果の有無にかかわらず中止) | 表示 |
| 観賞魚用エルバージュエース | 熱帯魚は淡水産熱帯魚 | 淡水産熱帯魚はカラムナリス病のみ | 24時間(専用の薬浴槽で行い、期間後は中止) | 表示 |
| 魚病薬サンエース | 観賞魚 | 白点病・尾ぐされ症状・水カビ病・細菌性感染症 | 3日間(期間後は効果の有無にかかわらず中止) | 表示 |
| リフイッシュ/観賞魚用ムシクリア液 | 熱帯魚・海水魚には使用しない | ウオジラミ・イカリムシの駆除など | グッピーには使わない | 表示 |
表のとおり、観パラDとグリーンFゴールドリキッドは発売元の図鑑で尾ぐされ病の対応薬として紹介されていても、表示の効能はエロモナス属による穴あき病だけです。
観賞魚用エルバージュエースも、熱帯魚ではカラムナリス病だけが効能で、専用の薬浴槽での24時間の薬浴と表示されています。
リフイッシュと観賞魚用ムシクリア液の表示には「熱帯魚、海水魚には使用しないこと」とあり、グッピーには使えません。
期間が決められた製品には、期間を使ったあとは効果の有無にかかわらず中止し、繰り返し使わないよう書かれたものもあるため、自己判断で延長しないでください。
手元の製品の表示は、農林水産省 動物医薬品検査所の「動物用医薬品等データベース」で製品名から確かめられます(出典:農林水産省 動物医薬品検査所「動物用医薬品等データベース」)。
塩浴は、薬の代わりではなく治療の補助として考えるのが安全です。
発売元の計量ツールでは塩浴の濃度の目安が0.3%と0.5%の2段階で、図鑑でも病気によって0.3〜0.5%の食塩の併用や、0.5%の塩水浴が有効とされています。
販売元のキョーリンは、浸透圧の調整に使う体力を減らすため、グッピーなどでは一般的に塩水浴との併用が行われていると説明しています。
ただし発売元の旧ページには「食塩単独で、病気を治療することは困難です」とあり、塩だけで治そうとするのは避けたいところです。
また各製品の表示には食塩との併用の可否が書かれていないため、薬と塩を一緒に使いたいときは発売元に確かめると安心です。
高い濃度の塩水に短時間入れる方法について、発売元は魚への負担が大きく稚魚などには危険なので、あまり勧めないとしています。
混泳している場合は、発売元の旧ページが食塩に弱い魚として南米シクリッドやカラシン類を挙げ、薬と食塩の併用薬浴に使わないよう書いている点にも注意してください。
塩浴を続ける期間は、国内の表示や発売元の説明に決まった日数が見当たらないため、この記事では断定しません。
薬を使う前に、表示で次の5点を確かめてください。
対象魚は、熱帯魚や淡水性熱帯魚が含まれているかどうかです。
効能は、疑っている病気が効能効果に書かれているかどうかです。
量は、水槽の実際の水量に対してどれだけ入れるかです。
期間は、何日間または何時間使うのか、延長や繰り返しの制限があるかどうかです。
併用は、ほかの薬や水質安定剤と一緒に使うことを避けるよう書かれていないかどうかです。
相談・受診の目安と再発予防
表示どおりに薬を使っても良くならないときや、原因の見当がつかないときは、一人で抱え込まずに相談先へつなぐことが大切です。
フロリダ大学の資料は、病気が疑われたらできるだけ早く、獣医師や魚の健康の専門家、魚病の診断機関に連絡することが大切だとしています。
一方で国内の発売元は、魚は言葉で病気を伝えられないうえ「診ることのできる獣医師も限られる」ため、飼い主が病状を判断して適切な治療薬を使う必要があると説明しています。
身近に相談できる先があれば頼り、見つからなければ表示どおりに使いながら発売元へ問い合わせるのが、実情に合った進め方です。
再発を防ぐには、発売元が挙げる病気の要因を、日ごろの管理で一つずつ減らしていくことが基本です。
具体的には、新しい魚や水草を迎えるときの持ち込みに気をつけ、傷んだエサを与えず、水質の悪化や急な水温の変化、過密を避けることです。
相談先へつなぐ目安
相談先へつなぐ目安は、次の4つの場面です。
1つ目は表示どおりの量と期間で使っても改善しないときで、フロリダ大学の資料は、正しく行った治療に反応しない魚は専門家に評価し直してもらうべきだとしています。
2つ目は1日のうちに何匹も急に死ぬときで、病気よりも水質の急な変化や有害な物質、薬の入れすぎといった環境側の原因を先に疑います。
3つ目は原因の見当がつかないときや複数の症状が同時に出ているときで、発売元も観賞魚では複数の病原体が重なる合併症が珍しくないとしています。
4つ目は薬を誤って飲み込んだなど人の側の事故で、表示には「誤って本剤を飲み込んだ場合は、直ちに医師の診察を受けること」と書かれています。
相談先は、魚を診られる獣医師か、使っている薬の発売元です。
表示にも「使用に際しての不明な点や事故等があった場合は、発売元へ連絡すること」とあります。
フロリダ大学の資料は、正確に診断する前に治療を始めると、おもな原因を突き止めにくくなるとも指摘しています(出典:UF/IFAS EDIS「Submission of Fish for Diagnostic Evaluation」)。
米国の検査機関の案内を含む資料ですが、考え方は家庭の水槽でも参考になります。
薬を扱うときは、人の安全にも気を配ってください。
表示では、マスク・メガネ・手袋などで薬が目や皮膚につかないよう注意し、使ったあとの薬液や使い残しを河川や湖沼、海に直接流さないよう求めています。
相談するときは、次のことを伝えられるようにしておくと話が早く進みます。
症状が体のどこに、いつから、何匹に出ているかです。
水温・pH・アンモニア・亜硝酸など、測れた水質の数値です。
使った薬の製品名と量、使い始めた日と使った期間です。
死んだ魚の数と、それが何日のあいだに起きたかです。
最近、新しい魚や水草を入れたかどうかです。
グッピーの病気に関するよくある質問(FAQ)
グッピーの薬浴は何日続ければよいですか?
薬浴の日数は製品ごとに表示が違うため、一つの数字では答えられません。
表示では、グリーンFリキッドやメチレンブルー水溶液は5〜7日を目安、グリーンFクリアーは7日間、魚病薬サンエースは3日間とされ、日数が書かれていない製品もあります。
表示に日数がない製品や迷うときは、自己判断で延ばさずに発売元へ確かめてください。
塩浴の濃度はどれくらいが目安ですか?
発売元の目安は0.3%と0.5%の2段階です。
ただし塩浴は治療の補助で、発売元の旧ページも食塩だけで病気を治すのは難しいとしています。
製品の表示には食塩との併用の可否が書かれていないため、薬と一緒に使いたいときは発売元に確かめてください。
薬を2種類同時に使ってもよいですか?
製品の表示は、ほかの薬との併用を避けるよう求めています。
発売元のサイトには条件つきで2種類まで使えるとする説明もありますが、この記事では表示を優先し、1種類ずつの使用をおすすめします。
1剤目で良くならないときは、薬を足す前に発売元や魚を診られる獣医師に相談してください。
稚魚がいる水槽でも薬は使えますか?
発売元のよくある質問では「現在市販されている観賞魚用治療薬は、稚魚に対しても安全にお使いいただけます」と回答されています。
一方で製品の表示には稚魚についての記載が見当たらないため、心配なときは使う製品の発売元に確かめると安心です。
高い濃度の塩水に短時間入れる方法は、発売元が稚魚などには危険としているので避けてください。
グッピーの病気の画像はどこで見られますか?
発売元の日本動物薬品(ニチドウ)が公開している観賞魚の診療所で、病気ごとの画像やイラストを見られます。
発売元は魚病画像やイラストの無断使用を断っているため、この記事には転載していません。
画像は見当をつける材料で、見た目だけで病気は確定できない点を覚えておいてください。
まとめ|グッピーの病気は環境を確かめてから表示どおりの1剤で
グッピーの病気は、症状の場所から候補を絞ることはできても、見た目だけで病名を確定することはできません。
この記事の要点をまとめます。
- 白い点・綿・濁り、ヒレや口の溶け、赤い充血、泳ぎや呼吸の異変など、症状の場所から候補を絞る
- 水質や水温が原因の不調や、有効な治療方法がないとされる病気は、薬では治せない
- 異変に気づいたら薬より先に水温・水質・酸素を確かめ、急に何匹も死ぬときは環境の原因を疑う
- 隔離は病魚を離すことで、白点病のように水中に病原体がいる病気は元の水槽も治療の対象になる
- 薬は表示どおりに1種類ずつ使い、日数は製品ごとに表示で確かめ、期間を超えて延ばさない
- 塩浴は発売元の目安が0.3%と0.5%で、治療の補助として考える
- 改善しないときや原因がわからないときは、魚を診られる獣医師か発売元に相談する
同じ病気でも水槽の環境や魚の個体によって経過は変わるため、ここで紹介した考え方は回復を約束するものではありません。
薬は製品表示どおりに1種類ずつ使い、表示にない使い方や判断に迷う点は発売元や魚を診られる獣医師に相談したうえで、ご自身の責任で進めてください。
日ごろから水と魚の様子を見る時間を少し持っておくと、あなたのグッピーの小さな変化にも早く気づきやすくなります。


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