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グッピーのレッドグラスとは|ブルーグラスと同じ親から生まれる理由

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赤い尾ビレに細かいスポットが散るレッドグラスのグッピーが泳ぐ記事の表紙

レッドグラスのグッピー|ブルーグラスと兄弟だと知っていましたか

THE AQUA LAB 所長

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の所長です。

ショップでグッピーを眺めていると、大きく広がった尾ビレいっぱいに赤が乗って、その中に細かい粒のような模様が散っている個体に出会います。レッドグラス。赤系のグッピーのなかでは、いちばん見かける機会が多い品種かもしれません。

この品種には、飼い始めてから驚く人が多い性質があります。ブルーグラスを買ったはずなのに、生まれた稚魚のなかに赤い個体が混じっていた。あるいはレッドグラス同士から、青っぽい子や、色の薄いくすんだ子が出てきた。どちらも珍しい話ではなく、むしろ遺伝の仕組みからすると当たり前に起こることなんです。

理由を先に言ってしまうと、レッドグラスとブルーグラスは別の品種というより、同じ遺伝の枠のなかにいる兄弟のような関係にあります。ここを知らないまま繁殖を始めると、生まれた子を見て混乱することになりますし、逆に知っていれば「そういうものだ」と受け止めて楽しめます。

この記事では、レッドグラスの見た目と名前の意味から始めて、値段の相場、ブルーグラスとの関係、そして繁殖で三種類に分かれる仕組みまで順に整理していきます。読み終わるころには、水槽で何が起きているのかが自分で説明できるようになっているはずですよ。

  • レッドグラスの特徴とグラスという言葉の意味
  • 値段の相場と入手しやすさ
  • ブルーグラスと兄弟にあたる遺伝の関係
  • 繁殖で三種類に分かれる仕組みと選び方

グッピーのレッドグラスとはどんな品種か

まずはこの品種の輪郭をつかみましょう。見た目の特徴、名前が指しているもの、生まれた背景、そして値段。ここまで押さえたうえで、後半の遺伝の話につなげていきます。

レッドグラスの見た目と魅力

レッドグラスの主役は、なんといっても尾ビレです。大きく扇状に開いた尾に赤い色が乗り、その全面に細かいスポットが散らばります。光の当たり方で見え方が変わるので、水槽の前で角度を変えると印象が変わって面白いですよ。

背ビレにも同じように赤と模様が入るのが特徴です。尾ビレと背ビレがセットで赤く彩られることで、泳いだときの見栄えが大きくなります。体そのものは銀色や淡い色をしていることが多く、そのぶん赤が引き立って見えるんですね。

グッピーそのものの学名は Poecilia reticulata(ポエキリア・レティキュラータ)で、南米のベネズエラやトリニダードなどを原産とする卵胎生の熱帯魚です。体長はオスで5センチ程度、メスで6センチ程度とされています。(出典:FishBase「Poecilia reticulata」)レッドグラスはこの種の中で人の手によって作られた品種なので、専用の学名はありません。

色や模様がはっきり出るのはオスです。メスは体が大きく、色は地味で、尾ビレの赤も薄いか、ほとんど出ないことがあります。ペア売りされている場合、写真で見た派手な姿はオスのものだと思ってください。メスの見た目で品種を判断することはできないので、ここは覚えておくと買うときに迷いません。

オスとメスの見分け方は、尻ビレの形を見るのが確実です。オスは成長すると尻ビレが細長い棒状に変化します。これは交接器と呼ばれる繁殖用の器官で、メスにはありません。メスの尻ビレは扇形のまま残り、お腹が丸く膨らんでいきます。色や尾の大きさで見分けようとすると若い個体で迷いますが、この形の違いなら間違えにくいですよ。

グラスという言葉が指す模様

尾ビレのスポット模様、背ビレ、尻ビレの特徴と基本データを示した図版
レッドグラスの特徴とグラスの意味

品種名に付いている「グラス」は、色の名前ではありません。尾ビレに散る細かいスポット模様のことを、グッピーの世界ではグラスと呼びます。この模様を持つ品種をまとめてグラス系と言い、レッドグラスもブルーグラスもその一員です。

グラス系の魅力は、繊細な柄と大きな尾ビレの組み合わせにあります。単色で塗りつぶされた尾とは違って、光を通したときに粒の一つひとつが浮かび上がる。ゆらゆらと揺れる大きな尾ビレとあいまって、優雅な印象を作っています。

グッピーの品種名は、いくつかの言葉の組み合わせでできています。レッドグラスなら、レッド(色)+グラス(尾ビレの模様)という構成。ほかにもブルーグラス、イエローグラスなど、色の部分だけが違う名前が並びます。名前を分解して読むと、その魚がどんな姿なのか想像がつくようになりますよ。

似た系統にモザイクと呼ばれるグループもあります。こちらは尾ビレにモザイク画のような不規則な模様が入るタイプで、グラスの細かいスポットとは印象が違います。スポットが細かく均一ならグラス系、大きく不規則ならモザイク系という見方をすると、ショップで判別しやすくなります。

なお、模様の細かさや密度には個体差があります。同じレッドグラスという名前で売られていても、スポットがびっしり入っているものもあれば、まばらなものもあります。どちらが正解ということはないので、実物を見て好みで選んでもらえたらと思います。

それから、若い個体と成魚では見え方がかなり違います。生後1か月ほどの個体はまだ尾が小さく、模様も色も乗り切っていません。柄がはっきりしてくるのは生後2か月あたりから。ショップで売られているのは色が出始めた個体が多いですが、それでも成長とともにさらに変わっていきます。買った直後の姿がその魚の完成形ではないということは、覚えておくと楽しみが増えると思いますよ。尾ビレは成長にともなって面積が広がり、模様の密度も上がっていきます。

逆に、環境が合わないと色が落ちることもあります。水質の悪化、水温の急変、ストレスの多い混泳。こうした条件が重なると、せっかくの赤がぼんやりしてくることがあります。色は血統だけでなく、その時点の体調も映していると考えてもらうと、水槽の状態を見直すきっかけになります。

レッドグラスが生まれた背景

グラス系の歴史を少し追ってみましょう。この系統の流れが分かると、なぜレッドとブルーが同じ枠に入っているのかが見えてきます。

グラス系の原型となったのはグラステールと呼ばれる品種で、1984年にネオンタキシードとグラステールの交配からブルーグラスが作出されたと伝えられています。国産グッピーとしては比較的新しい部類ですが、登場後は急速に広まりました。グラス系の繊細な柄は、それまでのグッピーになかった新しい魅力だったということでしょう。

レッドグラスについては、モザイクとグラスの掛け合わせから生まれたと言われています。赤いグラス模様の尾ビレを持つ品種として定着し、現在では赤系グッピーのなかで最もポピュラーな存在になりました。同じ考え方でレオパードとグラスをかけ合わせた黄色いグラス系の品種も作られています。

つまりグラス系というのは、ひとつの品種を指す名前ではなく、ある特徴を共有する一群を指す呼び方だということです。共通しているのは尾ビレの細かいスポットと、大きく開くヒレ。そこに乗る色が赤ならレッドグラス、青ならブルーグラス、黄色ならイエローグラスという具合に枝分かれしています。系統としてつながっているからこそ、色違いの品種同士が近い遺伝の関係にあるんですね。

こうした系統の広がりが、後で説明する遺伝の話につながっていきます。レッドグラスとブルーグラスは、まったく別々に作られた品種ではない。ここが、この記事でいちばん伝えたいポイントになります。

値段の相場と入手しやすさ

価格を整理しておきます。

買い方 価格の目安 補足
国産・1ペア(一般的な個体) 500円〜1,500円程度 店舗や入荷状況で幅がある
国産・仕上がりの良い個体 2,000円〜3,000円程度 柄の密度や尾の形で上がる
個人間の譲渡・オークション さらに安いことがある 状態や輸送の条件を確認する

数字はあくまで目安です。観賞魚の価格は入荷時期や個体のサイズ、店舗の仕入れ先によって上下します。正確な価格や在庫は、購入前に各ショップの公式サイトや店頭でご確認ください

レッドグラスは国産グッピーとして流通量が多く、扱っている店も多いので、入手のしやすさはグッピーのなかでも上位に入ります。初めて国産グッピーを買うときの選択肢としては、価格と入手性の両面で選びやすい品種だと思いますよ。

買う場所による違いも書いておきます。国産グッピーを専門に扱う店やブリーダーは系統を管理していることが多く、どの血統かを教えてもらえる場合があります。総合的なアクアショップは価格が手頃な代わりに、系統までは分からないことがあります。通販は選択肢が広い一方で実物を見られないので、死着保証の条件と発送時期の対応を先に確認してください。繁殖まで見据えるなら系統を教えてくれる店を選んでおくと、あとで自分が何をかけ合わせているのかが分かって管理しやすくなります。

ここで一点、大事な注意があります。国産グッピーは、外国産グッピーと同じ水槽に入れないでください。外国産グッピーはグッピーエイズと呼ばれる病気のキャリアである可能性が高いとされ、この病気にさらされてこなかった国産グッピーは抗体を持たない個体が多いと言われます。合流させると国産側だけが大きな被害を受けることがあります。詳しくはグッピーエイズの症状と隔離・予防の手順にまとめてあります。

ブルーグラスと兄弟である関係

遺伝子を二つ持つ赤、一つの青、持たない青灰色の三つを並べて比較した図版
ブラオ遺伝子の持ち方で変わる三つの姿

ここからが、この記事の中心です。少しだけ遺伝の話になりますが、できるだけかみ砕いて書くので、身構えずに読んでみてください。

グッピーの体色を決める要素のひとつに、ブラオ遺伝子と呼ばれるものがあります。この遺伝子は不完全優性という性質を持っています。不完全優性というのは、遺伝子を二つ持っているか、一つだけ持っているかで、現れる姿が変わるという意味です。

具体的には、こうなります。

遺伝子の組み合わせ 現れる姿 呼ばれ方
二つとも持っている(ホモ) 赤く発色する レッドグラス
一つだけ持っている(ヘテロ) 青く発色する ブルーグラス
まったく持っていない(劣性ホモ) 青灰色でくすんだ色になる ブラオ

この表が意味するところは、かなり大きいです。レッドグラスとブルーグラスは、同じ遺伝子の持ち方が違うだけの関係だということ。別々の系統から作られた無関係な品種ではなく、いわば同じ家族のなかの姿の違いなんですね。

だから、ブルーグラスのペアからレッドグラスが生まれます。というより、遺伝の法則上、生まれないほうがおかしいという話になります。ここは次の章で詳しく見ていきましょう。

◆所長のワンポイントアドバイス
ショップでブルーグラスとレッドグラスが隣り合わせで売られているのを見たことはありませんか。あれは偶然ではなく、同じ親から取れた兄弟がそのまま並んでいる場合があるんです。値札の品種名だけ見ていると気づきにくい関係ですよね。

ブラオと呼ばれるもう一つの姿

表に出てきた三つめの「ブラオ」について、もう少し説明しておきます。聞き慣れない言葉かもしれませんが、レッドグラスを殖やすなら必ず出会うことになる姿です。

ブラオはブラオ遺伝子をまったく持たない状態で、青灰色のくすんだ体色になります。レッドグラスの華やかさやブルーグラスの鮮やかさと比べると、地味な印象を受けると思います。ただ、これは病気でも不良個体でもありません。遺伝の組み合わせとして正常に現れた姿です。

繁殖を始めた人が最初につまずきやすいのが、ここです。せっかく育てた稚魚のなかに色の乗らない個体が混じっていると、飼育に失敗したのではないかと不安になります。でも仕組みを知っていれば、それは失敗ではなく、遺伝の法則どおりに出てきた三種類のうちの一つだと分かります。

ブラオの個体をどう扱うかは、飼い主の考え方次第です。落ち着いた色合いを好んで残す人もいますし、赤や青を増やしたいから繁殖には使わないという判断もあります。どちらも間違いではありません。ただ、ブラオ同士をかけ合わせても赤や青は出てこないので、そこだけは知っておいてください。

ブラオを使う場面もあります。ブラオとレッドグラスをかけ合わせると、生まれる子はすべてブルーグラスになる計算です。片方が遺伝子を二つ、もう片方がゼロなので、子は必ず一つずつ受け取ることになるからですね。青を確実に増やしたいときには、この組み合わせが使えるということになります。地味に見える個体にも役割があるわけです。

逆に、ブラオとブルーグラスをかけ合わせると、ブルーグラスとブラオが半分ずつ生まれます。赤は出てきません。こうした組み合わせを頭に入れておくと、自分が何を増やしたいのかに応じて親を選べるようになります。難しく感じるかもしれませんが、要は遺伝子を二つ持つか、一つか、ゼロかの組み合わせを考えるだけです。

レッドグラスのグッピーを飼って殖やす

ここからは実際の飼育に入ります。水槽の設定、大きな尾ビレの守り方、そして繁殖したときに何が起こるのか。順番に見ていきましょう。

水槽と水温の基本的な設定

飼育そのものは、他のグッピーと大きく変わりません。水温は24度前後を目安に、22度から28度あたりの範囲で安定させます。日本の冬は確実に下回るので、ヒーターは通年で用意してください。

水槽サイズ 飼育数の目安 向いている使い方
30cm前後 1〜2ペア ペアで繁殖を試す・少数を観察する
45cm 5匹前後 落ち着いて飼う・水質が安定しやすい
60cm 10匹前後 群れで泳がせる・稚魚を同居させやすい

数字は目安で、ろ過能力や水換えの頻度によって変わります。繁殖を考えているなら、最初から少し大きめを選んでおくと後で慌てずに済みます。グラス系は繁殖すると三種類に分かれるぶん、選別のための容器も必要になるので、そのぶんの余裕も見ておくといいですよ。

水質は中性から弱アルカリ性が向いています。極端に酸性へ傾いた水では調子を崩しやすいので、底砂を選ぶときもこの点を意識してください。底砂による水質への影響はグッピーの底砂の選び方と相性で整理しています。水温が生存や繁殖にどう関わるかはグッピーの適温と生存・繁殖・稚魚別の目安にまとめました。

水換えは週に一度、水槽の三分の一程度が基本の目安です。手順としては、新しい水をバケツに用意してカルキ抜きを入れ、水槽と同じ水温になるまで置いておきます。次にホースで底の汚れを吸い出しながら水を抜き、用意した水をゆっくり注ぐ。注ぐときは水流が直接魚に当たらないよう、器や手のひらで勢いを殺すと負担が減ります。

ヒーターは水量に合ったワット数を選んでください。設定温度が固定されたオートヒーターならサーモスタットを別に買わずに済みますし、温度を自分で決めたい場合は調整できるタイプのほうが融通が利きます。水温計も一緒に用意して、設定どおりの温度になっているか目で確認できるようにしておくと安心ですよ。

大きな尾ビレを守る水流と混泳

レッドグラスの見どころは、あの大きく広がった尾ビレです。裏を返せば、この尾を傷めないことが飼育の中心テーマになります。

まず水流です。大きなヒレは水の抵抗を受けやすく、強い流れの中では常に泳ぎ続けることになって体力を消耗します。フィルターの吐出口を壁に向ける、シャワーパイプで水面に沿わせる、流木や水草で流れを散らすといった方法で調整してください。水槽の中に流れの弱い場所を作っておけば、魚が自分で居場所を選べます。魚がヒレを畳んで一か所に留まっているなら、水流が強すぎるサインです。逆に水槽全体をゆったり泳ぎ回り、尾ビレを広げたまま留まれているなら、その流れは合っていると考えていいと思います。

フィルターの種類でも流れ方が変わります。投げ込み式は水流が穏やかで小型水槽と相性がよく、外掛け式は落水の勢いが出やすいのでウールや水草で受けると落ち着きます。外部式フィルターは流量が大きいぶん、シャワーパイプを水面に向けて設置すると水面を揺らすだけの流れにできます。大事なのは強さそのものより、水槽の中に強弱の差を作ることです。

次に混泳相手です。ヒレの長い魚を追いかけたりつついたりする性質を持つ魚とは相性がよくありません。

混泳相手 相性 理由
コリドラス 合わせやすい 底層にいて動線が重ならない
オトシンクルス 合わせやすい コケを食べる役。干渉しにくい
ネオンテトラ・ラスボラ類 条件つきで可 温和だが数が多いと餌の取り合いになる
ヒレをつつく性質のある魚 向かない 大きな尾ビレが標的になりやすい
大型・肉食性の魚 向かない 体格差があると捕食の対象になる

レイアウトにも気を配ってください。鋭く尖った流木や、隙間の狭い装飾はヒレを裂く原因になります。手で触ってざらつきや引っかかりを感じるものは避けるか、角を落としてから入れる。水草を中心にした柔らかいレイアウトのほうが、この品種には合っています。尾ビレの縁が白くにごってきたら、水質の悪化か初期の不調を疑うタイミングです。

繁殖で三種類に分かれるしくみ

ブルーグラス同士の子が赤四分の一、青二分の一、ブラオ四分の一に分かれる割合の円グラフ
繁殖で稚魚が三種類に分かれる割合

お待たせしました。この品種を殖やしたときに何が起こるのか、具体的に見ていきます。

グッピーは卵ではなく稚魚をそのまま産む卵胎生の魚で、オスとメスを同じ水槽に入れておけば特別なことをしなくても増えていきます。妊娠の見分け方や出産のサインについてはグッピーの妊娠期間と出産のサインにまとめています。

問題はその先です。前の章で説明したブラオ遺伝子の不完全優性が、ここで効いてきます。

ブルーグラス同士をかけ合わせた場合、生まれる子はレッドグラス、ブルーグラス、ブラオの三種類に分かれます。割合としては、おおよそレッドが四分の一、ブルーが二分の一、ブラオが四分の一という比率になると考えられています。ブルーグラスだけを揃えても、青い子ばかりにはならないということです。

実際の数で考えてみると、イメージしやすくなります。グッピーは一度の出産で20匹前後の稚魚を産むことがあります。仮に20匹生まれたとすると、レッドグラスが5匹前後、ブルーグラスが10匹前後、ブラオが5匹前後という内訳になる計算です。青い親から始めたのに、青は半分しかいないということですね。もちろんこれは理論上の比率なので、実際には偏りが出ます。特に少ない匹数では、たまたま赤ばかり、あるいは青ばかりということも起こり得ます。比率が見えてくるのは、何回かの出産を通して数十匹単位で観察したときです。

ではレッドグラス同士ならどうか。こちらは遺伝子を二つとも持っている状態なので、子にもそのまま渡ります。理屈のうえでは、生まれる子は基本的にレッドグラスになります。赤を安定させたいならレッドグラス同士でかけ合わせるのが近道という結論になりますね。

ただし現実には、いくつか条件があります。まず、迎えたメスがすでに前の水槽で交尾を済ませている可能性。グッピーのメスは受け取った精子を体内にためておけるので、最初の何回かの出産では父親が誰か分かりません。次に、他の品種と混ぜないこと。別の系統が入れば、その形質も混ざります。血統を意識するなら、自分の水槽で生まれた個体同士をかけ合わせた二代目以降で判断するのが現実的です。

生まれた稚魚は親に食べられてしまうことがあるので、産卵ケースで隔離するか、水草を密に入れて隠れ場所を作ってください。この点はグッピーの共食いを防ぐ隔離と水草の使い方が参考になります。

赤を安定させたいときの選び方

三種類に分かれると分かったうえで、では自分はどうしたいのか。方針別に整理しておきます。

目的別の進め方

  • 赤を増やしたい … レッドグラス同士でかけ合わせ、赤の乗りが良い個体を残していく
  • 青を保ちたい … ブルーグラス同士だと三種類に分かれる。青だけを続けるには毎世代の選別が要る
  • 色の変化を楽しみたい … ブルーグラス同士でかけ合わせ、生まれた三種類をそのまま育てる
  • 迷っている … まずレッドグラスのペアから始めると結果が読みやすい

買うときのポイントも書いておきます。柄の密度が高く、尾がきれいに開いている個体を選ぶこと。そして色の濃さは年齢と体調にも左右されるので、若い個体がまだ薄いのは自然なことだと考えてください。買った直後に色が薄く見えても、成長するにつれて濃くなることがあります

選別に使う容器は、大がかりなものでなくて大丈夫です。プラケースや小型水槽にヒーターとエアレーションを入れるだけで足ります。大事なのは、どの容器が何世代目で親が誰なのかを分かるようにしておくこと。ラベルを貼るか、ノートに日付を書いておく。数か月経つと記憶だけでは追えなくなるので、最初から記録しておくほうが結果的に楽です。

本水槽の縁に掛けて使う外掛け式の隔離ボックスなら、置き場所を増やさずに選別用のスペースを作れます。生まれた稚魚の保護にも使えるので、三種類に分かれる様子を追いかけたいときには出番が多いはずです。

◆所長のワンポイントアドバイス
柄と色がはっきり分かるのは生後2か月ほど経ってからです。それより早い段階で選別しようとすると判断を誤ります。焦らず育ててから見比べるのが、結局いちばん確実な進め方ですよ。

そして、増えた分をどうするかは先に決めておいてください。グッピーは繁殖力が高いので、水槽の容量はすぐに埋まります。オスとメスを分けて育てる、引き取り先を確保しておく、水槽を増やす。どれを選ぶにしても、事前に考えておくほうが後で困りません。増えすぎへの対処はグッピーが増えすぎる原因と繁殖の抑え方にまとめました。

近い血が続きすぎると、体が小さくなったり寿命の短い個体が出やすくなると言われます。三世代から四世代ほど回したあたりで、別の系統から個体を迎えて血を入れ替えることを検討してみてください。同じ品種であれば、別の店で買った個体でも柄は保たれます。

グッピーのレッドグラスについてよくある質問

ブルーグラスを買ったのに赤い稚魚が生まれました。品種を間違えて売られたのでしょうか?

売り間違いではない可能性が高いです。ブルーグラスの青はブラオ遺伝子を一つだけ持っている状態で現れるため、ブルーグラス同士をかけ合わせると遺伝の法則どおりレッドグラス、ブルーグラス、ブラオの三種類に分かれます。赤い子が出るのはむしろ自然な結果です。ただし、迎えたメスが前の水槽で別品種のオスと交尾を済ませていた可能性もあるので、二代目以降の結果を見て判断してみてください。

ブラオの個体は育てても意味がないのでしょうか?

意味がないということはありません。ブラオは病気でも不良個体でもなく、遺伝の組み合わせとして正常に現れた姿です。落ち着いた色合いを好んで残す人もいます。ただし、ブラオ同士をかけ合わせても赤や青は出てこないので、色を増やしたいなら繁殖には使わないという判断になります。鑑賞用として別容器で育てるか、譲る先を探すかは飼い主の考え方次第です。

レッドグラスとモザイク系はどう見分ければいいですか?

尾ビレの模様の入り方で見分けます。グラス系は細かいスポットが尾ビレ全体に均一に散るのが特徴で、モザイク系は大きめの不規則な模様が入ります。光を通したときに粒が浮かび上がるように見えるならグラス系だと考えていいと思います。ただし個体差があるので、境界が分かりにくいものもあります。判断に迷ったら、ショップの表示と実物を見比べて店の人に確認してみてください。

レッドグラスとブルーグラスを同じ水槽で飼っても大丈夫ですか?

同じ国産グッピーなので、混泳そのものに問題はありません。ただし繁殖させると、生まれる子の遺伝の組み合わせが複雑になります。赤を安定させたいならレッドグラス同士で分けたほうが結果が読みやすいです。色の変化を楽しみたいなら、あえて一緒にしておくという選び方もありますよ。どちらにしても、外国産グッピーとの合流だけは避けてください。

グッピーのレッドグラスで押さえたい要点

ここまでの内容を、判断に使える形でまとめておきます。

レッドグラスは、大きく開いた尾ビレと背ビレに赤が乗り、細かいスポット模様が散るグッピーの品種です。品種名の「グラス」は色ではなく、この尾ビレの模様を指す言葉。同じ系統にブルーグラスやイエローグラスがあり、まとめてグラス系と呼ばれます。国産グッピーとして流通量が多く、1ペア500円前後から手に入る入手しやすい品種です。

この品種を理解するうえで欠かせないのが、ブラオ遺伝子の不完全優性です。この遺伝子を二つ持てば赤、一つならば青、まったく持たなければ青灰色のブラオになります。レッドグラスとブルーグラスは別々の品種ではなく、同じ遺伝子の持ち方が違うだけの兄弟のような関係だということ。ここが分かっていれば、ブルーグラスから赤い子が生まれても慌てずに済みます。

繁殖では、ブルーグラス同士なら三種類に分かれ、レッドグラス同士なら基本的に赤が続きます。赤を安定させたいならレッドグラス同士から始めるのが近道。ただし迎えたメスの貯精の影響があるので、判断は二代目以降で行ってください。

飼育で気をつけるのは、大きな尾ビレを守ること。強い水流を避け、ヒレをつつく魚との混泳を避け、鋭いレイアウトを入れない。そして国産グッピーである以上、外国産グッピーとの合流だけは避けてください。

この記事の数値はすべて一般的な目安で、環境や個体によって結果は変わります。正確な情報は公式サイトをご確認いただき、迷ったときの最終的な判断は専門家や購入店にご相談ください。あなたの水槽で、あの赤い尾がきれいに開いてくれることを願っています。

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