金魚鉢で金魚は飼える?小さな器で上手に付き合うための水換えと世話のコツ
金魚すくいで持ち帰った金魚や、お店で一目ぼれした小さな金魚を、まずは金魚鉢で飼ってみたい。そう考える方はとても多いですよね。丸いガラスの金魚鉢に金魚が泳いでいる姿は、それだけで部屋の雰囲気が変わります。一方で、金魚鉢で金魚を飼育するのは難しいのでは、酸素が足りなくなって金魚が死ぬのでは、と不安になって調べている方もいるかなと思います。
結論から言うと、金魚鉢での金魚の飼い方は小さな金魚を、少なく入れて、こまめに水を換えるのが基本です。愛知県の水産試験場は、水量10リットル未満の小さな容器では全長3〜4センチの金魚を1〜2尾程度にし、水は毎日〜週3回くらい換えるよう案内しています。この条件を守れば、金魚鉢で金魚を飼うことは十分に可能です。逆に言えば、数を増やしたり水換えをさぼったりすると、小さな器ではすぐに無理が出てきます。
この記事では、金魚鉢の大きさごとに入れられる匹数と1回の水換え量の早見表、酸素不足を防ぐ容器の選び方と置き場所、迎えた日の水合わせ、餌の量、季節ごとの世話の変え方、不調のサインの見分け方までを順番にまとめました。ガラスやプラスチックの金魚鉢で金魚を飼い始めた方、これから飼う方が、迷わず毎日の世話を回せるようになることを目指しています。最後に、金魚が育ってきたときに水槽へ移す目安も紹介するので、長く付き合うための参考にしてみてください。
- 金魚鉢で金魚を飼える条件と、容量別の匹数・水換え量の目安
- 酸欠と事故を防ぐ金魚鉢の選び方と置き場所
- 水換えの頻度・餌の量・季節ごとの世話のポイント
- 不調のサインの見分け方と、水槽へ移すタイミング
| 項目 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 寿命 | 10〜15年 | キョーリン「金魚の飼い方」 |
| 大きさ | 約20cm(小さな水槽だと大きくならない) | キョーリン「金魚の飼い方」 |
| 10リットル未満の容器に入れる数 | 全長3〜4センチの金魚を1〜2尾程度 | 愛知県水産試験場「金魚を飼育してみよう!」 |
| 小さな容器での水換え | 毎日〜週3回くらい | 愛知県水産試験場「金魚を飼育してみよう!」 |
| 冬のヒーター | 野外でも飼える魚なのでヒーターなしでも問題ない(愛知県)/暖房する部屋や夜に冷える部屋ではヒーターを勧めるメーカーもある(キョーリン) | 愛知県水産試験場「金魚飼育質問集」・キョーリン |
金魚鉢での金魚の飼い方は小さく少なくが基本
まずは、金魚鉢という容器そのものの特徴と、そこで金魚を飼うための前提をそろえておきましょう。金魚鉢は水槽に比べて水の量が少なく、ろ過装置も付けにくい器です。だからこそ、入れる数と大きさ、器の形、置き場所の3つを最初に決めておくことが、その後の世話の楽さを大きく左右します。ここでは、飼える条件と限界、容量別の早見表、容器と置き場所の選び方、そろえる道具、迎える日の手順を順に見ていきます。
先に考え方の軸をお伝えしておくと、金魚鉢の飼育で失敗しやすいのは、器の小ささに対して金魚の数や餌の量が多すぎるケースです。水槽と同じ感覚で世話をすると、水の汚れや酸素不足が思ったより早く進みます。反対に、器に合った数と量を守っていれば、毎日の世話は短い時間で済みます。まずは器の側の条件を固めることから始めましょう。
金魚鉢で金魚は飼える?向く条件と限界

金魚鉢で金魚は飼えます。ただし、小さな金魚を少なく入れるという条件つきです。愛知県の水産試験場は、金魚鉢やスイレン鉢、小型水槽のような小さな容器での飼育を紹介したうえで、「水量10リットル未満の小さいスペースなので、入れるのは全長3~4センチの金魚1~2尾程度にしましょう」と案内しています。金魚すくいやお店で売られている小さな金魚なら、この条件に収まることが多いはずです。
なぜ数を絞る必要があるのか。理由は、水の量が少ないと汚れも酸素不足も一気に進むからです。キョーリンは、小さい水槽は水が汚れやすく頻繁に水替えをする必要があるので、大きな水槽のほうがかえって水質管理は楽になると説明しています。金魚はエサを食べる量が体重に比例して増え、排泄物の量も同じように増える魚です。小さな器に何匹も入れると、毎日の水換えでも追いつかなくなりがちです。
もう一つの限界は、金魚が育つ魚だということです。キョーリンは金魚の大きさを約20cmとしつつ、小さな水槽だと大きくならないと書いています。寿命は10〜15年とされているので、金魚鉢はあくまで小さいうちの住まいと考えておくのが現実的かなと思います。金魚鉢が向いているのは、次のような場面です。
- 全長3〜4センチほどの小さな金魚を1〜2尾だけ飼う
- 毎日〜週3回の水換えを続けられる
- 直射日光が当たらず、温度が急に変わりにくい場所に置ける
- 金魚が大きくなったら水槽へ移す前提で始める
逆に、何匹もまとめて飼いたい、水換えはできれば月に1回くらいにしたい、という場合は、最初から水槽で始めたほうが金魚にも飼い主にも負担が少ないです。ダイソーなどで売られている小さな金魚鉢の容量や匹数の目安は、ダイソーの金魚鉢3種類の違いと飼える匹数で詳しくまとめています。
金魚鉢の容量別に入れられる匹数の目安

金魚鉢を選ぶとき、まず確かめたいのは、実際に入る水の量です。金魚鉢は口がすぼまった丸い形が多く、表示の容量いっぱいまで水を張ると水面が狭くなってしまいます。そのため、実際に張る水の量は表示より少なくなるのが普通です。水量がはっきりしないときは、500mLのペットボトルなどで水を注ぎ、張りたい高さまで何本分入るかを数えておくと、水換えや塩の量を決めるときに迷いません。水の張り方と水面の広さの関係は、金魚鉢でメダカを飼うときの水の張り方と置き場所の注意でも図解しています。
水量が分かったら、下の早見表で匹数と1回の水換え量、塩水を作るときの塩の量を確かめてみてください。匹数は、愛知県水産試験場が示す10リットル未満で全長3〜4センチを1〜2尾程度という目安を上限にしています。1回の水換え量は、キョーリンが「1回に水槽の3分の1ぐらいの水の量なら、毎日でも替え過ぎということはありません」と説明している3分の1で計算しました。塩の量は、愛知県とキョーリンがどちらも示している、水1リットルあたり塩5g(0.5%)で計算しています。
| 実際に張る水の量 | 入れる数の目安(全長3〜4cm) | 1回の水換え量(3分の1) | 0.5%の塩水にする塩の量 |
|---|---|---|---|
| 約3リットル | 1尾から始める | 約1リットル | 約15g |
| 約5リットル | 1〜2尾 | 約1.7リットル | 約25g |
| 約8リットル | 1〜2尾 | 約2.7リットル | 約40g |
| 10リットル以上 | 水槽の目安(後半で紹介)を参考にする | 水量の3分の1 | 水量(L)×5g |
約3リットルの行を「1尾から」としているのは、愛知県の目安が10リットル未満をひとまとめにした値だからです。同じ10リットル未満でも、3リットルと8リットルでは水の量が倍以上違います。上限の2尾は、器が小さいほど余裕がなくなるので、小さな器ほど1尾から始めるのが安心かなと私は考えています。また、ここでいう匹数は全長3〜4センチの金魚が前提です。金魚が育って4センチを超えてきたら、同じ器でも条件から外れていくと考えてください。
塩の量は、塩水浴をするときに使う目安です。毎日の飼育で必ず塩を入れる必要があるわけではありません。塩水浴の詳しいやり方や期間、真水への戻し方は、金魚の塩浴のやり方と0.5%の濃度・期間の目安で解説しています。
口の広さと置き場所で酸欠と事故を防ぐ
金魚鉢を選ぶときにいちばん大事なのは、口の広さです。愛知県の水産試験場は、小さな容器での飼育は酸欠に注意が必要で、空気に触れる水面の面積が大きいと酸素の溶け込みがよいので、できるだけ口の広い飼育容器を選ぶよう案内しています。金魚鉢は口がすぼまった形が多いので、同じ容量でも口の広いもの、水面が広く取れるものを選ぶと酸素の面で有利です。
水の張り方も同じ考え方です。丸い金魚鉢は胴のいちばん太いあたりで水面が最も広くなり、そこから上に水を足すほど水面は狭くなります。たくさん水を入れたほうが安心に見えますが、酸素の溶け込みという点では、胴の太いあたりで止めておくほうが理にかなっています。水量と水面の広さはどちらも大切なので、器の形を見ながらバランスを取ってみてください。
置き場所でまず避けたいのは、窓際の直射日光です。理由は水温だけではありません。消費者庁は、太陽光がレンズや鏡によって1点に集まる「収れん現象」で火災に至る場合があるとして、窓際や太陽光が差し込む範囲には鏡やガラス玉などを置かないよう呼びかけています。原因となった物には鏡や透明な球体が多く、水を入れたペットボトルにも気をつけるよう書かれています。消費者庁の資料に金魚鉢の名前は出てきませんが、水を張った丸いガラスの金魚鉢も透明な球体と同じように光を集める形をしているので、日が差し込む場所には置かないほうが安全だと考えています。消費者庁は、朝夕や冬場は太陽の高度が低く、部屋の奥まで日が差し込みやすいので特に注意するよう求めています(出典:消費者庁「鏡やガラス玉で起こる「収れん火災」に注意!」)。
そのほかに置き場所で気をつけたいのは、次のような点です。
- エアコンや暖房の風が直接当たらない(水温が急に変わりやすい)
- テレビやスピーカーの上など、振動が続く場所を避ける
- 水平で、満水の重さに耐えられる台に置く
- 猫などのペットが手を入れられない高さ・位置にする
- 水換えのときにバケツを置ける余裕がある
金魚鉢は水を入れるとかなり重くなるので、一度置いたらあまり動かさないのが基本です。キョーリンも水槽について、場所を決めたらほとんど動かさず、置いたままで水を替えるほうが割れる事故がないと説明しています。金魚鉢も同じで、水換えのたびに洗面台へ運ぶより、置いたまま水を出し入れするほうが安全です。
金魚鉢では、金魚のほかにメダカやアカヒレ、ベタなどを飼う方法もあります。魚ごとの向き不向きと匹数の目安は、小さな鉢に向く魚と向かない魚の比較の解説で紹介しています。
そろえる道具とカルキ抜きの準備
金魚鉢で金魚を飼うために最低限そろえたいのは、金魚鉢、カルキ抜き、水換え用のバケツ、小さな網、計量スプーンくらいです。ここに、必要に応じて小型のエアーポンプ、底砂、水温計を足していきます。金魚鉢は道具が少なくて済むのが魅力なので、最初から全部そろえようとしなくても大丈夫ですよ。
いちばん大切なのは、水道水の塩素を抜く準備です。愛知県の水産試験場は、水道水には消毒用の塩素が含まれていて、金魚の飼育水に使うときは取り除く必要があると説明しています。方法は2つあり、汲み置きして日の当たる場所に1〜2日置いておく方法と、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)などの塩素を中和させる薬を使う方法です。飲用できる井戸水なら塩素が含まれていないので、そのまま使えるとしています。ただ、同じ水産試験場の小さな容器での飼育の案内では、井戸水も水道水も一日汲み置きしたものを入れるよう書かれているので、井戸水を使う場合も汲み置きしておくと安心です。
金魚鉢の水換えは回数が多くなるので、私は液体やハイポのカルキ抜きを手元に置いておくのがおすすめだと考えています。汲み置きは費用がかからない反面、毎回1〜2日前から準備しておく必要があります。水換えのたびに水を作るなら、すぐに使えるカルキ抜きのほうが続けやすいはずです。使う量は製品ごとに違うので、パッケージの表示に従ってください。
エアーポンプについては、小さな金魚鉢では必須ではありませんが、あると酸欠の保険になります。キョーリンは、水面近くで口をパクパクしているときは、水の量に対して金魚の数が多く酸素が不足していると考えられるとして、ブクブク(水中フィルター)をつけたり、ろ過装置を設置したりして酸素を加えるよう案内しています。電源のいらないタイプやUSB式の小型のものもあるので、置き場所に合わせて選んでみてください。
底砂は、必ず入れなければいけないものではありません。キョーリンは、ろ過装置がない場合には砂利の表面にもろ過バクテリアがある程度繁殖するため、入れたほうが水質の悪化が抑えられると説明しています。一方で、底砂を入れると食べ残しやフンが砂の間にたまりやすくなります。金魚鉢では、洗いやすさを考えて薄く敷く程度にとどめるのが扱いやすいかなと思います。
水換えのたびに使うカルキ抜きと、酸欠の保険になる小型のエアーポンプは、最初にそろえておくと安心です。使う量や対応する水量は製品ごとに違うので、価格や在庫とあわせて購入前に各ショップで確かめてくださいね。
迎える日の水合わせと最初の3〜4日

金魚を迎えた日は、いきなり金魚鉢に放さず、水温を合わせることから始めます。愛知県の水産試験場は、お店から持ち帰った金魚は、入っているビニール袋をそのまま30分くらい水槽に浮かべ、袋の中と水槽の水温を合わせてから放すよう案内しています。キョーリンも、袋のまま20〜30分容器に浮かべて水温が同じになるまで待ち、そのあと袋の水を半分捨てて容器の水を同じ量入れて10分くらい待ち、これをもう一度くり返してから金魚だけを移す流れを紹介しています。キョーリンの別のページでは、袋を開けずに1時間浮かべたあと、袋の水を3分の1捨てて水槽の水を注ぎ10分待つことを3回くり返す、より丁寧な手順も紹介されています。
金魚鉢は水量が少ないので、袋を浮かべると水があふれそうになることがあります。その場合は、あらかじめ少し水位を下げておくか、袋の水をボウルなどに移して浮かべると扱いやすいです。水温が合ったら、網で金魚だけをすくって金魚鉢に移します。袋の水には汚れも含まれているので、金魚鉢には入れないほうが無難です。
迎えてからの数日は、餌を控えるのがポイントです。愛知県の水産試験場は、買ってきたばかりの金魚は輸送の振動や水温・水質の変化で強いストレスを受けて弱っていることがあり、「弱っているときにエサをあげると死んでしまいやすい」傾向があるので、購入後3〜4日は餌を控え、その後様子を見ながら少しずつ与えるよう説明しています。お腹が空いていそうでかわいそうに見えますが、ここは我慢のしどころです。
病気の予防として、愛知県の水産試験場は小さな容器での飼育について、最初の1か月は0.5%の食塩水で飼育すると病気の予防になると紹介しています。0.5%食塩水は、1リットルの水に5gの塩を入れたものです。キョーリンは、持ち帰った金魚を7日間0.5%の塩水で休ませる方法を紹介しており、資料によって期間の考え方が大きく違います。餌を始める日も、愛知県は3〜4日後、キョーリンの塩水浴の手順は2日目から控えめに与える、と食い違っています。また、キョーリンは、ろ過装置のついていない容器で塩水浴をする場合は2日に1回水を全部交換するよう案内しています。金魚鉢で塩水浴をするなら、同じ濃度の塩水を別の容器で作り、水温を合わせてから替えてください。愛知県の案内のように1か月ほど塩水で飼う場合も、普段の水換えで足す水を真水にすると濃度が薄まっていくので、足す水も水1リットルに塩5gの割合で溶かし、温度を合わせてから入れます。キョーリンは水1リットルに対して食塩小さじ1杯(約5g)としているので、はかりが無いときの目安になります。どちらを選ぶにしても、塩を入れると水草が枯れることがあるとキョーリンは書いているので、水草を入れている場合は取り出しておきましょう。金魚すくいの金魚を持ち帰った日の流れは、金魚すくいの金魚の飼い方と持ち帰り当日の手順でも詳しく紹介しています。
金魚鉢での金魚の飼い方、毎日の世話と水換え
ここからは、金魚を迎えたあとの毎日の世話です。金魚鉢での飼育は、道具が少ないぶん、飼い主の手入れがそのまま水の状態を決めます。といっても、やることは水換え、餌、季節ごとの調整、毎日の観察の4つが中心です。この章では、水換えの頻度と手順、餌の量、季節ごとの世話の変え方、不調のサインの見分け方を順に見たあと、金魚が育ってきたときに水槽へ移す目安までをまとめます。
毎日の世話で大切なのは、完璧を目指すより、決めた手順を同じように続けることです。水換えの曜日を決める、餌は朝の1回だけにするなど、自分の生活に合わせた形を早めに作ると長続きします。そのうえで、金魚の泳ぎ方や食べ方にいつもと違うところがないかを見る習慣をつけておけば、小さな異変にも早く気づけるはずです。
水換えは毎日〜週3回が目安の理由
金魚鉢の水換えは、毎日〜週3回くらいが目安です。これは愛知県の水産試験場が小さな容器での飼育について示している頻度です。水槽向けの情報では「1〜2週間に1回」といった目安もよく見かけますが、それはろ過装置が働いている、ある程度大きな水槽の話です。キョーリンも、水槽をセットしてから1か月以上たてば1〜2週間に1回、3分の1の水替えで済むようになるとする一方で、セットしたての2〜3週間は2〜3日に1回、3分の1ぐらいの水を替えるよう案内しています。ろ過装置がなく水量も少ない金魚鉢は、ずっとセットしたての水槽に近い状態だと考えると、頻度の違いがイメージしやすいかなと思います。
水が汚れてきたサインとして、愛知県の水産試験場は「容器のふちに泡がたまりだしたら要注意」としています。ただし、見た目だけで判断しないことも大切です。キョーリンは、金魚に有害な物質は無色透明なので「透明な水」が「キレイな水」とは限らず、水が白く濁ったり、においがしてきたりする前に替えるよう説明しています。金魚鉢では、汚れたら替えるのではなく、汚れる前に決まった日に替えると考えておくと失敗しにくいです。
水換えの手順は、次のようにシンプルです。
- カルキを抜いた水をバケツに用意し、金魚鉢の水と同じくらいの温度にしておく
- 金魚は入れたまま、カップや小さなホースで底の汚れと一緒に水を3分の1ほど抜く
- 器の内側の汚れが気になるときは、柔らかいスポンジで軽くこする(洗剤は使わない)
- 用意した水を、金魚に直接当たらないよう器の内側に沿わせてゆっくり注ぐ
愛知県の水産試験場も、換える水は今までの飼育水と同じ温度にしてから金魚を入れるよう書いています。冬は汲んだばかりの水道水が冷たいので、室内に置いて温度を近づけてから使いましょう。水量の3分の1なら、キョーリンが説明しているとおり毎日替えても替え過ぎにはなりません。1回にたくさん替えるより、少しずつ回数を重ねるほうが、金魚の負担が少なく済みます。
全部の水を一度に替える全換水は、水温や水質が一気に変わるので、普段の世話では避けたほうが無難です(塩水浴中の替え方は、前の章で紹介したキョーリンの案内に従ってください)。器がひどく汚れたときに全部洗いたくなったら、金魚を別の容器に移し、新しい水の温度をしっかり合わせてから戻すようにしてください。
餌は1日1回5分で食べきる量に
金魚鉢で金魚を飼うときの餌は、1日1回、5分ほどで食べきれる量を基本にします。愛知県の水産試験場は、小さな容器での飼育について、最初の3〜4日は餌をあげずに様子を見て、その後は1日1回、残さない量の餌を少しずつあげるよう案内しています。同じ水産試験場の質問集でも、1日に1回、5分間で食べきる程度の量としています。
ただし、5分はあくまで上限の目安です。水の少ない金魚鉢では、食べ残しがそのまま水の汚れになるので、5分より短い時間で食べきれる少なめの量から始めて、様子を見ながら調整するほうが安全です。
金魚鉢で餌の量が特に大切なのは、食べ残しがそのまま水の汚れになるからです。水量の少ない金魚鉢では、少しの食べ残しでも水質が一気に悪くなります。キョーリンは、食べる様子を見ながらすぐに食べきれる量を入れ、食べ終わったら同じ量を入れることを繰り返し、短時間で食べきれなくなる量を見つけて、それより少し少なめを1回の量にする方法を紹介しています。最初の数回はこの方法で、自分の金魚に合う量を探してみてください。
回数を増やしたくなる気持ちも分かりますが、金魚鉢では1日1回で十分だと考えています。キョーリンは、餌の回数が多いほど早く大きくなるとしたうえで、あまり成長させたくないなら1日1回でも問題ない(寿命が短くなるということはない)と説明しています。金魚鉢は大きくなるほど窮屈になる器なので、ゆっくり育てるくらいがちょうどいいです。
餌やりのときは、次の点も意識しておくと水が長持ちします。
- 食べ残しは5分たったら網やスポイトで取り除く
- 浮く餌は食べ残しが見えやすく、量の調整がしやすい
- 食べる勢いが弱い日は、餌を減らして水換えを優先する
- 旅行前に普段より多く与えない(食べ残しが水を汚す)
なお、キョーリンは水温が低くない時期にあまり餌を食べないときは、水が汚れて体調が悪い可能性があるとして水替えを勧めています。餌の食べ方は、金魚の体調と水の状態を知るいちばん身近なバロメーターです。
金魚鉢で使う餌は、小さな金魚でも食べやすい粒の細かいものや、浮いて食べ残しが見えやすいものが扱いやすいです。金魚の大きさに合うかどうかと、与える量の目安は袋の表示で確かめてください。
季節で変わる水温と世話の調整

金魚鉢は水量が少ないぶん、部屋の温度の影響を受けやすい器です。水が少ないほど、外の気温に合わせて水温も早く上がったり下がったりします。季節ごとに、気をつける点を変えていきましょう。
夏に気をつけたいのは、水温の上昇と酸素不足です。水は温度が高いほど酸素を溶かしにくくなるうえ、金魚は暖かいほど活発に動いて酸素をたくさん使います。キョーリンは屋外や玄関など外気温に近い環境の目安として、6月〜10月は1日2〜3回しっかり与えつつ、水質悪化に注意するとしています。ただ、金魚鉢は水量が少ないので、私は回数を増やすより1日1回の量を守り、水換えの回数で水質を保つほうを優先するのがいいと考えています。日中に部屋が暑くなる場合は、日の当たらない涼しい場所に移す、エアーポンプで水面を動かすといった工夫で、酸欠のリスクを下げられます。
冬は、水温が下がると金魚の動きも食欲も落ちてきます。愛知県の水産試験場は、金魚は野外でも飼育できるので、ヒーターなしで飼育しても問題ないとしています。一方で、熱帯魚店など暖かいところで飼われていた魚を急に冷たい水に入れると病気の原因になること、ヒーターで水温を一定にすると急な水温変化のストレスを受けにくく、琉金やオランダシシガシラなど丸い体型の金魚では転覆病の予防になると言われていることも紹介しています。キョーリンも、冬に暖房したリビングで飼う場合は、水温変化で体調を崩さないよう観賞魚用ヒーターの設置を勧めています。
暖房を入れる部屋では、昼は暖かく夜は冷えるという温度差が大きくなりやすいです。金魚鉢を窓際や暖房の近くから離し、部屋の中でも温度が安定しやすい場所に置くのが第一歩です。金魚鉢に使える小型のヒーターもありますが、器の大きさに合うか、空焚き防止などの安全機能があるかを製品ごとに確かめてから使ってください。
水温が低い時期は、餌の量も減らします。愛知県の水産試験場は、水温が低くなったらあまり餌を与える必要はないとしています。キョーリンは外気温に近い環境の目安として、11月は少量から極少量へ徐々に減らし、12月〜4月初旬は全く与えないか数週間に1回極少量としています。ただし、これは屋外や玄関など外気温に近い場合の目安です。暖房の効いた部屋で水温がそれほど下がらない場合は、金魚の食べ方を見ながら、残さない量を少しずつ与えてください。春に水温が上がってきたら、少ない量から元に戻していきます。
泡・パクパク・食欲で分かる不調のサイン

金魚鉢は水量が少ないので、異変が起きると進むのも早いです。毎日の餌やりのときに、金魚と水の様子を数秒眺めるだけでも、早めに気づける不調はたくさんあります。愛知県の水産試験場は、餌の食べ方、泳ぎ方、エラの動きなどをよく観察し、いつもと動きが違うときは病気かもしれないので、早めに塩水浴(0.5%食塩水での飼育)や観賞魚店で販売している薬で処置するよう案内しています。
見つけたサインごとに、資料が示している原因の見立てと対処を表にまとめました。金魚鉢で起きやすいものを中心に並べています。
| 見つけたサイン | 考えられること | まずやること | 出典 |
|---|---|---|---|
| 容器のふちに泡がたまる | 水が汚れてきたサイン | 水換えをする | 愛知県水産試験場 |
| 水面近くで口をパクパクする | 水量に対して数が多く酸素が不足 | ブクブクやろ過装置で酸素を加える・容器を大きくする | キョーリン |
| 餌を食べる勢いが弱い | 水が悪いサイン | 1/2〜2/3程度水替えをして、2〜3日餌を止める | キョーリン |
| いつもと動きが違う | 病気かもしれない | 早めに塩水浴(0.5%)や観賞魚用の薬で処置 | 愛知県水産試験場 |
| 体に白い点々・ヒレがボロボロ | 白点病・尾ぐされ病の可能性 | 1/3〜1/2の水換えをして魚病薬を入れる | キョーリン |
| 水が緑色になる | 植物プランクトンの大量発生 | 太陽光を遮り、餌を減らす | キョーリン |
表の中で、餌を食べる勢いが弱いときの水替えの量(1/2〜2/3)は、キョーリンが水槽での飼育について示している目安です。普段の水換えは3分の1を基本にし、サインが出たときだけ量を増やす、と考えておくと分かりやすいです。そのときも、新しい水の温度は必ず合わせてください。
口をパクパクさせる動きは、酸欠だけでなく、餌を欲しがっているときにも見られます。見分け方や、酸欠のときの具体的な対処は金魚が水面でパクパクする原因と酸欠の見分け方で詳しく解説しています。金魚鉢で何度もパクパクが続く場合は、数が多すぎるか、器が小さすぎるサインと受け止めて、匹数を減らすか大きな容器への引っ越しを考えてみてください。
病気の治療については、キョーリンが水槽の場合として、3分の1ほどの水替えをしたうえで水10リットルに対して約50gの塩を溶かす方法や、病気ごとの魚病薬を紹介しています。ただ、薬の量や使い方は製品ごとに違い、小さな金魚鉢では濃度が狂いやすいので、使う前に必ず製品の説明を確かめてください。症状がはっきりしないとき、何日たってもよくならないときの最終的な判断は、観賞魚店や専門家にご相談ください。
水槽へ移す目安と移し先の選び方
金魚鉢での飼育を続けるうえで、いつかは考えたいのが水槽への引っ越しです。目安になるのは、最初に紹介した愛知県水産試験場の条件です。10リットル未満の容器は全長3〜4センチの金魚1〜2尾が前提なので、金魚がその大きさを超えてきたら、金魚鉢の役目はそろそろ終わりと考えてよいと思います。ほかにも、次のようなことが続くようになったら移し替えを考えるタイミングです。
- 全長が4センチを超えて、金魚鉢の中で向きを変えにくそうに見える
- 水換えをしても、すぐにふちに泡がたまる・においが出る
- 水面で口をパクパクする様子がたびたび見られる
- 夏に水温が上がりやすく、毎日の水換えでも追いつかない
移し先の水槽の大きさは、金魚の数と大きさで決めます。ここで注意したいのは、資料によって匹数の目安がかなり違うことです。2つの資料の目安を並べると、次のようになります。
| 水槽 | キョーリン(全長3〜5cmの金魚) | 愛知県水産試験場(全長5cmの金魚) |
|---|---|---|
| 30〜40cm水槽(12〜25L) | 3〜5匹 | 記載なし |
| 45cm水槽 | 6〜7匹(35L) | 3〜4尾くらい |
| 60cm水槽(60L) | 8〜12匹 | 記載なし |
同じ45cm水槽でも、キョーリンは3〜5cmの金魚で6〜7匹、愛知県水産試験場は5cmの金魚で3〜4尾くらいとしています。想定している金魚の大きさが違うので単純には比べられませんが、金魚は育つ魚です。私は、少ないほうの目安から始めるのが安全だと考えています。どちらの数も、今の大きさの金魚を前提にした目安です。成長したあとの体の大きさで数えると、これよりさらに少なく見積もる必要があるので、30〜40cm水槽の行も上限として受け取ってください。愛知県の水産試験場も、水槽を覗いて少し物足りないと思う程度がよいとしていますし、キョーリンも、成長するので水槽が広いなと感じるくらいで始めるよう書いています。
水槽に移すときは、ろ過装置をつけて水を回し、カルキを抜いた水で準備してから金魚を移します。キョーリンは、水槽の水は量が多いほど水質が安定するとして、60cm以下のガラス水槽でなるべく大きいサイズを勧めています。また、始めは1〜2匹で飼育し、2〜3週間後に金魚を追加すると白く濁りにくいとしています。キョーリンは、セットしてから2〜3週間はろ過バクテリアが増えていないため水が汚れやすく、2〜3日に1回3分の1ぐらいの水を替えるよう案内しているので、移した直後は金魚鉢のときと同じくらいこまめに水を換えてください。移すときも、迎えた日と同じように水温を合わせてから放してください。水槽セットの選び方は、金魚の水槽セットのサイズ・価格の比較で、水槽での飼い方全体の流れは金魚の飼い方完全ガイド(室内水槽の始め方)で紹介しています。
移したあとの金魚鉢は、捨てずにとっておくと役に立ちます。新しく迎えた金魚をしばらく様子見する容器や、具合の悪い金魚を一時的に分けておく容器として使えるからです。
水槽へ移すときは、水槽・ろ過装置・ふたなどが一式になったセットを選ぶと、道具の組み合わせで迷いにくいです。水槽の大きさと飼う数が合っているか、セットの中身は何かを、価格とあわせて購入前に各ショップで確かめてくださいね。
金魚鉢での金魚の飼い方で押さえたい点は、全長3〜4センチの金魚を1〜2尾まで、口の広い器を直射日光の当たらない場所に置く、水は毎日〜週3回、3分の1ずつ温度を合わせて換える、餌は1日1回5分で食べきる量、の4つです。数値はいずれも一般的な目安なので、正確な情報は公式サイトや製品の説明をご確認ください。
金魚鉢での金魚の飼い方についてよくある質問
旅行で数日家を空けるとき、金魚鉢の金魚はどうすればいいですか?
健康な金魚なら、数日は餌を与えずに出かけても大丈夫なことが多いです。愛知県の水産試験場は、金魚は長期の絶食にも耐えられるので1週間絶食させても死ぬことはないとしています(あまり長く絶食させると体が細くなるなどの影響が出ることもあるそうです)。キョーリンも、出かける前に餌を多めに与えると食べ残しが水を汚すので、出かける朝もいつもどおりに与えるよう説明しています。キョーリンも、健康な魚は1週間程度餌を食べなくても平気としています。迎えたばかりで弱っている金魚や、水温が上がりやすい夏は当てはまらないこともあるので注意してください。金魚鉢では、出発の前日か当日の朝に水換えをして、直射日光や暖房の当たらない場所に置いておくと安心です。
金魚鉢に水草を入れてもいいですか?
入れても構いません。見た目が華やかになるうえ、金魚が隠れられる場所にもなります。ただし、キョーリンは塩水浴をするときは塩分で水草が枯れることがあるので取り出したほうが無難だとしています。また、金魚は水草をかじることがあり、ちぎれた葉が水の中で傷むと汚れのもとになります。金魚鉢は水が少ないので、入れる量は控えめにし、傷んだ葉はこまめに取り除いてください。
金魚鉢で飼っていると金魚は大きくならないのですか?
キョーリンは金魚の大きさを約20cmとしつつ、小さな水槽だと大きくならないと書いています。ただ、これは小さな器なら大きくならずに済むという意味ではなく、育つ力のある魚が窮屈な環境に置かれている状態とも言えると私は考えています。金魚の寿命は10〜15年とされているので、長く飼うつもりなら、成長に合わせて水槽へ移すことを前提に考えておくのがおすすめです。
金魚鉢での金魚の飼い方のまとめ
金魚鉢での金魚の飼い方は、小さな金魚を、少なく入れて、こまめに水を換える、の一言にまとまります。愛知県の水産試験場が示しているように、水量10リットル未満の金魚鉢では全長3〜4センチの金魚1〜2尾程度が目安で、水換えは毎日〜週3回くらいです。容器はできるだけ口の広いものを選び、窓際の直射日光は水温と収れん火災の両方の理由から避けましょう。
迎えた日は袋ごと浮かべて水温を合わせ、最初の3〜4日は餌を控えます。その後は1日1回、5分ほどで食べきれる量を与え、食べ残しは取り除きます。水換えは3分の1ずつ、新しい水の温度を合わせてから。容器のふちの泡、水面でのパクパク、食べる勢いの弱さといったサインに気づいたら、早めに水換えや酸素の追加で手を打ってください。
そして、金魚は10〜15年生きることもある、育つ魚です。全長が4センチを超えてきたり、水換えをしてもすぐに水が汚れるようになったりしたら、水槽への引っ越しを考えるタイミングです。金魚鉢は、小さな金魚を迎えて世話の基本を身につけるための、最初の住まいとして上手に使ってみてください。
ここで紹介した数値は、いずれも公的機関やメーカーが示している一般的な目安で、金魚の品種や大きさ、部屋の環境によって変わります。正確な情報は各公式サイトや製品の説明をご確認ください。金魚の体調に不安があるときの最終的な判断は、観賞魚店や専門家にご相談ください(参考:愛知県水産試験場「金魚を飼育してみよう!」)。


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