メダカはアオミドロを食べる?掃除役になりにくい理由と容器での付き合い方
メダカの容器やビオトープに、緑色の糸がもじゃもじゃと浮いてきた。メダカがアオミドロを食べてくれたら楽なのに、と思ったことはありませんか。メダカはアオミドロを食べるのか、食べるならそのままでいいのか、それとも害があって稚魚が絡まるのか。取り方や増える原因、ミナミヌマエビやヤマトヌマエビとの組み合わせ、除去剤を使っていいのかまで、気になることがたくさんありますよね。
先に結論をお伝えすると、辞典にはメダカは雑食でアオミドロのような藻類も食べると書かれています。ただ、それはメダカの食べ物の一つとして挙がっているだけで、増えたアオミドロをメダカが片づけてくれるという意味ではありません。小学校の観察研究では、むしろメダカなどの小魚を入れた水槽でアオミドロがいちばん多く増えていました。餌の残りやフンが栄養になるためと考えられています。
この記事では、日本大百科全書や世界大百科事典、環境省の生きもの解説に書かれたメダカの食べ物を並べて比べ、東京都のサイトで公開されている小学生の研究から、アオミドロが増える条件を読み解きます。そのうえで、稚魚や卵がいる容器での注意点、残すか取り除くかの判断の目安、メダカを傷つけない取り方と、増やさない管理の方法を順番にまとめました。メダカ任せでアオミドロを減らそうとして困っている方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
- メダカがアオミドロを食べるかを、辞典と公的資料の記述で比べた結果
- メダカのいる容器でアオミドロが増えてしまう理由
- 稚魚や卵への影響と、残す・取り除くの判断の目安
- メダカを傷つけない取り方と、餌・日当たりの見直し方
アオミドロをメダカは食べる?資料と水槽の観察から
この章では、メダカが本当にアオミドロを食べるのかを、辞典や公的な資料の書き方から確かめます。あわせて、食べるのに容器の中ではアオミドロが減らない例がある理由と、稚魚や卵がいるときに気をつけたい点を整理し、最後に今の容器の状態から“残す・間引く・取り除く”を決める目安を表にしました。メダカがアオミドロを食べるかどうかは、食べると聞いたり食べないと聞いたりして、迷う方も多いと思います。辞典に書かれていることと、小学校の研究で水槽を観察して分かったことは、分けて読むと分かりやすくなります。まずはアオミドロがどんな藻なのか、見分け方から始めます。
アオミドロとは?メダカ容器で見分けるポイント

アオミドロは、長い緑色の糸がもつれ合って塊になる淡水の藻です。メダカの容器では、水面近くにふわふわと浮いていたり、水草に絡みついていたりすることが多いので、見た目で見当がつきやすい藻だと思います。
日本大百科全書(コトバンク)によると、アオミドロはアオミドロ属の総称で、枝分かれしない毛髪のような細長い糸状体をつくり、長さは30センチ前後から2メートルを超すものまであるそうです。糸どうしがもつれ合って、乱れ髪やつる草のようになって水中に茂る、と説明されています。生える場所としては、河川や湖沼、養魚池、家庭の園池、水を張った田んぼが挙がっていて、春先から夏にかけて茂り、緑色の糸くずを水面いっぱいにまき散らしたようになる、とも書かれています。屋外のメダカ容器で春から夏に目立ってくるのは、この性質から考えても自然なことかなと思います。
手ざわりにも特徴があります。百科事典マイペディアには、体は毛状で、さわるとぬるぬるすると書かれています。テトラのコケブロックの商品ページでは、アオミドロは付着した地点から長く密集して生え、密生してトロロ状になりやすいコケとして紹介されています。
見分けるときのポイントをまとめると、次のようになります。
- 指でつまむと、ずるずると長い糸が取れる
- さわるとぬるっとしている
- 水面近くに浮いた塊や、水草に絡んだ塊になっている
- 日の当たる時間は水面に浮いていて、朝は沈んでいることがあるかもしれない
最後の点は、あとで紹介する小学校の研究に出てくる観察です。瓶に入れたアオミドロは、日中は泡(研究では、アオミドロ自身が出した酸素ではないかと考えられています)で水面に浮き、早朝は沈んでいることが多かったと記録されています。朝と昼で見え方が違っても、同じアオミドロかもしれません。
一方で、ガラス面や容器の壁にうっすら張りつく緑の膜や、短い毛がびっしり生えたものは、アオミドロとは別のコケの可能性があります。メダカの容器でよく見る緑色の水(いわゆるグリーンウォーター)も、糸状のアオミドロとは見た目がまったく違います。この記事でお話しするのは、あくまで長い糸が絡まり合うアオミドロのことです。顕微鏡で見ると、細胞の中にらせん形の葉緑体があるのが特徴で、日本大百科全書によれば、よく似たホシミドロやヒザオリとはこの形で区別されるそうです。家庭で顕微鏡まで使う必要はありませんが、似た藻があるということは覚えておくと安心です。
メダカは雑食でアオミドロも食べると辞典にある
結論から言うと、メダカはアオミドロを食べる、と辞典には書かれています。ただし、資料によって書き方が少しずつ違うので、並べて比べてみます。
日本大百科全書のメダカの項(執筆は多紀保彦さん)には、メダカは普通、水の表層を群れで泳ぎ、「雑食性でアオミドロなどの付着藻、ボウフラ、ミジンコなどを食べる」と書かれています(出典:コトバンク「メダカ」(日本大百科全書・世界大百科事典ほか))。同じページに載っている改訂新版 世界大百科事典の項でも、メダカは「雑食性でミジンコやボウフラ,アオミドロのような藻類,浮泥など何でも食べる」とされています。どちらの辞典も、アオミドロの名前をはっきり出しているわけです。
環境省の生きもの解説はもう少し広い書き方で、メダカ(ミナミメダカ)は「雑食性で、植物プランクトンや動物プランクトン、水面に落下した小さな昆虫などを食べる」と説明しています(出典:環境省 エコジン「直感でクリック いきものクイズ 第06回」)。こちらにはアオミドロの名前は出てきません。同じ解説では、メダカは水草が茂る場所を好むとも書かれています。
3つの資料の書き方を、表にしておきます。
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| 資料 | メダカの食べ物の書き方 | アオミドロの名前 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| 日本大百科全書(ニッポニカ) | 雑食性。アオミドロなどの付着藻、ボウフラ、ミジンコなど | あり(付着藻の例として) | 野生のメダカの食べ物の一つとして挙がる |
| 改訂新版 世界大百科事典 | 雑食性。ミジンコやボウフラ、アオミドロのような藻類、浮泥など何でも | あり(藻類の例として) | 何でも食べる雑食の一例として挙がる |
| 環境省 エコジン(いきものクイズ) | 雑食性。植物プランクトン、動物プランクトン、水面に落ちた小さな昆虫など | なし | アオミドロについては触れていない |
表の右端の列は、各資料の記述をもとに当サイトで整理したものです。
ここで押さえておきたいのは、どの資料も“メダカの食べ物にはこういうものがある”という説明で、アオミドロをどれくらいの量食べるのか、容器のアオミドロを減らせるほど食べるのかは書かれていないということです。雑食の魚は、目の前にある食べられそうなものを少しずつ口にします。アオミドロもその一つ、と受け取るのがちょうどいいかなと思います。
もう一つ、世界大百科事典には、水槽の中では乾燥した餌でも育ち、かなりよく食べる魚だとも書かれています。飼育下のメダカは、毎日もらう人工飼料をまず食べます。お腹がいっぱいになるほど餌をもらっているメダカが、わざわざ糸の塊をかじり続けてくれるとは考えにくいですよね。メダカがアオミドロを食べるのは本当でも、掃除役として期待するのは別の話、というのがこの見出しの答えです。
それでもメダカのいる容器でアオミドロが増える理由

メダカがアオミドロを食べるなら、メダカを入れておけば減っていきそうな気がします。ところが、小学校の研究では逆の結果が出ています。
東京都のサイトで公開されている、港区立青南小学校の6年生による研究「アオミドロぼく滅大作戦」は、理科室の3つの水槽にアオミドロが出たことがきっかけでした。何も入れていない水槽、水草だけを入れた水槽、小魚(プラティ・グッピー・メダカ)を入れた水槽を比べると、小魚を入れた水槽のアオミドロがいちばん多く、次が水草だけの水槽、いちばん少ないのが何も入れていない水槽だったそうです。
この研究では、その理由を確かめるために、条件を変えた瓶にアオミドロを入れて増え方を比べています。主な結果を表にまとめました。
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| 実験の内容 | 結果 | 研究で考えられた理由 |
|---|---|---|
| 魚・水草・魚の餌・何も入れない、の4つの瓶 | 魚を入れた瓶がいちばん増え、次が餌、水草の順。何も入れない瓶は増えなかった | アオミドロが増えるには栄養が必要 |
| 二酸化炭素を吹き込む・何もしない・ガラス棒でかき混ぜる | 二酸化炭素では大きな違いが出ず、かき混ぜた瓶はちぎれて広がり増えた | かき混ぜるとアオミドロがばらばらになって広がる(魚の動きの影響は、さらに調べる必要があると書かれている) |
| アオミドロを水面に固定・水底に固定 | 水面に固定したほうが圧倒的に増えた | 光を受けやすい位置ほど増える |
| 容器全体を黒い紙で包む・浮いた部分の周りだけ包む | 全体を包むと沈んで5日目には枯れ始め、一部だけ包むと光のある方へ伸びた | アオミドロには光が重要 |
| 液体肥料・メダカの水槽の底のフンなどを入れる | はじめは液体肥料とフンを入れた瓶が増えた | フンや食べ残しが栄養になる |
研究のまとめでは、アオミドロは魚のフンやわずかな食べ残しを取り入れて増えること、泡や水草、魚の動きでちぎれたかけらを利用して水面に出て光を得ていることが挙げられています。そして、減らすためには、フンや食べ残しをできるだけ取り除くこと、生き物を驚かせて暴れ回らせないようにしてアオミドロがちぎれないようにすること、などが大切だとまとめられていました。
この結果を、メダカの容器に当てはめて考えてみます。
- メダカに毎日餌をあげると、食べ残しとフンが水に溶けて、アオミドロの栄養になる
- メダカが泳ぎ回ることで、アオミドロがちぎれて容器じゅうに広がるかもしれない
- 屋外の容器は水面に日がよく当たり、浮いたアオミドロが光を受けやすい
つまり、メダカがアオミドロを少し食べることがあったとしても、メダカを飼っていること自体がアオミドロの育ちやすい条件をつくっている可能性があります。これは小学校の理科室の水槽での1回の観察で、小魚もプラティ・グッピー・メダカが一緒に入った水槽でした。水草だけの水槽や何も入れていない水槽にもアオミドロは出ていて、屋外の容器でまったく同じことが起きると決まったわけではありません。それでも、メダカを入れたらアオミドロが消えた、という期待とは逆向きの結果なので、知っておく価値はあると思います。テトラも、アオミドロの原因として「水槽の水が栄養過多になっていると現れやすい」と書いていて、栄養が鍵という点は同じ方向です。
アオミドロがメダカの稚魚や卵に与える影響
アオミドロがメダカに毒になる、という記述は今回の資料には見当たりませんでした。今回の資料で挙がっているのは、“絡まる”“動きや餌を食べる行動を妨げる”といった物理的な影響です。とくに体の小さい稚魚がいる容器では、少し慎重に見てあげてください。
先ほどの小学校の研究は、研究の動機のところで「絡み付くアオミドロで、水草やメダカが弱ってしまうことがあります」と書いています(研究を始めたきっかけとして書かれた児童の見方です)。日本大百科全書のアオミドロの項にも、養魚池、とくに幼魚池などで茂ると、魚の体の動きや餌を食べる行動を妨げる、という説明があります。これは養魚池の話で、幼魚池が「とくに」と挙げられているものの、成魚なら大丈夫という意味ではありません。家庭の容器でも、小さな魚ほど糸の塊の影響を受けやすいと考えて、成魚だけの容器でも様子は見ておくと安心です。
メダカの稚魚はとても小さいです。世界大百科事典によると、孵化したばかりの仔魚は全長4.0〜4.5mmほど。成魚より体がずっと小さいので、密になったアオミドロのすき間に入り込むと出にくくなるかもしれません。稚魚の容器でアオミドロが増えてきたら、早めに量を減らしてあげるほうが安心です。
卵についても知っておきたいことがあります。日本大百科全書には、受精卵は付着糸で雌の体についていて、雌が泳ぎ回るうちに水草などに付着していく、と書かれています。世界大百科事典でも、卵ははじめ房状に垂れ下がり、やがて水草などに絡みつくとされています。資料に“アオミドロに産みつける”と書かれているわけではありませんが、水草に絡んだアオミドロの塊を丸ごと捨てると、そこに付いていた卵まで一緒に捨ててしまうことがありえます。産卵の時期は、取り出した塊をすぐ捨てずに一度確かめる、というひと手間がおすすめです。日本大百科全書によると、産卵は水温18℃以上で行われ、本州中部での産卵期は4〜10月とされています。卵を確実に集めたいときは、水草と産卵床の卵の回収しやすさの比較も参考にしてみてください。
一方で、小学校の研究のまとめには、アオミドロの多い水には微生物がたくさん隠れていて、アオミドロが一面を覆った学校の池の下では、日差しを避けて多くの微生物が暮らしているのでは、という感想も書かれています。ただ、それがメダカのためになるとまでは書かれていません。メダカの隠れ家や産卵場所がほしいときは、アオミドロに任せるより水草を入れるほうが確かです。日本大百科全書にも、水草は産卵場所になると同時に仔魚の隠れ場所になる、とあります。
残す・間引く・取り除くの判断の目安
ここまでの話をもとに、今の容器の状態から“残す・間引く・取り除く”を決める目安を表にしました。日本大百科全書も、アオミドロが大きく茂ってからの除藻は思うようにいかないと書いています。表は、早めに手を打つことを前提にしています。
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| 容器の状態 | おすすめの対応 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 成魚だけの容器で、水草に少し絡む程度 | 様子を見てよい。増え方とメダカの泳ぎ方を週ごとに確かめる | 成魚は稚魚より影響を受けにくいと考えられるが、メダカが弱ることもあると研究に書かれている |
| 成魚だけの容器で、水面の一部に塊が浮いている | 間引く(塊を巻き取って量を減らす) | 水面の塊は光を受けて増えやすい |
| 水面の半分以上を覆っている | 取り除く。あわせて餌と日当たりを見直す | 大きく茂ってからの除藻は難しいと辞典にある |
| 稚魚がいる容器で、塊ができている | 稚魚を避けながら早めに取り除く | 孵化直後の仔魚は4mmほどと小さく、絡まると出にくいかもしれない |
| 産卵の時期で、水草に塊が絡んでいる | 取り出した塊を、捨てる前に卵が付いていないか確かめる | 卵は付着糸で水草などに絡みつく |
この表は、辞典と小学校の研究の記述をもとに当サイトで整理した考え方で、数値の決まりではありません。「半分以上」も、目で見たおおよその量の目安です。容器の大きさや日当たり、メダカの数によって、ちょうどいい加減は変わります。
迷ったときの考え方はシンプルで、稚魚がいるか、水面がどれくらい覆われているかの2点を先に見ることです。成魚だけで少しなら様子を見ながら週ごとに確かめ、稚魚がいるか水面が埋まってきたら手を入れる。この順番で考えると、取りすぎて水草まで傷めることも、放っておいて手に負えなくなることも減らせます。
アオミドロをメダカが食べる前提にしない容器の管理
この章では、メダカにアオミドロを食べてもらうことを当てにせず、人の手で減らして、増えにくい容器にしていく方法をまとめます。取り方のコツ、餌とフンの見直し、日当たりと水面の使い方、エビや貝との組み合わせ、除去剤を使う前に確かめたいことを順番に見ていきます。前の章で見たように、アオミドロは栄養と光があれば増え、ちぎれたかけらからも増えていきます。裏を返せば、取るときにちぎらない、栄養を減らす、光を少し減らす、という3つを組み合わせれば、メダカのいる容器でも増え方を抑えやすくなるということです。どれも特別な道具がなくても始められるものなので、できるところから試してみてください。
メダカや稚魚を傷つけないアオミドロの取り方

増えたアオミドロは、手で取り除くのが基本です。ポイントは、ちぎらずにまとめて取ることと、メダカや稚魚を一緒にすくわないことです。
小学校の研究のまとめには、手でアオミドロを取るときも、ちぎれたアオミドロが水に落ちないようにしたほうがいい、と書かれていました。百科事典マイペディアにも、アオミドロは体がちぎれて増えるとあります。ちぎれたかけらが容器に残ると、そこからまた伸びてくるので、細かく崩さずにまとめて引き上げるのがコツです。
やり方の一例を挙げておきます。
- 割りばしや細い棒を、アオミドロの塊の中でくるくる回して巻きつける
- 巻きついた塊を、ゆっくり水面から引き上げる
- 引き上げた塊は、容器の水を少し入れたバケツなどに一度移す
- バケツの中で、稚魚や卵が混ざっていないか確かめてから処分する
- 水面に残った細かいかけらは、目の細かい網でそっとすくう
水草に絡んでいる部分は、無理に引っぱらないでください。テトラは、アオミドロは「除去は容易だが水草などに絡まっていると除去の際に巻き込んでしまう恐れがある」と書いています。水草ごと抜けてしまいそうなときは、指で少しずつほぐしながら外すか、絡みのひどい水草だけを取り出して、別の容器の中でアオミドロを外してから戻すと、水草を傷めにくいです。
メダカを驚かせないよう、作業はゆっくり行うのがおすすめです。研究のまとめにもあったように、生き物が暴れ回るとアオミドロがちぎれて広がりやすくなります。稚魚が多い容器なら、先に稚魚だけを別の容器へそっと移してから作業すると、すくってしまう心配が減ります。
取り除いたアオミドロや水を、川や池、用水路に流すのはやめましょう。アオミドロのかけらだけでなく、混ざっていた卵や稚魚、小さな生き物まで一緒に外へ出してしまうことがあります。燃えるごみとして出すなど、住んでいる地域のルールに沿って処分してください。
水面に残った細かいかけらや稚魚をすくう網を通販で探すときは、網目の細かさと、容器の口の大きさに合う枠の幅を表示で確かめてから選んでください。
餌とフンを減らしてアオミドロの栄養を減らす

アオミドロを取り除いても、栄養が残っていればまた生えてきます。まず見直したいのは、アオミドロの栄養になる食べ残しとフンを減らすことです。
小学校の研究では、メダカの水槽の底のフンを入れた瓶のアオミドロがはじめによく増え、そのうち増えなくなりました。研究では、フンの栄養を使い切ったためではないかと考え、魚のフンをこまめに取り除くことがアオミドロを減らす助けになる、とまとめています。餌の扱いについても、実際に水槽に入れる餌は魚が食べ残さない程度にするので、水の中に餌が残っている状態は魚にもよくない、という考察がありました。
メダカの餌のあげ方については、富山県の教育サイトで公開されている小学校理科の教材資料「メダカの飼育と管理」が参考になります。餌やりは午前中に、食べ残さない程度に与える。水替えは週1回ほど、1/3〜1/2程度の水を入れ替え、底のごみを取り除く、と書かれています。これは教室の水槽(30×16×高さ25cmで10匹程度が目安とされています)での管理方法ですが、食べ残しを出さない、底のごみを取る、という考え方は屋外の容器でもそのまま使えます。
メダカの容器で見直したいポイントをまとめます。
- 餌は食べ残さない量にし、水面や底に残った餌は早めにすくう
- メダカの数が容器の大きさに対して多すぎないかを見直す
- 底にたまったフンや枯れ葉を、水換えのときに吸い出す
- 水草に肥料を入れている場合は、量を控えめにする
研究では液体肥料を入れた瓶もはじめによく増えていたので、水草用の肥料もアオミドロの栄養になると考えられます。テトラのコケブロックの商品ページでも、アオミドロは栄養過多の水で現れやすいとされています。
ただし、餌を急にゼロにするのはおすすめしません。アオミドロを減らすことより、メダカが元気に育つことが先です。餌は必要な分だけ、残さない量に整える。これが、メダカにもアオミドロ対策にもいちばんやさしい方法かなと思います。餌の量そのものが不安なときは、購入したお店で今の容器の大きさと匹数を伝えて相談してみてください。
日当たりと水面の使い方を見直す
アオミドロは光をとても好む藻です。屋外の容器でアオミドロが多いなら、日当たりと水面の使い方を少し見直すと、増え方が変わってきます。
小学校の研究では、アオミドロを水面に固定すると水底に固定したときより圧倒的に増え、容器全体を黒い紙で包んで光をさえぎると、沈んで5日目には枯れ始めたそうです。一部だけを包んだときは、光のある方に向かって伸びていきました。研究のまとめでは、一緒に入れる水草は「近くまで伸びない種や日かげで育つ種」を選び、アオミドロが光を得にくい環境をつくることが大切だ、と書かれています。
とはいえ、メダカの容器を真っ暗にするわけにはいきません。メダカにも水草にも光は必要です。そこで、メダカの容器では次のような“少しだけ光を減らす”工夫が現実的かなと思います。
- 容器の一部にすだれや板をかけて、水面に日陰ができる場所をつくる
- 一日じゅう直射日光が当たる場所なら、午後に日陰になる場所へ移す
- 水面を覆うアオミドロは早めに間引き、浮いた塊に光を独占させない
- 水草を植えるなら、日かげでも育つ種類や、水面まで伸びにくい種類を中心にする(研究の「近くまで伸びない種」を、この記事では水面近くまでと読んでいます)
容器の一部に日陰をつくるすだれを探すときは、容器にかけたときに水面の一部だけを覆える大きさかどうかを、寸法の表示で確かめておくと安心です。
研究で観察されたように、アオミドロは泡や水草を使って水面に浮き上がり、光を受けやすくしています。水面の塊を早めに減らすことは、次の増え方を抑えやすくすることにつながると考えられます。
日陰をつくるときは、容器全体を覆ってしまわないように気をつけてください。光をさえぎりすぎると、水草が弱ったり、水温や水の様子が変わったりすることがあります。日陰は容器の一部にとどめて、メダカが日なたと日陰を行き来できるようにしておくと安心です。屋外容器の置き場所や季節ごとの管理は、メダカビオトープを屋外で立ち上げる手順と季節管理でもくわしく紹介しています。
水草の種類選びに迷ったら、産卵と隠れ家で選ぶメダカ向けの水草も参考にしてみてください。
エビや貝と組み合わせるときの考え方
メダカがアオミドロの掃除役にならないなら、アオミドロを食べる生き物を一緒に入れるのはどうでしょうか。資料の裏づけがあるのはヤマトヌマエビですが、メダカの容器に入れるときは、いくつか考えておきたいことがあります。
ADAのWEBアクア・ジャーナルの連載記事では、ヤマトヌマエビは水槽セット初期に出やすい珪藻をはじめ、「アオミドロなどの糸状の藻類も食べてくれる」と紹介されています。体長は5cm程度まで育ち、寿命は約3年。雑食性で残り餌や生き物の死骸も食べる一方、排せつ量が多く、「数が多過ぎると水草が食害にあうこともあります」とも書かれています。数の目安は「60cm水槽であれば10~20匹程度を目安に投入すると良いでしょう」とされていて、淡水の水槽では繁殖しないので、必要以上に数が増えないという利点があるそうです。
小学校の研究でも、ヤマトヌマエビ4匹を入れた水槽は、実験を始めた直後からアオミドロをどんどん食べて、すごく減ったと記録されています。ところが10日目にエビが死んでしまい、水が腐って、アオミドロは茶色くなって全滅しました。研究のまとめでは、アオミドロを食べる生き物は効果的だけれど、その生き物を管理する必要が出てくる、と書かれています。エビが弱って死ぬと水を悪くすることがある、と受け取っておくとよさそうです。屋外の容器に入れるなら、季節ごとの水温がエビに合うかも、購入するお店で確かめておくと安心です。
ヤマトヌマエビのほかに名前の挙がる生き物と、水槽のタイプごとの向き不向きは、ヤマトヌマエビ以外の候補と水槽別の選び方の整理で紹介しています。
メダカの容器で考えたいポイントをまとめます。
- ヤマトヌマエビは、60cm水槽で10〜20匹(ADA)という目安を、容器の水量に合わせて少なめから始める
- エビを入れても、大きな塊は先に手で取り除き、エビには細かい残りを任せる
- 死んだエビは水を悪くするので、見つけたらすぐに取り出す
- メダカの卵や稚魚との相性は、エビの種類ごとに確かめる
メダカの容器でよく一緒に飼われるのは、体の小さいミナミヌマエビです。ADAの記事では、ミナミヌマエビは2cm程度とされ、5cm程度まで育つヤマトヌマエビとの大きさの違いが紹介されていますが、今回の資料には、ミナミヌマエビがアオミドロを食べるという記述は見当たりませんでした。メダカとの混泳で気をつけたいことは、メダカとミナミヌマエビの混泳で起きる食害と注意点にまとめています。
貝については、富山県の教材資料に、インドヒラマキガイなどの巻き貝を入れておくと餌の残りを食べて掃除してくれるので水が汚れない、と書かれています。これは食べ残しを減らす役目で、アオミドロそのものを食べるという記述ではありません。それでも、食べ残しが減ればアオミドロの栄養も減るので、間接的には助けになりそうです。コケ取りの生き物全般を比べたいときは、水槽のコケ取り生体のおすすめと選び方も見てみてください。
除去剤をメダカの容器で使う前に確かめること
手で取っても、餌や日当たりを見直しても減らないときは、市販のコケ抑制剤を考える方もいると思います。ただ、メダカの容器で使う前に、表示をよく確かめておきたい点があります。
たとえばテトラのコケブロックの商品ページには、使い方と注意として、淡水用であること、すでに生えてしまった水槽には対策時の量を入れ、その後の予防は予防時の量を4週間ごとに入れること、使用後6〜8時間は活性炭などの吸着ろ過材を外すことが書かれています。さらに、「コケが大量に発生している場合は、コケを除去してからご使用ください。」「ウィローモスやリシアなど藻類に分類される水草には使用できません。」という注意もあります。今回見た商品ページには、メダカについての個別の記載は見当たりませんでした。
コケブロックとアンチグリーンの量の計算や、エビや水草がいる容器で使えるかの判断は、除去剤の量の計算と使える水槽の見分け方の解説で紹介しています。
メダカの容器で使うかどうかを決めるときは、次の点を先に確かめるのがおすすめです。
- 容器の水量が分かっているか(量を守るには水量の計算が必要)
- ウィローモスやリシアなど、使えない水草が入っていないか
- 大きな塊は、薬を入れる前に手で取り除いたか
- 雨で水量が変わる屋外の容器ではないか
屋外の容器は雨で水かさが変わるので、決められた量を保ちにくいことがあります。家庭の容器では、薬だけでアオミドロを消そうとするより、手で取る・栄養を減らす・光を調整する、の3つを先に行うのが無難かなと思います。
この記事で触れたテトラのコケブロックを通販で探すときは、容量の表示と、ウィローモスやリシアのある水槽では使えないといった表示の注意を確かめてから選んでください。使い方や量は製品ごとに違うので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
アオミドロとメダカについてよくある質問
アオミドロが増えやすい季節はありますか?
日本大百科全書には、アオミドロは河川や湖沼、養魚池、家庭の園池、水を張った田んぼなどで、春先から夏にかけて茂ると書かれています。屋外のメダカ容器でも、春から夏は見回りの回数を増やして、塊が小さいうちに取り除くのがおすすめです。
室内のメダカ水槽でもアオミドロは出ますか?
出ることがあります。この記事で紹介した小学校の研究も、理科室の水槽にアオミドロが出たことがきっかけでした。室内でも、照明の光や窓からの日差しが当たり、餌の残りやフンが栄養になれば増えることがあります。光が当たりすぎていないかを見直す、食べ残しを出さない、といった考え方は屋外と同じです。
アオミドロを全部取り除いても、メダカは困りませんか?
メダカは雑食で、辞典ではアオミドロのほかにボウフラやミジンコなども食べるとされています。餌を与えている容器なら、メダカは人工の餌でも育つので、アオミドロを取り除いても食べ物に困ることはまずないと考えてよいと思います。餌をほとんど与えないビオトープの場合は、メダカの痩せ方などを見ながら餌を足してあげてください。隠れ家が減るのが気になるときは、水草を少し入れておくと安心です。
アオミドロをメダカが食べるか迷ったときのまとめ
最後に、この記事のポイントをまとめておきます。
- 日本大百科全書と世界大百科事典には、メダカは雑食でアオミドロのような藻類も食べると書かれている(環境省の解説にはアオミドロの名前はない)
- ただし、どの資料も食べ物の一つとして挙げているだけで、容器のアオミドロを減らせるほど食べるとは書かれていない
- 小学校の研究では、小魚(プラティ・グッピー・メダカ)を入れた水槽のアオミドロがいちばん多く、餌の残りやフンが栄養になると考えられた
- 稚魚がいる容器や、水面が覆われてきた容器は早めに取り除き、産卵の時期は取り出した塊に卵がないか確かめる
- 取るときはちぎらずに巻き取り、食べ残しとフンを減らし、日当たりを少しだけ調整する
- エビや除去剤は補助として考え、量や表示を確かめてから使う
メダカがアオミドロを食べるのは本当ですが、メダカに片づけてもらうのは難しい、というのがこの記事の答えです。アオミドロは、メダカを飼っていることでできる栄養と光で育つ藻なので、人の手で量を減らし、増えにくい容器に整えてあげるのが近道ですよ。この記事の数値は、辞典や研究、メーカーの資料をもとにした一般的な目安です。正確な情報は公式サイトをご確認ください。メダカの様子がおかしいときや、どの方法を選ぶか迷うときは、最終的な判断は専門家にご相談ください。購入したお店に容器の写真を見せて相談すると、話が早いかもしれません。


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