グッピーのリボンはなぜトリオで売られる?オスが繁殖できない理由と殖やし方
ショップや通販でグッピーのリボンを見かけて、ヒレが長く伸びた姿にひかれた方も多いと思います。ただ、調べ始めるとすぐに、リボンとは何のことなのか、なぜトリオで売られているのか、オスは繁殖に使えないというのは本当なのか、と気になることが次々に出てきますよね。
リボンは色や模様の名前ではなく、ヒレと、オスの交接器であるゴノポディウムが長く伸びる形質の名前です。だからこそ、繁殖の方法も、遺伝のしくみも、ふつうのグッピーとは少し違っています。リボンとスワローの違いや、メスとオスの見分け方、稚魚の扱い方、リボンの作り方まで、ふつうのグッピーより一手間かかりますが、順番を追えば筋道は見えてきます。
この記事では、販売店の遺伝の講座やメーカーの飼育解説といった資料をもとに、グッピーのリボンの特徴、遺伝と繁殖のしくみ、通販での値段の例、ヒレを傷めない飼い方までをまとめました。これからリボンを迎える方にも、トリオを買ったものの殖やし方に迷っている方にも役立つ内容にしています。
- グッピーのリボンという形質の特徴と、オスが繁殖に使えない理由
- リボンの遺伝のしくみと、交配の組み合わせごとのリボンの出方
- リボンとスワローの違いと、通販での値段の例
- トリオでの殖やし方と、ヒレを傷めにくい水槽づくり
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| 項目 | 内容 | 資料 |
|---|---|---|
| 学名 | Poecilia reticulata(カダヤシ目カダヤシ科) | 国立環境研究所 侵入生物データベース |
| 自然分布 | ベネズエラ〜ギアナ | 国立環境研究所 侵入生物データベース |
| 大きさ | 全長でオス3.5cm・メス5cm/体長でオス3〜4cm・メス4〜6cm | 国立環境研究所/キョーリン |
| 適した水温 | 適温は21〜28℃(屋外で飼う季節の目安として示された値)・水槽にはヒーターとサーモスタットを用意 | キョーリン |
| 野生での生息条件 | 冬でも水温が18℃以下に下がらない高温の緩流域にすむ(飼育の許容温度ではない) | 国立環境研究所 |
| リボンの遺伝 | リボンは優性(リボンの遺伝子記号はRib) | チャーム「グッピーの遺伝 基礎講座」 |
| 販売の単位 | 通常は、リボンのオスとメスに、ノーマルのオスを加えたトリオ(3匹) | アクアラシック(チャーム運営) |
グッピーのリボンとは?特徴と遺伝・スワローとの違い
まずは、グッピーのリボンがどんな形質なのかを整理します。結論から言うと、リボンはオスとメスの両方でヒレが長く伸び、オスでは交接器のゴノポディウムまで伸びてしまう形質です。そのためオスは基本的に繁殖に使えず、ノーマルのオスとリボンのメスを組み合わせて殖やします。この章では、見た目の特徴、オスが繁殖に使えない理由、優性という遺伝のしくみ、似た形質のスワローとの違い、オスとメスの見分け方、通販での値段の例を順に見ていきます。遺伝の話は少し理屈っぽく感じるかもしれませんが、ここを押さえておくと、次の章の殖やし方がぐっと分かりやすくなりますよ。トリオの3匹がそれぞれどんな役割なのかも、この章を読めば自然に見えてくるはずです。
リボンは腹ビレなど各ヒレが長く伸びる形質
グッピーのリボンは、ヒレの形を表す呼び名です。ブルーグラスやフルブラックのような色や模様の名前とは別の軸なので、「ブルーグラスリボン」「フルブラックリボン」のように、色柄の品種名のうしろにリボンを付けて呼ばれます。
リボンと組み合わされる色柄の名前のうち、尾ビレに大きめの黒いスポットが入るモザイクについては、モザイクとグラスの違いと品種名の読み方の解説で紹介しています。
チャームが運営するアクアラシックの用語集では、リボンは各ヒレが伸長し、特に腹ビレの伸長が顕著で、リボンのように見える品種だと説明されています。同じサイトの品種解説でも、リボングッピーはオスとメスの両方でヒレが長くリボン状に伸びると紹介されていました。
ここで押さえておきたいのは、リボンがオスだけの飾りではないことです。グッピーは、ふつうはオスの尾ビレが大きく色鮮やかで、メスは体が大きくヒレが短めという、雌雄の差がはっきりした魚です。ところがリボンでは、メスにも長いヒレが出ます。後で見るように、このメスのヒレの長さが、リボンの系統を残すうえでの目印になります。
アクアラシックの用語集では、グッピーの品種の色彩は、主に体色、体の模様、尾ビレの模様、ヒレの形状の4つで構成されるとされ、比較的よく見かける尾ビレの形としてデルタテール、リボン、スワローの3つが挙げられています。つまりリボンは「ヒレの形状」という1つの要素で、色や模様とは組み合わせ自由。だからこそ、通販ではさまざまな色柄のリボンが並んでいるわけです。
リボンかどうかを確かめたいときは、ヒレ全体の長さだけでなく、オスならゴノポディウムが伸びているか、メスなら腹ビレが長く伸びているかを見るのが目安になるかなと思います。見分け方は、もう少し後の見出しで詳しく紹介しますね。
オスのゴノポディウムも伸びて繁殖に使えない

リボンでいちばん大事なのが、オスの交接器であるゴノポディウムも長く伸びてしまうという点です。
グッピーのオスは、尻ビレが棒状に変化したゴノポディウムで、メスの体内に精子を送り込みます。キョーリンの飼育解説では、オスは生後3週間くらいから、尻ビレが棒状に変化したゴノポジウムが発達してとがってくると説明されています。卵胎生のグッピーにとって、ゴノポディウムは繁殖に欠かせない器官です。
ところがリボンのオスでは、このゴノポディウムまで長く伸びます。チャームの「グッピーの遺伝 基礎講座」は、リボン系のグッピーはゴノポディウムが伸長してしまい、オスが生殖機能を持たないと説明しています。アクアラシックの品種解説は、オスはゴノポディウムも伸長するため受精能力が低いという書き方でした。言い方には「持たない」と「低い」の幅がありますが、どちらの資料も、繁殖にはリボンではないオスとリボンのメスを組み合わせる、という点で一致しています。
ここから、リボンのオスの扱い方がはっきりします。リボンのオスは、ヒレの美しさを楽しむ観賞用と考え、繁殖の役はノーマルのオスに任せるのが基本です。リボンのオスとノーマルのメスだけで水槽を組んでも、稚魚はほとんど期待できないと考えておきましょう。
なお、チャームの講座には、ごくまれにリボンのオスの中に生殖機能を持つものがいる、とも書かれています。ただ、あくまで例外です。手元のリボンのオスが例外かもしれないと期待して系統を組むより、最初からノーマルのオスを用意しておくほうが、ずっと確実ですね。
リボンのオスが繁殖に使えないのは、病気や弱さのせいではありません。形質そのものの性質なので、稚魚ができないことを心配して薬を入れたり、水質をいじったりする必要はないですよ。
リボンは優性で子の約半数がリボンになる

次は遺伝のしくみです。チャームの講座では、リボンは優性の形質として説明されています。正式な遺伝子記号はリボンがRib、非リボンがRib+ですが、講座では見やすくするためにリボンをR、非リボンをrに置き換えています。この記事でも同じ記号で説明しますね。
優性というのは、リボンの遺伝子Rを1つでも持っていれば、見た目がリボンになるという意味です。講座の例では、非リボンのオス(rr)とリボンのメス(Rr)を交配すると、子はリボン(Rr)が50%、非リボン(rr)が50%になります。ふつうの交配では非リボンのオス(rr)を使うので、親のメスはRrであることが一般的だ、とも書かれていました。
この講座の記号を、ほかの組み合わせにも当てはめて計算してみたのが下の表です。講座に書かれている組み合わせと、記号から計算した組み合わせを分けて示しています。
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| オス | メス | 子のリボンの割合 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 非リボン(rr) | リボン(Rr) | リボン50%・非リボン50% | 講座に記載(ふつうの交配) |
| 非リボン(rr) | リボン(RR) | リボン100% | 講座の記号から計算(RRはまれ) |
| 非リボン(rr) | 非リボン(rr) | リボン0% | 講座の記号から計算 |
| リボン(Rr)※生殖機能を持つまれな個体 | 非リボン(rr) | リボン50%・非リボン50% | 講座の記号から計算 |
| リボン(Rr)※生殖機能を持つまれな個体 | リボン(Rr) | リボン75%(うちRRが25%)・非リボン25% | 講座の記号から計算 |
表から分かるのは、ふつうの交配では1回の出産で生まれる子のおよそ半分がリボンになるという見込みです。もちろん50%は確率なので、実際の1回の出産では偏ることもあります。数が少ないうちは、半分くらい出れば十分というくらいの気持ちで見守るのがいいかなと思います。
もう1つ大事なのは、非リボンのメス(rr)からはリボンが出ないという点です。リボンの系統から生まれた子でも、ヒレの短いメスはリボンの遺伝子を持っていない計算になります。系統を残すなら、リボンのメスを残すことが鍵になるわけですね。講座には、生殖機能を持つまれなリボンのオスがいる場合にだけRRのリボンが生まれる、とも書かれていました。RRのメスは子が全部リボンになる計算ですが、優性の形質なので見た目でRrと区別するのは難しいはずで、狙って手に入れるのは難しいと考えておきましょう。
なお、アクアラシックの用語集では、優性・劣性という呼び方は今後、顕性・潜性が主流になっていくと思われる、とも書かれています。この記事では、チャームの講座に合わせて優性という言葉を使っています。
スワローとの違いは遺伝のしくみと出方

リボンとよく並べて語られるのがスワローです。どちらもヒレが長く伸び、オスのゴノポディウムも伸びて繁殖に使えないので、通販では同じ「リボン・スワロー系」としてまとめて扱われることもあります。ただ、遺伝のしくみと、子での出方ははっきり違います。
アクアラシックの用語集では、スワローはリボンの表現に加えて、尾ビレに不規則な伸長が見られる特殊な品種だと説明されています。同じサイトの品種解説でも、スワローはヒレの一部がランダムに伸びると紹介されていました。見た目でいえば、リボンはヒレ全体がすっと長く、スワローはそこに尾ビレの不規則な伸びが加わるイメージです。
遺伝のしくみは、チャームの講座で大きく違います。リボンが1つの優性の遺伝子で決まるのに対して、スワローにはヒレを伸ばす遺伝子(講座の記号でK)と、ヒレの伸長を抑える遺伝子(S)の2つが関わります。どちらも優性で、Kを持っていてSを1つも持っていないときだけスワローになる、というしくみです。
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| 比べる点 | リボン | スワロー |
|---|---|---|
| 見た目 | 各ヒレが伸び、特に腹ビレが長い | リボンの表現に加え、尾ビレが不規則に伸びる |
| オスの繁殖 | ゴノポディウムが伸びて使えない | ゴノポディウムが伸びて使えない |
| 関わる遺伝子 | 1つ(リボンは優性) | 2つ(伸ばすKと抑えるS・どちらも優性) |
| 子での出方 | 非リボンのオス×リボンのメスで子の50%がリボン | 講座の一般的な例では子は全部非スワロー・孫で18.75% |
| 販売の単位 | トリオ | トリオ |
講座の一般的な例では、非スワローのオスとスワローのメスを交配すると、子の代は全部が非スワローになります。その子どうしを交配した孫の代で、ようやくスワローが3対13、つまり18.75%の割合で出てきます。メスの遺伝子が違う別の例では、孫の代のスワローは12.5%でした。講座は、スワローの出現率は一般に言われる18.75%以下になる交配の例があること、メスにスワローを使えば2世代目以降にスワローが出ることをまとめています。
まとめると、リボンは子の代からおよそ半分が出るのに対して、スワローは組み合わせによって子の代に出ないことがあり、孫の代まで待つ場合も多い、ということです。初めてヒレの長いグッピーの繁殖に挑戦するなら、結果が早く見えるリボンのほうが取り組みやすいかもしれませんね。
リボンのメスとオスの見分け方
リボンかどうかの見分け方は、オスとメスで見るところが違います。
オスは、ゴノポディウムの長さが目安になります。リボンのオスはゴノポディウムが長く伸びていて、ヒレも全体に長く見えます。トリオに入っているノーマルのオスは、ゴノポディウムがふつうの長さです。グッピーのオスのゴノポディウムは尻ビレが変化したものなので、体の下側、腹ビレのうしろあたりを横から見ると確かめやすいですよ。
メスは、腹ビレを中心にヒレが長く伸びているかを見ます。アクアラシックの説明どおり、リボンはオスとメスの両方でヒレが長く伸び、特に腹ビレの伸びが目立つ形質です。ふつうのグッピーのメスはヒレが短めなので、腹ビレがすっと長いメスがいればリボンと考えてよさそうです。
ただし、成長途中の若い個体では、ヒレの伸びがまだはっきりしないこともあります。そもそものオスとメスの見分け方に自信がないときは、尻ビレの形で雌雄を見る方法をまとめたグッピーのオスとメスの見分け方も合わせて読んでみてください。
見分けるときにもう1つ気をつけたいのが、ヒレの傷みです。ヒレの先が白く濁っていたり、溶けたように欠けていたりする場合は、形質ではなく病気やケガのこともあります。リボンかどうかを見るときは、ヒレの長さだけでなく、ヒレの縁がなめらかか、色がくすんでいないかも合わせて確かめておくと安心ですね。
通販のリボン品種と値段の例
リボンの値段は、トリオ単位で見るのが基本です。アクアラシックの用語集によると、国産グッピーはペア販売が基本ですが、リボンやスワローの系統はオスが繁殖能力を持たないため、3匹セットのトリオで売られます。トリオの内訳は、通常、リボンかスワローのオスとメスに、ノーマルのオスを加えた3匹です。
実際の値段を、チャームのYahoo!ショッピング店の「国産グッピー/リボン・スワロー系」の一覧(25件)で2026年10月24日に確かめました。主な品種を抜き出したのが下の表です。一覧には「在庫なし」と表示された品種も多かったので、在庫の表示も並べています。
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| 品種 | 単位 | 表示価格 | 一覧の在庫表示 |
|---|---|---|---|
| ラズリーブルーテールリボン | 1トリオ | 3,710円 | 表示なし |
| フルレッドリボン | 1トリオ | 3,820円 | 表示なし |
| フルブラックリボン | 1トリオ | 4,030円 | 表示なし |
| ブルーグラスリボン | 1トリオ | 4,210円 | 表示なし |
| USブルーデルタリボン | 1トリオ | 3,080円 | 在庫なし |
| RREA・ブルーグラスリボン | 1トリオ | 4,930円 | 在庫なし |
| ブルーグラススワロー | 1トリオ | 5,300円 | 表示なし |
| ゴールデンドイツイエロータキシードスワロー | 1トリオ | 5,830円 | 在庫なし |
一覧のうち「在庫なし」の表示が無かったのは9品種で、リボン7品種は3,710円〜4,210円(真ん中の値=中央値は3,870円)、スワロー2品種は5,300円と5,520円でした。在庫なしの品種も含めると、リボン19品種は3,080円〜4,930円(中央値3,820円)、スワロー5品種は5,200円〜5,830円です。在庫なしを含めて比べても、いちばん安いスワロー(5,200円)が、いちばん高いリボン(4,930円)を上回っていました。
また、同じ色柄でRREA(目が赤い系統)が付く品種と付かない品種の組を、在庫なしも含めて5組比べると、RREAの付く品種が210円〜1,170円高くなっていました(たとえばフルレッドリボン3,820円とRREA・フルレッドリボン4,030円、レッドグラスリボン3,710円とRREA・レッドグラスリボン4,880円)。
このほかに送料がかかり、モザイクリボンの商品ページでは東京都への送料が730円と表示され、条件により送料が異なる場合があるとされていました。商品名には北海道・九州は航空便で保温が必要という表記もあります。税込かどうかも含め、値段と在庫は時期によって変わるので、あくまで一例として見てください。正確な情報は各ショップの公式サイトをご確認ください。通販での選び方や死着保証の見方はグッピー通販のおすすめと価格相場で、フルブラックリボンのトリオの例はフルブラックグッピーの特徴と値段で詳しく紹介しています。
グッピーのリボンを繁殖させる方法と飼い方
ここからは、グッピーのリボンを実際に殖やし、長く楽しむための方法です。結論としては、トリオのうちノーマルのオスとリボンのメスを組ませ、妊娠したメスを産卵箱に移して稚魚を守り、生まれた子からリボンのメスを選んで次の代につなぐ、という流れになります。リボンの作り方、つまり別の色柄にリボンを入れる考え方も、前の章の遺伝の表を使えば筋道が立てられます。あわせて、稚魚のリボンをいつ見分けるか、長いヒレを傷めないための水槽づくりと混泳相手の選び方も紹介します。殖やすつもりがなくても、ヒレを守る飼い方の部分は役に立つはずですよ。最後に、よくある質問として、ノーマルのオスがいなくなったときの対処なども取り上げます。
トリオの組み合わせと交配の手順

トリオが届いたら、まずは3匹の役割を確かめましょう。リボンのオスは観賞用、ノーマルのオスとリボンのメスが繁殖のペアです。アクアラシックの用語集でも、繁殖にはノーマルのオスと、リボンまたはスワローのメスを使うと説明されています。同じ用語集の別の項目では、リボン・スワローのオスは繁殖能力を持たないため、兄弟のオスを交配に使うとも書かれていて、続けて系統維持の難易度は高めだと添えられていました。ここでいう兄弟のオスは、同じ親から生まれたリボンではないオスのことだと読めます(資料の言葉をこの記事なりに解釈したものです)。
兄弟どうしの交配を何代も続けると、血の近い組み合わせばかりになります。体格や出産の数に変わった様子がないかを見ながら進め、気になるときは、同じ品種の国産の別のトリオから非リボンのオスを迎えるといった方法も考えられます(考え方の一例です)。
迎えた直後は、すぐに繁殖を始めるより、まず落ち着かせることを優先しましょう。アクアラシックは、購入直後など環境の変化が発生するタイミングは最も病気が発生しやすい時期なので注意が必要だとしています。水合わせの手順は、ふつうのグッピーと同じで大丈夫です。
交配の手順は、ふつうのグッピーと大きくは変わりません。
- 水合わせをして3匹を同じ水槽に入れる
- メスのお腹の奥、腹ビレの付け根付近の黒いマーク(妊娠マーク・アルビノ系では赤い)の広がりを見守る
- マークが大きく広がりお腹がふくらんだら、メスを産卵箱へ移す
- 出産を終えたら、メスを元の水槽へ戻す
アクアラシックによると、メスの妊娠期間は3〜4週間程度で、成熟したメスは最大で50〜100匹程度の稚魚を産むこともあります。キョーリンの解説では、メスの1回の出産サイクルは約30日で、一度に30〜100匹の稚魚を産むとされていました。国立環境研究所の侵入生物データベースにも、25℃以上の水温であれば1か月に1回の割合で産仔すると書かれています。資料によって数字に幅はありますが、おおむね1か月に1回のペースで出産すると見ておくとよさそうです。
ひとつ覚えておきたいのは、オスの精子がメスの体に蓄えられることです。キョーリンは、オスの精子は2〜3回の出産分メスに蓄えられると説明しています。アクアラシックも、1度の交尾で2〜3回出産できると書いていました。つまり、通販で届いたリボンのメスが、すでにお店でほかのオスと交尾している可能性もあるわけです。どのオスとの子かをはっきりさせたいなら、最初の2〜3回の出産で生まれた子は、父親が分からない子として扱うのが無難かなと思います。
繁殖全体の流れ(オスとメスの数の比率、交尾から出産まで)をもう少し詳しく知りたい方は、グッピーの繁殖方法もあわせて読んでみてください。
仕切りのない産卵箱では、親が生まれたばかりの稚魚をエサと間違えて食べてしまうことがあります。アクアラシックは、親は自分が産んだ子を自分の子と認識できないとして、出産後は親を速やかに産卵箱から出すよう案内しています。お腹のふくらみや妊娠マークがまだ残っているときは、続けて産む可能性もあるので、仕切り付きの産卵箱ならそのまま様子を見ましょう。仕切りのない産卵箱なら、産卵箱をもう1個用意して親を移すか、先に生まれた稚魚を別の水槽に分けると安心です。
出産が近いメスを分ける産卵箱は、水槽の外側に掛けて使う外掛け式なら、水槽の中を広く使えます。たとえばスドーのサテライトは外掛け式の飼育ボックスです。大きさや取り付けられる水槽の条件は、購入前に各ショップで確認してください。
リボンの作り方は別の品種との掛け合わせ
グッピーのリボンの作り方を調べる方が知りたいのは、たとえば好きな色柄の品種にリボンを入れたい、というケースだと思います。前の章の表を使うと、考え方の筋道が見えてきます。ここで紹介するのは、チャームの講座の記号を当てはめた考え方の一例です。
リボンは優性なので、ノーマルのグッピーどうし(rr×rr)からリボンは生まれません。リボンを入れるには、リボンの遺伝子を持つ個体を交配に使う必要があります。オスのリボンは基本的に繁殖に使えないので、使うのはリボンのメスです。
流れとしては、まず入れたい色柄の品種のオス(非リボン)と、別の色柄のリボンのメスを交配します。表のとおり、子のおよそ半分がリボンになりますが、色柄は両親の性質が混ざります。次に、生まれた子のうち、入れたい色柄に近いリボンのメスを選び、もう一度入れたい色柄の品種のオスと交配します。これを何代か繰り返すと、リボンの形質を保ったまま、色柄が少しずつ目標の品種に近づいていく、という考え方です。
ただし、色柄の遺伝はリボンほど単純ではありません。チャームの講座では、RREAとノーマル体色の交配で子が全部ノーマル体色になる例(RREAは子の代では隠れ、孫の代で25%出る)や、ブルーグラスどうしの交配でレッドグラスが25%出る例(不完全優性)が紹介されています。色柄の種類によっては、子の代で見た目が大きく崩れたり、目当ての色が孫の代まで出なかったりすることもあるわけですね。
もう1つ、メスの管理も大事なポイントです。前の見出しで見たように、メスは2〜3回の出産分の精子を蓄えます。どのオスとの子かが分からなくなると、狙いどおりの掛け合わせができません。系統づくりに使うメスは、オスと分けて育てた個体を使うと確実です。遺伝の考え方は1つずつ確かめながら進めるのがおすすめで、最終的な判断は、系統を扱っている専門店やブリーダーに相談してみてください。
稚魚のリボンはいつ分かるか
稚魚の段階でどれがリボンかを見分けたい、という気持ちはよく分かります。ただ、今回確かめた資料の中に、生後何日でリボンと分かると具体的に書いたものは見つかりませんでした。そこで、雌雄の区別がつく時期を手がかりに、見分けと選別の進め方を考えてみます。
雌雄の区別がつく時期は、資料によって幅があります。キョーリンは生後3週間くらいからオスのゴノポディウムが発達してとがってくると説明し、アクアラシックは生後2か月くらいでゴノポディウムの形成が見られるようになり、オスメスの区別がつくとしています。アクアラシックによると、生後3か月くらいで成熟し、繁殖が可能になります。リボンの見分けはゴノポディウムやヒレの伸びを手がかりにするので、雌雄が分かり始めるころから、ヒレの長さを注意して見ていくのが現実的かなと思います。
選別のときにいちばん大事なのは、雌雄が分かったら早めにオスとメスを分けることです。アクアラシックも、雌雄判別ができる状態になったらオスとメスを分けて管理し、メスの水槽にオスが混じらないようにすること、判断に悩む個体はオス扱いで振り分けることを勧めています。リボンのメスがいつの間にか兄弟のオスと交尾していた、ということを防げますね。
残す個体の目安は、リボンのメスと、次の代でノーマルのオス役になる非リボンのオスです。非リボンのメスは、計算上リボンの遺伝子を持たないので、リボンの系統づくりには使いません。アクアラシックは、一般にオスは望む発色や形質に近い個体を、メスは尾の付け根が太く、全体的にがっしりした体格のよい個体を残すとよいとしていました。グッピーは環境がよいとどんどん殖えるので、選別の基準を先に決めておくと迷いにくいですよ。
稚魚の育て方では、キョーリンは稚魚は親などに食べられてしまうので分けて育て、体長が2cmほどになったら元の水槽に戻すよう案内しています。ただ、系統づくりをするなら、戻す先の水槽にほかのオスがいると狙わない交配が起こります。雌雄が分かったらオスとメスを分ける、という前の段落の手順を先に済ませてから合流させるのが無難です。アクアラシックは、稚魚用の人工飼料か、親に与えているフレークフードで十分育ち、大きく育てたい場合はブラインシュリンプの幼生を与えると理想的だとしていました。
稚魚の人工飼料は、キョーリンがグッピーの飼い方のページで稚魚向けに紹介している、稚魚のエサ ハイパー育成が選びやすいかなと思います。内容量や価格は、購入前に各ショップで確認してください。
ヒレの擦れを防ぐ水槽と混泳相手
リボンの魅力は長いヒレです。そのヒレを傷めないためには、水槽づくりと混泳相手の選び方がとても大切になります。
まず混泳相手です。アクアラシックは、グッピーは温和で混泳に向いているとしつつ、ヒレをかじる習性を持つ魚種はグッピーと混泳できない、泳ぎが速い魚種との相性も今ひとつ、と説明しています。混泳が良くない例として、ヒレをかじるスマトラや、泳ぎが速くヒレをかじるブルーテトラが挙げられていました。ふつうのグッピーでも避けたい相手なので、各ヒレが長く伸びるリボンでは、なおさら避けておくのが無難です。ほかに混泳できる魚の一覧はグッピーと混泳できる魚にまとめています。
グッピーを飼ううえで最大の注意点として、アクアラシックは国産グッピーと外国産グッピーを決して混泳させてはいけないと説明しています。グッピーエイズという病気が知られており、両者を混ぜて飼うと高い確率で発症し、どちらかが全滅する可能性が高いためです。今回の値段の表で紹介したリボンは、いずれも国産グッピーとして売られている品種でした。トリオを迎えるときは、今いるグッピーが国産か外国産かを先に確かめておきましょう。なお、アクアラシックは国産グッピーでもキャリア個体(病原体を保因した個体)である可能性はあるとし、外国産と国産に限らず、出自が異なるグッピーを混ぜる際はとにかくリスクが付きまとうと覚えておくとよい、とも書いています。
国産と外国産の違いや、見分け方の詳しい話はグッピーの国産と外国産の違いで解説しています。
次に水槽です。ヒレの長い魚は、とがった流木や角の鋭い石、目の粗い網などにヒレを引っかけやすいと考えられます。レイアウトには角の少ない素材を選ぶとよいかなと思います。水草なら、アクアラシックがグッピーの水槽におすすめとして挙げ、根が稚魚の隠れ家として役立つと紹介しているウォータースプライトが、殖やすことも考えると使いやすい選択肢です。水流も強すぎないほうが、長いヒレの魚は落ち着いて泳げるはずです。
ウォータースプライトは、ショップでは水上葉の状態で売られていることもあります。株の数や状態は、購入前に各ショップで確認してください。
水温と水質は、ふつうのグッピーと同じ考え方で大丈夫です。キョーリンは、水槽にヒーターとサーモスタット、水温計を用意するよう案内しています。また、屋外で飼う季節の目安として適温を21〜28℃とし、夜間の気温が21℃を下回ったら室内に入れるよう書いています。
水質については、アクアラシックは、グッピーはどちらかといえば弱アルカリ性を好むものの、大事なのは「pHが落ちていない水」で、頻繁に水換えをして硝酸塩の少ない水を保つことだと説明しています。繁殖を狙う場合はpHが低いとメスが太りにくいので、少し高めに管理するのが理想だそうです。
最後に、飼えなくなったグッピーを川や池に放すのは絶対にやめましょう。国立環境研究所の侵入生物データベースによると、グッピーは低温に弱いものの、本州〜九州では温泉地に定着しています。迎える前に、最後まで飼い続けられるかを考えておくことも大切ですね。
グッピーのリボンについてよくある質問
リボンのオスとノーマルのメスで稚魚は生まれますか?
基本的には期待しないほうがいいです。リボンのオスはゴノポディウムが伸びていて、チャームの講座では生殖機能を持たない、アクアラシックでは受精能力が低いと説明されています。ごくまれに生殖機能を持つリボンのオスがいて、その場合は講座の記号で計算すると子のおよそ半分がリボンになりますが、例外として考えておきましょう。
リボンのオスだけを飼うのは問題ありませんか?
観賞が目的なら、大きな支障は少ないと考えられます。アクアラシックも、繁殖させたくない場合はオスだけで飼うのも一つの手だとしています。リボンのオスは繁殖に使えない分、長いヒレを楽しむ役と割り切れますね。ヒレをかじる魚や泳ぎの速い魚と一緒にしないことだけは気をつけてください。
子が全部リボンになる組み合わせはありますか?
講座の記号で計算すると、リボンの遺伝子を2つ持つRRのメスと非リボンのオスの組み合わせなら、子は全部リボンになります。ただ、講座によるとRRのリボンは生殖機能を持つまれなリボンのオスがいる場合にだけ生まれます。なお、優性の形質なので、見た目でRrと区別するのは難しいはずです。ふつうはおよそ半分がリボン、と考えておくのが現実的です。
トリオのノーマルのオスが死んでしまったらどうすればいいですか?
非リボンのオスを補えば繁殖は続けられます。アクアラシックは兄弟のオスを交配に使うと説明しているので、すでに子が生まれているなら、その中の非リボンのオスを育てて使う方法があります。別の水槽からオスを足す場合は、国産と外国産を混ぜないこと、出自の違うグッピーを混ぜるとリスクが付きまとうこと、色柄の違うオスだと子の色柄が変わることに注意してください。
グッピーのリボンを楽しむためのまとめ
グッピーのリボンについて、特徴から遺伝、殖やし方、飼い方までを見てきました。最後に要点を振り返ります。
- リボンはオスとメスの両方でヒレ(特に腹ビレ)が長く伸び、オスはゴノポディウムも伸びる形質
- リボンのオスは基本的に繁殖に使えないので、ノーマルのオスとリボンのメスで殖やす
- リボンは優性で、非リボンのオスとリボンのメスの子はおよそ50%がリボンになる
- スワローは2つの遺伝子が関わり、子の代では出ず孫の代で18.75%などの割合になることがある
- 2026年10月24日のチャームの一覧では、在庫なしを含めてリボンのトリオは3,080円〜4,930円、スワローは5,200円〜5,830円
リボンの系統を残すうえでいちばん大切なのは、リボンのメスを大事にすることです。非リボンのメスからはリボンが生まれない計算なので、選別ではリボンのメスと、ノーマルのオス役になる非リボンの兄弟を残していきましょう。雌雄が分かったら早めに分けて、狙わない交尾を防ぐのもポイントです。
飼い方の面では、ヒレをかじる魚や泳ぎの速い魚と混泳させないこと、国産と外国産を混ぜないこと、角の少ないレイアウトと強すぎない水流でヒレを守ることを意識してみてください。値段や在庫は時期によって変わり、ここで紹介した数値はあくまで一般的な目安です。正確な情報は各ショップやメーカーの公式サイトをご確認ください。また、生体の体調や系統づくりで迷ったときの最終的な判断は、グッピーを扱う専門店などの専門家にご相談ください。
リボンは、系統を保つのにふつうのグッピーより一手間かかる魚ですが、遺伝のしくみが分かれば、どこに気をつければいいかは見えてきます。長く伸びたヒレがゆったり泳ぐ姿を、ぜひ水槽で楽しんでくださいね。


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