アオミドロを食べる魚はいる?エビ・魚の得意不得意と水槽別の選び方
水草のすき間や流木に、緑色の糸がもじゃもじゃと絡みついている。ピンセットで引っぱってもすぐまた伸びてくる。そんなアオミドロに困って、食べる魚やエビを探している方は多いと思います。アオミドロを食べる生き物はいるのか、ヤマトヌマエビは本当に食べるのか、メダカや金魚の水槽でも使えるのか、ビオトープや池ではどうするのか。駆除の方法や原因、除去剤まで、気になることがたくさんありますよね。
先に結論をお伝えすると、アオミドロを食べる生き物として観賞魚メーカーの資料に名前がはっきり出てくるのは、エビならヤマトヌマエビ、魚ならペンシルフィッシュです。ブラックモーリーのように資料によって挙げているコケが違う魚もいますし、オトシンクルスやプレコのように、資料ではアオミドロの名前が出てこず、面に張りつくコケ向けとして紹介されている生き物もいます。そして、どの生き物を入れても、光や栄養といった原因をそのままにしていると、アオミドロはまた増えてきます。
この記事では、ジェックス、ADA、テトラ(スペクトラム ブランズ ジャパン)、神畑養魚の公開資料を一つずつ読み比べて、アオミドロに効く生き物を表にまとめました。あわせて、水草水槽、金魚水槽、メダカ水槽やビオトープなど、水槽のタイプごとの選び方と、手で取り除くコツ、薬を使うときの注意点も整理しています。生き物任せで失敗したくない方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
- アオミドロを食べる魚とエビを、メーカー資料の記述で比べた結果
- ヤマトヌマエビ・ペンシルフィッシュ・ブラックモーリーの得意不得意
- 水草水槽・金魚水槽・メダカ水槽・ビオトープ別の選び方
- 手で取り除くコツと、増える原因・除去剤の注意点
アオミドロを食べる魚とエビ、効く生き物の比較

この章では、アオミドロを食べる魚やエビとして、どの生き物がどこまで期待できるのかを、メーカーの公開資料をもとに整理します。ネットでは「コケ取り生体」としてたくさんの魚やエビが紹介されていますが、コケには種類があり、生き物ごとに得意なコケが違います。アオミドロに名前が挙がる生き物と、別のコケには強いけれどアオミドロには向かない生き物を分けて見ていくのが、この章の目的です。
まずアオミドロとはどんな藻なのか、よく似た糸状ゴケとどう見分けるのかを確かめます。そのうえで、魚の本命であるペンシルフィッシュ、エビの主役であるヤマトヌマエビ、資料によって評価が分かれるブラックモーリーとサイアミーズ・フライングフォックス、そして期待しにくい生き物の順に見ていきます。章の途中には、各社の資料の記述を横並びにした比較表も置いているので、全体をざっと知りたい方はそこから読んでもかまいません。
そもそもアオミドロとは?糸状ゴケとの見分け方

アオミドロは、長い緑色の糸が絡まり合って塊になる藻です。水槽でよく一緒に語られる糸状ゴケとは生え方が違うので、まずはどちらが生えているのかを見分けることが、食べる生き物選びの第一歩になります。
日本大百科全書(コトバンク)によると、アオミドロは緑藻の仲間であるアオミドロ属の総称で、枝分かれしない毛髪のような細長い糸状体をつくります。長さは30cm前後から2mを超すものまであり、糸どうしがもつれ合って乱れ髪のようなかたちで水中に茂るそうです。顕微鏡で見ると、細胞の中にらせん形の葉緑体があるのが特徴で、よく似たホシミドロやヒザオリとはこの葉緑体の形で区別されます。百科事典マイペディアには、体がちぎれて増える性質があることや、さわるとぬるぬるすることも書かれています。
水槽の中での見え方については、メーカーの説明が分かりやすいです。ジェックスのコケ対策の記事では、アオミドロを毛髪のようにとても繊細な形状で、油断していると互いにからまり合って大きな塊になるコケとして紹介しています。テトラのコケブロックの商品ページでは、アオミドロを「付着した地点から長く密集して生える。密生してトロロ状になりやすい」と説明しています。
見分けたいのが、同じテトラのページで別の行に分けられている糸状コケです。こちらは「付着した地点から1本1本短く生える」とされ、色も緑色や黒色と書かれています。アオミドロは除去そのものは容易だけれど水草などに絡まっていると巻き込んでしまう恐れがあり、糸状コケは密生すると除去が難しくなる、という違いもあります。ジェックスの記事でも、アオミドロと糸状藻類は別の項目になっていて、糸状藻類は緑・黒褐色・灰色など色々な種類があり、強く付着して手作業でも除去しにくいと説明されています。
つまり、指でつまむとずるずる長く取れて、ぬるっとした緑の糸が水草に絡んでいるならアオミドロの可能性が高く、短い毛が葉や石にびっしり生えていて取れにくいなら糸状コケの可能性が高い、という見当がつきます。どちらか分からないときは、無理に決めつけず、両方に名前が挙がる生き物から選ぶのが無難です。次の見出しからは、その生き物を一つずつ見ていきます。
アオミドロを食べる魚の本命はペンシルフィッシュ
アオミドロを食べる魚として、メーカーの資料で名前がはっきり書かれているのはペンシルフィッシュです。ジェックスのコケ対策の記事は、ペンシルフィッシュを、とがった口先で糸状のコケをつつくように食べる魚として紹介し、「アオミドロや糸状藻類の除去が得意です」と書いています。今回調べた資料の中で、アオミドロという名前を出して得意と書かれていた魚は、このペンシルフィッシュだけでした。
ペンシルフィッシュは、名前のとおり鉛筆のように細長い体をした小型の淡水魚のグループです。辞典サイトの解説(Weblio に転載された百科事典の項目)では、カラシン目レビアシナ科の小型淡水魚とされ、この仲間は糸状のコケを食べることで知られているとあります。同じ項目では、種類ごとの全長が2cmほどから7cmほどまで紹介されていて、一口にペンシルフィッシュといっても大きさや性格に幅があるようです。気が強く、同じ種類や近い種類どうしの混泳に注意が必要とされる種類もあります。
ここで押さえておきたいのは、ペンシルフィッシュは“アオミドロを一気に片づける掃除屋”として売られている魚ではない、という点です。体が小さいので、一匹が食べられる量には限りがあります。大きな塊になったアオミドロを魚だけで消すのは難しく、先に手である程度取り除いてから、残った細い糸や生え始めを食べてもらう、という役割分担のほうが現実的かなと思います。
もう一つは混泳です。ペンシルフィッシュは種類によって気の強さが違い、口に入る大きさの魚やエビがいる水槽、逆に大きな魚がいる水槽では、食べたり食べられたりする関係が起きないかも考える必要があります。購入するお店で、今いる魚と一緒に飼えるかを確かめてから迎えてください。
アオミドロを食べる魚を一種類だけ選ぶなら、資料の裏づけがあるのはペンシルフィッシュです。ただし主役はあくまで次に紹介するエビで、ペンシルフィッシュは“魚で対策したい”“エビを入れられない”というときの選択肢と考えると、期待とのずれが少なくなります。
ペンシルフィッシュを通販で探すときは、種類名と大きさの表示を確かめ、届いたら水合わせをしてから水槽へ入れてください。生き物の通販は発送の条件がショップごとに違うので、購入前に各ショップの説明と在庫を確認してくださいね。
ヤマトヌマエビがアオミドロ対策の主役になる理由

アオミドロ対策の生き物で、資料の裏づけがいちばん厚いのはヤマトヌマエビです。魚ではありませんが、アオミドロを食べる魚を探している方にこそ、まず知っておいてほしい生き物です。
ADAのWEBアクア・ジャーナルの連載記事では、ヤマトヌマエビは水槽セット初期に発生しやすい珪藻をはじめ、アオミドロなどの糸状の藻類も食べてくれると紹介されています(出典:ADA「ADAスモールトーク #15 小さなコケ取り名人」)。同じ記事では、体長は5cm程度まで成長し、寿命は約3年、雑食性で残餌や生き物の死骸も食べるとされています。
ADAの別の記事「クリーン生物のここが○ここが×」でも、ヤマトヌマエビの「対処できるもの」の欄に、ケイ藻、緑藻一般と並んでアオミドロがはっきり挙げられています。同じ記事では、エビの仲間の中では最も優れた藻類除去能力を発揮し、なかでも糸状の藻類除去を得意とすると書かれています。ジェックスのコケ対策の記事は、ハサミでコケをつまめるので糸状のコケをよく食べてくれると説明し、エビの中ではいちばんよくコケを食べてくれるとしています。食べ方の仕組みまで書かれているので、なぜ糸のようなコケに強いのかが想像しやすいですね。
ただ、良いことばかりではありません。ADAは同じ記事の「ここが×」で、水草の残留農薬に弱いのでセット初期の導入は要注意、数が多過ぎると水草が食害を受けることもあり、排せつ量が意外と多い、と注意しています。スモールトークの記事でも、排せつ量が多く、数が多過ぎると水草が食害にあうことがあるとされています。アオミドロが減ったあとにエビが余ると、今度は水草をかじったり、フンで水が汚れたりするわけです。
もう一つ知っておきたいのが、淡水の水槽では増えないことです。ADAの記事によると、ヤマトヌマエビは卵からかえった幼生がいったん海で育つ生態を持つため、淡水水槽内では繁殖しません。ADAはこれを、水槽内で必要以上に数が増えないという利点としても紹介しています。入れた数がそのまま続くので、最初の匹数をどう決めるかが大切になります(匹数の目安は後半の章で計算します)。
まとめると、ヤマトヌマエビはアオミドロに強い裏づけが複数の資料にある一方で、水草の農薬、入れすぎ、フンの多さに気をつける必要がある生き物です。水草水槽でアオミドロに悩んでいるなら、まず候補に入れてよい存在だと思います。水槽に入れるときの水合わせの手順は、ヤマトヌマエビの水合わせの時間と点滴法の手順で詳しく解説しています。
ブラックモーリーやサイアミーズは効く?

ブラックモーリーとサイアミーズ・フライングフォックスは、コケ取りの魚として有名ですが、アオミドロに効くかどうかは資料によって書き方が違います。糸状のコケの項目で紹介する資料と、別のコケを挙げる資料があるので、期待しすぎずに選ぶのがよいと思います。
ブラックモーリーは資料によって得意なコケの書き方が違う
ジェックスの「コケ種類別 熱帯魚飼育におすすめのコケ取り名人」では、ブラックモーリーは「緑藻(糸状ゴケ)対策におすすめのコケ取り生体」の項目で紹介されています。食欲旺盛で、コケを非常によく食べてくれるうえに油膜も食べてくれる魚とされ、基本的には温和な性格だけれど個体差があり、気性が荒い場合もあるので注意するよう書かれています。このページでいう緑藻(糸状ゴケ)は「枝分かれせず長くのびる、緑色の糸状藻」と説明されていて、アオミドロの特徴とよく重なります。
一方、ADAの「クリーン生物のここが○ここが×」では、ブラックモーリーの「対処できるもの」は油膜とラン藻(バクター100で弱ったもの)です。絶えず水面で口を動かしているため、入れておくだけで油膜がなくなるとされ、ラン藻も口にするものの完全除去は無理があると書かれています。ここにはアオミドロや糸状の藻類の話は出てきません。「ここが×」としては、バックスクリーンが黒でない水槽では黒い体が目立ってしまい、特に石組レイアウトにはミスマッチだとしています。
ADAが糸状の藻を食べないと書いているわけではありませんが、2社の記述を並べると、ブラックモーリーは糸状のコケの項目に載せる資料と、油膜とラン藻を挙げる資料に分かれる、というのが正確なところです。アオミドロ対策の主役にするより、油膜も気になる水槽で、エビと組み合わせて使う魚と考えるのがよさそうです。混泳の相性については、ブラックモーリーと相性が良い魚・悪い魚にまとめています。
サイアミーズ・フライングフォックスは黒髭ゴケが本業
サイアミーズ・フライングフォックスは、ジェックスでもADAでも、黒髭ゴケ(黒いヒゲ状の藻)を食べる魚として紹介されています。ジェックスは「除去が難しい黒髭ゴケを食べる、数少ないお魚です」と書き、ADAは流木や石に付いた黒いヒゲ状の藻類除去では最も頼りになる存在としています。ADAの「対処できるもの」の欄は、ヒゲ状の藻類と緑藻一般で、アオミドロの名前は挙がっていません。
アオミドロについてはどうかというと、ジェックスの同じページには、黒髭ゴケ(紅藻)や茶ゴケ(珪藻)に効果的な生体は、一般的に緑藻(糸状ゴケ)やスポットゴケも食べてくれるとされる、という一文があり、「個体差があります」と添えられています。アオミドロを名指しして得意とする記述ではないので、食べることもあるけれど本業ではない、と受け取っておくのが安全です。
注意点もはっきり書かれています。ジェックスは、水槽から飛び出しやすいこと、大きくなるとテリトリー意識が少し強くなり気性が荒くなる場合があることを挙げています。ADAは、最終的には10cm位まで成長するので小型のものを購入するよう勧め、ウィローモスの葉を食べてしまい芯(茎)だけにしてしまう、と書いています。ウィローモスを育てている水槽では、特に気をつけたい魚ですね。
オトシンクルス・プレコ・金魚・メダカは食べる?
コケ取りの定番として名前が挙がるオトシンクルスやプレコは、今回の資料ではアオミドロの名前が出てこず、面に張りつくコケ向けとして紹介されています。金魚やメダカについても、アオミドロを食べてくれると当てにできる記述は見つかりませんでした。
オトシンクルスについて、ジェックスのコケ対策の記事は、吸盤状の口でベタッと張りついたコケをなめるように食べ、初期段階の珪藻や斑点藻類の除去が得意だと説明しています。ADAも、ガラス面などにうっすらと付く藻類の除去はお手のものと書いていて、「対処できるもの」の欄はケイ藻と緑藻一般です。どちらも、面に張りつく薄いコケが得意という書き方で、アオミドロの名前は出てきません。なお、ジェックスのコケ取り名人のページには、黒髭ゴケや茶ゴケに効果的な生体(オトシンクルス、プレコ、サイアミーズ・フライングフォックス、ヤマトヌマエビ)は、一般的に緑藻(糸状ゴケ)やスポットゴケも食べてくれるとされる、という前置きがあり、「個体差があります」と添えられています。まったく口にしないとは言えませんが、アオミドロ対策の主役として選ぶ生き物ではない、と考えておくのが安全です。
プレコも同じ方向です。ジェックスは、プレコは吸盤上の口で張り付き、歯で削ってコケを食べると説明しています。削り取る食べ方なので、ふわふわと漂う長い糸は得意ではないと考えられます。当サイトの掃除屋プレコの種類と注意点の解説でも、アオミドロのような糸状のコケはほとんど減らせない点に触れています。
金魚については、テトラの金魚飼育の記事に注意したい一文があります。コケ対策でヌマエビを入れることもあるけれど、金魚は口に入るサイズのエビは食べてしまう、という内容です。同じ記事は、金魚水槽のコケ対策としては、リンの含有率の少ないフードや水質調整剤など、市販の商品を使う方法を勧めています。金魚自身がアオミドロを食べてくれるという記述は、今回調べたメーカー資料には見当たりませんでした。
メダカについては、今回はメダカを対象にしたメーカー資料を集めていないため、メダカがアオミドロを食べるかどうかは確かめられていません。メダカの容器でアオミドロが増えたときは、生き物に食べてもらうことを当てにするより、手で取り除き、日当たりや餌の量を見直すほうが現実的です。金魚水槽全体のコケの考え方は、金魚水槽のコケ対策(ライト・餌・水換えの見直し方)も参考にしてください。
ここまでの内容を、資料ごとに一覧にしておきます。表の“—”は、その資料にその生き物の記載がないという意味で、“食べない”という意味ではありません。
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| 生き物 | ジェックス | ADA | テトラ | アオミドロへの期待 |
|---|---|---|---|---|
| ヤマトヌマエビ | 糸状のコケをよく食べる(ハサミでつまむ) | 対処できるもの:ケイ藻、アオミドロ、緑藻一般/アオミドロなどの糸状の藻類も食べる | お掃除能力が優れた生き物として紹介(コケ全般) | 高い(入れすぎ・水草の農薬に注意) |
| ペンシルフィッシュ | アオミドロや糸状藻類の除去が得意 | — | — | 魚では最有力(体が小さく量は限られる) |
| ブラックモーリー | 緑藻(糸状ゴケ)対策の項目で紹介 | 対処できるもの:油膜、ラン藻 | — | 資料で挙げるコケが違う |
| サイアミーズ・フライングフォックス | 黒髭ゴケを食べる魚(糸状ゴケも食べるとされる・個体差あり) | 対処できるもの:ヒゲ状の藻類、緑藻一般(アオミドロの名指しなし) | — | 本業は黒髭ゴケ |
| オトシンクルス | 珪藻・斑点藻類が得意 | 対処できるもの:ケイ藻、緑藻一般(アオミドロの名指しなし) | — | 主役にはしにくい |
| プレコ | 歯で削ってコケを食べる | — | — | 主役にはしにくい |
| 金魚 | — | — | (コケではなく)口に入るサイズのエビを食べてしまう | 当てにしない(エビとの混泳にも注意) |
表の右端の列は、各社の記述をもとに当サイトで整理したもので、メーカーの公式な評価ではありません。生き物には個体差があり、水槽の環境によっても食べ方は変わります。購入前に、お店で今の水槽の状態を伝えて相談してみてください。
アオミドロを食べる魚の選び方と水槽別の対策
アオミドロを食べる魚やエビが分かったところで、この章では自分の水槽なら何を選べばよいかと生き物に任せる前にやっておくことを整理します。同じアオミドロでも、水草がたくさん植わった水槽、金魚の水槽、屋外のメダカ容器やビオトープでは、使える生き物も、気をつけることも違ってきます。
最初に水槽のタイプ別の選び方を分岐で示し、次にヤマトヌマエビを何匹入れるかを水量から計算します。そのあと、生き物を入れる前にやっておきたい手での取り除き方、アオミドロが増える原因、除去剤を使うときの注意点を順に見ていきます。生き物はあくまで手伝い役で、増える原因を減らすことが根本の対策になる、という前提で読み進めてもらえるとうれしいです。
水槽のタイプ別、アオミドロ対策の生き物の選び方
結論から言うと、水草水槽ならヤマトヌマエビを中心に、金魚水槽なら生き物より手作業と環境の見直しを中心に、屋外の容器や池なら手で取り除くことと日当たりの調整を中心に考えるのが、資料から言える選び方です。水槽のタイプごとに、理由と一緒に見ていきます。
水草水槽(熱帯魚)の場合
水草水槽は、アオミドロが水草に絡みやすく、ヤマトヌマエビがもっとも力を発揮しやすい環境です。ADAのネイチャーアクアリウムの解説では、セットから5〜7週間後あたりに、有茎草が繁茂するとアオミドロが発生し、蔓延するのが早いのでホースやブラシを使って除去する、という流れが紹介されています。手で取り除くのと並行して、ヤマトヌマエビに細かい残りを食べてもらう組み合わせが基本になります。
魚も入れたいなら、資料でアオミドロに触れているペンシルフィッシュが候補です。ブラックモーリーは油膜にも強い一方、石組レイアウトでは黒い体が目立つとADAが書いているので、見た目との相性も考えて選んでください。ウィローモスを育てているなら、ADAが葉を食べて芯だけにしてしまうと書いているサイアミーズ・フライングフォックスは避けたほうが無難です。
立ち上げ直後の水槽の場合
水槽を立ち上げたばかりなら、生き物を急いで増やす前に、少し様子を見る選択肢もあります。テトラのコケ対策の記事では、立ち上げ時に発生する茶ゴケやアオミドロは水槽内のバクテリアが定着していないときに起きやすく、バクテリアが増えて水質が安定することで自然と消えることもあると書かれています。
ただし、ADAは同じ立ち上げ初期について、水草の残留農薬の影響でヤマトヌマエビが動かない場合があると注意しています。立ち上げ直後にヤマトヌマエビを入れるなら、少ない数から始めて動きを見るのが安全です。ADAは、立ち上げ初期のケイ藻対策の話として、そうした場合にはオトシンクルスを多めに入れたり、小型のサイアミーズ・フライングフォックスを入れたりして対処すると書いています。アオミドロ対策としての書き方ではない点は押さえておいてください。
金魚水槽の場合
金魚水槽では、アオミドロを食べる生き物を足す方法は使いにくいです。テトラの記事のとおり、金魚は口に入るサイズのエビを食べてしまうので、ヤマトヌマエビを入れても金魚の餌になってしまうおそれがあります。小型のペンシルフィッシュも、金魚と同じ水槽で飼う組み合わせとしてメーカー資料で紹介されているものは見当たりませんでした。
金魚水槽でアオミドロが出たら、まず手で取り除き、照明の時間や日当たり、餌の量を見直すのが先です。テトラはリンの含有率の少ないフードや水質調整剤といった市販の商品を使う方法も紹介しています。
メダカ容器・ビオトープ・池の場合
屋外のメダカ容器やビオトープは、日光がたっぷり当たるぶん、アオミドロが増えやすい環境です。ジェックスはコケの発生原因の一つに、直射日光が当たる場所に水槽があることを挙げ、テトラも金魚の記事で日当たりのよい場所に水槽を置くとコケが発生しやすくなると書いています。メダカがアオミドロを食べるという記述は今回の資料に無いので、手で巻き取る、すだれなどで日差しを調整する、餌を控えめにする、といった方法が中心になります。
メダカの容器での取り方や、増やさないための餌と日当たりの工夫は、メダカの容器でアオミドロを増やさない管理の解説で紹介しています。
池のような大きな水域では、魚に水草とアオミドロを食べさせた研究もあります。水産研究・教育機構が掲載している平成14年度の研究成果情報(滋賀県水産試験場)では、琵琶湖の固有魚であるワタカを、水草とアオミドロが大量に繁茂した状態を模した池に入れたところ(110g×5尾)、水草とアオミドロが摂餌され、繁茂前の状態に改善されたと報告されています(出典:水産研究・教育機構「ワタカの放流による水草除去効果」)。
ただしこの研究は、草食性が強いといわれるワタカで水草の大量繁茂を抑えられるかを調べたもので、水草そのものもよく食べることが前提です。オオカナダモを植えた1トン水槽でも、1か月後に水草の繁茂が抑えられたとされています。つまり、水草を育てたい水槽やビオトープでは、アオミドロと一緒に水草もなくなってしまう可能性が高いということです。家庭の水槽向けの方法として紹介されているわけではないので、アオミドロを食べる魚もいる、という一例として知っておくくらいがちょうどよいと思います。飼えなくなった魚を川や池に放すことはしないでください。
水槽タイプ別の考え方(記事の整理)
- 水草水槽:手で取り除く+ヤマトヌマエビ。魚を足すならペンシルフィッシュ
- 立ち上げ直後:少し様子を見る。エビは少ない数から動きを確かめる
- 金魚水槽:エビは食べられるおそれ。手作業と光・餌の見直しが中心
- メダカ容器・ビオトープ:手で巻き取る+日差しと餌の調整が中心
ヤマトヌマエビは何匹?水量からの目安

ヤマトヌマエビを入れる数は、ADAの60cm水槽であれば10〜20匹程度という目安を出発点に、自分の水槽の水量で割り振って考えると決めやすくなります。ただし、計算はあくまで入口で、最終的にはコケの量とエビの様子を見て調整するのが基本です。
ADAのスモールトークの記事は、60cm水槽であれば10〜20匹程度を目安に投入するとよいとしています。クリーン生物の記事でも、60cm水槽での投入目安は10〜20匹です。一方、ADAのネイチャーアクアリウムの立ち上げ手順では、水槽セット後の初期に発生するケイ藻の除去として、60cm水槽にヤマトヌマエビ20〜30匹を投入する例が紹介されています。同じ60cm水槽でも、立ち上げ初期の珪藻対策と、ふだんのタンクメイトとしての数とで、目安が違うわけです。ジェックスは、コケの状態を見て匹数を決めるよう書いています。
そこで、ここではふだんの目安である10〜20匹を使って、水量あたりの数を出してみます。ADAの手順の例で使われている60cm水槽はW60×D30×H36(cm)なので、外寸から計算した容量は約64.8Lです。10〜20匹をこの容量で割ると、水量10Lあたり約1.5〜3匹という計算になります。
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| 水槽の水量(外寸からの容量) | 計算上の匹数 | 始めるときの考え方 |
|---|---|---|
| 約40L | 約6〜12匹 | 6匹前後から様子を見る |
| 約64.8L(W60×D30×H36cm) | 10〜20匹(ADAの目安) | 10匹前後から様子を見る |
| 約100L | 約15〜30匹 | 15匹前後から様子を見る |
この表は、ADAの60cm水槽の目安を水量の比で割り振った当サイトの計算で、メーカーの公式な案内ではありません。30L前後より小さい水槽は、メーカーの目安が見当たらず、比で割った数がそのまま当てはまるとは限らないので表に入れていません。小さな水槽ほど、ごく少ない数から入れて、水の汚れとエビの様子を見ながら決めてください。当サイトのコケ取り生体の選び方の記事では、さらに控えめな数から始める目安も紹介しています。外寸から出した容量は、砂利や流木が入るぶん、実際の水の量より多めになります。あくまで一般的な目安として使ってください。
始めるときに表の下限側から入れるのをおすすめしているのは、ヤマトヌマエビが淡水では増えず、入れすぎると水草の食害やフンの増加につながるからです。少なめに入れてアオミドロの減り方を見て、足りなければ少しずつ足すほうが、入れすぎて困るよりずっと調整しやすいです。アオミドロが減ってきたら、エビの餌が足りているかも気にかけてあげてください。
水槽の容量は、横幅×奥行き×高さ(cm)を1,000で割るとリットルの目安になります。たとえば45×30×30cmなら40.5L。手元の水槽で一度計算しておくと、エビの数だけでなく、薬や水質調整剤の量を決めるときにも役立ちますよ。
ヤマトヌマエビを通販で探すときは、届く匹数の表示を見て、入れたい数に近いものを選ぶと余らせずにすみます。価格や在庫、匹数の表示はショップごとに違うので、購入前に各ショップで確認してくださいね。
生き物を入れる前に手で取り除くコツ
アオミドロがすでに大きな塊になっているなら、生き物を入れる前に、手でできるだけ取り除いておくのが近道です。生き物は細かい残りや生え始めを食べるのは得意ですが、もつれた大きな塊を一気に片づけてくれるわけではありません。
ADAのネイチャーアクアリウムの手順では、アオミドロは蔓延するのが早いので、ホースやブラシを使って除去するとされています。換水のときには、擦り落とした藻類や糸状の緑藻、底床の表面にたまった汚れをホースで吸い出す流れも紹介されています。アオミドロの糸は長く絡むので、ブラシや割りばしに巻きつけるようにして引き上げ、細かく散ったものは水換えのホースで吸い出す、という組み合わせが扱いやすいかなと思います。
取り除くときに気をつけたいのが、水草を傷めないことと、取り残しを減らすことです。テトラは、アオミドロは除去そのものは容易でも、水草などに絡まっていると除去の際に巻き込んでしまう恐れがあると書いています。水草に絡んだ部分は、無理に引っぱらず、指でほぐしながら少しずつ外すと、水草を抜いてしまう失敗が減ります。
取り残しを減らしたい理由は、アオミドロの増え方にあります。百科事典マイペディアには、アオミドロは体がちぎれて増える無性生殖を行うと書かれています。日本大百科全書も、大きく繁茂してからでは再生力がきわめて強く、除藻が思うようにいかないと説明しています(こちらは養魚や農業の場での話です)。ちぎれたかけらが水槽に残ると、そこからまた伸びてくることがあるので、取り除いた日は水換えでかけらを吸い出しておくと安心です。
手で取り除いた直後は、水槽の中が少し落ち着かない状態です。ヤマトヌマエビや魚を新しく入れるなら、水換えのあと水が落ち着いてから、水合わせをして迎えてあげてください。
アオミドロが増える原因は光・栄養・持ち込み
アオミドロが増える原因は、大きく分けると光の量、水の中の栄養、そして水草などについて持ち込まれること、の3つです。食べる生き物を入れても原因が残っていれば、アオミドロはまた増えてきます。
光について、ジェックスはアオミドロを光の量が多すぎるときによく発生するコケとして紹介しています。テトラのコケ対策の記事は、照明を1日何時間使うか決めて夜間は消すこと、時間を決めていても発生するなら点灯時間を短くしたり光量を弱めたりすること、窓からの太陽光が一日中当たる場所なら置き場所を変えることを勧めています。すでにたくさんのコケが生えているなら、照明を使うのをやめるのも一つの方法で、コケの種類や水槽内の状況によって異なるものの、5日目くらいから弱りだし、10日〜14日くらいで枯れるとしています。これはアオミドロに限らないコケ全般の目安です。ADAが光量不足では水草は育たないと書いているとおり、水草も光が無ければ弱るので、水草水槽で照明を止める方法を選ぶときは様子を見ながら行ってください。
栄養については、テトラのコケブロックの商品ページで、アオミドロは水槽の水が栄養過多になっていると現れやすいとされています。ジェックスはコケの主な原因として、水槽内の富栄養化(栄養が多くなりすぎること)を挙げ、魚の数が多くてフンが多い、エサを与えすぎている、水草の肥料を入れすぎている、といった例を出しています。ジェックスの別のページでは、コケ発生の主な原因を水中のリン酸とケイ酸が多すぎることとし、原因として、バクテリアが足りない、水換えや砂利掃除が足りない、魚を入れすぎている、メンテ道具にコケの胞子が付いている、なども並べています。
持ち込みについては、ジェックスが「購入した水草に付着した」ということもよくあると書き、水草を買ってきたときにしっかり水洗いして予防するよう勧めています。新しい水草を入れたあとにアオミドロが出てきたなら、持ち込みを疑ってみるとよいかもしれません。
ADAの手順では、有茎草が繁茂するとアオミドロが発生するとも書かれていました。水草が茂りすぎて水の流れが悪くなっていないか、トリミングのタイミングもあわせて見直してみてください。原因を一つずつ減らしていくと、生き物の力も活きてきます。
除去剤(コケ抑制剤)を使うときの注意点
生き物と手作業だけで追いつかないときは、コケ抑制剤や除去剤を使う方法もあります。ただ、アオミドロへの効き方は製品によって書き方が違い、使えない水草もあるので、表示をよく読んでから使うことが大切です。
コケブロックとアンチグリーンの使い方や、水量から量を計算する手順は、2つの除去剤の効き方と量の計算を比べた解説で紹介しています。
テトラのコケブロックは、商品ページのコケの一覧にアオミドロを載せていて、テトラの金魚飼育の記事でも、茶ゴケ(珪藻)、緑ゴケ、ひげ状コケ、アオミドロ、糸状コケ、藍藻など複数のコケに対処できると紹介されています。銅などの成分を含まないため、甲殻類やナマズ・アロワナなどの古代魚にも使えるとされています。一方で、使用後6〜8時間は活性炭などの吸着ろ過材を外すこと、コケが大量に発生している場合はコケを除去してから使うこと、ウィローモスやリシアなど藻類に分類される水草には使えないこと、といった注意が書かれています。
神畑養魚のアンチグリーンは、水質を改善することで淡水水槽のコケを抑制・除去する製品です。商品ページでは、特に有効なのは付着性の藍藻で、アオミドロには効果が得られるまでに多少時間がかかると書かれています。水草の種類によっては使用中に光合成を止めてしまうものがあり、その場合は使用を止めると再び光合成を行うようになること、ウィローモス類やリシアなどでは生長を阻害してしまうこともあることも案内されています。規定量であればエビに悪影響はないとされる一方、効果が弱いからといって増量するのはおすすめできない、ともはっきり書かれています。また、アンチグリーンによって死んだ藍藻が水質に悪影響を及ぼす恐れがあるため、藍藻が多い水槽では、あらかじめある程度藍藻を取り除いてから使うよう案内されています。
除去剤を使う前に確かめたいこと
- アオミドロが対象のコケに入っているか(効き方は製品ごとに違う)
- ウィローモスやリシアなど、使えない水草が水槽にないか
- 大量に生えているなら、先に手で取り除いておく
- 規定量を守り、効きが弱くても自己判断で増やさない
除去剤は、あくまで原因の見直しと一緒に使う補助の手段です。ジェックスも、リン酸やケイ酸を吸収するコケ抑制剤を使う方法はあるけれど、増える原因を解決しない限り根本的な解決にはならないと書いています。使い方や量は製品ごとに違うので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
この記事で触れたテトラのコケブロックを通販で探すときは、容量の表示と、ウィローモスやリシアのある水槽では使えないといった表示の注意を確かめてから選んでください。
アオミドロを食べる魚についてよくある質問
ミナミヌマエビもアオミドロを食べますか?
今回調べたメーカー資料には、ミナミヌマエビがアオミドロを食べるという記述は見当たりませんでした。ADAの記事では、ミナミヌマエビは2cm程度とされ、5cm程度まで成長するヤマトヌマエビとの大きさの違いが紹介されています。アオミドロ対策として資料の裏づけがあるのは、ヤマトヌマエビのほうです。
アオミドロは魚に害がありますか?
アオミドロそのものが魚に毒になるという記述は、今回の資料にはありませんでした。ただ、日本大百科全書には、養魚池、とくに幼魚池などで繁茂すると魚体の運動や摂餌行動を妨げる、という記述があります。水槽でも、ジェックスが書くように、長い糸が互いにからまり合って大きな塊になりやすく、テトラの説明のとおり水草などにも絡みつきます。ADAも、レイアウト制作から2〜3週間程度の藻類(コケ)が発生しやすい時期について、少しだからと放置するとたちまち水槽全体に広がってしまうことがあると注意しているので、見つけたら早めに手を打つのがおすすめです。魚の様子がおかしいときは、購入したお店に相談してください。
アオミドロを食べる生き物を入れたら、手で取らなくてもいいですか?
大きな塊がある場合は、先に手で取り除くのがおすすめです。ADAの手順でも、アオミドロは蔓延するのが早いのでホースやブラシで除去するとされています。生き物には、取り残した細い糸や生え始めを食べてもらう役割を任せると、うまく回りやすいです。
アオミドロがなくなったあと、ヤマトヌマエビの餌はどうすればいいですか?
ADAの記事によると、ヤマトヌマエビは雑食性で、藻類のほかに残餌や生き物の死骸なども食べます。コケが減って食べるものが少なくなると、数が多い場合は水草が食害を受けることもあるとされています。様子を見て、エビ用の餌を少量与えるなど、水槽の状態に合わせて調整してください。
アオミドロを食べる魚とエビを上手に使うまとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- アオミドロは枝分かれしない長い緑の糸が絡まり合う藻。1本ずつ短く生える糸状ゴケとは生え方が違う
- アオミドロを食べる生き物で資料の裏づけが厚いのはヤマトヌマエビ。魚ではペンシルフィッシュがアオミドロの除去を得意とされる
- ブラックモーリーは資料によって挙げるコケが違い、サイアミーズ・フライングフォックスの本業は黒髭ゴケ
- オトシンクルスやプレコは張りつくコケ向きとして紹介され、金魚とメダカはアオミドロを食べると当てにできる資料が見つからない
- ヤマトヌマエビは60cm水槽で10〜20匹(ADA)が目安。水量10Lあたり約1.5〜3匹の計算で、少なめから始める(小型水槽はさらに控えめに)
- 大きな塊は先に手で取り除き、光・栄養・持ち込みの原因を減らすのが根本の対策
- 除去剤はアオミドロへの効き方と、使えない水草を表示で確かめてから使う
アオミドロを食べる魚やエビは、上手に選べば頼もしい味方になります。ただ、どの生き物も万能ではなく、水槽のタイプや今いる魚との相性で向き不向きが変わります。この記事の匹数や日数は、メーカーの資料をもとにした一般的な目安です。正確な情報は公式サイトをご確認ください。どの生き物を迎えるか迷うときや、魚の様子が気になるときは、最終的な判断は専門家にご相談ください。購入するアクアリウムショップに水槽の写真を見せて相談すると、話が早いですよ。


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