金魚にエアレーションは必要?酸欠を防ぐ設置のコツ
金魚の水槽に、あのぶくぶくは要るのか。これ、飼いはじめて最初にぶつかる疑問のひとつだと思います。
お店の水槽ではたいてい泡が上がっているのに、家に置いてある小さな金魚鉢には何も入っていない。ネットを見れば「無くても飼える」と書いてあるページもあれば「絶対に必要」と書いてあるページもある。どっちなんだと迷いますよね。
しかもエアレーションを入れると、今度は別の心配が出てきます。水流が強すぎて金魚がしんどそうに見える、夜になるとポンプの音が気になって眠れない、置き場所がなくてコードが邪魔になる。せっかく入れたのに、かえって悩みが増えた、という声もよく聞きます。
この記事では、そもそも金魚がどれくらい酸素を必要とする魚なのか、エアレーションで酸素が増えるのはどういう仕組みなのか、というところから順番に見ていきます。仕組みが分かると、自分の水槽に必要かどうかを自分で判断できるようになりますし、水流や音の悩みにも対処しやすくなるはずです。
- 金魚が酸素をよく使う魚だと言われる理由
- エアレーションで酸素が増える本当の仕組み
- 品種によって変わる水流の許容度
- 音と設置場所の悩みを減らす具体的なコツ
金魚にエアレーションは必要か
まずは必要かどうかの結論と、その根拠になる金魚という魚の性質から整理していきます。ここが分かると、あとの判断がぐっと楽になります。
結論|ほとんどの金魚水槽で必要
結論からお伝えします。ほとんどの家庭用金魚水槽では、エアレーションを入れておいたほうが安全です。
理由は3つあります。金魚は同じサイズの熱帯魚と比べて酸素の消費が多いこと。餌をよく食べてよく糞をするので、水の中で酸素を使う分解も同時に進むこと。そして夏場は水温が上がって、水に溶けられる酸素の量そのものが減ってしまうこと。この3つが重なる季節が、日本には必ずあります。
「無くても飼えた」という話も間違いではありません。金魚が少なくて水量に余裕があり、水温が低い季節なら、確かに足りてしまうこともあります。ただそれは条件がそろっているときだけ成立する話で、真夏に一度でも条件が崩れると取り返しがつきません。
保険としての費用を考えても、エアーポンプは数千円、電気代は月に数十円という水準です。入れておくデメリットは水流と音くらいで、どちらもあとで説明する方法で調整できます。迷っているなら入れる側に倒したほうが、失うものが少ないというのが私の考えです。
エアレーションを入れるかどうかで迷ったら、次の条件をひとつでも満たすなら入れてください。①水温が25℃を超える季節がある ②水槽サイズに対して金魚が3匹以上いる ③水草がほとんど入っていない ④フィルターの水流が弱い、または止水域がある。日本の一般的な家庭では、夏がある時点でほぼ①に当てはまります。
金魚は酸素をよく使う魚
なぜ金魚は酸素をよく使うのか。ここには体のつくりと食性の両方が関わっています。
金魚はフナを原種とする改良品種で、もともとは流れのゆるやかな池や川に住む魚です。冷たい水にも耐えられる一方で、体は大きくなりますし、よく食べます。市販の金魚は数センチのサイズで売られていますが、和金型なら20センチを超えるまで育つことも珍しくありません。体が大きくなるほど、必要な酸素の量も増えていきます。
もうひとつ効いているのが、食べる量と出す量です。金魚は餌をねだる魚で、与えれば与えただけ食べようとします。そして胃を持たない構造なので、食べたものがそのまま短時間で糞になって出てきます。この糞や食べ残しを分解するのは、水中や底床にいる微生物です。分解という作業自体が酸素を使うので、金魚がたくさんいる水槽では、金魚本体の呼吸と分解の両方で酸素が減っていくことになります。
つまり金魚水槽での酸素消費は「魚の数×体の大きさ」だけでは決まりません。餌の量、掃除の頻度、底に溜まった汚れの量まで含めた総量で決まります。同じ2匹でも、餌をたっぷり与えて掃除を怠っている水槽のほうが、酸素は早く減ります。
この関係は水槽サイズの選び方にも直結します。金魚の飼育でよく「小さい水槽で始めない」と言われるのは、水量が少ないほど酸素も水質も余裕がなくなるからです。品種ごとの丈夫さや大きくなりやすさは金魚の丈夫な種類を比較した記事のほうで整理しています。
酸欠のサインと見分け方

酸素が足りなくなると、金魚は分かりやすいサインを出します。代表的なのが鼻上げです。
水面近くに集まって、口をパクパクと出し入れする。この行動は、水中の酸素が足りないので、酸素の多い水面付近の水を必死にえらへ送っている状態です。人間でいえば息が上がっている状況に近いと考えていいと思います。
ただ、鼻上げには紛らわしい場面もあります。餌をもらえると思って水面に寄ってくる金魚は多いですし、これは酸欠ではありません。見分けるポイントは次のとおりです。
→ 横にスクロールできます
| 観察点 | 酸欠の可能性が高い | 餌の期待・通常行動 |
|---|---|---|
| 継続時間 | 近づいても止まらず続く | 人が離れると水中へ戻る |
| 魚の範囲 | ほぼ全部の個体がやっている | 一部の活発な個体だけ |
| 時間帯 | 明け方や夜間に多い | 餌の時間帯に多い |
| えらの動き | いつもより速く大きい | いつもどおり |
| 泳ぎ方 | 動きが鈍く、底に沈む個体も出る | 活発に泳ぐ |
とくに注意したいのが明け方の鼻上げです。水草や植物プランクトンは、昼は光合成で酸素を出しますが、夜は呼吸して酸素を消費します。だから水中の酸素がいちばん少なくなるのは日の出前。朝起きたときに鼻上げしていたら、夜間に酸欠になっていた可能性が高いと考えられます。
すでに鼻上げが出ている場合の応急処置は、原因を探すより先に酸素を入れることが優先です。手順はメダカ・金魚の酸欠応急処置をまとめた記事に整理してあるので、いま困っている方はそちらを先に見てください。
エアレーションで酸素が増える仕組み
ここからは、そもそもエアレーションがどうやって水に酸素を入れているのかを見ていきます。ここを誤解していると、効果の薄い置き方をしてしまうことがあります。
気泡そのものは溶けていない

いちばん多い誤解がこれです。ぶくぶくと上がっていく気泡が、そのまま水に溶けて酸素になっている、というイメージ。実はこれ、ほとんど正しくありません。
気泡は水中を数秒で駆け上がって、そのまま水面ではじけます。この短い時間に気泡の表面から水へ移る酸素の量は、ごくわずかです。エアレーションの本当の仕事は、気泡が水面を叩いて水面を揺らすことにあります。
水と空気は、触れ合っている面でガスをやりとりしています。水中に溶けている二酸化炭素が空気へ出ていき、空気中の酸素が水へ入ってくる。この交換は水面という「境目」でしか起きません。だから水面が静かだと交換は進まず、水面が揺れて常に新しい水が表に出てくると、交換はどんどん進みます。
もうひとつ大事なのが水を循環させる働きです。気泡が上がるときに水も一緒に持ち上げられるので、底のほうの水が水面へ運ばれます。酸素は水面から入るので、底の水が一度も水面に来ない水槽では、上だけ酸素が多くて底は少ないという偏りが生まれます。エアレーションはこの偏りをならしてくれるわけですね。逆に言えば、水槽の中に物を置きすぎると水の通り道が塞がれて、この循環そのものが弱くなります。レイアウトの組み方を安全面から整理した記事でも触れましたが、飾りの裏側にできる止水域は酸素も汚れも滞る場所になります。
この仕組みが分かると、置き方の良し悪しも見えてきます。気泡が水面まで届かず途中で消えるような置き方は効率が悪いですし、逆に水面がしっかり揺れていれば、泡の量が控えめでも十分に働いてくれます。「泡が多いほど酸素が多い」ではないんですね。
水温が上がると酸素は溶けにくい
金魚の酸欠が夏に集中するのには、はっきりした理由があります。水温が上がると、水に溶けられる酸素の量そのものが減るからです。
水質計測器のメーカーの解説によれば、水中に溶け込む酸素の量は水温が低いほど、また圧力が大きいほど多くなり、1気圧・25℃の条件下では8.26mg/Lの酸素が溶け込むと考えられているとされています(出典:東亜ディーケーケー株式会社 溶存酸素について)。
神奈川県の水質分析に関する資料には、1気圧で塩化物イオンがない場合の飽和溶存酸素量と水温の対応表が載っています。そこから金魚飼育でよく出会う水温帯を抜き出すと、こうなります。
→ 横にスクロールできます
| 水温 | 飽和溶存酸素量 | 10℃のときとの比 |
|---|---|---|
| 10℃ | 10.92 mg/L | 基準 |
| 15℃ | 9.76 mg/L | 約89% |
| 20℃ | 8.84 mg/L | 約81% |
| 25℃ | 8.11 mg/L | 約74% |
| 30℃ | 7.53 mg/L | 約69% |
| 35℃ | 7.04 mg/L | 約64% |
10℃と30℃を比べると、溶けられる量が3割ほど減っています。ここに、水温が上がると金魚の代謝も上がって酸素の消費が増える、という要素が重なります。供給の上限が下がり、需要が上がる。夏の酸欠は、この2つが同時に起きるから深刻になるわけですね。
ちなみに同じ資料には、環境基準の話として、一般に魚介類などの水生生物が生存するためには3mg/L以上が必要とされていること、利用目的の適応性としてコイ・フナ等(水産3級)では5mg/L以上が必要と定められていることが書かれています(出典:神奈川県 水質分析実習資料(溶存酸素))。金魚はフナの改良品種ですから、この5mg/Lという水準がひとつの目安になります。
ここで注目したいのは、30℃でも飽和なら7.53mg/Lあるという点です。つまり水温が高いこと自体が直接の原因ではなく、飽和に届かないことが問題だということ。消費に供給が追いつかず、実際の溶存酸素が5mg/Lを下回ってくると危険域に入ります。エアレーションは、この飽和にできるだけ近づけるための道具だと考えると分かりやすいと思います。
ちなみに、酸素を確保する方法はエアレーションだけではありません。効き方が違うので、組み合わせて考えると余裕が生まれます。
- 水量を増やす…同じ消費量でも、水が多ければ濃度の下がり方はゆるやかになります
- 水温を下げる…溶けられる上限そのものが上がります。夏はここがいちばん効きます
- 餌を減らす…金魚の代謝と、糞を分解するときの酸素消費の両方が下がります
- 匹数を減らす…根本的ですが、過密が原因ならこれ以外に解決しません
- 水面を広く取る…ガス交換は水面で起きるので、細長い容器より広い容器が有利です
夏に鼻上げが出たときは、エアレーションを強くする前に、まず水温と餌を見直すほうが効くことが多いです。泡を増やしても水温が33℃のままなら、溶けられる上限は上がらないからですね。
品種で変わる水流の許容度
エアレーションを入れると必ず水流が生まれます。ここで金魚の場合、品種によって話がまったく変わってきます。
和金型は水流に強い

金魚の体型は大きく3つに分けられます。原種のフナに近い細長い体の和金型、丸くふっくらした琉金型(丸もの)、そして背びれがなく独特の体型をしたらんちゅう型です。
このうち和金型は、フナに近い流線型の体を持っていて、泳ぎが速く力もあります。多少の水流があっても問題なく泳ぎますし、むしろ運動になるくらいです。和金、コメット、朱文金といったあたりがこのタイプで、初心者に勧められることが多いのも丈夫さが理由です。
和金型を飼っているなら、エアレーションの水流はあまり気にしなくて構いません。水槽の端から端まで一直線に強い流れができている、という極端な状態でなければ大丈夫だと考えていいはずです。
むしろ和金型は成長が早くて大きくなるので、酸素の需要のほうを心配したほうがいい品種でもあります。数センチで買ってきた個体が1年で倍以上になることもあり、そのぶん必要な酸素も増えていきます。
つまり和金型では、水流を弱める調整より、成長に合わせて酸素の供給量を見直すことのほうが大事になります。買ったときにちょうど良かった設定が、半年後には足りていないという状況が起こり得るからです。体が一回り大きくなったと感じたら、泡の量や水量を見直すタイミングだと考えてください。
丸ものとらんちゅうは水流が苦手
一方、体を丸く改良された品種は事情が違います。
琉金やオランダ獅子頭のような丸ものは、体が寸詰まりになっているぶん、泳ぐための推進力が弱くなっています。さらにらんちゅうは背びれそのものがないので、体をまっすぐ保つ力も弱い。強い水流を発生させるフィルターは使えないと言われるのはこのためです。
水流が強すぎるとどうなるか。流されないように泳ぎ続けることになるので、体力を消耗します。餌を食べるときに流れに押されてうまく食べられないこともあります。長く続くと体調を崩したり、転覆しやすくなったりする個体も出てきます。
問題は、ここで「水流が嫌だから」とエアレーションを止めてしまう判断です。丸ものやらんちゅうは体が丸いぶん内臓も密集していて、そもそも消化や呼吸に余裕がない品種でもあります。酸素の必要性はむしろ高い。止めるのではなく、水流を弱める方向で解決したいところです。
水流を弱める方法はいくつかあります。①エアーポンプにエアー調整コックを入れて泡の量を絞る ②エアストーンを細かい泡が出るタイプに替える ③水槽の隅ではなく端に寄せて、流れが直線的に走らないようにする ④吐出口を水面近くに上げて、底まで流れが届かないようにする。どれも数百円の部品か置き方の変更でできます。それでも金魚がしんどそうなら、水量を増やして相対的に流れを弱める方向も検討してください。品種と水槽の条件は個体差もあるので、迷ったら購入された販売店にも相談してみてください。
水流の弱め方そのものについてはエアレーションのやり過ぎが逆効果になる条件をまとめた記事のほうで、酸素と水流のバランスを詳しく扱っています。
エアレーションの選び方と季節の調整
最後に、実際に導入するときの選び方と、季節ごとの運転の考え方を見ていきます。
エアーポンプと投げ込み式の選び方
金魚水槽でエアレーションを入れる方法は、大きく2つあります。
ひとつはエアーポンプ+エアストーンの組み合わせ。純粋に空気を送り込むだけのシンプルな構成で、水流の調整もしやすく、置き場所の自由度が高いのが利点です。すでにフィルターを使っていて酸素だけ足したい場合は、こちらが素直だと思います。
もうひとつが投げ込み式フィルター。水槽の中に沈めて、エアーポンプから空気を送るとフィルター内部を水が通る仕組みです。ろ過とエアレーションを1台で兼ねられるので、金魚水槽では昔から定番になっています。
→ 横にスクロールできます
| 比較項目 | エアーポンプ+エアストーン | 投げ込み式フィルター |
|---|---|---|
| 主な役割 | 酸素供給のみ | ろ過+酸素供給 |
| 水槽内の場所 | ほとんど取らない | 本体分の場所を取る |
| 水流 | 調整しやすい | やや強め・上向きに出る |
| メンテナンス | エアストーンの目詰まりだけ | ろ材の洗浄・交換が要る |
| 向いている場面 | フィルターが別にある水槽 | これ1台で完結させたい水槽 |
ポンプの選び方で見たいのは、対応水槽サイズと吐出口の数です。60cm水槽なら60cm対応と書かれたもの、水槽が2つあるなら吐出口が2つあるタイプ、といった具合ですね。容量が大きすぎると泡が出すぎるので、コックで絞る前提でなければ水槽サイズに合わせるのが基本です。
もうひとつ、意外と結果を左右するのがエアストーンの選び方です。泡が細かいタイプは、同じ空気の量でも水面を穏やかに揺らせるので、水流を抑えたい丸ものの水槽に向いています。反対に泡が粗いタイプは、水を持ち上げる力が強く、循環をしっかりつくりたい大きめの水槽に向きます。
エアストーンは消耗品でもあります。使っているうちに内部が目詰まりして泡の出が悪くなり、ポンプにも余計な負荷がかかります。泡の量が減ってきた、ポンプの音が大きくなってきたと感じたら交換のサインだと考えてください。数百円の部品なので、予備を持っておくと安心です。
ろ過をどうするかまで含めて考えたい場合は、底面フィルターで金魚飼育を楽にする方法も選択肢になります。底面フィルターはエアーポンプで駆動するタイプがあり、こちらもろ過とエアレーションを兼ねられます。
本文で書いたとおり、対応する水槽サイズに合ったものを選ぶのが基本です。60cm水槽なら、幅60cm以下と明記された静音タイプが素直な選択になります。実際の対応サイズや静音性の程度は製品ごとに違うので、購入前に仕様をご確認ください。
ろ過とエアレーションを1台で済ませたい場合は、投げ込み式が候補になります。サイズ展開があるので、お使いの水槽に合うものを選んでください。中のろ材は消耗品で、定期的な交換が前提になります。
音と振動を抑える置き方
エアレーションで挫折する理由の上位に来るのが、音の問題です。とくに寝室や、静かなリビングに置く場合は深刻ですよね。
音には2種類あります。ポンプ本体が出すモーター音と、本体が置き場所に触れて響く振動音です。実は後者のほうが大きいことが多く、対策も後者のほうが簡単です。
- 硬い面に直置きしない。水槽台の天板やガラス面に直接置くと、面全体がスピーカーのように鳴ります。厚手のタオル、コルクマット、スポンジなどを一枚かませるだけでかなり変わります。
- 吊るす。ポンプを何にも触れさせず、フックやゴムバンドで空中に吊るすと振動が伝わりません。ホース類が引っ張られないよう余裕を持たせてください。
- 水槽より高い位置に置く。ポンプが水面より低いと、停電時に水が逆流してポンプへ入る可能性があります。高い位置に置けない場合は逆流防止弁をホースに入れてください。これは音の話ではありませんが、同時に確認しておきたい点です。
- エアストーンを見直す。目詰まりしたエアストーンはポンプに負荷をかけ、音が大きくなります。泡の出が悪くなってきたら交換のサインです。
- 箱で覆う。吸気口を塞がないよう注意しつつ、内側に吸音材を貼った箱をかぶせる方法もあります。熱がこもらないよう通気は確保してください。
それでも気になる場合は、静音をうたった機種への買い替えも選択肢です。機種ごとの違いや原因の切り分けはエアーポンプを静かにするコツの記事にまとめてあります。
夏と冬で変える運転
エアレーションは一年中同じように動かす必要はありません。季節で必要度がはっきり変わります。
夏は最も必要な季節です。水温が上がって溶ける酸素が減り、金魚の代謝が上がって消費が増える。しかも夜間は水草も酸素を使います。この時期は24時間動かしておくのが安全で、加えて水温そのものを下げる工夫も要ります。直射日光を避ける、室温を管理する、必要なら冷却ファンを使う、といったところですね。
春と秋は水温が安定していて、酸素の余裕もあります。ただ、餌をよく食べる季節でもあるので、糞の分解で酸素が使われます。基本は動かしたままで問題ありません。
冬は判断が分かれます。水温が下がると水にはよく酸素が溶けますし、金魚の代謝も落ちて消費が減ります。屋内で水温が10℃を下回るような環境なら、金魚はほとんど動かず餌も食べません。この状態でエアレーションを強く効かせると、水流で体力を削ってしまうことがあります。
だから冬は、止めるというより弱めるのが答えになりやすいです。コックで泡の量を絞って、水面がかすかに揺れる程度にしておく。完全に止めてしまうと水が滞って底に汚れが溜まりやすくなるので、弱くても回しておくほうが管理しやすいと思います。
なお屋外の池や睡蓮鉢で越冬させる場合は事情がまた変わります。氷が張る環境では水面のガス交換が止まるので、一部を開けておく工夫が必要になります。この記事の範囲を超えるので、屋外飼育の方は環境に合わせて調整してください。
電気代を心配される方もいると思いますが、一般的な家庭用エアーポンプの消費電力は数ワット程度です。24時間つけっぱなしにしても、月あたり数十円から百数十円という水準に収まることがほとんどです。具体的な計算方法はエアーポンプの電気代を計算した記事にまとめてあります。金魚を1匹失うコストと比べれば、止める理由にはなりにくい金額かなと思います。
停電への備えとして触れた乾電池式のエアーポンプは、防災用品と一緒にしまっておける小型のものが扱いやすいです。普段は使わない道具なので、電池を入れっぱなしにせず、年に一度は動作を確かめておくと安心かなと思います。
金魚のエアレーションに関するよくある質問(FAQ)
水草をたくさん入れればエアレーションは要りませんか?
要らなくなるとは言い切れません。水草は昼間の光合成で酸素を出しますが、夜は光合成が止まり、水草自身も呼吸して酸素を消費します。つまり水草が多い水槽ほど、夜間の酸素消費は大きくなります。酸欠が起きやすいのが明け方だという話とここがつながります。さらに金魚は水草を食べる魚なので、量を維持すること自体が簡単ではありません。水草は水質の面では役立ちますが、酸素供給の保険としては当てにしないほうが安全だと考えています。
タイマーで夜だけ動かすのはどうですか?
夜間の酸素不足を狙うという意味では、方向としては悪くありません。ただ、あまりおすすめはしていません。理由は、止まっている間に水が滞ることと、ろ過を兼ねている場合は微生物のはたらきまで止まってしまうことです。投げ込み式や底面フィルターをエアーポンプで動かしているなら、止めた時間はろ過も止まります。電気代が理由で悩んでいるなら、前述のとおり月に数十円程度なので、連続運転にしたほうが管理はずっと楽です。どうしても音が理由なら、止めるより弱める方向を先に試してみてください。
エアレーションを入れたら水が白く濁りました。関係ありますか?
関係している可能性があります。ひとつは、水流で底の汚れが舞い上がっているケースです。この場合は数時間で落ち着くことが多く、底の掃除で解決します。もうひとつは、酸素が増えたことで微生物が急に増えたケースです。こちらは数日で収まることが多く、慌てて水を全部替えるとかえって長引きます。どちらでもない濁りが続く場合や、同時に金魚の様子がおかしい場合は、水質を確認したうえで販売店など相談できる窓口に見てもらうのが確実です。
金魚鉢のような小さい容器でもエアレーションはできますか?
できますが、器具を入れると容器がさらに狭くなるという問題が出てきます。金魚鉢は水量が少ないぶん酸素も水質も余裕がないので、本来はエアレーションがいちばん必要な環境です。それなのに機材を入れる余地が少ないという、悩ましい構造になっています。現実的な解としては、小型のエアーポンプに細めのエアストーンを組み合わせる、あるいは金魚鉢を観賞用の一時的な容器と割り切って、普段はもっと大きい水槽で飼うという選び方になります。長く飼うつもりなら、容器を大きくするほうが結局は近道だと思います。
停電したときはどうすればいいですか?
まず確認したいのが、ポンプが水面より低い位置に置かれていないかです。低い位置にあると停電時に水が逆流してポンプへ入り、復旧しても動かなくなることがあります。逆流防止弁を入れておくと防げます。停電中の酸素については、水量に余裕があって水温が低ければ数時間は持ちこたえることが多いですが、夏は厳しくなります。対策として、乾電池式のエアーポンプを1台備えておく方法があります。防災用品と一緒に置いておくと、いざというときに探さずに済みます。水量を増やす、餌を控えて酸素消費を減らすといった対応も同時にとってください。
まとめ|金魚にエアレーションは必要か
最後に、この記事で見てきたことを整理しておきます。
まず必要性について。金魚は体が大きくなり、よく食べてよく糞をする魚なので、同じサイズの熱帯魚より酸素の需要が大きくなります。そこへ夏の高水温が重なると、溶けられる酸素の量そのものが減ります。10℃では10.92mg/L溶けられるのに、30℃では7.53mg/Lまで下がる。供給の上限が下がり、需要が上がる季節が日本には必ずあるので、ほとんどの金魚水槽ではエアレーションを入れておくほうが安全だという結論になります。
次に仕組みについて。エアレーションは気泡が溶けて酸素になっているのではなく、水面を揺らしてガス交換を促し、水を循環させて偏りをなくすことで働いています。だから泡の量より、水面が動いているかどうかが判断の基準になります。泡を多く出せば効くという話ではありません。
そして品種について。和金型は水流に強いので気にしなくて構いませんが、琉金などの丸ものやらんちゅうは泳ぐ力が弱く、強い水流に耐えられません。ただしそこで止めてしまうのではなく、エアー調整コックで絞る、置き場所を変える、吐出口を上げるといった方法で水流だけを弱めるのが正解です。酸素の必要性はむしろ丸もののほうが高いくらいです。
最後に運用について。夏は24時間、春秋は通常運転、冬は弱めて回し続ける。音が気になるならポンプの下に一枚かませるだけでかなり変わりますし、水面より高い位置に置くか逆流防止弁を入れておくと停電時のトラブルも防げます。
数値はあくまで一般的な目安で、水槽の大きさ・匹数・季節・部屋の環境によって答えは変わります。正確な製品情報は公式サイトをご確認いただき、飼育で迷う場面が出てきたときの最終判断は、実際の水槽を見られる専門店や販売店にご相談いただくのが確実です。この記事が、あのぶくぶくを入れるかどうかの判断材料になれば嬉しく思います。

