フルブラックグッピーの特徴と値段|通販で失敗しない選び方
ショップや通販の写真で、頭から尾ビレの先まで黒く染まったフルブラックグッピーを見かけて、その渋い姿に惹かれた方も多いのではないでしょうか。
ところが調べてみると、起源の説明がショップごとに違っていたり、メスの色や交配の話がはっきりしなかったりして、どの情報を信じればよいのか迷ってしまいますよね。
フルブラックは弱いという話や、フルブラックリボンがなぜトリオで売られているのかといった点も、注文の前に気になるところだと思います。
先に結論をお伝えすると、フルブラックは黒の面積だけでなくヒレ・体形・泳ぎを確認し、系統の特徴と弱点を説明できる販売者から選ぶのがおすすめです。
この記事では、観賞魚用品メーカーの解説や販売店の説明、グッピーの黒を扱った論文をもとに、フルブラックの特徴と値段の例、選び方と繁殖の基本を整理しました。
学術的に確かめられていることと、販売店や愛好家の説明にとどまることは、できるだけ分けて紹介していきます。
この記事で理解できることは、次の4つです。
- フルブラックグッピーの見た目の特徴と、起源の説明が出典ごとに違っていること
- 黒の遺伝について分かっていることと、メスや交配した子の見た目が分かりにくい理由
- 2026年9月26日時点の通販価格の例と、フルブラックリボンがトリオで売られるしくみ
- ヒレや泳ぎを見る個体の選び方と、出産の周期や系統を保つための準備
フルブラックグッピーとはどんな品種か
まずは、フルブラックグッピーがどんな品種なのかを整理しておきましょう。
フルブラックは、その名前のとおり全身が黒く染まるグッピーで、国産グッピーの専門店である新城熱帯魚は、ソリッド(単色)の品種に分類しています。
通販では「フルブラック」のほか、リボンタイプの「フルブラックリボン」や、新城熱帯魚がロングフィンの仲間として扱うFaタイプの「フルブラックFa(スーパーセルフィン)」といった商品も見られます。
一方で、チャームが扱う「メタルブラックレース」のように、名前にブラックと入っていてもフルブラックとは別の品種もあるので、商品名はよく確かめたいところです。
黒と一口にいっても、販売店によっては、角度によって濃淡のある茄子紺色に見えると説明しているところもあります。
この章では、フルブラックの見た目の特徴とハーフブラックやタキシードとの違い、そして出典によって食い違う起源の説明を順に見ていきます。
ほかの人気品種と見比べながら検討したいときは、グッピーの人気品種を特徴や値段の目安とあわせて一覧にした記事も参考になると思います。
全身が黒くハーフブラックと違う
フルブラックの見た目の特徴を、メーカーの解説から確かめていきましょう。
観賞魚用品メーカーのスペクトラム ブランズ ジャパンは、フルブラックを、全身が真っ黒で精悍な雰囲気をもつソリッド系のグッピーとして紹介しています(出典:スペクトラム ブランズ ジャパンのグッピー品種の解説)。
同じ解説では、ハーフブラックは体の後ろ半分が真っ黒になるグッピーで、外国から輸入されるグッピーによく見られるバリエーションだとされています。
黒が体の後ろ半分にとどまるのがハーフブラック、頭のほうまで全身に広がるのがフルブラックと考えると分かりやすいでしょう。
なお、この解説は2008年に公開されたもので、フルブラックが見られるようになりつつあるという紹介は、あくまで当時の状況です。
黒い品種を見比べるときに、もう1つ基準になるのがタキシードと呼ばれる模様になります。
ジェックスは、体の後半が暗い色に染まり、タキシードを着ているように見える姿をタキシードの特徴として説明しています。
観賞魚の輸入や生産・卸を手がける神畑養魚によると、フルブラックが出てくるまでは、黒い品種といえば「黒紫ネオンタキシード」が代表的な存在だったそうです。
体の後半だけでなく全身が黒くなる点で、フルブラックはタキシードやハーフブラックとは見た目の印象がはっきり違う品種といえますね。
体の大きさは、チャームの商品説明ではオスが3〜4cm、メスが4〜6cmとされています。
キョーリンも、グッピーのメスはオスより大きく4〜6cmになると説明していますが、どちらもグッピー全体の目安で、フルブラックに限った値ではありません。
タキシードの模様がどのように子へ受け継がれるのかは、ドイツイエロータキシードの特徴と、タキシードの柄が受け継がれる理由を解説した記事で詳しく紹介しています。
起源の説明は出典で食い違う

フルブラックがどのように生まれた品種なのかは、実は出典によって説明が食い違っています。
観賞魚の通販ショップであるチャームは、楽天市場店の商品説明で、フルブラックを2006年にシンガポールから輸入された新種だと紹介しています。
チャームが運営する情報サイトのAQUALASSICでも、2006年にシンガポールから輸入された外国産のグッピーをもとに改良が進み、国産化された品種だと説明されています。
一方で、ブリーダーが運営するブログには、モスコーブルーから作り出された品種だと書かれていました。
別の販売店の商品説明では、モスコーブルーとブラックタキシードを掛け合わせた品種として紹介されています。
シンガポールからの輸入を起源とする説明と、モスコーブルーをもとにしたとする説明が、並んで存在しているのが現状です。
起源を確かめられる学術論文や公的機関の資料は、今回の調べでは見つかりませんでした。
そのため、この記事ではどれが正しいかを決めつけず、説明が食い違っていることをそのままお伝えしておきます。
どの品種をもとにした系統かによって、子に出やすい色や、親を選ぶときに気をつける点が変わってくる可能性もあります。
気になるときは、その店が扱っている個体がどんな系統なのかを、購入前に販売者へ尋ねてみるとよいでしょう。
起源の候補に挙がるモスコーブルーについては、モスコーブルーの特徴と値段の目安、青が濃くなる飼い方をまとめた記事で紹介しています。
フルブラックの遺伝と交配
フルブラックを自分で殖やしたいと考えたとき、気になるのが黒がどのように子へ伝わるのかという点です。
ところが、フルブラックという系統そのものの遺伝のしかたを調べた学術論文は、今回の調べでは見つかりませんでした。
今回確認したメーカーや販売店の遺伝の解説にも、フルブラックを例に挙げたものは見当たりません。
手がかりになるのは、タキシードなどほかの系統で黒を調べた研究と、販売店や愛好家による経験的な説明が中心です。
そこでこの章では、学術の研究で分かっていることと、販売店や愛好家の説明を分けて紹介します。
さらに、メスがどんな見た目になるのか、ほかの品種と交配すると子がどうなるのかについても、確認できた範囲で整理しました。
遺伝の話は少し難しく感じるかもしれませんが、殖やす予定がない方にとっても、ペアで買う理由を知る手がかりになるはずです。
黒の遺伝は単純とは限らない
まずは、グッピーの黒の遺伝について学術的に分かっていることを見ていきます。
Khooらによる1999年の論文では、シンガポールで養殖されていたタキシード系統の、尾の付け根にあたる尾柄部の黒が調べられました。
この黒は1つの遺伝子で決まる優性の形質で、オスにもメスにも現れ、X染色体とY染色体の両方にある遺伝子座で決まると報告されています。
同じ論文の序論では、グッピーの色柄をつくる遺伝子のほとんどは、性染色体にのる伴性で、しかも片方の性にだけ現れる限性の遺伝子だと整理されています。
一方で、ブロンドやゴールド、アルビノ、ブルーといった地の体色は、常染色体にある劣性の遺伝子で決まるとされています。
同じ研究では、養殖されているタキシード系統の中にも、黒の遺伝子がまだ固定されていない個体が混じっていたと報告されました。
黒さそのものについては、Tezukaらによる2011年の研究があります。
この研究では、観賞用の系統の黒さがMC1Rという遺伝子の型と関連していた一方、孫の世代にあたるF2では、その関連が見られなくなりました。
研究者は、MC1Rの働きを調整する別の遺伝子も関わっていると考えています。
ただし、どちらの研究もフルブラックという系統そのものを調べたものではありません。
タキシードの結果をそのままフルブラックに当てはめることはできず、言えるのは、グッピーの黒は単純な1遺伝子で決まるとは限らないというところまでです。
顕性と潜性の考え方やF1・F2の呼び方は、グッピーの色柄が伝わるしくみと固定の進め方を解説した記事で整理しています。
メスや交配した子の見た目
フルブラックを選ぶときに気になるのが、メスもオスと同じように黒くなるのかという点です。
結論からいうと、フルブラックのメスの見た目を具体的に説明した国内のメーカーや販売店の資料は、今回の調べでは見つかりませんでした。
グッピー全体の傾向としては、スペクトラム ブランズ ジャパンが、メスはオスより体が大きく、体色は地味で、尾ビレもオスほど大きくならないと説明しています。
学術の近い例では、先ほどのKhooらの研究で、タキシード系統のメスは野生型の地味なオリーブ褐色で、尾柄部は灰色だったと報告されています。
海外に目を向けると、愛好家のサイトや販売店の中には、黒い系統のメスはオスほど黒くならないと説明しているところがあります。
ただし、いずれも海外の情報で、国内のフルブラックと同じ系統かどうかは分かりません。
ほかの品種と交配したときに子がどうなるかも、はっきりしていないことの1つです。
フルブラックと他品種を掛け合わせた子の見た目を示したメーカーや販売店、学術の資料は、残念ながら確認できていません。
チャームの遺伝の基礎講座で取り上げられている交配の例も、RREAとノーマル体色、ブルーグラスどうし、リボン、スワローの4つで、フルブラックの例はありませんでした。
交配の結果を予想しにくく、メスの見た目で品種を見分けられるかも分からないとなると、メスだけを別に探して組み合わせるのは慎重に考えたいところです。
国産グッピーは基本的にペアで売られ、多くの場合は品種ごとに分けて管理されているとチャームのAQUALASSICは説明しています。
今回調べた通販でも、フルブラックはペアか、リボンならトリオの単位で売られていました。
系統を崩さずに殖やしたいなら、同じ店の同じ系統から、オスとメスをそろえて迎えるのが基本になりそうですね。
同じ品種どうしで殖やしても子の色が分かれる例としてはブルーグラスがあり、販売店はブルーグラスどうしの子にレッドグラス、ブルーグラス、ブラオが生まれると説明しています。
その説明の中身と、系統を保って殖やすのに必要な水槽の数の目安は、ブルーグラスの繁殖と遺伝をまとめた記事で紹介しています。
フルブラックグッピーの値段と通販
フルブラックの購入を考えるとき、やはり気になるのが値段です。
同じフルブラックでも、ペアかトリオか、リボンかどうか、どの店で買うかによって、値段には差があります。
そしてもう1つ、通販で知っておきたいのが、届く個体の月齢です。
チャームの商品説明では、入荷の時点で生後2〜5か月の若魚を発送するため、発色やサイズが画像のイメージと違う場合があるとされています。
新城熱帯魚のフルブラックも、MSサイズ(月齢2か月)の個体のペアとして売られていました。
写真の真っ黒な個体と比べて、届いた個体の黒が薄く見えたり、体が小さく感じられたりすることもあると考えておきましょう。
通販で買う場合は、商品の値段に加えて、送料や届く個体の月齢、死着保証の条件も確かめておきたいところです。
この章では、通販での販売価格の例と、フルブラックリボンがトリオで売られている理由を順に紹介します。
通販での販売価格の例

ここでは、フルブラックを扱う通販ショップの価格を一例として紹介します。
比べたのは、チャームの楽天市場店とYahoo!ショッピング店、国産グッピー専門店の新城熱帯魚で、参考として売切れや在庫なしになっていた店の価格も載せました。
次の表は、2026年9月26日時点で各ショップのページに表示されていた価格の一例で、価格や在庫は店や時期によって変わります。
→ 横にスクロールできます
| ショップ | 商品 | 数量 | 価格 | 税の表示 | 在庫・送料など |
|---|---|---|---|---|---|
| チャーム 楽天市場店 | フルブラック | 1ペア | 2,160円 | 明記なし(各ショップで確認) | カートに入れられる状態(在庫数の表示なし)/送料730円 |
| チャーム 楽天市場店 | フルブラックリボン | 1トリオ | 4,110円 | 明記なし(各ショップで確認) | カートに入れられる状態(在庫数の表示なし)/送料730円 |
| チャーム Yahoo!ショッピング店 | フルブラック | 1ペア | 2,120円 | 明記なし(各ショップで確認) | 残りわずか/東京都あて送料730円 |
| チャーム Yahoo!ショッピング店 | フルブラックリボン | 1トリオ | 4,030円 | 明記なし(各ショップで確認) | 残りわずか/東京都あて送料730円 |
| 新城熱帯魚 | フルブラック(MSサイズ・月齢2か月) | 1ペア | 2,750円 | 税込(税別2,500円) | 在庫2ペア |
| アクアマリン熊本 | 国産グッピー フルブラック | 1ペア | 1,700円 | 税込み | 売切れ |
| アクアマリン熊本 | 国産グッピー フルブラック リボン | 1トリオ | 3,600円 | 税込み | 売切れ |
| 魚銀座m8堂 | 国産グッピー フルブラック リボン | 1トリオ | 2,000円 | 税込 | 在庫なし(入荷日2024年8月7日の掲載) |
チャームの楽天市場店とYahoo!ショッピング店のページには、税込かどうかの明記が見当たらなかったので、税込表記は各ショップで確認してください。
今回見た範囲では、在庫のあったペアは2,000円台、トリオは4,000円台でしたが、これは相場ではなく、ある1日の時点での一例にすぎません。
送料も、店ごとに条件が決められています。
チャームの楽天市場店の商品ページには、送料730円で、送料無料ラインの対象外と表示されていました。
Yahoo!ショッピング店の商品ページでは、東京都あての送料が730円と表示されています。
Yahoo!ショッピング店のストア案内では、中国地方以外の本州への送料が730円で、5,980円以上の購入で送料無料とされています。
ただし、北海道・九州・沖縄へ生体を送る場合はタイム便の手数料が別にかかり、保温が必要なときは北海道・九州が3,600円、沖縄が5,400円と案内されています。
新城熱帯魚は、サイトの見出しと利用案内で送料の書き方が食い違っていたため、注文前に送料の条件を確かめておくと安心です。
送料無料の条件や地域ごとの手数料は変わることもあるので、注文前に各ショップの最新の案内を確認しておきましょう。
ショップの選び方や死着保証の比べ方は、グッピー通販のおすすめショップと価格の相場、健康な個体の見分け方を整理した記事で紹介しています。
フルブラックリボンはトリオで売られる

価格の表を見ると、フルブラックリボンだけがトリオの単位で売られていることに気づいた方もいるかもしれません。
チャームによると、フルブラックリボンは2006年に新種として登場した、フルブラックのリボンタイプです。
トリオで売られる理由は、リボンのオスの体のつくりにあります。
チャームの遺伝の基礎講座によると、リボンタイプのオスは交接器であるゴノポディウムが長く伸びてしまい、生殖の機能を持たないとされています。
そのため繁殖にはノーマルのオスとリボンのメスを組み合わせることになり、ノーマルのオスを付けたトリオで販売されているわけです。
トリオの内訳は、通常はリボンのオスとメス、ノーマルのオスの3匹だと、チャームのAQUALASSICは説明しています。
神畑養魚も、リボンタイプのオスは繁殖に使いにくいため、トリオで販売されることがほとんどだと紹介しています。
チャームの講座によると、リボンは優性の形質で、リボンではないオスとリボンのメスを掛け合わせると、子の50%がリボンになります。
講座には、ごくまれに生殖の機能を持つリボンのオスがいるとも書かれていますが、あくまで例外と考えておくのが無難です。
リボンを迎えるときに気をつけたいのが、長いヒレの擦れです。
新城熱帯魚は、リボンやスワロー、Faなどのロングフィンは擦れが出やすい品種だとして、擦れを死着補償の対象外にしています。
チャームも、リボンやスワロー系の品種は、尾ビレの小さい機敏な品種との混泳を控えるよう商品説明で案内しています。
さらにチャームは、尾ビレが傷つくと病気になりやすいため、尾ビレの大きな品種は水流を弱めたほうがよいとしています。
リボンのトリオを迎えるなら、水流の弱い水槽を用意し、一緒に泳がせる魚の種類も先に決めておくと安心ですね。
フルブラックの選び方と繁殖
ここからは、フルブラックを実際に選ぶときのポイントと、迎えた後に殖やしていくための基本を見ていきます。
フルブラックは黒の美しさが魅力の品種なので、どうしても黒がどこまで広がっているかに目が行きがちです。
ですが、この記事でおすすめしたいのは、黒の面積だけでなくヒレ・体形・泳ぎを確認し、系統の特徴と弱点を説明できる販売者から選ぶことです。
理由の1つは、黒の広がりは見た目の特徴であって、体調のよし悪しを直接教えてくれるものではないからです。
通販では若魚で届くことが多く、届いた時点の黒の濃さが商品画像と同じとは限らないという事情もあります。
もう1つの理由は、ここまで見てきたように、起源や遺伝の説明が出典によって食い違い、メスの見た目も資料からは分かりにくいことです。
だからこそ、その系統をどう維持してきたのか、どんな弱点があるのかを説明できる販売者の情報が、判断の大きな助けになります。
この章では、健康な個体の見分け方、店の選び方と届いた後の注意、出産の周期と系統を保つコツ、よくある質問の順に整理します。
黒の面積よりヒレと泳ぎを見る

東京アクアガーデンという業者のコラムには、鼻先から尾ビレの先までムラなく黒い個体は特に高価だと書かれています。
ただし、そのコラムでは高価になる根拠までは示されておらず、黒の広がりが体調のよさを示すわけでもありません。
個体を見るときは、黒の面積より先に、ヒレと体形、泳ぎ方を確かめるのがおすすめです。
メーカー2社は、購入するときに避けたい個体のサインを次のように挙げています。
スペクトラム ブランズ ジャパンが避けたい状態として挙げているのは、体やヒレに白い点がある個体と、ヒレが白く濁ったり溶けたりしている個体です。
体の表面に血がにじんでいる個体や、極端に痩せている個体、むくんだように見える個体も選ばないほうが安心です。
あまり泳がずに一か所にとどまり、ぐったりしている個体も、同じく避けたい状態に入ります。
ジェックスは、ヒレが破れていたり、くすんでいたり、不自然に閉じていたりする個体は避けるよう説明しています。
体が充血している個体や、泳ぎ方がおかしい個体、水底で動かない個体、体をすりつけている個体も、ジェックスが避けるよう挙げている例です。
まとめると、ヒレは白い点や濁り、欠けがないか、体形は極端な痩せやむくみがないかを見るのが基本になります。
泳ぎは、ヒレを広げて水槽の中を動いているか、底や一か所でじっとしていないかを見てみましょう。
通販で実物を見られない場合は、個体の写真を載せている店を選んだり、発送前の状態を問い合わせたりしておくと判断しやすくなります。
スペクトラム ブランズ ジャパンは、購入後に水槽へ入れる前に、塩浴や薬浴などのトリートメントを行うこともすすめています。
チャームの商品説明でも、国産グッピーどうしでも混泳させると細菌性の病気になりやすいとして、追加する前にトリートメントをするよう注意しています。
若魚で届く通販の個体は発色が画像と違うこともあるので、黒の濃さより先に、健康な個体かどうかを優先して見てください。
系統の特徴を説明できる店で買う
フルブラックを買う店を選ぶときは、価格だけでなく、その系統について説明してもらえるかどうかを見るのがおすすめです。
ここまで紹介したように、フルブラックは起源の説明が出典によって食い違い、黒の遺伝も単純とは限らず、メスの見た目も資料からは分かりにくい品種です。
こうした情報の空白を埋めてくれるのが、実際にその系統を扱っている販売者の説明でしょう。
たとえば、どの親から生まれた個体なのか、親を選ぶときに何を基準にしているのか、その系統で気をつけたい弱点はあるのかといった点を尋ねてみるとよいですね。
通販で買うなら、死着保証の条件も店ごとにかなり違うので、注文前に読んでおきたいところです。
チャームの死着保証は、生体の到着後24時間以内に連絡し、袋を開ける前に撮った死着の画像を確認できることが条件で、再発送は行わず、ペアやトリオはセット分の返金とされています。
置き配や宅配ボックスなど、対面以外で受け取った場合は保証の対象外です。
また、輸送中のストレスで色が白っぽくなったり、逆に黒っぽくなったりしているものは一時的な変化として、保証の対象外とされています。
新城熱帯魚の死着補償は、袋の封を開けずに当日中の3時間以内にメールで報告し、写真2枚を送ることが条件で、補償は1回のみとされています。
宅配BOXでの受け取りも補償の対象外なので、受け取り方法はあらかじめ決めておきましょう。
無事に届いたら、次は水合わせに進みます。
まず袋ごと水槽に浮かべて水温を合わせる点は共通していて、浮かべる時間はスペクトラム ブランズ ジャパンが20〜30分、ジェックスが30分ほど、チャームが30分〜1時間程度としています。
その後の水の入れ替え方は出典ごとに違うので、購入した店やメーカーの手順を確認しながら進めてください。
袋の水を水槽に入れない理由やショックを防ぐ手順は、グッピーの水合わせのやり方と時間の目安、ショック対策をまとめた記事で詳しく解説しています。
点滴のように少しずつ水を移せる水合わせ用のキットがあると、通販で届いたグッピーを水槽の水に慣らす作業を進めやすくなります。
付属品や使い方、価格は、購入前に商品の説明と各ショップでご確認ください。
出産の周期と系統を保つコツ
グッピーはメスが稚魚を産む卵胎生の魚で、出産の周期などはグッピー全体の目安が参考になります。
キョーリンによると、メスの1回の出産サイクルは約30日で、一度に30〜100匹の稚魚を産みます(出典:キョーリンのグッピー解説ページ)。
キョーリンによるとオスの精子は2〜3回の出産分がメスに蓄えられるので、オスと分けた後もしばらく出産が続くことがあると考えられます。
神畑養魚は、妊娠マークと呼ばれるお腹の黒い部分が大きくなると、だいたい2〜3日で産仔すると説明しています。
繁殖させるときの水温について、スペクトラム ブランズ ジャパンは25〜26℃に保つよう勧めていて、水質はpH6.5〜8.0で問題ないとしています。
同社は、オスとメスが1匹ずつだと相性が合わずペアが成立しないこともあるので、繁殖用の水槽にはオスとメスを複数匹入れておくよう勧めています。
これらの数値はあくまで一般的な目安なので、水槽の様子を見ながら調整してください。
系統を代々保っていくなら、神畑養魚は1品種あたり、親の掛け合わせ用、稚魚育成用、オスとメスを分けた若魚育成用、次の親候補用など、4〜5本の水槽が必要になるだろうとしています。
また、ジェックスは、同じ水槽で世代を重ねると近親交配による奇形や病弱な個体が出やすくなるため、定期的に外から新しいグッピーを入れるよう勧めています。
ShikanoとTaniguchiによる2003年の研究でも、同じ両親から生まれた兄妹どうしを交配したグッピーは、生存率と塩分への耐性が下がった一方、成長や高い水温への耐性には影響が見られなかったと報告されています。
では、フルブラックは系統を保ちにくい品種なのでしょうか。
チャームのAQUALASSICは、黒みの強い親を選んでいけば系統を維持しやすいのもフルブラックの特徴だと説明しています。
ブリーダーのブログでも、子の表現はかなり安定していて、黒みの強い親を選べば色は維持しやすいとされています。
その一方で、海外の販売店の中には、黒い系統をまだ殖やすのが難しいと説明しているところもあります。
ただし、その系統が国内のフルブラックと同じかどうかは分かっていません。
国内でも、運営者が匿名の解説サイトには、固定の度合いにばらつきがあり、親と違う見た目の子が生まれることもあると書かれています。
フルブラックが弱い、あるいは作りにくいと言い切れる根拠は、今回確認したメーカーや国内の販売店、学術の資料には見当たりませんでした。
系統を保って殖やすときは、黒みの強い親を選ぶこと、水槽を用途ごとに分けること、ときどき外から新しい個体を迎えることの3つを意識しておくと、やることを整理しやすくなります。
外から新しい個体を迎えるときは、どの店から迎えた、どのくらい黒みのある個体なのかを水槽ごとにメモしておくと、次の親を選ぶときに組み合わせを見直しやすくなりますよ。
交尾のしくみやオスとメスの比率、稚魚が生まれるまでの流れは、グッピーの繁殖の進め方を交尾から稚魚の誕生まで順に解説した記事にまとめています。
生まれたばかりの稚魚には、口に入る細かい粒の稚魚用フードを用意しておくと育てやすくなります。
与える量や回数、価格は、購入前に商品の説明と各ショップでご確認ください。
フルブラックグッピーに関するよくある質問(FAQ)
フルブラックの値段はどのくらい?
2026年9月26日時点の一例では、チャームの楽天市場店で1ペア2,160円、Yahoo!ショッピング店で1ペア2,120円、新城熱帯魚で1ペア2,750円(税込)でした。
フルブラックリボンは1トリオの単位で売られていて、チャームでは4,030円〜4,110円でした。
チャームのページには税込の明記がなく、送料が別にかかることもあるので、購入前に各ショップで最新の価格を確認してください。
フルブラックは弱いって本当?
弱いと言い切れる根拠は、今回確認したメーカーや国内の販売店、学術の資料には見つかりませんでした。
国内の販売店や愛好家は、黒みの強い親を選べば系統を維持しやすいと説明している一方で、海外の販売店には殖やすのが難しいとする説明もあります。
体質や維持のしやすさには個体差や系統差があるので、気になるときは販売店にその系統の様子を尋ねてみるのがおすすめです。
フルブラックのメスも黒い?
フルブラックのメスの見た目を具体的に説明した国内のメーカーや販売店の資料は、今回の調べでは見つかりませんでした。
海外の愛好家や販売店には、メスはオスほど黒くならないと説明しているところがありますが、国内のフルブラックと同じ系統かどうかは分かりません。
メスの見た目だけで品種を判断せず、同じ系統のペアやトリオで迎えるか、販売店に系統を確かめるのが安心です。
フルブラックリボンはなぜトリオで売られる?
リボンタイプのオスは、交接器であるゴノポディウムが伸びてしまい、ごくまれな例外を除いて繁殖に使えないとされているためです。
そのため、リボンのオスとメスに、繁殖用のノーマルのオスを付けた3匹のトリオで売られるのが一般的です。
チャームの遺伝の基礎講座では、リボンではないオスとリボンのメスの子は、50%がリボンになると説明されています。
通販で届いた個体の黒が薄いのはなぜ?
通販では若魚で届くことが多く、チャームは入荷時点で生後2〜5か月の個体のため、発色が画像と違う場合があると説明しています。
また、輸送中のストレスで、色が一時的に白っぽくなったり黒っぽくなったりすることもあるとされています。
届いた直後の黒の濃さだけで判断せず、水合わせを済ませてから落ち着いた様子を見てあげてください。
まとめ|フルブラックはヒレと泳ぎを見て選ぶ
フルブラックグッピーは全身が黒く染まるソリッド系の品種で、体の後ろ半分が黒いハーフブラックや、体の後半が暗色になるタキシードとは見た目がはっきり違います。
起源や黒の遺伝、メスの見た目については、出典によって説明が食い違ったり資料が見つからなかったりするため、販売者の説明が大きな手がかりになります。
- 特徴:全身が黒いソリッド系で、起源はシンガポールからの輸入とする説明と、モスコーブルーをもとにしたとする説明がある
- 遺伝:ほかの系統の研究から、グッピーの黒は単純な1遺伝子で決まるとは限らないが、フルブラックそのものの研究は見つからなかった
- メス:見た目を説明した国内の一次情報は見つからず、海外ではメスのほうが黒が薄いとする説明がある
- 値段:2026年9月26日時点の一例では、在庫のあった店で1ペア2,120〜2,750円、リボンは1トリオ4,030〜4,110円(税込表記は各ショップで確認)
- リボン:リボンのオスは基本的に繁殖に使えないため、リボンのオスとメスにノーマルのオスを付けたトリオで売られる
- 選び方:黒の面積より先に、ヒレの濁りや欠け、痩せやむくみ、泳ぎ方を確かめる
- 繁殖:出産サイクルは約30日で、系統を保つには1品種あたり4〜5本の水槽が目安とされる
通販で届く個体は若魚のことが多く、輸送のストレスで色が一時的に変わることもあるので、届いた直後の黒の濃さだけで判断しないようにしましょう。
この記事で紹介した水温や出産の周期などの数値は、メーカーや販売店の情報にもとづくあくまで一般的な目安で、個体差・系統差・飼育環境によって変わります。
価格も2026年9月26日時点の一例で、店や時期によって変わります。
正確な情報は公式情報や販売店にご確認ください。
個体の選び方や飼育の方法は、最終的にはご自身の判断と責任で決めていただき、迷うときは販売店・専門店へご相談ください。
ヒレと泳ぎ、そして系統の話まで確かめたうえで選べば、フルブラックの深い黒を、長くじっくり楽しめると思いますよ。





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