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ベタの品種・色柄の用語集|ヒレ・色・模様の種類一覧と出典ごとの意味

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暗い水中を泳ぐ青と赤のベタの写真に、ベタの品種・色柄の用語集のタイトルを添えた表紙のスライド

ベタの品種・色柄の用語集|購入前に知っておきたい呼び方一覧

THE AQUA LAB 所長(イラスト)

こんにちは。THE AQUA LAB、運営者の所長です。

ベタの売り場で、ハーフムーン、プラカット、コイ、ダンボといった札がずらりと並んでいて、どれが何を指すのか分からなくなったことはありませんか。

名前が多すぎて、お店の札を見比べても違いが分からないと感じるのは、とても自然なことです。

先に結論をお伝えします。

ベタの品種名は、ヒレの形・色・模様・体の大きさを表す語を組み合わせた呼び名です。

そして同じ語でも、品評会、つまりベタの姿を決まった物差しで審査して競う会の基準と、論文、卸やメーカーとで意味が違ったり、決まった定義がなかったりします。

そこでこの記事では、1語ずつ出典名をつけて短く定義していきます。

名前だけで決めず、写真と状態で確かめるための手がかりとして使ってください。

この記事で理解できることは、次の4つです。

  • 品種名がどんな語の組み合わせでできているか
  • ヒレの形・色・光沢・色柄の呼び方と出典ごとの意味
  • 出典で意味が割れる語と定義のない販売名
  • 名前だけで決めずに確かめる順番
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ベタの品種名の読み方|ヒレ・色・模様・体の大きさを並べた呼び名

輸入・卸の神畑養魚がカラー分類のページの冒頭に置いた一文は「ベタは、さまざま品種が存在すると共に、カラーリングのパターンが非常に多いのも特徴です。」

品評会の審査基準、つまり姿を採点するときの物差しを出している団体の1つがIBCです。

IBCとは、つまりベタの愛好家による国際団体、International Betta Congressのことです。

IBC基準(2025-2026年版)では、色と模様の分類が6つの階層で組み立てられていて、『階層が6つあるので、組み合わせはとても多くなる』と書かれています。

論文にも、『ひとつの柄に、いくつもの販売名がついている』という趣旨の記述があります(Zhang et al. 2022、Science Advances)。

販売名とは、つまりお店や業者が売るときに使う呼び名のことです。

呼び名が多いうえ、出典ごとに意味がずれる語もあるので、この記事では1語ずつ出典名と年版をつけて短く定義していきます。

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名前はヒレの形・色・模様・体の大きさを組み合わせた呼び名

IBC基準(2025-2026年版)では『色の分類では、性別も尾の形も区別しない』とされていて、色とヒレの形は別の軸として扱われています。

その色と模様の分類の土台として、同じ基準には『いま認められている基本の色が11、二次色が6、基本の模様が5』と書かれています。

そのため、お店の札も、たとえば『ヒレの形の語+色の語+模様の語』のように、別々の軸の語が並んだものとして読むと分かりやすくなります。

米フロリダ大学の解説(UF/IFAS EDIS)によると、『飼育下の目立つ色柄と比べると、野生のベタはくすんだ茶色か緑』です。

IBCの入門冊子(2015年)も、野生型を『ヒレが短く、茶色っぽく緑の光沢がある目立たない魚』と書いています。

論文では、『観賞用のベタは、ヒレの短い祖先から、驚くほど多様なヒレの形・色・模様に分かれてきた』とされています(Kwon et al. 2022、Science Advances)。

改良品種のもとになった種(Betta splendens)についての神畑養魚の説明は「この種をもとに、トラディショナルをはじめとする様々な改良品種が作り出されてきました。」

系統の流れについてのキョーリン(メーカー)の解説は「まず闘うための魚”プラガット”がつくられ、その色彩の美しさから鑑賞目的の”トラディショナル・ベタ”へ。」

なお、キョーリンは、この記事でいうプラカットを「プラガット」と表記しています。

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品評会の基準(IBC)と販売名は別もの

IBCは品評会の審査基準を出している愛好家の団体で、学会や公的機関ではありません。

基準のページには『IBCの基準は毎年改訂される』とあり、この記事で紹介するIBCの定義は、すべて2025-2026年版のものです(出典:IBC「STANDARDS」(International Betta Congress))。

さらにIBCは、基準の冒頭で『すべてのベタが、はっきり定められた分類に収まるわけではない』と書いています。

一方で論文は、koi・candy・galaxy・marbleといった呼び方を『販売名』として扱っています(Zhang et al. 2022)。

つまり、品評会の審査の物差しと、お店で使われる呼び名は、別のものとして読む必要があります。

IBC基準にある角度や長さの数値も、品評会で採点するためのもので、店頭の個体がその名前で呼ばれるための条件として書かれたものではありません。

この記事での出典の呼び方は、次のとおりです。

IBC基準は、International Betta Congressの2025-2026年版の品評会の基準です。

神畑養魚は、生体の輸入・卸の会社の公式サイトにある、ベタの品種とカラー分類のページです。

キョーリンは、メーカーの公式サイトにあるベタの飼育方法の解説です。

論文は、Science Advances 2022に載った研究などの論文や総説です。

コラムは、水作の公式サイトに載る山崎浩二コラムで、写真家の観察記として補助的に扱います。

ヒレの形を表す用語|尾びれの開き方・枚数・大きさ

ここからは、ヒレの形を表す語を見ていきます。

先ほど紹介したとおり、観賞用のベタは、ヒレの短い祖先からさまざまなヒレの形に分かれてきたと論文で説明されています(Kwon et al. 2022)。

別の論文では、ベールテール・ハーフムーン・クラウンテールを『ロングフィン』、HMPK(ハーフムーンプラカット)とファイターを『ショートフィン』として分けています(Zhang et al. 2022)。

ロングフィンとは、つまりヒレの長いタイプのことで、ショートフィンとは、つまりヒレの短いタイプのことです。

この節には、180°、33%/25%、1/3、1/2、6.0cm/5.0cmといった数値が出てきます。

これらはIBCが品評会で採点するための審査基準で、店頭の個体がその名前で呼ばれるための条件ではない、という前提で読んでください。

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尾びれの形の呼び方|開く角度と軟条の出方で分かれる

ハーフムーン・スーパーデルタ・クラウンテールのロングフィン、プラカットとHMPKのショートフィン、ダンボとジャイアントの特殊な大きさについて、IBC基準や神畑養魚・論文の説明を出典つきで並べたスライド
ヒレの形と大きさの分類

軟条(レイ)とは、つまりヒレの中を通ってヒレを支えている筋のことで、軟条のあいだを埋める薄い部分をヒレの膜と呼びます。

IBC基準(2025-2026年版)のベールテールは、『対称性を持たない、いちばん古い形の、長いヒレの品評会向けベタ』です。

論文では『記録に残る最初のロングフィンの品種』とされ(Zhang et al. 2022)、神畑養魚はトラディショナルが持つ『ベールテールと呼ばれる長いヒレ』として紹介しています。

スーパーデルタについての神畑養魚の定義は「尾ビレの開度が120~180度未満の個体。」

これは卸1社の定義で、IBC基準にはスーパーデルタの項目も、デルタの項目もありません。

IBC基準のハーフムーンは、『尾ビレの開きが180°で、大文字のDの形になる』ものです。

論文では、『尾びれが180°まで開く個体を選んできたことで、ハーフムーンが生まれた』と説明されています(Zhang et al. 2022)。

神畑養魚の説明は「名前のとおり、まるで半月のように尾ビレが180度に展開するタイプ。」

キョーリンの解説は、ひとことで「半月状の尾ビレ。」

オーバーハーフムーンは、IBC基準ではショープラカットの尾ビレの説明に出てくる語で、『180°を超える開きは、180°の開きより高くは評価されない』とされています。

IBC基準のクラウンテールは、『軟条のまわりの膜が少なく、軟条が膜の縁より外へ突き出る』形です。

審査の数値は、オスが『尾ビレ・尻ビレ・背ビレのどれでも、膜が軟条の長さより33%以上短い』こと、メスが『25%以上』です。

論文では『軟条のあいだの膜が少ない点で、ハーフムーンと違う』と説明されています(Zhang et al. 2022)。

神畑養魚の説明は「各ヒレの軟条(レイ)が突出して伸長したタイプ。」

キョーリンの解説は「王冠のようなギザギザの尾ビレ。」

クラウンテールを迎えたあとの飼い方と寿命の目安は、別の記事で詳しく扱っています。

キングテールについての神畑養魚の説明は「クラウンテールの中で、軟条(レイ)が枝毛のようにYの字に分岐し、ヒレ先で交差しているタイプです。」

IBC基準にキングテールという名称の項目はなく、クラウンテールの説明の中に、クロスレイとして『主な軟条が2本ひと組で、互いに重なるように曲がる』形が書かれています。

ハーフサンは神畑養魚だけが挙げている呼び名で、説明は「クラウンテールの軟条(レイ)が通常より細く、本数も多くなるよう改良された品種。」

ローズテールも神畑養魚だけが挙げている呼び名で、説明は「尾ビレの膜が伸張して重なり合う品種。」

ハーフサンとローズテールは、どちらもIBC基準に項目がありません。

ここまでの尾びれの呼び方を、表にまとめます。

→ 横にスクロールできます

呼び方 短い定義(出典名) IBC基準(2025-2026年版)の項目
ベールテール いちばん古い形の、長いヒレの品評会向けベタ(IBC基準) あり
スーパーデルタ 尾ビレの開度が120~180度未満(神畑養魚) なし(デルタもなし)
ハーフムーン 尾ビレの開きが180°で大文字のDの形(IBC基準) あり
オーバーハーフムーン 180°を超えても180°より高く評価されない(IBC基準) 名称の項目なし
クラウンテール 軟条が膜の縁より外へ突き出る(IBC基準) あり
キングテール・クロスレイ 軟条がYの字に分かれヒレ先で交差(神畑養魚)/主な軟条が2本ひと組で重なるように曲がる(IBC基準のクロスレイ) キングテールの項目なし
ハーフサン クラウンテールの軟条が細く本数も多い(神畑養魚) なし
ローズテール 尾ビレの膜が伸びて重なり合う(神畑養魚) なし

180°や33%/25%は、IBCが品評会で採点するための審査基準です。

スーパーデルタの120~180度未満は、卸1社(神畑養魚)の定義です。

どちらも、店頭の個体がその名前で呼ばれるための条件ではありません。

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ヒレの大きさ・枚数の呼び方|短いヒレ・2つの尾・大きな胸ビレ・大きな体

IBC基準(2025-2026年版)のプラカットは、『闘わせるために飼われた魚に由来する、家畜化されたベタの中でいちばん古いもの』です。

同じ基準のトラディショナルプラカットの項には、『尾ビレは体長の1/3を超えない』という審査の数値があります。

論文でも、『闘わせる目的の家畜化が、プラカットにつながった』と説明されています(Wang et al. 2021、Mol Biol Evol)。

神畑養魚の説明は「現地語でプラ(魚)、カット(噛む)と呼ばれ、闘魚に用いるために長年改良されてきた品種。」

キョーリンの解説は「原種に近い形。」

IBC基準はプラカットをトラディショナルプラカットとショープラカットの2つの形に分けていて、ショープラカットの尾ビレは『大文字のDのような半円』です。

HMPK(ハーフムーンプラカット)は、論文では『丸い尾と体形で、ファイターや野生型と区別されるショートフィンの型』と説明されています(Zhang et al. 2022)。

神畑養魚の説明は「観賞魚用として尾ビレの開きを良くするために、ハーフムーンとかけあわせた品種です。」

IBC基準のダブルテールは、『尾が2つに分かれ、背ビレが尻ビレに近いほど大きい』ことが特徴です。

論文では、『背ビレと尾ビレの軟条の数が倍になる』形と説明されています(Wang et al. 2021)。

神畑養魚の説明は「尾ビレが上下に分かれる品種。」

フルムーンは、神畑養魚が『ダブルテールにハーフムーンを掛け合わせた品種』として紹介している呼び名です。

IBC基準にフルムーンという名称の項目はなく、ロングフィンのダブルテールは『ハーフムーン型』と『ベールテール型』の2つとされています。

胸ビレとは、つまり体の左右に1対ある、胸のあたりのヒレのことです。

この胸ビレが大きいベタは、ダンボのほか、エレファントイヤーやラージペクトラルとも呼ばれます。

IBC基準は『多くの名前で呼ばれるが、どれも胸ビレが大きくなったベタを指す』と書き、審査の数値として『胸ビレは体長の1/2まで伸びる』としています。

論文では、『胸ビレが大きく育ち、軟条が多く長い』品種と説明されています(Zhang et al. 2022)。

神畑養魚の説明は「胸のヒレが象の耳のように大きく成長する個体。」

キョーリンの解説にも、「胸ビレが大きな”ダンボ”」という書き方があります。

IBC基準のジャイアントは『名前のとおり』の形で、審査の数値として『体長がオス6.0cm未満、メス5.0cm未満は重い欠点』とされています。

神畑養魚の説明は「文字通り、大きく成長する系統。」

同じ説明の続きは「成長すると、体長が6cm以上になります。」

論文では、『野生型の系統の3倍の大きさ』と書かれています(Wang et al. 2022、Zool Res)。

キョーリンの解説には「大きなサイズの”ジャンボ”」とあり、呼び方はジャンボです。

ジャイアントの寿命や、長く付き合うための飼育条件は、別の記事で詳しく扱っています。

色と光沢を表す用語|体とヒレの色、鱗の輝き

ここからは、色と光沢を表す語を見ていきます。

総説論文では、色素胞、つまり色を持つ細胞には、『光を吸収するもの(黒・赤・黄・青)と、光を反射するものがある』と説明されています(ScienceAsia 2009)。

この違いを手がかりにすると、色の語は、体とヒレの色の分かれ方を表す語と、鱗の輝きを表す語の2つに分けて読むと整理しやすくなります。

前半では、単色・2色・体とヒレで色が分かれるものを扱います。

後半では、イリデセンス、つまり光を受けて輝いて見える色合いや鱗の輝きを表す語などを扱います。

色の語は出典によって書き方が細かく違うので、ここでも1語ずつ出典名を添えます。

なお、ここで扱うのは語の意味だけで、色の出方を良くする方法や、色が変わるしくみには触れません。

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色の呼び方|単色・2色・体とヒレで色が分かれるもの

ソリッド・バイカラー・セロファンの色の呼び方と、メタリック・カッパー・ドラゴンの光沢の呼び方を出典つきで並べ、金属光沢系は卸の説明で定義が決まっていない場合があると示したスライド
色と鱗の光沢を表す用語

ソリッド、つまり単色について、神畑養魚の説明は「全身が1つの色に染まるものを指します。」

同じ項目の続きは「完全、完璧なソリッドは現時点では存在していません。」

IBC基準(2025-2026年版)では、単色の魚は『単色のベタ』のグループにまとめられ、ブルー系には『深いロイヤルブルーが理想』という記述があります。

バイカラー、つまり2色のベタは、IBC基準では『体は1色、ヒレは体と違う1色』でなければならないとされています。

神畑養魚の説明は「ボディとヒレが別の色で2色に分かれているもの。」

IBC基準のセロファンは『肌色の無色の体に透明なヒレで、目は黒っぽく赤くない』ベタです。

同じ基準で、アルビノは『目にも色がなく、そのため赤く見える』とされています。

IBC基準のパステルは、『体とヒレ全体に、イリデセンスが薄く粉をふいたようにかかる』色です。

オペーク、つまり白っぽく不透明に見える色について、IBC基準は『色素が体の上に重なり、白いチョークのような膜に見える』と説明しています。

神畑養魚のオペックホワイトの説明は、要約すると『金属光沢のない、ペンキを厚く塗ったような、白に近い色』です。

ブラックについては、IBC基準のブラックの項に、メラノ、ブラックレース、ダブルブラックといった呼び方が出てきます。

IBC基準のブラックオーキッドは、『背ビレ・尻ビレ・尾ビレの軟条のあいだに、暗いイリデセンスの筋が入る黒い魚』です。

神畑養魚の説明は「ブラックとブルーの個体は、ブラックオーキッド(黒蘭)とも呼ばれています。」

カンボジアン、マスク、ターコイズとグリーン、マスタードガスも色の語ですが、出典で意味が割れるか定義がないので、後の節で出典ごとに並べます。

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鱗・光沢の呼び方|輝く色と金属のような鱗

光沢の語で最初に気をつけたいのがイリデセンスで、出典によって使い方が違います。

IBC基準(2025-2026年版)では色の種類を指す語で、『イリデセントとは、ブルー、スチールブルー、ターコイズ、グリーンのこと』とされています。

一方、神畑養魚のカラー分類のページでは「光沢のある鱗(輝点:イリデセンス)」という書き方で、輝いて見える鱗の点を指しています。

同じページでは、ウォッシュも「黒ずみ(ウォッシュ)」という意味で使われています。

IBC基準のウォッシュは黒に限らない色のにじみを指し、『黄色のにじみは小さな欠点』『赤のにじみは大きな欠点』のように使われています。

メタリック、つまり金属のような光沢について、IBC基準は『黄色を反射する色素胞が体とヒレに広がることで生まれる』と説明しています。

ドラゴンやメタリックなど金属光沢系についての神畑養魚の説明は「特に定義が決まっているものではありませんが、金属光沢のある鱗が、全身またはボディに広がっている個体のことを指します。」

カッパーは、IBC基準では『コッパーの名で売られることが多い』色とされ、論文では『鱗に特徴的な金属光沢がある』品種と説明されています(Zhang et al. 2022)。

神畑養魚の説明は「銅色の発色を持つものはカッパー、またはコッパーと呼ばれています。」

IBC基準のドラゴン(ドラゴンスケール)は、『体の鱗が厚い金属色の層で覆われ、頭は完全なマスクで覆われていて、神話の竜のよろいのように見える』ものです。

同じ基準には、『単色とバイカラーの2つのタイプがよく見られる』とも書かれています。

一方で神畑養魚は、先ほどの「特に定義が決まっているものではありませんが」という説明の中にドラゴンを含めています。

品評会の基準には定義があり、販売名としての使い方には幅がある、と分けて読むとよさそうです。

ロングフィンのドラゴンについては、姿の見どころと飼育の注意点を別の記事で詳しく扱っています。

サムライは神畑養魚だけが挙げている呼び名で、説明は「金属質の鱗が頭部から背中にかけて乗るものをサムライと呼びます。」

IBC基準に、サムライという名称はありません。

◆所長のワンポイントアドバイス

メタリックもドラゴンも、卸は定義が決まっていないと書いているので、お店がどの意味でその名前を使っているかは、聞いて確かめてよい語です。

模様と販売名の用語|定義がある模様と、出典で意味が割れる呼び方

最後の用語のまとまりは、模様と販売名です。

論文は、モザイク状の柄、つまりいくつもの色がまだらに混じり合う柄について、『koi、candy、galaxy、lemon、marbleなど、複数の販売名がある』と書いています(Zhang et al. 2022)。

さらにIBC自身も、基準の冒頭で、はっきり定められた分類に収まらないベタがいると書いていました。

つまり模様の語には、品評会の基準に定義がある語と、販売名として使われていて統一の定義がない語が混ざっています。

この節では、前半で定義がある模様の語を、後半で出典によって意味が割れる語と定義のない販売名を扱います。

模様の語も、見た目の説明は出典ごとの書き方として紹介します。

模様が変わる原因については出典どうしで説明が食い違っているため、この記事では扱いません。

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色柄(模様)の呼び方|帯・まだら・多色・斑点

IBC基準(2025-2026年版)のバタフライは、『ヒレに帯状の模様が出ることが鍵』とされています。

神畑養魚の説明は「一般的には尾ビレ、背ビレ、尻ビレが白く縁取られているものを指します。」

IBCは白に限らず、ヒレが色の帯で分かれることを条件にしている点で、書き方が違います。

マルチカラー、つまり多色のベタは、IBC基準では『よいマルチカラーは3色以上で、そのうち1色以上は明るい色』とされています。

神畑養魚の説明は「2色だがバイカラーの定義に当てはまらないもの。」

同じ説明は続けて、『または3色以上で構成されるカラータイプ』としています。

トリバンドは神畑養魚だけが挙げている呼び名で、説明は「マルチカラーの中でもボディ、ヒレの付け根、ヒレ先でカラーが別れているもの。」

マーブル、つまりまだら模様のベタは、IBC基準では『まだら・斑点・点・筋など、抽象的な模様で現れる』とされています。

神畑養魚の説明は「色の発現がまだら模様、大理石状に発現したタイプです。」

IBC基準のダルメシアンは、『マーブルではない単色かバイカラーのベタで、背ビレ・尻ビレ・尾ビレのすべてに目立つ斑点がある』ものです。

IBC基準のパイナップルは『黄色っぽい体に、鱗が網目のように見える』もので、総説論文の図の説明にも名前が出てきます(ScienceAsia 2009)。

なお、IBC基準には、マーブルとは別にグリズルという語の記述もあります。

模様の語で知っておきたいのは、模様が変わることがあるという点です。

IBC基準には『成長の途中で、色と柄が何度も変わることがある』とあり、IBCの入門冊子(2015年)にも『マーブルは生後数か月まで柄が出ないことがあり、比較的短い期間で大きく変わることがある』とあります。

神畑養魚のマーブルの説明の中の一節は「模様の変化が起こりやすく、まったく違う柄に変わってしまうことも多くあります。」

水作の公式サイトに載る山崎浩二コラムの一節は「特にマーブル系やファンシーと呼ばれる多色系の個体では、成魚になってからも劇的な変化をする個体も多い。」

同じコラムでは、『成魚になって色が落ち着き、そのまま変わらない個体もいて、単色の個体はその傾向が強い』とも書かれています。

◆所長のワンポイントアドバイス

マーブル系や多色系の名前は、買ったときの柄がずっと続くとは限らない前提で読んでおくと、迷いが少なくなります。

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定義が出典で違う・定義がない呼び方

マスク・カンボジアン・ターコイズについてIBC基準と論文・卸の定義を並べ、コイ・キャンディ・ギャラクシーなどは統一された定義のない販売名であることを示した表のスライド
出典によって意味が割れる呼び方

ここでは、出典で意味が割れる語と定義がない販売名を、どれか1つを正解とせずに出典ごとに並べます。

マスクは、出典によって説明が逆になっている語です。

先ほどのドラゴンの説明にもマスクという語が出てきましたが、ここではマスクという語そのものの意味を出典ごとに並べます。

IBC基準(2025-2026年版)では、『濃いイリデセントのベタはもともと頭が黒く、何年かのちに、その黒い頭を覆うマスクがブリーダーによって作られた』とされ、『いまはどちらの形も品評会で認められる』と書かれています。

一方で論文には、『黒い頭そのものを、ブリーダーはマスクと呼んでいる』と書かれています(Kwon et al. 2022)。

IBCでは黒い頭を覆うものがマスクで、論文では黒い頭そのものがマスクなので、どちらか一方だけを正しい意味と決めることはできません。

IBC基準のカンボジアンは、『セロファンのような透明を除いて、肌色の体に別の色のヒレ』と定義されています。

そのうえでIBCは、この審査用の意味と、『黒い色素がない』という別の定義を混同しないよう書き分けています。

論文では、『体に比べてヒレの色が濃い』ものがカンボジアンと呼ばれています(Kwon et al. 2022)。

神畑養魚のカンボジアンレッドの説明は「ヒレに比べてボディが淡い赤色です。」

IBCの入門冊子(2015年)では、『体から黒が抜け、ヒレには少し残ることがある』とされています。

ターコイズブルーについての神畑養魚の説明は「緑色の光沢のあるソリッドブルー。」

同じ項目の続きは「弊社では「グリーン」という名前で呼ばれます。」

IBC基準はターコイズとグリーンを別の色として並べているので、会社によって呼び名が違うことになります。

ファンシーについての神畑養魚の説明は「3色以上で構成されているものは、「ファンシー」とも呼ばれていますが、定義があるわけではありません。」

IBC基準も、分類の中でFANCYという語を使うのは『魚の販売名を表すためではない』と断っています。

後半は、決まった定義がない販売名です。

論文では、koi・candy・galaxy・marbleなどが、同じモザイク状の柄につけられた販売名として挙げられています(出典:Zhang et al. 2022「The genetic architecture of phenotypic diversity in the Betta fish (Betta splendens)」(Science Advances))。

コイについての神畑養魚の説明は「マーブルの中で、錦鯉のパターンによく似た、赤、白、黒を基本に構成されたカラーパターンです。」

キョーリンの解説には、「鯉みたいな模様の”鯉ベタ”」という書き方があります。

IBC基準には、『1匹に2つの地色が出るいわゆるKOIベタが現れ、その組み合わせが錦鯉に似ているので、姿を想像しやすいようにこの名が使われている』という趣旨の記述があります。

キャンディについての神畑養魚の説明は「赤、黒2色のコイマーブルに黄色やオレンジを追加して3色以上になったベタをキャンディと呼びます。」

ギャラクシーに触れた神畑養魚の一節は「金属質の鱗が散り散りに入るギャラクシーと呼ばれるベタなどが現れています。」

IBC基準にはギャラクシーという語が出てこず、論文では販売名の1つとして挙げられています。

マスタードガスについての神畑養魚の説明は「ボディがブルー、ヒレがイエローのパターンを指します。」

IBC基準に、マスタードガスという名称はありません。

タイフラッグについての山崎浩二コラムの説明は「その名の通りタイの国旗と同じ赤と白と青の配色が特徴である。」

出典で意味が割れる呼び方と定義がない呼び方を、表にまとめます。

→ 横にスクロールできます

呼び方 IBC基準(2025-2026年版) 論文 卸・メーカー この記事での書き方
マスク 黒い頭を覆うもの 黒い頭そのもの ― 両方を並べる
カンボジアン 肌色の体に別の色のヒレ 体よりヒレの色が濃い ヒレに比べて体が淡い赤(神畑養魚) 出典ごとに並べる
ターコイズ・グリーン 別の色として並べる ― ターコイズブルーをグリーンと呼ぶ(神畑養魚) 会社で呼び名が違う
イリデセンス・ウォッシュ 色の種類/色のにじみ ― 輝く鱗の点/黒ずみ(神畑養魚) 出典ごとに意味を分ける
ドラゴン 定義あり ― 定義は決まっていない(神畑養魚) 基準の定義と販売名の幅を分ける
ファンシー 販売名を表す語ではない ― 定義はない(神畑養魚) 定義のない呼び名
スーパーデルタ 項目なし ― 開度120~180度未満(神畑養魚) 卸1社の定義
コイ・キャンディ・ギャラクシー KOIは呼び名の由来の記述あり/ギャラクシーの語はなし 販売名 見た目の説明あり(神畑養魚ほか) 定義のない販売名
サムライ・マスタードガス 名称なし ― 見た目の説明あり(神畑養魚) 定義のない販売名

表中の―は、この記事で参照した資料に該当する記述がないことを示します。

用語集を購入前にどう使うか|名前より写真と状態で確かめる

ここまで見てきたとおり、ベタの呼び名は、出典によって意味が違ったり、定義がなかったりします。

IBC自身も、はっきり定められた分類に収まらないベタがいると書いていました。

神畑養魚がターコイズブルーを社内でグリーンと呼んでいるように、会社によって呼び名そのものが違うこともあります。

さらにマーブル系や多色系では、成長の途中や成魚になってからも模様が変わることがあると、複数の出典が書いています。

つまり呼び名は、個体を探すときの目安であって、目の前の個体の姿をそのまま表すものとは限りません。

この節では、名前を手がかりにしながら、名前だけで決めないための確かめ方をまとめます。

なお、この用語集では値段を扱いません。

品種や購入先によって値段の目安がどう変わるかは、価格相場をまとめた記事で扱っています。

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呼び名が同じでも中身が違うときの確かめ方

その呼び名がどの出典の意味かを確かめる、名前だけで決めず写真と状態で実物を見る、マーブル系や多色系は模様が変わる前提で考える、という3つのステップを示したスライド
購入前に確かめる3つのステップ

呼び名を見て迷ったときに確かめる順番は、この記事で並べてきたものと同じです。

1つめに、その語がヒレの形・色・光沢・模様・体の大きさ・販売名のどれを表しているかを見分けます。

2つめに、その語が、出典で意味が割れる語や定義のない販売名に当たらないかを、上の表で確かめます。

3つめに、写真や動画で、ヒレの開き方や色、模様を自分の目で見ます。

4つめに、マーブル系や多色系なら、柄が変わることがあると書く出典がある点を頭に入れておきます。

5つめに、体の状態は、名前とは別に確かめます。

購入のときにヒレ・呼吸・泳ぎのどこを見ればよいかは、健康チェックの記事で項目ごとにまとめています。

呼び名がどの意味で使われているかは、販売店に聞いて確かめてかまいません。

そのうえで個体の姿と状態を見て、最終的にはあなた自身で判断してください。

呼び名を見たら、次の3点を確かめてみてください。

1点めは、その呼び名がどの出典の意味で使われているかです。

2点めは、写真や動画でヒレの形・色・模様を見ることです。

3点めは、体の状態を名前とは別に見ることです。

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ベタの品種・色柄の用語でよくある質問(FAQ)

コイ・キャンディ・ギャラクシーに決まった定義はありますか?

統一された定義はなく、論文ではどれも販売名として扱われています(Zhang et al. 2022)。

神畑養魚の見た目の説明は、1社での使い方として読むのが安全です。

IBC基準(2025-2026年版)には、ギャラクシーという語は出てきません。

ドラゴンとメタリックは同じですか?

IBC基準では、ドラゴンとメタリックは別の項目として説明されています。

一方で神畑養魚は、両方を同じ金属光沢系の説明にまとめ、「特に定義が決まっているものではありませんが」と前置きしています。

お店がどちらの意味で使っているかは、聞いて確かめてみてください。

「マスク」はどういう意味ですか?

出典によって意味が逆になっている語です。

IBC基準では黒い頭を覆うものがマスクで、論文(Kwon et al. 2022)では黒い頭そのものがマスクと呼ばれています。

使われている文脈で、どちらの意味かを確かめてください。

品評会の基準に届かない個体は、その名前で呼ばれないのですか?

IBCの角度や長さの数値は、品評会で採点するための審査基準です。

IBC自身も、はっきり定められた分類に収まらないベタがいると書いています。

スーパーデルタのように、卸の定義だけがあってIBCに項目がない呼び名もあるので、お店がどの意味で使っているかを確かめるのがおすすめです。

買ったときの模様はずっと同じですか?

マーブル系や多色系では、成長の途中や成魚になってからも模様が変わることがあると、複数の出典が書いています。

単色の個体は変わりにくい傾向がある、とするコラムもあります。

ずっと同じとは限らない前提で名前を読んでおくと、迷いが少なくなります。

まとめ|ベタの呼び名は出典ごとに意味を確かめ、名前より写真と状態で選ぶ

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • ベタの品種名は、ヒレの形・色・光沢・模様・体の大きさを表す語を組み合わせた呼び名
  • IBC基準(2025-2026年版)の数値は品評会の審査基準で、店頭の個体がその名前で呼ばれるための条件ではない
  • マスク・カンボジアン・イリデセンス・ドラゴンなどは、出典によって意味が違う
  • コイ・キャンディ・ギャラクシーなどは販売名で、統一された定義はない
  • マーブル系や多色系は、模様が変わることがある

呼び名は、個体を探すときの目安として使ってください。

意味が分からない呼び名は販売店に確かめ、写真と状態を自分の目で見たうえで、最終的にはあなた自身で判断してください。

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