グッピーが水面で口をパクパクするのはなぜ?酸欠の対処法
グッピーが水面に集まって口をパクパクしている、ずっと水槽の上のほうから離れない。
そんな姿を見ると、「苦しいのでは」と心配になりますよね。
結論からお伝えすると、水面で口をパクパクする姿は酸欠のサインであることが多い一方で、亜硝酸やアンモニアの中毒、エラの病気でも同じように見えることがあります。
そこで、まずは強すぎなければ魚への負担が小さい「水面を動かす」対策をすぐに行い、並行して水温と亜硝酸・アンモニアを測ってください。
水質が悪いと分かったら、一度に替えすぎない部分換水で下げていきます。
そのうえで、高水温・過密・水面の動きの不足・ろ過の停止・薬浴中・油膜・停電を順に確かめていくと、再発の原因まで絞り込みやすくなるはずです。
この記事では、観賞魚メーカーの解説や獣医向けの資料をもとに、見分け方と対処の順番を整理しました。
この記事で理解できること
- グッピーの口パクパクの原因が酸欠だけとは限らない理由
- 餌の催促や普段の泳ぎと、酸欠のサインを見分けるポイント
- 酸欠を招く6つの原因と、それぞれの確かめ方
- 水面を動かす・水質を測る・部分換水するという対処の順番
グッピーが口パクパクする理由は酸欠だけではない

グッピーが水面で口をパクパクさせる姿は、金魚などで「鼻上げ」と呼ばれる様子とよく似ています。
多くの場合は水の中の酸素が足りないサインですが、資料をたどると、それ以外の原因でも同じ姿になることが分かります。
ここでは、酸欠で水面に上がる仕組み、亜硝酸やアンモニアとの関係、そして餌の催促との見分け方を順に見ていきましょう。
水面でパクパクする仕組みは酸素不足
魚は、水に溶けている酸素をエラから取り込んで生きています。
米国地質調査所(USGS)も、水に溶けた酸素は魚や動物プランクトンが呼吸に使い、生きるために必要なものだと説明しています。
この水に溶けている酸素のことを「溶存酸素」と呼びます。
では、酸素は水槽のどこから水に入ってくるのでしょうか。
「水面が波立ったり揺らぐことで空気中の酸素が水面から水中に溶解します。」というのが、ジェックス(GEX)の説明です。
同社によれば、水面付近が最も酸素濃度が高く、底まで行き渡らせるには適度な水流が要るとのこと。
つまり、水の中の酸素が減ってくると、いちばん酸素が多いのは空気に触れている水面のすぐ下というわけです。
獣医向けの資料であるMSD獣医マニュアルでは、酸素が足りない魚は水面近くに集まり、空気を飲み込もうとすることがあると説明され、この行動は「piping」と呼ばれています。
グッピーについても、学術論文(Kramer & Mehegan, 1981)で、酸素が少ない水では水面直下の水を使って呼吸する行動、いわゆる「水面呼吸」をとることが報告されているのです。
口をパクパクさせて水面にとどまるのは、酸素の多い薄い層の水を少しでも取り込もうとしている姿だと考えてよいでしょう。
では、どのくらいの酸素があれば足りるのでしょうか。
MSD獣医マニュアルの本文では、多くの魚にとって溶存酸素は5mg/Lを超えるのが望ましく、それを下回るとストレスを受けるとされています。
これはグッピーだけを調べた数値ではないので、あくまで一般的な目安として受け取ってください。
なお、同じ資料の表では、低酸素の影響は小さな魚より大きな魚のほうが受けやすいとも書かれています。
水槽の中で体の大きな個体から水面に上がってくるようなら、酸欠を疑う手がかりの1つになるかもしれません。
ただ、ここで1つ注意しておきたいことがあります。
「水面でパクパク=酸素を入れれば解決」とは限らない点です。
次の見出しで、その理由を見ていきます。
亜硝酸やアンモニアでも同じ姿になる
水面でパクパクする姿は、水の中に酸素が十分あっても起きることがあります。
代表的なのが、亜硝酸による中毒です。
亜硝酸とは、つまり魚のフンや食べ残しから出たアンモニアを、ろ過バクテリアが分解する途中でできる物質のことです。
MSD獣医マニュアルの「魚によくある環境の危険」をまとめた表では、低酸素と亜硝酸中毒のどちらにも、行動のサインとして「Piping at surface(水面でのパクパク)」が挙げられています。(出典:MSD Veterinary Manual「Common Environmental Hazards for Fish」)
なぜ同じ姿になるのか、その仕組みも同じ資料で説明されています。
亜硝酸が魚の血液に取り込まれると、メトヘモグロビンという、酸素を体のすみずみへ渡せない形に変わってしまうのです。
水には酸素があっても、血液がそれを運べないため、魚の体は酸欠と同じ状態になるわけです。
このとき、エラや血液が暗い褐色(チョコレートのような茶色)になるとされていますが、見分けにくいという注記つきです。
では、国内のメーカーはどう書いているでしょうか。
テトラ(スペクトラム ブランズ ジャパン)は試験紙の製品ページで、「亜硝酸濃度がある数値以上に高くなると、お魚は鼻上げなど酸欠によく似た状態になり、最後には呼吸困難に陥って死んでしまうことさえあります。」と書いています。
ジェックスの金魚の解説にも、「水が透明な状態であっても亜硝酸濃度が高ければ、金魚はどんどん弱ってしまいます。」という一文が見られるほどです。
金魚向けの記事ではありますが、見た目のきれいさでは判断できないという点は、グッピーの水槽にも当てはまるでしょう。
アンモニアについては、エラの組織を傷めるというのがMSD獣医マニュアル本文の説明です。
また、毒性の強い形のアンモニアは、pHと水温が高いほど増え、そのうちpHのほうが強く影響するとされています。
テトラの水質テストの取扱説明書でも、pHが7より高いと毒性の高いアンモニアになり、低いと無害なアンモニウムイオンになるという説明でした。
さらに見落とせないのが、エラの病気です。
MSD獣医マニュアルの飼い主向けページには、エラなどにつく寄生虫で、呼吸が速くなったり、水面近くで空気を飲もうとしたりする例が載っています。
キョーリンも同じく、「病原体はエラに寄生しやすく酸欠に注意が必要です。」との立場。
ここまでをまとめると、エアレーションだけでは亜硝酸やアンモニアは直接下がりにくいということです。
だからこそ、水面を動かす対策と並行して、水質を測ることが欠かせません。
エラの病気が疑われるときの症状の見分け方は、グッピーの病気を症状から見分ける一覧にまとめています。
餌の催促や普段の泳ぎとの見分け方

水面で口を動かしていても、すべてが異常とは限りません。
ジェックスは金魚の鼻上げの解説で、人に慣れた魚が人の姿に反応して水面でパクパクするのは、餌をせがむ行動だと区別しています。
グッピーも水面で餌を食べる様子がよく見られるので、人が近づいたときだけ集まってくるなら、まず餌の催促を考えてよさそうです。
見分けるコツは、人が水槽から離れたあとも水面にとどまっているかを確かめることでしょう。
もう1つ知っておきたいのが、グッピーの泳ぐ層です。
「グッピーは上層を泳ぐ魚だから、水面にいるのは普通」と言われることがありますが、メーカーや公的機関の資料で、そう明記したものは見当たりませんでした。
魚の情報をまとめた学術データベースのFishBaseでは、グッピーは「benthopelagic」、つまり底層から中層あたりを泳ぐ魚に分類されています。
実際の水槽では水面近くを泳ぐことも多い魚ですが、上層にいて当たり前とは言い切れないのです。
大切なのは、一般論よりあなたの水槽のグッピーが普段どの高さを泳いでいるかと比べることです。
普段は水槽の真ん中あたりを泳いでいるのに、急にずっと水面にいるようになったなら、変化として受け止めましょう。
お腹の大きなメスが水面にいると、「出産が近いから?」と思うかもしれません。
ただ、ジェックスが出産のサインとして挙げているのは、お腹が大きくなることと、尻ビレ付近が黒くなることです。
出産前のメスが水面にとどまるという資料は見つからなかったため、口のパクパクが続くなら、ほかの魚と同じように酸欠や水質を確かめてください。
ここまでの見分け方を、原因ごとに表にまとめました。
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| 疑う原因 | 様子 | 起きやすい時間帯・場面 | 確かめ方 | 対処 |
|---|---|---|---|---|
| 酸欠 | 水面に何もないのに3分以上パクパクする、何匹も水面に集まる | 夏の高水温のとき、エアレーションのない水槽の朝方、停電やポンプが止まったあと | 水温計を見る、エアーポンプとフィルターが動いているか、水面が揺れているかを見る | 水面を動かして酸素を入れる、高水温なら水温を下げる |
| 亜硝酸・アンモニア | 水面でパクパクする(亜硝酸)、元気がない(アンモニア)、水が透明でも起きる | 立ち上げ直後、餌が多いとき、水換えの間隔があいたとき | 試験紙や試薬で亜硝酸・アンモニアを測る | 一度に替えすぎない部分換水で下げる、餌を控える |
| エラの病気 | 呼吸が速く浅い、エラが腫れて白っぽい、水面近くで空気を飲もうとする | 酸素を入れても、水質に問題がなくても続くとき | エラや体表、ヒレ、泳ぎ方、食欲を観察する | 病気を見極めてから治療する、薬浴中もエアレーションを行う |
| 餌の催促 | 人が近づいたときだけ水面に来て口を動かす | 給餌の前や、人が水槽の前にいるとき | 水槽から離れて数分様子を見る | 特別な対処はいらない(餌はいつもの量を守る) |
表は資料をもとに整理した一般的な目安で、原因が1つとは限らない点に気をつけてください。
たとえば夏に立ち上げたばかりの水槽なら、高水温による酸欠と亜硝酸の両方が重なっていることもありえます。
今すぐ確かめる酸欠のサインと順番
口のパクパクに気づいたら、原因を考えこむより先に、目で見て分かることを短い時間で確かめていきましょう。
見る順番を決めておくと、慌てていても抜けが出にくくなります。
ここでは、水面でパクパクしているときの確かめ方と、底のほうで口を動かしているときに考えたいことを分けて説明します。
3分以上続くか・呼吸の速さを見る

最初の目安になるのが、パクパクが続く時間です。
ジェックスは金魚の鼻上げについて、「水面に何もないのに3分以上、水面でパクパクしていたら注意しましょう。」と書いています。
金魚向けの目安ですが、餌の催促と分けて考えるうえで、グッピーでも使いやすい基準でしょう。
確かめる順番は、次のように進めるのがおすすめです。
1つ目は、水槽から少し離れて、人がいなくても水面にとどまっているかを3分ほど見ることです。
2つ目に、水面にいるのが何匹か、エラの動きがいつもより速くないかを見ます。
MSD獣医マニュアルの表では、低酸素の魚の体のサインとして、エラが開き気味になることや体の色が暗くなることが挙げられています。
3つ目は水温です。
水温計を見て、いつもの温度より上がっていないかを確かめてください。
4つ目に、エアーポンプとフィルターが動いているか、水面がしっかり揺れているかを見ます。
コンセントが抜けていた、停電のあとに止まったままだった、ということも考えられます。
5つ目は、ここ数日の出来事の振り返りです。
水槽を立ち上げたばかりか、薬を入れたか、魚を増やしたか、餌を多くあげたかを思い出してみましょう。
時間帯にも目を向けたいところです。
テトラの水質テストの取扱説明書には、「エアレーションをしていない水槽の溶存酸素量は、午後遅くよりも、朝方少なくなります。」とあります。
MSD獣医マニュアルでも、池の魚の大量死は酸素がいちばん少ない早朝に見つかることが多いとされています。
池の話ではありますが、朝にパクパクが多く、昼には落ち着くという水槽なら、夜のあいだの酸素不足を疑う理由になるはずです。
反対に、エアーポンプもフィルターも動いていて、水温も普段どおりなのにパクパクが続くなら、亜硝酸やアンモニア、エラの病気も視野に入れてください。
どちらの場合も、次の章で説明する「水面を動かす」はすぐに始めて構いません。
確かめながら手を動かす、という意識で進めると落ち着いて対応できます。
底で口をパクパクするときに疑うこと
水面ではなく、底のほうで口をパクパクさせている場合もあります。
正直にお伝えすると、「底で口をパクパクする」様子をそのまま扱った一次資料は、今回の調べた範囲では見つかりませんでした。
そのため、ここでは決めつけずに、関係しそうな情報と観察のポイントを並べます。
まず、呼吸が速く浅いかどうかを見てください。
MSD獣医マニュアルの飼い主向けページでは、エラにつく吸虫(ダクチロギルス)の例として、魚の色が薄くなり、呼吸が速く浅くなること、エラが腫れて白っぽくなることが挙げられています。
次に、元気があるかどうかです。
MSD獣医マニュアルの別の表(魚の環境の危険をまとめた表)では、アンモニア中毒の行動のサインとして、元気がない、食べない、くるくる回る、けいれんするように泳ぐ、といった様子が挙げられています。
二酸化炭素が多すぎるときも、魚が元気をなくし反応が鈍く見えることがあるとされています。
水草のために二酸化炭素を添加している水槽なら、テトラの取扱説明書にある「高い濃度のCO2は、観賞魚にとって危険な場合があります。」という注意も思い出しておきたいところです。
キョーリンも、「いつもと違う」と感じる症状の例として「底でじっとしている」を挙げています。
ただし、そのページでは原因までは特定されていません。
水温が低すぎないかも確かめましょう。
グッピーの適温は資料によって幅があり、ジェックスは「グッピーが最も活発に活動する水温は23~26℃です。」、テトラは20〜26℃、キョーリンは21〜28℃としています。
いずれもあくまで一般的な目安ですが、これより大きく下回っているなら低温の影響も考えられるでしょう。
水温が低いと感じたら、ヒーターが動いているかと、水温が先に挙げた適温の範囲に入っているかを確かめてください。
ジェックスも、「低温では白点病が、高温ではエロモナス症状等が出やすくなります。」と書いています。
水温の目安と季節ごとの管理は、グッピーの適温と生存・繁殖・稚魚別の水温の違いで詳しく解説しています。
底で口を動かしているときは、口の動きの速さ、エラの色や腫れ、泳ぎ方、食欲をあわせて観察し、1つの様子だけで原因を決めないことが大切です。
酸欠を招く6つの原因
水面でのパクパクが酸欠によるものだとしたら、なぜ酸素が足りなくなったのかを知っておくことが再発を防ぐ近道になります。
メーカーの資料で確かめられた原因を整理すると、次の6つにまとめられます。
①高水温、②過密、③水面の動きの不足、④ろ過やポンプの停止(停電を含む)、⑤夜間の水草の呼吸と油膜、⑥薬浴中、の6つです。
このうち①は次の見出しで、②〜⑥は続く見出しの中でまとめて説明します。
高水温で水に溶ける酸素が減る
①の高水温は、夏にとくに気をつけたい原因です。
水は、温度が上がるほど溶かしておける酸素の量が少なくなります。
この上限の量を「飽和溶存酸素量」といい、つまり「その水温の水に、最大でどれだけ酸素が溶けられるか」を表した数字です。
サンディエゴ州立大学の表(淡水・1気圧)では、25℃で8.24mg/L、28℃で7.81mg/L、30℃で7.54mg/Lとなっています。(出典:San Diego State University「Online Calculation of Dissolved Oxygen Saturation」)
25℃から30℃に上がるだけで、上限が約0.7mg/L、割合にして8%あまり下がる計算になります。
なお、表の作り方の違いから、出典によって小数点以下の数値は少しずつ異なりますので、あくまで一般的な目安として見てください。
ジェックスも、水温20℃と35℃を比べると、35℃では溶け込む酸素の量が約2割減るという趣旨の説明をしています。
さらに、ジェックスは熱帯魚について「熱帯魚は実は30℃を超えるような高水温は苦手なお魚です。」とし、30〜32℃を超えると危険だと注意しています。
同じページでは、酸素不足はろ過を担う好気性バクテリアにも影響し、ろ過のバランスを崩す原因になるとも書かれています。
つまり高水温は、魚の酸欠と水質の悪化を同時に招きかねないのです。
ジェックスは、「水温が高くなる夏場や生体匹数が多い水槽は別途エアーポンプを設置して溶存酸素量を増やしてあげましょう。」と勧めています。
見落としやすいのが、病気の治療で水温を上げている場面です。
白点病の治療では、ジェックスが28〜30℃への加温を案内しています。
先に挙げたSDSUの数値のとおり、30℃では溶けられる酸素の上限が下がるため、加温して治療しているあいだはエアレーションを行うことが大切です。
加温するときは急に上げず、少しずつ水温を上げていきましょう。
加温による治療の流れや注意点は、グッピーの白点病の治し方を参考にしてください。
夏に水温計の数字が普段より高く、同時に口のパクパクが見られるなら、まず高水温による酸欠を疑ってよいでしょう。
過密と水面の動き不足
②の過密は、水の量に対して魚が多すぎる状態のことです。
キョーリンは「水面近くで口をパクパクしている」という質問に対して、「飼育容器の水量に対して、金魚の飼育数が多く酸素が不足していると考えられます。」と答えています。
あわせて「水槽を大きくしても良いでしょう。」とも案内されています。
ジェックスも、酸欠と水質の悪化はどちらも過密で起きやすいとしています。
グッピーは繁殖しやすい魚なので、稚魚が育って気づいたら数が増えていた、ということもありがちです。
いまの匹数が水槽に合っているかは、グッピーは水槽に何匹までが適正かで確かめてみてください。
③の水面の動き不足は、意外と見落とされやすい原因です。
ジェックスは、「酸素は水面を波立たせることで水中に溶け込んでいきます。」と説明しています。
そのうえで、「勢いよくエアーストンから出ている泡は、実はほとんどの酸素が水槽内に溶け込んでいないんです!」とし、大事なのは「どれだけ水面を動かせているのか!なんです!!」と強調しています。
つまり、泡がたくさん出ていても、水面がほとんど揺れていなければ酸素は入りにくいということです。
ここからは、残りの3つの原因を見ていきます。
④ろ過やポンプの停止(停電を含む)
ジェックスは、エアレーションやフィルターがない水槽では「水の循環がなく、水中の酸素がすぐに減少します」と書いています。
フィルターやエアーポンプが止まると、水面の揺れも水の循環もなくなるため、同じ状態に近づくと考えられます。
停電は、とくに気づきにくい場面です。
停電ではヒーターも止まるため、水温も乱れやすくなる点に注意が必要で、MSD獣医マニュアルの表でも水温が大きく変わる原因の1つに停電が挙げられています。
ジェックスの乾電池式エアーポンプ「アトム5」の製品ページには、「停電時など酸素供給が一時的に失われる時には是非ご使用下さい。」とあります。
フィルターは、動いていても水の出方が弱くなっていないかを見ておきましょう。
目詰まりで魚が酸欠になると書いた資料は見つかりませんでしたが、流量が落ちていないか確かめることは、水の循環を保つうえで役に立つはずです。
フィルターの種類や手入れは、グッピー水槽のフィルターの選び方で解説しています。
⑤夜間の水草の呼吸と油膜
水草は昼に酸素を出してくれる一方、夜はその逆。
テトラの取扱説明書には、「夜になると、水草は日中とは逆に二酸化炭素を排出し、酸素を吸収します。」とあります。
続けて、エアレーションをしていない水槽では夜の酸素量が少なくなり、場合によっては著しく少なくなることがある、という説明です。
水草をたくさん入れていて、朝だけパクパクが目立つなら、この夜間の変化を疑ってみましょう。
もう1つが油膜です。
油膜とは、水面に薄い膜が張って、ぎらついて見える状態のことを指します。
ジェックスの研究者は、「油膜の発生は水面の揺れがなくなることで、酸素が溶け込みにくくなることがあります」と述べています。
水面に膜が張っていたら、水面の動きが足りていないサインとしても受け止められます。
⑥薬浴中
病気の治療で薬を入れているあいだも、酸素には気を配りたいところです。
ジェックスは、「薬浴している間はエアレーションを行いなるべく絶食させてください。」と案内しています。
キョーリンも、病原体がエラに寄生しやすいことから酸欠に注意が必要だとし、「強い水流にならないようにエアレーションをしよう。」と書いています。
加温しながら薬浴する場合は、①の高水温とも重なるため、なおさら酸素が不足しやすい状況だと言えるでしょう。
薬の量や期間は、使う製品の説明書に従ってください。
薬によっては、使える水温の上限が説明書に書かれていることもあります。
口パクパクを見つけたときの対処手順
原因の候補が分かったところで、実際に何をすればよいかを順番に整理します。
流れは、①水面を動かして酸素を入れる、②並行して水温と亜硝酸・アンモニアを測る、③水質が悪ければ部分換水で下げる、の3段階です。
①は強すぎなければ魚への負担が小さく、すぐにできるので、原因がはっきりしなくても先に始めて構いません。
まず水面を動かして酸素を入れる

テトラの取扱説明書は、溶存酸素が明らかに低く、魚が水面で鼻上げしているような場合について、「ただちにエアーポンプとエアーストーンなどを用いてエアレーションを行い、酸素を供給する必要があります。」としています。
ジェックスも、酸欠なら「早急にエアレーションを施して改善させましょう。」と案内しています。
エアレーションとは、つまりエアーポンプで空気を送り、泡で水面を動かして酸素を溶かし込む方法です。
ここで思い出したいのが、前の章で見た「泡の量より水面の動き」という考え方です。
エアーストーンは、泡が水面をしっかり揺らす位置に置くとよいでしょう。
エアーポンプが手元にないときは、フィルターの排出口の向きを変えて、水面が揺れるようにするのも1つの方法です。
ただし、水面を揺らすといっても、強い水流にする必要はありません。
ジェックスは、「雄のグッピーは尾ビレが大きく、水流の影響を受けやすいので強い水流は好みません。」と書いています。
「水流が強過ぎるときは排出口の向きを壁側にするなどして対応します。」とも案内されているので、水面は揺れているが、グッピーは流されていないくらいを目指してください。
口パクパクを見つけたときにすぐやること(あくまで一般的な目安です)
1.エアーポンプとフィルターが動いているかを確かめ、止まっていれば動かします。
2.泡や排出口の水で水面が揺れるようにし、グッピーが流されていないかも見ます。
3.並行して水温計を見て、試験紙や試薬で亜硝酸・アンモニアを測ります。
4.水温が高ければ下げる対策を、水質が悪ければ部分換水を行います。
水温が高いときは、酸素を入れるのと同時に水温を下げる対策も考えましょう。
ジェックスによると、冷却ファンは水面に風を当てて水を蒸発させ、そのときに熱が奪われる仕組みで、水温を約3〜4℃下げられるとのことです。
ただし、水温が下がりすぎることもあるため、こまめに水温を確かめる必要があります。
水温に応じてファンの電源を切る「ファン用サーモスタット」があると便利だ、とも書かれています。
蒸発で水が減っていくので、足し水も忘れないようにしてください。
エアレーションにも、泡がはじけることで水温を多少下げる働きがあるとされています。
一方で、室温が高いと温かい空気を送ることになり、水温を下げる効果は期待できないとも説明されています。
泡の上がり口に冷却ファンの風を当てると、より効果的とのことです。
夏場の高水温が気になる水槽なら、水槽用の冷却ファンを候補に入れておくと安心です(下がりすぎることもあるので、使い始めは水温計をこまめに見てください)。
私は、水面を動かしたあとの時間(30分ほどはあくまで目安です)を、「様子を見る時間」ではなく「水質を測る時間」に使うことをおすすめします。
パクパクが続くようなら、亜硝酸やエラの病気へとすぐに目を移せるからです。
落ち着いた場合でも亜硝酸が残っていることがあるので、水温と水質の測定は続けてください。
エアーポンプの選び方や置き方は、グッピー水槽のエアレーションの必要性と選び方で詳しく紹介しています。
水質を測って部分換水で下げる

水面を動かしたら、並行して水質を測りましょう。
見ておきたいのは、亜硝酸とアンモニアの2つです。
測るときの注意として、テトラのテスト試験紙6in1は亜硝酸を測れますが、アンモニアは測定項目に入っていません。
アンモニアも確かめたいなら、アンモニア用の試験紙や試薬を別に用意する必要があります。
テトラの案内では、6in1は水槽の水に1秒ほど浸して60秒後に色を比べ、単品の亜硝酸試験紙は約1秒浸してから約30〜60秒待って比べる、と使い方が分かれています。
液体の試薬を使う場合は、テトラの取扱説明書に、アンモニアを測る水の温度は20〜30℃でなければいけないという注意があります。
試薬には取り扱いの注意も書かれているので、説明書をよく読んでから使ってください。
測った値をどう判断するかは、少し注意が要ります。
亜硝酸の目安は、同じテトラでも、液体試薬の取扱説明書では0.3mg/ℓ未満、亜硝酸試薬の製品ページでは0.8mg/l以下と、製品によって違うのです。
そのため、判定は使う試験紙や試薬の説明書の基準に従ってください。
手元に試験紙がないなら、亜硝酸を含む複数の項目を一度に見られるタイプを1つ用意しておくと、パクパクの原因を絞るときに役立ちます(アンモニアは別の試験紙・試薬が要る製品もあるので、測定項目を確かめてから選びましょう)。
数値が高いと分かったら、部分換水で下げていきましょう。
テトラは水質の解説で、「亜硝酸塩が高濃度な数値を示している場合は、すぐに水換えをして飼育水の亜硝酸の濃度を下げなければなりません。」と書いています。
水質悪化なら「早急に水替えを行ないましょう。」というのが、ジェックスの案内です。
ただ、換える量はメーカーによって数値が違うのが悩ましいところ。
ジェックスは「1回の水換えで交換する水の量は、おおよそ1/3〜1/2程度が一般的な目安です。」としたうえで、「ただし、半分以上を新しい水に交換するのは避けましょう。」と注意しています。
テトラの取扱説明書が案内するのは、アンモニアや亜硝酸が高いときに水槽の水の1/3を替え、底砂にたまったゴミも掃除する方法です。
キョーリンのように、「おかしいな」と感じたら水を2/3交換する例を示しているメーカーもあります。
ただ、テトラは「大量に換水してしまうと、急な水質変化についていくことができず、魚がショック状態になってしまうことがあるので注意してください。」とも書いており、一度に多く替えるほど水質が急に変わる点は見逃せません。
そこでこの記事では、1回に替える量は1/3程度に抑え、替えたらまた測り、試験紙・試薬の基準を下回るまで部分換水を繰り返す方法をおすすめします。
一度で下げきろうとせず、測って、替えて、また測る、というくり返しのほうが水質の急な変化を避けやすい、というのが私の考えです。
新しく入れる水は、カルキ(塩素)を抜き、水温を合わせてから使ってください。
ジェックスも、「あらかじめ、塩素中和剤(カルキ抜き)などを投入した新しい水を用意しておきましょう。」とし、温度計で水温を合わせるよう案内しています。
部分換水のポイント:換える量は1/3を基本にし、メーカーで数値が違うため使う製品の説明書も確かめます。
新しい水はカルキを抜き、温度計で水槽の水温に合わせてから入れましょう。
水質の悪化が疑われるときは、餌の量も見直したいところです。
キョーリンは、「エサに集まらないなど、「おかしいな」 と感じたら水を2/3交換、ろ過槽を掃除、2日間エサを与えず様子を見よう。」と案内しています。
MSD獣医マニュアルでも、立ち上げたばかりの水槽でアンモニアが高いときの対処として、餌を減らすことが挙げられています。
ふだんの水換えの頻度と手順は、グッピーの水換えの頻度とやり方でまとめています。
再発させない水槽の整え方
口のパクパクが落ち着いたら、同じことが起きにくい水槽に整えておきましょう。
ポイントは、ここまで見てきた6つの原因をふだんから先回りしてつぶしておくことです。
①の高水温には、水温計を毎日見る習慣が役立ちます。
上がりやすい季節は冷却ファンなどの対策を早めに用意しておくと安心でしょう。
前に見たとおり、ジェックスは水温が高くなる夏場や匹数の多い水槽に、別途エアーポンプを設置するよう勧めています。
②の過密を防ぐには、匹数の見直しが欠かせません。
稚魚が育つと数は自然に増えていくので、定期的に数え直し、水槽の大きさと見比べてください。
③の水面の動き不足については、泡やフィルターの排出口で水面がきちんと揺れているかを、餌やりのついでに見ておくのが手軽です。
④のろ過やポンプの停止に備えるなら、フィルターの水の出方が弱くなっていないかを日ごろから確かめておきましょう。
停電に備えて乾電池式のエアーポンプを1台用意しておけば、電池が持つあいだ(製品によっては約8時間)酸素を送れます。
普段は使わない道具ですが、夏の停電や災害のときにグッピーを守る備えとして、置き場所を決めておくと慌てずに済みます。
⑤の夜間の水草の呼吸と油膜には、夜のエアレーションと水面の観察で対応します。
テトラの取扱説明書は、朝に最低ラインの溶存酸素量が検出されたら、少なくとも夜間だけでもエアレーションを行うよう案内しています。
水草の多い水槽や、エアーポンプを夜に止めている水槽では、見直してみる価値があるはずです。
水面に油膜が張っていないかも、あわせて見ておきたいところ。
⑥の薬浴中は、治療の準備と一緒にエアレーションも整えておくと慌てずに済むでしょう。
加えて、6つの原因とは別に、水質の定期的なチェックも続けてください。
テトラの取扱説明書には、「毎週テストで水槽の亜硝酸塩レベルをチェックすることが必要です。」とあります。
測っておけば、パクパクが出る前に水質の変化に気づける可能性が高まります。
どれも特別な道具がなくても始められるものばかりなので、できるところから取り入れてみてください。
グッピーの口パクパクに関するよくある質問(FAQ)
グッピーが水面でぼーっとしているのも酸欠のサイン?
口を速く動かしていなくても、普段より水面にいる時間が長いなら、酸欠や水質の悪化を疑う材料になります。
MSD獣医マニュアルの表では、元気がない様子はアンモニア中毒のサインの1つとして挙げられています。
水面を動かしたうえで、水温と亜硝酸・アンモニアを測ってみてください。
エアレーションしているのに口をパクパクするのはなぜ?
泡は出ていても水面が揺れていない、水温が高い、亜硝酸やアンモニアが高い、エラの病気がある、などが考えられます。
ジェックスは、勢いよく出ている泡の酸素はほとんど水に溶け込んでおらず、大事なのは水面をどれだけ動かせているかだと説明しています。
水面の揺れを確かめたうえで、水温と水質も測ってみましょう。
お腹の大きいメスが水面にいるのは出産が近いから?
ジェックスが出産のサインとして挙げているのは、お腹が大きくなることと、尻ビレ付近が黒くなることです。
出産前のメスが水面にとどまるという資料は見つかりませんでした。
口のパクパクが3分以上続くようなら、ほかの魚と同じように酸欠や水質を確かめてください。
朝だけ水面に集まるのはなぜ?
夜のあいだに酸素が減っている可能性があります。
テトラの取扱説明書では、水草は夜に酸素を吸収し、エアレーションをしていない水槽の溶存酸素量は朝方に少なくなると説明されています。
夜もエアレーションを続けるなど、夜間の酸素を見直してみましょう。
口パクパクしているときに餌はあげてもいい?
酸欠そのものへの対処として餌を止めるよう書いた資料は、今回の調べた範囲では見つかりませんでした。
ただ、水質の悪化が疑われるときは、キョーリンが2日間エサを与えず様子を見るよう案内しており、薬浴中はジェックスがなるべく絶食させるよう勧めています。
水質を測った結果や治療の有無に合わせて、餌の量を控えるかどうかを決めるとよいでしょう。
まとめ|グッピーの口パクパクは原因で対処を変える
最後に、この記事の要点を振り返ります。
グッピーが水面で口をパクパクするのは、酸欠のほか、亜硝酸・アンモニアの中毒やエラの病気でも起きます。
まず水面を動かして酸素を入れ、並行して水温と水質を測り、水質が悪ければ部分換水で下げましょう。
- 人が離れても水面に何もないのに3分以上パクパクするなら注意(ジェックスの目安)
- 亜硝酸は水に酸素があっても、血液が酸素を運べない状態をつくる
- 酸欠を招く原因は、高水温・過密・水面の動き不足・ろ過やポンプの停止・夜間の水草と油膜・薬浴中の6つ
- エアレーションは泡の量より水面の揺れが大切で、強い水流にはしない
- 部分換水は1回に1/3程度に抑え、カルキを抜き水温を合わせた水で、替えたらまた測り、試験紙・試薬の基準を下回るまで繰り返す
- 亜硝酸の目安値は製品で違うため、使う試験紙や試薬の説明書に従う
口のパクパクは、グッピーが出してくれる分かりやすいサインです。
あわてずに「水面を動かす」と「水質を測る」を同時に進めることが、原因に合った対処への近道になります。
この記事の数値は、環境や個体によって変わるあくまで一般的な目安です。
正確な情報は各メーカーの説明書をご確認ください。
判断に迷うときは、グッピーを購入した専門店などに相談してみてくださいね。





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